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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】超音波診断装置及び表示方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019043315
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020146074
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 洋子
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼山 真紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 佳子
(72)【発明者】
【氏名】板橋 典子
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-014446(JP,A)
【文献】特開2014-151208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象組織に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて、前記対象組織を表す超音波画像を形成する超音波画像形成部と、
前記対象組織についての超音波検査の実施中において、関心部位マップを含む電子的な検査録を生成する検査録生成部と、
前記超音波画像及び前記検査録を表示する表示部と、
を含み、
前記関心部位マップは、
前記対象組織を表す対象組織像と、
前記超音波検査の実施中においてそれまでに特定された関心部位を表すシンボルであって、前記対象組織像上に表示される関心部位シンボルと、
を含み、
前記検査録生成部は、前記超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、前記関心部位マップに新たな関心部位シンボルを追加し、
前記検査録生成部は、前記新たな関心部位の位置を示す位置情報に基づいて、前記新たな関心部位シンボルを追加する位置を決定し、
前記超音波画像と共に、前記対象組織を模式的に表現したボディマーク及び超音波プローブを模式的に表現したプローブマークが表示され、
前記位置情報は、前記ボディマーク上における前記プローブマークの位置を示す情報であり、
前記超音波画像及び前記検査録は画面上において所定方向に並んで表示され、
前記ボディマーク及び前記プローブマークが、前記所定方向における前記超音波画像の一方側及び他方側の内で、前記検査録に近い側に表示される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の超音波診断装置において、
複数の組織性状を表す複数のシンボル形態が用意されており、
前記関心部位シンボルごとに前記複数のシンボル形態の中から前記関心部位の組織性状に対応した特定のシンボル形態が選択される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1記載の超音波診断装置において、
前記検査録は、更に関心部位リストを含み、
前記検査録生成部は、前記超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、前記関心部位リストに新たな関心部位記録を追加する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項記載の超音波診断装置において、
前記関心部位記録には、検査者により入力された所見が含まれる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
対象組織に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて、前記対象組織を表す超音波画像を形成する工程と、
前記対象組織についての超音波検査の実施中において、関心部位マップ及び関心部位リストを含む電子的な検査録を生成する工程と、
前記超音波画像及び前記検査録を表示する工程と、
を含み、
前記超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、前記関心部位マップに新たな関心部位シンボルが追加され、且つ、前記関心部位リストに新たな関心部位記録が追加され、
前記新たな関心部位の位置を示す位置情報に基づいて、前記新たな関心部位シンボルを追加する位置が決定され、
前記超音波画像と共に、前記対象組織を模式的に表現したボディマーク及び超音波プローブを模式的に表現したプローブマークが表示され、
前記位置情報は、前記ボディマーク上における前記プローブマークの位置を示す情報であり、
前記超音波画像及び前記検査録は画面上において所定方向に並んで表示され、
前記ボディマーク及び前記プローブマークが、前記所定方向における前記超音波画像の一方側及び他方側の内で、前記検査録に近い側に表示される、
ことを特徴とする表示方法。
【請求項6】
情報処理装置において実行されるプログラムであって、
対象組織に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて、前記対象組織を表す超音波画像を形成する機能と、
前記対象組織についての超音波検査の実施中において、関心部位マップ及び関心部位リストを含む電子的な検査録を生成する機能と、
を含み、
前記超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、前記関心部位マップに新たな関心部位シンボルが追加され、且つ、前記関心部位リストに新たな関心部位記録が追加され、
前記新たな関心部位の位置を示す位置情報に基づいて、前記新たな関心部位シンボルを追加する位置が決定され、
