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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/04 20060101AFI20220922BHJP
   A63H 3/36 20060101ALI20220922BHJP
   G09B 23/36 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
A63H3/04 Z
A63H3/36 D
G09B23/36
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019142928
(22)【出願日】2019-08-02
(62)【分割の表示】P 2018086726の分割
【原出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019188236
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】譽田 恒之
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-101441(JP,A)
【文献】特開2012-061015(JP,A)
【文献】特開2009-247657(JP,A)
【文献】特開2006-158542(JP,A)
【文献】特開2000-176182(JP,A)
【文献】相撲ロボット制作部TFビーストウオーズII D-18 パワーバッグ レビュー,「世界のウェブアーカイブ|国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」[online],2017年12月13日,https://web.archive.org/web/20171213203725/http://sranngurenn.blog70.fc2.com/blog-entry-3522.html,[2019年4月1日検索]
【文献】手のひらサイズの巨大ダンゴムシを発見!,[online],2017年08月16日,https://kakakumag.com/hobby/?id=10625,[2019年1月7日検索]
【文献】可動変形ジュウオウキューブ1:堪能戦隊 ナガメルンジャー! [online],2016年06月09日,http://fanblogs.jp/funget/archive/12/0,[2019年4月1日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00,
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形態変化を可能とした玩具であって、
前記玩具の一端部を成す第1要素と、前記玩具の他端部を成す第2要素と、前記玩具の前記第1要素と前記第2要素との間を成す少なくとも1個の第3要素とを備えており、
前記第1要素と前記第2要素と前記第3要素には、各々が変位可能に連結される相互連結用の連結部が設けられており、当該連結部は、前記第1要素と前記第2要素と前記第3要素に設けられた支柱部に当該第1要素と当該第2要素と当該第3要素の上下方向に相当する第1方向に変位可能に設けられ
前記第3要素の前記連結部は、軸部と当該軸部に嵌め込み可能な軸支部とを有しており、
前記第1要素の前記連結部は、前記第1要素の軸部と前記第1要素の軸支部の一方を有しており、
前記第2要素の前記連結部は、前記第2要素の軸部と前記第2要素の軸支部の他方を有しており、
前記第1要素と前記第2要素とが離れた位置にある第1形態と、前記第1要素と前記第2要素とが近接した位置にある第2形態とに可逆的に変化可能に構成されている、
玩具。
【請求項2】
前記第1要素と前記第2要素と前記第3要素は、異なる外観を有している、
請求項1に記載の玩具。
【請求項3】
前記第3要素は、複数個である、
請求項1または2に記載の玩具。
【請求項4】
複数個の前記第3要素は、類似した外観を有している、
請求項3に記載の玩具。
【請求項5】
前記第1要素と前記第2要素との接近は、前記第1要素に設けられた底部と前記第2要素に設けられた底部との接近である、
請求項1~4のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項6】
