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特許7144944低コストミリ波受信機及び低コストミリ波受信機の操作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】低コストミリ波受信機及び低コストミリ波受信機の操作方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/00 20060101AFI20220922BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H04L27/00 C
H04B1/10 L
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018041448
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2018174522
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】15/457,754
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オン, ジョン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ユ, フランク エス.
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02007030(EP,A1)
【文献】国際公開第2014/112040(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/00
H04B 1/10
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の帯域幅を有する第1の周波数帯域の第1の信号を、第2の周波数帯域のデジタルプロセッサの帯域幅を有するデジタルプロセッサによって処理するように構成された機器であって、
前記第1の信号を受信するように構成された単一の受信ユニットであって、
前記受信ユニット内のローノイズアンプ(LNA)に通信可能に連結され、且つ前記第1の帯域幅の前記第1の信号を第1の中間周波数帯域に変換するように構成された単一のコンバータを備える、単一の受信ユニットと、
前記コンバータに通信可能に連結され、且つ変換済みの前記第1の信号を、N個の中間信号に分割するように構成されたスプリッタであって、N個の中間信号のそれぞれは第1のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つの中にあり、且つそれぞれが前記デジタルプロセッサの帯域幅以下の帯域幅を有し、Nが1よりも大きい整数である、スプリッタと、
それぞれが前記スプリッタに通信可能に連結され、且つ前記N個の中間信号のうちの関連づけられた1つを前記第2の周波数帯域にダウンコンバートするように構成されたN個のダウンコンバータと、
ダウンコンバート済みの複数の前記信号を前記デジタルプロセッサで処理して、N個の処理済み信号を生成するように構成されたデジタルプロセシングユニットと、を備え、
前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの各サブバンドは、前記N個のダウンコンバータのうちの少なくとも1つによって生成された、より低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、機器。
【請求項2】
前記機器が、第3の周波数帯域内の第2の信号をさらに生成し、
N個のアップコンバータであって、前記N個のアップコンバータのそれぞれが前記デジタルプロセシングユニットに通信可能に連結され、且つ前記N個の処理済み信号のうちの関連づけられた1つを、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つにアップコンバートするように構成されたN個のアップコンバータと、
前記N個のアップコンバータのそれぞれに通信可能に連結され、且つアップコンバート済みの前記N個の処理済み信号を結合するように構成された結合器と、
前記結合器に通信可能に連結され、且つ結合済みのN個の前記アップコンバート済み信号を、前記第2の中間周波数帯域から前記第3の周波数帯域に変換して前記第2の信号を生成するように構成されたアップコンバータと、
前記第2の信号を送信するように構成された送信器とをさらに備え、
前記第2のセットのN個のサブバンドのうちの各サブバンドは、前記N個のアップコンバータのうちの少なくとも1つによって生成されたより低次のスパーをほぼ除外するようにして選択され、
前記第1の中間周波数帯域は、前記第の帯域幅の前記第の信号を前記第1の中間周波数帯域に変換することと、前記アップコンバート済みのN個の処理済み信号を前記第3の周波数帯域に変換することによって生成されたより低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、
請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの少なくとも1つのサブバンドが、前記第2のセットのN個のサブバンドのうちの1つのサブバンドと同じ範囲を有する、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記第1のセットのN個のサブバンドは連続している、請求項1から3のいずれか一項に記載の機器。
【請求項5】
前記機器は、
N個の局部発振器であって、前記N個の局部発振器のそれぞれが前記N個のダウンコンバータのうちの関連づけられた1つに通信可能に連結されて、前記N個のダウンコンバータのうちの関連づけられた1つに対して、前記第1のセットのN個のサブバンドの前記N個の中間信号のうちの関連づけられた1つを前記第2の周波数帯域にダウンコンバートする局部発振器信号を供給する、N個の局部発振器をさらに含み、
前記N個の局部発振器のうちの少なくとも1つはさらに、前記N個のアップコンバータのうちの関連づけられた1つに通信可能に連結されて、前記N個のアップコンバータのうちの関連づけられた1つに対して、前記N個の処理済み信号のうちの関連づけられた1つを、前記第2の中間周波数帯域の前記第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つにアップコンバートするための、前記N個の局部発振器のうちの1つに関連づけられた前記局部発振器信号を供給する、
請求項3に記載の機器。
【請求項6】
さらに、前記第1の帯域幅は3GHzであり、
前記デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの少なくとも1つは、31.0GHzと32GHzの間の周波数帯域に位置する、
請求項1から3または5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
さらに、前記第1の帯域幅は3GHzであり、
前記デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの少なくとも1つは、21.0GHzと22GHzの間の周波数帯域に位置する、
請求項1から3または5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項8】
第1の帯域幅を有する第1の周波数帯域の第1の信号を、第2の周波数帯域のデジタルプロセッサの帯域幅を有するデジタルプロセッサで処理して、第2の信号を生成する方法であって、
前記第1の信号を受信することと、
前記第1の信号を第1の中間周波数帯域に変換することと、
変換済みの前記第1の信号をN個の中間信号に分割することであって、前記N個の中間信号のそれぞれが、第1のセットのN個のサブバンドのそれぞれの1つの中にあり且つ前記デジタルプロセッサの帯域幅よりも小さい帯域幅を有し、Nは1よりも大きい整数である、分割することと、
前記N個の中間信号のそれぞれを前記第2の周波数帯域にダウンコンバートすることと、
ダウンコンバート済みの複数の前記信号を前記デジタルプロセッサで処理して、N個の処理済み信号を生成することと、
処理済み且つダウンコンバート済みの前記複数の信号から前記第2の信号を生成することを含み、
前記第1のセットのN個のサブバンドのそれぞれは、前記N個の処理済み信号のそれぞれを、前記第2の周波数帯域のN個のサブバンドのそれぞれの1つにダウンコンバートすることによって生成されたより低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、方法。
【請求項9】
前記第2の信号が第3の周波数帯域内にあり、方法が、
前記N個の処理済み信号のそれぞれを、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのそれぞれの1つにアップコンバートすることと、
アップコンバート済みの前記N個の処理済み信号を結合することと、
結合済みの前記N個のアップコンバート済み信号を前記第3の周波数帯域に変換して前記第2の信号を生成することと、
前記第2の信号を送信することをさらに含み、
前記各N個のサブバンドのそれぞれは、前記N個の処理済み信号を、前記第2の中間周波数帯域の前記第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つにアップコンバートすることによって生成されたより低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの少なくとも1つが、前記第2のセットのN個のサブバンドのうちの1つのサブバンドと同じ範囲を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のセットのN個のサブバンドは連続している、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記N個の中間信号のそれぞれを、前記第2の周波数帯域のN個のサブバンドのうちのそれぞれ1つにダウンコンバートすることは、
