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特許7144976制御装置、プログラム、電子機器および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】制御装置、プログラム、電子機器および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/20 20200101AFI20220922BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20220922BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20220922BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20220922BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220922BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220922BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20220922BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20220922BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220922BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220922BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B45/325
H05B47/105
H05B47/155
G02F1/13357
G09G3/20 642J
G09G3/34 J
G09G3/36
G09G3/20 621F
G09G3/20 660V
G09G3/20 621K
F21S2/00 400
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018109725
(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公開番号】P2019212564
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】関 文隆
(72)【発明者】
【氏名】前田 健次
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/068513(WO,A1)
【文献】特開2007-141738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
G02F 1/13357
G09G 3/20
G09G 3/34
G09G 3/36
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を制御する制御装置であって、
前記電子機器は、少なくとも1つの第1発光装置と、前記第1発光装置より色再現性が低く、かつ応答速度が速い少なくとも1つの第2発光装置と、を備えており、
前記電子機器の使用態様が色再現性重視モードである場合、前記第1発光装置の輝度と前記第2発光装置の輝度との関係が前記色再現性重視モードにおける所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれをHigh固定の信号で制御し、前記電子機器の使用態様が応答速度重視モードである場合、前記第1発光装置の輝度と前記第2発光装置の輝度との関係が前記応答速度重視モードにおける所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれをPWM信号で制御する発光制御部を備えていることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記発光制御部は、前記第1発光装置に流れる電流の電流値、および前記第2発光装置に流れる電流の電流値のそれぞれがゼロ以外の数値となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記発光制御部は、前記第1発光装置の輝度が前記第2発光装置の輝度よりも低いことが前記所定の条件となる前記電子機器の使用態様の場合に、前記第2発光装置の発光時間が前記第1発光装置の発光時間よりも長くなるように、前記第2発光装置の発光時間を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1発光装置は、第1発光素子を複数含み、
前記第2発光装置は、前記第1発光素子より色再現性が低く、かつ応答速度が速い第2発光素子を複数含み、
前記電子機器において、前記第1発光素子と前記第2発光素子とが互いに隣り合うように配置されており、
前記発光制御部は、複数の前記第1発光素子の発光、および複数の前記第2発光素子の発光のそれぞれを制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1発光素子および前記第2発光素子は、発光ダイオードであり、
前記第1発光装置および前記第2発光装置は、前記電子機器に内蔵されたバックライトの少なくとも一部を構成していることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項7】
少なくとも1つの第1発光装置と、少なくとも1つの第2発光装置と、少なくとも1つの制御装置とを備えた電子機器であって、
前記第2発光装置は、前記第1発光装置より色再現性が低く、かつ応答速度が速く、
