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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20220922BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20220922BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01L25/08 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018053315
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019165179
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(72)【発明者】
【氏名】築山 慧至
(72)【発明者】
【氏名】小柳 勝
(72)【発明者】
【氏名】伊東 幹彦
(72)【発明者】
【氏名】河崎 一茂
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-194444(JP,A)
【文献】特開2017-152648(JP,A)
【文献】特開2002-057271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材上に配置され、前記ベース部材の上面と交差する方向に積層された複数の半導体チップを含み、前記複数の半導体チップのうちの最上段に位置する半導体チップの上面に第1絶縁部材が設けられた積層体と、
前記積層体の前記第1絶縁部材上に設けられた第1導体と、
前記第1導体を覆い、前記第1絶縁部材の開口内において前記第1絶縁部材の上端よりも低い下端を有する第2絶縁部材と、
前記ベース部材の上面に設けられた第2導体と、
前記第1導体と前記第2導体とを接続する接続導体と、
前記積層体および前記接続導体を前記ベース部材上にモールドした樹脂部材と、
を備え、
前記複数の半導体チップは、機能素子が配置された素子面と、前記素子面とは反対側の裏面と、を有し、前記裏面から前記素子面へ至る貫通電極をそれぞれ含み、
前記積層体は、前記複数の半導体チップの前記貫通電極を含み、各半導体チップに電気的に接続された共通端子を有し、
前記第1絶縁部材および前記第2絶縁部材は、それぞれポリイミドを含み、
前記共通端子は、前記複数の半導体チップのうちの最下段に位置する半導体チップの下面に設けられた下端と、前記複数の半導体チップのうちの前記最上段に位置する半導体チップの上面に設けられた上端と、を有し、
前記第1導体は、前記第1絶縁部材の前記開口内において前記共通端子の上端及び前記第2絶縁部材の間に設けられ、かつ前記共通端子の上端に接続された配線と、前記第2絶縁部材の開口内に設けられたボンディングパッドと、を含み、
前記接続導体は、前記第1導体の前記ボンディングパッドに接続され、
前記第2導体は、前記接続導体を介して前記第1導体に接続されると共に、前記共通端子の下端に電気的に接続された半導体装置。
【請求項2】
前記複数の前記半導体チップは、それぞれ、前記素子面が前記ベース部材と向き合うように積層され、
前記第1導体は、前記最上段に位置する半導体チップの裏面上に設けられ、
前記第1導体は、前記最上段に位置する半導体チップの貫通電極に接続される請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記機能素子は、複数のメモリセルを含む請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ベース部材の下面に配置された電源端子をさらに備え、
前記第2導体は、前記電源端子に電気的に接続された請求項1~3のいずれか1つ記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の半導体チップは、それぞれの前記裏面に設けられた接続バンプを介して相互に接続される請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記積層体上に設けられ、前記第1導体を含む複数の第1導体と、
