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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】溶剤系接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20220922BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20220922BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20220922BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20220922BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J175/08
C08G18/66
C08G18/65 005
C08G18/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020511879
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2018040044
(87)【国際公開番号】W WO2019045868
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】62/551,809
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ズパンシック、ジョセフ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シガン、ルドウィク エス.
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-518400(JP,A)
【文献】特開昭58-071948(JP,A)
【文献】特開2000-007748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分と、
(B)ヒドロキシル成分であって、
ポリエステルポリオールと、
ポリエーテルポリオールと、
リン酸エステル化合物と、を含む、ヒドロキシル成分と、を含む、溶剤系接着剤組成物であって、
前記ポリエステルポリオールが、前記ヒドロキシル成分の総重量の30~65重量パーセントを占め、前記ポリエーテルポリオールが、前記ヒドロキシル成分の総重量の5~35重量パーセントを占め、
前記リン酸エステル化合物が、下記構造(I)を有し、
【化1】
式中、R が任意の有機基であり、
前記リン酸エステル化合物が、前記ヒドロキシル成分の総重量の0.5~25重量パーセントを占める、前記溶剤系接着剤組成物
【請求項2】
前記イソシアネート硬化剤が、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含む、請求項1に記載の溶剤系接着剤組成物。
【請求項3】
前記イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが、ポリエステルポリオールおよび芳香族イソシアネートを含む反応物の反応生成物である、請求項2に記載の溶剤系接着剤組成物。
【請求項4】
前記リン酸エステル化合物が、ウレタン結合を含む、請求項1に記載の溶剤系接着剤組成物。
【請求項5】
A)イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分と、
(B)ヒドロキシル成分であって、
ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むポリオールブレンドと、
リン酸エステル化合物と、を含む、ヒドロキシル成分と、を含む、溶剤系接着剤組成物であって、
前記ポリエステルポリオールが、前記ヒドロキシル成分の総重量の30~65重量パーセントを占め、前記ポリエーテルポリオールが、前記ヒドロキシル成分の総重量の5~35重量パーセントを占め、
前記リン酸エステル化合物が、下記構造(I)を有し、
【化2】
式中、R が任意の有機基であり、
前記リン酸エステル化合物が、前記ヒドロキシル成分の総重量の0.5~25重量パーセントを占める、前記溶剤系接着剤組成物
【請求項6】
溶剤系接着剤組成物を調製するための方法であって、
イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分(A)を提供することと、
ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むポリオールブレンドと、リン酸エステル化合物とを含むヒドロキシル成分(B)を提供することと、
100:8~100:15の混合比((A):(B)、重量比)で、前記ヒドロキシル成分(B)を前記イソシアネート成分(A)で硬化させ、それにより、前記溶剤系接着剤組成物を形成することと、を含み、
前記ポリエステルポリオールが、前記ヒドロキシル成分の総重量の30~65重量パーセントを占め、前記ポリエーテルポリオールが、前記ヒドロキシル成分の総重量の5~35重量パーセントを占め、
前記リン酸エステル化合物が、下記構造(I)を有し、
【化3】
式中、R が任意の有機基であり、
前記リン酸エステル化合物が、前記ヒドロキシル成分の総重量の0.5~25重量パーセントを占める、前記方法。
【請求項7】
前記溶剤系接着剤組成物を溶剤中に希釈して、30~45重量パーセントの塗布固形分を有する希釈された接着剤組成物を形成することをさらに含む、請求項に記載の溶剤系接着剤組成物を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月30日に出願された米国仮特許出願第62/551,809号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、溶剤系接着剤組成物に関する。より具体的には、本開示は、例えば、高性能積層用接着剤用途で使用するための溶剤系接着剤組成物に関し、本組成物は、箔などの金属基材への改善された接着性、ならびに改善された耐熱性および耐薬品性を呈する。溶剤系接着剤組成物は、リン酸エステル化合物で修飾されたヒドロキシル成分を有する二成分系と、イソシアネート硬化剤を有するイソシアネート成分とを含む。本開示はさらに、かかる溶剤系接着剤組成物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
