IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】光学フィルタ用の入射角制限
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20220922BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
G02B5/28
G02B5/26
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019006381
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2019124942
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】62/618,372
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/164,225
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エイ ブラッドレイ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ティム グスタフソン
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-507749(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102216817(CN,A)
【文献】国際公開第2007/097198(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101389982(CN,A)
【文献】特開平07-043528(JP,A)
【文献】特開2017-161897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/28
G02B 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された第1光学フィルタ構成要素と、
前記第1光学フィルタ構成要素上に配置された第2光学フィルタ構成要素とを具えた複合光学フィルタであって、
前記第1光学フィルタ構成要素は、水素化シリコン(Si:H)を用いて製造された低角度シフトの帯域通過フィルタであり、第1の角度シフトを有し、該第1の角度シフトは、前記低角度シフトの帯域通過フィルタの通過帯域が、前記低角度シフトの帯域通過フィルタに入射する光の入射角と設定入射角との差に応じて、当該光の波長に対してシフトするシフト量であり、
前記第2光学フィルタ構成要素は、前記第1の角度シフトとは異なる第2の角度シフトを有し、該第2の角度シフトは、前記第2光学フィルタ構成要素の通過帯域が、前記第2光学フィルタ構成要素に入射する光の入射角と前記設定入射角との差に応じて、当該光の波長に対してシフトするシフト量であり、
前記低角度シフトの帯域通過フィルタは、特定範囲の入射角で20%未満の前記第1の角度シフトを有し、
前記特定範囲の入射角は、0度~60度の範囲である複合光学フィルタにおいて、
第1範囲の入射角の光を透過させるように構成され、かつ該第1範囲の入射角とは異なる第2範囲の入射角の光を阻止するように構成されている複合光学フィルタ。
【請求項2】
前記第1範囲の入射角が0度~30度である、請求項1に記載の複合光学フィルタ。
【請求項3】
前記第1範囲の入射角が0度~45度である、請求項1に記載の複合光学フィルタ。
【請求項4】
前記第2範囲の入射角が30度よりも大きい、請求項1に記載の複合光学フィルタ。
【請求項5】
前記第2範囲の入射角が45度よりも大きい、請求項1に記載の複合光学フィルタ。
【請求項6】
前記第2範囲の入射角が0度~30度であり、前記第1範囲の入射角が30度よりも大きい、請求項1に記載の複合光学フィルタ。
【請求項7】
前記複合光学フィルタが、前記第1範囲の入射角の光のうち閾値の割合よりも大きい割合の光を透過させ、
前記閾値の割合は、
75%、
90%、
95%、
99%、
99.9%、
99.99%、または
99.999%
である、請求項1に記載の複合光学フィルタ。
【請求項8】
前記複合光学フィルタが、前記第2範囲の入射角の光のうち閾値の割合の光を阻止するように構成され、
前記閾値の割合は、
75%、
90%、
95%、
99%、
99.9%、
99.99%、または
99.999%
である、請求項1に記載の複合光学フィルタ。
【請求項9】
前記複合光学フィルタが、特定のスペクトル範囲を有する前記第1範囲の入射角の光を透過させるように構成され、かつ該特定のスペクトル範囲を有する前記第2範囲の入射角の光を阻止するように構成されている、請求項1に記載の複合光学フィルタ。
【請求項10】
前記特定のスペクトル範囲が、
600ナノメートル(nm)~1200nm、
700nm~1100nm、または
800nm~1000nm、
である、請求項9に記載の複合光学フィルタ。
【請求項11】
前記特定のスペクトル範囲が、
1200ナノメートル(nm)~2000nm、
1400nm~1800nm、または
1500nm~1700nm、
である、請求項9に記載の複合光学フィルタ。
【請求項12】
前記特定のスペクトル範囲が、
200ナノメートル(nm)~4000nm、
1000nm~3000nm、または
1500nm~2500nm、
である、請求項9に記載の複合光学フィルタ。
【請求項13】
入力光信号をフィルタ処理して、フィルタ処理した入力光信号を提供するように構成された複数の光学フィルタ構成要素を含む光学フィルタと、
前記フィルタ処理した入力光信号を受光して出力電気信号を提供するように構成された光センサと
を具えた光学系であって、
