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特許7145190チップパッケージング構造およびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】チップパッケージング構造およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20220922BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220922BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220922BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/36 A
H01L23/12 J
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020190687
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022022051
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2020-11-17
(31)【優先権主張番号】109124927
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502121096
【氏名又は名称】朋程科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 欣昌
(72)【発明者】
【氏名】劉 敬文
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-089893(JP,A)
【文献】特開2016-201468(JP,A)
【文献】特開2010-050286(JP,A)
【文献】特開2006-310821(JP,A)
【文献】特開2003-243594(JP,A)
【文献】特開2018-182225(JP,A)
【文献】特開2007-201251(JP,A)
【文献】特表2015-530748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/29
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱基板と、
該放熱基板上に配置される予成型されたチップセットであって、
熱伝導性基板と、
該熱伝導性基板上に配置され、該熱伝導性基板に熱結合される少なくとも2つのチップと、
該予成型されたチップセット内に配置されるパターニングされた回路であって、該少なくとも2つのチップがパターニングされた回路によって電気的に接続される、パターニングされた回路と、
該少なくとも2つのチップ、および該パターニングされた回路の一部または全てを覆う第1の封入材と、を備える予成型されたチップセットと、
チップパッケージング構造内に配置され、該放熱基板および該予成型されたチップセットを電気的に接続する相互接続部と、
該放熱基板の一部、該相互接続部の一部または全て、および該予成型されたチップセットの一部または全てを覆う第2の封入材と、を備える、チップパッケージング構造。
【請求項2】
前記少なくとも2つのチップが、前記パターニングされた回路によって直列または並列で電気的に接続される、請求項1に記載のチップパッケージング構造。
【請求項3】
前記少なくとも2つのチップが、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ、高速リカバリ・ダイオード、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ、炭化シリコン・ワイド・バンドギャップ半導体トランジスタ、窒化ガリウム・ワイド・バンドギャップ半導体トランジスタ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のチップパッケージング構造。
【請求項4】
前記放熱基板が、金属リード・フレーム、絶縁金属基板、または絶縁セラミック基板であり、前記熱伝導性基板が、金属基板、金属リード・フレーム、絶縁金属基板、または絶縁セラミック基板である、請求項1に記載のチップパッケージング構造。
【請求項5】
前記予成型されたチップセットが、前記第1の封入材上に配置される露出したパッドを備え、前記少なくとも2つのチップが、該露出したパッドを通して前記相互接続部によって前記放熱基板に電気的に接続され、前記予成型されたチップセットの前記熱伝導性基板が、前記放熱基板に直接電気的に接続される、請求項1に記載のチップパッケージング構造。
【請求項6】