接着剤組成物は、多種多様な目的に有用である。例えば、いくつかの接着剤は、基材層を一緒に接着するために使用され、それにより2つ以上の基材層を含む積層構造体を形成する。食品、医薬品、および産業用消耗品の包装用の積層フィルムの間に柔軟性の包装用積層用接着剤が適用される。積層用接着剤は、一般に、(1)溶剤系積層用接着剤、(2)無溶剤積層用接着剤、および(3)水性積層用接着剤、という3つのカテゴリーに分類することができる。溶剤系カテゴリー内では、比較的良好な耐熱性、耐湿性、および耐薬品性を達成するために、溶剤系ポリウレタンが広く使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶剤系接着剤組成物は、高性能積層用途(例えば、レトルト、ホットフィル、ボイルインバッグなど)に使用することができる。かかる用途に必要な高性能を達成するために、エポキシ化ビスフェノールAを含むポリエステル系が一般的に使用される。ビスフェノールAエポキシ樹脂の使用は、昨今、食品包装用のビスフェノールA系材料の認識されている安全性に関する規制および使用者の課題に直面している。
【0005】
したがって、高性能用途、特に高性能用途に使用される積層構造体、より好ましくはアルミニウム箔基材を含むものにおける使用に好適なビスフェノールAを含まない接着剤組成物が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
溶剤系接着剤組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、溶剤系接着剤組成物は、(A)イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分と、(B)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびリン酸エステル化合物を含むヒドロキシル成分とを含む。イソシアネート成分(A)のイソシアネート硬化剤は、ヒドロキシル成分の成分を架橋する。いくつかの実施形態では、リン酸エステル化合物は、構造(I)を有し、
【化1】
式中、Rは任意の有機基である。
【0007】
溶剤系接着剤組成物を調製するための方法も開示される。本方法は、イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分(A)を提供することと、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むポリオールブレンドと、リン酸エステル化合物とを含むヒドロキシル成分(B)を提供することと、100:8~100:15の混合比((A):(B)、重量比)で、ヒドロキシル成分(B)をイソシアネート成分(A)で硬化させ、それにより、溶剤系接着剤組成物を形成することとを含む。
【0008】
本開示の接着剤組成物は、ビスフェノールAを含まず、とりわけ、レトルト用途、ホットフィル用途、およびボイルインバッグ用途などの高性能食品包装用途に使用される積層構造体における使用に好適である。本開示の接着剤組成物は、高性能用途に使用される積層構造体に特に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に開示の溶剤系接着剤組成物は、2つ以上の可撓性または剛性の基材を含む積層構造体における使用に好適である。いくつかの実施形態では、基材は、低密度または中密度プラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ABS、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリフェニレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスルホンまたはそれらの混合物から選択されるタイプのもの)、紙、木材、および再構成木材製品、ポリマー被覆基材、ワックス被覆板紙、厚紙、パーティクルボード、織物、皮革、および金属(例えば、アルミニウム、鉄、および他の非鉄)、金属化プラスチック(例えば、金属化プラスチックフィルム)などを含み得る。いくつかの実施形態では、本開示の溶剤系接着剤組成物を使用して調製された積層構造体は、複数の基材(または「層」)を含むことができ、各基材は本明細書に記載の材料のうちのいずれかなどである。
【0010】
接着剤組成物は、レトルト処理(例えば、120℃以上の温度への30分以上の曝露)、ホットフィル処理(例えば、66℃以上の温度への30分以上の曝露)、およびボイルインバッグ処理(例えば、100℃以上の温度への30分以上の曝露)(すなわち、高性能用途)に供される積層構造体における使用に特に好適である。いくつかの実施形態では、溶剤系接着剤組成物は、食品パウチ、インスタント食品、蓋閉めなどに使用することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、溶剤系接着剤組成物は、(A)イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分(本明細書では「A面」とも呼ばれる)と、(B)ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびリン酸エステル化合物を含むヒドロキシル成分(本明細書では「B面」とも呼ばれる)とを含む。イソシアネート成分(A)のイソシアネート硬化剤は、ヒドロキシル成分(B)の成分を架橋し、それにより、ポリエステル-ポリウレタンポリマーネットワークを生成する。
【0012】
本開示の接着剤組成物のイソシアネート成分(A)およびヒドロキシル成分(B)は、(例えば、積層用の機械上に塗布される場合)基材と接触する前に混合される。混合された接着剤はある基材に塗布されかつ乾燥され、または別の基材層が塗布される前に乾燥させられる。
【0013】
イソシアネート成分(A):イソシアネート硬化剤
