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特許7145069多層発泡シート、多層発泡シートの製造方法、及び粘着テープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】多層発泡シート、多層発泡シートの製造方法、及び粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/18 20060101AFI20220922BHJP
   C08J 9/06 20060101ALI20220922BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20220922BHJP
   C09J 7/22 20180101ALI20220922BHJP
【FI】
B32B5/18
C08J9/06
C09J7/29
C09J7/22
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018514921
(86)(22)【出願日】2017-11-07
(86)【国際出願番号】 JP2017040152
(87)【国際公開番号】W WO2018084318
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2016217227
(32)【優先日】2016-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017072742
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】矢野 秀明
(72)【発明者】
【氏名】永井 麻美
(72)【発明者】
【氏名】濱田 哲史
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-034253(JP,A)
【文献】特開平08-325403(JP,A)
【文献】特開2006-143786(JP,A)
【文献】特開2005-200473(JP,A)
【文献】特開平06-134909(JP,A)
【文献】特開2016-008290(JP,A)
【文献】特開平05-230255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 5/18
C08J 9/06
C09J 7/29
C09J 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが0.05~1.2mmである多層発泡シートであって、
気泡からなるセルを複数有する発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層とを備えるとともに、
前記スキン樹脂層が、前記発泡樹脂層のセル間のマトリックス樹脂の厚さよりも厚く、
前記スキン樹脂層の架橋度が前記発泡樹脂層の架橋度よりも大きく、
前記スキン樹脂層が非発泡体であり、気泡よりなるセルを有しない樹脂層である多層発泡シート。
【請求項2】
前記厚さが0.05~1.0mmである請求項1に記載の多層発泡シート。
【請求項3】
前記スキン樹脂層それぞれの厚さは、セル間のマトリックス樹脂の厚さの150倍以下である請求項1又は2に記載の多層発泡シート。
【請求項4】
前記スキン樹脂層それぞれの厚さは、セル間のマトリックス樹脂の厚さの2~100倍である請求項3に記載の多層発泡シート。
【請求項5】
前記セル間のマトリックス樹脂の厚さが1~30μmである請求項1~4のいずれか1項に記載の多層発泡シート。
【請求項6】
前記スキン層それぞれの厚さが、0.01~0.15mmであるとともに、前記発泡樹脂層の厚さが0.03~0.95mmである請求項1~5のいずれか1項に記載の多層発泡シート。
【請求項7】
多層発泡シートの見かけ密度が0.05~0.85g/cmである請求項1~6のいずれか1項に記載の多層発泡シート。
【請求項8】
多層発泡シートの見かけ密度が0.15~0.85g/cmである請求項7に記載の多層発泡シート。
【請求項9】
前記発泡樹脂層及びスキン樹脂層それぞれを構成する樹脂が、ポリオレフィン樹脂を含む請求項1~8のいずれか1項に多層発泡シート。
【請求項10】
多層発泡シートの25%圧縮強度が20~1000kPaである請求項1~9のいずれか1項に多層発泡シート。
【請求項11】
前記発泡樹脂層が、樹脂と熱分解型発泡剤とを含む発泡性組成物を発泡してなる発泡体である請求項1~10のいずれか1項に多層発泡シート。
【請求項12】
前記スキン樹脂層に発泡剤が含有されてなる請求項1~11のいずれか1項に多層発泡シート。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の多層発泡シートと、前記多層発泡シートの少なくともいずれか一方の面に設けた粘着材とを備える粘着テープ。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか1項に記載の多層発泡シートの製造方法であって、
樹脂と熱分解型発泡剤とを含む発泡性組成物からなる発泡性シートと、樹脂シートとを積層して多層シートを得て、前記多層シートを加熱することで前記発泡性シートを発泡させ、又は、発泡させかつ前記多層シートを延伸する、多層発泡シートの製造方法。
【請求項15】
気泡からなるセルを複数有する発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層とを備える、請求項1~12のいずれかに1項に記載の多層発泡シートの製造方法であって、前記スキン樹脂層の架橋度が前記発泡樹脂層の架橋度よりも大きくなるように、電離放射線を照射して架橋する、多層発泡シートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層発泡シート、多層発泡シートの製造方法、及び多層発泡シートを備える粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カメラ、ゲーム機器、電子手帳、パーソナルコンピュータ等の電子機器では、発泡シートがシール材又は衝撃吸収材として広く使用されている。また、発泡シートは、電子機器内部において、例えば少なくとも一方の面に粘着剤を塗布して、粘着テープにして使用されることもある。従来、これら用途において使用される発泡シートとしては、熱分解型発泡剤を含む発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを発泡かつ架橋させて得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-28925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器内部で使用される発泡シートは、電子機器の小型化、薄型化が進むことで、薄くすることが要求されており、例えば1.0mm以下とすることもある。しかし、発泡シートは、薄くなると引張強度等の機械強度が低くなりやすいため、例えば、発泡シートを粘着テープとして使用する場合には、リワークする際などに破損されやすくなる。一方で、発泡シートは、機械強度を高めるために発泡倍率を低くすると、衝撃吸収性など、発泡シートが本来有する特性を損なうことがある。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、発泡シートを薄くした場合であっても、衝撃吸収性等の発泡シートが本来有する特性を良好に維持しつつ、機械強度が高い発泡シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、シート厚さを一定の範囲にした多層発泡シートにおいて、発泡樹脂層の少なくとも一方の面に、発泡樹脂層のセル間の厚さよりも厚いスキン層(「スキン樹脂層」ともいう)を設けることで上記課題が解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、厚さが0.05~2.0mmである多層発泡シートであって、気泡からなるセルを複数有する発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層とを備えるとともに、前記スキン樹脂層が、前記発泡樹脂層のセル間のマトリックス樹脂の厚さよりも厚い多層発泡シートである。また、本発明は、当該多層発泡シートと、前記多層発泡シートの少なくともいずれか一方の面に設けた粘着材とを備える粘着テープである。さらに、本発明は、当該多層発泡シートの製造方法である。
当該本発明は、主に、下記第1の態様及び第2の態様を含む。
【0007】
本発明の第1の態様は、以下の[1-1]~[1-10]を提供するものである。
[1-1]厚さが0.05~1.0mmである多層発泡シートであって、気泡からなるセルを複数有する発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層とを備えるとともに、前記スキン樹脂層が、前記発泡樹脂層のセル間のマトリックス樹脂の厚さよりも厚い多層発泡シート。
[1-2]各スキン樹脂層の厚さは、セル間のマトリックス樹脂の厚さの150倍以下である上記[1-1]に記載の多層発泡シート。
[1-3]前記セル間のマトリックス樹脂の厚さが1~30μmである上記[1-1]又は[1-2]に記載の多層発泡シート。
[1-4]前記スキン層それぞれの厚さが、0.01~0.15mmであるとともに、前記発泡樹脂層の厚さが0.03~0.95mmである上記[1-1]~[1-3]のいずれか1項に記載の多層発泡シート。
