(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/04 20180101AFI20220922BHJP
F25C 1/045 20180101ALI20220922BHJP
F25C 1/22 20180101ALI20220922BHJP
【FI】
F25C1/04 302Z
F25C1/045 A
F25C1/22 301B
(21)【出願番号】P 2018084748
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(72)【発明者】
【氏名】門脇 静馬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢二
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-141985(JP,A)
【文献】特開2013-174396(JP,A)
【文献】特開平02-075858(JP,A)
【文献】特開2012-063085(JP,A)
【文献】特開2003-004316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/04
F25C 1/045
F25C 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下向きに開口する多数の製氷小室を有した製氷部と、
前記製氷部の下側に配設されて、前記製氷小室の下部の開口を開閉自在に閉じる水皿と、
前記製氷小室へ供給する製氷水を貯留する製氷水タンクと、
前記製氷水タンク内の製氷水を前記製氷小室に下側から噴射送出させる送水ポンプと、
前記製氷部を冷却する冷凍装置と、
前記送水ポンプ及び前記冷凍装置の作動を制御する制御装置とを備え、
前記冷凍装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から圧送された冷媒を冷却して液化させる凝縮器と、前記凝縮器にて液化させた液化冷媒を膨張させる電子膨張弁と、前記電子膨張弁により膨張させた液化冷媒を気化させて前記製氷部を冷却する蒸発器とを有し、
前記製氷部で氷を製造する製氷運転では、前記圧縮機から圧送されて前記凝縮器にて液化させた液化冷媒を、前記制御装置によって開度を制御した前記電子膨張弁にて膨張させ、膨張させた液化冷媒を前記蒸発器にて気化させた気化熱により前記製氷部を冷却し、
前記製氷小室内に前記送水ポンプによって噴射送出された製氷水を前記製氷小室内で冷却させつつ未凍結の製氷水を前記製氷水タンクで回収し、製氷水を前記製氷水タンクと前記製氷小室との間で循環させながら漸次凍結させて氷を製造する製氷機であって、
前記製氷部の温度を検出する温度センサを設け、
前記制御装置は、前記製氷部の温度に対応して設定された前記電子膨張弁の開度
として、前記製氷部の温度低下に応じた開度減少率となるように設定され、前記開度減少率は前記製氷部の温度範囲に応じて3段階以上で変わるように設定された前記電子膨張弁の開度となるように、前記温度センサの検出温度に基づいて前記電子膨張弁の開度を制御したことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
請求項1に記載の製氷機において
前記温度センサは前記製氷部における前記蒸発器の冷媒の出口部の温度を検出するようにしたことを特徴とする製氷機。
【請求項3】
請求
項1または2に記載の製氷機において、
前記製氷部の温度範囲は、前記製氷小室内に噴射送出される製氷水を前記製氷小室内で凍結前に冷却する冷却段階の温度範囲と、前記製氷小室内で製氷水が凍結し始める凍結開始段階での温度範囲と、前記製氷小室内で氷を成長させていく氷成長段階での温度範囲とを含むことを特徴とする製氷機。
【請求項4】
請求項
1~3の何れか1項に記載の製氷機において、
前記制御装置は、前記温度センサの検出温度が上昇したときには前記電子膨張弁の開度を変更せずに維持し、前記温度センサの検出温度が開度を変更せずに維持したときの前記電子膨張弁の開度と対応する温度まで再び低下したときに、前記製氷部の温度に対応して設定された電子膨張弁の開度となる制御を再開するようにしたことを特徴とする製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷部の下向きに開口する多数の製氷小室を水皿により閉じた状態で各製氷小室内で氷を製造する製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下向きに開口する多数の製氷小室を有した製氷部と、製氷部の各製氷小室へ供給する製氷水を貯留する製氷水タンクと、製氷水タンク内の製氷水を製氷小室に噴射送出させる送水ポンプと、製氷部を冷却及び加温する冷凍装置とを備えた製氷機が開示されている。この製氷機の冷凍装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から圧送された冷媒を冷却して液化させる凝縮器と、凝縮器にて液化させた液化冷媒を膨張させる電子膨張弁と、電子膨張弁により膨張させた液化冷媒を気化させて製氷部を冷却する蒸発器と、圧縮機から蒸発器にホットガスを送出するホットガス経路と、ホットガス経路に介装されたホットガス弁とを有している。