いくつかの実施形態では、溶剤系接着剤組成物は、イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分(A)を含む。いくつかの実施形態では、イソシアネート硬化剤は、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーである。いくつかの実施形態では、イソシアネート硬化剤は、ポリエステルポリオールおよびイソシアネート(例えば、モノマーイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート)ベースの、すなわち、それらの反応生成物であるイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーである。いくつかの実施形態では、イソシアネート硬化剤は、ポリエーテルポリオールおよびイソシアネートベースのイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーである。いくつかの実施形態では、イソシアネート硬化剤は、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むブレンド、ならびにイソシアネートベースのイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーである。本明細書で使用される場合、「ポリイソシアネート」は、2つ以上のイソシアネート基を含有する任意の化合物である。本明細書で使用される場合、「ポリオール」は、分子あたり2つ以上のヒドロキシル基(すなわち、-OH)を有する化合物を指す。本明細書で使用される場合、「エステル」は、エステル結合を含む化合物を指す。本明細書で使用される場合、「ポリエステル」は、分子あたり2つ以上のエステル結合を含む化合物を指す。ポリエステルおよびポリオールの両方である化合物は、「ポリエステルポリオール」である。
【0014】
本開示による使用に好適なイソシアネートには、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。「芳香族イソシアネート」は、芳香族ラジカルに結合したイソシアネートラジカルを含有し、かつ1つ以上の芳香環を含有する、イソシアネートである。「脂肪族イソシアネート」は、他の脂肪族基に結合することができる脂肪族ラジカルに結合したイソシアネートラジカル、脂環式ラジカル、または芳香環(ラジカル)を含有するイソシアネートである。「脂環式ポリイソシアネート」は、化学鎖が環構造である脂肪族イソシアネートのサブセットである。
【0015】
好適な芳香族イソシアネートには、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート(「2,6-TDI」)、2,4-トルエンジイソシアネート(「2,4-TDI」)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(「2,4’-MDI」)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(「4,4′-MDI」)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(「TODI」)、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
好適な脂肪族イソシアネートは、直鎖状または分岐状のアルキレン残基中に3~16個の炭素原子または4~12個の炭素原子を有し、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)、1,4-ジイソシアナトブタン、1,3-キシリレンジイソシアネート(「1,3-XDI」)、および1,4-キシリレンジイソシアネート(「1,4-XDI」)である。好適な脂環式イソシアネートは、シクロアルキレン残基中に4~18個の炭素原子または6~15個の炭素原子を有する。脂環式ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」)、1,3/1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-/1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(「H12MDI」)、およびそれらの組み合わせなどの、環におよび脂肪族に結合したNCO基の両方を指す。
【0017】
好適な脂肪族および脂環式イソシアネートとしては、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(「TIN」)などのノナントリイソシアネート、デカンジ-およびトリイソシアネート、ウンデカンジ-およびトリイソシアネートならびにドデカンジ-およびトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」)、ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(「H12MDI」)、2-メチルペンタンジイソシアネート(「MPDI」)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(「TMDI」)、ノルボルナンジイソシアネート(「NBDI」)、キシリレンジイソシアネート(「XDI」)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ならびにそれらの二量体、三量体、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本開示による使用に好適な追加のイソシアネートには、4-メチル-シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、2-ブチル-2-エチルペンタメチレンジイソシアネート、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチルシクロヘキシルイソシアネート、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4-ジイソシアネート-4-メチル-ペンタン、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
いくつかの実施形態では、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、AFP-3003に従って測定される、2.44~2.75重量パーセントのNCO含有量を有する。いくつかの実施形態では、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、ASTM D2196に従って測定される、3,000~4,400mPa.sの粘度を有する。
【0020】
本開示による使用に好適なイソシアネート成分(A)の市販物の例としては、The Dow Chemical CompanyによってADCOTE(商標)577などのADCOTE(商標)の名称で販売されている接着剤が挙げられる。
【0021】
ヒドロキシル成分(B):ポリオール
いくつかの実施形態では、ヒドロキシル成分(B)は、ポリエステルポリオールを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル成分(B)は、ポリエーテルポリオールを含む。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル成分(B)は、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、ポリオールは、100~220または150~200のヒドロキシル価(OHN)を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、および/または同様のものの、エチレングリコール、ジエチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および/または同様のものとの組み合わせの反応生成物ベースである。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、60~250、または100~200、または125~150のヒドロキシル価(OHN)を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、450~2,000、または600~1,200、または750~900の分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリオールは、300~4,000cps,または2,000~3,000cps、または1,500~2,500cpsの粘度を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、ポリエーテルポリオールは、50~700のヒドロキシル価(OHN)を有する。いくつかの実施形態では、ポリエーテルポリオールは、240~2,300の分子量(Mn)を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、ヒドロキシル成分(B)がポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含む場合、ポリエステルポリオールは、ヒドロキシル成分(B)の総重量の30~65重量パーセントを占め、ポリエーテルポリオールは、ヒドロキシル成分(B)の総重量の5~35重量パーセントを占める。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル成分(B)がポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含む場合、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとの総重量は、ヒドロキシル成分(B)の総重量の35~90重量パーセントを占める。
【0025】
本開示によるヒドロキシル成分(B)における使用に好適なポリオールの市販物の例としては、Monument ChemicalによるPOLY-G(商標)30-112などのPOLY-G(商標)、BASF SEによるPLURACOL(商標)GP-430およびPLURACOL(商標)TP440などのPLURACOL(商標)が挙げられる。
【0026】
ヒドロキシル成分(B):リン酸エステル化合物
いくつかの実施形態では、ヒドロキシル成分(B)は、リン酸エステル化合物を含む。理論に束縛されることなく、ヒドロキシル成分(B)のリン酸エステル化合物およびポリオールは、ヒドロキシル基とイソシアネート官能基との間の反応によりイソシアネート成分(A)のイソシアネート硬化剤と反応して、均一なポリエステル-ポリウレタンネットワークを生成すると考えられる。加えて、リン酸エステル化合物のリン酸エステル官能基は、金属フィルム、金属酸化物被覆フィルム、および/またはポリマーフィルムの反応部位と反応/複合体化して、接着性を向上させる。
【0027】
いくつかの実施形態では、リン酸エステル化合物は、ヒドロキシル成分(B)の総重量の0.5~25重量パーセントを占める。いくつかの実施形態では、リン酸エステルは、ヒドロキシル成分(B)の総重量の1~15重量パーセントを占める。
【0028】
いくつかの実施形態では、リン酸エステル化合物は、構造(I)を有し、
【化2】
式中、Rは任意の有機基である。構造(I)に示されているペンダント基に加えて、Rは、1つ以上の追加のペンダント-OH基を有する場合も有しない場合もあり、Rは、構造(I)の1つ以上の追加のペンダント基を有する場合も有しない場合もある。-OH基および構造(I)の基(複数可)のうちのいずれか2つ以上は、Rの同じ原子に結合する場合もしない場合もある。好ましくは、各-OH基および構造(I)の各基は、Rの別個の原子に結合する。
【0029】
を特徴付ける簡便な方法は、構造(II)を有する化合物を説明することであり、
【化3】
式中、Rは構造(I)におけるものと同じである。構造(II)を有する化合物は、本明細書では「前駆体ポリオール」として知られる。
【0030】
いくつかの実施形態では、好適な前駆体ポリオールは、90以上、または200以上、または400以上の数平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、好適な前駆体ポリオールは、4,000以下、または2,000以下、または1,200以下、または900以下、または500以下の数平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、好適な前駆体ポリオールは、200~4,000、または400~2,000、または400~1,200、または400~900の数平均分子量を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、好適な前駆体ポリオールは、アルキル高級ポリオール、単糖、二糖、および構造(III)を有する化合物であり、