前記ベース部材の上面に設けられ、前記第2導体を含む複数の第2導体と、
前記複数の第1導体と前記複数の第2導体とをそれぞれ接続する複数の接続導体と、
をさらに備え、
前記積層体は、前記複数の半導体チップに共有される、前記共通端子を含む複数の共通端子を含み、
前記複数の第1導体は、前記複数の共通端子の上端にそれぞれ接続され、
前記複数の第2導体は、前記複数の接続導体を介して前記複数の第1導体にそれぞれ接続されると共に、複数の共通端子の下端にそれぞれ電気的に接続され、
前記複数の共通端子は、相互に異なる電位を前記複数の半導体チップに供給することができる請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップを含む積層体を基板上に樹脂封止した構造の半導体装置がある。このような半導体装置では、半導体チップの積層数が増えると、各半導体チップに均一な電圧を供給することが難しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-152648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、基板上に積層された複数の半導体チップに均一な電圧を供給可能な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、ベース部材と、前記ベース部材上に配置され、前記ベース部材の上面と交差する方向に積層された複数の半導体チップを含み、前記複数の半導体チップのうちの最上段に位置する半導体チップの上面に第1絶縁部材が設けられた積層体と、前記積層体の前記第1絶縁部材上に設けられた第1導体と、前記第1導体を覆い、前記第1絶縁部材の開口内において前記第1絶縁部材の上端よりも低い下端を有する第2絶縁部材と、前記ベース部材の上面に設けられた第2導体と、前記第1導体と前記第2導体とを接続する接続導体と、前記積層体および前記接続導体を前記ベース部材上にモールドした樹脂部材と、を備える。前記複数の半導体チップは、機能素子が配置された素子面と、前記素子面とは反対側の裏面と、を有し、前記裏面から前記素子面へ至る貫通電極をそれぞれ含む。前記積層体は、前記複数の半導体チップの前記貫通電極を含み、各半導体チップに電気的に接続された共通端子を有する。前記第1絶縁部材および前記第2絶縁部材は、それぞれポリイミドを含み、前記共通端子は、前記複数の半導体チップのうちの最下段に位置する半導体チップの下面に設けられた下端と、前記複数の半導体チップのうちの最上段に位置する半導体チップの上面に設けられた上端と、を有する。前記第1導体は、前記第1絶縁部材の前記開口内において前記共通端子の上端及び前記第2絶縁部材の間に設けられ、かつ前記共通端子の上端に接続された配線と、前記第2絶縁部材の開口内に設けられたボンディングパッドと、を含む。前記接続導体は、前記第1導体の前記ボンディングパッドに接続され、前記第2導体は、前記接続導体を介して前記第1導体に接続されると共に、前記共通端子の下端に電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置を模式的に示す部分断面図である。
図3】実施形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
図5図4に続く製造過程を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、ベース部材10と、積層体20と、第1導体30と、接続導体(以下、接続ワイヤ40)と、を備える。積層体20は、ベース部材10の上に配置され、複数の半導体チップC1~Cnを含む。また、積層体20は、樹脂部材90を用いてベース部材10の上にモールドされる。
【0010】
半導体チップC1~Cnは、ベース部材10の上面と交差する方向に積層される。第1導体30は、積層体20の上に設けられる。ベース部材10は、その上面に設けられた第2導体(以下、配線15)を含み、接続ワイヤ40は、第1導体30と配線15とを接続する。
【0011】
半導体チップC1~Cnは、それぞれ貫通電極(Through Silicon Via)21を含む。貫通電極21は、各半導体チップの裏面から素子面へ至る、所謂バイアコンタクトである。そして、積層体20は、半導体チップC1~Cnの貫通電極21を含む共通端子CTEを含む。共通端子CTEは、各半導体チップに電気的に接続される。