前記超音波画像と共に、前記対象組織を模式的に表現したボディマーク及び超音波プローブを模式的に表現したプローブマークが表示され、
前記位置情報は、前記ボディマーク上における前記プローブマークの位置を示す情報であり、
前記超音波画像及び前記検査録は画面上において所定方向に並んで表示され、
前記ボディマーク及び前記プローブマークが、前記所定方向における前記超音波画像の一方側及び他方側の内で、前記検査録に近い側に表示される、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置及び表示方法に関し、特に、超音波検査を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
乳房等の対象組織の超音波検査においては、超音波診断装置により形成された超音波画像の観察を通じて、検査者により、病変部位、経過観察部位等の関心部位が特定及び評価される。
【0003】
具体的には、超音波検査では、一般に、超音波画像を観察しながら超音波プローブをマニュアルで動かすことにより関心部位が探索される。その探索の過程で関心組織が見付かった場合、通常、フリーズ操作が行われる。超音波画像の隣には、ボディマーク及びプローブマークが表示されている。フリーズ後の超音波画像のストアに先立って、フリーズ操作時点での超音波プローブの位置及び姿勢に従って、ボディマーク上におけるプローブマークの位置及び角度がマニュアルで設定される。その後、それらのマークを含む超音波画像が検査レポート用画像としてストアされる。そのストアに先立って、関心部位に対する計測が実行されることもある。超音波検査においては、以上のような一連の工程が関心部位を単位として繰り返し実施される。
【0004】
超音波検査の終了後、それまでの検査結果を整理又は集約した紙の検査レポート又は電子的な検査レポートが作成される。検査レポートの作成に当たっては、通常、対象組織を表したシェーマ(模式図)上に関心部位の位置が記入され、また、関心部位についての検査者の所見が記入される。なお、動画像としての超音波画像を記憶しておき、その動画像を再生しながら超音波検査が実施されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010‐172499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、超音波検査を行う過程と検査レポートを作成する過程は区別されており、前者の過程の実施後、後者の過程が実施されていた。すなわち、超音波検査の実施中において、順次特定される関心部位ごとに、位置、所見等の入力を行うことはできなかった。また、超音波検査の実施中において、関心部位についての記録の一覧等を参照することはできなかった。
【0007】
なお、特許文献1には、シェーマ上へのシンボルのマッピングにより検査レポートを作成する技術が記載されている。しかし、その技術は、超音波検査の実施後において検査レポートを作成するものである。
【0008】
本発明の目的は、超音波検査の実施中において、それまでの検査結果が表された画像を検査者に提供することにある。あるいは、本発明の目的は、超音波検査と同時進行で、関心部位ごとにそれに関する情報の入力を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る超音波診断装置は、対象組織に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて、前記対象組織を表す超音波画像を形成する超音波画像形成部と、前記対象組織についての超音波検査の実施中において、関心部位マップを含む電子的な検査録を生成する検査録生成部と、前記超音波画像及び前記検査録を表示する表示部と、を含み、前記関心部位マップは、前記対象組織を表す対象組織像と、前記超音波検査の実施中においてそれまでに特定された関心部位を表すシンボルであって、前記対象組織像上に表示される関心部位シンボルと、を含み、前記検査録生成部は、前記超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、前記関心部位マップに新たな関心部位シンボルを追加する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る表示方法は、対象組織に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて、前記対象組織を表す超音波画像を形成する工程と、前記対象組織についての超音波検査の実施中において、関心部位マップ及び関心部位リストを含む電子的な検査録を生成する工程と、前記超音波画像及び前記検査録を表示する工程と、を含み、前記超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、前記関心部位マップに新たな関心部位シンボルが追加され、且つ、前記関心部位リストに新たな関心部位記録が追加される、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプログラムは、情報処理装置において実行されるプログラムであって、対象組織に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて、前記対象組織を表す超音波画像を形成する機能と、前記対象組織についての超音波検査の実施中において、関心部位マップ及び関心部位リストを含む電子的な検査録を生成する機能と、を含み、前記超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、前記関心部位マップに新たな関心部位シンボルが追加され、且つ、前記関心部位リストに新たな関心部位記録が追加される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、超音波検査の実施中において、それまでの検査結果が表された画像を検査者に提供できる。あるいは、本発明によれば、超音波検査と同時進行で、関心部位ごとにそれに関する情報の入力を行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る超音波診断装置を示すブロック図である。
