(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】ウェハ用部材、ウェハ用システム及びウェハ用部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220922BHJP
H05B 3/28 20060101ALI20220922BHJP
H05B 3/74 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H05B3/28
H05B3/74
(21)【出願番号】P 2020549275
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2019037532
(87)【国際公開番号】W WO2020067129
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2018183969
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】川邊 保典
(72)【発明者】
【氏名】大川 善裕
【審査官】馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-265931(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154435(WO,A1)
【文献】特開2006-186351(JP,A)
【文献】特開2011-243881(JP,A)
【文献】特開2017-092337(JP,A)
【文献】特開2016-213237(JP,A)
【文献】特開2016-183102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H05B 3/28
H05B 3/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハが重ねられる上面及びその反対側の下面を有している、絶縁性の板状部と、
前記板状部に埋設されている1以上の内部導体と、
前記板状部の下面から下方へ突出している、絶縁性の柱状部と、
前記柱状部内を上下に延びている延在部をそれぞれ有しているとともに前記内部導体に電気的に接続されている複数の中継導体と、
を有して
おり、
前記複数の中継導体の少なくとも1つは、前記延在部から前記板状部の内部へ延びる接続部を更に有しており、
前記内部導体と前記接続部とが、前記接続部の側面又は端面で接合されており、
平面視において、前記接続部は、
前記柱状部の中心から離れており、
円形から、前記中心に対して反対側の一部が除去された形状を有している
ウェハ用部材。
【請求項2】
平面視において、前記接続部は、弧を境界として前記円形から前記中心とは反対側の一部が除去された形状を有しており、前記弧は、前記円形の円周よりも曲率が小さく、前記
柱状部の中心側を曲率中心側としている
請求項
1に記載のウェハ用部材。
【請求項3】
2つ以上の前記中継導体が前記接続部をそれぞれ有しており、
平面視において、前記2つ以上の中継導体の前記接続部は、前記柱状部の前記中心を中心とする同一の円周上に位置している
請求項
1又は2に記載のウェハ用部材。
【請求項4】
平面視において、前記2つ以上の中継導体の前記接続部は、前記円周の中心に対して点対称に配置されている
請求項
3に記載のウェハ用部材。
【請求項5】
前記板状部は、前記円周上において互いに隣り合う前記接続部の間に位置している空洞を有している
請求項
4に記載のウェハ用部材。
【請求項6】
複数の前記中継導体は、
第1中継導体と、
平面視において前記第1中継導体よりも前記柱状部の中心から離れており、かつ上端が前記第1中継導体の上端よりも下方に位置している第2中継導体と、を含んでいる
請求項
1~5のいずれか1項に記載のウェハ用部材。
【請求項7】
全ての前記複数の中継導体の上端の
、上下方向における位置が互いに同一である
請求項1
~5のいずれか1項に記載のウェハ用部材。
【請求項8】
前記柱状部の下部に固定されている絶縁性の下部基体と、
前記下部基体に埋設されており、前記中継導体と電気的に接続されている下部導体と、
を更に有している
請求項1~
7のいずれか1項に記載のウェハ用部材。
【請求項9】
前記中継導体は、前記柱状部の表面のうち前記下部基体によって外部から隠されている領域にて前記柱状部から露出して、これにより前記下部導体と電気的に接続されている
請求項
8に記載のウェハ用部材。
【請求項10】
前記中継導体は、前記柱状部の下面から突出している突出部を有しており、
前記下部導体は、前記下部基体の上面から露出しており、前記突出部が挿入される凹部を有している
請求項
9に記載のウェハ用部材。
【請求項11】
前記板状部は、第1流路を有しており、
前記柱状部は、前記第1流路に通じている第2流路を有している
請求項1~
10のいずれか1項に記載のウェハ用部材。
【請求項12】
前記板状部と前記柱状部との間、及び前記板状部の内部の少なくとも一方に、前記板状部及び前記柱状部のいずれの材料とも異なる材料からなり、前記複数の中継導体の少なくとも一つの、上下方向の所定位置を平面視で囲んでいる封止剤層を更に有している
請求項1~
11のいずれか1項に記載のウェハ用部材。
【請求項13】
前記内部導体と前記中継導体とは、前記板状部の材料と同じ成分と、前記内部導体の材料と同じ成分とを含んでいる材料からなる中間層を介して接続されている
請求項1~
12のいずれか1項に記載のウェハ用部材。
【請求項14】
前記板状部の少なくとも一部を構成している板状体と、
前記柱状部を構成している柱状体と、
を有しており、
前記板状体と前記柱状体とは、互いに主成分が同じセラミックからなり、かつ前記柱状部の平均結晶粒径は、前記板状体の平均結晶粒径よりも大きい
請求項1~
13のいずれか1項に記載のウェハ用部材。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか1項に記載のウェハ用部材と、
前記中継導体に電気的に接続されている電力供給部と、
前記電力供給部を制御する制御部と、
を有しているウェハ用システム。
【請求項16】
請求項1~
14のいずれか1項に記載のウェハ用部材の製造方法であって、
セラミックス原料を用いて、前記柱状部を含む第1成形体を作製するステップと、
前記第1成形体に前記中継導体を差し込むステップと、
前記中継導体が差し込まれた前記第1成形体を焼成し、焼結体を得るステップと、
セラミックス原料を用いて、前記板状部の下面に凹部を形成した形状であり、前記内部導体となる導電ペーストが埋設された第2成形体を作製するステップと、
前記第2成形体における前記凹部に前記焼結体の一部を挿入した後に焼成して接合体を得るステップと、
を有しているウェハ用部材の製造方法。
【請求項17】
請求項1~
14のいずれか1項に記載のウェハ用部材の製造方法であって、
セラミックス原料を用いて、前記柱状部を含む第1成形体を作製するステップと、
前記第1成形体に前記中継導体を差し込むステップと、
前記中継導体が差し込まれた前記第1成形体を焼成して第1焼結体を得るステップと、
セラミックス原料を用いて、前記板状部の下面に凹部を形成した形状であり、前記内部導体となる導電ペーストが埋設された第2成形体を作製するステップと、
前記第2成形体を焼成して第2焼結体を得るステップと、
前記第2焼結体における前記凹部に前記第1焼結体の一部を挿入して両者を接合して接合体を得るステップと、
を有しているウェハ用部材の製造方法。
【請求項18】
前記差し込むステップでは、前記中継導体の一端が前記第1成形体の上面から突出するように前記中継導体を前記第1成形体に差し込み、
前記第2成形体を作製するステップでは、前記凹部内に穴を形成し、
前記接合体を得るステップでは、前記中継導体の前記一端が前記穴に挿入される
請求項
16又は
17に記載のウェハ用部材の製造方法。
【請求項19】
ウェハが重ねられる上面及びその反対側の下面を有している、絶縁性の板状部と、
前記板状部に埋設されている1以上の内部導体と、
前記板状部の下面から下方へ突出している、絶縁性の柱状部と、
前記柱状部内を上下に延びている延在部をそれぞれ有しているとともに前記内部導体に電気的に接続されている複数の中継導体と、
前記板状部の少なくとも一部を構成している板状体と、
前記柱状部を構成している柱状体と、
を有しており、
前記板状体と前記柱状体とは、互いに主成分が同じセラミックからなり、かつ前記柱状部の平均結晶粒径は、前記板状体の平均結晶粒径よりも大きい
ウェハ用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェハ用部材、ウェハ用システム及びウェハ用部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上面にウェハが重ねられるウェハ用部材が知られている(例えば特許文献1又は2)。このようなウェハ用部材は、セラミックからなる板状の基体と、その内部に位置している内部導体とを有している。そして、ウェハ用部材は、内部導体に電圧が印加されることによって、例えば、ウェハを加熱する機能、ウェハを吸着する機能若しくはウェハの周囲にプラズマを発生させる機能又はこれらの2以上の組み合わせを発揮する。このようなウェハ用部材は、例えば、半導体製造装置に用いられる。
【0003】
特許文献1及び2では、上述した板状の基体と、当該基体から下方へ延びる筒状部材とを有するセラミックヒータを開示している。基体の下面のうち筒状部材に囲まれた領域には、基体内の内部導体に接続されている端子が露出している。当該端子には、筒状部材に挿通されている配線が接続されている。筒状部材は、基体の支持に寄与しているとともに、端子及び配線の保護に寄与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-160874号公報
