(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】圧縮機の駆動装置及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
H02K5/22
(21)【出願番号】P 2020196361
(22)【出願日】2020-11-26
(62)【分割の表示】P 2019082848の分割
【原出願日】2019-04-24
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】10 2018 110 042.6
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2019 107 520.3
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルンド グンテルマン
(72)【発明者】
【氏名】ダビッド バリスコ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ハインリヒス
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-165443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の縦軸(5)に沿って延びるように配置されたローター(rotor)及びステーター(stator)(1)を備える、蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置
である電気モーターとして、
キャリア部材(6)が軸方向に整列されたステーター(1)の第1端部面に隣接する方式で配置されて、
前記キャリア部材(6)は接触領域(8b)を有する一つ以上の弾性変形可能な圧力部材(8)を備えて、
前記圧力部材(8)は延長部(h)により軸方向に延長されるように形成され、
前記装置の組立状態では前記接触領域(8b)が弾性変形されてモーターハウジングの内部面に該当する対応面(9)に隣接し、
前記圧力部材(8)がモーターハウジングの内部面に接触され、前記接触領域(8b)の弾性変形による圧力により前記キャリア部材(6)は前記ステーター(1)に加圧されることを特徴とする圧縮機の駆動装置。
【請求項2】
前記キャリア部材(6)が連結ポートを有するプラグハウジング(7b)のための連結通路(7a)を有する収容部材(7)を備えて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項3】
前記圧力部材(8)と収容部材(7)が軸方向に整列された、キャリア部材(6)の共通側面に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項4】
前記キャリア部材(6)、圧力部材(8)及び収容部材(7)が結合ユニット及び一体型コンポーネントとして形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項5】
前記圧力部材(8)が弧形態(arc-shaped)に形成されて、ウェブ(8a)を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項6】
前記ウェブ(8a)が軸方向に、そして前記接触領域(8b)は半径方向に整列されるように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項7】
前記圧力部材(8)が前記ウェブ(8a)の一側端部を通じて前記キャリア部材(6)に連結されていることを特徴とする請求項5または6に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項8】
前記圧力部材(8)が前記ウェブ(8a)の他側端部に前記接触領域(8b)を有することを特徴とする請求項7に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項9】
前記キャリア部材(6)が半径方向に沿うリング表面(6a)及び軸方向に整列されたリング表面(6b)を有し、これらリング表面は外部側面エッジで互いに接する方式で配置され互いに連結されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項10】
前記圧力部材(8)が半径方向に沿うキャリア部材(6)のリング表面(6a)に連結されていることを特徴とする請求項9に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項11】
前記キャリア部材(6)の半径方向に沿うリング表面(6a)が円形リング形状を有することを特徴とする請求項9または10に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項12】
前記圧力部材(8)が前記半径方向に沿うキャリア部材(6)のリング表面(6a)領域内に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項13】