前記複数の光学フィルタ構成要素は、前記入力光信号のうち入射角の閾値を満足しない第1部分を阻止し、かつ前記入力光信号のうち前記入射角の閾値を満足する第2部分を通過させるように構成され、
前記複数の光学フィルタ構成要素は、水素化シリコン(Si:H)を用いて製造された低角度シフトのフィルタを含み、
前記低角度シフトのフィルタは、特定範囲の入射角で20%未満の角度シフトを有し、該角度シフトは、前記低角度シフトのフィルタの通過帯域が、前記低角度シフトのフィルタに入射する光の入射角と設定入射角との差に応じて、当該光の波長に対してシフトするシフト量であり、
前記特定範囲の入射角は、0度~60度の範囲である光学系。
【請求項14】
前記光学フィルタの最大透過率が、前記光学フィルタの最小透過率を与える入射角よりも小さい入射角で生じる、請求項13に記載の光学系。
【請求項15】
前記低角度シフトのフィルタが長波長通過(LWP)光学フィルタである、請求項13に記載の光学系。
【請求項16】
前記複数の光学フィルタ構成要素が短波長通過(SWP)光学フィルタをさらに含む、請求項13に記載の光学系。
【請求項17】
第1フィルタ構成要素と、
第2フィルタ構成要素とを具えたフィルタであって、
前記第1フィルタ構成要素は、水素化シリコン(Si:H)を用いて製造された低角度シフトのフィルタであり、第1の角度シフト及び第1通過帯域を有し、該第1の角度シフトは、前記第1通過帯域が、前記低角度シフトのフィルタに入射する光の入射角と設定入射角との差に応じて、当該光の波長に対してシフトするシフト量であり、
前記第2フィルタ構成要素は、第2の角度シフト及び第2通過帯域を有し、該第2の角度シフトは、前記第2通過帯域が、前記第2フィルタ構成要素に入射する光の入射角と前記設定入射角との差に応じて、当該光の波長に対してシフトするシフト量であり、
前記低角度シフトのフィルタは、特定範囲の入射角で20%未満の角度シフトを有し、
前記特定範囲の入射角は、0度~60度の範囲であり、
前記第1の角度シフト、前記第1通過帯域、前記第2の角度シフト、及び前記第2通過帯域は、前記フィルタが、特定のスペクトル範囲を有する第1入射角の光を透過させ、該特定のスペクトル範囲を有する第2入射角の光を反射するような値に設定されているフィルタ。
【請求項18】
前記第1入射角は30度未満であり、前記第2入射角は30度以上である、請求項17に記載のフィルタ。
【請求項19】
前記第2フィルタ構成要素の少なくとも1つの層が、五酸化タンタル(Ta2O5)材料である、請求項17に記載のフィルタ。
【請求項20】
前記フィルタがコリメータである、請求項17に記載のフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コーティングシステムを用いて、基板を特定の材料でコーティングすることができる。例えば、パルス直流(DC:direct current)マグネトロン・スパッタリングシステムは、薄膜層、厚膜層、等の堆積用に用いることができる。一組の層を堆積させることに基づいて光学素子を形成することができる。例えば、薄膜を用いて、光学干渉フィルタ、低角度シフトフィルタ、コリメータ、等のようなフィルタを形成することができる。一部の場合には、光学素子が、特定の光波長における特定機能を提供することに関連することができる。例えば、バンドパス(帯域通過)フィルタを用いて、近赤外領域の光、可視領域の光、紫外領域の光、等をフィルタ処理(フィルタリング)することができる。
【0002】
一例では、光トランスミッタ(光送信機)が、対象物に向けて指向される近赤外光を発光することができる。この場合、ジェスチャー認識システムについては、光トランスミッタが近赤外光をユーザに向けて伝送することができ、この近赤外光はユーザで反射して光レシーバ(光受信機、受光器)に向かうことができる。光レシーバは、この近赤外光に関する情報を捕捉することができ、この情報を用いて、ユーザが実行しているジェスチャーを識別することができる。例えば、ある装置が、この情報を用いてユーザの三次元表現を生成して、この三次元表現に基づいてユーザが実行しているジェスチャーを識別することができる。
【0003】
他の例では、近赤外光に関する情報を用いて、ユーザの身元、ユーザの特徴(例えば、身長または体重)、対象物の他の種類の特徴(例えば、対象物までの距離、対象物のサイズ、対象物の形状、対象物の分光学的特徴、または対象物の蛍光)等を認識することができる。しかし、ユーザに向けた近赤外光の伝送中、及び/またはユーザから光レシーバに向かう反射中に、周辺光がこの近赤外光と干渉することがある。従って、光レシーバを、バンドパスフィルタ、コリメータ、低角度シフトフィルタ、等に光学的に結合して、近赤外光がこれらを通過して光レシーバに向かうことを可能にすることができる。同様に、光レシーバを開口部に光学的に結合して、迷光が光レシーバに送られることを制限することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一部の可能な好適例によれば、複合光学フィルタが基板を含むことができる。この複合光フィルタは、この基板上に配置された第1光学フィルタ構成要素を含むことができ、この第1光学フィルタ構成要素は第1の角度シフトを有する。この複合光学フィルタは、第1光学フィルタ構成要素上に配置された第2光学フィルタ構成要素を含むことができ、この第2光学フィルタ構成要素は、第1の角度シフトとは異なる第2の角度シフトを有し、この複合光学フィルタは、第1範囲の入射角の光を透過させるように構成され、かつ第1範囲の入射角とは異なる第2範囲の入射角の光を阻止するように構成されている。
【0005】