前記予成型されたチップセットが、前記第1の封入材上に配置される露出したパッドを備え、前記少なくとも2つのチップが、該露出したパッドを通して前記放熱基板に直接電気的に接続され、前記予成型されたチップセットの前記熱伝導性基板が、前記相互接続部を通して前記放熱基板に電気的に接続される、請求項1に記載のチップパッケージング構造。
【請求項7】
前記少なくとも2つのチップが同一である、請求項1に記載のチップパッケージング構造。
【請求項8】
接着剤層を、前記少なくとも2つのチップと前記熱伝導性基板との間に更に備えて、前記少なくとも2つのチップおよび前記熱伝導性基板を接着する、請求項1に記載のチップパッケージング構造。
【請求項9】
前記予成型されたチップセットと前記相互接続部との間、および前記予成型されたチップセットと前記放熱基板との間にそれぞれ、前記予成型されたチップセットを前記放熱基板および前記相互接続部と接着する、接着剤層を備える、請求項1に記載のチップパッケージング構造。
【請求項10】
前記少なくとも2つのチップは、ゲートとソースとを含み、
前記パターニングされた回路は、
前記ゲートおよび前記ソース上に電極を形成するため、前記ゲートおよび前記ソース上に形成された第1の導体層と、
前記電極を電気的に絶縁し、前記ゲートおよび前記ソースの前記電極の頂部を露出させるため、前記第1の導体層に形成された誘電体層と、
前記少なくとも2つのチップの前記ゲートの間に電気的接続経路を形成させるため、前記誘電体層に形成された第2の導体層と、
前記第2の導体層に形成された第3の導体層と、
を含む、請求項1~9の何れか一項に記載のチップパッケージング構造。
【請求項11】
予成型されたチップセットを放熱基板上に配設するステップであって、
該予成型されたチップセットを形成するステップが、
熱伝導性基板を提供するステップと、
少なくとも2つのチップが該熱伝導性基板に熱結合される形で、該少なくとも2つのチップを該熱伝導性基板上に配設するステップと、
該少なくとも2つのチップがパターニングされた回路によって電気的に接続されるようにして、該パターニングされた回路を該少なくとも2つのチップ上に形成するステップと、
該少なくとも2つのチップ、および該パターニングされた回路の一部または全てを封入する第1の封入材を形成するステップと、を含み、
該放熱基板および該予成型されたチップセットを電気的に接続するため、相互接続部を形成するステップと、
該放熱基板の一部、該相互接続部の一部または全て、および該予成型されたチップセットの一部または全てを覆う第2の封入材を形成するステップと、を含む、チップパッケージング構造の製造方法。
【請求項12】
前記予成型されたチップセットが形成された後、前記予成型されたチップセットが次に前記放熱基板上に配設され、前記第1の封入材および前記第2の封入材が異なるステップで形成される、請求項11に記載のチップパッケージング構造の製造方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つのチップを前記熱伝導性基板上に配設するステップが、フェースアップ・ダイ・ボンディングによって、またはフェースダウン・ダイ・ボンディングによって、前記少なくとも2つのチップを前記熱伝導性基板上に配設することを含む、請求項11に記載のチップパッケージング構造の製造方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つのチップは、ゲートとソースとを含み、
前記パターニングされた回路は、
前記ゲートおよび前記ソース上に電極を形成するため、前記ゲートおよび前記ソース上に第1の導体層を形成するステップと、
前記電極を電気的に絶縁し、前記ゲートおよび前記ソースの前記電極の頂部を露出させるため、前記第1の導体層に誘電体層を形成するステップと、
前記少なくとも2つのチップの前記ゲートの間に電気的接続経路を形成させるため、前記誘電体層に第2の導体層を形成するステップと、
前記第2の導体層に第3の導体層を形成するステップと、により形成される、請求項11~13の何れか一項に記載のチップパッケージング構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パッケージング構造およびその製造方法に関し、特に、チップパッケージング構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発熱密度が高いチップの放熱の問題はホット・スポットで起こる。したがって、広がり抵抗はチップの全体性能および寿命に大きく影響する。具体的には、ホット・スポットが高い広がり抵抗を有する場合、チップの性能が影響を受け、チップの寿命は短くなる。