【文献】特開2005-166354号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様に係るウェハ用部材は、絶縁性の板状部と、1以上の内部導体と、絶縁性の柱状部と、複数の中継導体と、を有している。前記板状部は、ウェハが重ねられる上面及びその反対側の下面を有している。前記1以上の内部導体は、前記板状部に埋設されている。前記柱状部は、前記板状部の下面から下方へ突出している。前記複数の中継導体は、前記柱状部内を上下に延びている延在部をそれぞれ有しているとともに前記内部導体に電気的に接続されている。
【0006】
本開示の一態様に係るウェハ用システムは、上記のウェハ用部材と、前記端子部に電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部を制御する制御部と、を有している。
【0007】
本開示の一態様に係る前記ウェハ用部材の製造方法は、セラミックス原料を用いて、前記柱状部を含む第1成形体を作製するステップと、前記第1成形体に前記中継導体を差し込むステップと、前記中継導体が差し込まれた前記第1成形体を焼成し、焼結体を得るステップと、セラミックス原料を用いて、前記板状部の下面に凹部を形成した形状であり、前記内部導体となる導電ペーストが埋設された第2成形体を作製するステップと、前記第2成形体における前記凹部に前記焼結体の一部を挿入した後に焼成して接合体を得るステップと、を有している。
【0008】
本開示の一態様に係る前記ウェハ用部材の製造方法は、セラミックス原料を用いて、前記柱状部を含む第1成形体を作製するステップと、前記第1成形体に前記中継導体を差し込むステップと、前記中継導体が差し込まれた前記第1成形体を焼成して第1焼結体を得るステップと、セラミックス原料を用いて、前記板状部の下面に凹部を形成した形状であり、前記内部導体となる導電ペーストが埋設された第2成形体を作製するステップと、前記第2成形体を焼成して第2焼結体を得るステップと、前記第2焼結体における前記凹部に前記第1焼結体の一部を挿入して両者を接合して接合体を得るステップと、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は実施形態に係るヒータの構成を示す模式的な斜視図、
図1(b)は
図1(a)のIa-Ia線における断面図。
【
図2】
図1(a)のヒータにおけるヒータピラーの分解斜視図。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は
図2のヒータピラーにおける上部ピラーの上面図及び底面図。
【
図4】
図4(a)は上部ピラーの側面図、
図4(b)は
図4(a)の一部拡大図、
図4(c)は
図4(b)の変形例を示す図、
図4(d)は、上部ピラーの上部側を拡大して示す斜視図。
【
図5】
図5(a)、
図5(b)及び
図5(c)は
図1(a)のヒータにおけるヒータプレートとヒータピラーとの接合部の種々の変形例を示す図。
【
図6】
図1(a)のヒータにおける上部ピラーの中継導体と下部ピラーの下部導体との接続方法の一例を示す斜視図。
【
図7】
図1(a)のヒータの製造方法の第1例の手順の概要を示すフローチャート。
【
図8】
図1(a)のヒータの製造方法の第2例の手順の概要を示すフローチャート。
【
図9】第2実施形態に係るヒータのヒータピラーの構成を示す分解斜視図。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は
図9のヒータにおける板状体と柱状体との接合の例及び他の例を示す断面図。
【
図12】上部ピラー及び下部ピラーの連結構造の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のウェハ用部材について、セラミックヒータを例に取って説明する。以下で参照する各図は、説明の便宜上の模式的なものである。従って、細部は省略されていることがあり、また、寸法比率は必ずしも現実のものとは一致していない。また、ヒータは、各図に示されていない周知の構成要素をさらに備えていても構わない。
【0011】
第2実施形態以降においては、基本的に、先に説明された実施形態との相違部分についてのみ説明する。特に言及がない事項については、先に説明された実施形態と同様とされてよい。また、説明の便宜上、複数の実施形態間で互いに対応する構成については、相違点があっても同じ符号を付すことがある。
【0012】
[第1実施形態]
(ヒータシステム)
図1(a)は、第1実施形態に係るヒータ1の構成を示す模式的な分解斜視図である。
図1(b)は、
図1(a)のヒータ1を含むヒータシステム101の構成を示す模式図である。
図1(b)において、ヒータ1については、
図1(a)のIb-Ib線断面図が示されている。
【0013】
図1(a)及び
図1(b)の紙面上方は、例えば、鉛直上方である。ただし、ヒータ1は、必ずしも
図1(a)及び
図1(b)の紙面上方を鉛直上方として利用される必要はない。以下では、便宜上、
図1(a)及び
図1(b)の紙面上方を鉛直上方として、上面及び下面等の用語を用いることがある。特に断りがない限り、単に平面視という場合、
図1(a)及び
図1(b)の紙面上方から見ることを指すものとする。
【0014】
ヒータシステム101は、例えば、ヒータ1と、ヒータ1に電力を供給する電力供給部3と、ヒータ1に流体を供給する流体供給部5と、電力供給部3及び流体供給部5を制御する制御部7と、を有している。流体は、例えば、ヒータ1を冷却するための冷媒、及び/又はプロセスガスと置換されるパージガスである。流体は、気体であってもよいし、液体であってもよい。
【0015】
(ヒータ)
ヒータ1は、例えば、概略板状(図示の例では円盤状)のヒータプレート9と、ヒータプレート9から下方へ突出しているヒータピラー11とを有している。ヒータピラー11は、例えば、ヒータプレート9の下面に固定されている上部ピラー13と、上部ピラー13の下端に固定されている下部ピラー15とによって構成されている。
【0016】
ヒータプレート9は、その上面17aに加熱対象物の一例としてのウェハWf(
図1(b))が載置され(重ねられ)、ウェハの加熱に直接に寄与する。ヒータピラー11は、例えば、ヒータプレート9の支持、及びヒータプレート9と電力供給部3との仲介に寄与する。ヒータピラー11は、上部ピラー13及び下部ピラー15から構成されていることにより、例えば、分割された状態で輸送可能である。
【0017】
ヒータプレート9は、絶縁性の板状体17と、板状体17の内部に位置している内部導体(後述)とを有している。上部ピラー13は、絶縁性の柱状体19と、柱状体19の内部に位置している中継導体(後述)とを有している。下部ピラー15は、絶縁性の下部基体21と、下部基体21の内部に位置している下部導体(後述)とを有している。
【0018】
柱状体19の上端側部分は、板状体17の下面17bに形成された凹部17rに挿入されている。柱状体19のうち凹部17rに挿入されている部分と、板状体17とを合わせて板状部23と呼称する。また、柱状体19のうち板状体17の下面17bよりも下方に位置している部分を柱状部25と呼称する。
【0019】
板状体17及び柱状体19は、例えば、別個にその形状が形成されて互いに接合されている。ただし、後述するように、板状体17及び柱状体19の境界は、これらの部材の材料及びヒータ1の製造方法によっては、ヒータ1の完成後、曖昧になるか、無くなる場合がある。このような場合を考慮したときに、ヒータ1の外観に基づいてヒータ1を区分した板状部23及び柱状部25の概念が役に立つ。
【0020】
(ヒータプレート)
ヒータプレート9の上面17a及び下面17bは、例えば、概ね平面である。ヒータプレート9の平面形状及び各種の寸法は、加熱対象物の形状及び寸法等を考慮して適宜に設定されてよい。例えば、平面形状は、円形(図示の例)又は多角形(例えば矩形)である。寸法の一例を示すと、直径は20cm以上35cm以下、厚さは4mm以上30mm以下である。
【0021】
ヒータプレート9は、例えば、板状体17の内部に埋設された内部導体として、抵抗発熱体27(
図2にその一部を模式的に示す。)を有している。抵抗発熱体27に電流が流れることによって、ジュールの法則に従って熱が発生し、ひいては、板状体17の上面17aに載置されているウェハWfが加熱される。
【0022】
(板状体)
板状体17の外形は、ヒータプレート9の外形を構成している。従って、上述のヒータプレート9の形状及び寸法に係る説明は、そのまま板状体17の外形及び寸法の説明と捉えられてよい。板状体17の材料は、例えば、セラミックである。セラミックは、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナ)、炭化珪素(SiC)、及び窒化珪素(Si3N4)等を主成分とする焼結体である。なお、主成分は、例えば、その材料の50質量%以上又は80質量%以上を占める材料である(以下、同様。)。
【0023】
(抵抗発熱体)
抵抗発熱体27(
図2参照)は、板状体17の上面17a及び下面17bに沿って(例えば平行に)延びている。また、抵抗発熱体27は、平面視において、例えば、板状体17の概ね全面に亘って延びている。板状体17の内部において、1層の抵抗発熱体27が設けられていてもよいし、2層以上の抵抗発熱体27が設けられていてもよい。換言すれば、抵抗発熱体27は、上下方向の1つの位置のみに設けられていてもよいし、上下方向の2以上の位置に設けられていてもよい。本実施形態では、2層の抵抗発熱体27が設けられている態様を例に取る。