図2】検査管理テーブルを示す図である。
図3】検査結果テーブルを示す図である。
図4】出力管理テーブルを示す図である。
図5】シンボル管理テーブルの第1例を示す図である。
図6】シンボル管理テーブルの第2例を示す図である。
図7】表示例を示す図である。
図8】簡易検査レポートの一例を示す図である。
図9】実施形態に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
図10】変形例に係る超音波診断装置を示すブロック図である。
図11】変形例に係る検査結果テーブルを示す図である。
図12】変形例に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(1)実施形態の概要
実施形態に係る超音波診断装置は、超音波画像形成部、検査録生成部、及び、表示部を有する。超音波画像形成部は、対象組織に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて、対象組織を表す超音波画像を形成する。検査録生成部は、対象組織についての超音波検査の実施中において、関心部位マップを含む電子的な検査録を生成する。表示部は、超音波画像及び検査録を表示するものである。関心部位マップは、対象組織を表す対象組織像と、超音波検査の実施中においてそれまでに特定された関心部位を示すシンボルであって、対象組織像上に表示される関心部位シンボルと、を含む。検査録生成部は、超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、関心部位マップに新たな関心部位シンボルを追加する。
【0016】
上記構成によれば、超音波検査の実施中において、新たな関心部位が特定される都度、関心部位マップの内容が更新される。すなわち、関心部位マップに新たな関心部位シンボルが追加される。超音波検査の実施中において、関心部位マップを参照することにより、その時点までに特定された関心部位を確認することができ、あるいは、それを考慮してその後の超音波検査を遂行できる。上記構成によれば、検査レポートに含めるべき情報を先行して入力できるから、超音波検査後に速やかに検査レポートを作成することも可能となる。換言すれば、超音波検査と同時進行で検査レポートの作成又はその準備を行える。
【0017】
超音波検査の実施中において、その時点までに特定された関心部位の個数をnで表現した場合、関心部位マップは、対象組織像上に表示されるn個の関心部位シンボルを含むものである。ここで、nは1以上の整数であり、超音波検査の実施中において、nは増大し得る。
【0018】
上記の超音波検査は、関心部位ごとの一連の処理又は工程(関心部位の探索及び特定、画像ストア等)からなるものである。一連の処理又は工程の中には、例えば、フリーズ操作、プローブマーク移動操作、計測等が含まれる。通常、超音波画像の観察により関心部位を特定できた場合、検査者(ユーザー)により、フリーズ操作が行われる。フリーズ操作、記録追加操作、等の関心部位の特定を示す所定の操作があった場合に、関心部位マップ上に新たな関心部位シンボルが表示されてもよいし、あるいは、新たな関心部位についての情報を受け付け可能な状態が形成されてもよい。
【0019】
実施形態において、検査録生成部は、新たな関心部位の位置を示す位置情報に基づいて、新たな関心部位シンボルを追加する位置を決定する。この構成によれば、関心部位マップの参照を通じて、それまでに特定された関心部位ごとにその位置を把握できる。
【0020】
実施形態に係る超音波診断装置においては、超音波画像と共に、対象組織を模式的に表現したボディマーク及び超音波プローブを模式的に表現したプローブマークが表示され、位置情報は、ボディマーク上におけるプローブマークの位置を示す情報である。
【0021】
上記構成によれば、ボディマーク上におけるプローブマークの位置に基づいて、対象組織像上における関心部位シンボルの表示位置が定められる。ボディマーク及びプローブマークは、後に超音波画像を参照する際に、その超音波画像が取得された場所を特定するための参照情報である。上記構成は、そのような参照情報を関心部位マップの生成において援用するものである。これによれば検査者の負担を軽減できる。
【0022】
プローブマークの位置が確定した時点で、関心部位シンボルを表示させてもよいし、プローブマークの操作以前から関心部位シンボルを表示させてもよい。後者の場合には、何らかの操作があった時点で、関心部位シンボルが仮の位置に表示された上で、その後のプローブマークの移動に連動して関心部位マークが移動することになる。
【0023】
ボディマーク上におけるプローブマークの位置は、通常、ユーザーによって指定されるが、それが自動的に設定されてもよい。超音波プローブの座標情報、超音波画像の解析により特定された座標情報、及び、超音波画像に対する計測により特定された座標情報、の内の1つ又は複数に基づいて、関心部位マップ上における関心部位シンボルの位置が決定されてもよい。関心部位マップ上におけるシンボル座標が検査者により直接的に指定されてもよい。
【0024】
実施形態に係る超音波診断装置において、超音波画像及び検査録は画面上において所定方向に並んで表示され、ボディマーク及びプローブマークが、所定方向における超音波画像の一方側及び他方側の内で、検査録に近い側に表示される。この構成によれば、2つのマークを含むリファレンス画像の観察時に、超音波画像及び検査記録画像へ視線を移すことが容易となる。あるいは、リファレンス画像と検査録とを比較することが容易となる。