【0003】
この製氷機で製氷運転をするときには、圧縮機から圧送された冷媒が凝縮器にて冷却されて液化され、液化冷媒は電子膨張弁にて膨張された状態で蒸発器にて気化され、製氷部は蒸発器で気化した冷媒の気化熱によって冷却されている。製氷部の製氷小室内に送水ポンプによって噴射送出された製氷水は製氷小室内で冷却され、未凍結の製氷水が製氷水タンクに回収され、製氷水は製氷水タンクと製氷小室とを循環しながら冷却されて漸次凍結して氷となる。また、冷凍装置の電子膨張弁は、蒸発器の出口部と入口部とに設けた出口部温度センサと入口部温度センサとの温度差に基づいて制御され、温度差が大きくなると開度を大きくし、温度差が小さくなると開度を小さくなるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の製氷機では、冷凍装置の電子膨張弁は蒸発器の出口部と入口部とに設けた出口部温度センサと入口部温度センサとの温度差に基づいて制御され、温度差が大きくなると開度を大きくし、温度差が小さくなると開度を小さくなるように制御されている。出口部温度センサと入口部温度センサとの温度差を例えば5℃~10℃で一定となるように電子膨張弁の開度を制御したときに、蒸発器の入口部が配置される製氷小室内と蒸発器の出口部が配置される製氷小室内との間で温度差が生じ、製氷小室内で成長する氷の下部に生じる凹みの大きさが蒸発器の入口部と出口部とが配置される位置で異なることがあった。
【0006】
特許文献1の製氷機は、製氷部の下向きに開口する多数の製氷小室に製氷水タンク内の製氷水を噴射送出し、製氷小室内で製氷水を凍結させて氷を製造するものであり、この種の製氷機は、製氷小室の下部の開口を開放させた状態で氷を製造する所謂オープンセルタイプの製氷機と、製氷小室の下部の開口を水皿によって閉じた状態で氷を製造する所謂クローズセルタイプの製氷機がある。オープンセルタイプの製氷機であれば、製氷小室の下部の開口が閉止されていないため、
図6(a)に示したように製氷小室内で成長した氷の下部の形状が一定でなく、製氷小室内の下部に生じる凹みの大きさの違いが問題とならなかった。
【0007】
これに対し、クローズセルタイプの製氷機では、製氷小室の下部の開口が水皿によって閉止されているため、
図6(b)に示したように製氷小室内で成長した氷の下部形状が一定であり、製氷小室内で成長した氷の下部に生じる凹みの大きさの違いが品質上の問題となっていた。出口部温度センサと入口部温度センサとの温度差を例えば5℃より低くなるように電子膨張弁の開度を制御すれば、製氷小室内で成長する氷の下部に生じる凹みの大きさの違いを蒸発器の入口部と出口部とが配置される位置で小さくすることができる。しかし、出口部温度センサと入口部温度センサとの温度差を低く設定して電子膨張弁の開度を制御すると、蒸発器に過剰な冷媒が供給されることがあり、蒸発器で蒸発しきれなかった冷媒が圧縮機に戻る所謂、液バックが生じるおそれがあった。また、出口部温度センサと入口部温度センサとの温度差により電子膨張弁の開度を制御したときには、液バックが生じているか判別しにくく、冷凍装置を循環する冷媒が不足したり、圧縮機が所謂液バックにより故障したりするおそれがあった。本発明は、下向きに開口する多数の製氷小室を水皿により閉じた状態で各製氷小室内で氷を製造する製氷機で、蒸発器で蒸発しきれなかった冷媒が圧縮機に戻らないようにしつつ、各製氷小室内で成長する氷の下部に生じる凹みの大きさの違いを小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、下向きに開口する多数の製氷小室を有した製氷部と、製氷部の下側に配設されて、製氷小室の下部の開口を開閉自在に閉じる水皿と、製氷部の各製氷小室へ供給する製氷水を貯留する製氷水タンクと、製氷水タンク内の製氷水を製氷小室に噴射送出させる送水ポンプと、製氷部を冷却及び加温する冷凍装置と、送水ポンプ及び冷凍装置の作動を制御する制御装置とを備え、冷凍装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から圧送された冷媒を冷却して液化させる凝縮器と、凝縮器にて液化させた液化冷媒を膨張させる電子膨張弁と、電子膨張弁により膨張させた液化冷媒を気化させて製氷部を冷却する蒸発器とを有し、製氷部で氷を製造する製氷運転では、圧縮機から圧送されて凝縮器にて液化させた液化冷媒を、制御装置によって開度を制御した電子膨張弁にて膨張させ、膨張させた液化冷媒を蒸発器にて気化させた気化熱により製氷部を冷却し、製氷小室内に送水ポンプによって噴射送出された製氷水を製氷小室