[1-5]多層発泡シートの見かけ密度が0.15~0.85g/cmである上記[1-1]~[1-4]のいずれか1項に記載の多層発泡シート。
[1-6]前記発泡樹脂層及びスキン樹脂層を構成する樹脂が、ポリオレフィン樹脂を含む上記[1-1]~[1-5]のいずれか1項に記載の多層発泡シート。
[1-7]多層発泡シートの25%圧縮強度が20~1000kPaである上記[1-1]~[1-6]のいずれか1項に記載の多層発泡シート。
[1-8]前記発泡樹脂層が、樹脂と熱分解型発泡剤とを含む発泡性組成物を発泡してなる発泡体である上記[1-1]~[1-7]のいずれか1項に記載の多層発泡シート。
[1-9]上記[1-1]~[1-8]のいずれか1項に記載の多層発泡シートと、前記多層発泡シートの少なくともいずれか一方の面に設けた粘着材とを備える粘着テープ。
[1-10]上記[1-1]~[1-8]のいずれか1項に記載の多層発泡シートの製造方法であって、樹脂と熱分解型発泡剤とを含む発泡性組成物からなる発泡性シートと、樹脂シートとを積層して多層シートを得て、前記多層シートを加熱することで前記発泡性シートを発泡させ、又は、発泡させかつ前記多層シートを延伸する、多層発泡シートの製造方法。
【0008】
本発明の第2の態様は、以下の[2-1]~[2-12]を提供するものである。
[2-1] 厚さが0.05~1.2mmである多層発泡シートであって、気泡からなるセルを複数有する発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層とを備えるとともに、前記スキン樹脂層が、前記発泡樹脂層のセル間のマトリックス樹脂の厚さよりも厚い多層発泡シート。
[2-2] 前記スキン樹脂層それぞれの厚さは、セル間のマトリックス樹脂の厚さの2~100倍である[2-1]に記載の多層発泡シート。
[2-3] 前記発泡樹脂層における前記セル間のマトリックス樹脂の厚さが1~30μmである[2-1]又は[2-2]に記載の多層発泡シート。
[2-4] 前記スキン樹脂層それぞれの厚さが、0.01~0.15mmであるとともに、前記発泡樹脂層の厚さが0.03~0.95mmである[2-1]~[2-3]のいずれかに記載の多層発泡シート。
[2-5] 多層発泡シートの見かけ密度が0.05~0.85g/cmである[2-1]~[2-4]のいずれかに記載の多層発泡シート。
[2-6] 前記発泡樹脂層及びスキン樹脂層それぞれを構成する樹脂が、ポリオレフィン樹脂を含む[2-1]~[2-5]のいずれかに記載の多層発泡シート。
[2-7] 多層発泡シートの25%圧縮強度が20~1000kPaである[2-1]~[2-6]のいずれかに記載の多層発泡シート。
[2-8] 前記発泡樹脂層が、樹脂と熱分解型発泡剤とを含む発泡性組成物を発泡してなる発泡体である[2-1]~[2-7]のいずれかに記載の多層発泡シート。
[2-9] 前記スキン樹脂層に発泡剤が含有されてなる[2-1]~[2-8]のいずれかに記載の多層発泡シート。
[2-10] 前記スキン樹脂層の架橋度が前記発泡樹脂層の架橋度よりも大きい[2-1]~[2-9]のいずれかに記載の多層発泡シート。
[2-11] [2-1]~[2-10]のいずれかに記載の多層発泡シートと、前記多層発泡シートの少なくともいずれか一方の面に設けた粘着材とを備える粘着テープ。
[2-12] 気泡からなるセルを複数有する発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層とを備える、[2-1]~[2-10]のいずれかに記載の多層発泡シートの製造方法であって、前記スキン樹脂層の架橋度が前記発泡樹脂層の架橋度よりも大きくなるように、電離放射線を照射して架橋する、多層発泡シートの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発泡シートを薄くした場合であっても、衝撃吸収性等の発泡シートが本来有する特性を良好に維持しつつ、機械強度が高い発泡シートを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る多層発泡シートを示す模式的な断面図である。
図2】別の一実施形態に係る多層発泡シートを示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、厚さが0.05~2.0mmである多層発泡シートであって、気泡からなるセルを複数有する発泡樹脂層と、前記発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層とを備えるとともに、前記スキン樹脂層が、前記発泡樹脂層のセル間のマトリックス樹脂の厚さよりも厚い多層発泡シートである。
厚さを0.05mm未満とすると、スキン樹脂層、発泡樹脂層の厚さが必要以上に小さくなり、機械強度、衝撃吸収性等の各種機能を良好にすることが難しくなる。また、2.0mmより大きくすると、薄型化された各種電子機器に適用することが特に難しくなるとともに、スキン樹脂層が必要以上に厚くなって、多層発泡シートの衝撃吸収性、柔軟性が損なわれやすくなる。
本発明は、主に、下記第1の態様及び第2の態様を含む。以下、本発明について、これらの態様に係るそれぞれの実施形態を用いて詳細に説明する。
なお、第1の態様及び第2の態様は、多層発泡シートにおいて、発泡樹脂層の少なくとも一方の面に、発泡樹脂層のセル間の厚さよりも厚いスキン層を設ける点で共通している。一方で、第1の態様及び第2の態様は、各種の厚さや見かけ密度等の範囲が相違するが、特に、第1の態様は、発泡剤を含有しない樹脂組成物によりスキン層が形成されてなり、第2の態様は、スキン層の架橋度が高くなっており、発泡剤を含有する樹脂組成物によりスキン層が形成されていてもよいという点で相違している。
【0012】
[1]第1の態様
[多層発泡シート]
本発明の第1の態様に係る多層発泡シートは、発泡樹脂層と、発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層と備える。発泡樹脂層は、発泡体により構成され、気泡よりなる多数のセルが設けられる。発泡樹脂層において、セルとセルの間は、発泡体を構成するマトリックス樹脂よりなる隔壁を介して隔てられている。スキン樹脂層は、非発泡体であり、気泡よりなるセルを有しない樹脂層である。
【0013】
図1に示すように、多層発泡シート10は、発泡樹脂層11と、その両面に積層されたスキン層12、12を備えるものでもよいし、図2に示すように、発泡樹脂層11と、その一方の面のみに積層されるスキン樹脂層12を備えるものでよいが、図1に示すように、両面にスキン樹脂層12、12が設けられることが好ましい。両面にスキン層12を設けることで、多層発泡シート10の機械強度を高めやすくなる。
スキン樹脂層12は、後述する共押出等により、発泡樹脂層11に直接積層することが好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲で、接着剤層等の他の層を介して発泡樹脂層11に積層してもよい。
【0014】
以下、多層発泡シートについてより詳細に説明する。
(厚さ)
本態様では、各スキン樹脂層の厚さが、セル間のマトリックス樹脂の厚さ(以下、単に“セル間厚さ”ともいう)よりも大きくなる。各スキン樹脂層の厚さをセル間厚さよりも大きくすることで、多層発泡シートの機械強度、例えば、引張強度、引裂き強度等が良好になる。そのため、多層発泡シートを粘着テープに使用したときにはリワーク性が良好となる。
なお、セル間厚さとは、後述する実施例で詳述するように、発泡樹脂層の断面を拡大して観察して測定した、隣接するセル間のマトリックス樹脂(すなわち、隔壁)の厚さの平均値をいう。
【0015】
また、各スキン樹脂層の厚さは、セル間厚さの150倍以下であることが好ましい。150倍以下とすることで、各スキン樹脂層は、必要以上の厚さにならずに、多層発泡シートの柔軟性、衝撃吸収性等を良好にしやすくなる。また、機械強度、柔軟性、衝撃吸収性をバランスよく良好にする観点から、各スキン樹脂層の厚さは、セル間厚さの2~120倍であることがより好ましく、2.5~100倍であることがさらに好ましい。
【0016】
また、本態様の多層発泡シートは、その厚さが0.05~1.0mmとなるものである。多層発泡シートは、厚さを0.05mm未満とすると、スキン樹脂層、発泡樹脂層の厚さが必要以上に小さくなり、機械強度、衝撃吸収性等の各種機能を良好にすることが難しくなる。また、1.0mmより大きくすると、薄型化された各種電子機器に適用することが難しくなるとともに、スキン樹脂層が必要以上に厚くなって、多層発泡シートの衝撃吸収性、柔軟性が損なわれやすくなる。
多層発泡シートの厚さは、各種性能を良好にしつつ、薄型化された電子機器に使用しやすくするために、好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.12~0.40mmである。
【0017】
また、多層発泡シートにおいて、各スキン樹脂層の厚さが0.01~0.15mmであるとともに、発泡樹脂層の厚さが0.03~0.95mmであることが好ましい。スキン樹脂層及び発泡樹脂層の厚さを上記範囲内とすることで、機械強度、柔軟性、衝撃吸収性をバランスよく良好にしやすくなる。また、各スキン樹脂層の厚さは、0.02~0.09mmがより好ましく、0.03~0.06mmがさらに好ましい。一方で、発泡樹脂層の厚さは、より好ましくは0.05~0.90mm、さらに好ましくは0.06~0.30mmである。なお、発泡樹脂層の厚さは、通常、スキン樹脂層それぞれの厚さよりも大きくなり、発泡樹脂層の厚さは、スキン樹脂層それぞれの厚さの2~20倍が好ましく、より好ましくは2~15倍、さらに好ましくは3~10倍である。
【0018】
(セル間厚さ)