前記N個の中間信号のそれぞれを、前記第1のセットのサブバンドのうちのそれぞれの1つから前記第2の周波数帯域へと、前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた複数の局部発振器のうちの1つに従ってダウンコンバートすることを含み、
前記N個の処理済み信号を、前記第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれ1つにアップコンバートすることは、
前記N個の処理済み信号のそれぞれを、前記第2の中間周波数帯域の前記第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれ1つへと、前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた前記複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってアップコンバートすることを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記N個の中間信号のそれぞれを、前記第1のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つから前記第2の周波数帯域へと、前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってダウンコンバートすることは、
前記N個の中間信号のそれぞれを、前記第2の周波数帯域の前記第1のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つから、前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってダウンコンバートすることであって、前記複数の局部発振器信号のうちの1つは、前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた局部発振器によって生成された、ダウンコンバートすることを含み、
前記N個の処理済み信号のそれぞれを、前記第2の中間周波数帯域の前記第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれ1つへと、前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた前記複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってアップコンバートすることは、
前記N個の処理済み信号のうちの少なくとも1つを、前記第2の中間周波数帯域の前記第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つへと、前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた前記複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってアップコンバートすることであって、前記複数の局部発振器信号のうちの1つは、前記第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた局部発振器によって生成された、アップコンバートすることを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記第1の帯域幅は3GHzであり、
前記デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
前記各サブバンドのうちの少なくとも1つは、31.0GHzと32GHzの間の周波数帯域に位置する、
請求項8から10または12から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記第1の帯域幅は3GHzであり、
前記デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
前記各サブバンドのうちの少なくとも1つは、21.0GHzと22GHzの間の周波数帯域に位置する、
請求項8から10または12から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタル変調信号の受信及び処理を行うシステム及び方法に関し、具体的には、こうしたデジタル変調信号を経済的に処理するための低コストのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星通信システムは、よく知られている。こうした通信は、従来からLバンド(1~2GHz)、Sバンド(2~4GHz)、Cバンド(4~8GHz)、Xバンド(8~12GHz)、Kuバンド(12~18GHz)、Kバンド(18~26GHz)、及びKaバンド(26~40GHz)で行われてきた。
【0003】
最近、連邦通信委員会(FCC)はこうした通信に対してミリ波(MMW)の周波数帯域の割り当てを行った。これらは、Qバンド(33~50GHz)、Vバンド(40~75GHz)、及びWバンド(75~110GHz)を含む。具体的には、衛星からの通信にQバンドの一部(具体的には、37~42GHz)を、衛星への通信にVバンドの一部(具体的には、42.5~51.4GHz)を、また衛星から衛星へのクロスリンク通信にVバンドの別の一部(具体的には、59~63GHz)を割り当てることが提案されている。さらに、Eバンド(WバンドとVバンドにまたがる)内の通信、具体的には、衛星からの通信用に71~76GHz、衛星への通信用に81~86GHzを使うことが、提案されている。
【0004】
当該技術分野において、低コストで、かつ既存の衛星システムへの変更が最小限になるようにして、こうした周波数帯域の利用を可能にするシステム及び方法の必要性が、継続的に存在している。こうしたシステム及び方法が、以下に記載される。
【発明の概要】
【0005】
本書は、第1の帯域幅を有する第1の周波数帯域の第1の信号を、第1の帯域幅よりも小さいデジタルプロセッサの帯域幅容量を有する第2の周波数帯域のデジタルプロセッサによって処理して、第1の帯域幅を有する第3の周波数帯の第2の信号を生成するための、システム及び方法を開示する。一実施形態では、方法は、第1の信号を受信することと、第1の帯域幅の第1の信号を中間周波数帯域に変換することと、変換済みの第1の信号を、それぞれがデジタルプロセッサの帯域幅よりも小さい帯域幅を有する、1よりも大きい整数であるN個の中間信号に分割することと、N個の中間信号のそれぞれを第2の周波数帯域にダウンコンバートすることと、ダウンコンバート済みの複数の信号をデジタルプロセッサで処理して、N個の処理済み信号を生成することと、N個の処理済み信号のそれぞれを中間周波数帯域にアップコンバートすることと、アップコンバート済み信号を第3の周波数帯域に変換することと、変換済みの信号を送信することとを含む。以下に記載するとおり、前述の各工程を実施する手段によって、別の実施形態が証拠立てられる。
【0006】
別の実施例では、第1の信号を受信するための単一の受信ユニットであって、受信ユニットに通信可能に連結され、第1の帯域幅の第1の信号を中間周波数帯域に変換する、単一のコンバータと、コンバータに通信可能に連結され、変換済みの第1の信号を、それぞれがデジタルプロセッサの帯域幅よりも小さい帯域幅を有する、1よりも大きい整数であるN個の中間信号に分割するスプリッタと、それぞれがスプリッタに通信可能に連結され、それぞれがN個の中間信号のうちの関連づけられた1つを第2の周波数帯域にダウンコンバートするN個のダウンコンバータと、ダウンコンバート済みの複数の信号をデジタルプロセッサで処理してN個の処理済み信号を生成するデジタルプロセシングユニットと、それぞれがN個の処理済み信号のうちの関連づけられた1つに通信可能に連結され、第2の周波数帯域にアップロードするN個のアップコンバータと、N個のアップコンバータのそれぞれに通信可能に連結された、アップコンバート済みのN個の処理済み信号を結合する結合器と、結合器に通信可能に連結され、結合済みのN個のアップコンバート済み信号を第3の周波数帯域に変換するアップコンバータと、変換済み信号を送信する送信機、とを備える機器が開示される。プロセッサ及び、前述の各工程を実施するプロセッサ命令が保存された、通信可能に連結されたメモリを有する機器によって、さらなる別の実施形態が証拠立てられる。
【0007】
ここで、図面を参照する。各図面中を通じて、類似の参照番号は対応する部品を表している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】衛星の用途で使用されてよい送受信機を示す。
図2図1に示す送受信機よりも広い帯域の信号を送受信するように改変された送受信機を示す。
図3】改良された広帯域送受信機を示す。
図4】広帯域信号を受信して処理するために使用され得る、例示の各工程を示す。
図5】例示的な広帯域送受信機用の周波数計画を示す。
図6】別の例示的な広帯域送受信機用の周波数計画を示す。
図7】VバンドからKaバンドへのダウンコンバート処理中に生成されたスパー(spur)を示す。
図8A】KaバンドからLバンドへのダウンコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図8B】KaバンドからLバンドへのダウンコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図8C】KaバンドからLバンドへのダウンコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図8D】KaバンドからLバンドへのダウンコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図8E】KaバンドからLバンドへのダウンコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図8F】KaバンドからLバンドへのダウンコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図9A】LバンドからKaバンドへのアップコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図9B】LバンドからKaバンドへのアップコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図9C】LバンドからKaバンドへのアップコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図9D】LバンドからKaバンドへのアップコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図9E】LバンドからKaバンドへのアップコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図9F】LバンドからKaバンドへのアップコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図10】KaバンドからQバンドへのアップコンバート処理中のスパーの生成を示す。
図11】上記の開示の処理要素を実施するのに使用され得る例示のコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の記載中で添付の図面を参照するが、添付の図面は本書の一部を形成するものであり、例示のため、いくつかの実施形態で示される。本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施例が使用されてもよいし構造的な変更が加えられてもよいことは、理解される。
【0010】
概要
図1は、衛星の用途で使用されてよい送受信機100を示す。送受信機100は、デジタルプロセシングユニット(DPU)104に通信可能に連結された受信ユニット102を含む。デジタルプロセシングユニット104は、送信ユニット106にもまた通信可能に連結されている。
【0011】
受信ユニット102は、衛星100A’、地上送受信機100B’、または地上ステーション100C’といった別の送受信機100’からの受信信号105Rを検知するための、受信用アンテナ108に連結されている。検知された信号は、ローノイズアンプ(LNA)110によって増幅され、高周波(RF)ダウンコンバータ112に供給される。RFダウンコンバータ112は、LNA110からの増幅済み信号の周波数を、より低い周波数の(例えばLバンドの)信号114にダウンコンバートする。ダウンコンバート済み信号114は、デジタル的にサンプリングされ、アナログ-デジタル(A/D)コンバータ116によってデジタル化される。その結果生じるデジタル化済み信号118は、チャネライザ/デジタルプロセッサ120に供給される。
【0012】
デジタルチャネライザ120は、デジタル化済みのダウンコンバート済み信号に対して操作を実施し、デジタル処理済み信号122を生成する。デジタル処理済み信号122は、デジタル-アナログ(D/A)コンバータ124によって、アナログ処理済み信号126に変換される。アナログ処理済み信号は、RFアップコンバータ128によってより高い周波数にアップコンバートされ、進行波管増幅器(TWTA)または固体電力増幅器(SSPA)といった増幅器132によって増幅され、送信アンテナ134に供給されて、他の送受信機100’のうちの1つ以上に対する送信信号105Tを生成する。
【0013】
周知であるナイキスト基準によると、エイリアシングを防止するためには、A/Dコンバータ116は、ダウンコンバート済み信号を、ダウンコンバート済み信号自体の最大帯域幅の少なくとも2倍のレートでサンプリングしなければならない。周波数の遮断がよりシビアである場合に、位相ひずみを引き起こし得る不完全なアンチエイリアシングフィルタに対応するため、実際にはサンプリングレートはさらに高い。したがって、DPU120が実施する動作は、ダウンコンバート済み信号114の最大帯域幅の少なくとも2倍のレートで実施されなければならない。こうした高いレートで信号処理することが可能なDPU120が、製作されてきた。こうしたDPU120の設計及び製作は、費用がかかる。典型的な衛星の用途では、第1の信号108は500MHzのLバンド信号であり、ダウンコンバート済み信号114は、n個の500MHz帯域のLバンド信号である。したがって、この帯域幅の信号を処理することが可能なDPU120が開発されており、容易に入手可能になっている。
【0014】
上記のとおり、こうした通信用に、他の周波数帯域も利用可能になっており、それらはQバンド(33~50GHz)、Vバンド(40~75GHz)、及びWバンド(75~110GHz)を含む。こうした広帯域幅を、こうした帯域幅を扱うことが可能な新たなDPUを開発するための費用を発生させることなく使用するためには、帯域が、より小さな(例えば500MHzの)チャンクに縮小されなければならない。
【0015】
図2は、改変された送受信機200を示す図である。送受信機200は、複数の受信ユニット102A~102N及び複数の送信ユニット106A~106Nを含むように改変されている。各受信ユニット102A~102Nは、受信信号105RA~105RNの種々の帯域幅部分を受信し、Lバンドの500MHz帯域幅の信号をDPU104に提供する役割を担っている。各送信ユニット106A~106Nは、DPU106から500MHz、Lバンドの信号126A~126Nを受信し、スペクトル図の適切な部位上で、関連する送信信号105TA~105TNを生成して送信する。
【0016】
図5に示す改変された送受信機200に関して困難な点は、受信ユニット102A~102N及び送信ユニット106A~106Nがどちらも高価であり、製作が困難だということである。これらの装置はミリメートル周波数帯域(例えば、Qバンド、Vバンド、及びWバンド)で動作しなければならないので、これらの装置は、非常にタイトな許容誤差で製作されていなければならない、非常に小さいサイズの導波管を含んでいる。したがって、改変された送受信機200は、新たに利用可能になった周波数帯域の信号を送受信できる一方、この性能は、非常に高価につくものである。
【0017】
図3は、改良された広帯域送受信機300を示す。この改良された広帯域送受信機(以降、単に送受信機300と称する)は、より高い周波数帯域で信号を送受信するために改変された受信ユニット302及び送信ユニット306、並びに上記で基本の送受信機100に関して検討されたデジタルプロセシングユニット104を含む。図3に示すデジタルプロセシングユニット104は、図1に示す基本の送受信機100内のデジタルプロセシングユニット104とは異なり、(例えば、ダウンコンバータ316A~316Nからの)複数の信号を処理するように構成されている。送受信機300はまた、受信ユニット302からのダウンコンバート済み信号を、DPU104が処理する信号に変換し、同様にDPU104からのデジタル処理済み信号を、送信ユニット306が送信する信号に変換する、コンバータユニット304もまた含む。この送受信機300は、図2に示す設計と比べてより低コストで、より高周波数のQ、V、及びWバンドの信号を送受信する性能を有しており、図4及び図5A図5Bに関連して以下で検討される。
【0018】
図4は、信号を受信して処理するために使用され得る、例示の各工程を示す。ブロック402を参照すると、図3に示す受信信号305Rといった第1の信号が受信される。第1の信号305Rは第1の周波数帯域内にあり、かつ第1の帯域幅である。例えば、3GHzの帯域幅のVバンド信号である。これは、例えば受信ユニット302のアンテナ308及びLNA310によって実現され得る。ブロック404では、受信された第1の信号305Rは、第1の周波数帯域から第1の中間周波数帯域へと変換される。これは、例えば、受信ユニットのRFコンバータ312によって実現される。RFコンバータ312は、例えば、受信したVバンドの信号を増幅したものを、Kaバンド内の中間周波数帯域に変換する。一実施形態では、受信した第1の信号305Rが変換される中間周波数帯域の決定は、この選択が最適にスパーの生成を最小化し(以下でさらに記載する)、ハードウェアの共有(例えば、ダウンコンバータ316とアップコンバータ320の間の1つ以上の局部発振器318)によって実行され得る、既存のハードウェアの再利用を最大化するようにして行われる。以下で検討される実施形態のうちの1つでは、29.0~32.0GHzの中間周波数帯域が選択される。なぜなら、以下でさらに記載されるように、この中間周波数帯域によって、スパーの最小化、既存のダウンコンバータ316の再利用、及び、ダウンコンバータ316とアップコンバータ320の間にある局部発振機318の共有という、最適な組み合わせが提供されるからである。
【0019】