【0024】
平面視における抵抗発熱体27の具体的なパターン(経路)は適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体27が設けられている1つの層において、抵抗発熱体27は、その一端から他端まで自己に対して交差することなく延びている。また、抵抗発熱体27は、平面視において、渦巻状に延びていてもよいし、円周方向に往復するように(ミアンダ状に)延びていてもよいし、直線状に往復するように延びていてもよい。また、そのようなパターンは、ヒータプレート9の概ね全面に亘っていてもよいし、平面視においてヒータプレート9を複数に分割した領域毎に設けられていてもよい。
【0025】
抵抗発熱体27を局部的に見たときの形状も適宜なものとされてよい。例えば、抵抗発熱体27は、上面17a及び下面17bに平行な層状導体であってもよいし、上記の経路を軸として巻かれたコイル状(スプリング状)であってもよいし、メッシュ状に形成されているものであってもよい。各種の形状における寸法も適宜に設定されてよい。
【0026】
抵抗発熱体27の材料は、電流が流れることによって熱を生じる導体(例えば金属)である。導体は、適宜に選択されてよく、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)若しくはインジウム(In)又はこれらを主成分とする合金である。また、抵抗発熱体27の材料は、前記のような金属を含む導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。すなわち、抵抗発熱体27の材料は、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末等の添加剤(別の観点では無機絶縁物)を含むものであってもよい。
【0027】
(ヒータピラー)
図2は、ヒータピラー11の分解斜視図である。なお、ヒータピラー11は、上部ピラー13と下部ピラー15とを一旦固定した後も、必要に応じて図示のように分解可能であってもよいし、一旦固定した後は、図示のような分解は(破壊無しでは)不可能であってもよい。
【0028】
上部ピラー13は、抵抗発熱体27とヒータ1の外部とを電気的に中継するための中継導体29(29A及び29B)を有している。中継導体29は、柱状体19内を上下に延びている。中継導体29において、上方側部分は抵抗発熱体27に接続されており、下端は柱状体19の下方側部分から露出している。下部ピラー15は、下部基体21内を上下に延びている複数の下部導体31を有している。下部導体31は、上端が中継導体29の下端に接続されており、下端が下部基体21の下方側部分から露出している。これにより、ヒータ1においては、ヒータピラー11の下方側部分からヒータピラー11を介して抵抗発熱体27へ電力を供給可能となっている。
【0029】
柱状体19は、柱状体19の上方側部分に開口するとともに下方側部分に開口する上部流路19cを有している。上部流路19cの上方側の開口は、板状体17に設けられたプレート流路17cにつながる。また、下部基体21は、下部基体21の上方側部分に開口するとともに下方側部分に開口している下部流路21cを有している。下部流路21cの上方側の開口は、上部流路19cの下方側の開口につながる。これにより、ヒータ1においては、ヒータピラー11の下方側部分からヒータピラー11を介してプレート流路17cに流体を供給可能になっている。
【0030】
(柱状体)
柱状体19は、例えば、基本的に(上部流路19c等を除いて)中実の部材である。中実は、ガスが存在する、又は真空とされている空間を有さないという意味である。例えば、柱状体19(又は柱状部25)は、上側(板状体17側)の1/3以上、1/2以上又は2/3以上の範囲において、流路の容積及び導体の体積を除いて、100%又は80%以上の体積が中実である。柱状体19の形状及び寸法は適宜に設定されてよい。柱状体19(又は柱状部25)は、上下方向の長さが径(平面視で非円形の場合は例えば最大径)に対して、大きくてもよいし、同等でもよいし、小さくてもよい。換言すれば、柱状体19(柱状部25)は、上下に細長い形状でなくてもよい。
【0031】
柱状体19は、例えば、柱状部25となる柱本体19dと、柱本体19dの上面から突出している突部19eとを有している。突部19eは、板状体17の凹部17rに挿入されて、板状体17とともに板状部23を構成する部分である。突部19eは、柱本体19dの上面から直接に突出している大径部19mと、大径部19mの上面から突出している小径部19nとを有している。なお、本実施形態の説明において、「突部19eの上面」という場合、小径部19nの上面及び/又は大径部19mの上面を指すものとする。同様に、「突部19eの側面」という場合、小径部19nの側面及び/又は大径部19mの側面を指すものとする。
【0032】
柱本体19d、大径部19m及び小径部19n(突部19e)それぞれの形状は適宜に設定されてよい。例えば、これらの横断面(水平な断面)の形状は、円形(図示の例)又は多角形等の適宜な形状とされてよい。また、例えば、柱本体19d、大径部19m及び小径部19nは、平面視において、中心が一致していてもよいし(図示の例)、一致していなくてもよい。また、柱本体19d、大径部19m及び小径部19nは、横断面の形状及び面積が上下方向において一定(図示の例)であってもよいし、変化してもよい。また、例えば、鉛直な軸回りにおいて板状体17と柱状体19とを位置決めするためのキー溝及びキーの一方が突部19eに形成され、他方が凹部17rに形成されてもよい。
【0033】
なお、本開示において、平面視において中心という場合、特に断りがない限り、平面視において部材の外縁がなす図形の幾何中心(図心)を指す。確認的に記載すると、幾何中心は、そのまわりでの一次モーメントが0になる点である。従って、例えば、円又は回転対称の形状以外においても、中心は定義され得る。また、中心は、部材の外縁において特異的な部分(例えば上記のキー溝又はキー。また、例えば横断面の面積の10%以下又は5%以下の部分)を無視して合理的に特定されてよい。
【0034】
柱状体19の各種の寸法も適宜に設定されてよい。例えば、柱本体19dの径(非円形の場合は最大径)は、例えば、板状体17の径(非円形の場合は最大径)に対して、1/20以上、1/10以上又は1/5以上とされてよく、また、2/3以下、1/2以下、1/3以下又は1/5以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、柱本体19dの径(非円形の場合は最大径)は、20mm以上、30mm以上又は40mm以上とされてよく、また、70mm以下、60mm以下又は50mm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、柱本体19dの上下方向の長さは、板状体17の厚さに対して、1/10以上、1/2以上、2倍以上、5倍以上又は10倍以上とされてよく、また、例えば、20倍以下、10倍以下、5倍以下、2倍以下又は1/2以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、柱本体19dの上下方向の長さは、10mm以上、20mm以上又は30mm以上とされてよく、また、300mm以下、200mm以下又は100mm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。
【0035】
また、例えば、突部19eの径(小径部19nの径又は大径部19mの径。非円形の場合は最大径)は、柱本体19dの径(非円形の場合は最大径)に対して、1/10以上、1/5以上、1/3以上又は1/2以上とされてよく、また、2/3以下、1/2以下、1/3以下又は1/5以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、突部19eの高さは、例えば、板状体17の厚さに対して、1/10以上、1/5以上、1/3以上又は1/2以上とされてよく、また、4/5以下、2/3以下、1/3以下又は1/5以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、突部19eの高さ(凹部17rの深さ)は、3mm以上又は8mm以上とされてよく、また、15mm以下又は10mm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。
【0036】
柱状体19の材料は、例えば、セラミックである。セラミックの具体的な材料としては、例えば、板状体17の説明で挙げたもの(AlN等)が利用されてよい。また、柱状体19の材料は、板状体17の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。柱状体19の材料が板状体17の材料と異なっている場合において、両者の主成分は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
(中継導体)
複数の中継導体29(29A及び29B)は、例えば、柱状体19内を上下方向に平行に直線状に延びる金属によって構成されている。ただし、例えば、中継導体29は、途中で屈曲していたり、途中に水平方向に延びる部分を有していたり、上下方向に対して傾斜して延びていたりしてもよい。中継導体29の柱状体19(又は柱状部25)内に位置する部分の全体を見たときに、抵抗発熱体27に接続される側に対して、下部ピラー15(別の観点では電力供給部3)に接続される側が下方(板状部23から離れる側)に位置している場合、中継導体29は、柱状体19(又は柱状部25)内を上下方向に延びていると捉えてよい。