【0012】
共通端子CTEは、半導体チップC1~Cnのうちの最下段の半導体チップC1の下面に位置する下端と、半導体チップC1~Cnのうちの最上段の半導体チップCnの上面に位置する上端と、を有する。第1導体30は、共通端子CTEの上端に接続される。配線15は、接続ワイヤ40を介して第1導体30に接続されると共に、共通端子CTEの下端に電気的に接続される。
【0013】
半導体装置1は、例えば、積層体20の下面上に設けられた配線50と、接続バンプ53と、をさらに備える。配線50は、共通端子CTEの下端に接続される。接続バンプ53は、例えば、ハンダ材を含み、積層体20をベース部材10に接続する。例えば、接続バンプ53は、配線15と配線50とに接するように配置される。そして、配線15は、接続バンプ53および配線50を介して共通端子CTEの下端に電気的に接続される。
【0014】
ベース部材10は、例えば、パッケージ基板であり、コア部材11、コンタクトパッド13、配線15、内部配線17および層間絶縁膜19を含む。コア部材11および層間絶縁膜19は、例えば、樹脂を含む。コンタクトパッド13は、ベース部材10の下面に設けられ、配線15は、ベース部材10の上面に設けられる。コンタクトパッド13は、例えば、内部配線17を介して配線15に電気的に接続される。
【0015】
半導体装置1は、例えば、ベース部材10の下面に配置された複数の接続部材70をさらに備える。接続部材70は、例えば、半導体装置1を回路基板上に接続する。接続部材70は、例えば、ハンダバンプであり、外部回路と半導体装置1を電気的に接続する。また、接続部材70は、コンタクトパッド13に接し、配線15に電気的に接続される。複数の接続部材70のうちの1つは、外部回路の電源ラインに接続される電源端子である。
【0016】
共通端子CTEは、例えば、積層体20の電源端子であり、配線50、接続バンプ53および配線15を介して外部電源に電気的に接続される。さらに、共通端子CTEは、第1導体30、接続ワイヤ40および配線15を介して同じ外部電源に接続される。すなわち、積層体20に含まれる半導体チップC1~Cnは、共通端子CTEの上端および下端の両方に接続された外部電源から電圧供給を受けることができる。これにより、半導体装置1では、共通端子CTEの内部抵抗に起因した電圧降下を低減し、半導体チップC1~Cnに対して均一な電圧を供給することができる。すなわち、半導体チップC1~Cnの積層数が大きくなった場合でも、積層体20の内部における電圧降下を回避し、各半導体チップに供給される電源電圧の差を小さくすることができる。
【0017】
半導体装置1は、ロジックチップ60をさらに備える。ロジックチップ60は、例えば、ベース部材10と積層体20との間に配置され、フリップチップバンプ(以下、FCバンプ63)を介して配線50に接続される。半導体装置1は、例えば、配線50を介して積層体20およびロジックチップ60の両方に電源電圧を供給するように構成しても良い。また、ロジックチップ60は、別の配線50を介して積層体20および外部回路に電気的に接続され、例えば、コマンドおよびデータ信号を送受信するように構成される。
【0018】
図2は、実施形態に係る半導体装置1を模式的に示す部分断面図である。図2は、共通端子CTEの構成を例示する模式断面図である。なお、図2では、半導体チップC1、Cn-1およびCnを図示し、半導体チップC1と半導体チップCn-1の間に位置する半導体チップC2~Cn-2を省略している。半導体チップC2~Cn-2は、それぞれ半導体チップCn-1と同じ構造を有する。
【0019】
図2に示すように、各半導体チップは、半導体基板SSと機能層FLとを含む。半導体基板SSは、例えば、シリコン基板である。機能層FLは、例えば、メモリセルアレイMCAと、端子部TPと、を含む。半導体装置1は、例えば、NAND型不揮発性メモリ装置であり、メモリセルアレイMCAは、3次元配置された複数のメモリセルを含む。
【0020】