したがって、どのようにチップのホット・スポットの問題を解決し、広がり抵抗を低減し、放熱能力を効率的に向上させて、チップの性能を改善するとともに寿命を増大させることが、課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、チップパッケージング構造の総コストを低減するとともに、チップの性能を改善し寿命を増大させることができる、チップパッケージング構造およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のチップパッケージング構造は、放熱基板と、予成型されたチップセットと、相互接続部と、第2の封入材とを含む。予成型されたチップセットは放熱基板上に配置される。相互接続部は、パッケージング構造内に配置され、放熱基板および予成型されたチップセットを電気的に接続する。第2の封入材は、放熱基板の一部、相互接続部の一部または全て、および予成型されたチップセットの一部または全てを覆う。予成型されたチップセットは、熱伝導性基板と、少なくとも2つのチップと、パターニングされた回路と、第1の封入材とを含む。少なくとも2つのチップは、熱伝導性基板上に配置され、熱伝導性基板に熱結合される。パターニングされた回路は予成型されたチップセット内に配置される。少なくとも2つのチップは、パターニングされた回路によって電気的に接続される。第1の封入材は、少なくとも2つのチップと、パターニングされた回路の一部または全てとを覆う。
【0005】
本開示のチップパッケージング構造の製造方法は、予成型されたチップセットを放熱基板上に配設するステップと、放熱基板および予成型されたチップセットを電気的に接続するため、相互接続部を形成するステップと、放熱基板の一部、相互接続部の一部または全て、および予成型されたチップセットの一部または全てを覆う第2の封入材を形成するステップと、を含む。予成型されたチップセットを形成するステップは、熱伝導性基板を提供するステップと、少なくとも2つのチップが熱伝導性基板に熱結合される形で、少なくとも2つのチップを熱伝導性基板上に配設するステップと、少なくとも2つのチップがパターニングされた回路によって電気的に接続されるようにして、パターニングされた回路を少なくとも2つのチップ上に形成するステップと、少なくとも2つのチップ、およびパターニングされた回路の一部または全てを封入する第1の封入材を形成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
したがって、本開示のチップパッケージング構造は、少なくとも2つのチップを予め組み立てることによって形成されたチップセットを熱伝導性基板に熱結合し、熱伝導性基板およびチップセットを封入材によってパッケージングして予成型されたチップセットとし、予成型されたチップセットを放熱基板上に配設することによって形成される。このようにして、シングル・チップ・アーキテクチャによる熱集中の問題を解決することができ、広がり抵抗を予め低減することができる。それに加えて、チップパッケージングの放熱能力が効率的に向上し、使用されるチップの総コストが低減される。したがって、チップの性能を改善することができ、チップの寿命を増大させるこのができるとともに、チップパッケージング構造の総コストが低減される。
【0007】
本開示の上述の特徴および利点をより分かりやすくするために、以下の特定の実施形態について添付図面と併せて詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面は、本開示の更なる理解を提供するために含められるものであり、本開示に組み込まれるとともにその一部を構成する。図面は、本開示の実施形態を例証するものであり、説明と併せて、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0009】
図1】本開示の一実施形態によるチップパッケージング構造を示す概略断面図である。
【0010】
図2A-2H】本開示の一実施形態による製造プロセスの様々な段階におけるチップパッケージング構造を示す三次元概略図である。
【0011】
図3A】本開示の一実施形態によるチップパッケージング構造における少なくとも2つのチップの電気接続モードを示す概略断面図である。
【0012】
図3B】本開示の別の実施形態によるチップパッケージング構造における少なくとも2つのチップの電気接続モードを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の例示的実施形態について、図面を参照して以下に十分に記載するが、本開示は、様々な異なる形態でも実施されてもよく、本明細書に記載する実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。図面において、明瞭にするため、各領域、場所、および層のサイズと厚さは実際の縮尺で描かれていないことがある。理解しやすくするため、以下の説明において同じ要素は同じ参照番号を用いて記載される。
【0014】