前記軸方向に沿うキャリア部材(6)のリング表面(6b)が円筒形状を有することを特徴とする請求項9乃至12の何れか1項に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項14】
多数の圧力部材(8)を有するキャリア部材(6)の形成時、前記圧力部材(8)を前記キャリア部材(6)で円周にかけて分布するように配置されていることを特徴とする請求 項1乃至13の何れか1項に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項15】
前記キャリア部材(6)は前記圧力部材(8)を通じてモーターハウジングの内部面に接触されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の駆動装置。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか一項による蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置を組立てるための方法であって、
- ローター及びステーター(1)を共通の縦軸(5)上に配置する段階を含み、この時、前記ステーター(1)は前記ローターを半径方向に取り囲み、
- キャリア部材(6)を軸方向に整列されたステーター(1)の第1端部面に配置する段階を含み、この時、弾性圧力部材(8)は延長部(h)により軸方向に延びる方式で整列されて、そして
-前記キャリア部材(6)を有するステーター(1)を対応面(9)に配置する段階を含み、この時、前記圧力部材(8)は接触領域(8b)により前記対応面(9)に隣接し、そして前記キャリア部材(6)と対応面(9)の間で力(F)が生成され、そして前記キャリア部材(6)が軸方向に前記ステーター(1)のステーターコア(2)に加圧されて固定されるように弾性変形される圧縮機の駆動装置の組立方法。
【請求項17】
プラグハウジング(7b)が前記キャリア部材(6)に形成された収容部材(7)内に挿入され
て前記キャリア部材(6)に固定されることを特徴とする請求項16に記載の圧縮機の駆動装置の組立方法。
【請求項18】
自動車の空気調和システムの冷媒回路内にある冷媒の圧縮機用に用いるための請求項1乃至15の何れか1項による蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮機の駆動装置及び前記装置の組立方法{DEVICE FOR DRIVING A COMPRESSOR AND METHOD FOR ASSEMBLING OF THE DEVICE}に係り、より詳しくは、蒸気 流体、特に冷媒を圧縮するための圧縮機の駆動装置、特に 電気モーターに関する圧縮機の駆動装置及び前記装置の組立方法に関する。前記圧縮機は自動車の空気調和システムの冷媒回路に使われる、前記装置は共通の縦軸に沿って延びるように配置されたローター(rotor)及びステーター(stator)を備える。
本発明はまた、圧縮機を駆動するための前記装置の組立方法と関連がある。
【背景技術】
【0002】
冷媒回路(冷媒圧縮機とも呼ばれる)を通して冷媒を運搬するための従来技術に公示された移動性アプリケーション、特に自動車の空気調和システム用圧縮機は冷媒と関係なく可変行程体積を有するピストン圧縮機又はスクロール圧縮機として形成される場合が多い。この場合、圧縮機はベルトプーリー(belt pulley)により駆動されるか、電気的に駆動される。
電動圧縮機は個別圧縮機構(compacting machanism)を駆動するための電動モーター以外に前記電気モーターを駆動するためのインバータを備える。前記インバータは車両バッテリーの直流を交流に変換するために用いられ、この場合、前記直流は電気的連結を通じて電気モーターに供給される。
【0003】
電動圧縮機の従来の電気モーターは(ステーターコアに配置される)コイルを有するリング状のステーターコアとローターを備えて形成されており、この場合、前記ローターはステーターコアの内部に配置されている。ローター及びステーターはローターの共通対称軸は回転軸上に整列されている。
インバータは電気モーターの接続端子に電気的に連結するためのプラグポートを有し、前記ポートは再度ステーターのコイルに電気的に連結されている。電気モーターの接続端子は、ステーターの軸方向に整列されたステーター端部面に配置されたプラグハウジング内に形成されている。
【0004】
従来技術に属する電動圧縮機の電気モーターで、プラグハウジングは圧搾によりステーター絶縁部に固定される。この場合、プラグハウジングは組立の間に固定される。圧縮機及びこれと共に電気モーターの作動の間には、組立中に発生される、プラグハウジングとステーター絶縁部の圧入締め付けが緩み、その結果、前記プラグハウジングが周辺に対して、特に前記ステーター絶縁部に対して相対的に移動して振動し、このような状況は互いに接触する方式で配置された表面で材料の摩耗を引き起こす。プラグハウジングはスナップインロッキング装置(snap-in looking device)の助けで、特にスナップフィット(snap-fit)を通じてステーター絶縁部に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡単な方式で、そして時間を節約できる方式で組立できる蒸気流体の電動圧縮機を駆動するための装置、特に電気モーターを提供することを目的とする。