内で冷却させつつ未凍結の製氷水を製氷水タンクで回収し、製氷水を製氷小室内で漸次凍結させて氷を製造する製氷機であって、製氷部の温度を検出する温度センサを設け、制御装置は、製氷部の温度に対応して設定された電子膨張弁の開度として、製氷部の温度低下に応じた開度減少率となるように設定され、開度減少率は製氷部の温度範囲に応じて3段階以上で変わるように設定された電子膨張弁の開度となるように、温度センサの検出温度に基づいて電子膨張弁の開度を制御したことを特徴とする製氷機を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した製氷機においては、製氷部の温度を検出する温度センサを設け、制御装置は、製氷部の温度に対応して設定された電子膨張弁の開度として、製氷部の温度低下に応じた開度減少率となるように設定され、開度減少率は製氷部の温度範囲に応じて3段階以上で変わるように設定された電子膨張弁の開度となるように、温度センサの検出温度に基づいて電子膨張弁の開度を制御している。蒸発器から圧縮機に冷媒が液化状態で戻らないようにするとともに、製氷小室内で成長する氷の下部に生じる凹みの大きさの違いを蒸発器の入口部と出口部とが配置される位置で小さくなるように、製氷部の温度に対応して設定された電子膨張弁の開度として、製氷部の温度低下に応じた開度減少率となるように設定され、開度減少率は製氷部の温度範囲に応じて3段階以上で変わるように設定しておいて、製氷部の温度に基づいて電子膨張弁の開度を制御することにより、凝縮器から圧縮機に冷媒が液化状態で戻らないようにするとともに、製氷小室内で成長する氷の下部に生じる凹みの大きさの違いを蒸発器の入口部と出口部とが配置される位置で小さくすることができた。特に、製氷部における蒸発器の出口部と入口部との温度差に基づいて電子膨張弁の開度を制御するものでないので、蒸発器の出口部と入口部との温度を検出するときのタイムラグによる影響を受けることなく、圧縮機に冷媒が液化状態で戻るのを防ぐ効果と、各製氷小室で成長する氷の下部に生じる凹みの大きさの違いを小さくする効果を確実に得ることができた。上記のように構成した製氷機においては、温度センサは製氷部における蒸発器の冷媒の出口部の温度を検出するのが好ましい。
【0010】
上記のように構成した製氷機においては、製氷部の温度範囲は、製氷小室内に噴射送出される製氷水を製氷小室内で凍結前に冷却する冷却段階の温度範囲と、製氷小室内で製氷水が凍結し始める凍結開始段階での温度範囲と、製氷小室内で氷を成長させていく氷成長段階での温度範囲とを含むようにするのが好ましい。製氷部の温度低下に応じた開度減少率を、製氷水の状態に応じて変えるようにしているので、製氷部に製氷水の状態に応じた冷媒を送るようにすることができた。
【0011】
また、製氷水は製氷小室内で凍結し始めるときに過冷却等の現象を伴うため、製氷部の温度が一時的に上昇することがある。製氷部の温度が一時的に上昇することで、蒸発器の出口部と入口部の温度差も大きくなり、電子膨張弁の開度を大きくするように制御したときに、蒸発器の出口部と入口部の温度差が小さくなり、電子膨張弁の開度を再び小さくするように制御しても、蒸発器の出口部の温度が電子膨張弁の開度を小さくしたことによって変わるまでに時間がかかっているので、冷媒が蒸発器から圧縮機に液化状態で戻ることになる。冷媒が圧縮機に液化状態で戻ったことで冷却能力が低下するとともに、電子膨張弁の開度を再び小さくするように制御しているために、蒸発器の出口部と入口部の温度差が再び大きくなる。このように、電子膨張弁の開度を大きくするのと小さくするのを繰り返すことで、蒸発器の出口部と入口部との温度差の上下動が徐々に大きくなり、製氷部を冷却できなくなるおそれがあった。
【0012】
これに対し、上記のように構成した製氷機においては、制御装置は、温度センサの検出温度が上昇したときには電子膨張弁の開度を変更せずに維持し、温度センサの検出温度が開度を変更せずに維持したときの電子膨張弁の開度と対応する温度まで再び低下したときに、製氷部の温度に対応して設定された電子膨張弁の開度となる制御を再開するのが好ましい。このようにしたときには、製氷水が製氷小室内で凍結し始めるときのように、製氷部の温度が上昇するのを伴って温度変動が始まると、電子膨張弁の開度を変更せずに維持することで、無用な電子膨張弁の開度の調整を防ぐことができ、冷媒が蒸発器から圧縮機に液化状態で戻るのを防ぐことができるようになった。また、温度センサの検出温度が開度を変更せずに維持したときの電子膨張弁の開度と対応する温度となったときに、温度センサの検出温度に対応して設定された電子膨張弁の開度となる制御を再開しているので、製氷部の温度変動が終わった後で、製氷部の温度に対応して設定された電子膨張弁の開度となるように、温度センサの検出温度に基づいて電子膨張弁の開度を制御することができるようなった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】製氷部の温度と電子膨張弁の開度の関係を示したグラフである。