発泡樹脂層におけるセル間厚さは、1~30μmであることが好ましい。セル間厚さをこのような範囲内とすることで、機械強度、柔軟性、衝撃吸収性をバランスよく良好にしやすくなる。これらの観点から、セル間厚さは、2~25μmがより好ましく、5~20がさらに好ましい。
【0019】
(平均気泡径)
発泡樹脂層における気泡の平均気泡径は、好ましくはMDにおいて30~350μm、TDにおいて30~400μm、ZDにおいて10~150μmとなるものである。また、発泡樹脂層における気泡の平均気泡径は、より好ましくは、MDにおいて60~300μm、TDにおいて60~300μm、ZDにおいて15~70μmとなるものである。
また、気泡のZDの平均気泡径に対するMDの平均気泡径の比(以下、“MD/ZD”ともいう)が1.2~8であるとともに、ZDの平均気泡径に対するTDの平均気泡径の比(以下、“TD/ZD”ともいう)が1.5~9であることが好ましい。さらには、MD/ZDが1.5~7、TD/ZDが1.5~7であることがより好ましい。
平均気泡径及び平均気泡径の比を上記範囲内とすると、多層発泡シートの柔軟性、衝撃吸収性等が良好となりやすい。
なお、MDは、Machine directionを意味し、押出方向等と一致する方向であるとともに、TDは、Transverse directionを意味し、MDに直交する方向であり、多層発泡シートのシート面に平行な方向である。また、ZDは、多層発泡シートの厚さ方向であり、MD及びTDのいずれにも垂直な方向である。
【0020】
(独立気泡率)
発泡樹脂層は、独立気泡を有するものであり、独立気泡率が70%以上となるものである。このように、発泡樹脂層の内部に包含された気泡は概ね独立気泡となり、衝撃吸収性等を良好にしやすくなる。独立気泡率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90~100%である。なお、独立気泡率は、ASTM D2856(1998)に準拠して求めることができる。
【0021】
独立気泡率は、より詳細には下記の要領で測定できる。
まず、発泡樹脂層から一辺が5cmの平面正方形状の試験片を切り出す。そして、試験片の厚さを測定して試験片の見掛け体積V1を算出すると共に、試験片の重量W1を測定する。
次に、気泡の占める体積V2を下記式に基づいて算出する。なお、試験片を構成しているマトリックス樹脂の密度はρ(g/cm3)とする。
気泡の占める体積V2=V1-W1/ρ
続いて、試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間に亘って加える。その後、水中で加圧から解放し、1分間静置した後、試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去して試験片の重量W2を測定し、下記式に基づいて連続気泡率F1及び独立気泡率F2を算出する。
連続気泡率F1(%)=100×(W2-W1)/V2
独立気泡率F2(%)=100-F1
【0022】
(見かけ密度、発泡倍率)
多層発泡シート全体の見かけ密度は、0.15~0.85g/cm3であることが好ましく、0.20~0.80g/cm3であることがより好ましく、0.20~0.60g/cm3であることがさらに好ましい。多層発泡シートの見かけ密度を上記範囲内とすることで、多層発泡シートの柔軟性、機械強度等を適切にし、多層発泡シートの衝撃吸収性を良好にしやすくなる。
また、発泡樹脂層の発泡倍率は、特に限定されないが、1.5~10cm3/gであることが好ましく、1.8~8.0cm3/gであることがより好ましい。
なお、発泡倍率は、見かけ密度を測定してその逆数を求めたものである。また、見かけ密度は、JIS K7222に準拠して測定したものである。
【0023】
(架橋度)
多層発泡シートは、架橋されたものが好ましい。具体的には、発泡樹脂層及びスキン樹脂層の架橋度はそれぞれ、好ましくは15~60質量%、より好ましくは20~50質量%である。発泡樹脂層及びスキン樹脂層の架橋度を上記範囲内とすることで、多層発泡シートの機械強度、柔軟性、衝撃吸収性等を良好にしやすくなる。また、発泡樹脂層における発泡を適切に行うことが可能になる。なお、架橋度の測定方法は、以下のとおりである。
スキン樹脂層、発泡樹脂層それぞれから約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出した。
架橋度(質量%)=100×(B/A)
【0024】
(25%圧縮強度)
多層発泡シートの25%圧縮強度は、20~1000kPaであることが好ましい。20kPa以上とすることで機械強度が良好となり、1000kPa以下とすることで多層発泡シートの柔軟性、衝撃吸収性等が良好になる。多層発泡シートの25%圧縮強度は、30~800kPaであることがより好ましい。
【0025】
(引張り強度)
多層発泡シートの引張り強度は、MDにおいて5~30MPa、TDにおいて5~25MPaであることが好ましく、MDにおいて10~25MPa、TDにおいて8~20MPaであることがより好ましい。引張り強度をこれら範囲とすることで、多層発泡シートの機械強度を良好にしやすくなる。なお、本発明において多層発泡シートの25%圧縮強度、引張り強度はJISK6767の方法に従って測定したものである。
【0026】
[樹脂]
発泡樹脂層及びスキン樹脂層それぞれを構成する樹脂としては、各種の樹脂を使用すればよいが、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂の他、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのオレフィン系エラストマー、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)等のエラストマー樹脂を用いることもできる。
【0027】
(ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中ではポリエチレン樹脂が好ましい。ポリエチレン樹脂としては、チーグラー・ナッタ化合物、メタロセン化合物、酸化クロム化合物等の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂が挙げられる。
【0028】
また、ポリエチレン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、多層発泡シートに高い柔軟性を与えるとともに、発泡樹脂層、スキン樹脂層の薄肉化が可能になる。また、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン(例えば、全モノマー量に対して75質量%以上、好ましくは90質量%以上)と必要に応じて少量のα-オレフィンとを共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。
α-オレフィンとして、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、及び1-オクテン等が挙げられる。
なかでも、炭素数4~10のα-オレフィンが好ましい。
ポリエチレン樹脂、例えば上記した直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.870~0.910g/cmが好ましく、0.875~0.907g/cmがより好ましく、0.880~0.905g/cmが更に好ましい。ポリエチレン樹脂としては、複数のポリエチレン樹脂を用いることもでき、また、上記した密度範囲以外のポリエチレン樹脂を加えてもよい。
【0029】
(メタロセン化合物)
メタロセン化合物としては、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造を有するビス(シクロペンタジエニル)金属錯体等の化合物を挙げることができる。より具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、及び白金等の四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物を挙げることができる。
このようなメタロセン化合物は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えている。メタロセン化合物を用いて合成した重合体は、分子量、分子量分布、組成、組成分布等の均一性が高いため、メタロセン化合物を用いて合成した重合体を含むシートを架橋した場合には、架橋が均一に進行する。均一に架橋されたシートは、均一に発泡されるため、物性を安定させやすくなる。また、均一に延伸できるため、発泡樹脂層、スキン樹脂層の厚さを均一にできる。
【0030】
リガンドとしては、例えば、シクロペンタジエニル環、インデニル環等を挙げることができる。これらの環式化合物は、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素-置換メタロイド基により置換されていてもよい。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種アミル基、各種ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種セチル基、フェニル基等が挙げられる。なお、「各種」とは、n-、sec-、tert-、iso-を含む各種異性体を意味する。
また、環式化合物をオリゴマーとして重合したものをリガンドとして用いてもよい。
更に、π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素や臭素等の一価のアニオンリガンド又は二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィド等を用いてもよい。