この場合、特に、ステーターはモーターハウジングの内部に容易に配置されなければならず、プラグハウジングはステーターで予め決まった位置に固定されなければならない。前記装置はまた、装置の作動中にプラグハウジングで発生する振動を減らすか、除去するように形成されなければならない。これと同時に前記装置は可能なかぎり少ないシングルコンポーネント数と部品数を有するものでなければならず、同様に製造にかかるコストを最小化するために構造的に単純に具現しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は独立項の特徴を有する対象により解決される。改善例は従属項に示されている。
前記課題は蒸気流体の電動圧縮機を駆動するための装置、特に電気モーターにより解決される。前記装置は共通の縦軸に沿って延びるローター及び固定されたステーターを備える。
前記ステーターは好ましくはローターの外側で半径方向に、前記ローターを取り囲む方式で位置設定されている。
本発明の概念によれば、キャリア部材は軸方向に整列されたステーターの第1端部面に隣接する方式で配置されている。前記キャリア部材は接触領域を有する一つ以上の弾性変形可能な圧力部材を備える。この場合、前記圧力部材は軸方向に延びる方式で延長部を備えて形成されている。装置の組立状態で、圧力部材は接触領域により対応面に弾性変形方式で隣接する。
【0008】
圧力部材の弾性変形によりキャリア部材に加えられる圧力の結果として、前記キャリア部材はステーターに加圧され、このような方式で前記ステーターに対するキャリア部材の好ましくない相対移動に対する保護を保障する。
この場合、軸方向はローターの縦軸及び回転軸にも相応するステーターの縦軸として理解されるべきである。軸方向で整列された端部面は縦軸に垂直に整列された平面に配置されている。
圧力部材の接触領域は例えば、接触面、接触エッジ又は点模様にも形成されることができる。
【0009】
本発明の一改善例によれば、キャリア部材は接続ポートを有するプラグハウジングを配置するための収容部材を備えて形成されている。
圧力部材及び連結部材をプラグハウジングの連結ポート内部に貫通させるための連結通路を有する収容部材は好ましくは軸方向に整列された、キャリア部材の共通側面に配置されている。
本発明の長所は、キャリア部材、圧力部材及びプラグハウジング用収容部材が結合ユニット及び一体型コンポーネントとして形成され、その 結果、前記圧力部材と収容部材がそれぞれ前記キャリア部材の構成部品である。従って、キャリア部材は多機能コンポーネント、特にステーターの多機能コンポーネントとして形成されている。
圧力部材の弾性変形によりキャリア部材に加えられる圧力の結果として、前記キャリア部材は連結ポートを有するプラグハウジングのための連結通路を備えた収容部材と共にステーターに加圧され、このような方式でまた、前記ステーターに対するプラグハウジング又は連結ポートの好ましくない相対運動に対する保護が保障される。
【0010】
圧力部材は好ましく弧形態に形成されウェブを有する。前記ウェブは好ましくは実際に軸方向に整列され、それに対して、接触領域は特に、接触面として形成される場合、実際に半径方向に配置されている。
装置の組立状態で、特に圧力部材のウェブは弾性的に変形される。
本発明の一改善例によれば、圧力部材はウェブの正面エッジを通じてキャリア部材に連結されている。圧力部材は好ましくはウェブの正面エッジに対して遠い側に形成された端部で接触領域を有する。
本発明の好ましい一実施例によれば、キャリア部材は半径方向に整列されたリング表面及び軸方向に整列されたリング表面を備えて形成され、これらリング表面は外部側面エッジなどで互いに接する方式で配置されて互いに連結されている。圧力部材は好ましくは半径方向に整列された、キャリア部材のリング表面と連結される。
【0011】
半径方向に整列された、キャリア部材のリング表面は好ましくは円形リング形態、特に円形リング又は開放された円形リングのセクション形態を有し、それに対して軸方向に整列されたキャリア部材のリング表面は、円筒状、特に中空円筒状に形成されている。この場合、圧力部材は特に、半径方向に整列された、キャリア部材のリング表面領域で、特に前記リング表面の内部側面エッジに配置されている。
プラグハウジング用収容部材は好ましくは半径方向に整列された、キャリア部材のリング表面の部分領域として形成されている。
本発明の望ましい追加実施例によれば、キャリア部材が多数の圧力部材を備えて形成された場合、前記圧力部材はキャリア部材の円周にかけて分布する方式で配置されている。「多数」という表現は2つ以上の圧力部材に見なされるべきである。
【0012】
前記課題はまた、蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置、特に電気モーターを装着するための本発明による方法によっても解決される。前記方法は下記の方法段階を含む:
- ローター及びステーターを共通の縦軸上に配置する段階として、この場合、前記ステーターは前記ローターを半径方向に取り囲み、 キャリア部材を軸方向に整列されたステーターの第1端部面に配置する段階として、この場合弾性圧力部材は延長部により軸方向に延びる方式で形成され、そして- 前記ステーターを前記キャリア部材と共に対応面に配置する段階として、この場合前記圧力部材は接触領域により前記対応面に隣接し、そして前記キャリア部材と対応面の間で、力、特に、圧縮力が生成され、そして前記キャリア部材が軸方向に前記ステーターに加圧されて固定される方式で弾性変形される。
【0013】
本発明の一改善例によれば、プラグハウジングはキャリア部材に形成された収容部材内に挿入され、このような方式でキャリア部材に固定される。
本発明の好ましい実施例は、自動車の空気調和システムの冷媒回路内にある冷媒の圧縮機用に蒸気流体を圧縮するための圧縮機、特に電気モーターを駆動するための装置の用途を可能にする。
【発明の効果】
【0014】
最小限の必須コンポーネントを有する蒸気流体の圧縮機を駆動するための本発明による装置は要約すれば、次のような多様な長所を有する:
- 特にステーターをローターと一共にモーターハウジング内部に挿入する時、特にステーターにプラグハウジングを固定することにより達成される装置の簡単な組立、
- 圧縮機の作動中にキャリア部材と共にモーターハウジングに対する所望としない、特に振動により生成されるステーターの相対運動に対する保護の他にも、収容部材、そしてこれと共に連結ポートを有するプラグハウジングがステーターに固定され、
- これにより、摩耗が防止されステーターとインバータ、特に電気ピンの間の連結ポートのインターフェースで振動による損傷が減少され圧縮機の寿命が最大化する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のステーターコア、コイル、絶縁部材及びキャリア部材を有する蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置として、示した電気モーターのステーターの斜視図である。
【
図2】本発明の弾性圧力部材を有するキャリア部材の斜視図である。
【
図3】本発明の組立及び電気モーターのモーターハウジング内部に装着された状態で
図1のステーター示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、特に冷媒回路を通じて冷媒を運搬するための自動車の空気調和システム用に、蒸気流体の圧縮機を駆動するための装置として、電気モーターのステーター(1)の斜視図を示す。前記ステーター(1)はステーターコア(2)、コイル(3)、絶縁部材(4)及びキャリア部材(6)を備えて形成されている。
前記電気モーター、例えば3相交流モーターは図示しないローター及び半径方向に前記ローターの外側にそして前記ローターの周りに配置されたステーターコア(2)を備える。
好ましくは、積層シートパッケージ(laminated sheet package)として形成されたステーターコア(2)及び電気絶縁性材料で形成された絶縁部材(4)はそれぞれ、ステーター(1)の縦軸及びローターの回転軸にも相応する縦軸(5)に沿って、前記ステーター(1)の第1端部面から第2端部面に延びる。前記絶縁部材(4)は好ましくはステーターコア(2)のオーバーモールド(overmold)として、そしてこれと共に一体型コンポーネントとして形成されている。
【0017】
前記コイル(3)はそれぞれ半径方向に内部に延びる、ステーターコア(2)の領域の周りに巻かれるワイヤーで形成されている。前記半径方向に内部に延びる、ステーターコア(2)の領域はそれぞれウェブ形態を有し前記ステーターコア(2)の外部壁の円周にかけて均一に分布する方式で位置設定されている。コイル(3)のワイヤーとステーターコア(2)の個別領域の間には、前記ステーターコア(2)とコイル(3)のワイヤーを電気的に互いに絶縁する絶縁部材(4)が配置されている。前記絶縁部材(4)はそれぞれ内部に、そして軸方向に整列されたウェブの端部から軸方向に拡張される方式で形成されている。前記のように突出した、絶縁部材(4)の端部セクションはステーターコア(2)のウェブの周りに巻かれる、コイル(3)のワイヤーを固定する役割をする。
【0018】
ステーターコア(2)、絶縁部材(4)及びコイル(3)は電気モーターのステーターユニットを形成する。
絶縁部材(4)はステーター(1)の端部面でそれぞれステーターコア(2)より突出する。ステーター(1)の第1端部面で、キャリア部材(6)は連結ポートを有するプラグハウジング(7b)のために連結通路(7a)を有する収容部材(7)と共に配置されている。前記プラグハウジング(7b)の連結ポートは、例えば、伝導性のピン模様になっている連結部材の助けで、それぞれ電気モーターのコイル(3)とインバータ間の電気的連結部のコンポーネントとして用いられ、この場合、前記連結部材はキャリア部材(6)の収容部材(7)の連結通路(7a)を貫通してプラグハウジング(7b)の連結ポートに挿入される方式で配置されている。
【0019】
キャリア部材(6)はステーター(1)の組立状態では、一方では軸方向にステーター(1)に、特にステーターコア(2)に隣接する。この場合、キャリア部材(6)の外径はステーターコア(2)の外径より小さい。
また、キャリア部材(6)は他方では実際に軸方向に延びる弾性圧力部材(8)を備える。結果的に、圧力部材(8)はステーターコア(2)から遠くなる方向に向かうキャリア部材(6)の側面上に配置されている。
