(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】測定方法及び測定装置
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20220922BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20220922BHJP
G02B 21/24 20060101ALI20220922BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20220922BHJP
G02B 7/40 20210101ALI20220922BHJP
G02B 7/32 20210101ALI20220922BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/06
G02B21/24
G02B7/28 H
G02B7/40
G02B7/32
G01B11/24 Z
(21)【出願番号】P 2018194761
(22)【出願日】2018-10-16
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】鳥澤 允
(72)【発明者】
【氏名】楠瀬 治彦
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-152011(JP,A)
【文献】特開2010-091343(JP,A)
【文献】特開昭62-025210(JP,A)
【文献】特開平07-103729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0092893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00 - 21/36
G02B 7/28 - 7/40
G01B 11/00 - 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共焦点光学系を用いた測定方法であって、
試料の測定面を照明する照明光が前記測定面で反射した反射光を対物レンズにより集光するステップと、
前記対物レンズにより集光した前記反射光を、プリズムの第1反射面及び第2反射面を含む角部に入射させ、前記反射光を分割するステップと、
分割された前記反射光のうち前記第1反射面で反射した第1反射光を、前記角部に入射した前記反射光の光軸及び前記第1反射光の光軸を含む平面内において、前記第1反射光の光軸に直交した方向に並んだ第1チャンネル及び第2チャンネルを含むバンドルファイバに入射させるステップと、
前記第1反射光のうち前記第1チャンネルを透過した光の第1強度及び前記第1反射光のうち前記第2チャンネルを透過した光の第2強度を検出するステップと、
前記第1強度が前記第2強度よりも大きいか、小さいか、同じかに基づいて、前記対物レンズの焦点に対する前記測定面の位置を測定するステップと、
を備えた測定方法。
【請求項2】
前記測定面を前記照明光で走査させ、前記測定面の前記第1強度及び前記第2強度の分布を取得することにより、前記測定面の3次元形状を測定するステップをさらに備えた、
請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記測定面の3次元形状を測定するステップにおいて、
前記測定面における所定の部分の走査をスキップする、
請求項2に記載の測定方法。
【請求項4】
前記測定面の3次元形状を測定するステップは、
前記測定面を前記照明光で走査させ、前記測定面の前記第1強度及び前記第2強度の前記分布を取得するステップと、
前記試料または前記対物レンズを前記照明光の光軸方向に間隔を空けて移動させるステップと、
を複数回繰り返し、取得した複数の前記分布に基づいて、前記測定面に前記焦点が位置したときの前記試料または前記対物レンズの位置を導出し、前記測定面の3次元形状を測定する、
請求項2または3に記載の測定方法。
【請求項5】
前記照明光の光軸方向に間隔を空けて移動させるステップにおいて、
前記照明光の光軸方向における所定の部分の前記間隔を、他の部分の前記間隔よりも大きくする、
請求項4に記載の測定方法。
【請求項6】
前記プリズムは、前記第1反射面及び前記第2反射面により構成されたナイフエッジ部を前記角部として有するナイフエッジプリズムであり、
前記第1チャンネル及び前記第2チャンネルは、前記第1反射光の光軸、及び、前記ナイフエッジ部の延在方向、に直交する方向に並ぶ、
請求項1~5のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項7】
前記プリズムは、前記第1反射面、前記第2反射面の他、第3反射面及び第4反射面を側面とした四角錐の形状であり、前記四角錐の頂点を角部として有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項8】
前記バンドルファイバは、前記第1チャンネルと前記第2チャンネルとの間に配置された第3チャンネルをさらに含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の測定方法。
【請求項9】
前記バンドルファイバは、前記第1チャンネル及び前記第2チャンネルの他、少なくとも第4チャンエル、第5チャンネル、第6チャンネル、第7チャンネルが前記第3チャンネルの周りを取り囲む、
請求項8に記載の測定方法。
【請求項10】
共焦点光学系と、測定処理部と、を備えた測定装置であって、
前記共焦点光学系は、
試料の測定面を照明する照明光が前記測定面で反射した反射光を集光する対物レンズと、
第1反射面及び第2反射面を含む角部を有し、前記角部に入射した前記反射光を分割するプリズムと、
分割された前記反射光のうち前記第1反射面で反射した第1反射光が入射するバンドルファイバであって、前記角部に入射した前記反射光の光軸及び前記第1反射光の光軸を含む平面内において、前記第1反射光の光軸に直交した方向に並んだ第1チャンネル及び第2チャンネルを含む前記バンドルファイバと、
前記第1反射光のうち前記第1チャンネルを透過した光の第1強度及び前記第1反射光のうち前記第2チャンネルを透過した光の第2強度を検出する受光素子と、
を含み、
前記測定処理部は、
前記第1強度が前記第2強度よりも大きいか、小さいか、同じかに基づいて、前記対物レンズの焦点に対する前記測定面の位置を測定する測定装置。
【請求項11】
前記測定面を前記照明光で走査させる走査部をさらに備え、
前記測定処理部は、前記測定面を前記照明光で走査させた場合の前記測定面の前記第1強度及び前記第2強度の分布を取得することにより、前記測定面の3次元形状を測定する、
請求項10に記載の測定装置。
【請求項12】
前記走査部は、前記測定面における所定の部分の走査をスキップする、
請求項11に記載の測定装置。
【請求項13】
前記試料または前記対物レンズを前記照明光の光軸方向に間隔を空けて複数回移動させる駆動部をさらに備え、
前記測定処理部は、前記試料または前記対物レンズを移動させる度に、前記測定面を前記照明光で走査させた場合の前記分布を取得し、
前記測定処理部は、複数の前記分布に基づいて、前記測定面に前記焦点が位置したときの前記試料または前記対物レンズの位置を導出し、前記測定面の3次元形状を測定する、
