(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】コード化パターンプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20220922BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20220922BHJP
G02B 3/06 20060101ALI20220922BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20220922BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20220922BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20220922BHJP
G02B 27/30 20060101ALI20220922BHJP
G02B 27/44 20060101ALI20220922BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20220922BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20220922BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20220922BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20220922BHJP
H01S 5/42 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G02B3/00 A
G02B3/06
G02B3/08
G02B5/02 C
G02B13/00
G02B27/30
G02B27/44
G03B11/00
H01L33/00 H
H01S5/022
H01S5/183
H01S5/42
(21)【出願番号】P 2018540685
(86)(22)【出願日】2016-10-07
(86)【国際出願番号】 US2016055938
(87)【国際公開番号】W WO2017069954
(87)【国際公開日】2017-04-27
【審査請求日】2019-05-14
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-04
(32)【優先日】2015-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518140324
【氏名又は名称】プリンストン・オプトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PRINCETON OPTRONICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,トン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ,チュニ
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス,ローレンス
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】濱野 隆
【審判官】佐藤 久則
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0058071(US,A1)
【文献】国際公開第2015/059705(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0260830(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード化パターンプロジェクタ装置であって、
a) 複数の発光体を含む発光体の面発光アレイを備え、前記複数の発光体の各々は、前記複数の発光体の各々の各自の電気入力に印加される電気駆動信号に応答して複数の光ビームの1本を発生させ、前記コード化パターンプロジェクタ装置はさらに、
b) 前記発光体の面発光アレイによって発生する前記複数の光ビームの光路内に位置決めされる単一の第1の光学素子を備え、前記第1の光学素子は、前記発光体の面発光アレイによって発生する前記複数の光ビームの各々を投影し、前記コード化パターンプロジェクタ装置はさらに、
c) 前記複数の光ビームの前記光路内に位置決めされる単一の第2の光学素子を備え、前記第2の光学素子は、前記複数の光ビームが少なくとも1つのストライプパターンを形成するように、第1の次元において前記複数の光ビームをコリメートし、第2の次元において前記複数の光ビームを発散させ、前記コード化パターンプロジェクタ装置はさらに、
d) 隣接する投影ストライプパターンが部分的に重なり合い、前記隣接する投影ストライプパターンをより大きなストライプパターンに合体させるように、前記少なくとも1つのストライプパターンの各々を複製し、複製した各ストライプパターンを対応する角度で投影する第3の光学素子をさらに備え、
e)複数の電気出力を有するコントローラを備え、前記複数の電気出力の各々は前記複数の発光体の各々の各自の電気入力に接続され、前記コントローラは、所望のコード化ストライプパターンを生成する所望の電気駆動信号を発生させるよう動作可能である、コード化パターンプロジェクタ装置。
【請求項2】
前記第2の光学素子は、前記複数の光ビームの前記光路内の前記第1の光学素子の後に位置決めされる、請求項1に記載のコード化パターンプロジェクタ装置。
【請求項3】
前記第1の光学素子は、前記複数の光ビームの前記光路内の前記第2の光学素子の後に位置決めされる、請求項1に記載のコード化パターンプロジェクタ装置。
【請求項4】
前記複数の発光体の少なくとも3つは、前記少なくとも1つのストライプパターンの少なくとも1つが均一のストライプパターンを含むように、前記発光体の面発光アレイの1行を形成するように位置決めされる、請求項1に記載のコード化パターンプロジェクタ装置。
【請求項5】
前記発光体の面発光アレイと前記第1の光学素子との間に位置決めされるマイクロプリズムアレイをさらに備え、前記マイクロプリズムアレイは、各々が前記複数の発光体のうちの各自の発光体と整列している複数のマイクロ光学プリズム素子を含み、前記マイクロプリズムアレイは、前記複数の光ビームが前記第1の光学素子のアパーチャを通って伝播するように前記複数の光ビームを曲げる、請求項1に記載のコード化パターンプロジェクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書で使用する節の表題はまとめるためのものに過ぎず、本願に記載の主題をいかなる形でも限定していると解釈すべきでない。
【0002】
関連出願との相互参照
本願は、2015年10月21日に出願され「Coded Pattern Projector(コード化パターンプロジェクタ)」と題された米国仮特許出願番号第62/244,397号の非仮出願である。米国仮特許出願番号第62/244,397号の内容全体を引用により本明細書に援用する。
【0003】
導入
多くの撮像アプリケーションは、構造化光を発生させる照明系の恩恵を受ける。構造化光の既知のパターンの光がシーン上に投影されると、当該パターンの変形によって、当該シーン内のオブジェクトについてのさまざまな表面および深度情報が与えられる。たとえば、3D撮像およびジェスチャ認識アプリケーションに用いられるような光学系は、コード化パターン投影を用いる。構造化光を用いる光学系への高まる需要を満たすために、構造化光照明源および方法の改善が必要である。
【0004】
本教示は、好ましい実施形態および例示的な実施形態に従って、それらのさらなる利点とともに、添付の図面に関連して考慮されると以下の詳細な説明により詳しく記載されている。当業者は、以下に記載の図面は説明目的に過ぎないことを理解するであろう。図面は必ずしも正確な縮尺であるとは限らず、むしろ教示の原理を説明することに概して重点が置かれている。図面は、出願人の教示の範囲をいかなる方法でも限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】本教示のコード化パターンを発生させるのに用いられる上部発光VCSEL素子の材料構造の実施形態を示す図である。
【
図1B】本教示のコード化パターンを発生させるのに用いられる下部発光VCSEL素子の材料構造の実施形態を示す図である。
【
図1C】モノリシックアレイとして構成された二次元VCSELデバイスの実施形態の上面図である。
【
図2A】本教示のコード化パターンを発生させるのに用いられる上部発光RC-LED素子の実施形態を示す図である。
【
図2B】本教示のコード化パターンを発生させるのに用いられる下部発光RC-LED素子の実施形態を示す図である。
【
図2C】モノリシックアレイとして構成された二次元RC-LEDデバイスの実施形態の上面図である。
【
図3】マイクロレンズを有する面発光アレイを示す図である。
【
図4A】マイクロレンズが集積された上部発光アレイ素子の構造を示す図である。
【
図4B】マイクロレンズが集積された下部発光アレイ素子の構造を示す図である。
【
図4C】共通基板上にモノリシック集積されたマイクロレンズアレイが集積された面発光アレイを示す図である。
【
図5】ストライプまたはフリンジパターンを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す図である。
【
図6】ストライプパターンを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す図である。
【
図7】均一のストライプまたはフリンジパターンを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す図である。
【
図8A】本教示の4×4の二次元VCSELアレイの実施形態を示す図である。
【
図8B】クワッドフラットパックハウジング内に装着されてハウジングリード線に接続された本教示のVCSELアレイの実施形態の写真を示す図である。
【
図8C】本教示のVCSELアレイの出力ビームスポットパターンの実施形態の像を示す図である。
【
図9A】複数のストライプのアレイを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す図である。
【
図9B】ベンチトップ実験において
図9Aに示す構成によって発生したストライプのアレイの写真を示す図である。
【
図10】合体した複数のストライプのアレイを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す図である。
【
図11】複数の均一のストライプを領域内に投影するための本教示の面発光素子レイアウトの実施形態を示す図である。
【
図12】マイクロ光学プリズムアレイを含む本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す図である。
【
図13】2つのDOEを含む本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す図である。
【
図14】2つのDOEを含む本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す図である。
【
図15】フライアイ発散レンズを含む本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す図である。
【
図16】本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態の実験ベンチトップセットアップの写真の図である。