前記連結部の前記第1方向の変位は、前記支柱部に設けられた変位制限部によって制限されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項7】
前記連結部は、前記支柱部に前記第1方向と異なる方向に揺動可能に設けられている、
請求項1~6のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項8】
前記第1要素と前記第2要素と前記第3要素のうち少なくとも前記第3要素には、前記第1形態において前記玩具を支持可能な支持部が設けられている、
請求項1~のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項9】
前記支持部は、支持部本体と、前記支持部本体を回転可能に支える支持部副体とを有している、
請求項に記載の玩具。
【請求項10】
前記支持部本体は、可撓性を有している、
請求項に記載の玩具。
【請求項11】
前記支持部副体は、少なくとも前記第3要素に設けられた底部に当該第3要素の左右方向に相当する第2方向に変位でき、かつ、自らを中心として回転可能に設けられている、
請求項9または10に記載の玩具。
【請求項12】
複数個の前記第3要素の外面は、凸曲面を成している、
請求項1~11のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項13】
複数個の前記第3要素は、前記第2形態において隣接する前記第3要素との干渉を回避するための切欠部を両端部に形成している、
請求項1~12のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項14】
複数個の前記第3要素は、前記第3要素間の隙間が、前記第1形態と前記第2形態とで異なるように構成されている、
請求項1~13のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項15】
前記第1要素と前記第2要素と前記第3要素は、硬質材料から形成されている、
請求項1~14のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項16】
複数個の前記第3要素には、並び順を示す番号が付されている、
請求項1~15のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項17】
前記玩具は、生物を模したものであり、
前記第1形態は前記生物が伸張した形態であり、前記第2形態は前記生物が球状に丸まった形態である、
請求項1~16のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項18】
前記玩具は、前記第2形態において物品排出装置からの排出を可能としている、
請求項1~17のいずれか1項に記載の玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形態変化を可能とした玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
後記特許文献1には、縮退状態と展開状態とを取り得るように構成された殼体と、付勢力によって殼体を縮退状態とする縮退手段と、付勢力に抗して殼体を展開状態とする展開手段と、発条動力によって回転可能な車輪を有する走行手段と、を備えた動作玩具が開示されている。この動作玩具は、走行手段による展開状態での走行と、走行過程における縮退状態への変化とを可能としている。
【0003】
しかしながら、前掲の動作玩具は、走行手段による展開状態での走行と、走行過程における縮退状態への変化とを主眼としたものであるため、殼体を例えば生物を模したものとしても、展開状態と縮退状態が当該生物と掛け離れた形態に成りやすく、それ故に形態変化に基づく楽しさおよび面白さを遊戯者に供与することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-247657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、模倣対象に相応した形態変化を可能として当該形態変化による楽しさおよび面白さを遊戯者に供与できる玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、形態変化を可能とした玩具であって、玩具の一端部を成す第1要素と、玩具の他端部を成す第2要素と、玩具の前記第1要素と前記第2要素との間を成す少なくとも1個の第3要素とを備えており、第1要素と第2要素と第3要素は、第1要素と第2要素とが離反した第1形態と、第1要素と第2要素とが接近した第2形態とに可逆的に変化可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る玩具によれば、模倣対象に相応した形態変化を可能として当該形態変化による楽しさおよび面白さを遊戯者に供与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(A)は本発明を適用した玩具の第1形態を示す平面図、図1(B)は図1(A)に示した玩具の側面図である。
図2図2図1に示した玩具の第2形態を示す側図面である。
図3図3(A)は図1および図2に示した第1要素の拡大背面図、図3(B)は図3(A)のS1-S1線断面図である。
図4図4(A)は図1および図2に示した第2要素の拡大正面図、図4(B)は図4(A)のS2-S2線断面図である。
図5図5(A)は図1および図2に示した第3要素の拡大背面図、図5(B)は同拡大正面図、図5(C)は図5(A)のS3-S3線断面図である。は
図6図6(A)~図6(C)は図1および図2に示した玩具の組立方法例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、便宜上、図1(A)の左側を前、右側を後、下側を左、右側を右と表記し、図1(B)の上側を上、下側を下と表記し、他の図についてもこれらに準じて向きを表記する。
【0010】
まず、図1および図2を用いて、本発明を適用した玩具10の基本構成について説明する。
【0011】
玩具10はダンゴムシを模したものであり、図1は玩具10の第1形態(ダンゴムシが例えば歩行や食餌等のために伸張した形態に相当)を示し、図2は玩具10の第2形態(ダンゴムシが例えば防御や乾燥防止等のために球状に丸まった形態に相当)を示す。
【0012】
玩具10は、ダンゴムシの頭部および胸部第1節に対応する第1要素11と、腹部および尾部に対応する第2要素12と、胸部第2節~第7節それぞれに対応する計6個の第3要素13の他、触角に対応する1対の装飾部14と、脚に対応する7対の支持部15とを備えている。図1および図2から分かるように、第1要素11と第2要素12と第3要素13は異なる外観を有し、計6個の第3要素13は類似した外観を有している。
【0013】
第1要素11は玩具10の前端部を成し、第2要素12は玩具10の後端部を成し、計6個の第3要素13は玩具10の第1要素11と第2要素12との間を成している。これら第1要素11と第2要素12と第3要素13は、第1要素11と第2要素12とが離反した(例えば「接近していない」「接続していない」等)第1形態と、第1要素11と第2要素12とが接近した(例えば「近接している」「接続している」等)第2形態とに可逆的に変化可能に構成されている。ちなみに、第1要素11と第2要素12との接近は、具体的には例えば第1要素11の底部11c(図3を参照)と第2要素12の底部12c(図4を参照)との接近である。
【0014】
後に詳述するが、第1要素11と第2要素12と計6個の第3要素13は、各々が変位可能に連結されており、変位は回動変位であり、連結は着脱可能な連結である。第1形態において前後方向に並ぶ計6個の第3要素13の外観は先に説明したように同一ではないため、連結の際に誤った連結をしないよう各第3要素13、好ましくは各々の内面には、並び順を示す番号(図示省略)が付されている。
【0015】
次に、図3を用いて、第1要素11の具体構成について説明する。
【0016】
第1要素11は、ABS樹脂やポリプロピレン等の硬質材料から形成されている。第1要素11の要素本体11aは、全体が弓形で外面が凸曲面を成しており、後側と下側が開放されている。要素本体11aの後側開放端の内形(略逆U字形)は、最も前に位置する第3要素13の要素本体13aの前側開放端の外形(略逆U字形、図5を参照)よりも大きい。すなわち、第1要素11の要素本体11aの後側開放端の内側に、最も前に位置する第3要素13の要素本体13aの前側部分が入り込めるようになっている。
【0017】