ブロック406を参照すると、変換された第1の信号(今は中間帯域にある)は、N個(Nは1以上)の中間信号に分割され、この各中間信号は、第1のセットのN個のサブバンドのそれぞれの中にある。一実施形態では、中間信号の数Nは、N個の中間信号のそれぞれが、DPU104が処理し得る信号の最大帯域幅以下の帯域幅を有するようにして選択される。例えば、DPU104が500MHzの信号を処理可能である場合、N個の中間信号のそれぞれは、500MHzを超過しないであろう。受信した信号が3GHzの信号である場合、この信号は、それぞれが異なる(かつオプションで連続する)3GHz帯域幅の信号のサブバンドを占める、少なくとも6つ(3/0.5)の信号に分割されるであろう。図3に示す実施形態では、この工程はスプリッタ314によって実施される。スプリッタ314は、RFダウンコンバータ312からの中間帯域(この例ではKa)の信号を、N個のKaバンドの信号に分割する。
【0020】
次に、ブロック408で、N個の中間信号のそれぞれが、第2の周波数帯域にダウンコンバートされる。図3に示す実施形態では、このダウンコンバートは、N個のダウンコンバータ316によって実現される。N個のダウンコンバータ316はそれぞれ、スプリッタ314からの関連づけられた信号を、中間周波数帯域(示される例では、Kaバンド)の第1のセットのN個のサブバンドのうちの関連づけられた1つから、第2の周波数帯域の関連づけられた1つのサブバンド(示される例では、Lバンド)に、ダウンコンバートする。この結果がN個のLバンドのサブバンド信号であり、それぞれ、受信信号305Rの帯域幅をNで除算したもの以下の帯域幅である。
【0021】
コンバータユニット304内に含まれるダウンコンバータ316A~316Nのそれぞれが、複数の局部発振器318A~318Nのうちの関連づけられた1つと、通信可能に連結されている。例えば、ダウンコンバータ316Aは、局部発振器318Aに通信可能に連結されており、コンバータ316Nは、局部発振器318Nに通信可能に連結されている。コンバータ316A~316Nは、それぞれが関連づけられた局部発振器から局部発振器信号を受信し、ダウンコンバート処理でこの局部発振器信号を使用する。
【0022】
N個のダウンコンバート済み中間信号は、次に、デジタルプロセッサで処理され、図4のブロック410に記載されるように、N個の処理済み信号が生成される。図3に示す実施形態では、これは、各ダウンコンバート済み中間信号が1つ以上のA/Dコンバータ116に供給されるときに実現され、その結果生じるデジタル化済み信号(示される実施例では、それぞれ500MHzの帯域幅)が、チャネライザ/デジタルプロセッサ120に供給されて処理される。その結果生じる処理済み信号は、次に、1つ以上のD/Aコンバータ124に供給され、N個の処理済みデジタル信号が生成される。
【0023】
ブロック412で、N個の処理済み信号のそれぞれは、第2の中間周波数帯域内の、第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つにアップコンバートされる。図3に示す例示の実施形態では、これは、アップコンバータ320A~320Nによって実現される。アップコンバータ320A~320Nのそれぞれは、第2の周波数帯域(示されている例ではLバンド)内のサブバンドの1つを、第2の中間周波数のサブバンドのうちの関連づけられた1つにアップコンバートする。図3に示される例では、第2の中間周波数帯域が、第1の中間周波数帯域、即ちKaと同じになるように選択されるということは、留意されるであろう。
【0024】
上記のように、アップコンバータ320A~320Nのそれぞれが、第2の周波数帯域のN個のサブバンド内の信号のうちの関連づけられた1つを、関連づけられた局部発振器からの局部発振信号を使って、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのうちの関連づけられた1つに、アップコンバートする。アップコンバータ320A~302Nに関連づけられた局部発振器が、ダウンコンバータ316A~316Nに関連づけられた局部発振器318A~318Nと同一であってよいか、または同一でなくてよいことは、留意されよう。こうして、このシステムの実装に必要な局部発振器の数は、様々な最適化の基準に応じて様々であり得る。局部発振器の数は、各ダウンコンバータ316A~316Nに1つずつ、さらに各アップコンバータ320A~320Nに1つずつで、2N個であることができる。または、それぞれが、316A~316Nから選択された1つのダウンコンバータと、320A~320Nから選択された1つのアップコンバータとに同時に関連づけられている、N個の局部発振器であることができる。または、任意の他の可能な構成であることができる。
【0025】
図4に戻ると、アップコンバート済み信号が結合され、ブロック413及び414に示すように、結合済みのアップコンバート済み信号が、第3の周波数帯域に変換される。これは、例えば、各アップコンバート済み信号を(例えば結合器322で)結合することと、結合済みのアップコンバート済み信号を送信ユニット306のRFアップコンバータ328に供給することによって、実現され得る。アップコンバータ328は、制御入力に従って信号をアップコンバートする。第3の周波数帯域が、第1の周波数帯域と同じであってよいか、または同じでなくてよいことは、留意されたい。図5に示す実施例では、第3の帯域は、37.5~40.5GHzにまたがるQバンドになるようにして選択される。
【0026】
最後に、ブロック416に示すように、変換された信号は送信される。これは例えば、アップコンバート済み信号を、進行波管増幅器(TWTA)または固体電力増幅器(SSPA)といった増幅器332に供給することによって実現され得る。増幅された信号は、送信信号305Tの送信のため、送信アンテナ334に供給される。
【0027】
上記のように、第1の及び第2の中間周波数帯域、並びにN個のサブバンドの第1及び第2のセットを選択するために、様々な最適化基準が使用され得る。例えば、スプリッタ314によって作成されたN個の(Ka)サブバンドのうちのいずれかまたは全てを、有利には、結合器322によって結合されたN個の(Ka)サブバンドと、同じ周波数の範囲を持つようにして選択することができる。これによって、局部発振器が、アップコンバート処理とダウンコンバート処理とで同じLO信号を供給することから、2N個の局部発振器ではなくN個の局部発振器318のみが必要とされることで、設計が単純化される。こうした実施形態では、1つ以上の局部発振器318及びこれらが生成する局部発振器信号は、ダウンコンバータ316及び、関連づけられたアップコンバータ320のうちの1つ以上によって、共有される。例えば、局部発振器318Aによって生成され(、第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つのサブバンドから第2の周波数帯域にダウンコンバートするため、ダウンコンバータ316Aに供給され)た局部発振器信号は、処理済み信号を第2のセットのN個のサブバンドのうちの1つのサブバンドにアップコンバートするため、アップコンバータ320Aに対しても供給されてよい。第2のセットのN個のサブバンドのうちの1つのサブバンドは、第1のセットのサブバンドのうちの1つのサブバンドと、同じ周波数の範囲を持っている(例えば、サブバンド504Aは、サブバンド514Aと同じ範囲である)。その結果、より少数の局部発振器318が必要とされる。
【0028】
これは、送信に使用される第1のセットのN個のサブバンド(例えば504A~504F)のうちの1つ以上を、送信に使用される第2のセットのN個のサブバンド(例えば514A~514F)のうちの関連づけられた1つのサブバンドと、同じ周波数の範囲を持つようにして選択することによって、可能になる。例えば、N個の中間信号のうちのいずれかまたは全てが、(例えばダウンコンバータ316A~316Nのうちの関連づけられた1つによって)KaサブバンドからLバンドへとダウンコンバートされてよく、N個の処理済み信号のうちの関連づけられた1つが、(例えばアップコンバータ320A~320Nのうちの関連づけられた1つによって)Lバンドから同じ(Ka)サブバンドへとアップコンバートされてよい。
【0029】
第1の中間周波数帯域(例えばRFダウンコンバータ312から発せられる信号の周波数帯域)が、第2の周波数帯域(例えばRFアップコンバータ328に供給される信号の周波数帯域)と同じ領域を持たなくてよいこともまた、注目に値する。代わりに、第1の中間周波数帯域は、第2の中間周波数帯域の周波数とオーバーラップする、いくつかの周波数のみを含んでいてもよい。こうしたケースであっても、第1の中間周波数のサブバンドのうちの1つ以上を、第2の中間周波数のサブバンドのうちの関連づけられた1つ以上と同じ周波数の範囲を持つようにして、選択することができる。それによって、信号のアップコンバートとダウンコンバートを実施するのに必要な局部発振器信号を生成するのに必要な回路構成が、節約される。第1の中間周波数帯域及び第2の中間帯域を、第1の中間帯域及び第2の中間帯域それぞれの中の第1の及び第2のセットのN個のサブバンドと共に、賢明に選択することによって、既存のハードウェアの再利用が最大化され、必要とされる追加要素(例えば局部発振器318)の量が最小化され、信号の品質が維持される一方で、(以下でさらに記載されるように)スパーの数が最小化される。
【0030】