【0025】
プローブマークの位置を変更している最中において、その位置の変更に連動させて、関心部位シンボルの位置を動的に変化させれば、プローブマークと関心部位シンボルとの対応関係を認識し易くなる。
【0026】
実施形態において、複数の組織性状を表す複数のシンボル形態が用意されており、関心部位シンボルごとに複数のシンボル形態の中から関心部位の組織性状に対応した特定のシンボル形態が選択される。この構成によれば、関心部位シンボルの形態の観察を通じて、それが表している関心部位の組織性状を認識できる。
【0027】
実施形態において、検査録は、更に関心部位リストを含み、検査録生成部は、超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、関心部位リストに新たな関心部位記録を追加する。この構成によれば、関心部位マップ及び関心部位リストの参照を通じて、それまでに特定された関心部位ごとに位置及び検査結果を認識できる。
【0028】
実施形態において、関心部位記録には、検査者により入力された所見が含まれる。この構成によれば、超音波検査を行いながら事実上、検査レポートを作成することが可能となる。しかも、超音波検査の実施中において、それまでに入力された所見等を参照できるから、そのような情報を考慮しながらその後の超音波検査を遂行できる。例えば、超音波検査を行っていない部位や、次に超音波検査を行うべき部位を特定することが可能となる。
【0029】
検査者による関心部位追加操作があった場合に、関心部位シンボルの位置、形態等の情報を受け付ける状態が形成され、同時に、関心部位記録を構成する所見等の情報を受け付ける状態が形成されてもよい。いずれにしても、新たな関心部位が特定される都度、結果として、関心部位マップが更新され、且つ、関心部位リストが更新される。一部の情報が事後的に入力されてもよい。
【0030】
実施形態に係る表示方法は、対象組織に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて、対象組織を表す超音波画像を形成する工程と、対象組織についての超音波検査の実施中において、関心部位マップ及び関心部位リストを含む電子的な検査録を生成する工程と、超音波画像及び検査録を表示する工程と、を含む。超音波検査の実施中において新たな関心部位が特定される都度、関心部位マップに新たな関心部位シンボルが追加され、且つ、前記関心部位リストに新たな関心部位記録が追加される。
【0031】
上記表示方法によれば、段階的に更新される関心部位マップ及び関心部位リストを参照しながら、超音波検査を遂行できるので、超音波検査の精度及び効率を高められる。また、関心部位が特定される都度、それに関する情報を記録できるから、検査レポートの作成作業を効率化できる。すなわち、上記表示方法は、超音波検査を総合的に支援するものである。
【0032】
上記表示方法は、ソフトウエアの機能として又はハードウエアの機能として実現され得る。前者の場合、上記表示方法を実行するためのプログラムが、ネットワークを介して又は可搬型記憶媒体を介して、情報処理装置へインストールされる。情報処理装置の概念には、超音波診断装置、画像処理装置、コンピュータ等が含まれ得る。
【0033】
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る超音波診断装置が示されている。この超音波診断装置は、病院等の医療機関に設置され、生体に対する超音波の送受波により超音波画像を形成及び表示する医療装置である。実施形態において、超音波検査の対象となっている組織は、例えば、乳房である。
【0034】
超音波プローブ10は、図示の構成例において、1D振動素子アレイを有している。1D振動素子アレイは、直線状又は円弧状に配列された複数の振動素子からなるものである。1D振動素子アレイによって超音波ビーム12が形成され、超音波ビーム12の電子走査により、二次元データ取込領域としてのビーム走査面14が形成される。なお、1D振動素子アレイに代えて2D振動素子アレイを設けてもよい。超音波プローブ10は、生体当接型超音波プローブである。それに代えて体腔内挿入型超音波プローブを用いることも可能である。
【0035】
送受信部16は、送信回路及び受信回路を有する。送信回路は送信ビームフォーマーとして機能する。受信回路は受信ビームフォーマーとして機能する。送信時において、送信回路から1D振動素子アレイに対して複数の送信信号が並列的に供給される。これにより1D振動素子アレイにおいて送信ビームが形成される。受信時において、1D振動素子アレイから並列的に出力された複数の受信信号が受信回路に入力される。受信回路において、複数の受信信号が整相加算(遅延加算)され、これにより受信ビームに相当するビームデータが生成される。
【0036】
なお、電子走査方向に並ぶ複数のビームデータによりフレームデータが構成される。電子走査の繰り返しにより複数のフレームデータが順次生成される。個々のビームデータは深さ方向に並ぶ複数のエコーデータにより構成される。送受信部16の後段に設けられたビームデータ処理回路は図示省略されている。
【0037】
制御部40は、CPU及び動作プログラムにより構成される。制御部40により、超音波診断装置を構成する各要素の動作が制御される。特に、実施形態に係る制御部40は、後述するように、主画像の生成及び副画像の生成の制御を行っている。制御部40には、操作パネル44が接続されている。操作パネル44は、複数のスイッチ、複数のボタン、トラックボール、キーボード等を有する入力装置である。制御部40には、記憶部42が接続されている。記憶部42には、後述する検査管理テーブル、検査結果テーブル、出力管理テーブル、シンボル管理テーブル、等が格納されている。記憶部42は、半導体メモリ、ハードディスク等により構成される。
【0038】