別段の明示がない限り、本明細書に記載するいずれの方法も、ステップが特定の順序で実施されることが必須であると決して解釈されるものではない。
【0015】
図1は、本開示の一実施形態によるチップパッケージング構造を示す概略断面図である。図2A図2Hは、本開示の一実施形態による製造プロセスの様々な段階におけるチップパッケージング構造を示す三次元概略図である。図3Aは、本開示の一実施形態によるチップパッケージング構造における少なくとも2つのチップの電気接続モードを示す概略断面図である。
【0016】
図1を参照すると、本実施形態では、チップパッケージング構造100は、放熱基板110と、予成型されたチップセット120と、封入材130と、相互接続部140とを含む。放熱基板110の材料は本開示では限定されない。放熱基板110は、銅、アルミニウム、またはグラファイトなど、任意の適切な放熱材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、放熱基板110は、金属リード・フレーム、絶縁金属基板、または絶縁セラミック基板であってもよい。それに加えて、予成型されたチップセット120は放熱基板110上に配置され、相互接続部140はチップパッケージング構造100内に配置され、封入材130は、放熱基板110の一部、相互接続部140の一部または全て、および予成型されたチップセット120の一部または全てを覆う。本実施形態では、相互接続部140は、例えば銅クリップである。他の実施形態では、相互接続部140は、例えば、予成型されたチップセット120および放熱基板110を電気的に接続する、ワイヤ・ボンディング構造または他の導電性構造である。
【0017】
いくつかの実施形態では、封入材130は、成型プロセスによって形成されたモールディング・コンパウンド、またはポッティング・プロセスによって形成されたシリコーン・ゲルであってもよい。一実施形態では、封入材130は、エポキシ樹脂または他の適切な樹脂などの絶縁性材料で形成されてもよいが、本開示はそれに限定されない。
【0018】
本実施形態では、予成型されたチップセット120の製造方法は以下のステップを含んでもよい。
【0019】
図2Aを参照されたい。第一に、熱伝導性基板1210が提供される。いくつかの実施形態では、熱伝導性をより良好にするために、熱伝導性基板1210の材料熱伝導性は50W/m-k超過であってもよい。熱伝導性基板1210の材料は、例えば、銅、アルミニウム、またはグラファイトであってもよい。しかしながら、本開示の熱伝導性基板1210の材料はそれに限定されない。熱伝導性基板1210は、任意の適切な熱伝導性材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、放熱基板1210は、例えば、金属基板、金属リード・フレーム、絶縁金属基板、または絶縁セラミック基板であってもよい。
【0020】
図2Bを参照すると、少なくとも2つのチップ1220が熱伝導性基板1210上に配設され(図2Bには、4つのチップが概略的に示されている)、少なくとも2つのチップ1220が熱伝導性基板1210に熱結合される。ここで、熱結合は、少なくとも2つのチップ1220が熱伝導性基板1210に熱を伝達するものとして定義されてもよい。いくつかの実施形態では、接着剤層(図示なし)が、少なくとも2つのチップ1220と熱伝導性基板1210との間に更に含まれて、少なくとも2つのチップ1220および熱伝導性基板1210を接着する。
【0021】
上述の実施形態では、少なくとも2つのチップ1220は同一である。1つのチップのサイズが大きくなるほど、チップに必要なコストが高くなるので、本実施形態では、複数のよりサイズが小さい同一のチップ1220を組み立ててチップセットとしており、それによってチップセットが単一の大きいサイズのチップと同じ電気特性を維持する一方で、過度の熱集中を回避するとともにチップのコストを低減し、それによってチップパッケージング構造の全体の広がり抵抗および総コストを低減している。
【0022】
いくつかの実施形態では、チップ1220は、3端子チップ、2端子チップ、または多端子チップであってもよい。3端子チップは、ゲート、ソース、およびドレインを含んでもよく、2端子チップは、正極端子および負極端子を含んでもよく、多端子チップは、電流感知または電圧クランプなどの特定の機能用の追加端子を含んでもよい。例えば、チップ1220は、パワー金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(パワーMOSFET)、高速リカバリ・ダイオード(FRD)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、またはそれらの組み合わせを含んでもよく、予成型されたチップセット120の各チップ1220は、互いに同じであっても異なってもよい。しかしながら、本開示はそれに限定されない。チップ1220は、実際の設計要件にしたがって、任意の適切なタイプのチップであってもよい。