【0038】
複数の中継導体29(29A及び29B)は、柱本体19dの上面から上方側(柱本体19dの上面を含む)にて柱状体19から露出している。これにより、中継導体29は、抵抗発熱体27に接続可能となっている。より具体的には、図示の例では、中継導体29は、突部19eの側面及び上面において露出しており、この露出している部分に抵抗発熱体27が接続される。別の観点では、中継導体29は、柱本体19d(柱状部25)内で上下に延びている延在部29aと、延在部29aから突部19e(板状部23の一部)内に延びている接続部29bとを有しており、接続部29bが抵抗発熱体27に接続される。
【0039】
さらに詳細には、複数の中継導体29は、例えば、柱本体19d、大径部19m及び小径部19nを貫通している中継導体29Aと、柱本体19d及び大径部19mを貫通している(小径部19nを貫通していない)中継導体29Bとを有している。平面視において小径部19nは大径部19m内に収まっているから、複数の中継導体29Aは、複数の中継導体29Bの内側(別の観点では平面視における柱状部25の中心に近づく側)に位置している。中継導体29Aは、小径部19nの上面及び側面において露出している。中継導体29Bは、大径部19mの上面及び側面において露出している。
【0040】
別の観点では、中継導体29Bは、中継導体29Aに比較して、平面視において柱状部25の中心から離れているとともに、その上端が中継導体29Aよりも上方(内部導体に近づく側)に位置している。また、中継導体29A及び29Bは、それぞれ、延在部29aから板状部23内(突部19e内)に延びている接続部29bを有している。中継導体29Bの接続部29bは、中継導体29Aの接続部29bに比較して、平面視において柱状部25の中心から離れているとともに、板状部23の下面17bから上方(内部導体へ近づく側)への長さが短い。
【0041】
既述のように、本実施形態では、2層の抵抗発熱体27が設けられている。中継導体29Aの接続部29bは、上方側の層の抵抗発熱体27に接続されている。中継導体29Bの接続部29bは、下方側の層の抵抗発熱体27に接続されている。換言すれば、中継導体29A及び29Bは、それぞれ1層の抵抗発熱体27に接続されている。なお、接続部29bは、上下方向のある程度の長さに亘って露出している。従って、特に図示しないが、1つの接続部29bの上下方向の互いに異なる位置に2層以上の抵抗発熱体27を接続することも可能である。
【0042】
また、複数の中継導体29は、柱本体19d(柱状部25)の下方側部分から露出している。下方側部分は、例えば、柱本体19dのうちの下方側の半分である。また、別の観点では、複数の中継導体29は、柱本体19dの表面のうち、下部ピラー15(下部基体21)によって外部から隠される領域において露出している。図示の例では、中継導体29は、柱本体19dの下面から突出している。すなわち、中継導体29は、延在部29aから下方へ延びて、柱状部25の下面から突出している突出部29cを有している。
【0043】
なお、特に図示しないが、中継導体29は、平面視において図示の例よりも突部19eの中心側に位置して、突部19eの上面からのみ露出してもよい。また、中継導体29は、図示の例よりも上端の位置が低くされ、突部19e(19n又は19m)の側面からのみ露出されてもよい。既述のように、中継導体29は、屈曲等していてもよい。従って、例えば、中継導体29を上端側にて屈曲させて、突部19eの側面からのみ露出させたり、中継導体29を下端側にて屈曲させて、柱本体19dの下方側部分の側面から露出させたりすることも可能である。また、中継導体29の下端は、柱本体19dの表面から突出せずに、柱本体19dの表面よりも奥まった位置にて露出してもよい。
【0044】
図3(a)は上部ピラー13の上面図である。
図3(b)は上部ピラー13の底面図である。
【0045】
複数の中継導体29Aは、例えば、平面視における柱本体19d(柱状部25)の中心C1を中心側とする同一の円周上に配列されている。図示の例では、中継導体29Aが配列された円周の中心は、柱本体19dの中心C1に一致している。また、複数の中継導体29Aは、例えば、上記円周の中心(中心C1)に対して点対称(180°回転対称)に配置されている。また、例えば、中継導体29Aは、均等なピッチで円周上に配列されている。別の観点では、nを2以上の整数としたときにn個の中継導体29Aは、n回対称に配置されている。
【0046】
なお、複数の中継導体29Aが同一の円周上に位置しているか否かは、柱本体19dの中心C1が上記円周の中心であることを前提に2以上の中継導体29Aについて判断してもよいし、中心C1を特定せずに4以上の中継導体29Aについて判断してもよい。また、上記の説明では、中継導体29Aについて述べたが、中継導体29Bについても同様である。すなわち、上記の説明において、中継導体29Aは中継導体29Bに置換されてよい。また、中継導体29Aが配列されている円周と、中継導体29Bが配列されている円周とは、例えば、同心円である。
【0047】
図示の例では、中継導体29Bの数は、中継導体29Aの数よりも多い。また、図示の例では、中継導体29Bの径(非円形の場合は例えば最大径)は、中継導体29Aの径(非円形の場合は例えば最大径)に対して大きい(
図2も参照)。中継導体29Bは、中継導体29Aよりも中心C1から離れた位置で中心C1を囲むように配列されているから、中継導体29Bの位置における弧は、中継導体29Aの位置における弧よりも同一の中心角に対して長い。従って、上記のように中継導体29Bの数を相対的に多くしたり、中継導体29Bの径を大きくしたりしても、短絡の蓋然性は相対的に低い。ただし、中継導体29Bの数は、中継導体29Aの数に対して、同じであってもよいし、少なくてもよい。同様に、中継導体29Bの径は、中継導体29Aの径に対して、同じであってもよいし、小さくてもよい。
【0048】
中継導体29の数は、適宜に設定されてよい。例えば、中継導体29の数は、2個以上、4個以上又は5個以上とされてよく、また、30個以下、10個以下又は4個以下とされてよく、前記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
【0049】
図4(a)は、上部ピラー13の側面図である。
図4(b)は、
図4(a)の上部側の一部の拡大図である。
図4(c)は、
図4(b)の変形例を示す図である。
【0050】
図4(c)に示すように、中継導体29Aの上面は、小径部19n(別の観点では柱状体19又は突部19e)の上面と面一とされてよい。また、
図4(b)に示すように、中継導体29Aの上端は、小径部19nの上面から突出していてもよい。また、特に図示しないが、中継導体29Aの上面は、小径部19nの上面から奥まった位置にあってもよい。なお、中継導体29Aの上面と小径部19nの上面とで上下方向の位置が異なっていても、その差が公差以内であれば、面一とされてよい。例えば、位置の差が中継導体29Aの径(非円形の場合は最大径)の1/5以下若しくは1/10以下の場合、及び/又は位置の差が1mm以下若しくは0.1mm以下の場合、中継導体29Aの上面と小径部19nの上面とは面一と捉えられてよい。
【0051】
中継導体29Aの上端について述べたが、中継導体29Bの上端についても同様である。上記の説明は、中継導体29A及び小径部19nを中継導体29B及び大径部19mに読み替えて中継導体29Bに援用されてよい。
【0052】
中継導体29の具体的な形状及び各種の寸法は適宜に設定されてよい。例えば、中継導体29の柱状部25内における部分(延在部29a)の横断面(長さ方向に直交する断面)の形状及び大きさは、長さ方向において一定であり、また、円形又は多角形等の適宜な形状とされてよい。なお、本実施形態の説明では、延在部29aの横断面の形状が円形である場合を例に取る。中継導体29は、図示のように中実であってもよいし、図示の例とは異なり、中空状であってもよい。
【0053】
中継導体29(延在部29a)の径(非円形の場合は最大径)は、例えば、0.05mm以上又は0.3mm以上とされてよく、また、10mm以下又は1mm以下とされてよく、上記の下限と上限とは適宜に組み合わされてよい。中継導体29の長さは、例えば、概略、上述の柱本体19d(柱状部25)の上下方向の長さを援用してよい。念のために記載すると、例えば、中継導体29又はそのうちの延在部29aの長さは、板状体17の厚さに対して、1/10以上、1/2以上、2倍以上、5倍以上又は10倍以上とされてよく、また、例えば、20倍以下、10倍以下、5倍以下、2倍以下又は1/2以下とされてよく、上記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。また、例えば、中継導体29又は延在部29aの長さは、10mm以上、20mm以上又は30mm以上とされてよく、また、300mm以下、200mm以下又は100mm以下とされてよく、上記の下限と上限とは、適宜に組み合わされてよい。また、延在部29aの長さは、延在部29aの径(非円形の場合は最大径)の1倍以上、10倍以上又は100倍以上とされてよい。上記の中継導体29又は延在部29aの長さの範囲の例は、延在部29aが柱本体19dの上端から下端まで上下方向に平行に直線状に延びている場合、それ以外の場合のいずれに適用されてもよい。
【0054】
図4(d)は、小径部19nの上部側を拡大して示す斜視図である。
【0055】
図2及び
図4(d)に示すように、中継導体29Aのうち小径部19nに位置する部分(接続部29bの一部)は、中継導体29Aのうち柱本体19d(柱状部25)内に位置する部分(延在部29a)に対して、一部が除去された形状とされている。
【0056】