要素本体11aの内側には、当該要素本体11aの内面から下方に延びる2本の支柱部11bが左右方向に間隔をおいて設けられているとともに、両支柱部11bの下端に板状の底部11cが設けられている。また、2本の支柱部11bには、連結部11dが上下方向(以下第1方向と言う)に直線変位できるように設けられている。
【0018】
2本の支柱部11bの上部には凸部から成る変位制限部11b1が設けられているため、連結部11dは、底部11cと両変位制限部11b1によって制限された範囲内で第1方向の直線変位が可能である。また、連結部11dに設けられた支柱部11bに対応する2個の貫通孔11d1の内径は各支柱部11bの外径よりも大きいため、連結部11dは、第1方向と異なる方向(例えば前後方向および左右方向等)の揺動ができるようになっている。
【0019】
連結部11dの後面には、縦断面がC形を成す軸支部11dが左右方向に設けられている。この軸支部11dには、最も前に位置する第3要素13の軸部13fを着脱可能に嵌め込み可能である(図6(A)を参照)。
【0020】
底部11cには、1対の装飾部14を着脱可能に取り付けるための2個の差込孔11c1が左右方向に間隔をおいて設けられている。各装飾部14は、差込孔11c1に対応する差込部14aをその基部に有している(図3を参照)。ちなみに、1対の装飾部14は、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン等の軟質材料から形成されており、可撓性を有している。
【0021】
次に、図4を用いて、第2要素12の具体構成について説明する。なお、図4(B)は図4(A)のS2-S2線断面図であるが、支持部15の図示を省略している。
【0022】
第2要素12は、第1要素11と同様に、ABS樹脂やポリプロピレン等の硬質材料から形成されている。第2要素12の要素本体12aは、全体が弓形で外面が凸曲面を成しており、前側と下側が開放されている。要素本体12aの前側開放端の外形(略逆U字形)は、最も後ろに位置する第3要素13の要素本体13aの後側開放端の内形(略逆U字形、図5を参照)よりも小さい。すなわち、最も後ろに位置する第3要素13の要素本体13aの後側開放端の内側に、第2要素12の要素本体12aの前側部分が入り込めるようになっている。
【0023】
要素本体12aの内側には、当該要素本体12aの内面から下方に延びる2本の支柱部12bが左右方向に間隔をおいて設けられているとともに、両支柱部12bの下端に板状の底部12cが設けられている。また、2本の支柱部12bには、連結部12dが第1方向に直線変位できるように設けられている。
【0024】
2本の支柱部12bの上部には凸部から成る変位制限部12b1が設けられているため、連結部12dは、底部12cと両変位制限部12b1によって制限された範囲内で第1方向の直線変位が可能である。また、連結部12dに設けられた支柱部12bに対応する2個の貫通孔12d1の内径は各支柱部12bの外径よりも大きいため、連結部12dは、第1方向と異なる方向(例えば前後方向および左右方向等)に揺動できるようになっている。
【0025】
連結部12dの前面には、左右両端の鍔部(符号省略)を介して軸部12eが左右方向に設けられている。この軸部12eは、最も後ろに位置する第3要素13の軸支部13eに着脱可能に嵌め込み可能であり(図6(C)を参照)、当該嵌め込みのために連結部12dの前面から若干前方に離れている。
【0026】
底部12cには、1対の支持部15を取り付けるための2個の長孔12c1が左右方向に間隔をおいて設けられている。各支持部15は、支持部本体15aと、支持部本体15aを回転可能に支える支持部副体15bとを有しており、支持部副体15bには底部12cの長孔12c1内を左右方向(以下第2方向と言う)に直線変位可能な柱部分(符号省略)を有する抜け防止部15cが設けられている。すなわち、各支持部15は、支持部本体15aが支持部副体15bに対して回転可能であるとともに、支持部副体15bが第2方向に直線変位でき、かつ、自らを中心として回転できるようになっている。ちなみに、1対の支持部15の少なくとも支持部本体15aは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン等の軟質材料から形成されており、可撓性を有している。
【0027】
次に、図5を用いて、各第3要素13の具体構成について説明する。なお、図5(C)は図5(A)のS3-S3線断面図であるが、支持部15の図示を省略している。
【0028】