【0023】
4つの3端子チップの組み合わせが図2Bに示されているが、本開示のチップ1220の組み合わせモードはそれに限定されず、実際の設計要件にしたがって構成されてもよいことが注目されるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも2つのチップ1220は全て3端子チップであってもよい。他の実施形態では、少なくとも2つのチップ1220は全て2端子チップであってもよい。更に他の実施形態では、少なくとも2つのチップ1220は、3端子チップと2端子チップの組み合わせを含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、チップ1220は、炭化シリコン(SiC)または窒化ガリウム(GaN)のワイド・バンドギャップ半導体であってもよい。ワイド・バンドギャップ半導体チップのサイズが大きくなるほど、歩留まり率は低くなるので、単一の大きいサイズのワイド・バンドギャップ・チップには、複数の小さいサイズのチップよりも高価であるという不利な点がある。結果として、チップセットを配設することで、ワイド・バンドギャップ・チップを含むチップパッケージング構造の総コストをより効率的に低減することができるが、本開示はそれに限定されない。
【0025】
本実施形態では、図2Bに示されるように、3端子チップがチップ1220の一例として使用され、本実施形態のチップ1220は、ゲート1222と、ソース1224と、ドレイン(図示なし)とを含む。少なくとも2つのチップ1220のゲート1222およびソース1224は、チップ1220の前面1220aに配置されてもよく、ドレインは、ゲート1222およびソース1224とは反対の後面に配置されてもよい。換言すれば、チップ1220は熱伝導性基板1210上に配置され、前面1220aにゲート1222およびソース1224が上向きに配置されてもよい。したがって、チップ1220のゲート1222およびソース1224よりも、チップ1220のドレインの方が熱伝導性基板1210に近いが、本開示はそれに限定されず、チップ1220の配置は実際の必要性にしたがって調節されてもよい。換言すれば、チップ1220は、フェースアップ・ダイ・ボンディングによって熱伝導性基板1210上に配設されてもよく、またはフェースダウン・ダイ・ボンディングによって(つまり、「反転されて」)熱伝導性基板1210上に配設されてもよい。
【0026】
図2C図2Fおよび図3Aを同時に参照されたい。パターニングされた回路1230は、少なくとも2つのチップ1220がパターニングされた回路1230によって電気的に接続されるようにして、少なくとも2つのチップ1220上に形成される。本実施形態では、図3Aに示されるように、少なくとも2つのチップ1220は、パターニングされた回路1230を介して並列で電気的に接続されてもよいが、本開示はそれに限定されない。他の実施形態では、少なくとも2つのチップ1220は、他の形でパターニングされた回路によって電気的に接続されてもよく、例えば直列で電気的に接続される。
【0027】
更に、パターニングされた回路1230は以下のステップによって形成されてもよい。第一に、図2Cに示されるように、導体層1232がチップ1220上に形成されて電極を形成する。具体的には、電極は、チップ1220のゲート1222およびソース1224上に形成され、続いて、ゲート1222とソース1224との間を電気的に接続するように配設されてもよい。次に、図2Dに示されるように、誘電体層1234が導体層1232上に形成されて電極を電気的に絶縁し、誘電体層1234は、ゲート1222およびソース1224の電極の頂部を露出させてもよい。
【0028】
次に、図2Eに示されるように、導体層1236が誘電体層1234上に形成されて、電気的接続経路が少なくとも2つのチップ1220のゲート1222の間に形成され、ソース1224の上方における電極構造が厚くなる。その後、図2Fに示されるように、導体層1238が導体層1236上に形成され、続いて、ゲート1222、ソース1224、および露出したパッド1250の間を電気的に接続するように配設される(図2Hを参照されたい)。このように、導体層1232、誘電体層1234、導体層1236、および導体層1238は、パターニングされた回路1230を形成してもよい。
【0029】
導体層1232、導体層1236、および導体層1238の材料は、例えば、電気めっきによって形成された銅層であり、誘電体層1234は、例えば、モールディング・プロセスによって形成されたエポキシ樹脂層である。しかしながら、本開示はそれに限定されない。導体層1232、導体層1236、導体層1238、および誘電体層1234は、任意の適切な材料および方法によって形成されてもよい。