超音波画像形成部18は、順次入力されるフレームデータに基づいて超音波画像を順次形成する電子回路である。超音波画像は実施形態において断層画像である。超音波画像形成部18は、デジタルスキャンコンバータ(DSC)を有している。DSCは、座標変換機能、画素補間機能、フレームレート調整機能、等を有する。断層画像を表すデータが超音波画像形成部18から表示処理部20へ送られている。
【0039】
リファレンス画像生成部22は、断層画像と共に表示するリファレンス画像を生成するモジュールである。リファレンス画像には、対象組織を模式的に示したボディマーク、及び、超音波プローブを模式的に示したプローブマークが含まれる。複数の対象組織に対応する複数のボディマークが用意されており、その中から、実際の対象組織に対応する特定のボディマークが選択される。その選択は検査者により行われ又は自動的に行われる。プローブマークは、超音波診断の位置、すなわち超音波プローブの当接位置又は走査面の位置を示すマークである。その位置及び向きは、通常、検査者により設定される。その際には操作パネル44が利用される。プローブマークの設定が自動化されてもよい。
【0040】
なお、プローブマークには電子走査開始点を示す図形が含まれる。超音波画像を事後的に参照する際には、超音波画像に現れている組織断面の位置が、ボディマーク上におけるプローブマークの位置等から特定される。リファレンス画像のデータがリファレンス画像生成部22から表示処理部20へ送られている。
【0041】
実施形態においては、超音波検査支援モードの実行時において、同じ画面上に主画像と副画像とが表示される。主画像は、超音波画像及びリファレンス画像により構成される。副画像は、検査録に相当し又は検査録をその内容とする画像である。検査録は、関心部位マップ及び関心部位リストにより構成される。図1に示されているように、主画像生成部24は、既に説明した超音波画像形成部18及びリファレンス画像生成部22により構成される。一方、副画像生成部26は、以下に説明するように、マップ生成部28及びリスト生成部30により構成される。リファレンス画像生成部22、マップ生成部28及びリスト生成部30は、上記CPUが発揮する機能として実現されてもよいし、それらが専用のプロセッサによって構成されてもよい。
【0042】
マップ生成部28は、関心部位マップを生成するモジュールである。関心部位マップは、対象組織像としての模式像と、特定されたn個の関心部位を示すn個の関心部位シンボルと、を含む。nは1以上の整数であり、超音波検査の実施中において、nは増大し得る。マップ生成部28は、超音波検査の実施中において、新たな関心部位が特定される都度、関心部位マップに新たな関心部位シンボルを追加する。図1に示す構成例では、ボディマーク上におけるプローブマークの位置に基づいて、模式像上における関心部位シンボルの重畳位置が決定される。
【0043】
リスト生成部30は、関心部位リストを生成するモジュールである。関心部位リストは、特定されたn個の関心部位に対応するn個の関心部位記録からなるものである。個々の関心部位記録には、関心部位の位置を示す情報、検査者により入力された所見、等が含まれる。所見は、関心部位を監察した検査者の見解又はコメントである。関心部位マップ及び関心部位リストは、検査レポートを構成する情報とも言い得る。
【0044】
表示処理部20は、画像合成機能、カラー処理機能等を有する。表示処理部20によって表示器32の画面上に表示される表示画像が構成される。超音波検査の実施中において表示される表示画像には、上記のように主画像と副画像とが含まれる。表示処理部20は、例えば、CPUが発揮する機能として実現され、あるいは、専用プロセッサにより構成される。表示器32は、例えば、液晶表示器、有機EL表示器等により構成される。
【0045】
記憶部34には、ストア対象となった超音波画像及びリファレンス画像が格納され、また、段階的に更新される検査録(すなわち、関心部位マップ及び関心部位リスト)が格納される。記憶部34は半導体メモリ、ハードディスク等によって構成される。
【0046】
検査レポート生成部38は、記憶部34及び記憶部42に格納されている情報に基づいて、電子的な検査レポートを生成するモジュールである。検査レポート生成部38は、上記CPUが発揮する機能として実現されてもよいし、専用プロセッサにより構成されてよい。検査レポートは、表示器32に表示され、必要に応じて、ネットワークを介して外部の装置へ転送される。記憶部34及び記憶部42に格納された情報が外部の装置へ転送されてもよい。
【0047】
超音波画像としては、上記の断層画像の他、カラードプラ画像、エラスト画像、等があげられる。主画像がメイン表示器に表示され、副画像がサブ表示器に表示されてもよいが、望ましくは、主画像と副画像の両方が同一の画面上に表示される。
【0048】
図2には、検査管理テーブルが例示されている。図示された検査管理テーブル50は複数のレコード52により構成される。個々のレコード52は複数の情報により構成され、それらには、患者ID54、対象組織56、ボディマーク種別58、身体情報60、等が含まれる。患者ID54に代えて検査IDが管理されてもよい。対象組織56は、超音波検査の対象となった組織である。ボディマーク種別58は、対象組織56に対応するボディマーク形態を指定する情報である。身体情報60には、伸長62、体重64等が含まれる。この検査管理テーブル50の参照により、超音波検査の種別、ボディマーク種別、等が特定される。
【0049】
図3には、検査結果テーブルが例示されている。図示された検査結果テーブル66は複数のレコード68により構成される。個々のレコード68は、図示の例において、個々の関心部位に対応している。個々のレコード68は複数の情報により構成され、それらには、検査側(右側、左側)を識別する情報70、関心部位番号72、位置情報74、計測値欄76、所見欄78、コメント欄88等が含まれる。例えば、対象部位が乳房の場合、情報70に基づいて、検査対象が右乳房であるか左乳房であるのかが特定される。関心部位の特定の都度、新たな関心部位番号72を伴う新たなレコード68が生成される。