別の観点では、中継導体29Aの接続部29bは、平面視において、所定形状(平面視における延在部29aの形状。ここでは円形)から、小径部19nの外縁を延長した線を境界にして柱状部25の中心C1とは反対側の一部が除去された形状とされている。換言すれば、平面視において、接続部29bの外縁の一部は、あたかも小径部19nの外縁の一部を構成しているかのように、小径部19nの外縁に滑らかに連続している。ここでいう滑らかに連続しているとは、例えば、接続部29bの外縁の一部と小径部19nの外縁とのつなぎ目において、段差及び角部が生じていないということである。なお、段差があっても、その段差の大きさが公差以内であれば、連続していると捉えられてよい。例えば、段差が接続部29bの径(最大径)の1/5以下若しくは1/10以下の場合、及び/又は段差が1mm以下若しくは0.1mm以下の場合、連続していると捉えられてよい。角部の有無は、断面拡大画像の目視によって合理的に判断されてよい。
【0057】
本実施形態では、中継導体29Aに係る上記所定形状は円形(本段落において第1の円形という。)である。従って、別の観点では、平面視において、中継導体29Aの接続部29bは、第1の円形から、柱状部25の中心C1に対して反対側の一部が除去された形状を有している。また、平面視において、小径部19nの形状は、第1の円径の径よりも径が大きい円形である。従って、別の観点では、平面視において、中継導体29Aの接続部29bは、上記第1の円形の円周よりも曲率が小さく、柱状部25の中心C1側を曲率中心側とする弧を境界として、上記第1の円形から中心C1とは反対側の一部が除去された形状を有している。
【0058】
上記の除去された部分は、上記所定形状(平面視における延在部29aの形状。ここでは円形)の中心よりも、小径部19nの中心とは反対側の部分である。従って、小径部19nの中心から接続部29bを水平方向に見たときに上記所定形状のうち最大径となる部分は除去されずに残っている。別の観点では、平面視において、接続部29bは、小径部19nに対して外側へ係合する形状が維持されている。ただし、そのような形状が維持されていなくてもよい。
【0059】
なお、中継導体29Aの側面は、図示の例とは異なり、小径部19nの側面から奥まった位置にあってもよいし、小径部19nの側面よりも外側にあってもよい。このことは、図示の例のように、接続部29bの平面視における形状が、円形から当該円形よりも曲率が小さい弧を境界として一部が除去された形状である場合も同様である。また、中継導体29Aの柱状部25内の部分の平面視における形状として円形を例に取り、小径部19nの平面視における形状として円形を例に取ったが、これは一例に過ぎない。例えば、小径部19nの形状は矩形等の多角形とされ、中継導体29Aの接続部29bの平面視の形状は、円形から直線を境界として一部が除去された形状とされていてもよい。
【0060】
中継導体29Aの接続部29bの形状について述べたが、中継導体29Bについても同様である。上記の説明は、中継導体29A及び小径部19nを中継導体29B及び大径部19mに読み替えて、中継導体29Bの接続部29bに援用されてよい。
【0061】
中継導体29の材料は適宜に設定されてよい。例えば、中継導体29の材料として、W、Mo、Pt又はNiを挙げることができる。中継導体29の材料は、内部導体(抵抗発熱体27)の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0062】
(下部基体)
図2に戻って、下部基体21は、例えば、基本的に(下部流路21c等を除いて)中実の部材である。下部基体21の形状及び寸法は適宜に設定されてよい。下部基体21は、上下方向の長さが径(平面視で非円形の場合は例えば最大径)に対して、大きくてもよいし、同等でもよいし、小さくてもよい。
【0063】
下部基体21は、例えば、基体本体21dと、基体本体21dの下端から外側へ突出しているフランジ21fとを有している。フランジ21fには、当該フランジ21fを上下に貫通する孔21fhが形成されている。特に図示しないが、孔21fhには、ボルトが挿通され、当該ボルトは、ヒータ1を収容しているチャンバ内の適宜な支持部材に螺合される。すなわち、フランジ21fは、ヒータ1の設置に寄与している。
【0064】
基体本体21dの横断面(水平な断面)の形状(例えば上端における形状)は、柱状体19の柱本体19dの横断面の形状(例えば下端における形状)と相似(合同含む)であってもよいし、相似でなくてもよい。また、基体本体21dの横断面の大きさ(例えば上端における大きさ)は、柱本体19dの横断面における大きさ(例えば下端における大きさ)に対して、同等であってもよいし(図示の例)、大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0065】
基体本体21dの横断面の形状は、円形(図示の例)又は多角形等の適宜な形状とされてよい。基体本体21dは、横断面の形状及び面積が上下方向において一定(図示の例)であってもよいし、変化してもよい。また、例えば、鉛直な軸回りにおいて柱状体19と基体本体21dとを位置決めするための凸部及び凹部の一方が柱状体19の下端に形成され、他方が基体本体21dの上端に形成されてもよい。
【0066】
下部基体21の材料は、例えば、セラミックである。セラミックの具体的な材料としては、例えば、板状体17の説明で挙げたもの(AlN等)が利用されてよい。また、下部基体21の材料は、板状体17及び/又は柱状体19の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。下部基体21の材料が板状体17及び/又は柱状体19の材料と異なっている場合において、これらの主成分は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0067】
(下部導体)
複数の下部導体31(31A及び31B)は、例えば、下部基体21内を上下方向に平行に直線状に延びる金属によって構成されている。ただし、例えば、下部導体31は、途中で屈曲していたり、途中に水平方向に延びる部分を有していたり、上下方向に対して傾斜して延びていたりしてもよい。
【0068】
複数の下部導体31(31A及び31B)は、例えば、下部基体21の上面のうち、中継導体29の下端と対向する位置において露出している。これにより、下部導体31は、中継導体29に接続可能となっている。複数の下部導体31は、中継導体29Aと接続される下部導体31Aと、中継導体29Bと接続される下部導体31Bとを有している。また、複数の下部導体31は、例えば、下部基体21の下面において下部基体21の外部に露出している。
【0069】
下部導体31の具体的な形状及び各種の寸法は適宜に設定されてよい。例えば、下部導体31の横断面(長さ方向に直交する断面)の形状及び大きさは、端部を除いて、長さ方向において一定である。また、下部導体31の横断面の形状は、円形又は多角形等の適宜な形状とされてよく、また、中継導体29の横断面の形状に対して、相似形(合同含む)であってもよいし、相似形でなくてもよい。本実施形態の説明では、下部導体31の横断面が、中継導体29の横断面よりも大きい円形(別の観点では相似)である態様を例に取る。
【0070】
下部導体31の材料も適宜に設定されてよい。例えば、下部導体31の材料として、W、Mo、Pt又はNiを挙げることができる。下部導体31の材料は、内部導体(抵抗発熱体27)の材料及び/又は中継導体29の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0071】
(板状体と柱状体との接合部)
図1(b)に戻って、板状体17と柱状体19とは、例えば、直接に接して接合されている。より詳細には、例えば、後に例示する製造方法から理解されるように、板状体17と柱状体19との境界においては、両者のセラミック粒子が互いに密着しており、これにより、互いに接合されている。柱状体19のうち、板状体17に対して接合されている面は、本実施形態においては、柱本体19dの上面及び突部19eの側面及び上面(大径部19mの側面及び上面並びに小径部19nの側面及び上面)である。板状体17のうち、柱状体19に接合されている面は、本実施形態においては、下面17bのうち凹部17rの周囲の一部及び凹部17rの内面である。
【0072】
図5(a)は、板状体17と柱状体19との接合部に係る変形例を示す断面図であり、
図1(b)の一部拡大図に相当する。
【0073】
この例では、板状体17と柱状体19とは接合材33によって接合されている。接合材33は、例えば、絶縁材料からなる。また、接合材33は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。具体的には、接合材33としては、例えば、ガラス系のものが用いられてよい。すなわち、板状体17と柱状体19とはガラス接合されてよい。また、接合材33として、CaO-Al2O3-Y2O3系のものが用いられてもよい。
【0074】
接合材33の配置位置も適宜に設定されてよい。例えば、柱状体19は、柱本体19dの上面及び突部19eの上面及び側面(大径部19mの側面及び上面並びに小径部19nの側面及び上面)が、板状体17の下面17bのうち凹部17rの周囲部分及び凹部17rの内面に向かい合わされる。接合材33は、上記の向かい合わされる面のうち、一部に配置されてもよいし(図示の例)、全部に配置されてもよい。
【0075】
図示の例では、より詳細には、接合材33は、大径部19mの上面(例えばその全面)及び柱本体19dの上面(例えばその全面)に設けられている。大径部19mの上面に位置する接合材33は、小径部19nの下端を周回しており、小径部19nから露出している中継導体29Aの接続部29bの封止に寄与している。柱本体19dの上面に位置する接合材33は、大径部19mの下端を周回しており、大径部19mから露出している中継導体29Bの接続部29bの封止に寄与している。