【
図17】本教示のコード化パターンプロジェクタ装置のVCSELアレイの実施形態のマスクCAD図面を示す図である。
【
図18】本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態の発生したストライプのアレイを示す図である。
【
図19】本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態によって発生した、完全充填されたストライプパターンの写真を示す図である。
【
図20】本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態によって発生した広視野ストライプパターンの写真を示す図である。
【
図21A】本教示のマイクロ光学プリズムアレイを含むコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す図である。
【
図22】コード化された二次元構造化パターンを投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す図である。
【
図23】大型構造化パターンを投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す図である。
【
図24】本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態によって投影された大型二次元構造化パターンの写真を示す図である。
【
図25】完全充填されたコード化二次元パターン構造を投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す図である。
【
図26】大型VCSELアレイからパターンの複数の複製を投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す図である。
【
図27A】本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態のVCSEL素子のパターンを示す図である。
【
図27B】本教示のDOEを介して
図27Aに示すパターンを投影することによって得られる構造化パターンを示す図である。
【
図27C】本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態のVCSEL素子のパターンを示す図である。
【
図27D】本教示のDOEを介して
図27CのVCSEL素子のパターンからのビームを投影することによって得られる、コード化された構造化パターンを示す図である。
【
図28】複数の完全充填されたコード化二次元パターン構造を広範囲内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
さまざまな実施形態の説明
添付の図面に示すような本教示の例示的な実施形態を参照して本教示を以下により詳細に説明する。本教示をさまざまな実施形態および例に関連して説明するが、本教示をそのような実施形態に限定することを意図していない。反対に、本教示は当業者によって認識されるように、さまざまな代案、変更および均等物を含む。本明細書の教示に接した当業者は、付加的な実現例、変更、および実施形態、および他の使用分野を認識するであろう。それらは本明細書に記載の本開示の範囲内にある。
【0007】
明細書中の「一実施形態」または「実施形態」の言及は、当該実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、または特性が教示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。明細書中のさまざまな箇所における「一実施形態における」という語句の出現は、すべてが同一の実施形態に言及しているとは限らない。
【0008】
本教示の方法の個々のステップは、教示が実施可能であり続ける限り、任意の順序でおよび/または同時に実行可能であることを理解すべきである。さらに、本教示の装置および方法は、教示が実施可能であり続ける限り、任意の数の実施形態またはすべての記載される実施形態を含み得ることを理解すべきである。
【0009】
本教示は、コード化された一連の構造化照明を投影するための方法および装置に関する。構造化光、または構造化照明とは、さまざまなパターンに形成されて、センシングシステムが撮像または検知中の特定の領域内に投影される光を指す。領域内に投影される光パターンは特定の空間パターンを有する。領域内に投影される特定の空間パターンはストライプパターン、スポットパターン、およびフリンジパターンを含み得る。領域内に投影される空間パターンは、暗い領域、もしくは照明範囲を囲む非照明領域を有し得るか、またはそれらは名目上は全灯パターン、もしくはいわゆる完全充填パターンであり得る。光パターンは規則的または不規則であり得る。光パターンは一次元または二次元に延在し得る。本教示に記載のいくつかの実施形態は特定のパターンを開示しているが、当業者であれば本教示は本明細書に記載の特定のパターンに限定されないことを認識するであろう。
【0010】
構造化光を発生させる光源は、効率的で、明るく、容易に成形でき、信頼性が高いことが望ましい。また、構造化光を発生させる光源は、高速で変調可能であり、高温で動作可能であることが望ましい。本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法は、面発光アレイ技術を用いて照明を発生させる。面発光アレイは、デバイスの表面から光ビームのパターンを発生させる。面発光アレイはアドレス指定可能なアレイであり得る。アドレス指定可能なアレイによって、アレイの個々の素子、またはアレイ内の素子のグループを個別に電気的に制御することができる。たとえば、本教示は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイまたは共振空洞発光ダイオード(RC-LED)アレイから放射された光ビームを用いて、コード化された一連の構造化画像を投影する。本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法は、3D撮像およびジェスチャ認識アプリケーションなどにおける光学系に使用可能である。また、センシングおよび3D撮像の分野では、RC-LEDおよび低コスト高輝度VCSELが利用できることによって恩恵を受けることになる多くのアプリケーションが出現しつつある。
【0011】
VCSELは、他のレーザ、特に端面発光半導体レーザに対して多くの有益な性質を有する。VCSELは、多くの異なる波長について良好なコリメーションで円形の放射ビームまたは他の形状の放射ビームを発生させることができる。VCSELは動作温度が変化しても波長の変化が小さく安定しており、高温で動作可能であり、長期信頼性が非常に高い。VCSELは、利得スイッチング、緩和共鳴性質に起因する非常に短いパルスおよび非常に速いパルス立上がり時間で、高速パルスレートで動作可能である。
【0012】
共振空洞LED(RC-LED)は、発光ダイオード(LED)であってレーザではないのでパフォーマンスパラメータが低いことを除いて、VCSELと同様の面発光デバイスである。RC-LEDは、線幅を減少させて出力ビームコリメーションを改善する共振空洞によって、通常のLEDと比べて特性が改善されている。RC-LEDの共振空洞は、RC-LEDがレーザ光を放射しないように、VCSELの空洞よりも線質係数(Q値)が低い。
【0013】
本教示のVCSELおよびRC-LEDの1つの特徴は、それらが大量製造可能なことである。VCSELおよびRC-LEDなどの面発光デバイスは、大量生産工程に非常に好適である。さらに、すべての電気接点をデバイスの片側に位置決めするVCSEL設計の最近の革新によって、それらと電子部品の面実装アセンブリ技術との互換性が高まっている。これらのおよび多くの他の構成が可能であり、さらなる詳細は、Seurinらへの米国特許番号第8,675,706号、および2011年12月24日に出願されたSeurinらへの係属中の米国特許出願連続番号第13/337,098号に開示されている。この特許および特許出願の内容全体が引用により本明細書に援用される。この特許および特許出願は、本願の譲受人であるニュージャージー州マーサービルのプリンストン・オプトロニクス・インコーポレイテッドが共有している。
【0014】
基本的な2ミラーVCSELは、下位のまたは単一の横モードで非常に低出力でのみ動作可能である。VCSELを高出力で動作させるとマルチモード動作が生じるため、レーザビーム出力は増加するがビームの輝度は増加しない。輝度を増加させる1つの方法は、第3のミラーを用いてVCSELを3ミラー構成で動作させることである。これによって共振空洞長が増加し、下位モードにおける高出力での動作が可能になる。この構成では、出力は、利得と利得セクション内の量子井戸の出力容量とによって定まる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本教示の高輝度VCSELは制御された単一の分極で動作し、当該分極は通常は線形である。複数の分極で、または分極の方位がランダムであり異なる動作条件下で変化し得る単一の分極で動作するVCSELもある。何らかの形態の複屈折を共振空洞に導入することによって、単一のVCSELまたはVCSELアレイ全体の分極方位を制御することができる。複屈折は、アパーチャ形状を変更すること、複屈折率を導入すること、またはVCSEL発光領域上に書かれた何らかの形態の線形格子を用いることを含む、さまざまな方法によって達成され得る。
【0016】
さまざまな三次元撮像アプリケーションが構造化光を用いる。構造化照明によって、シーンの異なる領域に固有の照明パターンが生じる。カメラが軸外に配置され、合成構造化画像を記録するのに用いられ得る。合成画像を投影構造に対して適切に解析することによって、シーンの画像の判定、および領域内のオブジェクトについての深度情報が与えられる。構造化光を用いて三次元撮像アプリケーションを実現する別の方法は、立体撮像である。立体撮像では、2つのカメラを使用し、構造化光照明を用いてオブジェクトを見て、人間の両目が人間に三次元効果を作り出すのとほぼ同様に適切なアルゴリズムによって三次元アスペクトが生成される。
【0017】
3D撮像およびジェスチャ認識に対するさまざまな構造化撮像アプローチは、回折光学素子(DOE)によって規定される固定パターン構造を用いる。あるいは、面発光アレイ構成を用いてパターン構造が規定される。オフセットセンサが記録した画像の歪みが投影された照明構造に対して解析されて、照明シーン内のオブジェクトの深度および動きが判断される。面発光アレイ構成を用いるアプローチの変更は、面発光アレイ素子をアレイ素子のサブグループに分割し、各サブグループを別個にまたは複数のサブグループで起動することを含む。アレイ素子のサブグループを用いるとシーンの一部の領域を照明する際の柔軟性が高まるため、特定の時刻における特有の対象範囲をより詳細に調べることができる。
【0018】
アレイ素子のサブグループの使用は、2008年6月12日に公開されSylvain Beckerらによって著されたPCT公開番号第WO 2009153446 A2号に記載されている。この公報では、面発光アレイのサブグループを順に起動してレーザスペックル効果を減少させ、3D撮像の感度および解像度を改善する。構造化光パターンがDOEマスクによって発生し、結果として生じる構造はフリンジであるが、他のより複雑な形態も記載されている。
【0019】