一部の可能な実現によれば、光学系が、複数の光学フィルタ構成要素を含む光学系を含むことができ、これら複数の光学フィルタ構成要素は、入力光信号をフィルタ処理して、フィルタ処理した入力光信号を提供するように構成され、これら複数の光学フィルタ構成要素は、入力光信号のうち入射角の閾値を満足しない第1部分を阻止し、かつ入力光信号のうち入射角の閾値を満足する第2部分を通過させるように構成されている。この光学系は、上記フィルタ処理された入力光信号を受光して出力電気信号を提供するように構成された光センサを含むことができる。
【0006】
一部の可能な実現によれば、フィルタが、第1の角度シフト及び第1通過帯域を有する第1フィルタ構成要素を含むことができる。このフィルタは、第2の角度シフト及び第2通過帯域を有する第2フィルタ構成要素を含むことができ、第1の角度シフト、第1通過帯域、第2の角度シフト、及び第2通過帯域は、このフィルタが、あるスペクトル範囲を有する第1入射角の光を透過させ、このスペクトル範囲を有する第2入射角の光を反射するような値に設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書中に記載する実現の例の概要を示す図である。
図2図2A及び2Bは、本明細書中に記載する実現の例を示す図である。
図3図3A~3Eは、本明細書中に記載する光学フィルタに関する特性の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の実現の例の詳細な説明は、添付した図面を参照する。異なる図面中の同じ参照番号は、同一または同様の要素を識別することができる。
【0009】
光センサデバイスはセンサ素子のセンサ素子アレイを含んで、光トランスミッタ、電球、周辺光源、等のような光源から出る光を受光することができる。例えば、分光計では、光センサデバイスがセンサ素子のアレイを含んで、対象物で反射した光を受光し、これにより対象物の識別を可能にすることができる。センサ素子は光学フィルタを有することができ、この光学フィルタは、センサ素子に向かう光をフィルタ処理して、センサ素子が特定スペクトル範囲の電磁周波数に関係する情報を得ることを可能にする。例えば、この光センサ素子は、近赤外(NIR:near-infrared)光のスペクトル範囲内、可視光のスペクトル範囲内、紫外光のスペクトル範囲内、等に通過帯域を有する光学フィルタと位置合わせすることができる。光学フィルタは、光の一部分をフィルタ処理するための1つ以上の層を含むことができる。
【0010】
しかし、光学フィルタに向けて指向される光の入射角(AOI:angle of incidence)が設定入射角(例えば、0度、45度、90度、等)から閾値の入射角(例えば、設定入射角から約30度よりも大きく外れた入射角)に変化する際に、光学フィルタのフィルタ性能が劣化することがある。この場合、帯域のエッジに、より短い波長に向かうブルーシフト(青色偏移)が生じることがある。さらに、入射角が設定入射角(例えば、垂直(法線)入射、垂直でない選択した入射角、等)から閾値の入射角(例えば、効果の閾値レベルよりも大きい入射角)に変化する際には、光学フィルタにおける偏光効果が顕著になる。開口部を光学フィルタに位置合わせして配置して、入射角を設定入射角と、設定入射角から閾値未満だけ外れた入射角との間に制限することができる。このようにして、光が光学フィルタまたは他の種類の光学素子へ閾値よりも大きい入射角で指向されることにより生じる影響を回避することができる。
【0011】
しかし、開口部を含めることは、光学フィルタを含む光学パッケージを製造するための過剰なコスト、及び/またはこの光学パッケージにおける過剰なパッケージサイズを生じさせ得る。さらに、一部の場合には、閾値よりも大きい入射角を有する光が光学フィルタに向けて指向されることを可能にし、閾値以下の入射角を有する光が光フィルタに向けて指向されることを阻止して、視野平坦化を実行することが望ましいことがある。この場合、視野平坦化器を光学フィルタまたは他の種類の光学素子に光学的に結合することができる。しかし、視野平坦化レンズを含めることは、光学パッケージにおける過剰なサイズ、コスト、及び/または複雑性を生じさせ得る。
【0012】
本明細書中に記載する一部の実現は、共通の基板表面位置上に堆積した2つの光学フィルタを有して光の入射角を制限する光学フィルタ、光学装置、光学素子、光学モジュール、光学系、等を提供する。例えば、複合光学フィルタが第1光学フィルタ構成要素及び第2光学フィルタ構成要素を含むことができ、第1光学フィルタ構成要素は、第1通過帯域を有する低角度シフト(例えば、閾値未満の角度シフト)の光学フィルタであり、第2光学フィルタ構成要素は、第2通過帯域を有する高角度シフト(例えば、閾値以上の角度シフト)の光学フィルタである。このようにして、この複合光学フィルタは、設定入射角の光を透過させ、閾値よりも大きい入射角の光を反射または阻止することができる。このようにして、閾値よりも大きい入射角の影響を、開口部を含めることなしに回避し、これにより、複合光学フィルタを含む光学パッケージのコスト、製造の複雑性、サイズ、等を低減することができる。その代わりに、光学フィルタ構成要素の通過帯域を設定することに基づいて、閾値以下の入射角の光を阻止し、閾値よりも大きい入射角の光を通過させるように、複合光学フィルタを構成することができる。このようにして、複合光学フィルタは、視野平坦化レンズに比べてサイズ、複雑性、及び/またはコストを低減して視野平坦化を実行することができる。
【0013】
図1は、本明細書中に記載する実現の例100の概要を示す図である。図1に示すように、実現の例100はセンサシステム110を含む。センサシステム110は光学系の一部分とすることができ、センサの測定値に対応する電気的出力を提供することができる。例えば、センサシステム110は、分光システム、ジェスチャー認識システム、物体認識システム、動き追跡システム、通信システム、等の一部分とすることができる。
【0014】