【0050】
位置情報74は、図1に示した構成例において、模式像上における関心部位シンボルの位置(具体的には表示位置又は重畳位置)を示す情報である。例えば、その位置は、関心部位シンボルの中心位置である。模式図は座標系を有しており、位置情報74は、模式図の座標系における相対座標を示すものである。関心部位シンボルの表示位置は、具体的には、x座標とy座標とにより構成される。
【0051】
実施形態においては、ボディマークの座標系と模式像の座標系とが対応付けられていることを前提とし、前者の座標系における位置情報が後者の座標系における位置情報として援用されており、又は、前者の座標系における位置情報が後者の座標系における位置情報に変換されている。なお、プローブマークの位置は、例えば、プローブマークの中心位置である。関心部位シンボルの表示に際して、プローブマークの向き(つまり角度)が利用されてもよい。
【0052】
超音波検査の実施中において、通常、特定された関心部位ごとに、フリーズ操作が行われる。フリーズ操作後、超音波画像のストアに先立って、ボディマーク上においてプローブマークの位置及び角度が調整される。調整完了後におけるボディマークの位置に基づいて、位置情報74が特定され又は演算される。
【0053】
計測値欄76には、関心部位に対して実行された計測の結果(つまり計測値)が記憶される。例えば、長さ計測が行われた場合、長さを示す数値情報が記録される。面積計測が行われた場合、面積を示す数値情報が記録される。複数の計測が実行された場合、計測値欄76には複数の計測値が記録される。所見欄78は、検査者による観察の結果が記録される。例えば、組織種別80、組織形状82等の情報が記録される。組織種別80、組織形状82等に従って、対象組織シンボルの形態が自動的に決定されてもよい。コメント欄88は、所見欄78に記録できない他の情報を記録する欄である。
【0054】
超音波検査の進行に伴って、関心部位が順次特定された場合、それに対応して、検査結果テーブル66に対してレコード68が順次追加される。更新された検査結果テーブル66に基づいて、関心部位マップ及び関心部位リストが更新される。
【0055】
図4には、出力管理テーブルが例示されている。図示された出力管理テーブル90は、出力対象92ごとに出力項目94を特定するためのテーブルである。例えば、医師や技師に提示する検査レポートの作成に際してはすべての出力項目が指定される。患者に提示する検査レポートの作成に際しては一部の出力項目が指定される。出力管理テーブル90は、図1に示した検査レポート生成部によって参照される。
【0056】
図5には、シンボル管理テーブルの第1例が示されている。図示の例ではシンボル管理テーブル96において、組織性状としての組織種別98ごとに、シンボルコード100が管理されている。特定の組織種別が指定されると、それに対応したシンボルコードが選択される。そのシンボルコードによってシンボルの形態が定められる。
【0057】
図6には、シンボル管理テーブルの第2例が示されている。図示の例ではシンボル管理テーブル102において、組織性状としての組織形状ごとに、シンボルコード106が管理されている。特定の組織形状が指定されると、それに対応したシンボルコードが選択される。そのシンボルコードによってシンボルの形態が定められる。図5及び図6に示したシンボル管理テーブルは、図1に示したマップ生成部によって参照される。
【0058】
図7には、超音波検査支援モードの実行時に表示される画像が例示されている。画像110は、水平方向(つまり横方向)に並んだ主画像112及び副画像113により構成される。
【0059】
主画像112は、超音波画像としての断層画像114及びグラフィック画像としてのリファレンス画像116により構成される。図示の例では、断層画像114における横方向118が電子走査方向であり、断層画像114における縦方向120が深さ方向である。セクタ走査方式又はコンベックス走査方式が採用された場合、扇状の超音波画像が表示される。乳房上における超音波プローブの位置及び姿勢に応じて走査面の位置が変化し、これに伴い断層画像の内容が変化する。超音波検査に際しては、動画像としての断層画像を観察しながら、超音波プローブの位置及び姿勢が変更され、これによって病変部位、経過観察部位、治癒部位等の関心部位が探索される。
【0060】
図7に示す例では、断層画像114の中に関心部位114aが現れている。関心部位114aが見付かった段階で、通常、フリーズ操作が行われる。これにより送受信が停止され、断層画像が静止画像となる。なお、その状態において、リングバッファとしてのシネメモリに格納されているフレーム列を順次再生することも可能である。
【0061】
リファレンス画像116は、断層画像114の一方側及び他方側の内で、副画像113に近い側に表示されている。リファレンス画像116は、ボディマーク122及びプローブマーク124により構成される。図示の例において、ボディマーク122は、右乳房を模式的に示している。通常、フリーズ状態において、プローブマーク124の位置及び向きが検査者により変更される。その場合、表示された断層画像114を取得した時点での超音波プローブの位置及び向きが再現されるように、プローブマーク124の位置及び向きがマニュアルで設定される。その際には上記の操作パネルが利用される。ボディマーク122又はそれを含むリファレンス画像116は、それ固有の座標系を有し、それが図7においてx及びyで表現されている。プローブマーク124の位置は、x座標及びy座標として特定される。なお、図示されたリファレンス画像116には、現時点において特定されている関心部位を表す関心部位番号126が含まれる。
【0062】