【0031】
四価の遷移金属やリガンドを含むメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル-t-ブチルアミドジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
メタロセン化合物は、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。具体的な共触媒としては、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物等が挙げられる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10~100万モル倍が好ましく、50~5,000モル倍がより好ましい。
発泡樹脂層、スキン樹脂層それぞれに含まれるポリオレフィン樹脂として、上記した直鎖状低密度ポリエチレンを使用する場合、上記の直鎖状低密度ポリエチレンを単独で使用してもよいが、他のポリオレフィン樹脂と併用してもよく、例えば、以下に述べる他のポリオレフィン樹脂と併用してもよい。他のポリオレフィン樹脂を併用する場合、直鎖状低密度ポリエチレン(100質量%)に対する他のポリオレフィン樹脂の割合は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0032】
ポリオレフィン樹脂として使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体は、例えば、エチレンを50質量%以上含有するエチレン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
また、ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレンを50質量%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プロピレン-α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等が挙げることができ、これらの中では、炭素数6~12のα-オレフィンが好ましい。
【0033】
また、発泡樹脂層、スキン樹脂層それぞれにおいて、樹脂としてポリオレフィン樹脂を使用する場合、発泡樹脂層、スキン樹脂層それぞれに含有される樹脂は、ポリオレフィン樹脂を単独で使用してもよいが、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含んでもよい。発泡樹脂層、スキン樹脂層それぞれにおいて、ポリオレフィン樹脂の樹脂全量に対する割合は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂として併用されるポリオレフィン樹脂以外の樹脂としては、上記した各種樹脂が挙げられる。
さらに、発泡樹脂層、スキン樹脂層に使用される樹脂は、互いに同種のものを使用してもよいし、互いに異なるものを使用してもよい。すなわち、発泡樹脂層にポリオレフィン樹脂を使用する場合には、スキン樹脂層にもポリオレフィン樹脂を使用することが好ましく、発泡樹脂層にポリエチレン樹脂を使用する場合には、スキン樹脂層にもポリエチレン樹脂を使用するとよい。
【0034】
[発泡剤]
本態様の発泡樹脂層は、上記樹脂と発泡剤とを含む発泡性組成物を発泡してなる発泡体であることが好ましい。発泡して得られた発泡樹脂層は、樹脂単体又は必要に応じて添加剤が配合された樹脂をマトリックス樹脂として、気泡からなるセルを内部に多数有する発泡体により構成される。
発泡剤としては、熱分解発泡剤が挙げられ、熱分解型発泡剤としては、有機発泡剤、無機発泡剤が使用可能である。熱分解型発泡剤は、通常、樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するものを使用し、例えば分解温度が140~270℃のものを使用すればよい。
具体的な有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。
発泡性組成物における熱分解型発泡剤の配合量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5~20質量部、より好ましくは1~15質量部、さらに好ましくは1~10質量部である。
【0035】
[その他の添加剤]
発泡樹脂層、すなわち、発泡性組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材、分解温度調整剤等の発泡体に一般的に使用する添加剤を配合されてもよい。これらの中では酸化防止剤、分解温度調整剤を使用することが好ましい。
また、スキン樹脂層は、発泡剤を含有しない樹脂組成物により形成されるものであり、樹脂単体からなるものであってもよいし、樹脂に、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材、分解温度調整剤等の各種添加剤が配合されたものであってもよい。これらの中では、酸化防止剤を使用することが好ましい。
【0036】
スキン樹脂層、発泡樹脂層に使用される酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、スキン樹脂層、発泡樹脂層それぞれにおいて、樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.2~5質量部がより好ましい。
また、分解温度調整剤の具体的な化合物としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素等が挙げられる。分解温度調整剤の含有量は、スキン樹脂層、発泡樹脂層それぞれにおいて、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.1~3質量部である。
【0037】
[多層発泡シートの製造方法]
本発明の第1の態様に係る多層発泡シートは、特に制限されるわけではないが、例えば、以下の工程(1)~(2)を含む方法で製造する。
工程(1):樹脂と熱分解型発泡剤とを含む発泡性組成物からなる発泡性シートと、樹脂シートとを積層して多層シートを得る工程
工程(2):多層シートを加熱することで前記発泡性シートを発泡させる工程
【0038】
工程(1)において、多層シートは、共押出により成形することが好ましい。具体的には、樹脂、発泡剤、その他必要に応じて配合される添加剤を第1の押出機に供給して溶融混練し、第1の押出機からシート状の発泡性組成物(すなわち、発泡性シート)を押し出す。この押し出しとともに、スキン樹脂層を構成する樹脂、その他必要に応じて配合される添加剤を第2の押出機に供給して溶融混練し、第2の押出機からシート状の樹脂組成物(すなわち樹脂シート)を押し出し、それらを積層して多層シートを得ればよい。また、発泡樹脂層の両面にスキン樹脂層を積層する場合には、樹脂組成物を押し出すための第2の押出機を2つ用意して、発泡性シートの両面に樹脂シートを積層すればよい。
また、多層シートは、共押出以外の方法で成形してもよく、例えば、予めシート状に成形した発泡性シートと、樹脂シートとをロール間等で圧着して多層シートとしてもよい。
【0039】
工程(2)において、多層シートを加熱する方法は、多層シートを熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴により加熱する方法、オイルバスにより加熱する方法等が挙げられ、これらは併用してもよい。また、加熱温度は、熱分解型発泡剤の発泡温度以上であればよいが、好ましくは200~300℃、より好ましくは220~280℃である。
【0040】
工程(2)の最中、または後工程において多層シートを延伸してもよい。すなわち、発泡性シートを発泡させて多層発泡シートとした後に延伸を行ってもよいし、発泡性シートを発泡させつつ延伸を行ってもよい。本製造方法では、多層発泡シートを延伸することで上記した範囲の平均気泡径、セル間厚さを得やすくなる。なお、発泡性シートを発泡させた後、多層発泡シートを延伸する場合には、多層発泡シートを冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて多層発泡シートを延伸してもよく、多層発泡シートを冷却した後、再度、多層発泡シートを加熱して溶融又は軟化状態とした上で多層発泡シートを延伸してもよい。
多層発泡シートは、MD及びTDの一方に延伸させてもよいし、両方向に延伸させてもよいが、両方向に延伸させることが好ましい。
多層発泡シートの延伸は、延伸により多層発泡シートの厚さが0.1~0.9倍となるように行うことが好ましく、より好ましくは0.15~0.75倍、さらに好ましくは0.25~0.45倍となるように行う。これら範囲内となるように多層発泡シートを延伸することで、多層発泡シートの圧縮強度及び引張強度が良好になりやすくなる。また、下限値以上とすると、発泡シートが延伸中に破断したり、発泡中の発泡樹脂層から発泡ガスが抜けて発泡倍率が著しく低下したりすることを防止する。
また、延伸時に多層発泡シートは、例えば100~280℃、好ましくは150~260℃に加熱すればよい。
【0041】
本製造方法では、工程(1)と工程(2)の間に多層シートを架橋する工程(架橋工程)を行うことが好ましい。架橋工程において、多層シートを架橋する方法としては、多層シートに電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法を用いる。上記電離放射線の照射量は、得られる多層発泡シートの架橋度が上記した所望の範囲となるように調整すればよいが、1~15Mradであることが好ましく、4~13Mradであることがより好ましい。