【
図4】製氷運転を実行しているときの製氷部の温度変化を示すグラフである。
【
図6】オープンセルタイプの製氷小室で製造される氷の形状の概略図(a)と、クローズセルタイプの製氷小室で製造される氷の形状の概略図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の製氷機の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1に示したように、製氷機10は、製氷部11に設けた下向きに開口する多数の製氷小室13を水皿22により開閉自在に閉成し、水皿22から各製氷小室13へ製氷水を噴射供給して氷を製造する所謂クローズドセルタイプの製氷機である。この製氷機10は、製氷部11にて製氷水を凍結させる製氷運転と、製氷部11にて凍結させた氷を製氷部11から除く除氷運転を交互に実行して氷を製造するものである。この製氷機10は、冷凍装置30の膨張弁には制御装置40の制御によって開度を調整可能にした電子膨張弁33を採用したものであり、電子膨張弁33の開度を適切に制御することで、蒸発器34で蒸発しきれなかった冷媒が圧縮機31に戻らないようにしつつ、各製氷小室13内で成長する氷の下部に生じる凹みの大きさの違いをできるだけ小さくするようにしたものである。
【0017】
製氷部11は、水平に配置されて下側が開口した浅い箱形をし、仕切部材12によって下向きに開口する多数の製氷小室13が形成されている。また、製氷部11の下方には各製氷小室13にて製造した氷を貯える貯氷庫14が設けられている。
【0018】
製氷機10は製氷部11に製氷水を送出する送水部20を備えている。送水部20は製氷水タンク21を下部に一体的に備えた水皿22を備えている。水皿22は製氷部11の下側に接近して製氷小室13の下部の開口を閉止する閉止位置と、製氷部11の下側から離間して製氷小室13の下部の開口を開放する開放位置との間で傾動可能に支持されている。水皿22には閉止位置と開放位置との間で傾動させる開閉機構23が設けられており、水皿22は開閉機構23によって製氷部11の製氷小室13の下部の開口を開閉している。開閉機構23はアクチュエータモータ23aを備え、アクチュエータモータ23aの駆動により水皿22を閉止位置と開放位置との間で傾動させるものである。
【0019】
送水部20には製氷水タンク21に製氷水を供給する給水手段24と、製氷水タンク21内の製氷水を製氷小室13に噴射送出させる送水ポンプ25が設けられている。給水手段24は製氷水タンク21に接続された給水管24aと、給水管24aに介装された給水弁24bとを備え、給水管24aから送られる製氷水は給水弁24bの開放によって製氷水タンク21に供給される。また、製氷水タンク21に供給された製氷水は送水ポンプ25により製氷小室13に噴射送出される。
【0020】
図1に示したように、製氷機10は、製氷部11を冷却及び加温する冷凍装置30を備えている。冷凍装置30は、冷媒を圧縮する圧縮機31と、圧縮機31から圧送された冷媒を冷却して液化させる凝縮器32と、凝縮器32にて液化させた液化冷媒を膨張させて低圧の液化冷媒とする電子膨張弁33と、電子膨張弁33により膨張させた液化冷媒を気化させて製氷部11を冷却する蒸発器34とを備えている。冷凍装置30は圧縮機31、凝縮器32、電子膨張弁33及び蒸発器34を接続管35(35a~35d)によって環状に接続させて冷凍回路を構成させている。電子膨張弁33は後述する制御装置40の制御信号によって開度を調整可能としたものである。蒸発器34は銅管等の熱導電性の高い管材を用いたものであり、製氷部11の上面に蛇行配置されている。製氷部11は蒸発器34を通過する液化冷媒が気化するときの気化熱によって冷却される。接続管35は、圧縮機31と凝縮器32とを接続する接続管路35aと、凝縮器32と電子膨張弁33とを接続する接続管路(第1接続管路)35bと、電子膨張弁33と蒸発器34とを接続する接続管路35cと、蒸発器34と圧縮機31とを接続する接続管路(第2接続管路)35dとから構成されている。凝縮器32と電子膨張弁33とを接続する接続管路(第1接続管路)35bの熱交換部35b1と蒸発器34と圧縮機31とを接続する接続管路(第2接続管路)35dの熱交換部35d1とは接触させることで熱交換可能な状態で配置されている。
【0021】
また、冷凍装置30は除氷運転をするときに蒸発器34にホットガスを供給するホットガス管(ホットガス経路)36を備えている。ホットガス管36は圧縮機31の下流と蒸発器34の上流とを接続して、圧縮機31からのホットガスを蒸発器34に導くようにしている。ホットガス管36にはホットガス弁37が介装されており、圧縮機31から送られるホットガスはホットガス弁37の開放によってホットガス管36を通って蒸発器34に導かれる。除氷運転時に、ホットガスがホットガス弁37の開放によって蒸発器34に導かれると、製氷部11の製氷小室13内はホットガスにより加温され、製氷小室13内で凍結した氷が除氷される。