アレイ素子のサブグループを用いて構造化光を発生させることを記載している先行技術の別の例は、2014年12月25日に公開されたZafrir Morへの米国特許出願公開番号第US 20140376092 A1号である。この出願では、著者は、アレイ素子の各列を別個に起動する面発光ダイオードアレイを記載している。一列の素子からの光がDOEまたは円柱レンズを通って伝播して縞状の照明を形成する。縞状の照明はレンズによって領域内に投影される。こうして、すべての列が照明されると、縞のアレイが発生して領域内に投影される。当該列を個別にまたはグループで順に起動して、一連の異なる縞状照明パターンを発生させる。こうして、一連のコード化された照明構造を形成して、3D撮像、深度測定またはジェスチャ認識のために用いることができる。画像を増加させて照明シーンまたは領域のより広いカバー範囲を提供するために用いられ得る第2のDOEも記載されている。
【0020】
面発光レーザダイオードアレイを含む面発光アレイは、個々のデバイスの規則的なまたは不規則な2Dアレイを含み、当該デバイスの各々は予め定められた固定の直径を有するビームを伝播させる。個々の面発光アレイデバイス同士は、放熱、電気入力接触パッドおよび接続等の要因によって定まる距離だけ離れている。この結果、ビームは典型的に、各ビームのビーム直径の3倍以上互いに離間している。結果として、先行技術文献に記載の結果として生じる構造パターンは、かなり大きいサイズの非照明領域を間に有するスポットパターンまたはラインパターンである。
【0021】
本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法の1つの特徴は、一連のコード化された構造化パターンが一次元フリンジまたは二次元コード化スポットパターンのいずれかであり得ることである。コード化構造パターンのこれらの形状は、より柔軟性が高くより高解像度の3D撮像またはジェスチャ認識照明系を提供する。本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法の付加的な特徴は、面発光アレイがDOEまたは非対称光学部品を用いて構成されて、パターン特徴間に隙間のないパターンを形成することである。これによって、超高解像度撮像についての完全な照明カバー範囲が保証される。本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法の付加的な特徴は、DOEマスクを用いてコード化パターンを増加させて照明のフィールドまたはビューを大きくすることである。
【0022】
いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサが軸外に配置されて、領域内のオブジェクトから反射した光を記録し得る。センサの数および位置は撮像アプローチに依存する。この記録画像を構造化発光パターンのパラメータに対して解析することによって、領域内のオブジェクトについての三次元情報を求めることができる。
【0023】
本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法ではVCSELデバイスのさまざまな実施形態が用いられる。いくつかの実施形態では、VCSELデバイスは、上部の第1の半導体多層分布ブラッグ反射器(DBR)ミラーおよび下部の第2の多層DBRミラーを含み、これらはレーザ共振空洞を形成する。第1のミラーと第2のミラーとの間に利得領域が位置決めされる。利得領域は、量子井戸のグループおよびアパーチャを含み得る。アパーチャは起動電流を中心領域に閉じ込めて、空洞の光学モードと同一の範囲内の量子井戸における利得を最大化する。アパーチャも、光学モードをその領域に限定する。レーザ共振空洞の他の性質に対するアパーチャサイズは横モードの性質を決定する。横モードの性質は、シングルモード対マルチモード、および他の特徴を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、VCSEL構造は基板上の複数のエピタキシャル成長層を含む。電流注入のために電気コンタクト入力が上面および下面に形成される。ミラーの一方は、出力レーザビームの放射を可能にするように部分的に透過的に作られる。
【0025】
VCSELデバイスの利得および出力容量は、量子井戸の複数のグループを設けることによって増加させることができる。量子井戸の各グループは、電流および光学モードを同一の領域に閉じ込める関連付けられたアパーチャを有する。これによって、高利得および光学モードへの出力変換が得られる。いくつかの実施形態では、量子井戸の各グループ間にトンネルダイオード素子が位置している。トンネルダイオード素子は電荷担体を伝送する。トンネルダイオードによって、担体はトンネルダイオードのp-n接合を通り抜けることができる。高輝度VCSELのアレイについての技術は、2014年4月29日に出願されたSeurinらへの米国仮特許出願連続番号第61/985776号に開示されている。この仮出願の内容全体が引用により本明細書に援用される。また、この仮出願は、本願の譲受人であるニュージャージー州マーサービルのプリンストン・オプトロニクス・インコーポレイテッドに譲渡される。
【0026】
より多くの量子井戸グループを用いると、シングルモード構成およびマルチモード構成の両方においてVCSEL内の出力が増加する。しかし、動作をシングルモードに限定するために、アパーチャは、より高位のモードが減衰されるように小径でなければならない。シングルモード動作における出力をさらに増加させて輝度を増加させるためには、レーザ共振器パラメータを変更してシングルモード直径を増加させて、より大量の量子井戸の複数のグループから出力を引き出す必要がある。これを達成する共振器パラメータの1つは、共振器長である。共振器長を増加させるとレージングモードの直径が増加し、シングルモード動作を制御するために用いられ得るアパーチャが大きくなるので、利得体積を増加させてより高い出力および輝度を得ることができる。
【0027】
VCSEL共振器長は、VCSELエピタキシャル2ミラー構造からかなり離れて配置され得る第3のミラーを導入することによって増加する。中間のDBRミラーと第3のミラーとの組合せによってレーザ共振器について同等のミラーが形成され、共振器長が第3のミラーと他方のVCSEL DBRミラーとの間の距離まで増加する。3ミラー共振器のいくつかの実施形態が形成され得る。当該実施形態は、VCSEL基板に直接接着されるミラーである別個のミラーを用いるか、またはVCSELエピタキシャル構造の反対側のVCSEL基板表面上にミラーコーティングを堆積することによって形成される。
【0028】
利得領域内の量子井戸の複数のグループの組合せ、および3ミラー共振空洞構造の使用によって、シングルモード出力が、したがってVCSELデバイスの輝度が2桁よりも大きく増加する。第3のミラーを用いてVCSEL素子の輝度を増加させることは、VCSEL素子のアレイにも等しく適用可能であり、単一のミラーを第3のミラーとしてアレイのすべての素子に用いることができる。
【0029】
単一のVCSEL素子およびVCSEL素子のアレイの光学モードは、当該素子またはアレイに制御された線形分極でレーザ光を放射させるいくらかの残留した光学的異方性、または複屈折がない限り、ランダムな分極でレーザ光を放射することになる。最新技術において公知の1つのアプローチは、楕円形のアパーチャまたは同様の手段を用いて、VCSEL共振空洞内の十分な異方性によって線形分極モードを強制することである。分極限定ミラー、格子または外部共振器VCSELを有する構成要素を用いるなどの他の方法も用いることができる。
【0030】
本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法では、RC-LEDデバイスのさまざまな実施形態が用いられる。いくつかの実施形態では、RC-LEDデバイスは、上部の第1の半導体多層DBRミラーおよび下部の第2の多層DBRミラーを含む。第1および第2のミラーは共振空洞を形成する。量子井戸のグループ、および任意にアパーチャを含む当該ミラー同士の間に利得領域が位置決めされる。アパーチャは起動電流を中心領域に閉じ込めて、量子井戸における利得を増加させる。アパーチャも、光学モードをその領域に限定する。RC-LEDでは、上部の第1の半導体DBRミラーは、VCSELの上部の第1の半導体ミラーよりも反射率が低い。具体的には、上部の第1の半導体ミラーの反射率は、いずれのレーザ作用も防止するように十分低い。共振空洞は、空洞と共振しない波長を有する光の損失を増加させることによって、量子井戸からの自然放射の線幅を細くするように作用する。
【0031】
空洞と共振する波長を有する光は空洞内で前後に跳ね返り、量子井戸によって増幅される。DBR反射器によって取り込まれない光は、伝播して空洞から出るか、伝播して基板から出るか、または基板に吸収される。空洞と共振しない波長からの放射は空洞内で減衰される。空洞内の増幅された自然放射の一部は、非コヒーレント放射のビームとして出力DBRによって放射される。このビームは非コヒーレントであるため、領域内のオブジェクトから反射する光内のスペックルがかなり減少する。
【0032】
RC-LED構造はVCSEL構造と同様であり、基板上の複数のエピタキシャル成長層を典型的に含む。電流注入のために電気コンタクト入力が上面および下面に形成される。DBRミラーの一方は、出力ビームの放射を可能にするように部分的に透過的に作られる。
【0033】
RC-LEDデバイスの利得および出力容量は、量子井戸の複数のグループを設けることによってVCSELと同様に増加させることができる。量子井戸の各グループは関連付けられたアパーチャを有しており、当該アパーチャは電流および光学モードを同一の領域に閉じ込めて、高利得および光学モードへの出力変換を得る。量子井戸の各グループ間のトンネルダイオードが電荷担体を伝送する。トンネルダイオードによって担体がp-n接合を通り抜けることができる。
【0034】
面発光アレイレイアウトは、単一のデバイス、デバイスの線形アレイ、またはデバイスの二次元グループとして構成され得る。これらのさまざまなデバイスおよびデバイスのグループは別個に起動され得る。デバイスのさまざまな構成の方位は、隣接するパターン素子の投影画像が部分的にオーバーラップするようにDOEまたは非対称レンズと整列している。これによって、隣接する画像同士が合体してより大きい均一画像になる。いくつかの実施形態では、第2のDOEを用いてパターンを増加させる。いくつかの実施形態では、隣接する交互配置された画像同士がオーバーラップするように複数のパターンが交互配置される。これらの実施形態では、起動された素子から照明が合体して1つの大きいパターン素子になる。いくつかの実施形態では、発光体デバイスの二次元グループは二次元に延在する。これらの実施形態では、隣接するスポット同士がオーバーラップする順次コード化されたスポットのパターンが発生する。これによって、照明領域内の完全な二次元カバー範囲が得られる。
【0035】
大型の高密度に充填されたVCSELアレイを用いて、非常に複雑な構造化パターンを作成することができる。大型VCSELアレイは最大で10mmの外側寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、VCSELアレイ寸法は、パターンを投影するのに用いられるレンズおよびDOEの多くの直径よりも大きい場合がある。これは特に、携帯電話およびコンピュータタブレットなどのモバイル機器用に設計された小型システムの場合であろう。本教示のいくつかの実施形態では、マイクロ光学プリズムアレイを用いてVCSEL出力ビームを収束して、当該ビームに小型アパーチャ光学部品を通過させる。マイクロ光学プリズムアレイをDOEとともに用いて、規則的なまたはランダムな分布のラインまたはスポットのさらに大きいアレイを形成することもできる。
【0036】