【0042】
多層発泡シートの製造方法は、上記した方法に限定されずに、上記以外の方法であってもよい。例えば、電離性放射線を照射する代わりに、発泡性組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、発泡性組成物を加熱して有機過酸化物を分解させる方法等により架橋を行ってもよい。
【0043】
多層発泡シートの用途は、特に限定されないが、例えば電子機器内部で使用することが好ましい。本態様の多層発泡シートは、薄厚であるため、薄型の電子機器、例えば、各種の携帯電子機器内部で好適に使用できる。携帯電子機器としては、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、携帯音楽機器等が挙げられる。多層発泡シートは、電子機器内部において、衝撃を吸収するための衝撃吸収材、部材間の隙間を埋めるシール材等として使用可能である。
【0044】
[粘着テープ]
また、第1の態様に係る多層発泡シートは、多層発泡シートを基材とする粘着テープに使用してもよい。粘着テープは、例えば、多層発泡シートと、多層発泡シートの少なくともいずれか一方の面に設けた粘着材とを備えるものである。粘着テープは、粘着材を介して他の部材に接着することが可能になる。粘着テープは、多層発泡シートの両面に粘着材を設けたものでもよいし、片面に粘着材を設けたものでもよい。粘着テープも衝撃吸収材、シール材として使用可能である。
また、粘着材は、多層発泡シートにおいて、スキン樹脂層が設けられた表面上に設けられることが好ましい。このような構成により、リワーク時に多層発泡シートが破損されにくくなる。
【0045】
また、粘着材は、少なくとも粘着剤層を備えるものであればよく、多層発泡シートの表面に積層された粘着剤層単体であってもよいし、多層発泡シートの表面に貼付された両面粘着シートであってもよいが、粘着剤層単体であることが好ましい。なお、両面粘着シートは、基材と、基材の両面に設けられた粘着剤層とを備えるものである。両面粘着シートは、一方の粘着剤層を多層発泡シートに接着させるとともに、他方の粘着剤層を他の部材に接着させるために使用する。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いることができる。また、粘着材の上には、さらに離型紙等の剥離シートが貼り合わされてもよい。
粘着材の厚さは、5~200μmであることが好ましく、より好ましくは7~150μmであり、更に好ましくは10~100μmである。
【0046】
[2]第2の態様
[多層発泡シート]
本発明の第2の態様に係る多層発泡シートは、発泡樹脂層と、発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層と備える。発泡樹脂層は、発泡体により構成され、気泡よりなる多数のセルが設けられる。発泡樹脂層において、セルとセルの間は、発泡体を構成するマトリックス樹脂よりなる隔壁を介して隔てられている。スキン樹脂層は、非発泡体であり、気泡よりなるセルを有しない樹脂層である。
【0047】
第2の態様に係る多層発泡シートは、第1の態様と同様に、図1に示すように、発泡樹脂層11と、その両面に積層されたスキン樹脂層12、12を備えるものでもよいし、図2に示すように、発泡樹脂層11と、その一方の面のみに積層されるスキン樹脂層12を備えるものでよいが、図1に示すように、両面にスキン樹脂層12、12が設けられることが好ましい。両面にスキン樹脂層12を設けることで、多層発泡シート10の機械強度を高めやすくなる。
【0048】
以下、多層発泡シートについてより詳細に説明する。
(厚さ)
本態様では、各スキン樹脂層の厚さが、セル間のマトリックス樹脂の厚さ(以下、単に“セル間厚さ”ともいう)よりも大きくなる。各スキン樹脂層の厚さをセル間厚さよりも大きくすることで、多層発泡シートの機械強度、例えば、引張強度、引裂き強度等が良好になる。そのため、多層発泡シートを粘着テープに使用したときにはリワーク性が良好となる。
なお、セル間厚さとは、第1の態様と同様に、発泡樹脂層の断面を拡大して観察して測定した、隣接するセル間のマトリックス樹脂(すなわち、隔壁)の厚さの平均値をいう。 また、上記したように、気泡がない(後述の拡大写真で気泡が確認できない)層がスキン樹脂層、気泡がある層が発泡樹脂層であるため、気泡がない層と気泡がある層の境界から多層発泡シートの表面までの距離をスキン樹脂層の厚さとする。このとき、デジタルマイクロスコープ(例えば、キーエンス社製、「VHX-900」等)を用いて、例えば、500倍倍率で拡大写真を撮影し、スキン樹脂層と発泡樹脂層との境界を確認する。
各スキン樹脂層の厚さは、セル間厚さの2~100倍であることが好ましい。2~100倍とすることで、各スキン樹脂層は、必要以上の厚さにならずに、多層発泡シートの柔軟性、衝撃吸収性等を良好にしやすくなる。また、機械強度、柔軟性、衝撃吸収性をバランスよく良好にする観点から、各スキン樹脂層の厚さは、セル間厚さの2~50倍であることがより好ましく、2~40倍であることがさらに好ましい。
【0049】
また、本態様の多層発泡シートは、その厚さが0.05~1.2mmとなるものである。多層発泡シートは、厚さを0.05mm未満とすると、スキン樹脂層、発泡樹脂層の厚さが必要以上に小さくなり、機械強度、衝撃吸収性等の各種機能を良好にすることが難しくなる。また、1.2mmより大きくすると、薄型化された各種電子機器に適用することが難しくなる。
多層発泡シートの厚さは、各種性能を良好にしつつ、薄型化された電子機器に使用しやすくするために、好ましくは0.05~1.0mm、より好ましくは0.08~1.0mmである。
【0050】
また、多層発泡シートにおいて、各スキン樹脂層の厚さが0.01~0.15mmであるとともに、発泡樹脂層の厚さが0.03~0.95mmであることが好ましい。スキン樹脂層及び発泡樹脂層の厚さを上記範囲内とすることで、機械強度、柔軟性、衝撃吸収性をバランスよく良好にしやすくなる。また、各スキン樹脂層の厚さは、0.02~0.13mmがより好ましく、0.03~0.10mmがさらに好ましい。一方で、発泡樹脂層の厚さは、より好ましくは0.05~0.90mm、さらに好ましくは0.06~0.50mmである。なお、発泡樹脂層の厚さは、通常、スキン樹脂層それぞれの厚さよりも大きくなり、発泡樹脂層の厚さは、スキン樹脂層それぞれの厚さの2~20倍が好ましく、より好ましくは2~15倍、さらに好ましくは3~10倍である。
【0051】
(セル間厚さ)
発泡樹脂層におけるセル間厚さは、1~30μmであることが好ましい。セル間厚さをこのような範囲内とすることで、機械強度、柔軟性、衝撃吸収性をバランスよく良好にしやすくなる。これらの観点から、セル間厚さは、2~25μmがより好ましく、5~20μmがさらに好ましい。
【0052】
(平均気泡径)
発泡樹脂層における気泡の平均気泡径は、第1の態様における平均気泡径と同様である。
なお、後述するように、第2の態様に係る多層発泡シートでは、スキン樹脂層の架橋度を高くするものであるが、それに伴い、発泡樹脂層でもスキン樹脂層近傍部分の架橋度は、発泡樹脂層の厚さ方向における中心位置の架橋度よりも高くなる。架橋度が高いことにより、発泡樹脂層において、スキン樹脂層近傍部分の気泡径は、中心位置の気泡径よりも小さくなる。
【0053】
(独立気泡率)
第2の態様における発泡樹脂層は、独立気泡を有するものであるが、当該発泡樹脂層における独立気泡率は、第1の態様における独立気泡率と同様である。
【0054】
(見かけ密度、発泡密度)
多層発泡シート全体の見かけ密度は、0.05~0.85g/cmであることが好ましく、0.07~0.80g/cmであることがより好ましく、0.1~0.60g/cmであることがさらに好ましい。多層発泡シートの見かけ密度を上記範囲内とすることで、多層発泡シートの柔軟性、機械強度等を適切にし、多層発泡シートの衝撃吸収性を良好にしやすくなる。
また、発泡樹脂層の発泡倍率は、特に限定されないが、1.5~12cm/gであることが好ましく、1.8~11cm/gであることがより好ましい。
なお、発泡倍率は、見かけ密度を測定してその逆数を求めたものである。また、見かけ密度は、JIS K7222に準拠して測定したものである。
【0055】
(架橋度)
多層発泡シートは、架橋されたものが好ましい。具体的には、発泡樹脂層の架橋度は、第1の態様と同様で、好ましくは15~60質量%、より好ましくは20~50質量%である。発泡樹脂層の架橋度を上記範囲内とすることで、多層発泡シートの機械強度、柔軟性、衝撃吸収性等を良好にしやすくなる。また、発泡樹脂層における発泡を適切に行うことが可能になる。
【0056】
スキン樹脂層の架橋度は発泡樹脂層の架橋度よりも大きいことが好ましい。また、スキン樹脂層の架橋度は、60質量%以上が好ましく、63質量%以上がより好ましく、65質量%以上がさらに好ましい。後述する発泡性シートにおいてスキン樹脂層となる表層は、コア樹脂層となる内層と同様に発泡剤が配合されるものであるが、高架橋にすることで、加熱しても表層の発泡剤が発泡されず、または発泡後に気泡が成長できず、高密度のスキン樹脂層を形成することが可能である。なお、架橋度の測定方法は、第1の態様における架橋度の測定方法と同様である。
【0057】
(スキン樹脂層中の発泡剤)