【0022】
製氷部11には蒸発器34の冷媒の出口部34aに出口部温度センサ(温度センサ)38が設けられており、出口部温度センサ38は製氷部11における蒸発器34の冷媒の出口部34aの温度を検出する。出口部温度センサ38は主として製氷運転をするときに電子膨張弁33の開度を調整する制御に用いられるだけでなく、製氷運転をするときの製氷の完了及び除氷運転をするときの除氷の完了を検知するのに用いられる。
製氷機10は制御装置40を備えており、
図2に示したように、この制御装置40は、開閉機構23のアクチュエータモータ23a、給水弁24b、送水ポンプ25、冷凍装置30の圧縮機31と、ホットガス弁37と、出口部温度センサ38に接続されている。制御装置40はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置40は製氷部11にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と、製氷運転により製氷部11にて凍結させた氷を除氷する除氷運転とを繰り返し実行する製氷プログラムを有している。
【0023】
図3に示したように、製氷プログラムの製氷運転をするときには、制御装置40は、蒸発器34の冷媒の出口部34a(製氷部11の温度)の温度に対応して設定された電子膨張弁33の開度となるように、出口部温度センサ38の検出温度に基づいて電子膨張弁33の開度を制御している。蒸発器34の冷媒の出口部34aの温度に対応して予め設定されている電子膨張弁33の開度は、蒸発器34の冷媒の出口部34aの温度低下に応じた開度減少率となるように設定されている。この実施形態では、蒸発器34の冷媒の出口部34aの温度低下に応じた開度減少率は蒸発器34の冷媒の出口部34aの温度範囲に応じて3段階で変わるように設定されている。
【0024】
設定されている温度範囲は、製氷水の冷却段階に応じて変わるようになっている。この実施形態では、温度範囲は第1~第3温度範囲に分けられ、第1温度範囲は、製氷小室13内に噴射送出される製氷水を製氷小室13内で凍結前に冷却する冷却段階の温度範囲であり、第2温度範囲は、製氷小室13内で製氷水が凍結し始める凍結開始段階での温度範囲であり、第3温度範囲は、製氷小室13内で氷が成長していく氷成長段階での温度範囲となっている。
【0025】
第1温度範囲は、製氷水タンク21内に供給された常温の水を製氷小室13内で凍結できるように冷却するときの温度範囲であり、第1温度範囲のときには製氷水の温度を低下させるために多量の冷媒を必要とする。このため、第1温度範囲は、蒸発器34の出口部34aの温度がt1℃以上の範囲と設定され、第1温度範囲のときには電子膨張弁33の開度をa1として高い状態(例えば70~90%)で一定に維持するようにしている。
【0026】
第2温度範囲は、冷却段階で冷却した製氷水が製氷小室13内で凍結し始めるときの温度範囲であり、第2温度範囲のときには第1温度範囲のときよりは多量の冷媒を必要としないものの、製氷水が凍結し始めると冷媒の流量を少なくする必要がある。このため、第2温度範囲は、蒸発器34の出口部34aの温度がt2~t1℃の範囲と設定され、第2温度範囲のときには電子膨張弁33の開度をa1からa2に徐々に小さくなるようにしている。
【0027】
第3温度範囲は、製氷小室13内で凍結し始めた氷を成長させるときの温度範囲であり、第3温度範囲のときには第2温度範囲のときよりも冷媒の流量を穏やかに少なくしていく必要がある。このため、第3温度範囲は、蒸発器34の出口部34aの温度がt3~t2℃の範囲と設定され、第3温度範囲のときには第2温度範囲のときよりも電子膨張弁33の開度a2からa3に穏やかに小さくなるようにしている。
【0028】
第2及び第3温度範囲で設定されている蒸発器34の出口部34aの温度t2のときの電子膨張弁33の開度a2を基準としたときに、第1及び2温度範囲で設定されている蒸発器34の出口部34aの温度t1のときの電子膨張弁33の開度a1はa2の1.5倍以上であり、第3温度範囲で設定されている蒸発器34の出口部34aの温度t3のときの電子膨張弁33の開度a3はa2の0.5倍以下に設定されている。
【0029】
次に、製氷機10の製氷プログラムについて説明する。製氷機10の始動時には予備的に除氷運転を実行し、製氷部11の製氷小室13内に氷が必ず残っていない状態とする。除氷運転では、圧縮機31を作動させた状態でホットガス弁37を開放するとともに、開閉機構23のアクチュエータモータ23aにより水皿22を開放位置に傾動させる。圧縮機31から送出されるホットガスはホットガス管36を通って蒸発器34に導かれて製氷部11の各製氷小室13を加温する。出口部温度センサ38の検出温度が除氷が完了したことを検知する所定温度として5℃以上となると、制御装置40は、製氷部11の製氷小室13に氷が残ってない、即ち除氷が完了していると検知して、ホットガス弁37を閉止して除氷運転を終了する。