各第3要素13は、第1要素11および第2要素12と同様に、ABS樹脂やポリプロピレン等の硬質材料から形成されており、図1に示したように要素本体13aの左右方向寸法が若干異なる点以外は類似した外観を有している。
【0029】
各第3要素13の要素本体13aは、全体が弓形で外面が凸曲面を成しており、後側と前側と下側が開放されている。各第3要素13の要素本体13aは、前側開放端の外形(略逆U字形)が後側開放端の外形(略逆U字形)よりも小さく、前側開放端の下端部それぞれに干渉回避用の切欠部13a1が形成されている。
【0030】
また、前後方向で隣接する2個の第3要素13のうち、前側の第3要素13の要素本体13aの後側開放端の内形(略逆U字形)は、後側の第3要素13の要素本体13aの前側開放端の外形(略逆U字形)よりも小さい。すなわち、計6個の第3要素13は、そのうち1個の第3要素13の要素本体13aの後側開放端の内側に、その後側の第3要素13の要素本体13aの前側部分が入り込めるようになっている。
【0031】
各要素本体13aの内側には、当該要素本体13aの内面から下方に延びる2本の支柱部13bが左右方向に間隔をおいて設けられているとともに、両支柱部13bの下端に板状の底部13cが設けられている。また、2本の支柱部13bには、連結部13dが第1方向に直線変位できるように設けられている。
【0032】
2本の支柱部13bの上部には凸部から成る変位制限部12b1が設けられているため、連結部13dは、底部13cと両変位制限部13b1によって制限された範囲内で第1方向の直線変位が可能である。また、連結部13dに設けられた支柱部13bに対応する2個の貫通孔13d1の内径は各支柱部13bの外径よりも大きいため、連結部13dは、第1方向と異なるする方向(例えば前後方向および左右方向等)に揺動できるようになっている。
【0033】
連結部13dの後面には、縦断面がC形を成す軸支部13eが左右方向に設けられている。この軸支部13dには、その後ろに位置する第3要素13の軸部13fを着脱可能に嵌め込み可能である(図6(B)を参照)。また、連結部13dの前面には、左右両端の鍔部(符号省略)を介して軸部13fが左右方向に設けられている。この軸部13fは、その前に位置する第3要素13の軸支部13fに着脱可能に嵌め込み可能であり(図6(B)を参照)、当該嵌め込みのために連結部13dの前面から前方に若干離れている。
【0034】
底部13cには、1対の支持部15を取り付けるための2個の長孔13c1が左右方向に間隔をおいて設けられている。各支持部15は、第2要素12の1対の支持部15と同様に、支持部本体15aと、支持部本体15aを回転可能に支える支持部副体15bとを有しており、支持部副体15bには底部13cの長孔13c1内を第2方向に直線変位可能な柱部分(符号省略)を有する抜け防止部15cが設けられている。すなわち、各支持部15は、支持部本体15aが支持部副体15bに対して回転可能であるとともに、支持部副体15bが第2方向に直線変位でき、かつ、自らを中心として回転できるようになっている。ちなみに、1対の支持部15の少なくとも支持部本体15aは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン等の軟質材料から形成されており、可撓性を有している。
【0035】
次に、図6を用いて、第1要素11と第2要素12と計6個の第3要素13とが非連結状態にあり、計6個の第3要素13の内面に並び順を示す番号が付されている場合における玩具10の組立方法例について、作用効果を交えて説明する。なお、ここで説明する組立方法はあくまでも一例であって、玩具10の組立方法を限定するものではない。
【0036】
最初に、第1要素11と1番の番号が付された第3要素13を用意し、図6(A)に示したように、第1要素11の軸支部11eに1番目の第3要素13の軸部13fを嵌め込む。第1要素11に1対の装飾部14が取り付けられていない場合には、各装飾部14の差込部14aを第1要素11の各差込孔11c1に差し込む。続いて、2番の番号が付された第3要素13を用意し、図6(B)に示したように、1番目の第3要素13の軸支部13eに2番目の第3要素13の軸部13fを嵌め込む。続いて、これと同様の嵌め込みを3番~6番の番号が付された第3要素13に対して順に施す。続いて、第2要素12を用意し、図6(C)に示したように、6番目の第3要素13の軸支部13eに第2要素12の軸部12eを嵌め込む。以上で玩具10の組立が完了する。