異なる図面に表わされている例示的な実施形態を用いて本教示のさまざまな局面を説明することによって、原理の大まかな枠組みを本明細書に提示する。説明を明確かつ容易にするために、各実施形態は数個の局面のみを含む。しかし、1つ以上の実施形態において、異なる実施形態からの異なる局面を組合せるかまたは別個に実施してもよい。当業者にとって明白であるが明示的に図示または記載されていない場合がある、本発明の大まかな枠組み内の代表的な実施形態の多くの異なる組合せおよび下位の組合せは排除されると解釈すべきでない。
【0037】
当業者は、さまざまな面発光デバイス構成が本教示において利用可能であることを認識するであろう。これは、一般的に起動されたアレイとして構成される規則的な面発光アレイ、および個々のまたはグループアドレス指定可能な面発光アレイとして構成される規則的な面発光アレイを含む。これは、上部発光面発光アレイおよび下部発光面発光アレイも含む。これは、拡大共振器3ミラーVCSELアレイ、および外部共振器3ミラーVCSELアレイも含む。面発光デバイスは1つの素子を含み得、または面発光デバイスは複数の素子のアレイを含み得る。素子のアレイは一次元または二次元に延在し得る。
【0038】
図1Aおよび
図1Bは、本教示のコード化パターンを発生させるのに用いられる典型的なVCSEL単一素子デバイスおよびVCSELアレイ素子デバイスの素子の材料構造を示す。
図1Aは、上部発光VCSELデバイス100の材料構造を示す。単純な2端子上部発光VCSELデバイス100が基板102上に構築され、発光面110と同一の側に上部電気コンタクト層108を含む。1つ以上の量子井戸を含む発光および利得領域104が2つの誘電体反射器106と103との間に配置される。下部電気コンタクト層107が上部コンタクト108の表面の反対側の表面上に形成される。電流閉じ込めアパーチャ105が発光および利得領域104への駆動電流の流れを制御し、放射ビームの形状を決定する。アパーチャを用いて所望のビーム形状を得るこの特徴は米国特許公開番号第2013-0163627号に記載されている。当該米国特許は引用により援用されており、本願の譲受人が所有している。
【0039】
上部発光VCSELデバイス100の発光面110から発光109が現れる。発光面110は、基板102が位置決めされるのと反対側のデバイスの端に位置決めされる。上部コンタクト108はミラー106に隣接して位置決めされ、下部コンタクト層107は基板102に隣接して位置決めされる。上部発光VCSELデバイス100は、装着したデバイスの上面から光が現れるように、基板側を下にして装着される。さらに、いくつかの実施形態では、効率的な放熱を実現するために一般的に行なわれるように、基板102の厚みを減少させるか、または基板102を完全に除去する。
【0040】
図1Bは、下部発光VCSELデバイス100′の材料構造を示す。単純な2端子下部発光VCSELデバイス100′が基板102′上に構築され、基板102′に隣接して位置決めされた上部電気コンタクト層108′を含む。上部電気コンタクト層108′も発光面110′と同一の側にある。発光面110′から発光109′が現れる。1つ以上の量子井戸を含む発光および利得領域104′が2つの誘電体反射器106′と103′との間に配置される。下部電気コンタクト層107′が上部コンタクト108′の表面の反対側の表面上に形成される。電流閉じ込めアパーチャ105′が発光および利得領域104′への駆動電流の流れを制御し、放射ビームの形状を決定する。
【0041】
図1Bに示す下部発光VCSELデバイス100′は、装着したデバイスの上面から光が現れるように、基板側を上にして装着されることに留意すべきである。さらに、いくつかの実施形態では、効率的な放熱を実現するために一般的に行なわれるように、基板102′の厚みを減少させるか、または基板102′を完全に除去する。
【0042】
単一のVCSELデバイスの代わりに、複数のVCSELデバイスのアレイを単一の基板上に構築してもよいことが当業者によって認識され得る。
図1Cは、モノリシックアレイとして構成された二次元VCSELデバイスの上面図を示す。より具体的には、複数のVCSELデバイスの二次元アレイ113が共通基板114上に構築される。
図1Cの各点は、
図1Aおよび
図1Bに示したのと同様のVCSELデバイスを表わす。二次元アレイ113内のすべてのVCSELは、アレイの共通端子として機能する基板114に電気的に接続される。VCSELが一括して発光する実施形態では、アレイ内の各VCSELの他方の電気コンタクトは、アレイの第2の共通端子として機能するアレイ表面上の共通のメタライゼーションを用いて接続される。あるいは、VCSELの別個の起動を利用する実施形態では、VCSELアレイの活性層側のコンタクトとの別個の電気的接続がなされる。これらの電気的接続は、電気駆動信号を印加するのに用いられる電気入力を表わす。個々のVCSELが共通のメタライゼーションコンタクトを共有している場合は、これらのVCSELはその電気入力に印加される共通の電気駆動信号によって駆動されることになる。上部発光VCSELデバイス(
図1A)を用いる二次元VCSELデバイスアレイの実施形態については、上部コンタクト層108との別個の電気的接続がなされる。下部発光VCSELデバイス(
図1B)を用いる二次元VCSELデバイスアレイの実施形態については、下部コンタクト層107′との別個の電気的接続がなされる。
【0043】
VCSELデバイスのアレイは、一括して上向き方向に発光する。
図1Cに示すようなVCSELアレイはVCSELアレイチップと呼ばれ得る。この特定の例では、VCSELデバイスは円形のVCSELアレイチップを形成するように配置される。VCSELアレイチップは任意の規則的な形状パターンまたは不規則なランダムパターンで構成され得ることが認識され得る。いくつかの実施形態では、VCSELアレイチップは、たとえば米国特許公開番号第2013-0163627号に記載されている任意の種類の熱的サブマウント上に実装され得る。当該米国特許は引用により援用されており、本願の譲受人が所有している。
【0044】
いくつかのコード化パターン3D撮像およびジェスチャ認識アプリケーションでは、直線偏光された構造化照明が必要である。これらの状況では、VCSELアレイ素子またはVCSELアレイ全体の分極方位は、何らかの形態の複屈折を共振空洞に導入することによって方位付けられる。
図1Aおよび
図1Bを参照して、いくつかの実施形態では、複屈折はアパーチャ105、105′の非対称形状を形成することによって達成される。あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、複屈折率が導入される。あるいは、またはさらに、いくつかの実施形態では、何らかの形態の線形格子がVCSEL発光面110、110′上に書かれる。さまざまなこれらの方法を用いてアレイの異なる領域において異なる方位の直線偏光を得ることができることが当業者に明らかになるであろう。これらの技術を用いて、構造化光パターンの異なる範囲で異なる分極を有するコード化された構造化光パターンを発生させることができる。さらに、異なるパターンは、偏光子および波長板などのさまざまな分極依存素子に光パターンを通過させることによって得ることができる。
【0045】
図1Aおよび
図1Bに示す2端子VCSELデバイスの実施形態では、VCSELアレイチップの2つの端子はVCSELアレイチップの2つの両端に位置している。いくつかのアプリケーションについては、これら2つの端子をチップの同一の側に配置するように構成する方が便宜的である。ゆえに、本教示のいくつかの実施形態では、2つの端子がチップの同一の側にある2端子VCSELデバイスを利用する。これらの実施形態は、面実装技術またはフリップチップ技術を用いてVCSELをサブマウントまたはプリント回路基板上に実装することができる大量組立に特に適用可能である。米国特許番号第8,675706号および第8,783893号にそのような面実装VCSELアレイを設計および構築するための方法が記載されている。これらの特許は引用により本明細書に援用されており、本願の譲受人に譲渡される。
【0046】
VCSELデバイスの利得および出力容量は、量子井戸の複数のグループを設けることによって増加させることができる。量子井戸の各グループは自身に関連付けられたアパーチャを有しており、当該アパーチャは電流および光学モードを同一の領域に閉じ込めて、高利得および光学モードへの出力変換を得る。電荷担体を伝達する重要な素子が、量子井戸の各グループ間に必要である。これは、担体がp-n接合を通り抜けることを可能にするトンネルダイオードを含む。高輝度VCSELのアレイについての技術は、2014年3月18日に2014年4月29日に出願されたSeurinらへの米国仮特許出願連続番号第61/985776号に記載されている。この特許出願は引用により本明細書に援用されており、本願の譲受人に譲渡される。
【0047】
より多くの量子井戸グループを用いると、シングルモード構成およびマルチモード構成の両方においてVCSEL内の出力が増加する。しかし、動作をシングルモードに限定するために、アパーチャは、より高位のモードが減衰されるように小径でなければならない。シングルモード動作における出力をさらに増加させて輝度を増加させるためには、レーザ共振器パラメータを変更してシングルモード直径を増加させて、より大量の量子井戸の複数のグループから出力を引き出す必要がある。これを達成する共振器パラメータの1つは、共振器長である。共振器長を増加させるとレージングモードの直径が増加し、シングルモード動作を制御するために用いられ得るアパーチャが大きくなるので、利得体積を増加させてより高い出力および輝度を得ることができる。
【0048】
VCSELレーザ共振器長は、VCSELエピタキシャル2ミラー構造からかなり離れて配置され得る第3のミラーを導入することによって増加する。中間のDBRミラーと第3のミラーとの組合せによってレーザ共振器について同等のミラーが形成され、共振器長が第3のミラーと他方のVCSEL DBRミラーとの間の距離まで増加する。3ミラー共振器のいくつかの実施形態が形成され得る。当該実施形態は、VCSEL基板に直接接着されるミラーである別個のミラーを用いるか、またはVCSELエピタキシャル構造の反対側のVCSEL基板表面上にミラーコーティングを堆積することによって接着される。
【0049】
利得領域内の量子井戸の複数のグループの組合せ、および3ミラー共振空洞構造の使用によって、シングルモード出力が、したがってVCSELデバイスの輝度が2桁よりも大きく増加する。第3のミラーを用いてVCSEL素子の輝度を増加させることは、VCSELアレイにも等しく適用可能であり、単一のミラーを第3のミラーとしてアレイ全体に用いることができる。3ミラー共振器拡大および外部VCSELアレイについての技術は、米国特許番号第8,824,519号および第8,929,407号に記載されている。これらの特許は引用により本明細書に援用されており、本願の譲受人に譲渡される。
【0050】
図2Aおよび
図2Bは、本教示のコード化パターンを発生させるのに用いられる典型的なRC-LED単一素子デバイスおよびRC-LEDアレイ素子デバイスの素子の材料構造を示す。
図2Aは本教示の上部発光RC-LED215を示す。上部発光RC-LED215は基板202上に構築される。上部電気コンタクト層208が発光面240と同一の側に位置決めされる。1つ以上の量子井戸を含む発光および利得領域204が2つの誘電体反射器217と203との間に配置される。反射器217は、共振自然放射ビームの一部を透過させる一部反射ミラーである。下部電気コンタクト層207が上部コンタクト208の表面の反対側の表面上に形成される。電流閉じ込めアパーチャ205が発光領域への駆動電流の流れを制御し、放射ビームの形状も決定する。基板202が位置決めされるデバイスの端の反対側に位置する発光領域240から発光209が起こる。上部コンタクト208および下部コンタクト207は、それぞれ活性層端および基板端に近接している。上部発光RC-LED215は、デバイスの上面から光が現れるように、基板側を下にして装着される。さらに、いくつかの実施形態では、効率的な放熱を実現するために一般的に行なわれるように、基板202の厚みを減少させるか、または基板202を完全に除去する。