送信に使われる第1のセットのN個のサブバンド(例えば504A~504F)の全てが、第2のセットのサブバンド(例えば、それぞれ514A~514F)うちの関連づけられた1つと同じ周波数の範囲を持つときに、局部発振器318の数及び関連づけられた回路の節約が最大になるが、第1のセットのサブバンドのうちの1つだけが、第2のセットのサブバンドのうちの1つと同じ周波数の範囲を持つように選択されたときにもなお、節約を得ることは可能である。例えば、第1のセットのサブバンドと第2のセットのサブバンドは、第1のセットのサブバンドのうちの2つのサブバンドだけが、第2のセットのサブバンドのうちの関連づけられた2つのサブバンドと同じ周波数の範囲を持つようにして、選択されてよい。さらなる例として図5を参照すると、このことは、サブバンド504A及び504Cがサブバンド514A及び514Cと同じ周波数の範囲を持つようにして選択されることによって、実現され得る。
【0031】
図5は、例示的な広帯域送受信機300用の周波数計画を示す。示されているこの実施形態では、受信信号305Rは、47.2~50.2GHzのVバンド信号である。この信号は、図示されているとおり、複数の連続するサブバンド502A~502Fを含んでいてよい。この信号は、(受信とローノイズ増幅に続いて)(例えばダウンコンバータ312によって、制御入力を用いて、)29.0~32.0GHzにまたがるKaバンド信号にダウンコンバートされる。Kaバンド信号は、複数の連続するサブバンド506A~506Fを含むものとして考えられてもよい。これらのサブバンド506A~506Fは、スプリッタ314によって別々の信号に分離され、こうした信号のそれぞれが、関連づけられたダウンコンバータ316A~316Fに供給される。示されるように、こうした信号のそれぞれが500MHzの帯域幅を有しており、したがってDPU104の処理容量を超過しない。これらの信号のそれぞれは、処理のためにDPU104に供給される前に、Lバンドの関連づけられたサブバンドにダウンコンバートされる。こうした処理に続いて、処理済み信号は、アップコンバータ320A~320Fによってアップコンバートされる。図5は、処理済み信号が、スプリッタ314によって作成された同じ(例えば同じ周波数の範囲の)Kaサブバンドにアップコンバートされる実施形態を示しているが、所望により、処理済み信号が異なる(周波数の範囲が同じでない)サブバンドにアップコンバートされてもよいことは、留意されたい。アップコンバート済み信号は、次に結合器322によって結合され、コンバータ328によってKaバンドからQバンドへと変換される。その結果生じるQバンド信号は、図5に示すように、500MHzのサブバンド516A~516Fによって形成された37.5~40.5GHzの帯域幅にまたがっている。
【0032】
図5はまた、どの周波数割り当てが既存のハードウェアの再利用を可能にするかを示す。既存のハードウェアは、27~31GHzのKaバンドで動作する。しかし、スパーを最小化する目的と、ダウンコンバータ316とアップコンバータ320の両方で同じ局部発振器を使用する目的のためには、中間周波数が29GHz~32GHzにわたっていることが望ましい。これによって、29~31GHzの帯域506A~506Dで既存のダウンコンバータ316を再利用することが可能になる。再利用されるハードウェアでは実装できないサブバンドは、スラッシュの向きの斜線(forward-slashing)によって示されているサブバンドであり、31.0~32.0GHzに位置するサブバンドを含んでいる。
【0033】
したがって、上記で検討したように、Vバンドのサブバンド502A~502Fは新規であり、異なる周波数帯及び帯域幅に対応するために、図1のコンバータ102とは異なるコンバータ312を必要とする。信号をKaサブバンド506A~506Dにダウンコンバートするダウンコンバータ316A~316Dは、既存の周波数計画で使用され、改変を必要としない。Kaサブバンド506E及び506Fは現行の周波数計画の一部ではなく、(スラッシュの向きの斜線で示されるように)ダウンコンバータ316E~316Fの軽微な改変が必要となる。軽微な改変は、アップコンバータ320A~320Fにもまた必要となる。コンバータ328は、Qバンドへの変換を行う。したがって、バックスラッシュの向きの斜線で示されるように、大幅な改変を必要とする。
【0034】
図6は、別の例示的な広帯域送受信機300用の周波数計画を示す。示されているこの実施形態では、受信信号305Rは、83.0~86.0 GHzのWバンド信号である。この信号は、図示されているとおり、複数の連続したサブバンド602A~602Fを含んでいてよい。この信号は、(受信とローノイズ増幅に続いて)(例えばダウンコンバータ312によって、制御入力を用いて、)19.0~22.0GHzにまたがるKaバンド信号にダウンコンバートされる。Kaバンド信号は、複数の連続するサブバンド606A~606Fを含むものとして考えられてもよい。これらのサブバンド606A~606Fは、スプリッタ314によって別々の信号に分離され、こうした信号のそれぞれが、関連づけられたダウンコンバータ316A~316Fに供給される。示されるように、こうした信号のそれぞれが500MHzの帯域幅を有しており、したがってDPU104の処理容量を超過しない。これらの信号のそれぞれは、処理のためにDPU104に供給される前に、Lバンドの関連づけられたサブバンドにダウンコンバートされる。こうした処理に続いて、処理済み信号は、アップコンバータ320A~320Fによってアップコンバートされる。処理済み信号が、スプリッタ314によって作成された同じKaサブバンドにアップコンバートされることは、留意されたい。アップコンバート済み信号は、次に結合器322によって結合され、コンバータ328によってKaバンドからVバンドへと変換される。その結果生じるVバンド信号は、図6に示すように、500MHzのサブバンド616A~616Fによって形成された71.0~74.0GHzの帯域幅にまたがっている。
【0035】
図5がそうであったように、図6もまた、どの周波数割り当てによって既存のハードウェアの再利用が可能になるかを示す。既存のハードウェアは、27~31GHzのKaバンドで動作する。しかし、スパーを最小化する目的と、ダウンコンバータ316とアップコンバータ320の両方で同じ局部発振器を使用する目的のためには、中間周波数が19 GHz~22 GHzにわたっていることが望ましい。これによって、19~21GHzの帯域612A~612Dで既存のアップコンバータ320を再利用することが可能になる。再利用されるハードウェアでは実装できないサブバンドは、スラッシュの向きの斜線(forward-slashing)によって示されているサブバンドであり、31.0~32.0GHzに位置するサブバンドを含んでいる。
【0036】
したがって、上記で検討したように、Wバンドのサブバンド602A~602Fに関連づけられたダウンコンバータは既存のハードウェアでは再利用することができず、異なる周波数帯及び帯域幅に対応するために、図1のコンバータ102とは異なるコンバータ312が必要とされる。Kaサブバンド606A~606Fは現行の周波数計画の一部ではなく、(スラッシュの向きの斜線で示されるように)ダウンコンバータ316A~316Fの改変が必要となる。改変は、アップコンバータ320E及び320Fでもまた必要となる。しかし、信号をKaサブバンド614A~614Fにアップコンバートするアップコンバータ316A~316Dは、既存の周波数計画で使用されており、既存のアップコンバータが再利用されてよい。
【0037】
送受信機300の選択された構成要素は、通常、送受信機300の性能を低減させる望ましくない高調波及びスパーを生じさせる。例えば、ダウンコンバータ316A~316Nは、入力信号を各局部発振器308A~318Nからの局部発振器信号と混合することによって動作する。このプロセスは理想的には、入力信号の信号内容を所望の周波数帯域へ単純にダウンコンバートするが、現実的には、ハードウェアの非線形性や他の制限によって、入力信号、及び局部発振器信号、並びにその組み合わせの高調波の信号成分からなる高調波ひずみが生じる結果となる。こうした高調波は、スパーとして知られる。図5及び図6に記載されている周波数割り当て計画は、中間周波数帯(例えば、Kaバンド)の選択を最適化した結果であり、サブバンド(例えばLサブバンド)によって、送受信機300の動作帯域内におけるスパーの生成が最小化されている。こうした最適化の一例を、以下で詳細に示す。
【0038】
図7は、VバンドからKaバンドへのダウンコンバート処理中に生成されたスパーの周波数を示す図である。こうしたスパーは、ダウンコンバータ内で生じている、混合プロセス中の不完全性の産物である。スパー周波数、したがって所望の性能へのスパー周波数の影響は、ダウンコンバータに供給された入力周波数と、ダウンコンバータが使用する局部発振器の周波数と、ダウンコンバータによる信号出力の所望の出力周波数とに依存する。
【0039】
図7に示す図は、所与の局部発振器(LO)周波数に関して、入力(RF)信号の周波数を垂直軸上に、ダウンコンバータからのスパーの出力周波数を水平軸上に、プロットしたものである(図7に示す例では、LO周波数は9100MHzであるが、他の周波数が選択されてもよい)。プロット上の各直線には、2つの数(m、n)が記されている。第1の数(m)は、入力信号(入力#1)の周波数に乗算する係数を表し、第2の数(n)は、第2の入力(入力#2)の周波数に乗算する係数を表す。さらに、「スパー」のオーダーは、mの絶対値とnの絶対値の合計として規定される。
【0040】
図7の斜線の四角形は、図5に示す周波数計画中のRFダウンコンバータ312への入力周波数、即ち47,200MHz~50,200MHzと、所望の出力IF周波数29,000MHz~32,000MHzを表している。
【0041】