【化4】

式中、R、R、R、およびRの各々は、互いに独立して、任意の有機基であり、n、n、およびnの各々は、互いに独立して、0~10の整数である。構造(III)に示されているペンダント基に加えて、Rは、1つ以上の追加のペンダント基を有する場合も有しない場合もある。さらに、ペンダント基のうちの2つ以上は、Rの同じ原子に結合する場合もしない場合もある。いくつかの実施形態では、構造(III)を有する化合物の混合物が存在し、構造(III)の化合物は、n、n、およびnのうちの1つ以上の値が互いに異なる。かかる混合物は、パラメータn、n、またはnの非整数値を述べることにより本明細書で説明され、非整数値は、そのパラメータの数平均を表す。かかる混合物の分子量を評価することが所望される場合には、数平均分子量が使用される。
【0032】
構造(III)を有する前駆体ポリオールのうち、好ましくは、各ペンダント基は、Rの別個の原子に結合する。
【0033】
構造(III)を有する前駆体ポリオールのうち、好ましくは、R、R、およびRのうちの1つ以上は、1~4個の炭素原子、または2~3個の炭素原子、または3個の炭素原子を有する炭化水素基である。構造(III)を有する前駆体ポリオールのうち、好ましくは、R、R、およびRのうちの1つ以上は、直鎖または環式または分岐状またはそれらの組み合わせであってもよいアルキル基であり、より好ましくは、R、R、およびRのうちの1つ以上は、直鎖または分岐状アルキル基であり、より好ましくは、R、R、およびRのうちの1つ以上は、分岐状アルキル基である。好ましくは、R、R、およびRは、互いに同一である。
【0034】
構造(III)を有する前駆体ポリオールのうち、好ましくは、n、n、およびnのうちの1つ以上は、0~8である。構造(III)を有する前駆体ポリオールのうち、好ましくは、n、n、およびnのうちの1つ以上は、1以上である。構造(III)を有する前駆体ポリオールのうち、好ましくは、n、n、およびnのうちの1つ以上は、6以下である。構造(III)を有する前駆体ポリオールのうち、好ましくは、n、n、およびnは、互いに同じである。
【0035】
構造(III)を有する前駆体ポリオールの好ましい群は、R、R、R、およびRの各々がアルキル基である化合物であり、かかる前駆体ポリオールは、本明細書ではアルコキシル化アルキルトリオールとして知られる。トリオールにおいて、n、n、およびnのうちの少なくとも1つが1以上であり、Rが構造(IV)を有する場合、
【化5】
トリオールは、本明細書ではアルコキシル化グリセロールとして知られる。アルコキシル化トリオールにおいて、R、R、およびRの各々が、正確に3個の炭素原子を有する分岐状アルキル基である場合、アルコキシル化トリオールは、本明細書ではプロポキシル化トリオールとして知られる。Rが構造(IV)を有するプロポキシル化トリオールは、本明細書ではプロポキシル化グリセロールとして知られる。
【0036】
アルキル高級ポリオールである前駆体ポリオールのうち、10個以下の炭素原子を有するものが好ましく、6個以下の炭素原子を有するものがより好ましく、3個以下の炭素原子を有するものがより好ましく、グリセロールがより好ましい。
【0037】
より好ましい前駆体ポリオールは、アルキル高級ポリオールおよび構造(III)を有する化合物である。n=n=n=0であり、かつRがアルキル基またはヒドロキシル基を有するアルキル基のいずれかである場合には、構造IVを有する化合物はアルキル高級ポリオールであることに留意されたい。
【0038】
前駆体ポリオールの好ましい群は、アルキルトリオールおよびアルコキシル化アルキルトリオールである。これらのうち、グリセロールおよびアルコキシル化グリセロールがより好ましく、アルコキシル化グリセロールがより好ましい。アルコキシル化グリセロールのうち、プロポキシル化グリセロールが好ましい。
【0039】
好適なリン酸エステル化合物の別のクラスは、ウレタン結合を含むものである。ウレタン結合を含むリン酸エステル化合物は、1つ以上の好適なリン酸官能性ポリオールを、好ましくは1つ以上のジイソシアネートを含む1つ以上のポリイソシアネートと反応させることによって作製される。好ましくは、ポリイソシアネートの量は、反応生成物の一部または全てがリン酸官能性ポリオールであるように十分に低く保たれる。あるいは、ポリオールを最初にポリイソシアネートと反応させて-OH末端プレポリマーを作製し、次にこれをポリリン酸と反応させてもよい。ウレタン結合を有するリン酸エステル化合物は、1,000~6,000の範囲、好ましくは1,200~4,000の範囲、より好ましくは1,400~3,000の範囲の数平均分子量を有することになる。
【0040】
いくつかの実施形態では、リン酸エステル化合物は、前駆体ポリオールおよびリン酸型の酸を含む反応物の反応生成物であり、リン酸エステル化合物は構造(I)を有する。
【0041】
好ましくは、リン酸型の酸および前駆体ポリオールの量は、M:Mの比を次のように決定するために選択される。
hy=前駆体ポリオールの分子あたりのヒドロキシル基の数
=Mhy-2
=(前駆体ポリオールのモル)×(N
=リン酸型の酸に含まれるリン原子のモル数
【0042】
いくつかの実施形態では、M:Mの比は、0.1:1以上、または0.2:1以上、または0.5:1以上、または0.75:1以上である。いくつかの実施形態では、M:Mの比は、1.1:1以下である。
【0043】
いくつかの実施形態では、リン酸型の酸の前駆体ポリオールに対する重量比は、0.005:1以上、または0.01:1以上、または0.02:1以上である。いくつかの実施形態では、リン酸型の酸の前駆体ポリオールに対する重量比は、0.3:1以下、または0.2:1以下、または0.12:1以下である。
【0044】
