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特許7145054半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20220922BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20220922BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H01L23/08 A
H01L23/12 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018219937
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020088141
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】中本 真二
(72)【発明者】
【氏名】久保田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】中谷 充宏
(72)【発明者】
【氏名】松本 俊之
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-243145(JP,A)
【文献】特開2018-056247(JP,A)
【文献】特開2006-128252(JP,A)
【文献】特開2016-014099(JP,A)
【文献】実開平04-070752(JP,U)
【文献】特開2007-335423(JP,A)
【文献】特開2002-372473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H01L 23/08
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子が載置される載置部を有する基体であって、第1金属材料で構成される第1金属層と、前記第1金属層の表面に位置しニッケルを含む第2金属材料で構成される第2金属層と、前記第2金属層の表面に位置し金を含む第3金属材料で構成される第3金属層と、を有し、前記第3金属層側には、前記第1金属材料または前記第2金属材料が露出している第1領域を有する基体と、
前記基体の前記第3金属層側に位置する、樹脂材料を含む枠体であって、前記載置部を囲む環状の枠体と、
前記基体と前記枠体とを接合する接合材と、を備え
前記基体は、平面視において、前記枠体が重なる環状の対向領域を有しており、
前記第1領域は、平面視において、前記対向領域内に位置するとともに、前記対向領域の内縁と間を空けて位置する半導体素子収納用パッケージ。
【請求項2】
前記第1領域は、平面視において、前記対向領域の外縁と間を空けて位置する、請求項1記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記基体は、前記第2金属層と前記第3金属層との間に、パラジウムを含む第4金属材料で構成される第4金属層をさらに有し、
前記第1領域は、前記第1金属材料、前記第2金属材料あるいは前記第4金属材料が露出している、請求項1または2記載の半導体素子収納用パッケージ。
【請求項4】
前記第1領域は、環状である、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体素子収納用パッケージ。
【請求項5】
前記枠体のうち前記第1領域と接合する領域は、第1溝部を有する、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体素子収納用パッケージ。
【請求項6】
前記第1領域は、前記第1溝部に対向する位置に、前記第1溝部に沿った突条部を有する、請求項記載の半導体素子収納用パッケージ。
【請求項7】
前記第1領域は、第2溝部を有する、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体素子収納用パッケージ。
【請求項8】
前記基体は、前記第3金属層側において、前記第1金属層の表面に第3溝部および/または第1凸部を有しており、
前記第3溝部は、平面視において、前記枠体と重なって位置している、請求項1~7のいずれか1つに記載の半導体パッケージ。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1つに記載の半導体素子収納用パッケージと、
前記基体と電気的に絶縁されたリード端子と、