請求項11または12に記載の測定装置。
【請求項14】
前記駆動部は、前記照明光の光軸方向における所定の部分の前記間隔を、他の部分の前記間隔よりも大きくする、
請求項13に記載の測定装置。
【請求項15】
前記プリズムは、前記第1反射面及び第2反射面により構成されたナイフエッジ部を前記角部として有するナイフエッジプリズムであり、
前記第1チャンネル及び前記第2チャンネルは、前記第1反射光の光軸、及び、前記ナイフエッジ部の延在方向、に直交する方向に並ぶ、
請求項10~14のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項16】
前記プリズムは、前記第1反射面、前記第2反射面の他、第3反射面及び第4反射面を側面とした四角錐の形状であり、前記四角錐の頂点を角部として有する、
請求項10~14のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項17】
前記バンドルファイバは、前記第1チャンネルと前記第2チャンネルとの間に配置された第3チャンネルをさらに含む、
請求項10~16のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項18】
前記バンドルファイバは、前記第1チャンネル及び前記第2チャンネルの他、少なくとも第4チャンエル、第5チャンネル、第6チャンネル、第7チャンネルが前記第3チャンネルの周りを取り囲む、
請求項17に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定方法及び測定装置に関し、例えば、試料の凹凸のある測定面の3次元形状を測定する測定方法及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
共焦点顕微鏡は、共焦点光学系を有している。共焦点光学系は、対物レンズの焦点位置と共役な位置にピンホール等を配置することで、焦点のあった位置のみの光を検出する。これにより、共焦点顕微鏡は、試料の測定面における対物レンズの焦点があった部分のみの情報を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-222109号公報
【文献】特開2017-090634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共焦点顕微鏡を用いて、凹凸のある測定面の3次元形状を測定するためには、試料または対物レンズを光軸方向に沿って移動させ、輝度のピーク位置に基づいて3次元形状を測定する。よって、試料または対物レンズを光軸方向に沿って移動させる必要があり、3次元形状の取得に長時間を要していた。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、試料の測定面の形状を迅速に測定することができる測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る測定方法は、共焦点光学系を用いた測定方法であって、試料の測定面を照明する照明光が前記測定面で反射した反射光を対物レンズにより集光するステップと、前記対物レンズにより集光した前記反射光を、プリズムの第1反射面及び第2反射面を含む角部に入射させ、前記反射光を分割するステップと、分割された前記反射光のうち前記第1反射面で反射した第1反射光を、前記角部に入射した前記反射光の光軸及び前記第1反射光の光軸を含む平面内において、前記第1反射光の光軸に直交した方向に並んだ第1チャンネル及び第2チャンネルを含むバンドルファイバに入射させるステップと、前記第1反射光のうち前記第1チャンネルを透過した光の第1強度及び前記第1反射光のうち前記第2チャンネルを透過した光の第2強度を検出するステップと、前記第1強度及び前記第2強度に基づいて、前記対物レンズの焦点に対する前記測定面の位置を測定するステップと、を備える。このような構成により、試料の測定面の形状を迅速に測定することができる。
【0007】
また、本発明に係る測定装置は、共焦点光学系と、測定処理部と、を備えた測定装置であって、前記共焦点光学系は、試料の測定面を照明する照明光が前記測定面で反射した反射光を集光する対物レンズと、第1反射面及び第2反射面を含む角部を有し、前記角部に入射した前記反射光を分割するプリズムと、分割された前記反射光のうち前記第1反射面で反射した第1反射光が入射するバンドルファイバであって、前記角部に入射した前記反射光の光軸及び前記第1反射光の光軸を含む平面内において、前記第1反射光の光軸に直交した方向に並んだ第1チャンネル及び第2チャンネルを含む前記バンドルファイバと、前記第1反射光のうち前記第1チャンネルを透過した光の第1強度及び前記第1反射光のうち前記第2チャンネルを透過した光の第2強度を検出する受光素子と、を含み、前記測定処理部は、前記第1強度及び前記第2強度に基づいて、前記対物レンズの焦点に対する前記測定面の位置を測定する。このような構成により、試料の測定面の形状を迅速に測定することができる。
【0008】
さらに、本発明に係る測定装置は、共焦点光学系と、測定処理部と、を備えた測定装置であって、前記共焦点光学系は、試料の測定面を照明する照明光が前記測定面で反射した反射光を集光する対物レンズと、前記測定面に対する前記対物レンズの焦点を検出するフォーカス検出手段と、を含み、前記測定処理部は、前記フォーカス検出手段により検出した前記焦点に基づいて、前記測定面の位置を測定する。このような構成により、試料の測定面の形状を迅速に測定することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、試料の測定面の形状を迅速に測定することができる測定方法及び測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る測定装置を例示した斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る測定装置を例示した構成図である。
【
図3】(a)は、実施形態1に係る測定装置において、ナイフエッジプリズム及びバンドルファイバの配置を例示した構成図であり、(b)は、バンドルファイバの端面を例示した図である。
【
図4】実施形態1に係る測定装置において、試料の測定面が対物レンズの焦点に位置する場合の反射光を例示した図である。
【
図5】(a)及び(b)は、実施形態1に係る測定装置において、試料の測定面が対物レンズの焦点よりも対物レンズ側に位置する場合の反射光を例示した図であり、ナイフエッジプリズムにより第2反射光が遮光された場合の第1反射光を示す。
【
図6】(a)及び(b)は、実施形態1に係る測定装置において、試料の測定面が対物レンズの焦点よりも対物レンズと反対側に位置する場合の反射光を例示した図であり、ナイフエッジプリズムにより第2反射光が遮光された場合の第1反射光を示す。
【
図7】(a)は、実施形態1に係る測定装置のナイフエッジプリズム及びバンドルファイバに入射する反射光を例示した図であり、試料の測定面が対物レンズの焦点に位置する場合を示し、(b)は、(a)におけるバンドルファイバの各チャンネルの受光状態を例示した図である。
【