いくつかの実施形態では、リン酸型の酸は、ポリリン酸を含有する。いくつかの実施形態では、リン酸型の酸中のポリリン酸の量は、リン酸型の酸の重量に基づいて、75重量%以上、または80重量%以上、または90重量%以上である。ポリリン酸は、様々なグレードで利用可能であり、各グレードは、パーセンテージで特徴付けられる。グレードを決定するためには、純粋なモノマーオルトリン酸は、五酸化リンの含有量が72.4%であることをまず認識する。いずれのグレードのポリリン酸も分析することができ、1モルのポリリン酸(式量は「Fppa」と表示)には、「Nppo」と表示された五酸化リンのモル数が含まれるとして、五酸化リンのパーセンテージ(「PCppo」)は、PCppo=(Nppo×142)/Fppaによって求められ、これはパーセンテージで表される。そうすると、そのポリリン酸のグレードは、パーセンテージで表された割合である:グレード=PCppo/72.4。
【0045】
いくつかの実施形態では、100%以上または110%以上のグレードを有するポリリン酸が使用される。いくつかの実施形態では、150%以下または125%以下のグレードを有するポリリン酸が使用される。
【0046】
いくつかの実施形態では、本開示の溶剤系接着剤組成物は、1つ以上のリン酸官能性ポリオールに加えて、1つ以上のリン不含ポリオールを含有する。
【0047】
好適なリン酸エステルおよびそれらの調製に関するさらなる情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT公開第WO/2015/168670号に見出すことができる。
【0048】
溶剤系接着剤組成物
いくつかの実施形態では、ポリオールおよびリン酸エステル化合物が組み合わせられて、ヒドロキシル成分(B)を形成する。ヒドロキシル成分(B)が溶剤中に希釈されて、希釈された樹脂混合物を形成し、これは、55~95%固形であり、さらに希釈されると、希釈されたヒドロキシル成分(B)の総重量に基づいて、25~55重量パーセント、または30~45重量パーセント、または35~40重量パーセントの塗布固形分を有するようになる。次いで、希釈されたヒドロキシル成分(B)混合物は、100:8~100:15の混合比((A):(B)、重量比)で、イソシアネート成分(A)で硬化し得る。
【0049】
上記から推測されるように、本開示は、好ましくは接着剤組成物を形成するために基材への適用前または適用中に、好適なミキサー(例えば、電気的、空気圧的、または他の方法で動力付与される機械的ミキサー)を使用して混合される2つの成分の使用を企図する。混合は、適用プロセスの前に、適用プロセス中に、または適用プロセスの結果としてなど、プロセス中のいずれの好適な時間に行ってもよい。本ステップの全ては、周囲の室温条件下で実行されてもよい。必要に応じて、加熱または冷却を用いてもよい。
【0050】
溶剤系接着剤組成物を調製するための方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本方法は、イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分(A)を提供することと、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むポリオールブレンドと、リン酸エステル化合物とを含むヒドロキシル成分(B)を提供することと、100:8~100:15の混合比((A):(B)、重量比)で、ヒドロキシル成分(B)をイソシアネート成分(A)で硬化させ、それにより、溶剤系接着剤組成物を形成することとを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、溶剤系接着剤組成物を溶剤中に希釈して、30~45重量パーセントまたは35~40重量パーセントの塗布固形分を有する希釈された接着剤組成物を形成することをさらに含む。
【0051】
本開示の接着剤組成物は、基材を一緒に結合するために有用である。基材は、類似の材料であっても異なる材料であってもよい。複数の基材層の湿式および乾式接着積層が可能である。本開示の接着剤組成物は、グラビア印刷、フレキソ印刷、従来のまたはエアレススプレー、ロールコーティング、ブラシコーティング、巻線ロッドコーティング、ナイフコーティング、またはコーティングプロセス(例えば、カーテン、フラッド、ベル、ディスク、およびディップコーティングプロセス)などの従来の適用技術を用いて所望の基材に適用され得る。接着剤組成物を用いたコーティングは、縁に沿って、または断続的な位置でなど、表面全体または表面の一部のみに行われてもよい。一旦基材に適用されると、組成物は、熱流および空気流の適用、または実質的に全ての溶剤を除去するための何らかの他の好適な手段などによって、乾燥される。
【0052】
開示の接着剤組成物は、高密度、低密度、または中密度プラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ABS、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリフェニレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスルホンまたはそれらの混合物から選択されるタイプの)、紙、木材、および再構成木材製品、ポリマー被覆基材、ワックス被覆板紙、厚紙、パーティクルボード、織物、皮革、および金属(例えば、アルミニウム、鉄、およびその他の非鉄)、金属化プラスチック(例えば、金属化プラスチックフィルム)などの多種多様な1つまたは複数の好適な基材上で使用することができる。接着剤組成物は、包装および密封用途のために特に魅力的である。例えば、プラスチックフィルム、金属フィルム、または金属化プラスチックフィルムを、本開示の接着剤組成物を用いて(例えば、その縁に沿って、または断続的な位置でなど、その表面の全体または少なくとも一部に)積層することができる。いくつかの実施形態では、食品をボイルインバッグ調理用に包装してもよく、または得られた積層体を、何らかの他の物品を密封または包装するために使用してもよい。積層構造体にヘビーゲージの箔を用いる場合、得られた積層体を冷間引抜して、食品を充填することができるカップまたは包装を得て、次に同様の積層構造体でカバーおよび密封して、密閉容器を形成することができる。
【実施例
【0053】
これより、例示的な実施例(「IE」)および比較例(「CE」)を考察することによって、本開示をさらに詳細に説明する。しかしながら、本開示の範囲は、当然ながら、これらのIEに限定されない。
【表1-1】
【表1-2】