前記載置部に載置されるとともに前記リード端子に電気的に接続された半導体素子と、を備える半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は高集積化、高密度化が急激に進み、半導体素子の作動時に発する単位体積、単位面積当たりの熱量が急激に多くなっている。たとえば、パワーデバイス等の大電力、大電流を制御する半導体素子は、高い放熱性が求められることから、放熱性能に特化するための放熱基板によって構成された基体上に載置固定される。この場合、半導体素子を収納するための半導体素子収納用パッケージは、基体と、基体の外周部に半導体素子載置部を囲繞するように取着接合されて立設される、絶縁体を含む枠体と、半導体素子と外部の回路基板とを電気的に導通するための接続端子と、によって基本的に構成される。基体の表面には、半導体素子を接合して実装し、ボンディングワイヤ等で半導体素子の電極と接続端子とを電気的に接続する。
【0003】
特許文献1記載の接着方法では、基体の表面に金薄膜が設けられている場合、基体にレーザ光を照射して下地を露出させ、紫外線硬化樹脂を材料とする接着剤で半導体素子を強固に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開WO2016/002255号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体素子収納用パッケージの信頼性を向上させるには、基体と枠体との接合についても、強固に接合をする必要がある。特に、枠体を樹脂材料としたときに、十分な接合強度を得ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体素子収納用パッケージは、半導体素子が載置される載置部を有する基体であって、第1金属材料で構成される第1金属層と、前記第1金属層の表面に位置し、ニッケルを含む第2金属材料で構成される第2金属層と、前記第2金属層の表面に位置し、金を含む第3金属材料で構成される第3金属層と、を有し、前記第3金属層側には、前記第1金属材料または前記第2金属材料が露出している第1領域を有する基体と、
前記基体の前記第3金属層側に位置する、樹脂材料を含む枠体であって、前記載置部を囲む環状の枠体と、
前記基体と前記枠体とを接合する接合材と、を備え
前記基体は、平面視において、前記枠体が重なる環状の対向領域を有しており、
前記第1領域は、平面視において、前記対向領域内に位置するとともに、前記対向領域の内縁と間を空けて位置している
【0007】
また本開示の半導体装置は、上記の半導体素子収納用パッケージと、
前記基体と電気的に絶縁されたリード端子と、
前記載置部に載置されるとともに前記リード端子に電気的に接続された半導体素子と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の半導体素子収納用パッケージによれば、基体が、ニッケルを含む第2金属材料または第1金属材料が露出している第1領域を有することにより、枠体と基体との接合強度を高めることができる。
【0009】
本開示の半導体装置は、接合強度が向上した半導体素子収納用パッケージを備えることで、信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の半導体素子収納用パッケージを示す外観斜視図である。
図2】第1実施形態の半導体素子収納用パッケージを示す平面図である。
図3】第1実施形態の半導体素子収納用パッケージを示す分解斜視図である。
図4】基体の拡大断面図である。
図5】基体の平面図である。
図6】第2実施形態の半導体素子収納用パッケージの構成を示す拡大断面図である。
図7】第3実施形態の半導体素子収納用パッケージの構成を示す拡大断面図である。
図8】第4実施形態の半導体素子収納用パッケージ1の構成の一部である基体を示す拡大断面図である。
図9】一実施形態の半導体素子収納用パッケージを備える半導体装置の構成を示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態の半導体素子収納用パッケージを備える半導体装置の他の例の構成を示す斜視図である。
図11】実施例の接合強度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る半導体素子収納用パッケージおよび半導体装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、以降の図において同一の構成については同一の参照符を用いて説明する。図1は、第1実施形態の半導体素子収納用パッケージを示す外観斜視図である。図2は、第1実施形態の半導体素子収納用パッケージを示す平面図であり、図3は、第1実施形態の半導体素子収納用パッケージを示す分解斜視図である。図4は、基体2の拡大断面図である。
【0012】