前記制御装置は、前記電子機器の使用態様が色再現性重視モードである場合、前記第1発光装置の輝度と前記第2発光装置の輝度との関係が前記色再現性重視モードにおける所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれをHigh固定の信号で制御し、前記電子機器の使用態様が応答速度重視モードである場合、前記第1発光装置の輝度と前記第2発光装置の輝度との関係が前記応答速度重視モードにおける所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれをPWM信号で制御する発光制御処理を行うことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
電子機器を制御する制御装置の制御方法であって、
前記電子機器は、少なくとも1つの第1発光装置と、前記第1発光装置より色再現性が低く、かつ応答速度が速い少なくとも1つの第2発光装置と、を備えており、
前記電子機器の使用態様が色再現性重視モードである場合、前記第1発光装置の輝度と前記第2発光装置の輝度との関係が前記色再現性重視モードにおける所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれをHigh固定の信号で制御し、前記電子機器の使用態様が応答速度重視モードである場合、前記第1発光装置の輝度と前記第2発光装置の輝度との関係が前記応答速度重視モードにおける所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれをPWM信号で制御する発光制御ステップを含んでいることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、プログラム、電子機器および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光ダイオードを用いた液晶表示装置用のバックライトの研究開発が進められている。例えば、特許文献1には、シングルチップ方式の白色LEDとマルチチップ方式のフルカラーLEDとを組み合わせ、これらの発光ダイオードをXY方向平面上に所定の態様で配置したLED光源からなるバックライトが開示されている。ここで、シングルチップ方式の白色LEDは、低消費電力で輝度確保が可能な発光ダイオードであり、マルチチップ方式のフルカラーLEDは、高い演色性・色再現性の確保が可能な発光ダイオードである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-135459号公報(2008年6月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術は、上記の白色LEDとフルカラーLEDとを適切に組み合わせることにより、高い演色性・色再現性の確保と低消費電力での輝度確保とを両立させるというものである。しかしながら、特許文献1には、高い演色性・色再現性の確保、あるいは低消費電力での輝度確保と、優れた応答速度の確保との両立については記載も示唆もされていない。したがって、特許文献1に開示されたバックライトでは、優れた応答速度の確保については断念せざるを得なかった。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、バックライト等の発光装置について、優れた応答速度を得ることのみならず、高い色再現性確保などその他の効果も得ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御装置は、電子機器を制御する制御装置であって、前記電子機器は、少なくとも1つの第1発光装置と、前記第1発光装置より色再現性が低く、かつ応答速度が速い少なくとも1つの第2発光装置と、を備えており、前記電子機器の使用態様に応じて前記第1発光装置の輝度と前記第2発光装置の輝度との関係が所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれを制御する発光制御部を備えている。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子機器は、少なくとも1つの第1発光装置と、少なくとも1つの第2発光装置と、少なくとも1つの制御装置とを備えた電子機器であって、前記第2発光装置は、前記第1発光装置より色再現性が低く、かつ応答速度が速く、前記制御装置は、前記電子機器の使用態様に応じて前記第1発光装置の輝度と前記第2発光装置の輝度との関係が所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれを制御する発光制御処理を行う。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御装置の制御方法は、電子機器を制御する制御装置の制御方法であって、前記電子機器は、少なくとも1つの第1発光装置と、前記第1発光装置より色再現性が低く、かつ応答速度が速い少なくとも1つの第2発光装置と、を備えており、前記電子機器の使用態様に応じて前記第1発光装置の輝度と前記第2発光装置の輝度との関係が所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれを制御する発光制御ステップを含んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、第1・第2発光装置全体として、電子機器の使用態様に応じて、現物の自然の色よりも色鮮やかな画像(好ましい色再現が実現された画像)または動画の画質向上のいずれかを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1および2に係る制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
図2】液晶駆動信号VSYNCと動作モード信号との関係を示す図である。
図3】本発明の実施形態1に係るスマートフォンにおける、色再現性重視モードの場合のBL_Aの輝度およびBL_Bの輝度を示す図である。
図4】上記スマートフォンにおける、色再現性重視モードの場合の表示画面の明るさ設定と、BL_Aの輝度、BL_Bの輝度およびトータル輝度との関係を示す図である。