【0076】
なお、板状体17及び柱状体19の上記の向かい合わされる面のうち、接合材33が配置されていない領域は、例えば、互いに当接しているだけである。ただし、当該領域は、セラミック粒子が互いに密着することによって互いに接合されていても構わない。
【0077】
図5(b)は、板状体17と柱状体19との接合部に係る他の変形例を示す断面図であり、
図1(b)の一部拡大図に相当する。
【0078】
この例では、板状体17の凹部17rと柱本体19dの突部19eとの隙間を封止する封止材35が設けられている。封止材35は、柱本体19dを周回するように、板状体17の下面17b及び柱本体19dの側面に密着している。この封止材35は、板状体17と柱状体19とが直接に接合されている態様において設けられていてもよいし、板状体17と柱状体19とが接合材33を介して接合されている態様において設けられていてもよい。
【0079】
封止材35の材料は適宜なものとされてよい。例えば、封止材35は、絶縁材料からなる。また、封止材35は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよい。具体的には、封止材35としては、例えば、ガラス接合に用いられるガラス系の接合材が用いられてよい。また、封止材35として、CaO-Al2O3-Y2O3系のものが用いられてもよい。
【0080】
(抵抗発熱体と中継導体との接続)
図2及び
図4(d)に示すように、中継導体29と内部導体(抵抗発熱体27)との接続は、例えば、中継導体29の側面においてなされている。ただし、両者の接続は、図示の例とは異なり、中継導体29の上端面においてなされていてもよい。また、中継導体29の上端が柱状体19から上方へ突出している場合においては(
図4(c))、その上端の側面において接続がなされていてもよい。中継導体29と抵抗発熱体27との接続は、例えば、
図4(d)に示すように、両者が直接に当接することによってなされていてよい。
【0081】
図5(c)は、中継導体29と抵抗発熱体27との接続の変形例を示す断面図である。
【0082】
この図に示すように、中継導体29と抵抗発熱体27とは、両者の間に両者とは異なる材料及び/又は他の部材が介在することによって接続されていてもよい。図示の例では、抵抗発熱体27と中継導体29との間には、導電性の中間層37が介在している。
【0083】
中間層37の材料は適宜なものとされてよい。例えば、中間層37は、抵抗発熱体27の材料と同一の成分と、板状体17(及び/又は板状部23)の材料と同一の成分とを含む複合材料によって構成されている。同一の成分を含むとは、例えば、同一の原子を含むということである。このような複合材料としては、例えば、抵抗発熱体27がW又はWを主成分とする合金からなり、板状体17がAlNの焼結体又はAlNを主成分とする焼結体からなる場合において、WとAlNとを含むものを挙げることができる。
【0084】
図4(b)及び
図4(c)を参照して説明したように、中継導体29(接続部29b)は、その上端が突部19e(小径部19n又は大径部19m)の上面から突出していてもよい。この場合において、
図5(c)に示すように、凹部17r内に中継導体29の上端が挿入される穴17s(凹部)が形成されていてもよい。この場合、中間層37は、この穴17s内に少なくとも一部が配置されてよい。なお、
図5(c)では、中継導体29Aを例示しているが、中継導体29Bについても同様である。
【0085】
なお、特に図示しないが、中継導体29の上端を突部19e(小径部19n又は大径部19m)の上面から吐出させる一方で、穴17sを設けないようにしてもよい。この場合は、例えば、中継導体29の、突部19eの上面からの突出量に応じた高さの隙間が突部19eの上面と、凹部17rの下方に面する面との間に構成される。この場合、中間層37は、上記隙間に少なくとも一部が配置されてよい。
【0086】
(柱状体と下部基体との連結)
柱状体19と下部基体21とは、適宜な方法によって連結されてよい。例えば、特に図示しないが、両者は、接着剤によって固定されていてもよいし、直接接合(例えば拡散接合)によって固定されていてもよいし、ボルト及びナット等を用いた機械的結合によって固定されてもよい。また、例えば、後述する中継導体29と下部導体31との接続によって柱状体19と下部基体21との水平方向における位置決めがなされ、上下方向については、単に柱状体19が下部基体21に載置されているだけであってもよい。
【0087】
また、柱状体19と下部基体21との連結部分においては、適宜な封止構造が採用されてよい。例えば、
図2の例では、下部基体21の上面には、外縁に沿って周回する凹溝(符号省略)が形成されており、当該凹溝にはパッキン39が配置されている。パッキン39は、例えば、Oリングである。そして、このパッキン39は、柱状体19の下面に形成された凹溝19rの底面に当接する。これにより、柱状体19の下面及び下部基体21の上面との間は密封される。この密封された領域において、中継導体29及び下部導体31は露出し、また、上部流路19c及び下部流路21cは開口している。
【0088】
(中継導体と下部導体との接続)
図6は、中継導体29と下部導体31との接続方法の一例を示す斜視図である。
【0089】
この例では、下部導体31の上面には凹部31rが形成されている。この凹部31rには、中継導体29のうち、柱本体19dの下面から突出している部分(突出部29c)が挿入される。そして、突出部29cと凹部31rの内面とが当接する。これにより、中継導体29と下部導体31とは電気的に接続されている。また、この突出部29cと凹部31rの内面との当接により、上部ピラー13と下部ピラー15との水平方向の位置決めもなされる。
【0090】
突出部29cの形状及び凹部31rの形状は適宜なものとされてよい。図示の例では、突出部29cは、一定の横断面(ここでは円形)で延びている。一方、凹部31rは、上方側ほど拡径するテーパ面を有している。従って、突出部29cが凹部31rに挿入されていくと、突出部29cの先端面の外縁が、テーパ面に当接する。これにより、突出部29cと凹部31rの内面との接続の信頼性を向上させることができる。また、凹部31rのうちテーパ面によって構成されている部分(図示の例では凹部31rの全体)の横断面(水平方向に平行な面)の形状は、突出部29cの横断面の形状と相似形である。従って、突出部29cとテーパ面との当接は、加工精度を無視すれば、突出部29cの全周に亘ってなされる。
【0091】
なお、図示の例とは異なり、突出部29cに下端側ほど縮径するテーパ面を設けてもよい。また、図示の例とは異なり、中継導体29の下面と下部導体31の上面とを直接に当接させたり、中継導体29と下部導体31との間に導電性の弾性部材又は導電性のグリースを介在させたりしてもよい。また、図示の例とは逆に、中継導体29の下面に凹部が形成され、当該凹部に下部導体31の上端が挿入されても構わない。
【0092】
(流路)
図2に戻って、プレート流路17c、上部流路19c及び下部流路21cの形状及び寸法等は、これらの流路に供給される流体の目的等に応じて適宜に設定されてよい。図示の例では、プレート流路17cの一端は、板状体17の下面17dのうち柱本体19dの上面と対向する領域において開口している。上部流路19cは、柱本体19dを上下方向に直線状に延びており、上端は柱本体19dの上面にて開口し、下端は、柱本体19dの下面にて開口している。また、下部流路21cは、下部基体21を上下方向に直線状に延びており、上端は下部基体21の上面にて開口し、下端は、下部基体21の下面にて開口している。
【0093】
また、図示の例では、互いにつながるプレート流路17c、上部流路19c及び下部流路21cの組み合わせは、2組設けられている。この2組は、いずれもが板状体17内に流体を供給するものであってもよいし、板状体17内で互いに接続されて、一方が流体の供給用、他方が流体の回収用とされるものであってもよい。
【0094】
特に図示しないが、プレート流路17cと上部流路19cとは、柱本体19dの上面に代えて、又は加えて、突部19eの上面及び/又は側面において互いに接続されていてもよい。また、上部流路19c及び下部流路21cは、板状体17へ流体を供給するためのものでなく、柱状体19及び下部基体21内において完結しているものであってもよい。このような流路としては、例えば、柱状体19及び下部基体21を冷却するための冷媒用のものが挙げられる。
【0095】
(ヒータの製造方法の第1例)
図7は、ヒータ1の製造方法の第1例の手順の概要を示すフローチャートである。
【0096】
ステップST1では、焼成前の板状体17(第2成形体)を作製する。この作製方法は、凹部17r等の具体的な形状を除いては、公知の種々の方法と同様とされてよい。例えば、第2成形体は、抵抗発熱体27となる導電ペーストが配置された複数のセラミックグリーンシートを積層することによって作製されてよい。凹部17rは、例えば、積層前のセラミックグリーンシートに凹部17rとなる貫通孔又は凹部が形成されることによって構成される。また、例えば、抵抗発熱体27となるコイルと、板状体17となるセラミック原料粉末とを型内に配置して加圧を行い、第2成形体を作製してもよい。この場合、凹部17rは、型の内面に突部が形成されていることによって形成される。
【0097】