図2には、キャリア部材(6)が弾性圧力部材(8)及び連結ポートを有するプラグハウジング(7b)のための連結通路(7a)を有する収容部材(7)と共に斜視図に示す。
圧力部材(8)と収容部材(7)は軸方向に整列された共通の側面上に配置されている。
キャリア部材(6)は半径方向に整列された円形リング状のリング表面(6a)、特に円形リング状のリング表面のセクションと軸方向に整列されたシリンダー状のリング表面(6b)を有し、これらリング表面は外部側面エッジで互いに面して互いに連結する方式で配置されている。プラグハウジング(7b)の収容部材(7)は半径方向に整列されたリング表面(6a)の部分領域として形成されている。
【0020】
軸方向に整列された、キャリア部材(6)のリング表面(6b)の円筒形の壁はステーターコア(2)の外壁の外径より小さな外径に形成されている。
弾性圧力部材(8)は半径方向に整列された円形リング状のリング表面(6a)の領域、特に内部側面エッジに配置されて、好ましくは弧形態又はスプリング形態を有する。この場合、圧力部材(8)はプラグハウジング(7b)の収容部材(7)と同様にキャリア部材(6)の構成部品として形成されている。半径方向リング表面(6a)、軸方向リング表面(6b)、連結ポートを有するプラグハウジング(7b)のための連結通路(7a)を備えた収容部材(7)及び圧力部材(8)を含むキャリア部材(6)はユニットとして、特に一体型射出成形部材として形成されている。このような一体型の形成は成形工程の間に実現する。
【0021】
圧力部材(8)は実際に軸方向に整列されて配置されたウェブ(8a)及び実際に半径方向に整列されて配置された接触領域(8b)を有する。この場合、圧力部材(8)はウェブ(8a)の正面エッジを通じて半径方向リング表面(6a)と連結されている。ウェブ(8a)の正面エッジに対して遠い側に形成された端部で、圧力部材(8)は好ましくは接触面として形成された接触領域(8b)を有する。電気モーターの組立状態で、接触領域(8b)を有する圧力部材(8)は図示しない電気モーターのハウジングに隣接する。モーターハウジング内部にキャリア部材(6)を有するステーター(1)を組立てる場合、即ち、特に、ステーター(1)をモーターハウジング内に結合するか、接合する時、そしてこの場合に圧力部材(8)に加えられるモーターハウジングの圧力により、特に圧力部材(8)のウェブ(8a)が弾性的に変形される。
【0022】
図3には、組立及び電気モーターのモーターハウジング内部に装着された状態で
図1のステーター(1)の側面図を示す。弾性変形された圧力部材(8)は延長部(h)により軸方向に延び、接触領域(8b)により対応面(9)、特に、電気モーターのモーターハウジングに隣接する。この場合、圧力部材(8)は偏差h0-h1だけ変形され、この場合、h0はステーター(1)の初期状態又は組み立てられていない状態で圧力部材(8)の延長部であり、h1はステーター(1)がモーターハウジング内に組み立てられた状態で力部材(8)の延長部である。
【0023】
従って、次の式が適用される:
h0>h1。
圧力部材(8)はキャリア部材(6)のコンポーネントとして前記キャリア部材(6)の幾何学的構造及び機械的寸法に相応する決まった強度を有する。ステーター(1)をモーターハウジング内に組立てる場合、キャリア部材(6)とモーターハウジングの閉鎖された端部として対応面(9)の間には実際に軸方向に作用する力(F)、特にスプリング力が生成され、従って、キャリア部材(6)は圧力部材(8)の弾性的特性によりステーター(1)方向に、特にステーターコア(2)方向に加圧される。この場合、圧力部材(8)とモーターハウジングの対応面(9)の隣接、そして特に圧力部材(8)のウェブ(8a)の弾性変形により力(F)がキャリア部材(6)に作用する。従って、電気モーターを組立工程後、そしてその結果キャリア部材(6)と共にステーター(1)がモーターハウジング内に圧力部材(8)の変形により圧縮されるか結合される工程後には初期応力が発生され、この場合前記初期応力はキャリア部材(6)を加圧して、電気モーターの作動の間、そしてこれと共に圧縮機の作動の間、キャリア部材(6)の全移動が防止される。キャリア部材(6)は特に、軸方向に固定されている。
【0024】
圧力部材(8)はこの場合、各作動条件と関係なく、圧縮機の作動中にキャリア部材(6)の振動を完全に除去するために用いられる。その結果で得られる力(F)は全ての公差状況が満たされるように設計されている。
図示しない代案的な実施例によれば、キャリア部材は円周にかけて任意の分布された多数の圧力部材を備えて形成されている。この場合、「多数」という表現は2つ以上の圧力部材に理解すべきである。圧力部材の数と配置は電気モーター、特にキャリア部材の幾何学的構造に依存する。
【符号の説明】
【0025】
1:ステーター
2:ステーターコア
3:コイル
4:絶縁部材
5:縦軸
6:キャリア部材
6a:半径方向リング表面
6b:軸方向リング表面
7:収容部材
7a:連結通路
7b:プラグハウジング
8:(弾性)圧力部材
8a:ウェブ
8b:接触領域
9:対応面
h:軸方向に圧力部材の延長部
h0:初期状態で
h1:組立状態で
F:力の有効方向