【0051】
図2Bは下部発光RC-LEDデバイス215′を示す。単純な2端子下部発光RC-LEDデバイス215′が基板202′上に構築され、基板202′に隣接して位置決めされた上部電気コンタクト層208′を含む。上部電気コンタクト層208′も発光面240′と同一の側にある。発光面240′から発光209′が現れる。1つ以上の量子井戸を含む発光および利得領域204′が2つの誘電体反射器203′と217′との間に配置される。下部電気コンタクト層207′が上部コンタクト208′の表面の反対側の表面上に形成される。電流閉じ込めアパーチャ205′が発光および利得領域204′への駆動電流の流れを制御し、放射ビームの形状を決定する。上部電気コンタクト層208′は基板202′に近接しており、下部電気コンタクト層207′は活性層に近接している。下部発光RC-LEDデバイス215′は、デバイス内の発光が矢印209′によって示す上向き方向であるように、基板側を上にして装着される。デバイスは各自の基板とともに示されているが、効率的な放熱のために基板202′の厚みを減少させること、または基板202′を完全に除去することが一般的に行なわれる。
【0052】
単一のRC-LEDデバイスの代わりに、複数のRC-LEDデバイスのアレイを単一の基板上に構築してもよいことが当業者によって認識され得る。
図2Cは、モノリシックアレイとして構成された本教示の二次元RC-LEDデバイスの上面図を示す。より具体的には、複数のRC-LEDデバイスの二次元アレイ218が共通基板214上に構築される。
図2Cの各点は、
図2Aまたは
図2Bに示したのと同様のRC-LEDデバイスを表わす。二次元アレイ218内のすべてのRC-LEDは、アレイの第1の共通端子として機能する基板に電気的に接続される。RC-LEDが一括して発光する実施形態では、アレイ内の各RC-LEDの第2の電気コンタクトは、アレイの第2の共通端子として機能するアレイ表面上の共通のメタライゼーションを用いて接続される。あるいは、RC-LEDの別個の起動を利用する実施形態では、RC-LEDアレイの活性層側との別個の電気的接続がなされる。上部発光RC-LEDデバイス(
図2A)を用いる二次元RC-LEDデバイスアレイの実施形態については、上部コンタクト層208との別個の電気的接続がなされる。下部発光RC-LEDデバイス(
図2B)を用いる二次元RC-LEDデバイスアレイの実施形態については、下部コンタクト層207′との別個の電気的接続がなされる。
【0053】
RC-LEDデバイスは、一括して上向き方向に発光する。
図2Cに示すようなRC-LEDアレイをRC-LEDアレイチップと呼ぶことにする。この特定の例では、RC-LEDデバイスは円形のRC-LEDアレイチップを形成するように配置される。RC-LEDアレイチップは任意の規則的なまたは不規則な形状パターンまたはランダムパターンで構成され得ることが認識され得る。
【0054】
図3は、マイクロレンズを有する先行技術の面発光アレイを示す。いくつかの実施形態では、面発光アレイはVCSELアレイである。いくつかの実施形態では、面発光アレイはRC-LEDアレイである。マイクロレンズアレイ321が面発光アレイ300から焦点距離だけ離れて整列している。マイクロレンズアレイ321は面発光アレイ300からの光をコリメートする。面発光アレイからの光をコリメートすると、面発光アレイから現れる光の有効輝度が増加する。マイクロレンズアレイ321は、各マイクロレンズ素子320が発光素子光学軸323と同軸に整列するように寸法決めされて横方向に整列している。これによって、面発光アレイ300からコリメートビーム322の平行アレイが生じる。いくつかの実施形態では、マイクロレンズアレイ321は、
図3に示すように、面発光アレイ300の前に整列して固定された別個の光学部品である。
【0055】
いくつかの実施形態では、マイクロレンズは
図4Aおよび
図4Bに示すように面発光アレイ素子に集積される。
図4Aは、マイクロレンズが集積された上部発光アレイ素子の構造を示す。エピタキシャル成長層構造401が基板402上に成長し、発光デバイスがこの構造内に製作される。上部電気コンタクト408および下部電気コンタクト407が面発光体駆動装置に接続されてアレイを起動する。出力面上の上部電気コンタクト408は、出力ビーム425の伝播を可能にするアパーチャを有する。面発光アレイの上には、出力面上に透明光学材料426が堆積される。これは、典型的に反応性イオンエッチ(RIE)または成形を含む他の好適な製作工程よって成形されて、凸レンズ424を形成する。凸レンズ424の形状は、発光アレイ素子が放射したビームを当該レンズがコリメートするように正確な焦点距離を与えるように設計される。いくつかの実施形態では、マイクロレンズは面発光アレイ上に直接製作される。
【0056】
図4Bは、マイクロレンズが集積された下部発光アレイ素子の構造を示す。面発光構造401′が基板402′上に成長し、当該構造は出力ビームが基板402′を横切るように設計される。電気コンタクト407′、408′が発光体アレイ駆動装置に接続されてアレイを起動する。基板表面上のコンタクト408は、出力ビーム425′の伝播を可能にするアパーチャを有する。レンズ427′は、発光アレイ素子が放射したビームを当該レンズがコリメートするように正確な焦点距離を与えるような形状で設計される。出力ビームが基板を横切る下部発光アレイの場合、レンズは
図4Aの実施形態と同様に基板表面上に作られ得るか、またはウェットエッチングによるもしくはRIEによる基板のエッチングによってアレイの基板内に直接形成され得る。マイクロレンズが集積されたVCSELアレイを達成するためのアプローチの詳細は、Kaiyan Zhangらへの米国特許番号第6,888,871 B1号に記載されている。この特許は引用により本明細書に援用され、本願の譲受人に譲渡されている。
【0057】
図4Cは、共通基板上にモノリシック集積されたマイクロレンズアレイが集積された面発光アレイを示す。マイクロレンズ413を有するアレイ素子が共通基板414上に製作される。出力側では、マイクロレンズアレイ428が、発光アレイ素子と整列しているマイクロレンズとともに製作される。いくつかの実施形態では、出力ビーム419のコリメートアレイがマイクロレンズアレイ428から放射される。いくつかの実施形態では、マイクロレンズアレイピッチはVCSELアレイピッチと同一であり、VCSELアレイはVCSEL素子出力ビームをコリメートするようにマイクロレンズアレイと整列して位置合わせされる。いくつかの実施形態では、マイクロレンズアレイピッチはVCSELアレイピッチよりも小さく、マイクロレンズアレイはVCSEL素子出力ビーム方向をコリメートして収束するようにVCSELアレイと整列して位置合わせされる。いくつかの実施形態では、マイクロレンズアレイピッチはVCSELアレイピッチよりも大きく、VCSEL素子出力ビーム方向をコリメートして発散させるようにVCSELアレイと整列して位置合わせされる。
【0058】
図5は、ストライプまたはフリンジパターンを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置を示す。
図5は単一の発光体素子530を用いる実施形態を示す。単一のVCSEL素子530は円形ビームを放射し、これがレンズ531によってコリメートされてDOE532に誘導される。DOE532は一方の次元においてビーム形状を発散させるが、他方の次元においてコリメートビームを維持してストライプ画像533を形成する。いくつかの実施形態では、画像、または空間パターンは薄い幅広のストライプである。いくつかの実施形態では、画像、または空間パターンはフリンジパターンである。挿入
図534、536は、所望の投影ビームパターンを実現するのに用いられる典型的なDOE構造の例を示す。
【0059】
図6は、ストライプパターンを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す。単一の面発光素子630がビームを放射し、これがレンズ631によってコリメートされる。円柱レンズ634を用いて、一方の次元においてビーム形状を発散させるが、他方の次元においてコリメートビームを維持してストライプ画像633を形成する。円柱レンズ634は凸状でも凹状でもよい。凸状レンズの場合、レンズから構造化パターン633の位置までの距離はレンズ焦点距離よりもはるかに大きい。いくつかの実施形態では、円柱レンズは発散レンズである。いくつかの実施形態では、円柱レンズは短焦点距離収束レンズである。DOEを用いるか円柱レンズを用いるかの決定は、投影パターンのサイズおよび視野、ならびに所望の組立てられたアパーチャサイズに依存することになる。DOEを用いると設計の柔軟性が高まり、より大きい視野を投影することができる。以下の説明では、具体的に記載していないが、ストライプ画像を発生させるために円柱レンズがDOEに代替できることに留意すべきである。
【0060】
ストライプまたはフリンジパターンを発生させてそれを領域内に投影する
図5および
図6の装置の実施形態によって生成されるストライプ画像はやや楕円形状である。これは、VCSELからの典型的にガウス型のプロファイルビームを引き伸ばした結果である。
【0061】
図7は、均一のストライプまたはフリンジパターンを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す。線形アレイとして構成された複数のVCSELを用いることによって、より均一のストライプが発生する。VCSELアレイ735は複数の平行ビームを放射し、これがレンズ731によってコリメートされてDOE732に誘導される。いくつかの実施形態では、1行の3つ以上のVCSEL発光体を用いて均一のストライプを発生させる。DOEは複数のストライプを発生させ、これらが重畳されて単一のより均一のストライプ736を形成する。このようにして生成された実際のストライプの像737を
図7に示す。当該ストライプは均一のストライプパターンを示す。
【0062】
本教示の方法およびシステムのいくつかの実施形態は、VCSELアレイを用いて光ビームのアレイを発生させることを記載している。当業者は、VCSELアレイの代わりに他の面発光アレイ技術も使用できることを認識するであろう。たとえば、いくつかの実施形態ではRC-LEDアレイが面発光アレイとして用いられてもよい。さまざまな実施形態において、さまざまな公知の面発光アレイ技術が利用され得る。
【0063】
領域内に投影される光のパターンは面発光アレイによって発生する照明のパターンに依存するため、面発光アレイの発光体の異なるグループを選択的に起動することによって、異なるパターンを領域内に投影することができる。個々の発光体素子または発光体素子のグループは、面発光体駆動装置によって起動される特定のコンタクトに接続され得る。面発光体駆動装置に接続されたコントローラは次に、個々の画素および/または画素のグループを特定の順序で選択的に起動することができる。コントローラによって生成されたこれら一連の空間パターンはコード化パターンと呼ばれる。
【0064】
三次元撮像またはジェスチャ認識のアプリケーションの中は、対象領域内のいくつかのオブジェクトについての深度情報を取得することができるように複数のストライプのアレイを必要とするものもある。複数のストライプのアレイは、1つの次元における線形の行のVCSEL素子がストライプを発生させ、次に第2の次元における線形の行のアレイが複数のストライプを作成するように、DOEを有する二次元面発光アレイを用いることによって得られる。線形の行のVCSEL素子を用いてストライプを発生させることは
図7に関連して説明した。
図8A~