図5】上記スマートフォンにおける、応答速度重視モードの場合のBL_Aの輝度およびBL_Bの輝度を示す図である。
図6】上記スマートフォンにおける、応答速度重視モードの場合の表示画面の明るさ設定と、BL_Aの輝度、BL_Bの輝度およびトータル輝度との関係を示す図である。
図7】上記スマートフォンにおける、応答速度重視モードの場合のBL_Aの輝度、BL_Bの輝度およびトータル輝度の関係の詳細を示す図である。
図8】本発明の実施形態1に係る制御装置による発光制御の方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態2に係るスマートフォンにおける、応答速度重視モードの場合のBL_Aの輝度、BL_Bの輝度およびトータル輝度の関係の詳細を示す図である。
図10】本発明の実施形態3に係る制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
説明の便宜上、特定の項目について説明した構成と同一の機能を有する構成については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。この点については実施形態2および3も同様である。また、本実施形態以下の各実施形態において、本発明の一態様に係る電子機器が備える表示装置(以下、「LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)」を例示)、制御装置等の各装置については、単数であってもよいし複数であってもよい。
【0012】
さらに、本発明の適用対象となる電子機器としては、以下に例示するスマートフォンの他、折り畳み式携帯電話機、ウェアラブル端末、小型ゲーム機、タブレット端末、またはHMD(Head Mount Display:ヘッドマウントディスプレイ)等を例示することができる。言い換えれば、本発明の適用対象となる電子機器は、LEDなどの発光素子で構成された、色再現性および応答速度の異なる2つの発光装置を内蔵するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0013】
「色再現性」とは、一般的には、ある物体の自然の色をカラーマッチングにより再現した場合における再現の程度を指す。ここで、「色再現性が高い」・「色再現性の向上」との言葉には、現物の自然の色により忠実な色を再現すること(「対応する色再現を実現」)、および、現物の自然の色より鮮やかだと感じる色を再現すること(「好ましい色再現を実現」)の2つの意味が含まれる。
【0014】
以下、本明細書において「色再現性」とは、ある物体について、自然の色と画像の色とを比較した場合における当該画像の色の鮮やかさの程度を意味するものとする。また、本明細書において、「色再現性が高い」・「色再現性の向上」とは、現物の自然の色より鮮やかだと感じる色を再現すること、すなわち「好ましい色再現を実現」することを意味するものとする。
【0015】
<スマートフォンの構成>
スマートフォン100(電子機器)は、パーソナルコンピュータ・PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)等の機能を併せ持った多機能の携帯電話機である。スマートフォン100には、VR(Virtual Reality:バーチャルリアリティ)のアプリケーションソフトがインストールされており、画像を表示画面にVR表示させることができる。図1に示すように、スマートフォン100は、LCD1および制御装置10を備えている。なお、これらのことについては、後述のスマートフォン200・300についても同様である。
【0016】
また、本実施形態以下の各実施形態では、バックライト2(後述)の応答速度を重視する表示形態としてVRのアプリケーションソフトを例に挙げて説明するが、本発明の適用先はこの例に限定されない。例えば、超高速リフレッシュレートでの表示等、画像のブレが発生する可能性のある表示形態であれば本発明を適用することができる。
【0017】
(LCD)
LCD1は、液晶表示パネル(不図示)およびバックライト2を有している。液晶表示パネルは、基板の間に液晶層が配置された表示パネルであり、後述する液晶タイミング生成部11から制御信号(画像データ)を受信して画像を表示する。バックライト2は、液晶表示パネルの背面に設けられ、液晶表示パネルに対して光を照射する。
【0018】
バックライト2は、BL_A3(第1発光装置)およびBL_B4(第2発光装置)によってその一部(または全部)が構成されている。BL_A3は、発光ダイオードであるLED_A3a(第1発光素子)が3つ直列に接続された構成となっている。また、BL_B4は、LED_A3aと異なる発光ダイオードであるLED_B4a(第2発光素子)が3つ直列に接続された構成となっている。
【0019】
なお、説明の便宜上、図1では、LED_A3aおよびLED_B4aがそれぞれ3つずつバックライト2に配置されている場合を例示しているが、実際は、多数のLED_A3aおよびLED_B4aがバックライトに配置されている。このことは、実施形態3に係るLED_A3aおよびLED_B4aについても同様である。
【0020】
LED_A3aは、LED_B4aに比べて色再現性が高い一方、応答速度が遅い。すなわち、BL_A3は、BL_B4に比べて色再現性が高い一方、応答速度が遅い。裏返せば、LED_B4aは、LED_A3aに比べて色再現性が低い一方、応答速度が速い。すなわち、BL_B4は、BL_A3に比べて色再現性が低い一方、応答速度が速い。
【0021】
スマートフォン100の通常使用時など、色再現性重視モードでLCD1を使用する場合には、BL_A3の輝度がBL_B4の輝度よりも高くなるようにLED_A3aおよびLED_B4aの発光を制御する(詳細は後述)。一方、VRのアプリケーションソフトを使用する場合など、応答速度重視モードでLCD1を使用する場合には、BL_A3の輝度がBL_B4の輝度よりも低くなるようにLED_A3aおよびLED_B4aの発光を制御する(詳細は後述)。
【0022】