【0030】
製氷部11にて予め除氷運転を実行した後で、制御装置40は、製氷部11にて製氷運転と除氷運転を繰り返し実行する。製氷運転では、制御装置40は、開閉機構23のアクチュエータモータ23aにより水皿22を閉止位置に傾動させるとともに、給水弁24bを所定時間開放することで製氷水タンク21に製氷水を供給する。次に、制御装置40は所定時間経過後に給水弁24bを閉止して給水を終了し、送水ポンプ25を駆動させて製氷水タンク21内の製氷水を製氷部11の各製氷小室13に噴射送出させる。
【0031】
また、給水管24aから製氷水タンク21への給水とともに、除氷運転の終了の際にホットガス弁37を閉止させたことにより、製氷部11は冷凍装置30により冷却される。具体的には、圧縮機31から圧送された冷媒が凝縮器32により液化されて液化冷媒となり、液化冷媒は出口部温度センサ38の検出温度に基づいて制御装置40によって開度が調整された電子膨張弁33により膨張して低圧の液化冷媒となり、低圧の液化冷媒は蒸発器34で気化することにより製氷部11を冷却する。送水ポンプ25により製氷小室13に噴射送出される製氷水は製氷小室13内で冷却されるとともに凍結し、製氷水タンク21内の製氷水が徐々に減少する。製氷運転をするときには、制御装置40は上述したように、蒸発器34の冷媒の出口部34aの温度に対応して設定された電子膨張弁33の開度となるように、出口部温度センサ38の検出温度に基づいて電子膨張弁33の開度を制御している。
【0032】
製氷運転後の除氷運転では、制御装置40は、圧縮機31を作動させた状態でホットガス弁37を開放するとともに、開閉機構23のアクチュエータモータ23aにより水皿22を開放位置に傾動させる。圧縮機31から送出されるホットガスはホットガス管36を通って蒸発器34に導かれて製氷部11の各製氷小室13を加温する。製氷完了時の製氷部11の温度は約-20℃となっているが、製氷部11の温度が徐々に上昇しながら、製氷小室13内から氷が離脱する。出口部温度センサ38の検出温度が除氷が完了したことを検知する所定温度として5℃以上となると、制御装置40は、製氷部11の製氷小室13に氷が残ってない、即ち除氷が完了していると検知して、ホットガス弁37を閉止して除氷運転を終了して再び上述したように製氷運転を実行する。この製氷機10ではこのような制御装置40による製氷運転と除氷運転を繰り返し実行させることで製氷部11にてブロック形の氷を製造される。
【0033】
上記のように構成した製氷機10においては、製氷部11の温度、特に製氷部11における蒸発器34の冷媒の出口部34aの温度を検出する出口部温度センサ38を設け、制御装置40は、製氷部11における蒸発器34の冷媒の出口部34aの温度に対応して設定された電子膨張弁33の開度となるように、出口部温度センサ38の検出温度に基づいて電子膨張弁33の開度を制御した。
【0034】
冷媒の出口部34aの温度に対応して設定された電子膨張弁33の開度は、蒸発器34から圧縮機31に冷媒が液化状態で戻らないようにしつつ、蒸発器34の出口部34aで液化冷媒が不足しないようにして、蒸発器34の出口部34aが配置される製氷小室13も十分に冷却するようにし、製氷小室13で成長する氷の下部に生じる凹みの大きさの違いを蒸発器34の入口部と出口部34aとが配置される位置で小さくするようにしている。このように予め設定した開度となるように、出口部温度センサ38の検出温度に基づいて電子膨張弁33の開度を制御することで、蒸発器34から圧縮機31に冷媒が液化状態で戻るのを確実に防ぎつつ、各製氷小室13で成長する氷の下部形状をできるだけ均一とすることができた。特に、製氷部11における蒸発器34の入口部と出口部34aとの温度差に基づいて電子膨張弁33の開度を制御するものでないので、蒸発器34の入口部と出口部34aとで温度を検出するときのタイムラグによる影響を受けることなく、圧縮機31に冷媒が液化状態で戻るのを防ぐのと、各製氷小室13で成長する氷の下部形状を均一にする効果を確実に得ることができた。
【0035】
また、蒸発器34の出口部34aの温度に対応して設定された電子膨張弁33の開度は、蒸発器34の出口部34aの温度低下に応じた開度減少率となるように設定され、開度減少率は蒸発器34の出口部34aの温度範囲に応じて3段階(3段階以上)で変わるように設定されている。開度減少率を変えるよう設定されている温度範囲は、製氷小室13内に噴射送出される製氷水を製氷小室13内で凍結前に冷却する冷却段階の第1温度範囲と、製氷小室13内で製氷水が凍結し始める凍結開始段階での第2温度範囲と、製氷小室13内で氷を成長させていく氷成長段階での第3温度範囲とに分けられている。
【0036】