図8Cは、本教示の二次元VCSELアレイのさまざまな実施形態を示す。
図8Aは、本教示の4×4の二次元VCSELアレイ840の実施形態を示す。4×4のVCSELアレイ840は各素子が個々に接続されて構成されているため、各素子を別個に起動することができる。VCSELアレイの上部メタライゼーションマスクは、VCSEL素子のアパーチャ838および電気コンタクトリード線839を有する。このアドレス指定可能なVCSELアレイ840では、各VCSEL素子は、VCSELを電気駆動信号によって個々に起動することができるように各自の別個のコンタクトリード線およびパッドを有する。
【0065】
図8Bは、クワッドフラットパックハウジング内に装着されてハウジングリード線に接続された本教示のVCSELアレイの実施形態の写真を示す。
図8Cは、本教示のVCSELアレイの出力ビームスポットパターンの実施形態の像を示す。この実施形態では、VCSELアレイ出力ビームスポットパターンは、すべてのVCSEL素子が起動された状態で示されている。
【0066】
図9Aは、複数のストライプのアレイを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す。二次元VCSELアレイ940からの出力ビームがレンズ931によってDOE932を介して投影される。1行のVCSELアレイ940内の隣接する素子からの光が合体して均一のストライプの光を形成する。DOE932はストライプ941のアレイを領域内に投影する。アレイ内の対応する1行のVCSEL素子を起動することによって、各ストライプを別個に起動することができる。こうして、VCSELアレイ内の関連の行を起動することによって、異なるパターンのストライプを発生させることができる。
図9Bは、ベンチトップ実験において
図9Aに示す構成によって発生したストライプのアレイの写真942を示す。写真942は完全に起動されたストライプパターンを示す。3D撮像またはジェスチャ認識アプリケーションについては、VCSELアレイ行の異なるセットを時間の関数として起動することによって、一連の異なる空間的にコード化されたパターンを投影することができる。カメラまたは他の2Dセンサが軸外に配置され、当該一連の投影パターンによって照明されるオブジェクトの画像を記録するのに用いられる。結果として生じる歪んだストライプ画像を解析することによって、オブジェクトについての三次元深度情報が与えられる。結果として生じる歪んだストライプ画像を解析することによって、オブジェクトについての三次元深度情報が時間の関数としても与えられ得る。
【0067】
面発光素子が発生させる光ビーム間には空間があり、当該空間のサイズは典型的に2つまたは3つのビーム直径である。当該空間は、コンタクトリング、メサ周囲、および除去不可能な他の特徴などの発光体設計の周辺部分に必要である。結果として、
図9A~
図9Bに示すストライプは、対応する空間をストライプ間に有する。高解像度3D撮像およびジェスチャ認識のための最適な投影ストライプパターンはこれらの隙間を有さないが、隣接するストライプ同士が合体してより厚いストライプになるように部分的にオーバーラップするストライプを含む。このように、シーン全体がストライプパターンによってカバーされることになり、隙間内に位置する小さいオブジェクトまたはオブジェクトの一部が撮像および解析において見逃されることがない。
【0068】
図10は、合体した複数のストライプのアレイを発生させてそれを領域内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態を示す。合体したストライプパターン1043を得るために、面発光素子の正方アレイの代わりに、挿入
図1044は、垂直方向の列の素子1045が水平方向において小さいオフセットを有して位置決めされた面発光アレイのパターンを示す。なお、垂直方向および水平方向の言及は例を明確にするために提供されていることに留意すべきである。当業者は、本教示は何行もの素子が特定の方向においてオフセットしていることに限定されないことを認識するであろう。オフセットは、隣接するVCSEL素子の間隔が垂直方向において減少するように設計される。いくつかの実施形態では、素子位置のオフセットのサイズはビームサイズとほぼ等しいように設計される。オフセットを有する面発光アレイからの出力ビームは、DOEを介して投影されると、隙間なく並んで撮像されるストライプを形成する。ビームプロファイルは典型的にガウス型であるため、いくつかの実施形態では、オフセットはビームサイズよりも若干小さく調整されて小さいオーバーラップを生成し、隣接する起動されたストライプの強度をより均一にする。
図9A~
図9Bで説明したのと同様に、アレイ内の対応するVCSEL素子を起動することによって各ストライプを別個に起動することができる。こうして、VCSELアレイ内の関連の素子を起動することによって、異なるパターンのストライプを発生させることができる。このように、完全充填された2値コード化パターンを発生させることができる。
【0069】
図7に関連して上述したのと同様に、各ストライプに複数の発光体素子を用いることによって、改善されたより均一のストライプを作成することができる。
図11は、複数の均一のストライプを領域内に投影するための本教示の面発光素子レイアウトを示す。
図11に示すレイアウト実施形態は
図10の実施形態と同一のオフセットパターンを用いるが、各ストライプに寄与する複数のVCSEL素子も含み、これによってより均一のストライプが生成される。VCSELアレイレイアウト1145は、3つのインライン素子1147、1148のセットを有する。3つのインライン素子1147、1148の各セットが1本のストライプを形成する。3つのインライン素子1147、1148の各セットは、隣接する素子のセットからほぼビームの直径分だけオフセットしている。
図11は、VCSELアレイ1145に重畳された、対応する投影ストライプパターン1146も示す。
図11に示す投影ストライプパターン1146は、VCSELアレイ1145とのオーバーラップを示すことができるようにサイズを縮小している。3つのインライン素子セット1147は均一の投影ストライプ1149を発生させることになる。隣接する3つの素子1148は、この場合は起動されておらず、点灯ストライプ1149に隣接した非点灯ストライプ1150を生成することになる。同じように、
図10に関連して説明したように、VCSELアレイ内の素子の関連するセットを起動することによって、異なるパターンのストライプを発生させることができ、完全充填された2値コード化パターンを生成することができる。さまざまな実施形態において、さまざまな数の面発光素子がさまざまなセットに含まれている。これは、3つよりも少ない素子および3つよりも多い素子を備えるセットを含む。これは、異なる数の素子を備える異なるセットも含む。
【0070】
本教示の1つの特徴は、比較的大きい面発光アレイ、特に、コード化パターンプロジェクタ装置内のその後の光学素子よりも大きい面発光アレイ使用できることである。VCSELアレイは、10mm平方の大きさで、またはさらにはそれよりも大きく製作することができる。多くの場合、VCSELアレイは、投影レンズおよびストライプパターンを形成するのに用いられるDOEよりも大きくなる。結果として、VCSELアレイの周辺近くの放射ビームはレンズおよびDOEアパーチャから外れて、投影パターンの輝度または形状に寄与しない可能性がある。この問題には、VCSELアレイとDOEとの間に位置決めされた光学素子を用いて対処することができる。
図12は、マイクロ光学プリズムアレイを含む本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法の実施形態を示す。マイクロ光学プリズムアレイ1252がVCSELアレイ1251の前に配置されており、通常は矢印1219によって示す方向に放射される出力ビームを実線矢印によって示すように軸に向けて曲げる。このように、ビームは投影レンズ1231のアパーチャを通過する。挿入
図1250はマイクロ光学プリズムアレイ1252の形態の実施形態の詳細を示しており、ここではVCSELアレイ1251の各発光体1200に提示される各マイクロ光学プリズムアレイ1252素子の表面角度が異なる。具体的には、各発光体1200に提示される各マイクロ光学プリズム素子の表面角度は、中心に近いビーム1253がわずかに曲がり、周辺のビーム1253が最も大きく曲がるように、マイクロ光学プリズムアレイ1252の中心から離れるにつれてマイクロプリズムについて比例的に増加する。いくつかの実施形態では、表面角度は、レンズ1231のアパーチャを通ってビームが均一に分布するように選択される。こうして、マイクロ光学プリズムアレイ1252は、VCSEL出力ビームがコード化パターンプロジェクタ装置の投影レンズまたは他の光学素子のより小さいアパーチャを通って伝播するようにVCSEL出力ビームを曲げる役割を果たす。DOE1232は大型VCSELアレイ1251から大型ストライプパターン1241を発生させ、これが投影レンズ1231によって投影される。
【0071】
VCSELビームのコンパクトなアレイがマイクロ光学プリズムアレイ1252から現れ、レンズ1231を通って、次にDOE1232を通って伝播する。DOE1232はビームを回折させて領域内にストライプパターン1241を形成する。DOE1232が有する構造は、VCSELビームのコンパクトなアレイおよび当該ビームの特定の伝播角度を回折させるように設計され、各発光体1200に提示される各マイクロ光学プリズム1252素子の発光体位置および表面角度に基づく。
【0072】
いくつかの実施形態では、コード化パターン内のストライプの数を増加させて、第1のDOEとは異なる構造を有し得る第2のDOEを用いて投影パターンの視野を拡大する。第2のDOEの構造は、ストライプパターン全体を増加させてそれらの複製を互いに並べて位置決めするように設計される。
図13は、本教示の2つのDOEを含むコード化パターンプロジェクタ装置を示す。第2のDOE1354が第1のDOE1332の後に配置される。第1のDOEの構造は、本来のストライプパターンを発生させるように設計される。第2のDOEの構造は、本来のストライプパターンを角度1355で回折させるように設計され、角度1355によって本来のストライプパターンの複数の複製1356が領域内に互いに隣接して配置される。このように、本来のストライプパターンの複数のコピーが投影されて大型ストライプパターンが形成される。いくつかの実施形態では、大型ストライプパターンは複数の隣接した本来のストライプパターンを含み、本来のストライプパターンは、VCSELアレイ1344の特定のアレイパターンおよび第1のDOE1322の構造に起因する。ゆえに、第2のDOEはストライプアレイの複数のコピーを作成し、隣接する起動されたVCSEL素子についての照明に隙間がないように、隣接するコピーの外側ストライプのエッジ同士をオーバーラップするように整列させる。
【0073】
いくつかの実施形態では、付加的なDOEをさらに用いて完全充填されたストライプパターンを生成することもできる。
図14は、2つのDOEを含む本教示のコード化パターンプロジェクタ装置を示す。
図14の実施形態では、挿入
図1440に示すVCSEL素子の規則的なアレイパターンが用いられる。この実施形態では、VCSEL素子のオフセットがない。規則的なアレイパターン化VCSELアレイの発光体からの光はレンズ1431および第1のDOE1432を通過して本来のストライプパターンを発生させる。本来のストライプパターン内のストライプを互いに隣接して配置するために、倍率器DOE1454が、各々が小さい回折角1457を有する本来のストライプパターンを複製するように設計される。回折角1457は、本来のストライプパターンのストライプ幅発散角とほぼ同一であるように設定される。この回折角は、本来のストライプパターン1458、1459を交互配置して、本来のストライプパターンの交互のストライプを隣り合ったストライプパターンの隙間に配置する。