本実施形態以下の各実施形態では、バックライト2(すなわち、スマートフォン100)において、LED_A3aとLED_B4aとが互いに隣り合うように配置されている。LED_A3aおよびLED_B4aをこのように配置することで、例えば、LED_A3aまたはLED_B4aのいずれか一方のみを発光させた場合でも、LCD1の表示画面の全面を略均一に点灯させることができる。すなわち、LCD1の表示画面の点灯ムラを効果的に抑制することができる。
【0023】
なお、LED_A3aおよびLED_B4aの配置は上述の場合に限定されず、任意に配置してもよい。また、LED_A3aがLED_B4aに比べて色再現性が低く、かつ応答速度が速くてもよい。すなわち、BL_A3がBL_B4に比べて色再現性が低く、かつ応答速度が速くてもよい。
【0024】
さらには、BL_A3およびBL_B4のそれぞれは、複数の発光ダイオードで構成されていなくてもよく、他の発光素子で構成されていてもよい。さらには、BL_A3およびBL_B4のそれぞれが、バックライト2に複数列配置されていてもよい。これらのことは、実施形態2および3についても同様である。
【0025】
(制御装置)
制御装置10は、例えば中央処理装置(CPU)であり、スマートフォン100に内蔵された記憶装置(不図示)等に記憶されているプログラムを実行することにより、スマートフォン100が備える各装置の動作を統括的に制御する。また、制御装置10は、バックライト2の発光機能を統括的に制御し、液晶タイミング生成部11、発光パターン生成部12および発光制御部13を備えている。
【0026】
なお、制御装置10は、必ずしもスマートフォン100が備える各装置の動作を統括的に制御するCPUである必要はない。制御装置10は、バックライト2の発光機能を統括的に制御する装置として、例えばCPUから独立してスマートフォン100に内蔵されていてもよいし、スマートフォン100の外部の情報処理装置に搭載されていてもよい。制御装置10が外部の情報処理装置に搭載される場合、LCD1の表示画面の点灯態様に係る情報を情報処理装置とスマートフォン100との間で送受信することにより、表示画面の点灯態様が制御される。
【0027】
液晶タイミング生成部11は、LCD1の表示画面に表示させる画像の画像データを取得することによってLCD1を駆動させるための制御信号を生成し、当該制御信号をLCD1に出力する。制御信号を取得したLCD1は、制御信号に係る画像データを表示画面に表示させる。また、液晶タイミング生成部11は、VSYNC(Vertical Synchronizing signal)、ならびに、BL_A3の動作モード信号およびBL_B4の動作モード信号を生成し、これらを発光パターン生成部12に出力する。各動作モード信号は、発光制御部13にも出力される。VSYNCは、図2に示すように、スマートフォン100の表示画面の書き換え(走査)を開始するタイミングを計る垂直同期信号である。
【0028】
本実施形態において、動作モード信号の「動作モード」とは、(I)スマートフォン100の通常使用時(色再現性重視モード)の動作モード、および(II)VRのアプリケーションソフトを使用する場合(応答速度重視モード)の動作モードの2つを指す。したがって、スマートフォン100の通常使用時には、液晶タイミング生成部11は、色再現性重視モードの動作モード信号を生成する。一方、VRのアプリケーションソフトを使用する場合には、液晶タイミング生成部11は、応答速度重視モードの動作モード信号を生成する。これらのことは、実施形態2および3においても同様である。
【0029】
発光パターン生成部12は、液晶タイミング生成部11から取得したVSYNCおよび各動作モード信号に基づいて、BL_A3の発光を制御するための発光パターン信号、およびBL_B4の発光を制御するための発光パターン信号を生成する。生成された各発光パターン信号は、発光制御部13に出力される。
【0030】
図2に示すように、発光パターン生成部12は、色再現性重視モードの動作モード信号を取得した場合は、発光パターン信号としてHigh固定の信号を生成する。一方、応答速度重視モードの動作モード信号を取得した場合、発光パターン生成部12は、発光パターン信号としてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する。「PWM」とは、一定電圧の入力からパルス列のオンとオフとの一定周期を生成し、オンの時間幅を変化させる電力制御方式のことを指す。
【0031】
発光パターン生成部12内では、図2に示すように、液晶タイミング生成部11からVSYNCを取得することによってリセットされるカウンタ(図2中の「COUNTER」)が駆動している。このカウンタによって指定されたカウンタ値により電圧レベルを変化させることで、PWMの波形が形成される。
【0032】
なお、液晶タイミング生成部11および発光パターン生成部12は、制御装置10に備えられている必要は必ずしもない。例えば、液晶タイミング生成部11は液晶タイミング回路として、発光パターン生成部12は発光パターン生成回路として、それぞれ制御装置10から独立した状態でスマートフォン100に内蔵されていてもよい。このことは、実施形態2および3においても同様である。
【0033】
発光制御部13は、スマートフォン100の使用態様に応じてBL_A3の輝度XとBL_B4の輝度Yとの関係が所定の条件を充足するように、BL_A3の発光およびBL_B4の発光のそれぞれを制御する(発光制御処理)。
【0034】
「スマートフォン100の使用態様」とは、本実施形態以下の各実施形態においては、スマートフォン100の通常使用時(色再現性重視モード)およびVRのアプリケーションソフトを使用する場合(応答速度重視モード)の2つの使用態様を指す。
【0035】
なお、スマートフォン100の使用態様は上記の2つの態様に限定されない。例えば、150Hz~200Hz程度の周波数の高い動画をLCD1の表示画面に表示させる場合には、応答速度重視モードと捉えてバックライト2全体としての応答速度を重視してもよい。言い換えれば、色再現性を重視する何等かの使用態様および応答速度を重視する何等かの使用態様の2つであれば、どのような使用態様であってもよい。