スキン樹脂層に発泡剤が含有(残留)されてなることが好ましい。ここでいう発泡剤は発泡樹脂層を形成する際に配合される発泡剤である。スキン樹脂層は後述するように、所定の樹脂と発泡剤とを含む発泡性樹脂組成物を発泡させる前に、電離放射線を所定の条件で照射してスキン樹脂層となる表層を内層に比べて高架橋させる。その結果、その後の発泡の際には、当該表層では発泡剤による発泡が起こらないか、起こっても発泡剤の粒子径レベルまでしか気泡が成長できない。ほとんどそのまま発泡剤としてスキン樹脂層に存在する場合のスキン樹脂層における発泡剤の含有量は、スキン樹脂層を構成する樹脂100質量部に対して0.5~20質量部程度であることが好ましい。
【0058】
(25%圧縮強度)
多層発泡シートの25%圧縮強度の好ましい範囲、より好ましい範囲等は、第1の態様の25%圧縮強度と同様である。
【0059】
(引張り強度)
多層発泡シートの引張り強度は、MDにおいて4~30MPa、TDにおいて2~25MPaであることが好ましく、MDにおいて4.5~25MPa、TDにおいて2.5~20MPaであることがより好ましい。引張り強度をこれら範囲とすることで、多層発泡シートの機械強度を良好にしやすくなる。
【0060】
[樹脂]
発泡樹脂層及びスキン樹脂層それぞれを構成する樹脂としては、各種の樹脂を使用すればよく、第1の態様で挙げられた樹脂が例示されるが、これらの中では、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0061】
(ポリオレフィン樹脂)
ポリオレフィン樹脂としては、第1の態様で挙げられた樹脂が例示され、好ましい樹脂等も第1の態様のポリオレフィン樹脂と同様である。
すなわち、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中ではポリエチレン樹脂が好ましい。ポリエチレン樹脂としては、チーグラー・ナッタ化合物、メタロセン化合物、酸化クロム化合物等の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂が挙げられる。
【0062】
また、ポリエチレン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、多層発泡シートに高い柔軟性を与えるとともに、発泡樹脂層、スキン樹脂層の薄肉化が可能になる。また、直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン(例えば、全モノマー量に対して75質量%以上、好ましくは90質量%以上)と必要に応じて少量のα-オレフィンとを共重合することにより得られる直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。
α-オレフィンとして、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、及び1-オクテン等が挙げられる。なかでも、炭素数4~10のα-オレフィンが好ましい。
ポリエチレン樹脂、例えば上記した直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.870~0.910g/cmが好ましく、0.875~0.907g/cmがより好ましく、0.880~0.905g/cmが更に好ましい。ポリエチレン樹脂としては、複数のポリエチレン樹脂を用いることもでき、また、上記した密度範囲以外のポリエチレン樹脂を加えてもよい。
【0063】
(メタロセン化合物)
メタロセン化合物としては、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造を有するビス(シクロペンタジエニル)金属錯体等の化合物を挙げることができる。より具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、及び白金等の四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物を挙げることができる。
このようなメタロセン化合物は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えている。メタロセン化合物を用いて合成した重合体は、分子量、分子量分布、組成、組成分布等の均一性が高いため、メタロセン化合物を用いて合成した重合体を含むシートを架橋した場合には、架橋が均一に進行する。均一に架橋されたシートは、均一に発泡されるため、物性を安定させやすくなる。また、均一に延伸できるため、発泡樹脂層、スキン樹脂層の厚さを均一にできる。
【0064】
リガンドとしては、例えば、シクロペンタジエニル環、インデニル環等を挙げることができる。これらの環式化合物は、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素-置換メタロイド基により置換されていてもよい。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種アミル基、各種ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種セチル基、フェニル基等が挙げられる。なお、「各種」とは、n-、sec-、tert-、iso-を含む各種異性体を意味する。
また、環式化合物をオリゴマーとして重合したものをリガンドとして用いてもよい。
更に、π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素や臭素等の一価のアニオンリガンド又は二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィド等を用いてもよい。
【0065】
四価の遷移金属やリガンドを含むメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル-t-ブチルアミドジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
メタロセン化合物は、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。具体的な共触媒としては、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物等が挙げられる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10~100万モル倍が好ましく、50~5,000モル倍がより好ましい。
発泡樹脂層、スキン樹脂層それぞれに含まれるポリオレフィン樹脂として、上記した直鎖状低密度ポリエチレンを使用する場合、上記の直鎖状低密度ポリエチレンを単独で使用してもよいが、他のポリオレフィン樹脂と併用してもよく、例えば、以下に述べる他のポリオレフィン樹脂と併用してもよい。他のポリオレフィン樹脂を併用する場合、直鎖状低密度ポリエチレン(100質量%)に対する他のポリオレフィン樹脂の割合は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0066】
ポリオレフィン樹脂として使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体は、例えば、エチレンを50質量%以上含有するエチレン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
また、ポリプロピレン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレンを50質量%以上含有するプロピレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プロピレン-α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等が挙げることができ、これらの中では、炭素数6~12のα-オレフィンが好ましい。
【0067】
また、発泡樹脂層、スキン樹脂層それぞれにおいて、樹脂としてポリオレフィン樹脂を使用する場合、発泡樹脂層、スキン樹脂層それぞれに含有される樹脂は、第1の態様と同様で、ポリオレフィン樹脂を単独で使用してもよいが、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を含んでもよい。発泡樹脂層、スキン樹脂層それぞれにおいて、ポリオレフィン樹脂の樹脂全量に対する割合は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂として併用されるポリオレフィン樹脂以外の樹脂としては、上記した各種樹脂が挙げられる。
なお、第2の態様において、スキン樹脂層と発泡樹脂層との相違は主に架橋度であり、後述するように、発泡性シートに電離放射線を照射して架橋するまでの工程は共通しており、その材料も同一である。したがって、これらの層に使用される樹脂は必然的に同一のものとなる。
【0068】
[発泡剤]
本態様の発泡樹脂層は、第1の態様と同様で、上記樹脂と発泡剤とを含む発泡性組成物を発泡してなる発泡体であることが好ましい。発泡して得られた発泡樹脂層は、樹脂単体又は必要に応じて添加剤が配合された樹脂をマトリックス樹脂として、気泡からなるセルを内部に多数有する発泡体により構成される。
発泡剤としては、第1の態様の「発泡剤」と同様である。
【0069】
[その他の添加剤]
発泡樹脂層、すなわち、発泡性組成物には、第1の態様と同様で、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材、分解温度調整剤等の発泡体に一般的に使用する添加剤を配合されてもよい。これらの中では酸化防止剤、分解温度調整剤を使用することが好ましい。これらについても第1の態様と同様である。
【0070】
[多層発泡シートの製造方法]