【0037】
第1要素11の軸支部11eへの第3要素13の軸部13fの嵌め込みと、第3要素11の軸支部13eへの別の第3要素13の軸部13fの嵌め込みと、第3要素11の軸支部13eへの第2要素12の軸部12eの嵌め込みがそれぞれ着脱可能であるため、各々の嵌め込みを解除することにより、第1要素11と第2要素12と計6個の第3要素13を非連結状態に戻すことができる。
【0038】
次に、図1および図2を用いて、組立後の玩具10を第1形態と第2形態とに可逆的に変化させる方法例について説明する。なお、ここで説明する形態変化の方法はあくまでも一例であって、玩具10の形態変化の方法を限定するものではない。
【0039】
組立後の玩具10を図1に示した第1形態に変化させるときには、第1要素11の軸支部11eに対して1番目の第3要素13の軸部13fを回動(玩具10を伸張させる方向への回動)させ、1番目~5番目の第3要素13の軸支部13eそれぞれに対して2番目~6番目の第3要素13の軸部13fを回動(玩具10を伸張させる方向への回動)させ、6番目の第3要素13の軸支部13eに対して第2要素12の軸部12eを回動(玩具10を伸張させる方向への回動)させるようにして、組立後の玩具10を極力伸張させる。
【0040】
第1要素11の連結部11dと第2要素12の連結部12dと各第3要素13の連結部13dのそれぞれが第1方向の直線変位が可能で、かつ、第1方向と異なる方向の揺動が可能であるため、組立後の玩具10を伸張させる際には、各連結部11d、連結部12dおよび連結部13dは第1方向に直線変位し、かつ、第1方向と異なる方向に揺動する。
【0041】
換言すれば、各連結部11d、12dおよび13dの第1方向の直線変位と第1方向と異なる方向の揺動によって、第1要素11に対する1番目の第3要素14の位置と、1番目~5番目の第3要素13それぞれに対する2番目~6番目の第3要素13それぞれの位置と、6番目の第3要素13に対する第2要素12の位置が、適宜変わるようになっているため、これら位置変化により組立後の玩具10を極力伸張させて第1形態をより実物に近付けることができる。また、第1方向の直線変位を許容する構造とすることで第1要素11の軸支部11eに対する第3要素13の軸部13fの回動範囲を変化させることができる。具体的には、各連結部11d、12dおよび13dを最も上方に位置させることで、回動範囲を小さくすることができる一方、最も下方に位置させることで、回動範囲を大きくすることができる。なお、第1方向と異なる方向への揺動を許容しない構造とした場合であっても、各連結部11d、12dおよび13dの第1方向の直線変位を許容する構造であれば、第1形態を実物に近付けることができる。
【0042】
また、第1要素11の要素本体11aの後側開放端の内側に1番目の第3要素13の要素本体13aの前側部分が入り込めるようになっており、1番目~5番目の第3要素13の要素本体13aの後側開放端の内側それぞれに2番目~6番目の第3要素13の要素本体13aの前側部分それぞれが入り込めるようになっており、6番目の第3要素13の要素本体13aの後側開放端の内側に第2要素12の要素本体12aの前側部分が入り込めるようになっているため、これら入り込み(一方が他方の一部を覆うこと)により組立後の玩具10を極力伸張させて第1形態を実物に近付けることができる。
【0043】
さらに、第1形態では、各第3要素13に設けられた1対の支持部15と第2要素12に設けられた1対の支持部15が下方に突出するため、計7対の支持部15を利用して、第1形態にある玩具本体10を卓上等に載置することができる。各支持部15の支持部本体15aは先に説明したように所定の自由度下で動かすことができ、しかも、支持部本体15aが可撓性を有しているため、各支持部15の支持部本体15aの向きを適宜調整することによって第1形態を実物により近付けることができるとともに、卓上等への載置も良好に行うことができる。
【0044】
一方、第1形態の玩具本体10を図2に示した第2形態に変化させるときには、第1要素11から1対の装飾部14を取り外すとともに、計7対の支持部15の支持部本体15aを第2要素12の内側と各第3要素13の内側に隠れるように動かす。各支持部15の支持部本体15aは先に説明したように所定の自由度下で動かすことができるため、この操作は簡単に行うことできる。