一部の実現では、センサシステム110が光学フィルタ構造120を含むことができ、光学フィルタ構造120は複合光学フィルタ130及び光センサ140を含むことができる。一部の実現では、複合光学フィルタ130が一組の光学フィルタ構成要素130-1及び130-2を含むことができる。例えば、複合光学フィルタ130は、高角度シフトの光学フィルタ(例えば、閾値よりも大きい角度シフトを有する光学フィルタ)である第1光学フィルタ構成要素130-1、及び低角度シフトの光学フィルタ(例えば、閾値以下の角度シフトを有する光学フィルタ)である第2光学フィルタ構成要素130-2を含むことができる。このようにして、複合光学フィルタ130は、複合光学フィルタ130を通過することができる入射光の入射角を制限するように構成することができる。
【0015】
本明細書中に記載する一部の実現は、センサシステム内の光学フィルタに関して記載しているが、本明細書中に記載する一部の実現は、他の種類のシステム内、センサシステムの外部にある光学素子内、光学パッケージの光学素子内、等で用いることができる。
【0016】
図1に参照番号150でさらに示すように、入力光信号は一組の入射角で光学フィルタ構造120に向けて指向される。例えば、入力光信号150-1~150-4は、一組の入射角で光学フィルタ構造に向けて指向させることができる。この場合、入力光信号150-1は設定入射角(N)で光学フィルタ構造120に指向させることができる。同様に、入力光信号150-2及び150-3は閾値未満(例えば、θ0未満)の入射角で光学フィルタ構造120に指向させることができる。これとは対照的に、入力光信号150-4は閾値以上(例えば、θ0以上)の入射角で光学フィルタ構造120に指向させることができる。閾値の入射角は透過率の閾値に関連付けることができる。例えば、閾値の入射角は、その角度及び/またはそれより大きい角度で入力光信号が阻止または反射される角度を規定することができ、閾値未満の割合の入力光信号が複合光学フィルタ130を通過する際に、入力光信号が阻止または反射されると称することができる。
【0017】
図1に参照番号160でさらに示すように、入力光信号の第1部分が光学フィルタ構造120によって反射される。例えば、入力光信号150-4が光学フィルタ構造120における閾値以上の入射角で指向されることに基づいて、複合フィルタ130は入力光信号150-4を反射する。例えば、本明細書中に寄り詳細に説明するように、光学フィルタ構成要素130-1のある1つの通過帯域の角度シフトが、光学フィルタ構成要素130-1のそれぞれの通過帯域を生じさせることができ、光学フィルタ構成要素130-2はこれと異なり、入力光信号150-4が複合光フィルタ130を通過することを阻止する。
【0018】
参照番号170で示すように、光信号の一部分は複合光学フィルタ130及び光学フィルタ構造120を通過する。例えば、入力光信号150-1~150-3が光学フィルタ構造120に向けて閾値未満の入射角で指向されることに基づいて、複合光学フィルタ130は入力光信号150-1~150-3を光センサ140に向けて通過させる。一部の実現では、複合光学フィルタ130を、閾値未満の入射角を有する入力光信号を阻止するように構成することができる。例えば、本明細書中により詳細に説明するように、光学フィルタ構成要素130-1及び130-2の通過帯域を設定することに基づいて、光学フィルタ構成要素130は、入力光信号150-1~150-3を阻止し、入力光信号150-4を通過させるように構成することができる。
【0019】
参照番号180で示すように、光信号の一部分が光センサ140に送られることに基づいて、光センサ140はセンサシステム110の出力電気信号を提供することができる。例えば、光センサ140は、光の強度、光の特性(例えば、分光学的特徴)、光の波長、等を識別する出力電気信号を提供することができる。このようにして、複合光学フィルタ130は高角度シフトのフィルタ及び低角度シフトのフィルタを利用して、複合光学フィルタ130を通過することができる光の入射角を、開口部を用いずに制限することができる。このようにして、光学フィルタ構造120及び/またはセンサシステム110のコスト、複雑性、及び/またはサイズを、開口部を用いることに比べて低減して、光センサ140に送られる光の入射角を制限することができる。
【0020】
以上に示したように、図1は一例として提供するに過ぎない。他の例が可能であり、図1に関して説明したものと異なることができる。
【0021】
図2A及び2Bは、光学フィルタ200/200’の例の図である。図2Aに示すように、光学フィルタ200は基板210を含み。基板210上に第1光学フィルタ構成要素220及び第2光学フィルタ構成要素230が配置されている。
【0022】
一部の実現では、第1光学フィルタ構成要素220を低角度シフトフィルタとすることができる。例えば、第1光学フィルタ構成要素220は、銀(Ag)系の光学コーティングを用いて製造された低角度シフトの帯域通過フィルタとすることができる。それに加えて、あるいはその代わりに、第1フィルタ構成要素220は、水素化シリコン(Si:H)を用いて製造された低角度シフトの帯域通過フィルタとすることができる。一部の実現では、本明細書中により詳細に説明するように、第1光学フィルタ構成要素220は、閾値よりも大きい入射角において閾値未満の角度シフトを有することができる。例えば、第1光学フィルタ構成要素220は、特定範囲の入射角で、20%未満の角度シフト、10%未満の角度シフト、5%未満の角度シフト、1%未満の角度シフト、等を有することができる。この場合、特定範囲の入射角は、約0度~約60度、約0度~約45度、約0度~約30度、等の範囲とすることができる。
【0023】