第1温度範囲のときには製氷水の温度を低下させるために多量の冷媒を必要とするので、電子膨張弁33の開度は高い状態で一定に維持されている。なお、この場合には開度減少率は0となっているが、これに限られるものでなく、きわめて低い開度減少率で開度を低くさせるようにしてもよい。第2温度範囲のときには製氷小室13内で製氷水が凍結し始めるときであるので徐々に冷媒の流量を少なくする必要があり、電子膨張弁33の開度を徐々に低くしている。第3温度範囲のときには製氷小室13内で氷を成長させるときであるので、時間をかけて電子膨張弁33の開度を小さくしていく必要があり、電子膨張弁33の開度を第2温度範囲のときよりも穏やかに低くするようにしている。この実施形態では、第3温度範囲のときの開度減少率は第2温度範囲のときの開度減少率の1/5(製氷機の機種に応じて1/3~1/6とするのが好ましい)に設定されている。蒸発器34の出口部34a(製氷部11)の温度低下に応じた電子膨張弁33の開度減少率を、製氷水の状態(製氷水が凍結する前、製氷水が凍結開始するとき、製氷水が氷となって成長するとき等)によって変えるようにしているので、製氷部11に製氷水の状態に応じた冷媒を送るようにすることができた。この実施形態では、開度減少率を蒸発器34の出口部34aの温度範囲に応じて3段階で変わるように設定しているが、これに限られるものでなく、開度減少率を蒸発器34の出口部34aの温度範囲に応じて3段階以上で変わるように設定したものであってもよい。
【0037】
また、
図4の2点鎖線に示したように、製氷水は製氷小室13内で凍結しはじめるときに過冷却等の現象を伴うため、製氷部11の温度が一時的に上昇することがある。製氷部11の温度が一時的に上昇することで、蒸発器34の出口部34aと入口部との温度差も一時的に大きくなり、電子膨張弁33の開度を大きくするように制御したときに、蒸発器34の出口部34aと入口部の温度差が小さくなる。このとき、電子膨張弁33の開度を再び小さくするように制御しても、蒸発器34の出口部34aの温度が電子膨張弁33の開度を小さくしたことによって変わるまでに時間がかかっているので、冷媒が蒸発器34から圧縮機31に液化状態で戻ることがある。冷媒が圧縮機31に液化状態で戻ったことで冷却能力が低下するとともに、電子膨張弁33の開度を再び小さくするように制御しているために、蒸発器34の出口部34aと入口部の温度差が大きくなる。電子膨張弁33の開度を大きくするのと小さくするのを繰り返すことで、蒸発器34の出口部34aと入口部との温度差の上下動が徐々に大きくなり、製氷部11を冷却できなくなるおそれがあった。
【0038】
これに対し、この製氷機10においては、
図4の実線に示したように、制御装置40は、出口部温度センサ38の検出温度が上昇したときには電子膨張弁33の開度を変更せずに維持し、出口部温度センサ38の検出温度が開度を変更せずに維持したときの電子膨張弁33の開度と対応する温度まで再び低下したときに、上述した蒸発器34の出口部34a(製氷部11)の温度に対応して設定された電子膨張弁33の開度となるように制御した。これによって、製氷水が製氷小室13内で凍結し始めるときのように、製氷部11の温度が上昇するのを伴って温度変動が始まると、電子膨張弁33の開度を変更せずに維持することで、無用な電子膨張弁33の開度の調整を防ぐことで、冷媒が蒸発器34から圧縮機31に液化状態で戻るのを防ぐことができるようになる。また、出口部温度センサ38の検出温度が変更せずに維持したときの電子膨張弁33の開度と対応する温度となったときに、蒸発器34の出口部34a(製氷部11)の温度に対応して設定された電子膨張弁33の開度となる制御を再開しているので、製氷部11の温度変動が終わった後でも、圧縮機31に冷媒が液化状態で戻るのを防ぐのと、各製氷小室13で成長する氷の下部形状を均一にする効果を得ることができた。
【0039】
上記の実施形態の製氷機10は、製氷部11として蒸発器34の出口部34aの温度を検出する出口部温度センサ38を設け、制御装置40は、製氷部11の温度に対応して設定された電子膨張弁33の開度となるように、出口部温度センサ38の検出温度に基づいて電子膨張弁33の開度を制御したものである。次に説明する
図5に示した実施形態の製氷機10Aは、電子膨張弁33の入口部温度を検出する電子膨張弁温度センサ39を設け、制御装置40は、電子膨張弁温度センサ39の検出温度に基づいて電子膨張弁33の開度を制御するようにしている。
【0040】
上述したように、凝縮器32と電子膨張弁33とを接続する接続管路(第1接続管路)35bの熱交換部35b1と蒸発器34と圧縮機31とを接続する接続管路(第2接続管路)35dの熱交換部35d1とは接触させることで熱交換可能な状態で配置されている。製氷機10の製氷運転を実行しているときに、冷媒が蒸発器34で蒸発しきらないときに、冷媒は接続管路(第2接続管路)35dを通って液化状態で圧縮機31に戻る。接続管路(第2接続管路)35dを通る液化状態の冷媒は接続管路(第1接続管路)35bを通過する冷媒を冷却し、電子膨張弁温度センサ39の検出温度が低下する。
【0041】