図8】(a)は、実施形態1に係る測定装置のナイフエッジプリズム及びバンドルファイバに入射する反射光を例示した図であり、試料の測定面が対物レンズの焦点よりも対物レンズ側に位置する場合を示し、(b)は、(a)におけるバンドルファイバの各チャンネルの受光状態を例示した図である。
【
図9】(a)は、実施形態1に係る測定装置のナイフエッジプリズム及びバンドルファイバに入射する反射光を例示した図であり、試料の測定面が対物レンズの焦点よりも対物レンズと反対側に位置する場合を示し、(b)は、(a)におけるバンドルファイバの各チャンネルの受光状態を例示した図である。
【
図10】実施形態1に係る測定装置において、各チャンネルを透過した第1反射光の強度を例示した図であり、縦軸は、上から第1チャンネル39a、第3チャンネル39c及び第2チャンネル39bを透過した反射光を示す。
【
図11】(a)は、実施形態1に係る各チャンネルを透過した第1反射光の強度を例示したグラフであり、横軸は、対物レンズの焦点に対する測定面の位置を示し、縦軸は、第1強度、第2強度及び第3強度を示し、(b)は、第2強度(A)及び第1強度(B)の差(A-B)を、第2強度及び第1強度の和(A+B)で割った値Iを例示したグラフであり、横軸は、対物レンズの焦点に対する測定面の位置を示し、縦軸は、値Iを示す。
【
図12】実施形態1に係る測定方法を例示したフローチャート図である。
【
図13】(a)及び(b)は、実施形態1に係る測定方法において、試料の測定面を例示した平面図である。
【
図14】(a)及び(b)は、実施形態1に係る測定方法において、試料を例示した断面図である。
【
図15】(a)は、実施形態1に係るナイフエッジプリズムを例示した斜視図であり、(b)は、実施形態1の変形例1に係る四角錐のプリズムを例示した斜視図である。
【
図16】(a)~(h)は、実施形態1の変形例2に係るバンドルファイバの端面及び受光素子を例示した図である。
【
図17】実施形態2に係る測定装置を例示した構成図である。
【
図18】実施形態3に係る測定装置を例示した構成図である。
【
図19】実施形態4に係る測定装置を例示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0012】
(実施形態1)
実施形態1に係る測定装置を説明する。まず、測定装置の構成と測定原理を説明する。その後、測定装置を用いた測定方法を説明する。
【0013】
<測定装置の構成>
実施形態1に係る測定装置の構成を説明する。
図1は、実施形態1に係る測定装置を例示した斜視図である。
図2は、実施形態1に係る測定装置を例示した構成図である。
図2では、構成を簡潔にするため、同一平面上に光学部品を配置している。なお、他の図でも構成を簡潔にするため、適宜、同一平面上に光学部品を配置する場合がある。
図1及び
図2に示すように、測定装置1は、光源10、共焦点光学系20及び測定処理部41を備えている。測定装置1は、試料50の測定面51の形状を測定する。測定装置1は、例えば、共焦点光学系20を備えた共焦点顕微鏡を用いている。
【0014】
光源10は、照明光11を生成する。光源10は、例えば、波長405nmの半導体レーザを用いる。なお、半導体レーザの波長は405nmに限定しなくてもよい。また、半導体レーザ以外のレーザでもよい。また、連続スペクトルに複数の輝線を含む水銀キセノンランプ、紫外から赤外域(185nm~2000nm)に幅広い連続スペクトルを有するキセノンランプ、白色ダイオード、白色レーザ等を用いて、バンドパスフィルタで特定域の波長の光を取り出してもよい。
【0015】
共焦点光学系20は、アナモルフィックプリズム21、ビームエキスバンダ22、偏光ビームスプリッタ23、ミラー24、ガルバノミラーX25、レンズ26~29、ガルバノミラーY31、λ/4板32、ダイクロイックミラー33、対物レンズ34、可変焦点レンズ35、ナイフエッジプリズム36、バンドルファイバ39、受光素子40、駆動部34k(50k)を含んでいる。ガルバノミラーX25及びガルバノミラーY31を走査部ともいう。
【0016】
光源10で生成された照明光11は、光源10から出射する。光源10から出射した照明光11は、アナモルフィックプリズム21に入射する。アナモルフィックプリズム21は、入射した照明光11の形状を成形する。例えば、アナモルフィックプリズム21は、照明光11の光軸に直交する断面の形状を真円状に成形する。
【0017】
アナモルフィックプリズム21によって成形された照明光11は、ビームエキスバンダ22によって拡大される。ビームエキスバンダ22は、照明光11の真円状の断面の直径をより大きな直径の円となるように拡大させる。
【0018】
ビームエキスバンダ22によって拡大された照明光11は、偏光ビームスプリッタ23に入射する。偏光ビームスプリッタ23は、入射した照明光11の一部を透過させ、一部を反射させる。偏光ビームスプリッタ23を透過した照明光11は、ミラー24で反射する。
【0019】
ミラー24で反射した照明光11は、ガルバノミラーX25に入射する。ガルバノミラーX25は、試料50の測定面51を照明光11で走査(スキャン)させる。測定面51をXY平面とした場合に、例えば、X軸方向にスキャンさせる。ガルバノミラーX25をガルバノミラーY31とともに走査部という。ガルバノミラーX25で反射した照明光11は、レンズ26によって、一次像を形成された後、レンズ27によって、平行光に戻される。
【0020】
レンズ27を透過した照明光11は、ガルバノミラーY31に入射する。ガルバノミラーY31は、試料50の測定面51を照明光11で走査(スキャン)させる。測定面51をXY平面とした場合に、例えば、Y軸方向にスキャンさせる。したがって、ガルバノミラーX25及びガルバノミラーY31の走査部により、試料50の測定面51を2次元的にスキャンすることができる。ガルバノミラーY31で反射された照明光11は、レンズ28によって、一次像を形成された後、レンズ29によって、平行光に戻される。
【0021】
レンズ29を透過した照明光11は、λ/4板32に入射する。λ/4板32は、偏光状態を変化させる。例えば、λ/4板32は、直線偏光の照明光を円偏光に変える。λ/4板32によって偏光状態が変化された照明光11は、ダイクロイックミラー33で反射する。ダイクロイックミラー33は、照明光11における特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過させる。
【0022】
ダイクロイックミラー33で反射した照明光11は、対物レンズ34で集光され、試料50の測定面51を照明する。ガルバノミラーX25及びY31によって、測定面51をXY方向に照明光11でスキャンさせながら、試料50の測定面51を照明する。測定面51を照明した照明光11は、測定面51で反射する。
【0023】
測定面51で反射した反射光12は、対物レンズ34によって集光される。このように、対物レンズ34は、試料50の測定面51を照明する照明光11が測定面51で反射した反射光12を集光する。なお、対物レンズ34は、照明光11により測定面51から発生した蛍光を集光してもよい。その場合には、反射光12は、蛍光を含む意味で用いる。
【0024】