一部の実現では、第1光学フィルタ構成要素220が閾値未満の厚さを有することができる。例えば、第1光学フィルタ構成要素220は、約600ナノメートル(nm)未満、約2000nm未満、約5000nm未満、等の厚さを有することができる。一部の実現では、第1光学フィルタ構成要素220が複数の層を有することができる。例えば、フォトリソグラフィーの手順を用いて複数の層を堆積させ、及び/またはパターン化して、第1光学フィルタ構成要素220を形成することができる。一部の実現では、光学フィルタ200が特定のサイズを有することができる。例えば、光学フィルタは、約10nm~5000nmの厚さ、0.001ミリメートル(mm)~100mmの長さ、及び/または0.01mm~100mmの幅を有することができる。
【0024】
一部の実現では、第2光学フィルタ構成要素230を高角度シフトフィルタとすることができる。例えば、第2光学フィルタ構成要素230は、短波長通過の高角度シフトフィルタとすることができる。一部の実現では、第2光学フィルタ構成要素230を、閾値未満の屈折率を有する材料で製造することができる。例えば、第2光学フィルタ構成要素230は、二酸化シリコン(SiO2)系フィルタ、五酸化タンタル(Ta2O5)系フィルタ、等とすることができる。一部の実現では、第2光学フィルタ構成要素230が閾値の角度シフトを有することができる。例えば、第2光学フィルタ構成要素230は、特定範囲の入射角において、1%より大きい、5%より大きい、10%より大きい、20%より大きい、30%より大きい、等の角度シフトを有することができる。この場合、特定範囲の入射角は、約0度~約90度、約10度~約60度、約30度~約45度、等とすることができる。一部の実現では、特定範囲の入射角は、約30度よりも大きく、約45度よりも大きく、等とすることができる。
【0025】
一部の実現では、第2光学フィルタ構成要素230が閾値未満の厚さを有することができる。例えば、第2光学フィルタ構成要素230は、約2500ナノメートル(nm)未満、約3600nm未満、約4000nm未満、等の厚さを有することができる。一部の実現では、第2光学フィルタ構成要素230が複数の層を有することができる。例えば、フォトリソグラフィー手順等を用いて複数の層を堆積させ、及び/またはパターン化して、第2光学フィルタ構成要素230を形成することができる。
【0026】
一部の実現では、第2光学フィルタ構成要素230が第1光学フィルタ構成要素とオーバーラップ(重複)することができる。例えば、第2光学フィルタ構成要素230と第1光学フィルタ構成要素220とが、およそ設定された入射の所でオーバーラップし、これにより光240の一部分が基板210を通過することを可能にすることができる。この場合、閾値未満の入射角を有する光(例えば、光線240-1~240-3)については、光が第1光学フィルタ構成要素220及び第2光学フィルタ構成要素230を通過することができる。一部の実現では、第2光学フィルタ構成要素230と第1光学フィルタ構成要素220とが部分的にオーバーラップすることができる。例えば、第2光学フィルタ構成要素230は、センサ素子アレイ内のセンサ素子の1つの部分集合と位置合わせされた第1光学フィルタ構成要素220の一部分をカバーすることができ、センサ素子アレイ内のセンサ素子の他の部分集合と位置合わせされた第1光学フィルタ構成要素の他の部分はカバーしないことができる。このようにして、光学フィルタ200は、センサ素子アレイの一部分のみに指向された光の入射角を制限することができる。
【0027】
一部の実現では、閾値よりも大きい割合の光が、第1光学フィルタ構成要素220及び第2光学フィルタ構成要素230を、閾値未満の入射角で通過することができる。例えば、第1光学フィルタ構成要素220及び第2光学フィルタ構成要素230は、約60度未満、約45度未満、約30度未満、等の入射角を有する光に対して、約75%よりも大きい透過率、約90%よりも大きい透過率、約95%よりも大きい透過率、約99%よりも大きい透過率、約99.9%よりも大きい透過率、約99.99%よりも大きい透過率、約99.999%よりも大きい透過率、等を可能にすることができる。
【0028】
これとは対照的に、閾値以上の入射角を有する光(例えば、光線240-5及び240-6)については、光が第1光学フィルタ構成要素220及び第2光学フィルタ構成要素230を通過することを阻止することができる。この場合、光は第1光学フィルタ構成要素220及び第2光学フィルタ構成要素によって反射することができる。一部の実現では、閾値以上の入射角において、閾値以下の割合の光を第1光学フィルタ構成要素220及び第2光学フィルタ構成要素230によって阻止することができる。例えば、第1光学フィルタ構成要素220及び第2光学フィルタ構成要素230は、約30度以上、約45度以上、約60度以上、等の入射角を有する光に対して、約50%以下の透過率、約25%以下の透過率、約10%以下の透過率、約5%以下の透過率、約1%以下の透過率、等を有することができる。この場合、光学フィルタ200は、例えば約75%、約90%、約95%、約99%、約99.9%、約99.99%、約99.999%、等のような閾値の割合の光を阻止することができる。このようにして、高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素を含む複合光学フィルタの使用は、開口部の必要性をなくし、これにより光学装置における製造の複雑性の低減、コストの低減、パッケージサイズの低減、等を可能にすることができる。
【0029】