この実施形態では、制御装置40は、電子膨張弁温度センサ39の検出温度に基づいて電子膨張弁33の開度を制御するようにしている。電子膨張弁33の開度X(%)は一例として次式により算出される。
X(%)=T12 ×K1+K2
T1:電子膨張弁温度センサ39の検出温度(℃)
K1:定数(製氷機の機種ごとに異なり、この実施形態では0.05である)
K2:定数(製氷機の機種ごとに異なり、この実施形態では5である)
製氷運転を開始したときのように、蒸発器34で温度の高い製氷水を冷却したときには、接続管路(第2接続管路)35dを通って圧縮機31に戻る冷媒の温度も高く、接続管路(第1接続管路)35bを通る冷媒の温度も高くなる。この場合に、電子膨張弁温度センサ39の検出温度が40℃であれば、電子膨張弁33の開度は85%と算出される。
これに対し、製氷運転の終わりに近づいたときのように、蒸発器34での冷却負荷も低下したときには、接続管路(第2接続管路)35dを通って圧縮機31に戻る冷媒の温度も低く、接続管路(第1接続管路)35bを通る冷媒の温度も低くなる。この場合に、電子膨張弁温度センサ39の検出温度が10℃であれば、電子膨張弁33の開度は10%と算出される。
【0042】
製氷運転を実行しているときに、冷媒が蒸発器34から圧縮機31に液化状態で戻ると、接続管路(第1接続管路)35bを通る冷媒は接続管路(第2接続管路)35dを通って圧縮機31に戻る液化冷媒により急激に冷却される。この場合に、電子膨張弁温度センサ39の検出温度が例えば20℃に低下すると、上記の式から電子膨張弁33の開度は25%と算出される。電子膨張弁33の開度を25%と絞ることにより、蒸発器34に供給される液化冷媒の量が減少し、蒸発器34に供給された液化冷媒が製氷水と熱交換されずに圧縮機31に戻らないようになり、冷媒が蒸発器34から圧縮機31に液化状態で戻るのを解消することができるようになった。
【0043】
また、この実施形態では、制御装置40は、電子膨張弁温度センサ39の検出温度と出口部温度センサ38の検出温度とに基づいて電子膨張弁33の開度を制御するようにしてもよい。この場合の電子膨張弁33の開度X(%)は一例として次式により算出される。
X(%)=T1×(T2+K3)×K4+K5
T1:電子膨張弁温度センサ39の検出温度(℃)
T2:出口部温度センサ38の検出温度(℃)
K3:定数(製氷機の機種ごとに異なり、この実施形態では20である)
K4:定数(製氷機の機種ごとに異なり、この実施形態では0.04である)
K5:定数(製氷機の機種ごとに異なり、この実施形態では20である)
製氷運転を開始したときのように、蒸発器34で温度の高い製氷水を冷却したときには、接続管路(第2接続管路)35dを通って圧縮機31に戻る冷媒の温度も高く、接続管路(第1接続管路)35bを通る冷媒の温度も高くなる。この場合に、電子膨張弁温度センサ39の検出温度が40℃であり、出口部温度センサ38の検出温度が20℃であれば、電子膨張弁33の開度は84%と算出される。
【0044】
これに対し、製氷運転の終わりに近づいたときのように、蒸発器34での冷却負荷も低下したときには、接続管路(第2接続管路)35dを通って圧縮機31に戻る冷媒の温度も低く、接続管路(第1接続管路)35bを通る冷媒の温度も低くなる。この場合に、電子膨張弁温度センサ39の検出温度が10℃であり、出口部温度センサ38の検出温度が-20℃であれば、電子膨張弁33の開度は20%と算出される。この電子膨張弁温度センサ39の検出温度と出口部温度センサ38の検出温度とに基づいて電子膨張弁33の開度を制御するようにしたときには、電子膨張弁温度センサ39の検出温度だけに基づいて電子膨張弁33の開度を制御したときよりも穏やかな電子膨張弁33の開度となるよう制御することができる。
【0045】
また、製氷運転で電子膨張弁温度センサ39の検出温度と出口部温度センサ38の検出温度とに基づいて電子膨張弁33の開度を制御しているときでも、電子膨張弁33の開度を絞るようにして、蒸発器34に供給される液化冷媒の量を減少させ、蒸発器34に供給された液化冷媒が製氷水と熱交換されずに圧縮機31に戻らないようにして、冷媒が蒸発器34から圧縮機31に液化状態で戻るのを解消することができるようになった。
【0046】
上記のように構成した製氷機においては、製氷部11の温度を検出する温度センサとして蒸発器34の出口部34aの温度を検出する出口部温度センサ38を採用したが、本発明はこれに限られるものでなく、製氷部11の中央部の温度を検出するようにしたものであったり、蒸発器34の入口部の温度を検出するようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…製氷機、11…製氷部、13…製氷小室、21…製氷水タンク、22…水皿、25…送水ポンプ、30…冷凍装置、31…圧縮機、32…凝縮器、33…電子膨張弁、34…蒸発器、38…温度センサ(出口部温度センサ)、39…電子膨張弁温度センサ、40…制御装置。