対物レンズ34には、対物レンズ34を照明光11の光軸11j方向に移動させる駆動部34kが取り付けられてもよい。なお、駆動部34kの代わりに、試料50を光軸11j方向に移動させる駆動部50kが、試料50を載置させるステージに取付けられてもよい。駆動部34k及び50kは、試料50または対物レンズ34を照明光11の光軸11j方向に間隔を空けて複数回移動させてもよい。これにより、光軸11j方向にスキャンさせることができる。対物レンズ34で集光された反射光12は、偏光ビームスプリッタ23まで逆の光路をたどる。
【0025】
すなわち、反射光12は、ダイクロイックミラー33、λ/4板32、レンズ29、レンズ28、ガルバノミラーY31、レンズ27、レンズ26、ガルバノミラーX25、ミラー24を経て、偏光ビームスプリッタ23に入射する。偏光ビームスプリッタ23で反射した反射光12は、可変焦点レンズ35を透過する。可変焦点レンズ35を透過した反射光12は、ナイフエッジプリズム36に入射する。
【0026】
ナイフエッジプリズム36は、例えば、直角二等辺三角形を2つの対向する底面とする三角柱状のプリズムである。ナイフエッジプリズム36は、ナイフエッジ部36eを有している。ナイフエッジ部36eは、各底面を構成する直角二等辺三角形の直角の各頂点を結ぶ稜線に形成されている。したがって、ナイフエッジ部36eは、一方向に延在している。
【0027】
ナイフエッジ部36eは、ナイフエッジプリズム36において、隣り合う側面が角を形成する角部の一つである。ナイフエッジ部36eを挟む隣り合う側面は直角をなしている。直角をなす隣り合う側面を第1反射面36a及び第2反射面36bとする。このように、ナイフエッジプリズム36は、第1反射面36a及び第2反射面36bを含む角部を有している。具体的には、ナイフエッジプリズム36は、第1反射面36a及び第2反射面36bにより構成されたナイフエッジ部36eを角部として有している。
【0028】
可変焦点レンズ35を透過した反射光12の光軸は、ナイフエッジ部36eの延在方向に直交する。また、反射光12の光軸は、第1反射面36a及び第2反射面36bとのなす角が等しくなるような方向から、ナイフエッジ部36eに入射する。よって、第1反射面36a及び第2反射面36bに対する反射光12の入射角は等しい。
【0029】
ナイフエッジプリズム36は、ナイフエッジ部36eに入射した反射光12を分割する。ナイフエッジ部36eに入射した反射光12は、第1反射面36aで反射した第1反射光12a及び第2反射面36bで反射した第2反射光12bに分割される。分割された反射光12のうち第1反射光12aは、一方のバンドルファイバ39に入射する。また、分割された反射光12のうち第2反射光12bは、他方のバンドルファイバ39に入射する。
【0030】
図3(a)は、実施形態1に係る測定装置1において、ナイフエッジプリズム36及びバンドルファイバ39の配置を例示した構成図であり、(b)は、バンドルファイバ39の端面を例示した図である。
図3(a)に示すように、反射光12は、ナイフエッジプリズム36のナイフエッジ部36eに入射する。ナイフエッジ部36eに入射した反射光12は、第1反射光12a及び第2反射光12bに分割される。
【0031】
図3(b)に示すように、バンドルファイバ39は、第1チャンネル39a、第2チャンネル39b及び第3チャンネル39cを含んでいる。バンドルファイバ39は、第1チャンネル39aと第2チャンネル39bとの間に配置された第3チャンネル39cを含んでいる。各チャンネルは、例えば、ファイバを含んでいる。よって、バンドルファイバ39は、複数のファイバが束になったものである。
【0032】
第1チャンネル39a、第2チャンネル39b及び第3チャンネル39cは、角部に入射した反射光12の光軸12j及び第1反射光12aの光軸12ajを含む平面内において、第1反射光12aの光軸12ajに直交した方向に並んでいる。角度がナイフエッジ部36eの場合には、第1チャンネル39a、第2チャンネル39b及び第3チャンネル39cは、第1反射光12aの光軸12aj、及び、ナイフエッジ部36eの延在方向、に直交する方向に並んでいる。
【0033】
各チャンネルのジャケットの外径は、例えば、φ250[μm]である。第1チャンネル39a及び第2チャンネル39bのコア径及びクラッド径は、例えば、φ105[μm]及びφ125[μm]である。第3チャンネル39cのコア径及びクラッド径は、φ50[μm]及びφ125[μm]である。
【0034】
各バンドルファイバ39は、第1反射光12a及び第2反射光12bを透過させる。各バンドルファイバ39に入射した各反射光12は、各チャンネルを介して受光素子40により検出される。第1反射光12aのうち第1チャンネル39aを透過した光の強度を第1強度といい、第1反射光12aのうち第2チャンネル39bを透過した光の強度を第2強度という。第1反射光12aのうち第3チャンネル39cを透過した光の強度を第3強度という。受光素子40は、第1強度、第2強度、及び、第3強度を出力する。
【0035】
試料50の測定面51を照明光11でスキャンすることにより、受光素子40が出力した測定面51における反射光の第1強度、第2強度及び第3強度と、ガルバノミラーX25及びガルバノミラーY31の振り角を測定処理部41で処理し、測定面51における反射光の第1強度、第2強度及び第3強度の分布を算出する。
【0036】
測定処理部41は、駆動部34kまたは駆動部50kに取り付けられたスケールから対物レンズ34と測定面51の相対位置を取得する。また、測定処理部41は、測定面51を照明光11で走査させた場合の測定面51における反射光の第1強度、第2強度及び第3強度の分布を算出する。これにより、測定処理部41は、測定面51の3次元形状を測定する。なお、測定処理部41は、第1強度及び第2強度に基づいて、対物レンズ34の焦点に対する測定面51の位置を測定してもよい。
【0037】
さらに、測定処理部41は、駆動部50kが試料50を、または、駆動部34kが対物レンズ34を移動させる度に、測定面51を照明光11で走査させた場合の反射光の第1強度、第2強度及び第3強度の分布を取得する。そして、測定処理部41は、取得した複数の反射光の強度分布に基づいて、測定面51に焦点53が位置したときの試料50または対物レンズ34の位置を導出し、測定面51の3次元形状を測定する。測定処理部41は、例えば、汎用的なPCである。
【0038】
<測定原理>
次に、実施形態1に係る測定装置1において、試料50の測定面51の3次元形状を測定する原理を説明する。まず、試料50の測定面51が対物レンズ34の焦点53に位置する場合を説明する。
【0039】
図4は、実施形態1に係る測定装置1において、試料50の測定面51が対物レンズ34の焦点53に位置する場合の反射光12を例示した図である。
図4に示すように、測定面51が対物レンズ34の焦点53に位置する場合には、照明光11が測定面51で反射した反射光12は対物レンズ34で集光された後、可変焦点レンズ35によって集光され、受光素子40上で焦点を結ぶ。
【0040】
ここで、反射光12の光軸方向をZ軸方向とし、Z軸方向に直交する面上にX軸方向及びY軸方向を規定する。受光素子40において、反射光12が焦点を結んだ点から+Y軸方向側を受光素子40aとし、-Y軸方向側を受光素子40bとする。
【0041】
次に、試料50の測定面51が対物レンズ34側に突出している場合、すなわち、測定面51と対物レンズ34とが近づいて、測定面51が対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34側に位置する場合を説明する。