【0036】
「所定の条件を充足」とは、本実施形態以下の各実施形態においては、BL_A3の輝度XとBL_B4の輝度Yとの関係が(i)スマートフォン100の通常使用時(色再現性重視モード)の場合はX=Y×α(α>1)になることを指す。また、(ii)VRのアプリケーションソフトを使用する場合(応答速度重視モード)はX=Y×α(α<1)になることを指す。
【0037】
ここで、BL_A3の色再現性をC1とし、かつBL_B4の色再現性をC2とした場合、バックライト2全体の色再現性Cは、例えば式(C1×α+C2×1)/(1+α)によって算出することができる。上記の計算式はあくまで一例であり、αを用いて色再現性Cを算出できるのであれば、どのような計算式を用いてもよい。
【0038】
色再現性C1を100%とした場合の色再現性C2が例えば60%であった場合、色再現性Cの基準値を(100%×1+60%×1)/(1+1)=80%に設定すると、色再現性重視モードでは色再現性Cが80%を上回る数値となる。一方、応答速度重視モードでは色再現性Cが80%を下回る数値となる。
【0039】
以上のことからも、輝度Xと輝度Yとの関係が色再現性重視モードにおける所定の条件を充足することにより、バックライト2全体の色再現性が向上することが分かる。また、輝度Xと輝度Yとの関係が応答速度重視モードにおける所定の条件を充足することにより、バックライト2全体の色再現性を多少犠牲にした上で応答速度が向上することが分かる。
【0040】
なお、「所定の条件」は上記の2つの条件に限定されない。すなわち、スマートフォン100の使用態様に応じて、BL_A3の輝度XがBL_B4の輝度Yより高くなるような条件、およびBL_A3の輝度XがBL_B4の輝度Yより低くなるような条件の両方が設定されていればよい。
【0041】
「BL_A3の発光およびBL_B4の発光のそれぞれを制御」とは、一つには、発光制御部13が、液晶タイミング生成部11から取得したBL_A3の動作モード信号およびBL_B4の動作モード信号に基づいて輝度X・Yを調整することを指す。取得した各動作モード信号が色再現性重視モードの場合、発光制御部13は、図3に示すように輝度Xと輝度Yとの関係がX=Y×α(α>1)となるようBL_A3の発光およびBL_B4の発光のそれぞれを制御する。
【0042】
図3に示す状態をスマートフォン100の実仕様に合わせてより詳細に表したものが、図4である。スマートフォン100においては、UI(User Interface)の明るさ設定バー(不図示)の位置を変更することでLCD1の表示画面の輝度を調整する(スマートフォン200・300についても同様)。色再現性重視モードの場合、明るさ設定バーにより設定した輝度X+Y、輝度Xおよび輝度Yの関係は、図4に示すように明るさ設定バーが暗めの設定であればX=Y×α(α>1)となる。一方、明るさ設定バーが明るめの設定であれば、X=Xの最大輝度、かつY=(X+Y)-(Xの最大輝度)となる。
【0043】
ここで、明るさ設定バーにより設定した輝度X+Yをトータル輝度X+Yとする。トータル輝度X+Yは、BL_A3の輝度XとBL_B4の輝度Yとの和で表される。
【0044】
次に、取得した各動作モード信号が応答速度重視モードの場合、発光制御部13は、図5に示すように輝度Xと輝度Yとの関係がX=Y×α(α<1)となるようBL_A3の発光およびBL_B4の発光のそれぞれを制御する。
【0045】
図5に示す状態をスマートフォン100の実仕様に合わせてより詳細に表したものが、図6である。応答速度重視モードの場合、トータル輝度X+Y、輝度Xおよび輝度Yの関係は、図6に示すように明るさ設定バーが暗めの設定であればX=Y×α(α<1)となる。一方、明るさ設定バーが明るめの設定であれば、Y=Yの最大輝度、かつX=X+Y-(Yの最大輝度)となる。
【0046】
上述の発光制御部13による輝度X・Yの調整は、本実施形態および実施形態2では、BL_A3に流れる電流の電流値、およびBL_B4に流れる電流の電流値のそれぞれを調整(ゼロ以外の数値であること)することにより行われる。色再現性重視モードの場合は、BL_A3に流れる電流の電流値がBL_B4に流れる電流の電流値よりも大きくなるように、各電流値を調整する。一方、応答速度重視モードの場合は、BL_A3に流れる電流の電流値がBL_B4に流れる電流の電流値よりも小さくなるように、各電流値を調整する。
【0047】
また、「BL_A3の発光およびBL_B4の発光のそれぞれを制御」とは、発光制御部13が、発光パターン生成部12から取得したBL_A3の発光パターン信号およびBL_B4の発光パターン信号に基づいて、BL_A3およびBL_B4のそれぞれを所定の発光パターンで発光させることを指す。
【0048】
取得した各発光パターン信号が色再現性重視モードの場合、発光制御部13は、図3に示すように輝度Xおよび輝度YのそれぞれがHigh固定となるよう、BL_A3およびBL_B4のそれぞれを発光させる。一方、取得した各発光パターン信号が応答速度重視モードの場合、発光制御部13は、図5に示すように輝度Xおよび輝度YのそれぞれがPWMのパルス波形となるよう、BL_A3およびBL_B4のそれぞれを発光させる。
【0049】
<応答速度重視モードの詳細>
一般に、スマートフォン等のLCDを搭載した電子機器では、VR動作時にはLCDのバックライトの発光パターンをPWMのパルス波形にし、LCDの表示画面に表示された画像が変化している状態を見せないようにすることで画像のブレを抑制する。画像が変化している状態を見せないようにするためには、バックライトの発光期間を表示画面の応答が比較的収束している画像データの1フレームの終端部分に設けた方が効果が高い。
【0050】
しかしながら、色再現性を一定程度担保した従来のバックライトでは、当該バックライトを構成する発光ダイオードの応答速度が一律に遅くなる。そのため、図7に示すように、1フレーム前の画像データへのパルス発光が次フレームの液晶応答にかかってしまう(図7中の二点鎖線参照)。
【0051】