【0054】
ポリエステルポリオール樹脂
実施例で用いた3つのポリエステルポリオール樹脂を表1Bに要約する。
【表2】
【0055】
ポリエステル樹脂を、列記されたモノマー/中間体を反応器に装填して155℃まで緩徐に加熱し、155℃で1時間保持し、その後、225℃まで加熱しながら蒸留により水を除去し、酸価(「AV」)および粘度を監視することによって調製する。AVが2.0未満または1.0未満である場合、樹脂を60℃に冷却し、その後、包装し、製品の最終特性を決定する。
【0056】
実施例4:リン酸エステル樹脂
1Lの複数口丸底フラスコをオーブンで乾燥させ、乾燥Nを30分間フラッシュした後、150グラムのVORANOL(商標)CP 450ポリエーテルポリオールを充填し、70mL/分のN掃引下に置いた。シリンジに4グラムの115%ポリリン酸(PPA)を充填した。PPAを、強く撹拌しながらポリエーテルポリオールに滴下した。最小限の温度上昇が観察された。反応器の内容物を100℃まで1時間加熱した後、45℃に冷却した。40グラムの酢酸エチルを加えた後、50グラムのISONATE(商標)125Mジイソシアネートをゆっくりと加えた。反応釜を75℃未満に保つために氷バッチを適用することにより、大幅な発熱を制御し、黄色から琥珀色の発色を観察した。次いで、反応器を65℃で1時間維持し、その時点で内容物を冷却して包装した。製品は以下の特性を有した:76.0%固形、112mg KOH/gのOHN、19.0mg KOH/gのAV、1665mPa・sの25℃での粘度、Mn 1700、Mw 4100のSEC分析、多分散性2.4、500ダルトン以下で4.4%、および1000ダルトン以下で16.0%。
【0057】
ヒドロキシル成分の調製
ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、リン酸エステル、および酢酸エチルを、以下の表2Aおよび表2bに提供される組成に従って測定し、均一になるまでジャーローラ上で混合する。様々なヒドロキシル成分実施例の詳細な配合を表2Aおよび表2Bに列記する。
【表3】
【表4】
【0058】
接着剤組成物の調製
ADCOTE(商標)577を、ガラス瓶内で測定する。次に、適切な量の酢酸エチル溶剤(35%で設定された流動固体)を添加し、均一になるまでジャーローラ上に置く。その後、ヒドロキシル成分を溶剤中のADCOTE(商標)577の混合物に添加し、混合物が均一になるまでさらに20分間圧延ミル上で混合する。
【0059】
積層構造体の調製および試験
積層体を、油ベースのハンドラミネータまたはLABO-COMBI(商標)400ラミネータのいずれかを使用して調製する。延伸ポリプロピレン(「OPP」)/ポリエチレン(「PE」)、ポリエステル(「PET」)/PE、金属化OPP/PE、Prelam(PET/アルミホイル箔(「Al」))/PE、Prelam/PET、Prelam/無延伸ポリプロピレン(「CPP」)、およびPET/CPPを含む様々な構造を評価する。
【0060】
手動積層によって調製した積層体の場合、フィルムを積層前に約0.10KWでコロナ処理する。各接着剤試料を、1.8~2.0ポンド/rmに調整されたコーティング重量で一次フィルム上にハンドコーティングする。その後、フィルムおよび接着剤をオーブン内で1分間、80℃に設定された温度で乾燥させる。一次フィルムを、150°Fに設定されたニップ温度で、油ベースのラミネータ上で二次フィルムに積層する。接着強度のテストを容易にするために積層体内に結合ストリップを有する積層体(8インチ×11インチ)を1つの構造につき少なくとも3つ調製する。積層体試料全体に同等の圧力をかけるために積層体を1~2ポンドの重量下に置き、積層体を室温(約25℃)で1週間硬化させた。
【0061】
LABO-COMBI(商標)400ラミネータを使用して調製した積層体の場合、ニップ温度を180°Fに設定し、ライン速度を100フィート/分に設定し、流動固体は35%であり、コーティング重量を約1.8~2.0ポンド/rmに調整する。接着試験を容易にするためにいくつかの接着ストリップが挿入された状態で、1つの配合物につき約100フィートの積層体を調製する。形成された積層体を、室温(約25℃)で1週間硬化させる。
【0062】
結合強度試験
T型剥離接着強度を、200Nのロードセルを備えたInstron引張試験機を用いて、1インチの試料ストリップ上で10インチ/分の速度で測定する。1つの積層体試料につき3つのストリップをテストし、破壊モードとともに高い強度および平均強度を記録する。フィルムの裂けおよびフィルムの伸びの場合、高い値を報告し、他の破壊モードでは、平均T型剥離接着強度を報告する。典型的な破壊モードには、接着剤の破壊を示す「AF」(すなわち、一次基材との接着)、接着剤の転移を示す「AT」(すなわち、二次基材との接着)、接着剤の割れを示す「AS」(すなわち、接着剤の凝集破壊)、フィルムの裂けを示す「FT」(すなわち、破壊結合)、フィルムの伸びを示す「FS」(すなわち、破壊結合)、および金属転移を示す「MT」が含まれる。
【0063】
ボイルインバッグ試験
硬化した積層体(9インチ×11インチ)を折り畳んで二重層を形成し、一方の層のPEフィルムが他方の層のPEフィルムと接触するようにする。次に、端部をペーパーカッターでトリミングして、約5インチ×7インチの折り畳まれた部分を取得する。次に、端部をヒートシールして、内部サイズが4インチ×6インチのパウチを形成する。その後、パウチに開口端部から100mLの1/1/1ソース(すなわち、ケチャップ、酢、植物油の等重量部のブレンド)を充填する。充填後、パウチを密封し、パウチ内部の空気の閉じ込めを最小限に抑えるようにする。次に、充填されたパウチを沸騰水中に置き、沸騰水中に30分間浸したままにする。完了したら、トンネリング、離層、および/または漏れの程度を、マークされた既存の欠陥と比較する。その後、パウチを空にし、パウチから少なくとも3つの1インチストリップを切り取り、その後できるだけ早くT型剥離接着強度を測定する。
【0064】
詳細な接着剤の配合、混合比、および接着強度データを以下の表に要約する。表3a、表3b、および表3cは、手動積層によって調製された積層体の性能データを要約する。
【表5】
【表6】
【表7】
表4aおよび表4bは、LABO-COMBI(商標)400ラミネータによって調製された積層体の性能データを要約する。