【0030】
本開示のパターニングされた回路1230における導体層および誘電体層の接続モードおよび層数は、実際の設計要件にしたがって調節されてもよく、本実施形態の接続モードおよび層数に限定されないことが注目されるべきである。
【0031】
図2Gを参照されたい。封入材1240は、少なくとも2つのチップ1220、およびパターニングされた回路1230の一部または全てを覆うように形成される。いくつかの実施形態では、封入材1240は、モールディング・プロセスまたはポッティング・プロセスによって形成されたモールディング・コンパウンドまたはシリコン・ゲルであってもよい。一実施形態では、封入材1240は、エポキシ樹脂または他の適切な樹脂などの絶縁性材料で形成されてもよいが、本開示はそれに限定されない。
【0032】
本実施形態では、封入材1240および封入材130は異なるステップで形成されてもよい。例えば、予成型されたチップセット120を封入材1240とともに形成するため、第1のパッケージングが実施されてもよい。次に、予成型されたチップセット120が放熱基板110上に配設されて、予成型されたチップセット120および放熱基板110を封入するように封入材130を更に形成する、第2のパッケージングが実施されてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、封入材1240および封入材130の材料は異なってもよい。他の実施形態では、封入材1240および封入材130の材料は実質的に同じであってもよい。封入材1240および封入材130は異なるステップで形成されるので、封入材1240および封入材130の材料が実質的に同じ場合であっても、それら2つが隣接する位置には依然として境界面があることが注目されるべきである。それに加えて、封入材1240は第1の封入材であってもよく、封入材130は第2の封入材であってもよい。
【0034】
図2Hを参照されたい。本実施形態では、露出したパッド1250が封入材1240上に更に形成されてもよく、それによって、少なくとも2つのチップ1220が、露出したパッド1250を通して相互接続部140によって放熱基板110に電気的に接続されてもよく、または露出したパッド1250が放熱基板110に直接電気的に接続されてもよい。図1を再び参照すると、予成型されたチップセット120が、露出したパッド1250を上に、熱伝導性基板1210を下にして放熱基板110上に配設されると、予成型されたチップセット120の露出したパッド1250は、相互接続部140によって放熱基板110に電気的に接続され、予成型されたチップセット120の熱伝導性基板1210は、放熱基板110に直接電気的に接続される。予成型されたチップセット120が、熱伝導性基板1210を上に、露出したパッド1250を下にして放熱基板110上に配設されると、予成型されたチップセット120の露出したパッド1250は、放熱基板110に直接電気的に接続され、熱伝導性基板1210は、相互接続部140によって放熱基板110に電気的に接続される。露出したパッド1250は、例えば、電気めっきによって形成された銅層であるが、本開示はそれに限定されない。
【0035】
本実施形態では、チップパッケージング構造100は、放熱基板110と、予成型されたチップセット120と、第2の封入材130と、相互接続部140とを含む。予成型されたチップセット120は放熱基板110上に配置され、相互接続部140は、放熱基板110および予成型されたチップセット120を電気的に接続する。予成型されたチップセット120は、熱伝導性基板1210と、少なくとも2つのチップ1220と、パターニングされた回路1230と、封入材1240とを含む。少なくとも2つのチップ1220は、熱伝導性基板1210上に配置され、熱伝導性基板1210に熱結合される。パターニングされた回路1230は、予成型されたチップセット120内に配置され、少なくとも2つのチップ1220はパターニングされた回路1230によって電気的に接続される。封入材1240は、少なくとも2つのチップ1220、およびパターニングされた回路1230の一部または全てを覆う。
【0036】
上述の実施形態では、予成型されたチップセット120と相互接続部140との間、および予成型されたチップセット120と放熱基板110との間にそれぞれ、予成型されたチップセット120を放熱基板110および相互接続部140と接着する、接着剤層(図示なし)が更に含まれてもよい。
【0037】