一方、本実施形態に係るバックライト2には、色再現性を重視したBL_A3とともに応答速度を重視したBL_B4が設けられている。そして、VR動作時のような応答速度重視モードの場合には、BL_A3の輝度XとBL_B4の輝度Yとの関係がX=Y×α(α<1)となるように輝度Xおよび輝度Yのそれぞれが調整される。
【0052】
したがって、VR動作時において従来のバックライトと同等の色再現性を実現しようとした場合、BL_A3は従来のバックライトの発光ダイオードよりも輝度が低くなる。そのため、従来のバックライトよりも短時間で発光が収束する(図7中の「BL_Aの輝度」参照)。一方、BL_B4は、従来のバックライトの発光ダイオードよりも輝度が高くなるものの、応答速度が従来のバックライトの発光ダイオードに比べて速いことから、従来のバックライトよりも短時間で発光が収束する(図7中の「BL_Bの輝度」参照)。
【0053】
これらのことから、トータル輝度X+Yも従来のバックライトのトータル輝度より早く収束し、1フレーム前の画像データのパルス発光が次フレームの液晶応答にかからなくなる(図7中の「トータル輝度」参照)。以上より、本実施形態に係るバックライト2を用いることで、VR動作時などの応答速度を重視する使用態様においてもLCD1の表示画面にブレの少ない画像を表示することができる。
【0054】
<制御装置による発光制御の方法>
制御装置による発光制御の方法としては、図8に示す方法を例示することができる。図8に示すように、まず、液晶タイミング生成部11は、当該液晶タイミング生成部11に画像データが入力されたか否かを判定する(ステップ11(以下、「S11」と略記))。S11でNO(以下、「N」と略記)と判定した場合、液晶タイミング生成部11は、再びS11の処理を実行する。一方、S11でYES(以下、「Y」と略記)と判定した場合、S12の処理に進む。
【0055】
S12では、液晶タイミング生成部11が、制御信号を生成してLCD1に画像を表示する。また、液晶タイミング生成部11が、BL_A3およびBL_B4の各動作モード信号を生成して発光パターン生成部12に出力する。次に、S13では、発光パターン生成部12が、取得した各動作モード信号に基づいてスマートフォン100の動作モードを判定する。
【0056】
動作モードを応答速度重視モードと判定した場合、発光パターン生成部12は、PWMのパルス波形の発光パターン信号を生成し、発光制御部13に出力する(S14)。一方、動作モードを色再現性重視モードと判定した場合、発光パターン生成部12は、High固定の発光パターン信号を生成し、発光制御部13に出力する(S15)。
【0057】
次に、S16では、PWMのパルス波形の発光パターン信号および動作モード(応答速度重視モード)を取得した発光制御部13が、輝度Xと輝度Yとの関係がX=Y×α(α<1)となるように、BL_A3およびBL_B4に流れる電流の電流値を調整する。あるいは、High固定の発光パターン信号および動作モード(色再現性重視モード)を取得した発光制御部13が、輝度Xと輝度Yとの関係がX=Y×α(α>1)となるように、BL_A3およびBL_B4に流れる電流の電流値を調整する。このようにして、発光制御部13は、発光パターン信号および調整後の輝度に従ってBL_A3およびBL_B4のそれぞれを発光させる。
【0058】
次に、S17では、ユーザがスマートフォン100の動作自体を終了するか否か決定する。S17でYと決定した場合、ユーザは電源をOFFにするなどしてスマートフォン100の動作自体を終了する。一方、S17でNと決定した場合、スマートフォン100の動作自体がさらに継続する。この場合、再びS13以下の各処理を実行する。
【0059】
〔実施形態2〕
<発光制御部による発光時間の制御>
図1に示す実施形態2に係るスマートフォン200は、制御装置20の発光制御部13が、VRのアプリケーションソフトを使用する場合にBL_B4の発光時間がBL_A3の発光時間より長くなるようBL_B4の発光時間を制御する。この点において、実施形態1に係るスマートフォン100と異なる。
【0060】
具体的には、制御装置20の発光制御部13は、液晶タイミング生成部11から取得した各動作モード信号および発光パターン生成部12から取得した各発光パターン信号に基づいて、スマートフォン100の使用態様を判定する。VRのアプリケーションソフトを使用する場合(応答速度重視モード)である旨判定すると、上記の発光制御部13は、BL_B4の発光時間がBL_A3の発光時間よりも長くなるように、BL_B4に流す電流の通電時間を調整する。
【0061】
<発光制御部による発光時間の制御の効果>
VRのアプリケーションソフトを使用する場合(応答速度重視モード)においては、BL_A3およびBL_B4はパルス駆動する。そのため、スマートフォン200の通常使用時(色再現性重視モード)のようなBL_A3およびBL_B4が常時発光する場合に比べて、LCD1の表示画面全体の平均輝度が低くなる。
【0062】
その点、制御装置20の発光制御部13は、図9に示すように、応答速度重視モードではBL_B4の発光時間をBL_A3の発光時間よりも長くする(図9中の「BL_Aの輝度」および「BL_Bの輝度」参照)。これにより、バックライト2全体の発光時間が長くなってトータル輝度X+Yも高くなる(図9中の「トータル輝度」参照)。
【0063】
また、BL_B4は、BL_A3に比べて応答速度が速い。このため、BL_B4の発光時間をBL_A3の発光時間より長くしても、1フレーム前の画像データへのパルス発光が次フレームの液晶応答にかかる前に当該パルス発光が収束する(図9中の「トータル輝度」参照)。それゆえ、制御装置20によれば、LCD1の表示画面全体の平均輝度をより高くしつつ、表示ブレを抑制することができる。
【0064】
なお、上述のような制御装置20の発光制御部13による発光時間の制御は、VRのアプリケーションソフトを使用する場合に限定されない。言い換えれば、上記の発光制御部13は、BL_A3の輝度XをBL_B4の輝度Yよりも低くするのが好ましいスマートフォン200の使用態様の場合に、BL_B4の発光時間がBL_A3の発光時間よりも長くなるように、BL_B4の発光時間を制御できるものであればよい。