(1、-2)の直線に関しては、「1」の値は入力信号の基本波を表し、「-2」の値は9100MHzであるLO入力の第2高調波を表す。コンバータ312は、高調波ミキサを使用し、LO入力の第2高調波を実効LOとして使用する。したがって、(1,-2)と記された線は、ダウンコンバータ312の所望の出力の混合された産物を表しており、回避すべきスパーであるとはみなされない。図7に示す他の直線は、起こり得るスパーを表す。
【0042】
スパー及び他のひずみは、周波数による適切なフィルタリング(例えばローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、またはバンドパスフィルタ)によって低減されるか、または改善されてよい。同時に、完璧なバンドパス特性を有するフィルタを構築することは不可能であり、急峻なカットオフ勾配を有するフィルタは、通常、信号内容によっても占められている周波数で見られ得る、位相ひずみを引き起こす。したがって、あらゆる高出力のスパーは、通過帯域よりも遠い周波数に位置するものであり、それによって、それらのスパーは位相ひずみをもたらすことなくより容易に除去され得る。こうした高出力のスパーは、図7で、|m|+|n|、即ちスパー次数(spur order)としても知られる数が小さい直線によって表されている。反対に、数がより小さい直線(例えばmがゼロの直線)は、フィルタリングで除去することが困難なスパーを表しており、好ましくは、回避される。より低次のスパーを構成するのが何であるかは、このシステムが何の用途に使用されるか次第である。この用途で検討されている周波数レジーム内で通信する目的に関しては、5次以下(例えば、|m|+|n|≦5)のスパーは、避けた方が好ましい。
【0043】
示されているケースでは、第1の入力は、Vバンド内のRF信号であり、第2の入力は、9100MHzにセットされた、局部発振器からの入力である。スパーのあり得る周波数位置は、入力周波数から斜めの直線まで水平の直線を辿り、X軸上のスパーのあり得る周波数を読み取ることによって決定される。 したがって、(0,3)によって規定される3次のスパーの周波数を決定するために、入力#1から(0,3)の直線まで、水平の直線が引かれる。このことは、全ての入力#1の周波数に関して、約27,500MHzにおいてスパーが存在する可能性を表している。この周波数は、所望の出力帯域29,000~32,000MHzから十分外れており、したがって問題とはならない。
【0044】
同様に、(0,4)によって規定される4次のスパーの周波数は、入力#1から(0,4)の直線までの水平の直線によって規定されており、そのことは、全ての入力#1の周波数に関して、約36,400MHzにおいてスパーが存在する可能性を示している。こうして、図7に示す斜線のエリアは、垂直の線(0,3)及び(0,4)を回避しており、より高次(>5)のスパーのみを含んでいる。したがって、47,200~50,200MHzの周波数範囲を混合して29,000~32,000MHzの範囲にダウンするために9100MHzの局部発振器周波数の第2高調波を使用するのは、適切な選択である。
【0045】
上記の分析は、ダウンコンバータ316A~316Nによって実施されるダウンコンバート処理、アップコンバータ320A~320Nによって実施されるアップコンバート処理、及びアップコンバータ328によって実施されるアップコンバート処理に関してもまた、実施可能である。
【0046】
図8A図8Fは、ダウンコンバータ316A~316Fによって実施されるダウンコンバート処理中のスパーの生成を示す。図8Aは、図5に示す周波数計画中のダウンコンバータ316Aによるスパーの生成のプロットを示す。一方、図8B図8Fは、図5に示す周波数計画中の各ダウンコンバータ316B~316Fによるスパーの生成のプロットを示す。提示されている各ケースにおいて、生成されるスパーが基本波(0,n)を全く含んでおらず、容易にフィルタリングが可能なより高次のスパーを主に含んでいることに、留意されたい。スラッシュの向きの斜線を付した四角形が、各ダウンコンバータ316によって生成される可能性があるスパーの分析を表している一方、バックスラッシュの向きの斜線を付した四角形は、送受信機の他のダウンコンバータ316によって生成される可能性があるスパーの分析を表している。
【0047】
図9A図9Fは、アップコンバータ320A~320Fによって実施されるアップコンバート処理中のスパーの生成を示す。図9Aは、図5に示す周波数計画中のダウンコンバータ316Aによるスパーの生成のプロットを示す。一方、図9B図9Fは、図5に示す周波数計画中の各ダウンコンバータ320B~320Fによるスパーの生成のプロットを示す。ここでも、提示されている各ケースにおいて、生成されるスパーがいかなる基本波(0,n)も回避しており、容易にフィルタリングが可能なより高次のスパーを主に含んでいることに、留意されたい。スラッシュの向きの斜線を付した四角形が、
各アップコンバータ320によって生成される可能性があるスパーの分析を表している一方、バックスラッシュの向きの斜線を付した四角形は、送受信機の他のアップコンバータ320によって生成される可能性があるスパーの分析を表している。
【0048】
図10は、アップコンバータ328によって実施されるアップコンバート処理中のスパーの生成を示す。ここでも、提示されている各ケースにおいて、生成されるスパーがいかなる基本波(0,n)も回避しており、容易にフィルタリングが可能なより高次のスパーを主に含んでいることに、留意されたい。
【0049】
図7図8A図8F図9A図9F、及び図10に示すプロットから分かるように、ダウンコンバータ316A~316F及びアップコンバータ320A~320Fは、それぞれ高調波を生成するが、ダウンコンバート前とダウンコンバート後にN個のサブバンドの特性(例えば中心周波数及び/または帯域幅)を賢明に選択する結果、主要な周波数帯域からスパーがほぼ除外されるシステムを得ることができる。この文脈では、スパーが「ほぼ」除外されるということは、全てのスパーが除外される必要を必ずしも意味しない。このことは、代わりに、残存するスパーがあったとして、その振幅及び/または位相が、関係する周波数帯に存在することによって、送受信機の機能が意図する用途に関して容認できないほど損なわれる程度まで送受信機100の性能に負の影響を与えない、ということを必要とする。スパーがこの帯域から十分に離れている場合、これらのスパーは、適切な手段によってフィルタリングすることができる。評価される主要なスパーは、LO高調波スパーとしても知られる(0,n)スパーと、(1,n)スパーと、5以下のスパー次数(所与の(m,n)のスパーに関する|m|+|n|の値としても知られる)を有するスパーである。
【0050】
ハードウェア環境
図11は、上記の開示の処理要素を実装するのに使用され得るチャネライザ/デジタルプロセッサ(以降、信号プロセッサ120514と称する)を有する、例示的なデジタルプロセシングユニット104を示す図である。
【0051】
信号プロセッサ120は、上記で検討された工程を実施するための命令を保存しているメモリ1104に通信可能に連結された、プロセッサ1102を備える。プロセッサ1102は、汎用プロセッサ1102A及び/または専用プロセッサ1102Bを備えていてよい。例えば、専用プロセッサ1102Bは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASICs)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)内に実装されていてよく、これらは、信号プロセッサ120の他の要素と同じかまたは別の構造上に実装されていてよい。メモリ1104は、ランダムアクセスメモリ(RAM)1104A及び/または読み出し専用メモリ(ROM)1104Bを含んでいてよく、これらは例えば、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)を含んでいてよい。
【0052】
信号プロセッサ120は、A/D116からの入力RF信号を受信し、プロセッサ1102及びメモリ内1104内に保存されている命令を使用して、入力信号に基づいて出力信号を生成し、結果として生じる出力信号をD/A124に供給する。一実施形態では、出力信号は、設定用命令及び/または外部から供給されたデータにもまた従って、生成される。出力信号及び/または、出力信号の生成処理中に生成された中間データは、テレメトリ経由で供給されてよい。
【0053】
示される実施形態では、信号プロセッサ120は、復調器1108、変調器1106、プレディストーション歪み補正モジュール1110、スイッチルータモジュール1112、及び暗号化及び/または複合化モジュール1114を含む、複数のモジュールを含んでいてよい。復調器モジュール1108は、さらなる処理のために、A/D116からの入力信号を復調する。信号プレディストーション歪み補正モジュールは、信号プロセッサ120のゲイン特性及び位相特性の逆モデルにしたがって、入力信号を変化させる。これによって処理に対して「逆歪み」が導入され、その結果、出力信号は線形化される。スイッチルータモジュール1112は、入力信号を他のモジュールまたはプロセッサへとルーティングし、同様に、出力信号を適切な出力へとルーティングする。暗号化/複合化モジュール1114は、必要に応じて、入力信号を複合化し出力信号を暗号化する。モジュール1106~1114のうちのいずれかまたは全ては、メモリ1104内に保存されているプロセッサ1102命令を使用することによって実施されてよいか、または、必要に応じて、適切な回路及び/または補助プロセッサとメモリを使用して、別個のハードウェアまたはファームウェアとして実施されてよい。
【0054】
もちろん、上記の構成要素及び機能の任意の組み合わせ、または任意の数の異なる構成要素及び機能が、信号プロセッサ120に組み入れられてよいことは、当業者に理解されるであろう。