ステップST2~ST5では、ステップST1に並行して、上部ピラー13を作製する。具体的には、まず、ステップST2では、焼成前の柱状体19(第1成形体)を作製する。第1成形体の作製方法は、その具体的な形状を除いては、セラミックの成形体を作製する公知の種々の方法と同様とされてよい。例えば、柱状体19は、セラミック原料粉末を型内で加圧することによって形成される。これにより、柱本体19d及び突部19eに対応する形状を有している第1成形体が形成される。
【0098】
次に、ステップST3では、中継導体29となる軸状の金属部材を焼成前の柱状体19(第1成形体)に挿入する。この挿入に先立って、第1成形体には、中継導体29が挿通される孔が形成されてよい。孔の形成は、第1成形体を型によって成形するときに中子によって形成されてもよいし、成形後、ドリルによって形成されてもよい。また、この段階では、例えば、中継導体29は、柱本体19dの下面及び突部19eの上面から露出するのみであり、突部19eの側面からは露出していない。ただし、露出していてもよい。また、中継導体29が挿通される孔の形成と同様に、適宜な時期に上部流路19cとなる孔が形成されてよい。
【0099】
ステップST4では、焼成前の柱状体19(第1成形体)を焼成する。焼成方法は、公知の種々の方法と同様とされてよい。焼成によって、第1成形体は収縮する。この収縮によって、柱状体19が中継導体29を締め付けてよい。これにより、柱状体19と中継導体29との固定の強度が向上する。このような締め付けのために、中継導体29が挿通される第1成形体の孔の径は、中継導体29の径以上であって、焼成後に収縮によって(中継導体29が無いと仮定した場合に)中継導体29の径よりも小さくなる大きさとされる。中継導体29の径と、中継導体29が無いと仮定した場合の収縮後の孔の径との差は、例えば、0.2mm以上0.4mm以下とされてよい。
【0100】
なお、ステップST3に代えて、ステップST2において、型内に中継導体29となる金属部材と、柱状体19となるセラミック原料粉末とを型内に配置して加圧することによって、中継導体29が挿通されている第1成形体を形成するようにしてもよい。この場合、中継導体29の形状は、挿通可能な形状(少なくとも一端から途中まで直線状に延びている形状)に限定されない。例えば、中継導体29は、第1成形体内で適宜に屈曲した形状とされてもよい。さらに、ステップST2では、加圧だけでなく加熱も行い(すなわちホットプレス法を行い)、ステップST4を省略してもよい。
【0101】
ステップST5では、突部19eの側面を研削する。これにより、中継導体29の側面が突部19eの側面から露出する。また、突部19eの側面と共に中継導体29の側面も研削されることによって、平面視において、中継導体29の接続部29bの形状は、元の形状(本実施形態では円形)から、突部19eの外縁を延長した線(ここでは前記円形よりも曲率が小さい弧)を境界として一部が除去された形状となる。
【0102】
ステップST6では、焼成前の板状体17(第2成形体)の凹部17rに、焼成後の柱状体19の突部19eを挿入する。その後、ステップST7では、両者を焼成する。これにより、板状体17と柱状体19とは接合される。すなわち、板状体17及び柱状体19の接合体が得られる。その接合面においては、両者のセラミック粒子が互いに密着した状態となる。両者の材料が同一又は主成分が同一の場合においては、その境界は曖昧となり、又は無くなる。
【0103】
焼成によって、板状体17(第2成形体)は収縮する。この収縮によって、板状体17が柱状体19の突部19eを締め付けてよい。また、この締め付けに伴って、板状体17内の抵抗発熱体27が中継導体29の突部19eの側面にて露出している部分に押し付けられてよい。これにより、板状体17と柱状体19との固定の強度が向上し、また、中継導体29と抵抗発熱体27との接続の信頼性が向上する。このような締め付けのために、焼成前の凹部17rの径は、突部19eの径以上であって、焼成後に収縮によって(突部19eが無いと仮定した場合に)突部19eの径よりも小さくなる大きさとされる。突部19eの径と、突部19eが無いと仮定した場合の収縮後の凹部17rの径との差は、例えば、0.2mm以上0.4mm以下とされてよい。
【0104】
ステップST6では、
図5(c)を参照して説明した中間層37となる導電ペーストが凹部17rと突部19eとの間に配置されても構わない。この導電ペーストは、例えば、抵抗発熱体27を構成する材料(例えばW又はW合金)と同じ、又は主成分が同じ材料とされてよい。この場合、焼成前の板状体17(第2成形体)の材料又はその主成分(例えばAlN)が導電ペーストに拡散又は浸透する。これにより、板状体17及び抵抗発熱体27の材料の成分と同一の成分を含む材料からなる中間層37が形成される。
【0105】
この第1例では、板状体17と柱状体19とを直接に接合可能である。ただし、ステップST6において、
図5(a)を参照して説明した接合材33となる材料(例えばガラス)が凹部17rと突部19eとの間に配置されても構わない。また、
図5(b)を参照して説明した封止材35となる材料(例えばガラス)は、例えば、ステップST5とステップST6との間において板状体17及び柱状体19に配置されてよい。
【0106】
下部ピラー15の製造方法は、その具体的な形状及び研削工程(ステップST5)を除いて、上部ピラー13の製造方法と同様とされてよい。
【0107】
(ヒータの製造方法の第2例)
図8は、ヒータ1の製造方法の第2例の手順の概要を示すフローチャートである。
【0108】
ステップST1~ST5は、
図7のステップST1~ST5と同様である。この例では、板状体17の凹部17rに柱状体19の突部19eを挿入して両者を接合する前に、板状体17の焼成が行われている。すなわち、ステップST1の後、ステップST2~ST5に並行して、ステップST2において、板状体17となる第2成形体の焼成が行われる。その後、ステップST12において、突部19eが凹部17rに挿入される。そして、ステップST13において、板状体17と柱状体19との接合が行われ、両者の接合体が得られる。
【0109】
ステップST13の接合は、既述のように、種々の方法によりなされてよい。例えば、固相接合が利用されてよい。固相接合としては、例えば、拡散接合が利用されてよい。拡散接合では、板状体17と柱状体19とが加熱加圧されることによって接合される。この場合、両者のセラミック粒子が互いに密着する。板状体17及び柱状体19の材料によっては、焼成の場合と同様に、両者の境界は曖昧になるか、無くなる。拡散接合は、板状体17と柱状体19とを直接に当接させるものだけでなく、両者の間に接合を促進するための材料が配置されるものも含むものとする。当該材料は、接合に際して、固相状態のままであってもよいし、液相状態となってもよい。また、例えば、
図5(a)を参照して説明したように、接合材33によって接合が行われてもよい。例えば、ガラスペーストを板状体17及び柱状体19の間に配置して、加熱及び加圧が行われてよい。
【0110】
第1例と同様に、ステップST12では、
図5(c)を参照して説明した中間層37となる導電ペーストが凹部17rと突部19eとの間に配置されても構わない。この導電ペーストは、例えば、拡散接合又は接合材33による接合の際に加熱される。そして、抵抗発熱体27の材料の成分及び板状体17の材料の成分を含む材料からなる中間層37が形成される。
【0111】
なお、ヒータ1の製造方法は、第1例及び第2例以外にも種々可能である。例えば、抵抗発熱体27及び中継導体29となる金属部材と、板状部23及び柱状部25となるセラミック原料粉末とを型内に配置して、加圧及び加熱してもよい。すなわち、ホットプレス法により、板状部23及び柱状部25を一体的に形成してもよい。
【0112】
以上のとおり、本実施形態に係るウェハ支持部材(ヒータ1)は、板状部23と、1以上の内部導体(抵抗発熱体27)と、柱状部25と、複数の中継導体29とを有している。板状部23は、絶縁性であり、また、ウェハWfが重ねられる上面17a及びその反対側の下面17bを有している。抵抗発熱体27は、板状部23に埋設されている。柱状部25は、絶縁性であり、板状部23の下面17bから下方へ突出している。複数の中継導体29は、柱状部25内を上下に延びている延在部29aをそれぞれ有しているとともに抵抗発熱体27に電気的に接続されている。
【0113】
従って、例えば、従来のように抵抗発熱体に電気的に接続されている配線が、ヒータプレートから下方へ延びるパイプ内に配置されている場合に比較して、ヒータの周囲のガス及び/又はプラズマから配線(中継導体29)を保護することが容易化される。また、例えば、板状体に埋設されている端子と、パイプ内に配置されている配線とによって抵抗発熱体27に接続される導体を構成するのではなく、中継導体29のみで端子と配線とを兼ねることができる。その結果、構成が簡素化される。このように、本実施形態では、内部導体への電気的接続に係る構成が好適化される。
【0114】
また、本実施形態では、複数の中継導体29の少なくとも1つは、柱状部25内の延在部29aから板状部23の内部へ延びる接続部29bを更に有している。内部導体と接続部29bとが、接続部29bの側面又は端面(上端面)で接合されている。
【0115】
この場合、例えば、上記のように、中継導体29のみで端子と配線とを兼ねることができる。また、例えば、柱状体19の突部19eを板状体17の凹部17rに挿入する構成によって、板状部23内へ延びている中継導体29を実現できる。この場合、例えば、柱状体19及び板状体17の固定に関する信頼性を向上させることができる。
【0116】
また、本実施形態では、平面視において、中継導体29の接続部29bは、柱状部25の中心C1から離れており、円形から、中心C1に対して反対側の一部が除去された形状を有している。
【0117】