【0065】
〔実施形態3〕
<スマートフォンの概要>
実施形態3に係るスマートフォン300は、図10に示すように、LCD1のバックライト2にBL_Aa31(第1発光装置)、BL_Ab32(第1発光装置)、BL_Ba41(第2発光装置)およびBL_Bb42(第2発光装置)が配置されている。この点において、実施形態1および2に係るスマートフォン100および200と異なる。
【0066】
また、制御装置30の発光制御部13は、スマートフォン300の使用態様に応じて、BL_Aa31、BL_Ab32、BL_Ba41およびBL_Bb42の少なくともいずれかを発光させる。この点において、実施形態1および2に係る制御装置10および20と異なる。
【0067】
(LCD)
図10に示すように、LCD1のバックライト2において、BL_Aa31およびBL_Ab32は、それぞれLED_A3aが2つ直列に接続された構成となっている。また、BL_Ba41およびBL_Bb42は、それぞれLED_B4aが2つ直列に接続された構成となっている。
【0068】
BL_Aa31のLED_A3aとBL_Ab32のLED_A3aとは、バックライト2において交互に配置されている。また、BL_Ba41のLED_B4aとBL_Bb42のLED_B4aとは、バックライト2において交互に配置されている。さらに、BL_Aa31のLED_A3aおよびBL_Ab32のLED_A3aは、それぞれBL_Ba41のLED_B4aおよびBL_Bb42のLED_B4aと互いに隣り合うように配置されている。
【0069】
上述のような配置にするとともに、例えば、バックライト2全体の輝度の一様性を高めるために、光の拡散性が高いシートをバックライト2と表示画面との間に配置することで、BL_Aa31、BL_Ab32、BL_Ba41およびBL_Bb42の発光数を細やかに制御しても表示画面の全面を略均一に点灯させることができる。これにより、点灯ムラを効果的に抑制することができる。
【0070】
(発光制御部)
制御装置30の発光制御部13は、制御装置20の発光制御部13と同様、液晶タイミング生成部11から取得した各動作モード信号および発光パターン生成部12から取得した各発光パターン信号に基づいて、スマートフォン100の使用態様を判定する。
【0071】
スマートフォン300の通常使用時(色再現性重視モード)である旨判定すると、上記の発光制御部13は、例えばBL_Aa31、BL_Ab32およびBL_Ba41を発光させる。一方、BL_Bb42については発光させない。また、VRのアプリケーションソフトを使用する場合(応答速度重視モード)である旨判定すると、上記の発光制御部13は、例えばBL_Aa31、BL_Ba41およびBL_Bb42を発光させる。一方、BL_Ab32については発光させない。
【0072】
このように、制御装置30の発光制御部13は、実施形態1・2のようにBL_A3およびBL_B4を全て発光させた上でこれらの輝度X・Yの高低を調整するのではなく、BL_Aa31、BL_Ab32、BL_Ba41およびBL_Bb42の発光・非発光(発光していない状態)を制御する。
【0073】
なお、BL_Aa31、BL_Ab32、BL_Ba41およびBL_Bb42の発光・非発光は上述の場合に限定されない。例えば、色再現性重視モードではBL_Ba41を発光させないようにしてもよいし、BL_Ba41およびBL_Bb42の両方を発光させないようにしてもよい。また例えば、応答速度重視モードではBL_Aa31を発光させないようにしてもよいし、BL_Aa31およびBL_Ab32の両方を発光させないようにしてもよい。
【0074】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置10・20・30の制御ブロック(特に発光制御部13)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0075】
後者の場合、制御装置10・20・30は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0076】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る制御装置(10、20、30)は、電子機器(スマートフォン100、200、300)を制御する制御装置であって、前記電子機器は、少なくとも1つの第1発光装置(BL_A3)と、前記第1発光装置より色再現性が低く、かつ応答速度が速い少なくとも1つの第2発光装置(BL_B4)と、を備えており、前記電子機器の使用態様に応じて前記第1発光装置の輝度(X)と前記第2発光装置の輝度(Y)との関係が所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれを制御する発光制御部(13)を備えている。
【0077】
上記構成によれば、制御装置は、電子機器の使用態様に応じて第1・第2発光装置の発光を制御することにより、第1・第2発光装置の輝度を適宜調整することができる。したがって、例えば、電子機器を通常使用する場合には、色再現性を重視して第1発光装置の輝度が第2発光装置の輝度よりも高くなるように第1・第2発光装置の発光を制御することができる。これにより、所望の輝度を確保しつつ、表示画面に表示される画像の色を現物の自然の色よりも色鮮やかに(以下、「好ましい色再現を実現」)することができる。
【0078】
また例えば、VR(Virtual Reality:バーチャルリアリティ)のアプリケーションソフトを使用する場合には、応答速度を重視して第2発光装置の輝度が第1発光装置の輝度よりも高くなるように第1・第2発光装置の発光を制御することができる。これにより、残像感の少ない動画を表示させることが可能となり、動画の画質を向上させることができる。
【0079】
以上より、制御装置は、第1・第2発光装置全体として、電子機器の使用態様に応じて好ましい色再現または動画の画質向上のいずれかを実現させることができる。
【0080】