半導体チップC1~Cnは、それぞれ貫通電極21を含む。貫通電極21は、半導体基板SSの裏面から機能層FLが設けられた素子面に貫通したバイアホールVHの内部に設けられる。貫通電極21は、絶縁膜23により半導体基板SSから電気的に絶縁される。絶縁膜23は、半導体基板SSの裏面およびバイアホールVHの内壁を覆うように設けられる。貫通電極21は、機能層FLの端子部TPに接続された一方の端と、半導体基板SSの裏面に設けられたマイクロバンプ80に接続された他方の端と、を有する。
【0021】
半導体チップC1~Cnは、それぞれ、マイクロバンプ73をさらに含む。マイクロバンプ73は、機能層FLを覆う絶縁膜75を貫くように設けられ、端子部TPに接続される。
【0022】
半導体チップC1~Cnは、マイクロバンプ80を介して相互に電気的に接続される。マイクロバンプ80は、直上に配置される半導体チップのマイクロバンプ73に接続され、直下に位置する貫通電極21と直上の端子部TPとを電気的に接続する。共通端子CTE(図1参照)は、半導体チップC1~Cnのそれぞれの端子部TP、貫通電極21、マイクロバンプ73および80を含む。
【0023】
半導体チップC1~Cnのうちの最上段に位置する半導体チップCnの上には、第1導体30が設けられる。第1導体30は、配線33と、マイクロバンプ35と、を含む。
【0024】
配線33は、半導体基板SSの裏面上に設けられた絶縁膜93の上に設けられる。配線33は、絶縁膜93に設けられたコンタクトホールCH1の内部に延在し、貫通電極21Tに接するように設けられる。コンタクトホールCH1の底面には、貫通電極21Tの上端21TEが露出され、配線33の、コンタクトホールCH1の内面に延在する部分と接触する。半導体チップCnの貫通電極21Tの上端21TEは、共通端子CTEの上端でもある。
【0025】
マイクロバンプ35は、配線33を覆う絶縁膜95を貫いて、配線33に接続される。接続ワイヤ40は、マイクロバンプ35にボンディングされる。
【0026】
半導体チップC1~Cnのうちの最下段に位置する半導体チップC1の下面には、配線50が設けられる。配線50は、機能層FLの上に設けられた絶縁膜55の上に設けられる。配線50は、絶縁膜55に設けられたコンタクトホールCH2を介して端子部TPBに接続される。コンタクトホールCH2の底面には、端子部TPBが露出され、配線50の、コンタクトホールCH2内に延在する部分と接触する。半導体チップC1の端子部TPBは、共通端子CTEの下端に位置する。
【0027】
さらに、配線50を覆う絶縁膜57およびマイクロバンプ65が設けられる。マイクロバンプ65は、絶縁膜57を貫いて、配線50に接続される。
【0028】
例えば、図1に示すように、配線50は、接続バンプ53を介して配線15に電気的に接続される。そして、図2に示すように、配線50は、半導体チップC1の端子部TPBに接続される。ロジックチップ60は、FCバンプ63を介してマイクロバンプ65に接続され、さらに、マイクロバンプ65を介して配線50に電気的に接続される。
【0029】
図3は、実施形態に係る半導体装置1の構成を示すブロック図である。図3は、半導体チップC1~Cnの機能層FLの構成を模式的に示すブロック図である。機能層FLは、例えば、NAND型メモリ素子であり、メモリセルアレイMCAと、制御回路DRCと、を含む。
【0030】
メモリセルアレイMCAは、例えば、3次元配置された複数のメモリセルを含む。制御回路DRCは、例えば、ロウデコーダR/D、カラムデコーダC/D、データ制御回路DCC、インターフェース回路I/Fおよび昇圧回路U/Cを介してメモリセルアレイMCAを動作させる。インターフェース回路IFは、例えば、図示しない配線を介してロジックチップ60に接続され、コマンドおよびデータの送受信を行う。
【0031】
機能層FLには、例えば、複数の異なる電圧が複数の共通端子CTEを介して供給される。例えば、複数の共通端子CTEの1つを介して電源電圧VCCが降圧回路D/Cに供給される。降圧回路D/Cは、機能層FL内の各回路ブロックに内部電圧VDDを供給する。また、複数の共通端子CTEの別の1つを介して昇圧電圧VPPが昇圧回路U/Cに供給される。昇圧回路U/Cは、例えば、メモリセルアレイMCAに消去電圧VERを供給し、ロウデコーダR/Dにプログラム電圧VPGを供給する。さらに、複数の共通端子CTEのさらなる別の1つを介してグランド電圧VSSが各ブロック回路に供給される。
【0032】