したがって、本実施形態のチップパッケージング構造100は、少なくとも2つのチップ1220を予め組み立てることによって形成されたチップセットを熱伝導性基板1210に熱結合し、熱伝導性基板1210およびチップセットを封入材1240によってパッケージングして予成型されたチップセット120とし、予成型されたチップセット120を放熱基板110上に配設することによって形成される。このように、広がり抵抗を低減することができ、チップ1220の熱集中の問題を解決することができる。それに加えて、放熱能力を効率的に向上させることができ、チップ1220のコストを低減することができる。したがって、チップ1220の性能が改善され、チップ1220の寿命が増大するとともに、チップパッケージング構造100の総コストが低減される。
【0038】
具体的には、チップ1220によって発生した熱を、予成型されたチップセット120の熱伝導性基板1210を通して誘導し、次に放熱基板110を通して放散させて、熱が一部の範囲に過度に集中しないようにしてもよい。したがって、チップ1220の熱集中の問題を解決することができ、広がり抵抗を低減することができ、放熱能力を効率的に向上させることができるので、チップ1220の性能が改善され、チップ1220の寿命が増大する。更に、1つのチップのサイズが大きくなるほど、チップに必要なコストが高くなるので、複数のよりサイズが小さい同一のチップ1220を組み立ててチップセットにすることで、チップ1220のコストを低減することができる一方で、チップ1220が単一の大きいサイズのチップと同じ電気特性を維持し、それによってチップパッケージング構造100の総コストが低減される。
【0039】
いくつかの実施形態では、チップパッケージング構造100の構造的な広がり抵抗が、1.208(℃/W)から0.707(℃/W)に低減されてもよい。換言すれば、チップパッケージング構造100は、構造的な広がり抵抗を効率的に低減することができ、それによって全体の構造的な熱抵抗が約40%低減されるが、本開示はそれに限定されない。
【0040】
いくつかの実施形態では、チップパッケージング構造100は、例えばパワー・チップパッケージング構造であってもよいが、本開示はそれに限定されない。
【0041】
以下の実施形態は、上述の実施形態の構成要素の参照番号および内容の一部に従うものであり、同じまたは類似の要素を表すのに同じまたは類似の参照番号が使用され、同じ技術的内容の説明は省略されることが注目されるべきである。省略した部分の説明は、上述の実施形態に見出すことができ、以下の実施形態では繰り返されない。
【0042】
図3Bは、本開示の別の実施形態によるチップパッケージング構造における少なくとも2つのチップの電気接続モードを示す概略断面図である。図3Bを参照されたい。図3Bの実施形態は図3Aの実施形態と類似しており、違いは、図3Bの実施形態では、少なくとも2つのチップ1220が、パターニングされた回路1230によって直列で電気的に接続されてもよく、それによって、予成型されたチップセット120において電気接続モードをより柔軟に構成できる点である。
【0043】
要約すると、本開示のチップパッケージング構造のチップによって発生した熱を、予成型されたチップセットの熱伝導性基板を通して誘導し、次に放熱基板を通して放散させて、熱が一部の範囲に過度に集中しないようにしてもよい。したがって、チップの熱集中の問題を解決することができ、構造的な広がり抵抗を低減することができ、放熱能力を効率的に向上させることができるので、チップの性能が改善され、チップの寿命が増大する。それに加えて、1つのチップのサイズが大きくなるほど、チップに必要なコストが高くなるので、複数のよりサイズが小さい同一のチップを組み立ててチップセットにすることで、チップのコストを低減する一方で、チップが単一の大きいサイズのチップと同じ電気特性を維持することができ、それによってチップパッケージング構造の総コストが低減される。
【0044】
本開示を上述の実施形態において開示してきたが、本開示はそれに限定されない。関連技術分野の通常の知識を有する者であれば、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、何らかの変更および修正を行うことができる。本開示の保護の範囲は、以下の請求の範囲によって定義されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0045】
チップパッケージング構造およびその製造方法は、パッケージング構造およびその製造方法に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
100 チップパッケージング構造
110 放熱基板
120 予成型されたチップセット
130、1240 封入材
140 相互接続部
1210 熱伝導性基板
1220 チップ
1222 ゲート
1224 ソース
1220a 前面
1230 パターニングされた回路
1232、1236、1238 導体層
1234 誘電体層
1250 露出したパッド
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B