本発明の態様2に係る制御装置(10、20)は、上記態様1において、前記発光制御部は、前記第1発光装置に流れる電流の電流値、および前記第2発光装置に流れる電流の電流値のそれぞれがゼロ以外の数値となるように制御してもよい。
【0081】
上記構成によれば、制御装置は、電子機器の使用態様に応じて第1・第2発光装置に流れる電流値を制御することにより、第1・第2発光装置の輝度を適宜調整することができる。それゆえ、制御装置は、例えば所定の条件を適切に設定することにより、第1・第2発光装置全体として、輝度のムラの発生を抑制しつつ、好ましい色再現または動画の画質向上のいずれかを実現させることができる。
【0082】
本発明の態様3に係る制御装置(20)は、上記態様1または2において、前記発光制御部は、前記第1発光装置の輝度が前記第2発光装置の輝度よりも低いことが前記所定の条件となる前記電子機器(スマートフォン200)の使用態様の場合に、前記第2発光装置の発光時間が前記第1発光装置の発光時間よりも長くなるように、前記第2発光装置の発光時間を制御してもよい。
【0083】
一般的に、バックライト等の発光装置について応答速度を重視するような画面表示モードの場合、発光装置はパルス駆動で発光するため、通常の画面表示モードの場合に比べて表示画面全体の平均輝度が低くなる。
【0084】
その点上記構成によれば、制御装置は、例えば応答速度を重視する電子機器の使用態様において、第2発光装置の発光時間を第1発光装置の発光時間よりも長くすることができる。これにより、制御装置は、第1・第2発光装置全体として動画の画質向上を実現させつつ、第1・第2発光装置全体の輝度をより高めることができる。
【0085】
本発明の態様4に係る制御装置(10、20、30)は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記第1発光装置は、第1発光素子(LED_A3a)を複数含み、前記第2発光装置は、前記第1発光素子より色再現性が低く、かつ応答速度が速い第2発光素子(LED_B4a)を複数含み、前記電子機器(スマートフォン100、200、300)において、前記第1発光素子と前記第2発光素子とが互いに隣り合うように配置されており、前記発光制御部は、複数の前記第1発光素子の発光、および複数の前記第2発光素子の発光のそれぞれを制御してもよい。
【0086】
上記構成によれば、電子機器において、第1発光素子と第2発光素子とが互いに隣り合うように配置されている。したがって、例えば、複数の第1発光素子と複数の第2発光素子のそれぞれを一列に配置しつつ、第1発光装置と第2発光装置とを並列に配置した場合に比べて、発光制御部による発光制御の態様に拘らず表示画面全体をよりムラなく点灯させることができる。
【0087】
これにより、制御装置は、第1・第2発光装置全体として好ましい色再現または動画の画質向上のいずれかを実現させつつ、表示画面の点灯ムラを効果的に抑制することができる。
【0088】
本発明の態様5に係る制御装置は、上記態様4において、前記第1発光素子および前記第2発光素子は、発光ダイオードであり、前記第1発光装置および前記第2発光装置は、前記電子機器に内蔵されたバックライト(2)の少なくとも一部を構成してもよい。
【0089】
上記構成によれば、制御装置は、LEDバックライト全体として、電子機器の使用態様に応じて好ましい色再現または動画の画質向上のいずれかを実現させることができる。
【0090】
本発明の態様6に係る電子機器(スマートフォン100、200、300)は、少なくとも1つの第1発光装置(BL_A3)と、少なくとも1つの第2発光装置(BL_B4)と、少なくとも1つの制御装置(10、20、30)とを備えた電子機器であって、前記第2発光装置は、前記第1発光装置より色再現性が低く、かつ応答速度が速く、前記制御装置は、前記電子機器の使用態様に応じて前記第1発光装置の輝度(X)と前記第2発光装置の輝度(Y)との関係が所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれを制御する発光制御処理を行う。
【0091】
上記構成によれば、好ましい色再現または動画の画質向上のいずれかを電子機器の使用態様に応じて実現できる第1・第2発光装置を備えた、電子機器を実現することができる。
【0092】
本発明の態様7に係る制御方法は、電子機器を制御する制御装置の制御方法であって、前記電子機器(スマートフォン100、200、300)は、少なくとも1つの第1発光装置(BL_A3)と、前記第1発光装置より色再現性が低く、かつ応答速度が速い少なくとも1つの第2発光装置(BL_B4)と、を備えており、前記電子機器の使用態様に応じて前記第1発光装置の輝度(X)と前記第2発光装置の輝度(Y)との関係が所定の条件を充足するように、前記第1発光装置の発光および前記第2発光装置の発光のそれぞれを制御する発光制御ステップを含んでいる。
【0093】
上記構成によれば、第1・第2発光装置全体として、電子機器の使用態様に応じて好ましい色再現または動画の画質向上のいずれかを実現できる制御装置の制御方法を実現することができる。
【0094】
本発明の各態様に係る制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記制御装置をコンピュータにて実現させる制御装置のプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0095】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0096】
2 バックライト
3 BL_A(第1発光装置)
3a LED_A(第1発光素子、発光ダイオード)
4 BL_B(第2発光装置)
4a LED_B(第2発光素子、発光ダイオード)
10、20、30 制御装置
31 BL_Aa(第1発光装置)
32 BL_Ab(第1発光装置)
41 BL_Ba(第2発光装置)
42 BL_Bb(第2発光装置)
13 発光制御部
100、200、300 スマートフォン
C、C1、C2 色再現性
X、Y 輝度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10