副画像113は、関心部位マップ128及び関心部位リスト130により構成される。関心部位マップ128は、対象組織を表す模式像132及びn個の関心部位シンボル134,136により構成される。模式像132の内容は、実施形態において、ボディマーク122の内容と同一である。もっとも、それらの内容を異ならせてもよい。模式像132は、実施形態において、右乳房を模式的に表現したグラフィック像である。模式像132に代えて、図形、解剖図、写真、実画像等の対象組織像が表示されてもよい。
【0063】
図示された関心部位マップ128には、複数の関心部位シンボル134,136に隣接して表示された複数の関心部位番号138,140が含まれる。それらはいずれも識別子である。個々の関心部位シンボル134,136の形態(形、色等)は、関心部位の種別及び形態の一方又は両方を表現している。関心部位マップ128には、方位を示す複数の数字が含まれる。また、右側を示すインデックス142が含まれる。現在、新たな関心部位が特定されている状況において、プローブマーク124を動かすと、それに連動して関心部位シンボル136が運動する。プローブマーク124について設定された最終的な位置により、関心部位シンボル136の表示位置が確定する。
【0064】
関心部位リスト130は、それまでに特定されたn個の関心部位に対応するn個の関心部位記録144が含まれる。各関心部位記録144には、リスト要素としての関心部位情報であり、それには、具体的には、関心部位番号146、位置情報、所見欄152が含まれる。位置情報は、具体的には、関心部位シンボルの中心座標が存在するエリア番号148、及び、その中心座標が存在する方位150からなる。模式像132は、複数のエリアに区画されており、エリア番号148によっていずれかのエリアが特定される。時計の文字盤に倣って方位150が特定される。所見欄152には、複数の組織種別の中から選択された特定の組織種別154が表示されている。
【0065】
関心部位の特定を示す操作があった場合に、換言すれば、関心部位の記録を追加すべき指示があった場合に、新たな関心部位シンボルについての情報を受け付ける状態、及び、新たな関心部位記録を構成する情報を受け付ける状態が生じる。例えば、その時点で、関心部位マップ128上における仮の位置に仮の形態をもった新たな関心部位シンボルが追加される。また、その時点で、関心部位リスト130において部分的に情報が欠落した関心部位記録が追加される。その後、検査者により入力された情報(プローブマーク位置情報、形態情報、所見を含む)に基づいて、関心部位シンボルの位置及び形態が決定され、また、関心部位記録の内容が補充される。必要な全情報が受け付けられた後に、関心部位シンボル及び関心部位記録が追加されてもよい。なお、プローブマークの現位置に基づいて上記の仮の位置が決定されてもよい。
【0066】
フリーズ操作又はプローブマーク操作を関心部位追加操作とみなしてもよい。それらの操作とは別に、シンボル追加操作及び記録追加操作を個別的に受け付けるようにしてもよい。いずれにしても、新たな関心部位が特定される都度、結果として、関心部位マップ及び関心部位リストが更新される。フリーズ解除操作があった場合に、関心部位追加処理の終了を判断し、同時に、新規の関心部位追加操作を待ち受ける状態が形成されてもよい。なお、必要に応じて、フリーズ状態において関心部位に対する計測が実行される。
【0067】
フリーズ状態において、断層画像がストアされる。その後、フリーズ解除の操作がなされると、送受信が再開され、断層画像が動画像となる。その状態において、断層画像を観察しながら超音波プローブの位置及び姿勢を調整することにより、新たな関心部位が探索される。新たな関心部位が特定された場合、上記の一連の工程が実施される。超音波検査が終了した段階で、検査レポートが生成及び出力される。その際には、超音波検査の過程において特定又は入力された情報が利用される。
【0068】
図8には、検査レポートが示されている。図示された検査レポート158は簡易な検査レポートである。検査レポート158には、超音波検査の過程を通じて作成された関心部位マップ160及び関心部位リスト164が含まれる。符号170,172によって示されているように、複数の関心部位に対して複数の断層画像166,168が対応付けられてもよい。そのような構成によれば、関心部位記録又はシンボルの選択により、それに対応する断層画像を自動的に再生できる。より詳細な検査レポートが超音波診断装置上において又は他の装置上において作成されてもよい。
【0069】
次に、図9を用いて、図1に示した超音波診断装置の動作例を説明する。超音波検査の過程において、超音波画像の観察により記録対象となる関心部位が特定される都度、A以降の各工程が実行される。
【0070】
S10では、模式像が選択される。超音波検査の対象となった組織に応じて模式像が選択される。その場合には上記の検査管理テーブルが参照されてもよい。なお、実施形態において、S10は、超音波検査の実行開始時において1回のみ実行される。
【0071】
S12では、新たに特定された関心部位に対して関心部位番号が付与される。S14において関心部位シンボルの形態が選択される。S16においては、ユーザーにより指定されたプローブマーク座標に基づいて(符号172及び170を参照)、関心部位シンボルの表示座標が決定される。一方、検査者により関心部位についての所見が入力され(符号172を参照)、S18において、それが受け付けられる。入力された所見に基づいて、S14においてシンボルの形態が選択されてもよい。
【0072】
S20では、関心部位マップが生成(又は更新)される。S22では、関心部位リストが生成(又は更新)される。S24では、関心部位に対する計測が実行される。S26では、主画像と共に副画像が表示される。副画像には、検査録としての関心部位マップ及び関心部位リストが含まれる。その後、フリーズ解除の操作があった場合、A以降の工程が再び実行される。超音波検査の過程が終了した時点で、S28において、検査レポートが作成され、それが出力される。