このように、積層体20は、複数の共通端子CTEを有し、その上面には、複数の第1導体30が配置される。複数の共通端子CTEの上端は、それぞれ第1導体30に接続される。そして、接続ワイヤ40および第1導体30を介して、複数の配線15から複数の共通端子CTEにそれぞれ複数の異なる電圧が供給される。
実施形態に係る接続導体は、接続ワイヤ40に限定されるものではなく、配線15と積層体20の上面に設けられた第1導体30とを、積層体20の外側で電気的に接続するものであれば良い。そのような例として、TAB(Taped Automated Bonding)もしくはVCI(Vertical Circuit Interconnection)を挙げることができる。
【0033】
図4(a)~図5(c)を参照して、実施形態に係る半導体装置1の製造方法を説明する。図4(a)~図5(c)は、半導体チップC1~Cnの製造過程を示す模式断面図である。
【0034】
図4(a)は、半導体チップC1~Cnに共通の工程を示す模式図である。図4(a)に示すように、半導体基板SSの上に機能層FLを形成する。半導体基板SSは、例えば、シリコン基板である。機能層FLは、例えば、NAND型メモリ素子であり、端子部TPを含む。端子部TPは、NAND型メモリ素子を外部回路に接続する端子を含む。
【0035】
図4(b)は、半導体チップC2~Cnに共通の工程を示す模式図である。図4(b)に示すように、機能層FLの上に絶縁膜75を形成した後、コンタクトホールCHFを形成する。絶縁膜75は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0036】
続いて、マイクロバンプ73を機能層FLの上に形成する。マイクロバンプ73は、端子部TPに接するように、コンタクトホールCHFの内部に形成される。マイクロバンプ73、例えば、ニッケル、銅、金、ハンダなどの金属を含む。
【0037】
図4(c)は、半導体チップC1の製造過程を示す模式図である。図4(c)に示すように、機能層FLの上に絶縁膜55を形成した後、コンタクトホールCH2を形成する。絶縁膜55は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0038】
続いて、絶縁膜55の上に配線50を形成する。配線50は、コンタクトホールCH2の内部に延在し、端子部TPBに接するように形成される。配線50は、例えば、タングステン、銅、アルミニウム等を含む金属配線である。
【0039】
図5(a)は、半導体チップC2~Cnに共通の工程を示す模式図である。図5(a)に示すように、半導体基板SSの裏面側を研削もしくは研磨することにより、半導体基板SSを薄層化する。半導体基板SSは、例えば、20マイクロメータ(μm)程度の厚さに薄層化される。
【0040】
図5(b)は、半導体チップC2~Cn-1に共通の工程を示す模式図である。図5(b)に示すように、半導体基板SSの裏面から端子部TPに連通するバイアホールVHを形成した後、バイアホールVHの内壁および半導体基板SSの裏面を覆う絶縁膜23を形成する。絶縁膜23は、バイアホールVHの底面に端子部TPを露出させるように形成される。絶縁膜23は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0041】
続いて、バイアホールVHの内部に貫通電極21を形成する。貫通電極21は、バイアホールVHの底面において端子部TPに接するように形成される。また、貫通電極21は、絶縁膜23により半導体基板SSから電気的に絶縁される。貫通電極21は、例えば、タングステン、ニッケル、銅、ハンダ等の金属を含み、直径3~50μmのサイズを有する。
【0042】
さらに、貫通電極21の上にマイクロバンプ80を形成する。マイクロバンプ80は、絶縁膜23を介して半導体基板SSの裏面上に形成され、貫通電極21に接する。マイクロバンプ80は、絶縁膜23により半導体基板SSから電気的に絶縁される。マイクロバンプ80は、例えば、ニッケル、銅、金、ハンダなどの金属を含む。マイクロバンプ80は、例えば、直径5~50μmのサイズを有する。
【0043】
図5(a)および(b)に示す工程は、半導体チップC1にも適用される。すなわち、図4(c)に示す配線50を形成した後、半導体基板SSを薄層化し、端子部TPBにつながる貫通電極21Bおよびマイクロバンプ80を形成する(図2参照)。