【0042】
図5(a)及び(b)は、実施形態1に係る測定装置1において、試料50の測定面51が、対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34側に位置する場合の反射光12を例示した図であり、ナイフエッジプリズム36により第2反射光12bが遮光された場合の第1反射光12aを示す。
【0043】
図5(a)及び(b)に示すように、ナイフエッジ部36eの延在方向をX軸方向とする。試料50の測定面51が、対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34側に位置する場合には、第1反射光12aは、受光素子40a上で広がっており、受光素子40aよりも後側(+Z軸方向側)で焦点を結ぶ。ナイフエッジプリズム36により第2反射光12bが遮光された場合には、-Y軸方向側の反射光を遮光し、+Y軸方向側の反射光のみを受光する状態となっている。
【0044】
すなわち、受光素子40aが受光していれば、試料50の測定面51は、焦点53よりも対物レンズ34側に位置している。そして、測定面51が対物レンズ34側に近づくほど、スポット径が大きくなっている。よって、測定面51が対物レンズ34側に位置するほど、受光素子40aが受光する輝度が減少する。
【0045】
次に、試料50の測定面51が対物レンズ34とは反対側に遠のいている場合、すなわち、測定面51と対物レンズ34とが離れて、測定面51が焦点53よりも対物レンズ34とは反対側に位置する場合を説明する。
【0046】
図6(a)及び(b)は、実施形態1に係る測定装置1において、試料50の測定面51が対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34と反対側に位置する場合の反射光12を例示した図であり、ナイフエッジプリズム36により第2反射光12bが遮光された場合の第1反射光12aを示す。
【0047】
図6(a)及び(b)に示すように、試料50の測定面51が対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34と反対側に位置する場合には、第1反射光12aは、受光素子40よりも前側(-Z軸方向側)で焦点を結ぶ。ナイフエッジプリズム36により第2反射光12bが遮光された場合には、+Y軸方向側の反射光を遮光し、-Y軸方向側の反射光のみを受光する状態となっている。
【0048】
すなわち、受光素子40bが受光していれば、試料50の測定面51は、対物レンズ34の焦点53よりも遠くに位置している。そして、測定面51が対物レンズ34から離れるほど、スポット径が大きくなっている。よって、測定面51が対物レンズ34と反対側に位置するほど、受光素子40bが受光する輝度が減少する。
【0049】
このように、試料50の測定面51が焦点53よりも対物レンズ34側に位置するのか対物レンズ34とは反対側に位置するかによって、ナイフエッジ部36eによって分割された反射光12の到達位置と収束具合が異なる。よって、ナイフエッジ部36eによって分割された反射光12の到達位置と収束具合から対物レンズ34の焦点53に対する測定面51の位置を検出することができる。
【0050】
図7(a)は、実施形態1に係る測定装置1のナイフエッジプリズム36及びバンドルファイバ39に入射する反射光12を例示した図であり、試料50の測定面51が対物レンズ34の焦点53に位置する場合を示し、(b)は、(a)におけるバンドルファイバの各チャンネルの受光状態を例示した図である。図(a)及び(b)に示すように、測定面51が対物レンズ34の焦点53に位置する場合には、第1反射光12aは、バンドルファイバ39の第3チャンネル39cを主に透過する。
【0051】
図8(a)は、実施形態1に係る測定装置1のナイフエッジプリズム36及びバンドルファイバ39に入射する反射光を例示した図であり、試料50の測定面51が対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34側に位置する場合を示し、(b)は、(a)におけるバンドルファイバ39の各チャンネルの受光状態を例示した図である。
図8(a)及び(b)に示すように、試料50の測定面51が、対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34側に位置する場合には、第1反射光12aは、バンドルファイバ39の第2チャンネル39bを主に透過する。
【0052】
図9(a)は、実施形態1に係る測定装置1のナイフエッジプリズム36及びバンドルファイバ39に入射する反射光を例示した図であり、試料50の測定面51が対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34と反対側に位置する場合を示し、(b)は、(a)におけるバンドルファイバ39の各チャンネルの受光状態を例示した図である。
図9(a)及び(b)に示すように、試料50の測定面51が対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34と反対側に位置する場合には、第1反射光12aは、バンドルファイバ39の第1チャンネル39aを主に透過する。
【0053】
図10は、実施形態1に係る測定装置1において、各チャンネルを透過した第1反射光12aの強度を例示した図であり、横軸は、対物レンズ34の焦点53に対する測定面51の位置を示し、縦軸は、上から第1チャンネル39a、第3チャンネル39c及び第2チャンネル39bを透過した反射光を示す。照明光11の光軸11j方向をZ軸方向とした場合に、対物レンズ34の焦点53の位置を0とし、焦点53から対物レンズ34側の向きを+Z軸方向、焦点53から対物レンズ34と反対側の向きを-Z軸方向とする。
【0054】
図10に示すように、位置Z=0[μm]の場合には、第3チャンネル39cを透過した第1反射光12aの強度(第3強度)が大きく、第1チャンネル39a及び第2チャンネル39bを透過した第1反射光12aの強度(第1強度及び第2強度)は小さい。位置Z=+10~+20[μm]の場合には、第2強度が大きく、第1強度及び第3強度は小さい。位置Z=-10~-20[μm]の場合には、第1強度が大きく、第2強度及び第3強度は小さい。
【0055】
図11(a)は、実施形態1に係る各チャンネルを透過した第1反射光12aの強度を例示したグラフであり、横軸は、対物レンズ34の焦点53に対する測定面51の位置を示し、縦軸は、第1強度、第2強度及び第3強度を示す。
図11(a)に示すように、測定面51が対物レンズ34の焦点53に位置している場合には、第3強度が最も大きい。また、第1強度と第2強度とは、同程度の強度となっている。
【0056】
一方、測定面51が対物レンズ34の焦点53よりも対物レンズ34側に位置している場合には、第2強度が第1強度及び第3強度よりも大きくなるピークが存在する。また、測定面51が焦点53よりも対物レンズ34と反対側に位置している場合には、第1強度が第2強度及び第3強度よりも大きくなるピークが存在する。
【0057】