本発明の多層発泡シートの製造方法は、気泡からなるセルを複数有する発泡樹脂層と、その発泡樹脂層の少なくとも一方の面に設けられるスキン樹脂層とを備える、既述の多層発泡シートの製造方法である。そして、スキン樹脂層の架橋度が発泡樹脂層の架橋度よりも大きくなるように、電離放射線(例えば、電子線、α線、β線、γ線など)を照射して架橋する工程を含む。
【0071】
本態様の多層発泡シートは、例えば、以下の工程(1)~(3)を含む方法で製造する。
工程(1):樹脂と熱分解型発泡剤とを含む発泡性組成物からなる発泡性シート得る工程
工程(2):スキン樹脂層となる表層の架橋度が発泡樹脂層となる内層の架橋度よりも大きくなるように、発泡性シートに電離放射線を照射して架橋する工程
工程(3):発泡性シートを加熱することで前記発泡性シートを発泡させる工程
【0072】
工程(1)において、発泡性シートは、押出により成形することが好ましい。具体的には、樹脂、発泡剤、その他必要に応じて配合される添加剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状の発泡性組成物(すなわち、発泡性シート)を押し出せばよい。
【0073】
工程(2)においては、スキン樹脂層となる発泡性シートの表層の架橋度が発泡樹脂層となる内層の架橋度よりも大きくするためには、加速電圧を低く抑えることで照射線量の深度を抑えることができるため表層部の架橋度のみを大きくすることができる。また、加速電圧を抑えることができない場合には、発泡性シートと照射口の間に電子線が減衰するような層を挟むことで照射線量の深度をおさえることができる。照射線量の深度と線量の制御が難しい場合には、電離放射線を複数回照射すればしてもよい。例えば、1回目の照射はシート全体に行い、2回目以降は内部まで架橋されない程度の線量で表層部のみの架橋度を向上させる。1回目の照射における加速電圧は300~800kV、照射量は2.5~10.0Mradであることが好ましく、加速電圧は350~600kV、照射量は3.5~8.0Mradであることがより好ましい。2回目以降における加速電圧は50~300kV、照射量は特に限定されないが、4.0~15.0Mradであることが好ましく、加速電圧は100~250kV、照射量は6.0~13.0Mradであることがより好ましい。
なお、1回目の照射(シート全体に行う照射)は両面同時で行ってもよいし、片面ずつ行ってもよい。また、その後の2回目以降の照射も両面同時で行ってもよいし、片面ずつ行ってもよい。
【0074】
工程(3)において、発泡性シートを加熱する方法は、発泡性シートを熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴により加熱する方法、オイルバスにより加熱する方法等が挙げられ、これらは併用してもよい。また、加熱温度は、熱分解型発泡剤の発泡温度以上であればよいが、好ましくは200~300℃、より好ましくは220~280℃である。
発泡性シートにおける表層は架橋度が高いため、加熱されても発泡剤が発泡して気泡が成長することができず、気泡によるセルが形成されない。一方で、内層は、加熱されることで発泡剤が発泡して、気泡によるセルが形成される。これらにより、スキン樹脂層と発泡樹脂層とが形成される。
【0075】
工程(3)の最中、または後工程において発泡性シートを延伸してもよい。すなわち、発泡性シートを発泡させた後に延伸を行ってもよいし、発泡性シートを発泡させつつ延伸を行ってもよい。本製造方法では、発泡性シートを延伸することで上記した範囲の平均気泡径、セル間厚さを得やすくなる。なお、発泡性シートを発泡させた後、延伸する場合には、発泡性シートを冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡性シートを延伸してもよく、これを冷却した後、再度、発泡性シートを加熱して溶融又は軟化状態とした上で延伸してもよい。
発泡性シートは、MD及びTDの一方に延伸させてもよいし、両方向に延伸させてもよいが、両方向に延伸させることが好ましい。
発泡性シートの延伸は、延伸によりその厚さが0.1~0.9倍となるように行うことが好ましく、より好ましくは0.15~0.75倍、さらに好ましくは0.25~0.45倍となるように行う。これら範囲内となるように発泡性シートを延伸することで、多圧縮強度及び引張強度が良好になりやすくなる。また、下限値以上とすると、発泡性シートが延伸中に破断したり、発泡中の発泡樹脂層から発泡ガスが抜けて発泡倍率が著しく低下したりすることを防止する。
また、延伸時に発泡性シートは、例えば100~280℃、好ましくは150~260℃に加熱すればよい。
【0076】
多層発泡シートの用途は、第1の態様と同様で、特に限定されないが、例えば電子機器内部で使用することが好ましい。本態様の多層発泡シートは、薄厚であるため、薄型の電子機器、例えば、各種の携帯電子機器内部で好適に使用できる。携帯電子機器としては、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、携帯音楽機器等が挙げられる。多層発泡シートは、電子機器内部において、衝撃を吸収するための衝撃吸収材、部材間の隙間を埋めるシール材等として使用可能である。
【0077】
[粘着テープ]
また、多層発泡シートは、第1の態様と同様で、多層発泡シートを基材とする粘着テープに使用してもよい。粘着テープ、粘着材等の詳細は第1の態様と同様である。
【実施例
【0078】
本発明を実施例A及び実施例Bにより更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0079】
[測定方法]
実施例A及び実施例Bにおける各物性の測定方法及び評価方法は、次の通りである。
<平均気泡径>
多層発泡シートを50mm四方にカットし、液体窒素に1分間浸した後にMD及びTDそれぞれに沿って厚さ方向に切断して、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、製品名VHX-900)を用いて200倍の拡大写真を撮影した。その撮影画像の発泡樹脂層において、MD、TDそれぞれにおける長さ2mm分の切断面に存在する全ての気泡についてMD,ZDの気泡径、及びTD,ZDの気泡径を測定し、その操作を5回繰り返した。そして、全ての気泡のMD、TDそれぞれの気泡径の平均値をMD、TDの平均気泡径とするとともに、以上の操作によって測定された全てのZDの気泡径の平均値をZDの平均気泡径とした。
<セル間厚さ>
また、平均気泡径の測定時と同様にして得た、MD及びZDに沿う平面に沿って切断した切断断面の1000倍拡大写真の発泡樹脂層において、MDに沿って隣接するセル間の最短距離を3点測定する。同じ操作を5回繰り返し、計15点の平均値をMDにおけるセル間厚さとする。同様に、TD及びZDに沿う平面に沿って切断した切断面の1000倍拡大写真において、TDに沿って隣接するセル間の最短距離を3点測定する。同じ操作を5回繰り返し、計15点の平均値をTDにおけるセル間厚さとする。そして、MDにおけるセル間厚さと、TDにおけるセル間厚さの平均値を発泡樹脂層におけるセル間厚さとした。
【0080】
<見かけ密度及び発泡倍率>
見かけ密度はJIS K7222に準拠して測定した。また、見かけ密度の逆数を発泡倍率とした。
<独立気泡率>
明細書記載の方法に従って測定した。
<25%圧縮強度>
JIS K6767に準拠して25%圧縮強度を測定した。
<引張り強度>
多層発泡シートをJIS K6251 4.1に規定されるダンベル状1号形にカットした。これを試料として用い、引張試験機(製品名.テンシロンRTF235、エー・アンド・デイ社製)により、測定温度23℃で、JISK6767に準拠して、MD及びTDの引張り強度を測定した。
【0081】
実施例Bにおける架橋度及び厚さの測定方法及び評価方法は、次の通りである。
<架橋度>
電子線照射後のシートの表層を薄膜スライサーで削ることで表層部分(スキン層)の試料とした。また、残りの部分を発泡樹脂層の試料とした。これらの試料について明細書記載の方法に従って架橋度を測定した。
【0082】
<厚さ>
気泡がない層(スキン樹脂層)と気泡がある層(発泡樹脂層)との境界から多層発泡シートの表面までの距離をスキン樹脂層の厚さとし、全体の厚さとスキン樹脂層の合計の厚さとの差から発泡樹脂層の厚さを求めた。具体的には、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、「VHX-900」)を用いて、500倍倍率で拡大写真を撮影して求めた。
【0083】
<<実施例A>>
[実施例1]
ポリオレフィン樹脂としてメタロセン化合物の重合触媒によって得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名「カーネルKF283」、密度:0.921g/cm)を使用した。この樹脂100質量部と、熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド2質量部と、分解温度調整剤である酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製商品名「OW-212F」)1質量部と、フェノール系酸化防止剤である2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.5質量部とを第1の押出機に供給して130℃で溶融混練した。また、2つ用意した第2の押出機それぞれに、上記のポリオレフィン樹脂100質量部と、分解温度調整剤1質量部と、酸化防止剤0.5質量部とを供給して130℃で溶融混練した。供給された各成分を混練して得た発泡性組成物を第1の押出機から、また、供給された各成分を混練して得た樹脂組成物を第2の押出機それぞれから共押出しして、厚さ0.21mmの発泡性シートの両面に厚さ0.10mmの樹脂シートを積層して多層シートを得た。