【0074】
図14は、図面を明確にするために2つの本来のストライプパターン1458、1459を作成する回折のみを示している。いくつかの実施形態では、より多くの交互配置された本来のストライプパターンがストライプ間の隙間を完全に充填する。いくつかの実施形態では、3つの交互配置された本来のストライプパターンが完全充填されたストライプパターンを発生させる。これらの実施形態では、3つの交互配置された本来のストライプパターンは、適切な回折角1457を用いることによって隙間を完全に充填する。一般的に、
図14の実施形態では、VCSELアレイからの出力光が第1のDOE1432を通って伝播してストライプアレイを形成し、第2のDOE1454は、交互のコピーからの隣接するストライプ同士がオーバーラップし、隣接する起動されたVCSEL素子についての照明に隙間がないように、ストライプアレイコピーを交互配置する。
図14は、表示を明確にするために、水平方向に変位した本来のストライプパターンを示している。いくつかの実施形態では、本来のストライプパターンは水平方向に変位していない。
【0075】
本教示の1つの特徴は、本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の1つ以上のDOEの後のビーム経路内の付加的な光学素子を用いることである。付加的な光学素子は、投影パターンを領域内の異なるフィールド条件に適合させる役割を果たす。
図15は、フライアイ発散レンズ1559を含む本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す。VCSELアレイ1544の素子からの光がレンズ1531に入射した後、DOE1532に移動して本来のストライプパターンを発生させる。いくつかの実施形態では、DOE1532は1つ以上のDOEである。いくつかの実施形態では、1つ以上のDOEは1つ以上の円柱レンズに置換される。本来のストライプパターンはフライアイ発散レンズ1559に入射し、これはストライプパターン1561の画角1560を拡大するのに用いられる。フライアイ発散レンズを含む本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態は、クローズアップ三次元撮像アプリケーションに適している。収束レンズ、発散レンズ、およびプリズムなどの他の種類の付加的な光学部品を用いてコード化された構造化パターンをアプリケーション視野と一致させることができることが当業者に明らかになるであろう。
【0076】
図16は、本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態の実験ベンチトップセットアップの写真である。
図16は、37発光体VCSELアレイ1640と、コリメート/投影レンズ1631と、DOE構成要素1632とを示す。
【0077】
図17は、本教示のコード化パターンプロジェクタ装置のVCSELアレイの実施形態のマスクCAD図面を示す。当該マスクCAD図面は、個々のVCSEL素子1738のレイアウトを示す37発光体VCSELアレイ1740を示す。37個のVCSEL素子1738が六角形アレイ内に配置されている。
【0078】
図16および
図17の双方を参照して、VCSELアレイ1640、1740がレンズ1631およびDOE1632とともにセットアップされると、ストライプのアレイが発生する。
図18は、本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態の発生したストライプのアレイ1840を示す。発生したストライプのアレイ1840は本来のストライプパターンとも呼ばれ得る。
図18は、相対的な方位を示すために、本来のストライプパターン1840に重ね合わせられたVCSELアレイ放射パターン1838も示している。本来のストライプパターン1840のストライプ1836は、各ストライプに複数のVCSEL素子を用いるため、かなり均一である。本来のストライプパターン1840のストライプ1836の間には、VCSEL素子間の空間に対応する空間が存在する。
【0079】
本教示の1つの特徴は、VCSELアレイの方位をDOEに対して変更して、ストライプを生成するVCSEL素子をVCSEL素子間の空間または隙間に置くことによって、完全充填されたストライプパターンが得られることである。
図19は、本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態によって発生した完全充填されたストライプパターンの写真を示す。
図19は、相対的な方位を示すために、完全充填されたストライプパターン1943に重ね合わせられたVCSELアレイ放射パターン1944も示している。この実施形態では、VCSELアレイ放射パターン1944はDOEに対して回転しており、VCSEL素子行間の隙間に3本のストライプを発生させて、隙間のない完全充填されたストライプパターン1943を発生させる。
図19は、VCSELアレイおよびDOEの配列を変更して互いにオーバーラップするストライプを作成する効果を示す。
図19は、投影されたコード化パターンのストライプ間の隙間を示していない。
【0080】
本教示の1つの特徴は、ストライプパターンを拡大してより大きい視野を充填できることである。この特徴は、第2の倍率器DOEを含む
図13の実施形態の説明に関連して初めに上記で説明した。
図20は、本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の実施形態によって発生した広視野ストライプパターンの写真を示す。
図20は、相対的な方位を示すために、広視野ストライプパターンに重ね合わせられたVCSELアレイ放射パターン2040も示している。VCSELアレイ放射パターン2040ビームは第1のDOEを通って伝播して本来のストライプパターン2036を形成する。ビームは次に第2の倍率器DOEを介して誘導されて、ストライプパターンの複製2056を形成する。このように、ストライプ方向に垂直な水平方向における幅広い照明視野が得られる。
図20に示す実施形態では、複製間に大きい間隔がある。当業者に明らかになるように、この複製間隔は、第2の倍率器DOEの設計構造を変更することによって調整またはさらには除去することができる。いくつかの実施形態では、第2の倍率器DOEは大きい角度でコピーを投影し、いくつかの実施形態では、第2の倍率器DOEは小さい角度でコピーを投影する。投影角度はDOE構造を変えることによって変わる。
【0081】
本教示の1つの特徴は、本教示を用いてパターン形状を一次元コード化ストライプパターンから二次元コード化パターンに拡大できることである。これらの実施形態では、パターン素子は一次元ストライプではなく、二次元配列のスポットまたは形状となる。同一の概念を適用すると、プロジェクタは本明細書に記載のコード化された一連のストライプパターンと同様に、コード化された一連の二次元構造化パターンの視野を生成することができる。
【0082】
VCSELアレイは、10mm平方の大きさで、またはさらにはそれよりも大きく製作することができる。多くの場合、VCSELアレイは、投影レンズよりも大きく、かつコード構造化パターンを形成するのに用いられるDOEよりも大きくなる。結果として、VCSELアレイの周辺近くの放射ビームはレンズおよびDOEアパーチャから外れる可能性がある。
図21Aは、本教示のマイクロ光学プリズムアレイ2152を含むコード化パターンプロジェクタ装置および方法の実施形態を示す。
図21AはVCSELビームの曲げを示す側面図である。マイクロ光学プリズムアレイ2152がVCSELアレイ2151の前に配置されており、通常は矢印2119によって示す方向に放射される出力ビームを、投影レンズ2131のアパーチャを通過するように、実線矢印によって示すように軸に向けて曲げる。
【0083】
図21Bは、VCSELアレイの中心を通る軸に向かってVCSELビームを曲げるマイクロ光学プリズムの断面を示す3つのVCSEL素子のクローズアップ図である。
図21Bはマイクロプリズムアレイ2152の形態の実施形態の詳細を示しており、ここではVCSELアレイ2151の各発光体2100に提示される各マイクロ光学プリズム素子の表面角度が異なる。各発光体2100に提示される各マイクロ光学プリズム素子の表面角度は、中心に近いビーム2153がわずかに曲がり、周辺のビーム2153が最も大きく曲がることによって、ビームがレンズアパーチャを通って均一に分布されるように、マイクロ光学プリズムアレイ2152の中心から離れるにつれてマイクロプリズムについて比例的に増加する。
【0084】
図21Cは、アレイ内の1つのVCSELデバイスに対する1つのマイクロ光学プリズム素子の位置および形状を示す上面図を示す。
図21Cは、本教示のコード化パターンプロジェクタ装置のVCSELアレイ素子2100に対する各マイクロ光学プリズムアレイ素子の位置を示す。プリズムアパーチャ2171はVCSEL素子2100および当該VCSEL素子が放射するビームと整列しており、次にプリズム素子間に中間構造2170が存在する。
【0085】
本教示のコード化パターンプロジェクタ装置の1つの特徴は、コード化された二次元構造化パターンを提供できることである。
図22は、コード化された二次元構造化パターンを投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す。VCSELアレイは規則的なアレイパターンまたは不規則なアレイパターンであり得る。VCSEL素子は構造化されたスポットのパターンを形成するように配置される。さまざまな実施形態において、これらのスポットは円形またはその他の形状であり得る。スポットの形状は、個々のVCSEL素子のアパーチャ形状によって規定される。投影レンズ2231がVCSELアレイの画像を投影して、構造化照明パターン2273を形成する。VCSELアレイ2251はすべての素子を共に起動することができ、または個々の素子もしくは素子のグループが別個に起動されるアドレス指定可能なアレイであり得る。別個の素子または素子のグループを順に起動することによって、一連の異なるコード化された構造化パターン2273が発生する。
【0086】
マイクロ光学プリズムアレイを有する大型VCSELアレイを使用すると、非常に多くのスポットを有する大型構造化パターン2273が生成される。異なるVCSEL素子を順に起動すると、複雑な三次元撮像および深度検知アプリケーションに好適な多くの異なるコード化パターンが生成される。マイクロ光学プリズムアレイ2252はVCSELアレイとは別個に装着することができ、または
図22に示すように、より凹凸のある構造については低指数透明接着剤2272を用いてVCSELアレイに直接接着することができる。
【0087】
本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法の1つの特徴は、大型構造化パターンを投影することである。
図23は、大型構造化パターンを投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す。
図23は、二次元VCSELアレイ出力を二次元で増加させるDOEを用いた、スポットの大型二次元アレイの形成を示す。挿入