半導体素子収納用パッケージ1は、基体2と枠体9とを備え、さらに接続端子7を有していてもよい。半導体素子収納用パッケージ1が収納可能な半導体素子51は、特に限定されないが、例えば、SiC系やGaN系のパワーデバイス等の大電力、大電流を用いる素子で、発熱量が比較的大きな素子であっても収納可能である。
【0013】
基体2は、放熱性能を高めた放熱基板である金属板2aとその表面に設けた被膜層2bとによって構成される。基体2は、第1面3に半導体素子51が載置される載置部5を有している。金属板2aは、たとえば矩形板状に形成される第1金属層である。被膜層2bは、金属板2a表面に薄膜を積層したものである。載置部5は、半導体素子収納用パッケージ1に収納される半導体素子51をガラス、樹脂、ろう材等の接着剤を介して基体2の表面に接着固定するための領域である。また、半導体素子51の熱を効率よく外部へ放熱させるために、半導体素子51がペルチェ素子等の熱電冷却素子(図示せず)に搭載された状態で載置部5に載置固定されていてもよい。
【0014】
金属板2aの材料としては、具体的には、鉄、銅、ニッケル、クロム、コバルト、モリブデンまたはタングステンのような金属、あるいはこれらの金属の合金または複合材、たとえば銅-タングステン合金、銅-モリブデン合金、鉄-ニッケル-コバルト合金などを用いることができる。また、これらを複数枚重ねて板状としたものであってもよい。たとえば、銅/モリブデン/銅を重ねたもの、銅/銅-モリブデン合金/銅を重ねたものなどであってもよい。上記の金属材料のインゴット(塊)に切削加工法、金型加工法、圧延加工法、打ち抜き加工法のような従来周知の金属加工法を施すことによって基体2を構成する金属板2aを作製することができる。
【0015】
被膜層2bは、金属板2aの表面にめっき法など公知の薄膜形成方法を用いて形成したものである。本実施形態では、被膜層2bは、第2金属層2b1と第3金属層2b2とを含み、金属板2aの表面に第2金属層2b1が設けられ、第2金属層2b1上にさらに第3金属層2b2が設けられている。第2金属層2b1は、たとえば、めっき法によって形成されており、厚みが2~5μmである。第3金属層2b2も、第2金属層2b1と同様に、たとえば、めっき法によって形成されており、厚みが0.1~1.0μmである。第2金属層2b1は、ニッケルを含む第2金属材料で構成される層である。第2金属材料は、ニッケルを含んでいればよく、ニッケル合金であってもよい。ニッケル合金としては、たとえば、銅-ニッケル合金などがある。第3金属層2b2は、金を含む第3金属材料で構成される層である。第3金属材料は、金を含んでいればよく、金合金であってもよい。金合金としては、たとえば、金-ニッケル合金などがある。以下では、第2金属層2b1をニッケル層2b1と呼び、第3金属層2b2を金層2b2と呼ぶが、各層の金属材料を限定するものではない。
【0016】
接続端子7は、載置部5に載置される半導体素子51と、図示されない外部の回路基板や各種装置とを電気的に接続するリード端子である。接続端子7は、例えば、銅、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、タングステン、モリブデンおよびマンガンなどの金属材料、あるいはこれらの金属の合金または複合材からなり、金属材料の板材が所定の形状に加工されて作製される。接続端子7は、枠体9の、たとえば表面において、接着剤材等の接合材を介して接合される。接続端子7の一方端には半導体素子51の電極が電気的に接続され、接続端子7の他方端には図示されない外部の回路基板などの配線導体が導電性接着剤を介して電気的に接続される。半導体素子51と接続端子7との接続は、電気信号が伝送できればどのような接続でもよく、ボンディングワイヤによる接続、フリップチップ接続、異方性導電フィルム(ACF)による接続などであってもよい。
【0017】
枠体9は、電気絶縁材料である樹脂材料を含む。枠体9は基体2の第1面3に、載置部5を囲むように接合される。枠体9は、載置部5を取り囲んでいればよく、載置部5は、たとえば、枠体9の内側の中央部分にあってもよく、その他の部分にあってもよい。また、基体2と枠体9とは、ほぼ同じ外形状を有していてもよいし、基体2が枠体9よりも大きく、基体2が枠体9より延出する部分があってもよいし、その逆に、基体2より枠体9が延出する部分を有していてもよい。枠体9は、一種の樹脂材料からなっていてもよいが、たとえば、複数種類の樹脂材料が積層された構造であってもよい。樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂など、電気絶縁性を有する樹脂材料を用いることができ、ガラスエポキシなどの複合材料であってもよい。
【0018】