【0044】
図5(c)は、半導体チップCnの製造過程を示す模式図である。図5(c)に示すように、半導体基板SSを薄層化し、バイアホールVHを形成した後、バイアホールVHの内部に貫通電極21Tを形成する。貫通電極21Tは、機能層FLの端子部TPに接し、絶縁膜23により半導体基板SSから電気的に絶縁される。
【0045】
続いて、半導体基板SSの裏面上に絶縁膜93を形成する。絶縁膜93は、例えば、ポリイミドなどの樹脂を含む。続いて、貫通電極21Tに連通するようにコンタクトホールCH2を形成した後、配線33を絶縁膜93の上に形成する。配線33は、コンタクトホールCH1の内部に延在し、貫通電極21Tに接するように形成される。配線33は、例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、金などを含む金属配線である。
【0046】
さらに、配線33および絶縁膜93を覆う絶縁膜95を形成した後、マイクロバンプ35を形成する(図2参照)。絶縁膜95は、例えば、ポリイミドなどの樹脂を含む。マイクロバンプ35は、例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、金などを含む。
【0047】
積層体20は、例えば、半導体チップC1~Cnを、マイクロバンプ80を介して順にフリップチップボンディングすることにより形成される(図1参照)。マイクロバンプ80は、半導体基板SSの裏面上に、例えば、10~100μmのピッチで配置される。
【0048】
貫通電極21は、共通端子CTEに含まれるもの以外に複数設けられ、各半導体チップの機能層FLに含まれる回路を相互に接続する。貫通電極21は、半導体基板SSの裏面に沿って、例えば、10~100μmのピッチで配置される。また、マイクロバンプ73および80は、例えば、直径50~200μmのサイズを有し、100~500μmのピッチで半導体基板SSの裏面上に配置される。
【0049】
さらに、積層体20の下面側にロジックチップ60をフリップチップボンディングした後、積層体20を接続バンプ53を介してベース部材10の上にボンディングする。続いて、接続ワイヤ40を配線15および第1導体30にボンディングした後、積層体20、ロジックチップ60および接続ワイヤ40を樹脂封止する。接続ワイヤ40は、例えば、金、アルミニウム、銀などの金属を含む。
【0050】
上記の実施例は例示であり、実施形態はこれらに限定される訳ではない。例えば、積層体20に含まれる半導体チップC1~Cp(p<n)に、共通端子CTEの下端から外部電圧を供給し、半導体チップCp+1~Cnには、接続ワイヤ40を介して共通端子CTEの上端から外部電圧を供給する形態であっても良い。例えば、積層体20に含まれる複数の半導体チップのうちの上半分に対して、共通端子CTEの上端から電圧を供給し、下半分の半導体チップに対して、共通端子CTEの下端から電圧を供給する構成としても良い。この場合、共通端子CTEは、積層体20の上半分中に設けられる部分と、下半分に設けられる部分と、の間で電気的に分離される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1…半導体装置、 10…ベース部材、 11…コア部材、 13…コンタクトパッド、 15、33、50…配線、 17…内部配線、 19…層間絶縁膜、 20…積層体、 21、21B、21T…貫通電極、 21TE…上端、 23、55、57、75、93、95…絶縁膜、 30…第1導体、 35、65、73、80…マイクロバンプ、 40…接続ワイヤ、 53…接続バンプ、 60…ロジックチップ、 63…FCバンプ、 70…接続部材、 90…樹脂部材、 C1~Cn…半導体チップ、 FL…機能層、 TP、TPB…端子部、 SS…半導体基板、 CH1、CH2、CHF…コンタクトホール、 VH…バイアホール、 MCA…メモリセルアレイ、 C/D…カラムデコーダ、 R/D…ロウデコーダ、 D/C…降圧回路、 U/C…昇圧回路、 DCC…データ制御回路、 DRC…制御回路、 I/F…インターフェース回路、 CTE…共通端子、 VCC…電源電圧、 VDD…内部電圧、 VPP…昇圧電圧、 VSS…グランド電圧
図1
図2
図3
図4
図5