【0045】
続いて、第1要素11の軸支部11eに対して1番目の第3要素13の軸部13fを回動(玩具10を丸める方向への回動)させ、1番目~5番目の第3要素13の軸支部13eそれぞれに対して2番目~6番目の第3要素13の軸部13fを回動(玩具10を丸める方向への回動)させ、6番目の第3要素13の軸支部13eに対して第2要素12の軸部12eを回動(玩具10を丸める方向への回動)させるようにして、第1形態の玩具本体10を丸める。続いて、第1要素11の底部11cと第2要素12の底部12cとを接近させるとともに、各第3要素13の向きを整えることで、全体が極力球状になるようにする。
【0046】
第1要素11の連結部11dと第2要素12の連結部12dと各第3要素13の連結部13dのそれぞれが第1方向の直線変位が可能で、かつ、第1方向と異なる方向の揺動が可能であるため、第1形態の玩具10を丸める際には、各連結部11d、連結部12dおよび連結部13dは第1方向に直線変位し、かつ、第1方向と異なる方向に揺動する。
【0047】
換言すれば、各連結部11d、12dおよび13dの第1方向の直線変位と第1方向と異なる方向の揺動によって、第1要素11に対する1番目の第3要素14の位置と、1番目~5番目の第3要素13それぞれに対する2番目~6番目の第3要素13それぞれの位置と、6番目の第3要素13に対する第2要素12の位置が、適宜変わるようになっているため、これら位置変化により第1形態の玩具10を極力球状に丸めて第2形態を実物に近付けることができる。また、第1方向の直線変位を許容する構造とすることで第3要素13の軸支部13eに対する第3要素13の軸部13fの回動範囲を変化させることができる。具体的には、各連結部11d、12dおよび13dを最も上方に位置させることで、回動範囲を小さくすることができる一方、最も下方に位置させることで、回動範囲を大きくすることができる。なお、第1方向と異なる方向への揺動を許容しない構造とした場合であっても、各連結部11d、12dおよび13dの第1方向の直線変位を許容する構造であれば、第1形態を実物に近付けることができる。
【0048】
また、第1要素11の要素本体11aの後側開放端の内側に1番目の第3要素13の要素本体13aの前側部分が入り込めるようになっており、1番目~5番目の第3要素13の要素本体13aの後側開放端の内側それぞれに2番目~6番目の第3要素13の要素本体13aの前側部分それぞれが入り込めるようになっており、6番目の第3要素13の要素本体13aの後側開放端の内側に第2要素12の要素本体12aの前側部分が入り込めるようになっているため、これら入り込み(一方が他方の一部を覆うこと)により第1形態の玩具10を極力球状に丸めて第2形態を実物に近付けることができる。
【0049】
さらに、各第3要素12の要素本体13aの前側開放端の下端部それぞれに干渉回避用の切欠部13a1が形成されているため、第1形態の玩具10を丸めるときに、第1要素11の底部11c等に1番目の第3要素13の要素本体13aが干渉したり、1番目~5番目の第3要素13の底部13c等それぞれに2番目~6番目の第3要素13の要素本体13aそれぞれが干渉したりすることを回避し、第1形態の玩具10を極力球状に丸めて第2形態を実物に近付けることができる。
【0050】
さらに、計7対の支持部15の支持部本体15aは先に説明したように所定の自由度下で動くことができ、しかも、各支持部本体15aは可撓性を有しているため、第1形態の玩具10を丸める前に第2要素12の内側と各第3要素13の内側に隠れるように動かした各支持部本体15aが、第1形態の玩具10を丸めるときに障害となったり外に飛び出したりすることを防止して、第1形態の玩具10を極力球状に丸めて第2形態を実物に近付けることができる。
【0051】
さらに、図2に示した第2形態は玩具10が球状に丸まった形態であるため、第1要素11、第2要素12、及び各第3要素13により形成される内部空間に、例えば玩具10と関連のある付属物を収容することができる。また、第2形態は第1形態と異なり、玩具10が球状に丸まった形態であるため、第2形態の玩具10が例えば物品排出装置内に複数収容する場合であっても他の第2形態の玩具10との干渉を極力回避することができるので、球状に丸まった形態そのもの、或いは、これをフィルム等で包装したものを、物品排出装置の排出対象、例えば硬貨等を投入してハンドルを操作することで物品が排出される物品排出装置の商品とすることもできる。このように、第2の形態の玩具10は、遊戯に使用されるだけではなく、物品排出装置で販売する際にも使用されることができる。