図11(b)は、第2強度(A)及び第1強度(B)の差(A-B)を、第2強度及び第1強度の和(A+B)で割った値Iを例示したグラフであり、横軸は、対物レンズ34の焦点53に対する測定面51の位置を示し、縦軸は、値Iを示す。
図11(b)に示すように、値I=(A-B)/(A+B)は、-Z軸方向側では負の値であり、Z=0に近づくにつれて大きくなる。また、Z=0に近づくにつれ0に近づく。そして、Z=0では、不可避な誤差を除いて、値Iは0になる。+Z軸方向側では、値Iは正の値となり、大きくなる。本実施形態では、第1強度及び第2強度の差を用いて、値I=0となるZを測定面51が対物レンズの焦点53に合った位置として決定するので、精度よく測定面51の位置を測定することができる。
【0058】
特に、低倍率の対物レンズ34を使用した場合には、測定面51の位置Zの変化に対して、反射光強度の変化が小さい。よって、輝度のピークから測定面51の位置を測定することが困難である。しかしながら、本実施形態では、第1強度及び第2強度の差を用いるので、測定面51に焦点53が一致した位置を精度よく測定することができる。
【0059】
このようにして、測定装置1は、第1強度及び第2強度、または、第1強度~第3強度に基づいて、対物レンズ34の焦点53位置に対する測定面51の位置を測定する。そして、測定面51を照明光11で走査することにより、測定面51の3次元形状を測定する。以上が本実施形態における3次元形状を検出する原理である。
【0060】
(測定方法)
次に、実施形態1に係る共焦点光学系を用いた測定方法を説明する。
図12は、実施形態1に係る測定方法を例示したフローチャート図である。
【0061】
図12のステップS11に示すように、反射光12を対物レンズ34により集光する。具体的には、試料50の測定面51を照明する照明光11が測定面51で反射した反射光を対物レンズ34により集光する。
【0062】
次に、ステップS12に示すように、反射光12を分割する。具体的には、対物レンズ34により集光した反射光12を、プリズムの第1反射面36a及び第2反射面36bを含む角部に入射させ、反射光12を分割する。例えば、プリズムは、第1反射面36a及び第2反射面36bにより構成されたナイフエッジ部36eを角部として有したナイフエッジプリズム36である。
【0063】
次に、ステップS13に示すように、分割された反射光12をバンドルファイバ39に入射させる。具体的には、分割された反射光12のうち第1反射面36aで反射した第1反射光12aを、第1チャンネル39a及び第2チャンネル39bを含むバンドルファイバ39に入射させる。ここで、第1チャンネル39a及び第2チャンネル39bは、角部に入射した反射光12の光軸12j及び第1反射光12aの光軸12ajを含む平面内において、第1反射光12aの光軸12ajに直交した方向に並んでいる。
【0064】
次に、ステップS14に示すように、第1反射光12aのうち第1チャンネル39aを通過した光の強度である第1強度を検出し、第1反射光12aのうち第2チャンネル39bを通過した光の強度である第2強度を検出する。また、第1反射光12aのうち第3チャンネル39cを通過した光の強度である第3強度を検出する。
【0065】
次に、ステップS15に示すように、第1強度、第2強度及び第3強度に基づいて、対物レンズ34の焦点53に対する試料50の測定面51の位置を測定する。これにより、測定面51の位置を迅速に測定することができる。
【0066】
次に、ステップS16に示すように、強度分布を取得するとともに、試料50の測定面51の3次元形状を測定する。具体的には、ガルバノミラーX25及びガルバノミラーY31等の走査部により、試料50の測定面51を照明光11で走査させる。そして、測定面51の第1強度及び第2強度の分布を取得する。これにより、測定面51の3次元形状を測定する。このようにして、試料50の測定面51の3次元形状を測定することができる。
【0067】
ステップS16における測定面51の3次元形状を測定する際には、測定面51における所定の部分の走査をスキップしてもよい。
図13(a)及び(b)は、実施形態1に係る測定方法において、試料50の測定面51を例示した平面図である。
【0068】
図13(a)に示すように、例えば、測定面51を、照明光11の光軸11jに直交するXY平面で走査する。その場合に、
図13(b)に示すように、高精度の測定が不要な所定の部分52に対しては、X軸方向及びY軸方向の走査をスキップしてもよい。具体的には、走査部は測定面51における所定の部分52の走査をスキップする。
【0069】
また、ステップS16における測定面51の3次元形状を測定する際には、測定面51を照明光11で走査させ、測定面51の第1強度~第3強度の分布を取得するステップと、試料50または対物レンズ34を照明光11の光軸方向に間隔を空けて移動させるステップと、を複数回繰り返してもよい。具体的には、走査部によるXY平面のスキャンの後に、駆動部50k等により、光軸11j方向(Z軸方向)に試料50または対物レンズ34を、間隔を空けて移動する。移動した後で、再び、走査部によるXY平面のスキャンを行う。これを複数回繰り返す。
【0070】
そして、取得した複数の強度分布に基づいて、測定面51に焦点53が位置したときの試料50または対物レンズ34の位置を導出する。これにより、測定面51の3次元形状を測定してもよい。
【0071】
なお、照明光11の光軸11j方向に間隔を空けて移動させる際に、光軸11j方向に移動させる間隔を変化させてもよい。
図14(a)及び(b)は、実施形態1に係る測定方法において、試料50を例示した断面図である。
図14(a)に示すように、光軸11j方向(Z軸方向)に間隔を空けて移動させ、複数回、XY平面のスキャンを行う場合に、
図14(b)に示すように、段差等の所定の部分54の間隔を、他の部分の間隔よりも大きくしてもよい。具体的には、駆動部50k等は、照明光11の光軸11j方向における所定の部分54の間隔を、他の部分の間隔よりも大きくする。これにより、単調な形状で合って高精度な測定の不要な部分の測定をスキップすることができ、迅速に測定することができる。
【0072】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の測定装置1は、第1強度及び第2強度、または、第1強度~第3強度に基づいて、対物レンズ34の焦点53に対する試料50の測定面51の位置を測定する。よって、照明光11の光軸11j方向に対物レンズ34または試料50を移動させる必要がないので、迅速に試料50の測定面51の位置を測定することができる。
【0073】
また、照明光11の光軸に垂直な面内(X軸方向及びY軸方向)を照明光11で一度走査させることにより、試料50の測定面51の3次元形状を測定することができる。具体的には、第1強度~第3強度の分布を取得することにより、測定面51の3次元形状を測定することができる。よって、迅速に、測定面51の3次元形状を測定することができる。
【0074】
第1強度~第3強度は、共焦点光学系20の瞳位置で反射光12を分割し、分割させた反射光12を複数のチャンネルに透過させて検出している。よって、照明光11の光軸方向に対物レンズ34または試料50を移動させる必要がないので、一度の走査で、測定面51の3次元形状を測定することができる。
【0075】