次に、多層シートの両面に加速電圧500kVの電子線を4Mrad照射して多層シートを架橋した後、架橋した多層シートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させ、その後、全体の厚さが表1の厚さとなるように、110℃でMD及びTDに延伸して多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートを上記評価方法に従って評価した。その結果を表1に示す。
【0084】
[比較例1]
樹脂シートを発泡性シートの両面に積層せず、また発泡性シート、発泡樹脂層の厚さが表1となるように調整した以外は実施例1と同様に実施して、発泡樹脂層単層からなる発泡シートを得た。得られた発泡シートの評価結果を表1に示す。
【0085】
【表1】


※なお、表1~3において、リワーク性評価とは、発泡樹脂層の圧縮強度が同程度である発泡樹脂層単体からなる発泡シートに比べて、粘着テープとしたときのリワーク性が良好か否かを3段階で示す指標であり、“3”が優れることを示し、“2”が良好であることを示し、“1”が同程度であることを示す。なお、本評価に使用した粘着テープは、多層発泡シートのスキン樹脂層が設けられた面に粘着剤層単層を積層したものである。
※表1~3において、発泡前の発泡樹脂層及びスキン樹脂層それぞれの厚さは、発泡性シート、及び樹脂シートの厚さを意味する。
【0086】
表1の結果から明らかなように、実施例1では、セル間厚さよりも厚いスキン樹脂層を発泡樹脂層の両面に積層することで、25%圧縮強度をある程度良好に維持しつつ、発泡樹脂層単層からなる比較例1に比べて引張り強度が良好となった。また、実施例1の多層発泡シートは、粘着剤層を片面に積層して粘着テープにしたときのリワーク性が比較例1より優れていた。
【0087】
[実施例2]
発泡性組成物の配合、各シート、層の厚さを表2に示すように調整して、実施例1と同様に実施して多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表2に示す。[比較例2]
発泡性組成物の配合、発泡性シート、発泡樹脂層の厚さを表2に示すように調整して、比較例1と同様に実施して発泡シートを得た。得られた発泡シートの評価結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
[実施例3]
発泡性組成物の配合、各シート、層の厚さを表3に示すように調整して、実施例1と同様に実施して多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表3に示す。
[実施例4]
発泡性組成物の配合を表3に示すように変更したうえで、実施例1と同様に実施して多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表3に示す。
[実施例5]
発泡性組成物の配合を表3に示すように変更し、発泡性シートの片面に樹脂シートを積層し、かつ各シート、層の厚さが表3となるように調整して、実施例1と同様に実施して、発泡樹脂層の片面のみにスキン樹脂層を有する多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表3に示す。
[比較例3]
発泡性組成物の配合、及び発泡性シート、発泡樹脂層の厚さを表3に示すように調整して、比較例1と同様に実施して発泡シートを得た。得られた発泡シートの評価結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】
表2、3の結果から明らかなように、発泡倍率を高くした場合であっても、実施例1と同様に、セル間厚さよりも厚いスキン樹脂層を発泡樹脂層の両面又は片面に積層することで、25%圧縮強度をある程度良好に維持しつつ、発泡樹脂層単層からなる比較例2、3に比べて引張り強度が良好となった。そして、実施例2~5の多層発泡シートは、粘着剤層を片面に積層して粘着テープにしたときのリワーク性が比較例2、3よりも良好であった。
【0092】
<<実施例B>>
[実施例6]
ポリオレフィン樹脂としてメタロセン化合物の重合触媒によって得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリエチレン社製、商品名「カーネルKF283」、密度:0.921g/cm)を使用した。この樹脂100質量部と、熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド1.4質量部と、分解温度調整剤である酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製商品名「OW-212F」)1質量部と、フェノール系酸化防止剤である2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール0.5質量部とを押出機に供給して130℃で溶融混練した。混練して得た発泡性組成物を押出機から押出しして、厚さ0.20mmの発泡性シートを得た。
次に、発泡性シートの両面に加速電圧500kVの電子線を4.0Mrad照射し内部まで架橋した後、さらに、シートの両面に加速電圧100kVの電子線を10Mrad照射して表層のみを架橋した。
架橋したシートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させて、発泡樹脂層を内層としその両面にスキン樹脂層が形成された多層発泡シートを得た。その後、表4の厚さとなるように、110℃でMD及びTDに延伸した。延伸後の多層発泡シートを上記評価方法に従って評価した。その結果を表4に示す。
【0093】
[比較例4]
照射工程で加速電圧500kVの電子線を4.0Mrad照射し内部まで架橋したのみで、追加で照射を行わなかった以外は、実施例6と同様にして多層発泡シートを得た。得られた発泡シートの評価結果を表4に示す。
【0094】
【表4】

※なお、表4(後述の表5~8も同様)において、リワーク性評価とは、発泡樹脂層の圧縮強度が同程度である発泡樹脂層単体からなる発泡シートに比べて、粘着テープとしたときのリワーク性が良好か否かを3段階で示す指標であり、“3”が優れることを示し、“2”が良好であることを示し、“1”が同程度であることを示す。なお、本評価に使用した粘着テープは、多層発泡シートのスキン樹脂層が設けられた面に粘着剤層単層を積層したものである。
【0095】
[実施例7]
発泡性組成物の配合、各シート、層の厚さを表5に示すように調整した以外は実施例6と同様にして発泡性シートを作製した。その両面に加速電圧500kVの電子線を4.0Mrad照射し内部まで架橋した後、さらに、シートの両面に加速電圧120kVの電子線を10.0Mrad照射して表層のみを架橋した。その後は実施例6と同様にして、発泡、延伸を行い多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表5に示す。
【0096】
[比較例5]
照射工程で加速電圧500kVの電子線を4.0Mrad照射し内部まで架橋したのみで、追加で照射を行わなかった以外は、実施例7と同様にして多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表5に示す。
【0097】
【表5】

【0098】
[実施例8]
発泡性組成物の配合、各シート、層の厚さを表6に示すように調整した以外は実施例6と同様にして発泡性シートを作製した。その両面に加速電圧500kVの電子線を4.5Mrad照射し内部まで架橋した後、さらに、シートの両面に加速電圧130kVの電子線を10Mrad照射して表層のみを架橋した。その後は実施例6と同様にして、発泡、延伸を行い多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表6に示す。
【0099】
[比較例6]
照射工程で加速電圧500kVの電子線を4.5Mrad照射し内部まで架橋したのみで、追加で照射を行わなかった以外は実施例8と同様にして多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表6に示す。
【0100】
【表6】
【0101】
[実施例9]
発泡性組成物の配合、各シート、層の厚さを表7に示すように調整した以外は実施例6と同様にして発泡性シートを作製した。その両面に加速電圧500kVの電子線を4.5Mrad照射し内部まで架橋した後、さらに、シートの両面に加速電圧150kVの電子線を12Mrad照射して表層のみを架橋した。その後は実施例6と同様にして、発泡、延伸を行い多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表7に示す。
【0102】
[比較例7]
発泡性組成物の配合、各シート、層の厚さを表4に示すように調整して、照射工程で加速電圧500kVの電子線を4.5Mrad照射し内部まで架橋したのみで、追加で照射を行わなかった以外は、実施例9と同様にして多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表7に示す。
【0103】
【表7】
【0104】
[実施例10]
延伸を行わなかった以外は、実施例9と同様にして多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの評価結果を表8に示す。なお、参考のため実施例9の結果も表8に示す。
【0105】
【表8】
【符号の説明】
【0106】
10 多層発泡シート
11 発泡樹脂層
12 スキン樹脂層
図1
図2