図2340内に示すパターンを有する面発光アレイからのビームがレンズ2331によって投影され、当該ビームはDOE2362において誘導される。DOE2362は、二次元でVCSELビームアレイの隣接する複数の複製を作成して大型二次元構造化パターン2363を実現する。複製は、パターンがスポットまたは形状の均一の大型アレイであるように、互いに近くに、しかしオーバーラップしないように配置される。面発光アレイ2340は、面発光アレイ2340内の関連の面発光素子を起動することによって異なるビームパターンを作成できるように、完全にアドレス指定可能である。こうして、コード化された一連のアレイパターンを領域内に投影して大きい視野に複製することができる。いくつかの実施形態では、この一連の異なるコード化パターンが投影され得、軸外に配置されたカメラまたは他の2Dセンサを用いて、これらの投影パターンによって照明されるオブジェクトの画像が記録される。これらの実施形態は、3D撮像またはジェスチャ認識アプリケーションを含むアプリケーションに用いられ得る。歪んだスポット画像を解析することによって、3D撮像またはジェスチャ認識アプリケーションのオブジェクトについての三次元深度情報が与えられる。
【0088】
図24は、本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態によって投影された大型二次元構造化パターンの写真を示す。
図24の写真は、
図23に関連して説明した構成の実施形態を示す。この大型二次元投影パターンは、均一の間隔を有するスポットの大型アレイである。非回折画像からのスポットの位置は、当該スポットを増加した画像に関連付けることができるように写真内に識別される。本来のVCSELアレイスポットパターン2440は、すべてのVCSEL素子が起動された状態で中心に示されている。スポットパターンのDOE投影複製2463は二次元において本来のVCSELアレイスポットパターン2440を囲んでいる。複製は、パターンがスポットまたは形状の均一の大型アレイであるように、互いに近くに、しかしオーバーラップしないように配置される。
図24に示す写真は、完全な視野をカバーするスポットの連続的な、かつ均一に離間したアレイを実証している。VCSELアレイ内のVCSEL素子の異なるセットを起動することによって、コード化された一連の異なるパターン構造を投影することができる。これらのパターン構造は、VCSELアレイ内のVCSEL素子の異なるセットを特定の時系列で起動することによって、時間の関数としてコード化することもできる。
【0089】
本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法の1つの特徴は、完全充填されたコード化二次元パターン構造を投影できることである。
図25は、完全充填されたコード化二次元パターン構造を投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す。具体的には、
図25は、投影されたVCSELアレイ画像を二次元DOE倍率器を用いて交互配置して、密集したスポットのアレイを発生させることができる方法を示す。隣接するスポット同士は、すべてのVCSEL素子が起動されるとそれらが合体してより大きいスポット画像になるように、オーバーラップするよう配置される。この実施形態では、DOE2564は、面発光ビームアレイ2540から現れる放射ビームのパターンをわずかにオフセットさせる構造を含む。オフセット距離はほぼ発光素子ビーム直径である。放射ビームのパターンからのDOEの構造のオフセットはさまざまな方向に起こる。このように、オーバーラップするビームスポットは投影画像2565を完全に充填する。
図25は、投影画像2565を本質的に完全に充填するのに十分な4つのオーバーラップする複製を示す。完全充填された投影画像2565のダイアグラムは、完全な視野をカバーするスポットの複数のオーバーラップするアレイを生成することによって起動されるすべての面発光素子を示す。アレイ内の面発光素子の異なるセットを起動することによって、コード化された一連の異なるパターン構造を投影することができる。
【0090】
ビームスポットのオーバーラップは任意の所望の量であり得、ほぼ発光素子ビーム直径であることに限定されないことが当業者によって認識され得る。ビームスポットのオーバーラップは、複数のビーム直径または非整数のアレイピッチでもよい。いくつかの実施形態では、1つの次元においてアレイピッチの3.3倍、および第2の次元においてアレイピッチの4.7倍のオーバーラップが用いられる。
【0091】
本教示の1つの特徴は、コード化された構造化パターンの複数の複製を大型VCSELアレイから投影できることである。
図26は、大型VCSELアレイからパターンの複数の複製を投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す。
図26は、
図22に示す実施形態へのDOEの追加を説明している。
図26は、大型の非常に密集したスポットのアレイを発生させる実施形態を示す。
図26の実施形態では、大型VCSELアレイ2651からの出力ビームが、マイクロ光学プリズムアレイ2652を用いて投影レンズ2631を通って収束する。DOE2664がレンズ2631の後に位置しており、VCSEL構造化パターンの複数の複製を作成して、単一の投影された構造化パターン2674を作成する。いくつかの実施形態では、複数の複製が互いに隣接して配置されて大型パターンを形成し得る。いくつかの実施形態では、複製を交互配置してパターン密度を増加させ、単一の投影された構造化パターン空間を複製されたパターンスポットで完全に充填することができる。
【0092】
本教示の1つの特徴は、二次元投影についての一連のコード化された構造化パターンを発生可能なことである。
図27A~
図27Dは、VCSELアレイと、オーバーラップ画像から構造パターンを作成する二次元DOE倍率器とを用いてコード化構造パターンを作成する例を示す。
図27Aは、本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態のVCSEL素子のパターンを示す。
図27Bは、
図27AのVCSEL素子のパターンからのビームをDOEに通過させることによって生じる構造化パターンを示す。
図27Aは、8個の発光素子を含むVCSELアレイパターン2766を示す。この場合、VCSELアレイは規則的なアレイではなく、発光素子2767の位置は構造化された不規則なアレイレイアウトパターンである。
図27Aの面発光アレイレイアウトパターンは、すべての素子が起動されており、DOEを介して投影され、当該DOEは、アレイサイズの1/4のサイズであるオフセットを有する4つの複製を発生させる。これによって、
図27AのVCSELアレイチップ2766の4つの象限のオーバーラップである、
図27Bに示す中心パターン2768が得られる。各VCSEL素子スポットには、オーバーラップしているスポットの位置を識別できるように、明確にするために番号を付けている。たとえば、
図27Aの1~8とラベル付けされたアレイ素子は、同一の番号の構造化パターン内のスポットに対応する。すなわち、
図27Aの「1」とラベル付けされた素子からの光は、DOEによって投影されると
図27Bに示すように「1」とラベル付けされた複数のスポットとして現れる。発光体スポットのいくつかはオーバーラップして、隙間のないより大きいスポットを発生させる。なお、理解を明確にするために、
図27A~
図27Bに示す図示には限られた数の面発光素子のみが用いられていることに留意すべきである。適切に離間した多数の発光素子を用いることによって投影パターンの完全なカバー範囲を得ることができることが当業者に明らかになるであろう。
【0093】
図27Cは、本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態のVCSEL素子のパターンを示す。
図27Dは、
図27CのVCSEL素子のパターンからのビームを本教示のDOEに通過させることによって生じる構造化パターンを示す。
図27Cは、面発光素子の半分が白丸によって示されるように起動されていないことを示す。
図27Dは結果として生じる重ね合わせられた構造化パターンを示しており、これは
図27Bに示す構造とは異なる構造を有する。面発光素子の異なるセットを順に起動することによって多くの異なるパターンコードを発生可能であることが当業者に明らかになるであろう。こうして、一連の異なるコード化パターンが投影され得、軸外に配置されたカメラまたは他の2Dセンサを用いて、これらの投影パターンによって照明されるオブジェクトの画像が記録される。本教示のこの実施形態は、3D撮像またはジェスチャ認識アプリケーションに用いられ得る。歪んだスポット画像を解析することによって、3D撮像またはジェスチャ認識アプリケーションのオブジェクトについての三次元深度情報が与えられる。
【0094】
図27A~
図27Dに示す実施形態では、面発光アレイチップサイズの1/4のオーバーラップが用いられている。さまざまな実施形態において、さまざまな他のオーバーラップ比率を用いて異なる複雑度の異なるパターン構造を得ることができる。さらに、いくつかの実施形態では、DOEは複数の複製を作成するように設計され得、当該複製がオーバーラップパターン2766の複数のコピーを発生させる。5つ以上の複製を作成するように設計されたDOEを含む実施形態もある。このオーバーラップおよび複製の数は例である。多くの他の組合せが可能であり、当業者に明らかになるであろう。
【0095】
本教示のコード化パターンプロジェクタ装置および方法の1つの特徴は、複数の完全充填されたコード化二次元パターン構造を領域内の広範囲内に投影できることである。
図28は、複数の完全充填されたコード化二次元パターン構造を広範囲内に投影する本教示のコード化パターンプロジェクタの実施形態を示す。
図28は、第2の倍率器DOEを用いて、
図25に示す交互配置されたアレイの画像フィールドを増加させることを示す。複製されたパターンは、すべての面発光体が起動されると全部の投影パターンが完全充填されるように、互いに接合される。第1のDOE2864が、完全充填されたコード化二次元パターンを発生させる。第2の倍率器DOE2875が第1のDOE2862の後に配置されて、完全充填されたコード化二次元パターンの隣接する複製2869を投影する。これらの隣接する複製2869は、第2の倍率器DOE2875構造の適切な設計によってわずかにオーバーラップして、完全に充填された拡大構造化パターンを生成するように配置され得る。
【0096】
先の節で述べた説明から、本教示の原理は広範な順次コード化されたパターン、一次元ストライプパターンおよび二次元スポットパターンの両方を構築するように適用され得ることが認識され得る。面発光アレイをマイクロレンズアレイまたはマイクロプリズムアレイと結合することもでき、これによって面発光体ビームをコリメーション、投影および集光する際の柔軟性を高めることができる。
【0097】
レンズおよびDOEを有する面発光アレイによって、それらが広範な電子モジュール組立工程と非常に互換性を持つようになり、それらは、面実装モジュール発光アレイとともに、センサおよびICデバイスを有するモジュール組立てられ得る。設計のモジュール的な局面および面実装局面は、モジュールを大量生産することによって製造コストを削減するのに特に魅力的である。面発光アレイは異なる材料を用いて構築可能であるため、異なる波長発光デバイス同士をモジュール的に互いに組合せて多波長モジュールを作成してもよい。ここに開示した原理のこれらおよび他の利点が当業者に明らかになるであろう。
【0098】
いくつかの特定の実施形態を参照して本教示の大まかな枠組みを説明しているが、特定の面発光構造化照明アプリケーションに応じて、本明細書に記載の素子の組合せおよび下位の組合せを適用することによって他の実施形態を構成してもよい。当業者に明らかになるであろうさまざまな実施形態の変形および変更は本発明の範囲内にあり、添付の請求項に含まれている。
【0099】
均等物
出願人の教示をさまざまな実施形態に関連して説明しているが、出願人の教示がそのような実施形態に限定されることを意図していない。反対に、出願人の教示は当業者によって認識されるように、さまざまな代案、変更および均等物を含み、これらは教示の精神および範囲から逸脱することなく本明細書においてなされ得る。