一部の実現では、光学フィルタ200が特定のスペクトル範囲を有することができ、この特定のスペクトル範囲では、光学フィルタ200が、入射角の閾値を満足する第1範囲の入射角では透過性であり、入射角の閾値を満足しない第2範囲の入射角では透過性でない。例えば、光学フィルタ200は、約600ナノメートル(nm)~約1200nm、約700nm~約1100nm、約800nm~約1000nmのスペクトル範囲を有することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、光学フィルタ200は、約1200nm~約2000nm、約1400nm~約1800nm、約1500nm~約1700nm、等のスペクトル範囲を有することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、光学フィルタ200は、約200nm~約4000nm、約1000nm~約3000nm、約1500nm~約2500nm、等のスペクトル範囲を有することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、光学フィルタ200は、可視光のスペクトル範囲、近赤外光のスペクトル範囲、紫外光のスペクトル範囲、それらの組合せ、等を有することができる。
【0030】
一部の実現では、光学フィルタ200が、ブロッカー(阻止フィルタ)、エッジフィルタ、バンドパスフィルタ、等のような1つ以上の他のフィルタを含むことができる。一部の実現では、光学フィルタ200が、(例えば、第1フィルタ構成要素220及び/または第2フィルタ構成要素230を環境悪化から保護するための)保護カバーを含むことができる。一部の実現では、光学フィルタ200が他の材料の1つ以上の層を含むことができる。例えば、光学フィルタ200は、例えば第1光学フィルタ構成要素220または第2光学フィルタ構成要素230用に、シリコン(Si)系材料、水素化シリコン(Si:H)系材料、ゲルマニウム(Ge)系材料、水素化ゲルマニウム(Ge:H)系材料、シリコンゲルマニウム(SiGe)系材料、アルミニウム(Al)系材料、銀(Ag)系材料、二酸化シリコン(SiO2)材料、酸化アルミニウム(Al2O3)材料、二酸化タンタル(TiO2)材料、五酸化ニオビウム(Nb2O5)材料、五酸化タンタル(Ta2O5)材料、フッ化マグネシウム(MgF2)材料、ニオビウム含有酸化チタニウム(NbTiOx)材料、ニオビウム含有五酸化タンタル(NbTa2O5)材料、酸化亜鉛(ZnO)材料、白金(Pt)材料、金(Au)材料、等を含むことができる。一部の実現では、光学フィルタ200がコリメータを形成することができる。
【0031】
図2Bに示すように、光学フィルタ200’は、閾値以上の入射角を有する光が通過することを可能にすることができ、そして閾値未満の入射角を有する光を阻止することができる。例えば、光学フィルタ200’は、基板210’上に堆積した第1光学フィルタ構成要素220’及び第2光学フィルタ構成要素230’を含むことができる。第1光学フィルタ構成要素220’は低角度シフトのフィルタとすることができ、第2光学フィルタ構成要素230’は高角度シフトのフィルタとすることができる。この場合、第1光学フィルタ構成要素220’及び第2光学フィルタ構成要素230’は、光学フィルタ200’に指向される光の波長が、高角度の入射角(例えば、閾値以上の入射角)では光学フィルタ200’を透過し、低角度の入射角(例えば、閾値未満の入射角)では反射するように構成することができる。このようにして、光学フィルタ200’は、視野平坦化を可能にして、光学フィルタ200’の法線方向に指向される光の強度を低減することができる。
【0032】
以上に示したように、図2A及び2Bは例として提供するに過ぎない。他の例が可能であり、図2A及び2Bに関して説明したものと異なることができる。
【0033】
図3A~3Eは、本明細書中に記載する光学フィルタの特性の線図300~360である。
【0034】
図3Aに線図300及び310で示すように、波長に対する透過率は、高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素について、それぞれ0度の入射角及びn度の入射角において測定している。一部の実現では、低角度シフトの光学フィルタ構成要素を、図2Aの第1光学フィルタ構成要素220に相当する長波長通過(LWP:long wave pass)の光学フィルタ構成要素とすることができる。一部の実現では、高角度シフトの光学フィルタ構成要素を、図2Aの第2光学フィルタ構成要素230に相当する短波長通過(SWP:short wave pass)の光学フィルタ構成要素とすることができる。
【0035】
一部の実現では、高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素を、設定された層の厚さ、設定された材料の種類、等に基づいて構成することができる。高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素を含む複合光学フィルタの透過率は、高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素のそれぞれの透過率の積である。例えば、図3Aに関して説明する複合光学フィルタは、図2Aの光学フィルタ200に相当し得る。一部の実現では、入射角の変化が複合光学フィルタの透過率の変化を生じさせることができる。例えば、図に示すように、複合光学フィルタは、n度の入射角(例えば、nは閾値の角度よりも大きい)において、0度の入射角に比べて低減された透過率を有することができる。
【0036】
図3Bに線図320及び330で示すように、波長に対する透過率は、高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素について、それぞれ0度の入射角及びn度の入射角において測定している。図に示すように、異なる通過帯域を用いて複合光学フィルタを製造して、異なる入射角における光の阻止(ブロッキング)を行う。例えば、この場合、低角度シフトの光学フィルタ構成要素は、図3Aの低角度シフトの光学フィルタ構成要素の通過帯域とは異なる通過帯域を有する。
【0037】