さらに、高精度で測定面51の3次元形状を得るためには、照明光11の光軸11j方向に対物レンズ34または試料50を移動させてもよい。すなわち、試料50または対物レンズ34を照明光11の光軸11j方向に間隔を空けて複数回移動させ、測定面51の第1強度~第3強度の複数の分布に基づいて測定面51の3次元形状を測定する。これにより、精度よく3次元形状を測定することができる。
【0076】
平面または段差等の単調な形状であって、高精度な測定が不要な部分については、X軸方向及びY軸方向の走査、または、Z軸方向への移動を、スキップすることにより、測定に係る時間を短縮することができる。
【0077】
上記のスキップする手法は、従来の測定方法の前に実施することにより、従来の測定時間の短縮にも用いることができる。すなわち、試料50または対物レンズ34をZ軸方向に沿って移動させ、輝度の高い時の試料50または対物レンズ34の位置に基づいて3次元形状を測定する従来方法において、平面または段差等の単調な形状であって、高精度な測定が不要な部分については、X軸方向及びY軸方向の走査、または、Z軸方向への移動を、スキップすることができ、迅速に測定することができる。
【0078】
また、従来方法において、低倍率の対物レンズ34を用いた場合には、試料50または対物レンズ34を光軸方向に移動させた場合の輝度の変化が緩やかである。試料50または対物レンズ34の光軸方向の可動範囲において、輝度がほとんど変化せず、輝度の高い時の試料50または対物レンズ34の位置を決定することが困難である。本実施形態では、第1強度及び第2強度の差を用いて、測定面51が対物レンズ34の焦点53に合った位置を決定するので、低倍率の対物レンズ34を使用したときの高さ測定の精度を向上させることができる。
【0079】
(変形例1)
次に、実施形態1の変形例1を説明する。本変形例は、ナイフエッジプリズム36に代えて、四角錐の形状をしたプリズムを用いる。
【0080】
図15(a)は、実施形態1に係るナイフエッジプリズム36を例示した斜視図であり、(b)は、実施形態1の変形例1に係る四角錐のプリズム136を例示した斜視図である。
図15(a)に示すナイフエッジプリズム36の場合には、プリズムは、第1反射面36a及び第2反射面36bにより構成されたナイフエッジ部36eを角部として有するナイフエッジプリズムである。
【0081】
図15(b)に示すように、変形例1に係る四角錐のプリズム136は、第1反射面36a、第2反射面36bの他、第3反射面36c及び第4反射面36dを側面とした四角錐の形状であり、四角錐の頂点を角部として有する。各反射面で反射した各反射光を各バンドルファイバ39に入射させる。各バンドルファイバ39は、角部に入射した反射光の光軸及び各反射光の光軸を含む面内において、各反射光の光軸に直交した方向に並んだ複数のチャンネルを含んでいる。
【0082】
試料50の測定面51が傾いている場合に、第1反射面36a及び第2反射面36bに入射する反射光12のバランスが偏り、精度よく測定できないことが考えられる。そのような場合には、四角錐のプリズム136を用いることによって、第3反射面36cと第4反射面36dに入射する反射光12を用いて測定面51の形状を測定する。これにより、傾いた測定面51を精度よく測定することができる。なお、プリズムは、ナイフエッジプリズム36、四角錐のプリズム136に限らず、三角錐状、六角錐状または八角錐状のプリズムを用いてもよい。
【0083】
(変形例2)
次に、実施形態1の変形例2を説明する。本変形例は、バンドルファイバ39に含まれるチャンネルを、3本以外の本数とする。
【0084】
図16(a)~(h)は、実施形態1の変形例2に係るバンドルファイバ及び受光素子の端面を例示した図である。
図16(a)に示すように、バンドルファイバ39は、第1チャンネル39a及び第2チャンネル39bの他、第4チャンネル39d、第5チャンネル39e、第6チャンネル39f、第7チャンネル39gが第3チャンネル39cの周りを取り囲んでいる。第4チャンネル39d~第7チャンネル39gのコア径、クラッド径及びジャケットの径は、第1チャンネル39a及び第2チャンネル39bと同様である。
【0085】
図16(b)に示すように、バンドルファイバ39は、第1チャンネル39a及び第2チャンネル39bの2つのチャンネルを含んでもよい。また、
図16(c)に示すように、バンドルファイバ39は、第1チャンネル39a及び第2チャンネル39bの他、複数のチャンネルが、第3チャンネル39cの周りを取り囲んでもよい。
【0086】
図16(d)に示すように、第1チャンネル39a、第2チャンネル39b及び第3チャンネル39cが並ぶ方向に複数のチャンネルが並んでもよい。なお、この場合のコア径、クラッド径及びジャケット径は、それぞれ、φ40[μm]、φ56[μm]及び68[μm]でもよい。
【0087】
さらに、
図16(e)に示すように、第1チャンネル39a、第2チャンネル39b及び第3チャンネル39cと同一方向に並んだ複数のチャンネルが積み重なってもよい。また、
図16(f)に示すように、積み重なった複数のチャンネルが型及び蓋により収納されてもよい。
【0088】
また、
図16(g)に示すように、チャンネルを介さずに受光素子40a、40b及び40cに直接受光させてもよい。さらに、
図16(h)に示すように、複数の受光素子が受光素子40cの周りを取り囲んでもよい。
【0089】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る測定装置を説明する。実施形態2は、フォーカス検出手段が実施形態1と異なっている。実施形態2のフォーカス検出手段は、光てこ方式である。
【0090】
図17は、実施形態2に係る測定装置を例示した構成図である。
図17に示すように、測定装置2は、光源10、共焦点光学系20及び測定処理部41を備えており、共焦点光学系20は、アナモルフィックプリズム21、ビームエキスバンダ22、偏光ビームスプリッタ23、ミラー24、ガルバノミラーX25、レンズ26~29、ガルバノミラーY31、λ/4板32、ダイクロイックミラー33、対物レンズ34、可変焦点レンズ35、ファイバ37、受光素子40、駆動部34k(50k)、半導体レーザLD、ビームスプリッタ45、レンズ46、2分割センサ47を含んでいる。
【0091】
光源10より出射した照明光11がアナモルフィックプリズム21から対物レンズ34を経て測定面51まで導かれる光路、及び、測定面51で反射した反射光12が対物レンズ34から可変焦点レンズ35まで導かれる光路は、実施形態1と同様である。本実施形態では、可変焦点レンズ35を透過した反射光12は、ファイバ37に入射し受光素子40により検出される。
【0092】
一方、半導体レーザLDを出射したレーザ光は、ミラー24とガルバノミラーX25との間に配置されたビームスプリッタ45で反射する。ビームスプリッタ45で反射したレーザ光は、ガルバノミラーX25、レンズ26、レンズ27、ガルバノミラーY31、レンズ28、レンズ29、λ/4板32、ダイクロイックミラー33を経て、対物レンズ34の瞳の端に入射し、対物レンズ34で集光され、試料50の測定面51に入射する。ガルバノミラーX25及びY31によって、測定面51をXY方向にレーザ光でスキャンさせる。測定面51に入射したレーザ光は、測定面51で反射する。
【0093】