樹脂材料を含む枠体9は、基体2の第1面3に接合材8を用いて接合される。接合材8は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの樹脂材料を主成分とする接着剤を用いることができる。接合材8と基体2との接合強度については、接合材8と金層2b2との強度が相対的に弱いために、十分な接合強度が得られない場合がある。本実施形態の基体2は、被膜層2b側、詳細には金層2b2側において、ニッケルまたは金属板2aの第1金属材料(たとえば、銅)が露出している第1領域20を有する。この第1領域20は、基体2と枠体9との対向領域の少なくとも一部である。
【0019】
図5は、基体2の平面図である。基体2と枠体9との対向領域21は、平面視したときに、基体2に枠体9が重なる投影領域である。図5に示すように、対向領域21は、枠体9の形状が投影されるので、基体2の第1面3における環状の外周部分となっている。第1領域20は、対向領域21内に位置しており、本実施形態では、対向領域21と同様に環状の領域となっている。第1領域20は、対向領域21内において、中央付近に位置していてもよく、基体2の外方寄りに位置していてもよく、内方寄りに位置していてもよい。
【0020】
第1領域20では、接合材8との強度低下の原因となる金を部分的に除去し、金以外の金属材料を露出させている。金以外の金属材料は、ニッケルまたは金属板2aの第1金属材料(たとえば、銅)である。金層2b2のみを除去すれば、その下のニッケル層2b1が露出する。金層2b2に加えて、ニッケル層2b1も除去すれば、さらにその下の金属板2aが露出する。ニッケルおよび金属板2aの第1金属材料(たとえば、銅)と、上記のような樹脂材料を主成分とする接合材8とは、金と接合材8との接合強度に比べて大きな接合強度を得ることができる。
【0021】
本実施形態のように、基体2の金層2b2側に、ニッケルまたは金属板2aの第1金属材料が露出する第1領域20を設けることで、接合材8を介した基体2と枠体9との接合強度を高くすることができる。
【0022】
なお、基体2と枠体9とは、第1領域20だけではなく、対向領域21内であれば、接合材8によって接合させてもよい。第1領域20に比べて接合強度は、小さいが、対向領域21内の金層2b2と枠体9とも接合させることはできる。第1領域20を含めて、なるべく広い範囲で接合材8によって接合することで、接合面積を広くして接合強度を向上させることができる。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態の半導体素子収納用パッケージ1について、図6に基づき説明する。図6は、本発明の第2実施形態の半導体素子収納用パッケージの構成を示す拡大断面図である。本実施形態は、枠体9の形状が異なっている以外は第1実施形態と同様の構成である。本実施形態では、枠体9の、第1領域20と対向する領域に第1溝部90を設けている。第1溝部90は、枠体9の、第1領域20と対向する領域の少なくとも一部が、枠体9の内部側に、すなわち第1領域20から離れる側に退避しており、接合材8がこの第1溝部90内に入り込んで、接合される。第1溝部90を設けた場合、枠体9と接合材8との接合面積が、第1溝部90を設けない場合に比べて大きくなっている。これにより、枠体9と基体2との接合強度が向上する。
【0024】
第1溝部90の断面形状は、特に限定されないが、円や楕円を二分割したもの、矩形の一部、多角形の一部などであってもよい。また、第1溝部90は枠体9の形状に沿って、環状に設けられていてもよく、環の一部が途切れていたり、一定間隔で第1溝部90が設けられていない箇所などがあってもよい。また、基体2の第1領域20では、たとえば、金層2b2を除去する、または金層2b2およびニッケル層2b1を除去する、さらには、金属板2aの表面に溝を設けるなどにより、基体2側には第2溝部22を設けてもよい。枠体9に設けられた第1溝部90と同様に、基体2には第2溝部22を設けることで、基体2と接合材8との接合面積が、第2溝部22を設けない場合に比べて大きくなり、枠体9と基体2との接合強度が向上する。
【0025】
次に、本発明の第3実施形態の半導体素子収納用パッケージ1について、図7に基づき説明する。図7は、本発明の第3実施形態の半導体素子収納用パッケージの構成を示す拡大断面図である。本実施形態は、基体2の形状が異なっている以外は第2実施形態と同様の構成である。本実施形態では、基体2の、第1領域20のうちの第1溝部90と対向する領域に第1溝部90に沿って延びる突条部23を設けている。第1溝部90と突条部23とは対向する位置に設けられているので、たとえば、半導体素子収納用パッケージ1の製造工程において、基体2と枠体9とを貼り合わせる際に、凹凸に従って位置合わせが容易になる。さらに、基体2に突条部23を設けることで、第2溝部22を設ける場合と同様に、基体2と接合材8との接合面積が、突条部23を設けない場合に比べて大きくなり、枠体9と基体2との接合強度が向上する。