図3Cに線図340で示すように、図3Aの複合光学フィルタ及び/または図3Bの複合光学フィルタ3Bを通過する光の強度を、入射角(θAoI)に対して測定している。例えば、線図300及び320中に示す設定入射角では、それぞれの複合光学フィルタを通過する光の強度を最大に(例えば、最大透過率に)することができ、そして線図310及び330に示すように、閾値よりも大きい入射角では、光の強度を閾値未満にすることができる。このようにして、複合光学フィルタは、閾値よりも大きい入射角を有する光を阻止する。
【0038】
図3Dに線図350及び360で示すように、波長に対する透過率は、高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素について、それぞれ0度の入射角及びn度の入射角(例えば、nは閾値の角度よりも大きい)で測定している。一部の実現では、低角度シフトの光学フィルタ構成要素を、図2Bの第1光学フィルタ構成要素220’に相当する長波長通過の光学フィルタ構成要素とすることができる。一部の実現では、高角度シフトの光学フィルタ構成要素を、図2Bの第2光学フィルタ構成要素230’に相当する短波長通過の光学フィルタ構成要素とすることができる。一部の実現では、高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素を、設定されたフィルタの厚さ、設定された材料の種類、等に基づいて構成することができる。高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素を含む複合光学フィルタの透過率は、高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素のそれぞれの透過率の積とすることができる。例えば、図3Dに関して説明する複合光学フィルタは、図2Bの光学フィルタ200’に相当し得る。この場合、0度からn度までの角度シフトは、それぞれの光学フィルタ構成要素の設定に基づく複合光学フィルタの透過率の増加を生じさせる。
【0039】
図3Eに線図370で示すように、波長に対する透過率は、高角度シフトの光学フィルタ構成要素及び低角度シフトの光学フィルタ構成要素について、異なる入射角で測定している。この場合、複合光学フィルタは、入射角nにおいて、高角度シフトの光学フィルタ構成要素の透過率がシフトして低角度シフトの光学フィルタ構成要素の透過率とオーバーラップすることに基づき、閾値よりも大きい透過率を有する。これとは対照的に、設定入射角では、複合光学フィルタを通過する光の強度を最小(例えば、最小の透過率)にすることができる。このようにして、複合光学フィルタは閾値以下の入射角を有する光を阻止する。
【0040】
以上に示したように、図3A~3Eは一例として提供するに過ぎない。他の例が可能であり、図3A~3Eに関して説明したものと異なることができる。
【0041】
このようにして、低角度シフトの光学フィルタ(構成要素)及び高角度シフトの光学フィルタ(構成要素)を含む(複合)光学フィルタは入射角制限を可能にする。例えば、光学フィルタは、設定入射角では閾値割合の光が光学フィルタを通過することを可能にすることができ、閾値の入射角では閾値割合の光を阻止することができる。このようにして、この光学フィルタは、開口部を光学装置に光学的に結合する必要性をなくし、これにより光学装置のコスト、複雑性、及び/またはサイズを低減する。
【0042】
以上の開示は図示及び説明を提供するが、網羅的であること、あるいは実現を開示した形態そのものに限定することは意図していない。以上の開示を考慮すれば、変更及び変形が可能であり、あるいは実現の実施により獲得することができる。
【0043】
本明細書中では、一部の実現を閾値に関連して記載している。本明細書中で用いる、閾値を満足するとは、閾値よりも大きい値、閾値よりも多数の値、閾値よりも高い値、閾値以上の値、閾値よりも小さい値、閾値よりも少数の値、閾値よりも低い値、閾値以下の値、閾値に等しい値、等を参照することができる。
【0044】
特徴の特定の組合せを、特許請求の範囲に記載し、及び/または明細書中に開示しているが、これらの組合せは可能な実現の開示を限定することは意図していない。実際に、これらの特徴の多数は、特許請求の範囲に具体的に記載していない、及び/または明細書中に具体的に開示していない方法で組み合わせることができる。以下に挙げる各従属請求項は1つの請求項にしか従属しないことがあるが、可能な実現の開示は、各従属請求項を特許請求の範囲中の他のあらゆる請求項と組み合わせたものを含む。
【0045】
本明細書中に用いるどの要素、動作、または命令も、そのように明示的に記載しない限り、重要または不可欠なものとして考えるべきでない。また、本明細書中に用いる「ある(1つの)」等は、1つ以上のアイテムを含むことを意図し、「1つ以上の」と互換的に用いることができる。さらに、本明細書中に用いる「集合」は、1つ以上のアイテム(例えば、関係するアイテム、無関係なアイテム、及び関係するアイテムと無関係なアイテムとの組合せ)を含むことを意図しており、そして「1つ以上の」と互換的に用いることができる。1つだけのアイテムを意図している場合、「1つの」または同様な文言を用いている。また、本明細書中に用いる「有する」、「有している」、等は、上限のない用語であることを意図している。さらに、「基づく」は、明示的断りのない限り「少なくとも部分的に基づく」ことを意味することを意図している。
【0046】
本発明の態様は次の通りである。
態様1.
基板と、
この基板上に配置された第1光学フィルタ構成要素であって、第1の角度シフトを有する第1光学フィルタ構成要素と、
第1光学フィルタ構成要素上に配置された第2光学フィルタ構成要素であって、第1の角度シフトとは異なる第2の角度シフトを有する第2光学フィルタ構成要素とを具えた複合光学フィルタにおいて、
第1範囲の入射角の光を透過させるように構成され、かつ第1範囲の入射角とは異なる第2範囲の入射角の光を阻止するように構成されている複合光学フィルタ。
【0047】
態様2.