【0052】
他方、第2形態の玩具本体10を図1に示した第1形態に変化させるときには、第1形態の玩具本体10を図2に示した第2形態に変化させるときと逆の手順で、玩具10を極力伸張させればよい。
【0053】
なお、各第3要素13はその軸部13fを中心として回動変位するため、組立後の玩具10を図1に示した第1形態に変化させた後の第3要素13間の隙間は、第1形態の玩具本体10を図2に示した第2形態に変化させた後の第3要素13間の隙間とは異なる。具体的には、各第3要素13の要素本体13aの形や回動変位の角度等にもよるが、計6個の第3要素13が類似した外観を有する場合、第1形態に変化させた後の第3要素13間の隙間は第2形態に変化させた後の第3要素13間の隙間よりも大きくなる。第2形態に変化させた後の第3要素13間の隙間が内部を視認できる程度に大きくなると第2形態を実物に近付けることが難しくなるため、第2形態に変化させた後の第3要素13間の隙間が極力小さくなるように、各第3要素13の形や回動変位の角度等を設計によって予め調整しておくことが望ましい。
【0054】
次に、前記同様の作用効果を得ることができる前記玩具10の変形例について説明する。
【0055】
〈第1変形例〉第1形態の玩具本体10を図2に示した第2形態に変化させるときに、第1形態の玩具本体10を丸めた後に第1要素11の底部11cと第2要素12の底部12cとを接近させる方法を示したが、第1要素11の底部11cと第2要素12の底部12cの一方に凸部を設け他方に当該凸部が着脱可能に嵌まり込む凹部を設けておければ、凸部と凹部との嵌め合いによって、接近させた後の第1要素11の底部11cと第2要素12の底部12cとが離れることを防止できるし、玩具本体10を第2形態に維持することができる。
【0056】
〈第2変形例〉玩具10として計6個の第3要素13を有するものを示したが、第3要素13の数には特段の制限はなく、例えば、6個未満としてもよいし、6個超過としてもよい。
【0057】
〈第3変形例〉第1要素11に軸支部11eを設け、第2要素12に軸部12eを設け、各第3要素13の後ろに軸支部13eを設け前に軸部13fを設けたものを示したが、第1要素11に軸部を設け、第2要素12に軸支部を設け、各第3要素13の後ろに軸部を設け前に軸支部を設けるようにしてもよい。
【0058】
〈第4変形例〉第1要素11の要素本体11aの形を図3に示し、第2要素12の要素本体12aの形を図4に示し、各第3要素13の要素本体13aの形(基本形)を図5に示したが、第1要素11の形と第2要素12の形と各第3要素13の形は全体が弓形で外面が凸曲面を成していれば、図3図5に示した形以外の形、例えば、各々の外面を成す凸曲面の湾曲度合いを異ならせたものや、縦断面の角度を異ならせたものや、前後方向寸法を異ならせたものを採用してもよい。また、各第3要素13として左右方向寸法が若干異なる外観が類似したものを示したが、各第3要素13の外面を成す凸曲面の湾曲度合いを異ならせたものや、各第3要素13の縦断面の角度を異ならせたものや、各第3要素13の上下方向寸法が異なるものを採用してもよい。
【0059】
〈第5変形例〉玩具10としてダンゴムシを模したものを示したが、伸張した形態と球状に丸まった形態とに変化し得る他の生物、例えば、ムカデやヤスデの他、アルマジロやハリネズミや猫やハムスターやヤマネ等を模倣対象としてよい。模倣対象が体毛等を有する場合には第1要素11と第2要素12と各第3要素13の外面に体毛に似せた装飾を施せばよく、脚の数が異なる場合には支持部15の数を増減すればよい。
【符号の説明】
【0060】
10…玩具、11…第1要素、11a…要素本体、11b…支柱部、11b1…変位制限部、11c…底部、11d…連結部、11e…軸支部、12…第2要素、12a…要素本体、12b…支柱部、12b1…変位制限部、12c…底部、12d…連結部、12e…軸部、13…第3要素、13a…要素本体、13b…支柱部、13b1…変位制限部、13c…底部、13d…連結部、13e…軸支部、13f…軸部、14…支持部、14a…支持部本体、14b…支持部副体、15…装飾部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6