【0055】
さらに、本開示は、下記の条項による実施形態を含む。
【0056】
条項1.第1の帯域幅を有する第1の周波数帯域の第1の信号を、第2の周波数帯域のデジタルプロセッサの帯域幅を有するデジタルプロセッサによって処理するように構成された機器であって、
第1の信号を受信するように構成された単一の受信ユニットであって、
受信ユニットに通信可能に連結され、且つ第1の帯域幅の第1の信号を第1の中間周波数帯域に変換するように構成された単一のコンバータと、
コンバータに通信可能に連結され、且つ変換済みの第1の信号を、N個の中間信号に分割するように構成されたスプリッタであって、N個の中間信号のそれぞれは第1のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つの中にあり、且つそれぞれがデジタルプロセッサの帯域幅以下の帯域幅を有し、Nが1よりも大きい整数である、スプリッタと、
それぞれスプリッタに通信可能に連結され、且つそれぞれN個の中間信号のうちの関連づけられた1つを第2の周波数帯域にダウンコンバートするように構成されたN個のダウンコンバータと、
ダウンコンバート済みの複数の信号をデジタルプロセッサで処理して、N個の処理済み信号を生成するように構成されたデジタルプロセシングユニットと、を備え、
第1のセットのN個のサブバンドのうちの各サブバンドは、N個のダウンコンバータのうちの少なくとも1つによって生成された、より低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、単一の受信ユニットを備える、機器。
【0057】
条項2.機器が、第3の周波数帯域の第2の信号をさらに生成し、
N個のアップコンバータであって、N個のアップコンバータのそれぞれがデジタルプロセシングユニットに通信可能に連結され、且つN個の処理済み信号のうちの関連づけられた1つを、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つにアップコンバートするように構成されたN個のアップコンバータと、
N個のアップコンバータのそれぞれに通信可能に連結され、且つアップコンバート済みのN個の処理済み信号を結合するように構成された結合器と、
結合器に通信可能に連結され、且つ
結合されたN個のアップコンバート済み信号を、第2の中間周波数帯域から第3の周波数帯域に変換して第2の信号を生成するように構成されたアップコンバータと、
第2の信号を送信するように構成された送信器とをさらに備え、
第2のセットのN個のサブバンドのうちの各サブバンドは、N個のアップコンバータのうちの少なくとも1つによって生成されたより低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、条項1に記載の機器。
【0058】
条項3.第1のセットのN個のサブバンドのうちの少なくとも1つのサブバンドが、第2のセットのN個のサブバンドのうちの1つのサブバンドと同じ範囲を有する、条項2に記載の機器。
【0059】
条項4.第1のセットのN個のサブバンドのうちの全てのサブバンドが、第2のセットのN個のサブバンドのうちの関連づけられた1つと同じ範囲を有する、条項2または3に記載の機器。
【0060】
条項5.第1のセットのN個のサブバンドは連続している、条項1から4のいずれか一項に記載の機器。
【0061】
条項6.第1のセットのN個のサブバンドは連続している、条項3に記載の機器。
【0062】
条項7.第1のセットのN個のサブバンドは連続している、条項4に記載の機器。
【0063】
条項8.N個の局部発振器であって、N個の局部発振器のそれぞれがN個のダウンコンバータのうちの関連づけられた1つに通信可能に連結されて、N個のダウンコンバータのうちの関連づけられた1つに対して、第1のセットのN個のサブバンドのN個の中間信号のうちの関連づけられた1つを、第2の周波数帯域にダウンコンバートする局部発振器信号を供給する、N個の局部発振器をさらに含み、
N個の局部発振器のうちの少なくとも1つはさらに、N個のアップコンバータのうちの関連づけられた1つに通信可能に連結されて、N個のアップコンバータのうちの関連づけられた1つに対して、N個の処理済み信号のうちの関連づけられた1つを、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つにアップコンバートするための、N個の局部発振器のうちの1つに関連づけられた局部発振器信号を供給する、
条項3から7のいずれか一項に記載の機器。
【0064】
条項9.さらに、第1の帯域幅は3GHzであり、
デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
第1のセットのN個のサブバンドのうちの少なくとも1つは、31.0GHzと32GHzの間の周波数帯域に位置する、
条項1から8のいずれか一項に記載の機器。
【0065】
条項10.さらに、第1の帯域幅は3GHzであり、
デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
第1のセットのN個のサブバンドのうちの少なくとも1つは、21.0GHzと22GHzの間の周波数帯域に位置する、
条項1から8のいずれか一項に記載の機器。
【0066】
条項11.第1の中間周波数帯域は、第3の帯域幅の第3の信号を第1の中間周波数帯域に変換することと、アップコンバート済みのN個の処理済み信号を第3の周波数帯域に変換することによって生成される、より低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、条項2から10のいずれか一項に記載の機器。
【0067】
条項12.デジタルプロセッサの帯域幅の複数の第2の信号から、第1の帯域幅を有する第1の周波数帯域の第1の信号を生成するように構成された機器であって、
複数の第2の信号をデジタルプロセッサで処理して、1よりも大きい整数であるN個の処理済み信号を生成するように構成されたデジタルプロセシングユニットと、
N個のアップコンバータであって、N個のアップコンバータのそれぞれがデジタルプロセシングユニットに通信可能に連結され、且つN個の処理済み信号のうちの関連づけられた1つを、第1の中間周波数帯域の第1のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つにアップコンバートするように構成されたN個のアップコンバータと、
N個のアップコンバータのそれぞれに通信可能に連結され、且つアップコンバート済みのN個の処理済み信号を結合するように構成された結合器と、
結合器に通信可能に連結され、且つ結合済みのN個のアップコンバート済み信号を、第1の中間周波数帯域から第1の周波数帯域に変換して第11の信号を生成するように構成されたアップコンバータと、
第1の信号を送信するように構成された送信器とをさらに備え、
第1のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれは、N個のアップコンバータのうちの少なくとも1つによって生成されたより低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、機器。
【0068】
条項13.デジタルプロセッサの帯域幅よりも大きい第3の帯域幅の第3の信号を受信するように構成された単一の受信ユニットであって、
受信ユニットに通信可能に連結され、且つ第3の信号を第2の中間周波数帯域に変換するように構成された単一のコンバータと、
コンバータに通信可能に連結され、且つ変換済みの第3の信号を、N個の中間信号に分割するように構成されたスプリッタであって、N個の中間信号のそれぞれは第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つの中にあり、且つそれぞれがデジタルプロセッサの帯域幅よりも小さい帯域幅を有する、スプリッタと、
それぞれがスプリッタ及びデジタルプロセシングユニットに通信可能に連結され、且つ第2の周波数帯域の複数の第2の信号のうちのそれぞれを生成するため、N個の中間信号のうちの関連づけられた1つをダウンコンバートするように構成されたN個のダウンコンバータとを備え、
第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれは、N個のダウンコンバータのうちの少なくとも1つによって生成された、より低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、単一の受信ユニット
をさらに備える、条項12に記載の機器。
【0069】
条項14.第1のセットのN個のサブバンドのうちの少なくとも1つのサブバンドが、第2のセットのN個のサブバンドのうちの1つのサブバンドと同じ範囲を有する、条項13に記載の機器。
【0070】
条項15.第1のセットのN個のサブバンドのうちの全てのサブバンドが、第2のセットのN個のサブバンドのうちの関連づけられた1つと同じ範囲を有する、条項13または14に記載の機器。
【0071】
条項16.第1のセットのN個のサブバンドは連続している、条項12から15のいずれか一項に記載の機器。
【0072】
条項17.第1のセットのN個のサブバンドは連続している、条項14に記載の機器。
【0073】
条項18.第1のセットのN個のサブバンドは連続している、条項15に記載の機器。
【0074】
条項19.N個の局部発振器であって、N個の局部発振器のそれぞれがN個のダウンコンバータのうちの関連づけられた1つに通信可能に連結されて、N個のダウンコンバータのうちの関連づけられた1つに対して、第2のセットのN個のサブバンドのN個の中間信号のうちの関連づけられた1つを第2の周波数帯域にダウンコンバートする、N個の局部発振器のうちの1つに関連づけられた局部発振器信号を供給する、N個の局部発振器をさらに含み、