【表8】
【表9】
【0065】
上述されており、かつ実施例に記載されている実施形態に加えて、特定の組み合わせの多くの例は、本開示の範囲内であり、それらのうちのいくつかを以下に記載する。
実施形態1.溶剤系接着剤組成物であって、
(A)イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分と、
(B)ヒドロキシル成分であって、
ポリエステルポリオールと、
ポリエーテルポリオールと、
リン酸エステル化合物と、を含む、ヒドロキシル成分と、を含む、溶剤系接着剤組成物。
実施形態2.イソシアネート硬化剤が、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含む、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態3.イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが、ポリエステルポリオールおよび芳香族イソシアネートを含む反応物の反応生成物である、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態4.イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが、AFP-3003に従って測定される、2.44~2.75重量パーセントのNCO含有量を有する、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態5.イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーが、ASTM D2196に従って測定される、3,000~4,400mPa.sの粘度を有する、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態6.ポリエステルポリオールが、ヒドロキシル成分の総重量の30~65重量パーセントを占める、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態7.ポリエーテルポリオールが、ヒドロキシル成分の総重量の5~35重量パーセントを占める、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態8.リン酸エステル化合物が構造(I)を有し、
【化6】
式中、Rが任意の有機基である、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態9.Rが構造(II)を有し、
【化7】
式中、Rが構造(I)におけるものと同じである、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態10.リン酸エステル化合物が、ウレタン結合を含む、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態11.リン酸エステル化合物が、ヒドロキシル成分の総重量の0.5~25重量パーセントを占める、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態12.溶剤をさらに含む、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態13.ヒドロキシル成分中の溶剤が、ヒドロキシル成分の総重量の20~40重量パーセントを占める、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態14.溶剤が、酢酸エチル、メチルエチルケトン、酢酸メチル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態15.溶剤系接着剤組成物であって、
(A)イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分と、
(B)ヒドロキシル成分であって、
ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むポリオールブレンドと、
リン酸エステル化合物と、を含む、ヒドロキシル成分と、を含む、溶剤系接着剤組成物。
実施形態16.ポリオールブレンドが、ヒドロキシル成分の総重量の35~90重量パーセントを占める、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物。
実施形態17.溶剤系接着剤組成物を調製するための方法であって、
イソシアネート硬化剤を含むイソシアネート成分(A)を提供することと、
ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールを含むポリオールブレンドと、リン酸エステル化合物とを含むヒドロキシル成分(B)を提供することと、
100:8~100:15の混合比((A):(B)、重量比)で、ヒドロキシル成分(B)をイソシアネート成分(A)で硬化させ、それにより、溶剤系接着剤組成物を形成することと、を含む、方法。
実施形態18.溶剤系接着剤組成物を溶剤中に希釈して、30~45重量パーセントの塗布固形分を有する希釈された接着剤組成物を形成することをさらに含む、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物を調製するための方法。
実施形態19.溶剤系接着剤組成物を溶剤中に希釈して、35~40重量パーセントの塗布固形分を有する希釈された接着剤組成物を形成することをさらに含む、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物を調製するための方法。
実施形態20.希釈された樹脂混合物が、希釈された樹脂混合物の総重量に基づいて35~40重量パーセントの塗布固形分を有する、いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物を調製するための方法。
実施形態21.いずれかの先行または後続実施形態に記載の溶剤系接着剤組成物を含む積層構造体。
実施形態22.金属基材をさらに含む、いずれかの先行または後続実施形態に記載の積層構造体。
実施形態23.ポリオレフィン基材をさらに含む、いずれかの先行または後続実施形態に記載の積層構造体。