【0073】
実施形態においては、超音波検査と同時進行で、関心部位について位置、所見等の記録を行える。また、超音波検査に際して検査履歴に相当する検査録を参照することができ、その内容をその後の超音波検査に役立てることが可能である。超音波検査を行いながら検査レポートを構成する全部又は一部の情報を特定又は入力できるので、検査レポートの作成効率を高められる。更に上記で説明した構成例では、プローブマークの位置に基づいて関心部位シンボルの位置が自動的に決定されるので、関心部位シンボルの位置を検査者が指定する場合と比べて、検査者負担を軽減できる。
【0074】
図10図12を用いて、変形例について説明する。図10には、変形例に係る超音波診断装置が示されている。なお、既に説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。このことは後に説明する図11及び図12についても同様である。
【0075】
図10に示す超音波診断装置は測位システム200を有している。測位システム200は、磁場発生器202、磁気センサ204及び測位コントローラ206を有している。磁気センサ204は、超音波プローブ10のプローブヘッドに取り付けられている。プローブヘッドは、検査者により保持される部分であって振動素子アレイを収容している部分である。磁気センサ204により、磁場発生器202で生じた磁場が検出される。測位コントローラ206は、磁気センサ204の検出信号に基づいて、磁気センサ204の空間座標を示す座標情報を演算する。座標情報は、3つの軸上の位置、及び、3つの軸回りの回転角度を特定する情報である。そのような座標情報が制御部40へ送られている。なお、測位システム200の稼働に先立って、キャリブレーションが実行される。例えば、超音波検査の対象となる組織の座標系に対して測位システム200の座標系が合わせられる。
【0076】
制御部40は、画像解析部208を有している。画像解析部208は、例えば、機械学習型の推定器であり、画像解析により関心部位を自動的に特定するものである。超音波プローブ10のプローブヘッドの位置及び姿勢を変更する過程において、順次生成される断層画像が画像解析部208により順次解析され、関心部位が自動的に特定される。
【0077】
測位コントローラ206により得られた位置情報及び画像解析部208により特定された位置情報に基づいて、三次元空間内における関心部位の位置情報が演算される。その位置情報に基づいて、マップ生成部28が、新たに追加する関心部位シンボルの位置を決定しており、また、リスト生成部30が、新たに追加する関心部位記録を生成している。画像解析部208の解析により関心部位について組織性状を特定できる場合、その組織性状に基づいて関心部位シンボルの形態が決定され、また、所見が自動的に生成されてもよい。
【0078】
変形例においては、例えば、図11に示す検査結果テーブルが生成される。検査結果テーブル66Aにおいて、位置情報74Aとしては、絶対空間座標系における座標情報が記録されている(符号210,212,214を参照)。この座標情報は表示座標系における座標情報に変換される。その座標情報に従って関心部位シンボルの表示位置が決定される。検査結果テーブル66Aには、画像解析結果216が含まれ、それには関心部位についての態様又は疾患程度を示すカテゴリ218が含まれる。このように検査結果テーブルにおいて多様な情報が管理されてもよく、その内容に基づいて検査レポートが作成されてもよい。
【0079】
図12には、変形例に係る超音波診断装置の動作例が示されている。符号220で示される測位情報及び画像解析結果に基づいて、S16において、関心部位シンボルの表示位置が決定される。符号222で示される画像解析結果に基づいて、S18において、自動的に所見が生成され、それが受け付けられてもよい。符号224で示すように、他の目視評価又は他の自動評価の結果が所見として受け付けられもよい。例えば、所見として、組織弾性評価結果、血流評価結果、等が記録されてもよい。
【0080】
なお、S24での計測の結果に基づいて、S16において、関心部位シンボルの表示位置が決定されてもよい。あるいは、S24での計測の結果に基づいて、S14において、関心部位シンボルの形態が選択されてもよい。この変形例を採用する場合、プローブマークの位置は、関心部位シンボルの位置と同様、自動的に決定される。
【0081】
変形例においても、超音波検査を行いながら関心部位ごとにそれついての記録を行うことができ、また、それまでの検査履歴を参照しながら超音波検査を行える。特に、自動的に計測された座標情報や画像解析結果を利用できるので、検査者の負担をより軽減できる。
【0082】
超音波プローブが機械的に走査される場合においても上記の各図に示した構成を採用し得る。また、記録済みの動画像を再生しながら超音波検査を行う場合においても、上記の各図に示した構成を採用し得る。画像解析によって、右乳房と左乳房とが区別されてもよい。
【0083】
同一組織に対して複数の日時にわたって複数回の超音波検査が行われることもある。その場合、過去に記録された検査録を参照すれば、過去の超音波検査の状況を再現することが容易となる。上記説明では、超音波検査の対象が乳房であったが、甲状腺、下肢血管、頚動脈、心臓等の超音波検査においても上記構成を採用し得る。
【符号の説明】
【0084】
10 超音波プローブ、18 超音波画像形成部、20 表示処理部、22 リファレンス画像生成部、24 主画像生成部、26 副画像生成部、28 マップ生成部、30 リスト生成部、38 検査レポート生成部、116 リファレンス画像、128 関心部位マップ、130 関心部位リスト。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12