N個の局部発振器のうちの少なくとも1つはさらに、N個のアップコンバータのうちの関連づけられた1つに通信可能に連結されて、N個のアップコンバータのうちの関連づけられた1つに対して、N個の処理済み信号のうちの関連づけられた1つを、第1の中間周波数帯域の第1のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つにアップコンバートするための、N個の局部発振器のうちの1つに関連づけられた局部発振器信号を供給する、
条項13から18のいずれか一項に記載の機器。
【0075】
条項20.さらに、第1の帯域幅は3GHzであり、
デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
各第1のセットのサブバンドのうちの少なくとも1つは、31.0GHzと32GHzの間の周波数帯域に位置する、
条項12から19のいずれか一項に記載の機器。
【0076】
条項21.さらに、第1の帯域幅は3GHzであり、
デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
各第1のセットのサブバンドのうちの少なくとも1つは、21.0GHzと22GHzの間の周波数帯域に位置する、
条項12から19のいずれか一項に記載の機器。
【0077】
条項22.第1の中間周波数帯域は、第3の帯域幅の第3の信号を第1の中間周波数帯域に変換することと、アップコンバート済みのN個の処理済み信号を第1の周波数帯域に変換することによって生成される、より低次のスパーをほぼ除外するようにしてさらに選択される、条項13から21のいずれか一項に記載の機器。
【0078】
条項23.第1の帯域幅を有する第1の周波数帯域の第1の信号を、第2の周波数でデジタルプロセッサの帯域幅を有するデジタルプロセッサで処理して、第2の信号を生成する方法であって、
第1の信号を受信することと、
第1の信号を第1の中間周波数帯域に変換することと、
変換済みの第1の信号をN個の中間信号に分割することであって、N個の中間信号のそれぞれが、第1のセットのN個のサブバンドのそれぞれの1つの中にあり且つデジタルプロセッサの帯域幅よりも小さい帯域幅を有し、Nは1よりも大きい整数である、分割することと、
N個の中間信号のそれぞれを第2の周波数帯域にダウンコンバートすることと、
ダウンコンバート済みの複数の信号をデジタルプロセッサで処理して、N個の処理済み信号を生成することと、
処理済みかつダウンコンバート済みの複数の信号から第2の信号を生成することを含み、
第1のセットのN個のサブバンドのそれぞれは、N個の処理済み信号のそれぞれを、第2の周波数帯域のN個のサブバンドのそれぞれの1つにダウンコンバートすることによって生成されたより低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、方法。
【0079】
条項24.第2の信号が第3の周波数帯域内にあり、方法が、
N個の処理済み信号のそれぞれを、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのそれぞれの1つにアップコンバートすることと、
アップコンバート済みのN個の処理済み信号を第3の周波数帯域に変換して第2の信号を生成することと、
第2の信号を送信することをさらに含み、
各N個のサブバンドのそれぞれは、N個の中間信号を、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのそれぞれの1つにダウンコンバートすることによって生成されたより低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、条項23に記載の方法。
【0080】
条項25.第1のセットのN個のサブバンドのうちの少なくとも1つが、第2のセットのN個のサブバンドのうちの1つのサブバンドと同じ範囲を有する、条項24に記載の方法。
【0081】
条項26.第1のセットのN個のサブバンドのうちの全ての1つが、第2のセットのN個のサブバンドのうちの関連づけられたサブバンドと同じ範囲を有する、
条項24または25に記載の方法。
【0082】
条項27.N個のサブバンドは連続している、条項24から26のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
条項28.第1のセットのN個のサブバンドは連続している、条項25に記載の方法。
【0084】
条項29.第1のセットのN個のサブバンドは連続している、条項26に記載の方法。
【0085】
条項30.N個の中間信号のそれぞれを、第2の周波数帯域のN個のサブバンドのそれぞれの1つにダウンコンバートすることは、
N個の中間信号のそれぞれを、第1のセットのサブバンドのうちのそれぞれの1つから第2の周波数帯域へと、第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってダウンコンバートすることを含み、
N個の処理済み信号のそれぞれを、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのそれぞれの1つにアップコンバートすることは、
N個の処理済み信号のそれぞれを、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのそれぞれの1つへと、第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってアップコンバートすることを含む、
条項24から29のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
条項31.N個の中間信号のそれぞれを、第1のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つから第2の周波数帯域へと、第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってダウンコンバートすることは、
N個の中間信号のそれぞれを、第2の周波数帯域の第1のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つから、第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってダウンコンバートすることであって、複数の局部発振器信号のうちの1つは、第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた局部発振器によって生成される、ダウンコンバートすることを含み、
N個の処理済み信号のそれぞれを、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つへと、第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってアップコンバートすることは、
N個の処理済み信号のうちの少なくとも1つを、第2の中間周波数帯域の第2のセットのN個のサブバンドのうちのそれぞれの1つへと、第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた複数の局部発振器信号のうちの1つに従ってアップコンバートすることであって、複数の局部発振器信号のうちの1つは、第1のセットのN個のサブバンドのうちの1つに関連づけられた局部発振器によって生成された、アップコンバートすることを含む、
条項24から30のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
条項32.さらに、第1の帯域幅は3GHzであり、
デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
各サブバンドのうちの少なくとも1つは、31.0GHzと32GHzの間の周波数帯域に位置する、
条項24から31のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
条項33.さらに、第1の帯域幅は3GHzであり、
デジタルプロセッサの帯域幅は0.5GHzであり、
N≧6であり、且つ
各サブバンドのうちの少なくとも1つは、21.0GHzと22GHzの間の周波数帯域に位置する、
条項24から31のいずれか一項に記載の方法。
【0089】
条項34.第1の中間周波数帯域は、第1の帯域幅の第1の信号を第1の中間周波数帯域に変換することと、アップコンバート済みのN個の処理済み信号を第2の周波数帯域に変換することによって生成される、より低次のスパーをほぼ除外するようにして選択される、条項24から33のいずれか一項に記載の方法。
【0090】
条項35.第1の帯域幅の第1の信号を第1の中間周波数帯域に変換することは、第1の帯域幅の第1の信号を、中間周波数帯域にブロック変換することを含む、条項24から34のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
結論
これで、本開示の好適な実施形態の記載は結論に至る。好適な実施形態の上記の記載は、解説及び説明の目的で提示されたものである。上記の記載は、網羅的であること、または本発明を開示された形態に厳密に限定することを意図していない。上記の教示の観点から、多くの修正例及び変形例が可能である。権利の範囲は、この詳細な明細書によってではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10
図11