測定面51で反射したレーザ光は、対物レンズ34の瞳の端に入射し、対物レンズ34で集光される。対物レンズ34で集光されたレーザ光は、ビームスプリッタ45まで逆の光路をたどる。ビームスプリッタ45で反射したレーザ光は、レンズ46で集光され、2分割センサ47に入射する。
【0094】
本実施形態の共焦点光学系20は、測定面51に対する対物レンズ34の焦点53の位置を検出するフォーカス検出手段を備えている。フォーカス検出手段は、例えば、光てこ方式である。そして、測定処理部41は、フォーカス検出手段により検出した対物レンズ34の焦点53に基づいて、測定面51の位置を測定する。また、走査部が試料面51をレーザ光で走査させることにより、測定処理部41は、測定面51の3次元形状を測定する。
【0095】
本実施形態によれば、測定面51をレーザ光で1度走査することにより、対物レンズ34の焦点53に対する測定面51の位置を測定することができる。よって、迅速に3次元形状を測定することができる。実施形態2におけるその他の構成及び効果は実施形態1の記載に含まれている。
【0096】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る測定装置を説明する。実施形態3のフォーカス検出手段は、位置検出素子(PSD)である。
【0097】
図18は、実施形態3に係る測定装置を例示した構成図である。
図18に示すように、測定装置3は、光源10、共焦点光学系20及び測定処理部41を備えており、共焦点光学系20は、アナモルフィックプリズム21、ビームエキスバンダ22、偏光ビームスプリッタ23、ミラー24、ガルバノミラーX25、レンズ26~29、ガルバノミラーY31、λ/4板32、ダイクロイックミラー33、対物レンズ34、可変焦点レンズ35、ファイバ37、受光素子40、駆動部34k(50k)、半導体レーザLD、ビームスプリッタ45、位置検出素子PSDを含んでいる。
【0098】
光源10より出射した照明光11がアナモルフィックプリズム21から対物レンズ34を経て試料面51まで導かれる光路、及び、測定面51で反射した反射光12が対物レンズ34からファイバ37まで導かれる光路は、実施形態2と同様である。
【0099】
また、半導体レーザLDを出射したレーザ光が、ビームスプリッタ45から対物レンズ34を経て試料面51まで導かれる光路、及び、測定面51で反射したレーザ光が対物レンズ34からビームスプリッタ45まで戻る光路は、実施形態2と同様である。ビームスプリッタ45で反射したレーザ光は、位置検出素子PSDに入射する。
【0100】
本実施形態の共焦点光学系20は、測定面51に対する対物レンズ34の焦点53の位置を検出するフォーカス検出手段を備えている。フォーカス検出手段は、例えば、位置検出素子PSDである。そして、測定処理部41は、フォーカス検出手段により検出した対物レンズ34の焦点53に基づいて、測定面51の位置を測定する。また、走査部が試料面51をレーザ光で走査させることにより、測定処理部41は、測定面51の3次元形状を測定する。
【0101】
本実施形態によれば、測定面51をレーザ光で1度走査することにより、対物レンズ34の焦点53に対する測定面51の位置を測定することができる。よって、迅速に3次元形状を測定することができる。実施形態3におけるその他の構成及び効果は実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0102】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る測定装置を説明する。実施形態4のフォーカス検出手段は、前ピン後ピン方式である。
【0103】
図19は、実施形態4に係る測定装置を例示した構成図である。
図19に示すように、測定装置4は、光源10、共焦点光学系20及び測定処理部41を備えており、共焦点光学系20は、アナモルフィックプリズム21、ビームエキスバンダ22、偏光ビームスプリッタ23、ミラー24、ガルバノミラーX25、レンズ26~29、ガルバノミラーY31、λ/4板32、ダイクロイックミラー33、対物レンズ34、ファイバ37a~37c、受光素子40、駆動部34k(50k)、ビームスプリッタ48a~48b、ミラー49、レンズ46a~46cを含んでいる。
【0104】
光源10より出射した照明光11がアナモルフィックプリズム21から対物レンズ34を経て試料面51まで導かれる光路、及び、測定面51で反射した反射光12が対物レンズ34から偏光ビームスプリッタ23まで導かれる光路は、実施形態1と同様である。本実施形態では、偏光ビームスプリッタ23で反射した反射光12は、ビームスプリッタ48aに入射する。ビームスプリッタ48aを透過した反射光12は、レンズ46a及びファイバ37aを透過して受光素子40により検出される。
【0105】
また、ビームスプリッタ48aで反射した反射光12は、ビームスプリッタ48bに入射する。ビームスプリッタ48bで反射した反射光12は、レンズ46b及びファイバ37bを透過して受光素子40により検出される。さらに、ビームスプリッタ48bを透過した反射光12は、ミラー49に入射する。ミラー49で反射した反射光12は、レンズ46c及びファイバ37cを透過して受光素子40により検出される。
【0106】
本実施形態の共焦点光学系20は、測定面51に対する対物レンズ34の焦点53の位置を検出するフォーカス検出手段を備えている。フォーカス検出手段は、例えば、前ピン後ピン方式である。そして、測定処理部41は、フォーカス検出手段により検出した対物レンズ34の焦点53に基づいて、測定面51の位置を測定する。また、走査部が試料面51をレーザ光で走査させることにより、測定処理部41は、測定面51の3次元形状を測定する。
【0107】
本実施形態によれば、測定面51を照明光11で1度走査することにより、対物レンズ34の焦点53に対する測定面51の位置を測定することができる。よって、迅速に3次元形状を測定することができる。実施形態4におけるその他の構成及び効果は実施形態1~3の記載に含まれている。
【0108】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0109】
1、2、3、4 測定装置
10 光源
11 照明光
11j 光軸
12 反射光
12j 光軸
12a 第1反射光
12aj 光軸
12b 第2反射光
20 共焦点光学系
21 アナモルフィックプリズム
22 ビームエキスバンダ
23 偏光ビームスプリッタ
24 ミラー
25 ガルバノミラーX
26、27、28、29 レンズ
31 ガルバノミラーY
32 λ/4板
33 ダイクロイックミラー
34 対物レンズ
34k 駆動部
35 可変焦点レンズ
36 ナイフエッジプリズム
36a 第1反射面
36b 第2反射面
36c 第3反射面
36d 第4反射面
36e ナイフエッジ部
37、37a、37b、37c ファイバ
39 バンドルファイバ
39a、39b、39c、39d、39e、39f、39g チャンネル
40、40a、40b 受光素子
41 測定処理部
45 ビームスプリッタ
46、46a、46b、46c レンズ
47 2分割センサ
48a、48b ビームスプリッタ
49 ミラー
50 試料
50k 駆動部
51 測定面
52 所定の部分
53 焦点
54 所定の部分
136 プリズム