第1範囲の入射角が約0度~約30度である、態様1の複合光学フィルタ。
【0048】
態様3.
第1範囲の入射角が約0度~約45度である、態様1の光学フィルタ。
【0049】
態様4.
第2範囲の入射角が約30度よりも大きい、態様1の複合光学フィルタ。
【0050】
態様5.
第2範囲の入射角が約45度よりも大きい、態様1の複合光学フィルタ。
【0051】
態様6.
第2範囲の入射角が約0度~約30度であり、第1範囲の入射角が約30度よりも大きい、態様1の複合光学フィルタ。
【0052】
態様7.
上記複合光学フィルタが、第1範囲の入射角の光のうち閾値の割合よりも大きい割合の光を透過させ、
この閾値の割合は:
約75%、
約90%、
約95%、
約99%、
約99.9%、
約99.99%、または
約99.999%、
のうちの少なくとも1つである、態様1の複合光学フィルタ。
【0053】
態様8.
上記複合光学フィルタが、第2範囲の入射角の光のうち閾値の割合の光を阻止するように構成され、
この閾値の割合は:
約75%、
約90%、
約95%、
約99%、
約99.9%、
約99.99%、または
約99.999%、
のうちの少なくとも1つである、態様1の複合光学フィルタ。
【0054】
態様9.
上記複合光学フィルタが、特定のスペクトル範囲を有する第1範囲の入射角の光を透過させるように構成され、かつこの特定のスペクトル範囲を有する第2範囲の入射角の光を阻止するように構成されている、態様1の複合光学フィルタ。
【0055】
態様10.
上記特定のスペクトル範囲が:
約600ナノメートル(nm)~約1200nm、
約700nm~約1100nm、または
約800nm~約1000nm、
のうちの少なくとも1つである、態様9の複合光学フィルタ。
【0056】
態様11.
上記特定のスペクトル範囲が:
約1200ナノメートル(nm)~約2000nm、
約1400nm~約1800nm、または
約1500nm~約1700nm、
のうちの少なくとも1つである、態様9の複合光学フィルタ。
【0057】
態様12.
上記特定のスペクトル範囲が:
約200ナノメートル(nm)~約4000nm、
約1000nm~約3000nm、または
約1500nm~約2500nm
のうちの少なくとも1つである、態様9の複合光学フィルタ。
【0058】
態様13.
入力光信号をフィルタ処理して、フィルタ処理した入力光信号を提供するように構成された複数の光学フィルタ構成要素を含む光学フィルタと、
上記フィルタ処理した入力光信号を受光して出力電気信号を提供するように構成された光センサと
を具えた光学系であって、
これら複数の光学フィルタ構成要素は、入力光信号のうち入射角の閾値を満足しない第1部分を阻止し、かつ入力光信号のうち入射角の閾値を満足する第2部分を通過させるように構成されている光学系。
【0059】
態様14.
上記光学フィルタの最大透過率が、上記光学フィルタの最小透過率を与える入射角よりも小さい入射角で生じる、態様13の光学系。
【0060】
態様15.
上記複数の光学フィルタ構成要素のうちのある光学フィルタ構成要素が長波長通過(LWP)光学フィルタである、態様13の光学系。
【0061】
態様16.
上記複数の光学フィルタ構成要素のうちのある光学フィルタ構成要素が短波長通過(SWP)光学フィルタである、態様13の光学系。
【0062】
態様17.
第1の角度シフト及び第1通過帯域を有する第1フィルタ構成要素と、
第2の角度シフト及び第2通過帯域を有する第2フィルタ構成要素とを具えたフィルタであって、
第1の角度シフト、第1通過帯域、第2の角度シフト、及び第2通過帯域は、このフィルタが、あるスペクトル範囲を有する第1入射角の光を透過させ、このスペクトル範囲を有する第2入射角の光を反射するような値に設定されているフィルタ。
【0063】
態様18.
上記第1入射角は約30度未満であり、上記第2入射角は約30度以上である、態様17のフィルタ。
【0064】
態様19.
上記第1フィルタ構成要素または上記第2フィルタ構成要素の少なくとも1つの層が:
シリコン(Si)系材料、
水素化シリコン系材料、
ゲルマニウム(Ge)系材料、
水素化ゲルマニウム系材料、
アルミニウム(Al)系材料、
銀(Ag)系材料、
二酸化シリコン(SiO2)材料、
酸化アルミニウム(Al2O3)材料、
二酸化チタニウム(TiO2)材料、
ニオニウム含有酸化チタニウム(NbTiOx)材料、
ニオビウム含有五酸化タンタル(NbTa2O5)材料、
酸化亜鉛(ZnO)材料、
白金(Pt)系材料、
金(Au)系材料、
シリコンゲルマニウム(SiGe)材料、
五酸化ニオビウム(Nb2O5)材料、
五酸化タンタル(Ta2O5)材料、または
フッ化マグネシウム(MgF2)材料
のうちの1つである、態様17のフィルタ。
【0065】
態様20.
上記フィルタがコリメータである、態様17のフィルタ。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E