【0026】
次に、本発明の本発明の第4実施形態の半導体素子収納用パッケージ1について、図8に基づき説明する。図8は、本発明の第4実施形態の半導体素子収納用パッケージの構成の一部である基体を示す拡大断面図である。本実施形態は、基体2の構成が異なっている以外は、第1実施形態と同様の構成である。基体2の被膜層2bが、ニッケル層2b1と金層2b2との間に第4金属層2b3を有している。第4金属層2b3も、ニッケル層2b1と同様に、たとえば、めっき法によって形成されており、厚みが0.1~0.5μmである。第4金属層2b3は、パラジウムを含んでいればよく、パラジウム合金であってもよい。パラジウム合金としては、たとえば、パラジウム-ニッケルなどがある。以下では、第4金属層2b3をパラジウム層2b3と呼ぶが、金属材料を限定するものではない。被膜層2bがパラジウム層2b3を含む場合、第1領域20において、たとえば、金層2b2を除去することで、パラジウム層2b3が露出し、パラジウム層2b3をさらに除去すればニッケル層2b1が露出し、ニッケル層2b1をさらに除去すれば金属板2aが露出する。接合材8が、これら露出した部分のいずれかと接合することで、金層2b2との接合強度に比べて、強度を大きくすることができる。
【0027】
第2金属層2b1と第3金属層2b2との間に第4金属層2b3を設けることにより、第3金属層2b2の厚みを薄くすることができる。第3金属層2b2が、例えば金層などの比較的高価である材料で構成されており、第4金属層2b3が例えばパラジウム層などの比較的安価である材料で構成されている場合は、半導体素子パッケージ1のコストダウンにつながり、生産性を向上させることができる。
【0028】
なお、被膜層2bにパラジウム層2b3を含む、本実施形態の基体2は、第1実施形態だけでなく、第2実施形態および第3実施形態にも適用することができる。
【0029】
図9は、本発明の一実施形態の半導体素子収納用パッケージを備える半導体装置の構成を示す斜視図である。半導体装置50は、接続端子7を含み、前述の各実施形態に係る半導体素子収納用パッケージ1と、半導体素子51とを備える。半導体装置50を組み立てる場合、基体2の載置部5に半導体素子51を載置して基体2に接着剤等を介して接着固定し、半導体素子51と接続端子7とをボンディングワイヤ等の接続部材52を介して電気的に接続する。このようにして、基体2および枠体9を含む半導体素子収納用パッケージ1を用いて、半導体素子51を収納する半導体装置50が得られる。半導体装置50は、上記の半導体素子収納用パッケージ1を備えることで、信頼性を高めることができる。
【0030】
半導体装置50は、図10に示す他の例のように、さらに蓋体53を備えていてもよい。蓋体53を備えることで、蓋体53と、枠体9と、基体2とで囲まれる内部空間内に半導体素子51が封止される。
【0031】
上記の各実施形態における変形例として、第1領域20は、環状でなくてもよく、一部が途切れていたり、一定間隔で第1領域20が設けられていてもよい。また、基体2の第1面3において、金以外の金属材料を露出させる構成としては、金層2b2を除去することなく、金層2b2の表面上に、ニッケル、第1金属材料またはパラジウムの薄膜を設けてこれらの金属を露出させてもよい。
【実施例
【0032】
本実施形態における、基体2と枠体9との接合強度の比較を以下の条件で行った。第3金属層である金層を部分的に除去し、第2金属層であるニッケル層を露出した第3金属層除去サンプルと、第3金属層を除去しない第3金属層ありサンプルとを準備した。両サンプルとも基体2の厚み:1mm、枠体9の厚み:0.7mmとし、基体2の中央部をプッシュプル(引張圧縮)試験機にて加重速度:7mm/minで押し付ける。この条件にて、基体2と枠体9の接合界面で破壊が起こる強度を、プッシュプル試験機を用いて測定(N=5)した。結果を図11に示す。
【0033】
第3金属層を除去することにより、基体2と枠体9との接合強度が増していることが明らかとなった。なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などの種々の変形は可能である。本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
1 半導体素子収納用パッケージ
2 基体
2a 金属板
2b 被膜層
3 第1面
5 載置部
7 接続端子
8 接合材
9 枠体
20 第1領域
21 対向領域
22 第2溝部
23 突条部
2b1 第2金属層
2b2 第3金属層
2b3 第4金属層
50 半導体装置
51 半導体素子
52 接続部材
53 蓋体
90 第1溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11