この場合、例えば、平面視において、接続部29bの外縁は、中心C1とは反対側に面する比較的長い直線又は曲線を有することになる。従って、例えば、抵抗発熱体27との接触面積を確保しやすい。また、例えば、柱状体19の突部19eを研削することにより、円形から一部が除去された形状の接続部29bを実現できる。この場合、例えば、接続部29bを突部19eによって強度的に保護しつつ、抵抗発熱体27を接続部29bの側面に接続することが容易化される。すなわち、突部19eを設けず、かつ接続部29bの側面と抵抗発熱体27との接続を容易化するために接続部29bを柱本体19dの上面から突出させた場合(このような場合も本開示に係る技術に含まれる。)には、接続部29bが折れたり、曲がったりする蓋然性が高いが、そのような蓋然性を低下させることができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のような円形(第1の円形とする。)の一部が除去された形状の接続部29bは、前記第1の円形の円周よりも曲率が小さく、柱状部25の中心C1側を曲率中心側とする弧を境界として、前記第1の円形から中心C1とは反対側の一部が除去された形状を有している。
【0119】
この場合、例えば、平面視において、接続部29bの外縁は、中心C1とは反対側に面する曲率が小さい曲線を有することになる。従って、例えば、接続部29bの外縁が中心C1側の弧と同一の曲率の円形である態様(このような態様も本開示に係る技術に含まれる)に比較して、抵抗発熱体27との接触面積を確保しやすい。
【0120】
また、本実施形態では、2つ以上の中継導体29A(又は2つ以上の中継導体29B)が接続部29bをそれぞれ有している。平面視において、2つ以上の中継導体29Aの接続部29bは、柱状部25の中心C1を中心とする同一の円周上に位置している。別の観点では、4つ以上の中継導体29A(又は4つ以上の中継導体29B)が接続部29bをそれぞれ有している。平面視において、4つ以上の中継導体29Aの接続部29bは、柱状部25の中心C1側を中心側とする同一の円周上に位置している。
【0121】
この場合、例えば、接続部29bの外縁のうちの、中心C1とは反対側の曲率が小さい部分が同一円周上で抵抗発熱体27と接続される。その結果、例えば、抵抗発熱体27の中心付近における錯綜が低減されたり、抵抗発熱体27のうちの接続部29bに接続される部分同士の相互影響の評価が容易化されたりする。また、中継導体29Aが同一の円周上に位置しているということは、別の観点では、平面視において円形状の突部19eの外縁に沿って中継導体29Aが配列されているということである。この場合、例えば、円柱状の突部19eの側面の研削によって複数の中継導体29Aを同一の形状にすることが容易である。
【0122】
また、本実施形態では、平面視において、4つ以上の中継導体29A(又は4つ以上の中継導体29B)の接続部29bは、この中継導体29Aが配列されている円周の中心(柱状部25の中心C1)に対して点対称に配置されている。
【0123】
この場合、例えば、接続部29bと板状部23との間で生じる残留応力及び/又は熱応力の影響を平面視において均等にしやすい。その結果、例えば、局所の応力が大きくなる蓋然性を低下させることができる。接続部29bは、平面視において中心C1の外側の一部が除去された形状であるから、中心C1回りの円周方向における径が、中心C1からの放射方向の径に対して大きくなりやすい。一方、点対称配置によって、円周方向における接続部29b同士のピッチを確保しやすくなる。その結果、局所の応力が大きくなる蓋然性を低下させる効果が向上する。
【0124】
また、本実施形態では、複数の中継導体29(29A及び29B)は、第1中継導体(中継導体29A)と、第2中継導体(中継導体29B)とを有している。中継導体29Bは、平面視において中継導体29Aよりも柱状部25の中心C1から離れており、かつ上端が中継導体29Aの上端よりも上方(ウェハWfが重ねられる上面17aが面する側)に位置している。
【0125】
この場合、例えば、2層の抵抗発熱体27と複数の中継導体29との電気的接続の構成が簡素化される。また、上記のような構成は、平面視において中継導体29Bが設けられている領域に対して上方へ突出する突部(小径部19n)を設けることによって実現できる。この場合、小径部19nの側面から中継導体29Aを露出させることが容易である。ひいては、中継導体29Aと抵抗発熱体27との接触面積を確保することが容易である。
【0126】
また、本実施形態では、ヒータ1は、下部基体21と、下部導体31とを更に有している。下部基体21は、絶縁性であり、柱状部25の下部に固定されている。下部導体31は、下部基体21に埋設されており、中継導体29と電気的に接続されている。
【0127】
この場合、例えば、ヒータ1の設置前において、上部ピラー13(及びヒータプレート9)と、下部ピラー15とを別個に搬送することができる。その結果、例えば、搬送容積を低減し、ひいては、搬送コストを削減することができる。この観点からは、例えば、上部ピラー13の上下方向の長さがヒータピラー11の上下方向の長さに占める割合を小さくしてよい。上部ピラー13は、ヒータプレート9と接合されており、両者の接合体は、水平方向に大きいことから、上部ピラー13の上下方向の長さを短くすることにより、搬送が容易になる場合が多い。例えば、上部ピラー13の上下方向の長さは、下部ピラー15の上下方向の長さ以下とされてよい。また、上部ピラー13及び下部ピラー15によってヒータピラー11を構成した場合においては、例えば、要求された仕様に応じて、上部ピラー13及び下部ピラー15の一方のみを交換したり、設計変更したりすることができる。すなわち、上部ピラー13及び/又は下部ピラー15の汎用性が向上し、生産性が向上する。
【0128】
また、本実施形態では、中継導体29は、柱状部25の表面のうち下部基体21によって外部から隠されている領域(図示の例では柱状部25の下面)にて柱状部25から露出して、これにより下部導体31と電気的に接続されている。
【0129】
この場合、例えば、上記のように上部ピラー13及び下部ピラー15によってヒータピラー11を構成することによる効果を得つつ、両者の電気的な接続部分を周囲のガス及び/又はプラズマから保護することが容易化される。
【0130】
また、本実施形態では、中継導体29は、柱状部25の下面から突出している突出部29cを有している。下部導体31は、下部基体21の上面から露出している凹部31rを有している。凹部31rには突出部29cが挿入される。
【0131】
この場合、例えば、中継導体29のうち柱状部25から露出している部分が、下部導体31によって覆われる。その結果、例えば、周囲のガス及び/又はプラズマから中継導体29を保護しやすい。ここで、中継導体29が汚染されて上部ピラー13及びこれに接合されているヒータプレート9を交換する場合と、下部導体31が汚染されて下部ピラー15を交換する場合とでは、通常、前者の方がコスト的に有利である。従って、全体としてヒータ1のコストを低下させることができる。また、突出部29cが凹部31rに挿入されることによって、電気的な接続が上部ピラー13及び下部ピラー15の位置決めも兼ねることになる。
【0132】
本実施形態では、板状部23は、第1流路(プレート流路17c)を有している。柱状部25は、プレート流路17cに通じている第2流路(上部流路19c)を有している。
【0133】
ここで、従来のようにヒータプレート9から下方に延びるパイプを設けている態様においては、流路は、パイプの内面と外面との間に形成される。この態様に比較すると、本実施形態では、基本的に中実な柱状部25に上部流路19cを形成することから、上部流路19cの断面積及び上部流路19cのヒータプレート9に対する接続位置についての設計の自由度が高い。例えば、極端な例では、特に図示しないが、柱状部25の中心側部分(パイプでは配線を収容するための空間になる部分)に上部流路19cを形成することも可能である。
【0134】
また、本実施形態では、板状部23と柱状部25との間、板状部23の内部の少なくとも一方に、板状部23及び柱状部25のいずれの材料とも異なる材料からなり、複数の中継導体29の少なくとも一つの、上下方向の所定位置を平面視で囲んでいる封止剤層(接合材33)を更に有している。
【0135】
この場合、例えば、柱状体19の突部19eの側面と、板状体17の凹部17rの内面との間を接合材33によって封止することができる。その結果、例えば、中継導体29の突部19eの側面から露出している部分をヒータ1の周囲のガス及び/又はプラズマから保護しやすい。
【0136】
また、本実施形態では、内部導体(抵抗発熱体27)と中継導体29とは、中間層37(
図5(c))を介して接続されている。中間層37は、板状部23の材料と同じ成分(例えばAlN)と、抵抗発熱体27の材料と同じ成分(例えばW)とを含んでいる材料からなる。
【0137】
この場合、例えば、抵抗発熱体27と中継導体29との間に隙間が生じてしまったときにも、当該隙間に位置する中間層37(導電ペースト)によって両者を電気的に接続することができる。すなわち、電気的接続の信頼性が向上する。さらに、中間層37は、抵抗発熱体27及び板状部23の材料と同じ成分を含む材料からなるから、両者との結合(固定)に係る強度が向上する。これによっても、電気的接続の信頼性が向上する。
【0138】
また、本実施形態では、ヒータ1の製造方法の第1例は、以下のステップを有している。セラミックス原料を用いて、柱状部25を含む第1成形体(焼成前の柱状体19)を作製するステップ(ST2)。第1成形体に中継導体29を差し込むステップ(ST3)。中継導体29が差し込まれた第1成形体を焼成し、焼結体(焼成後の柱状体19)を得るステップ(ST4)。セラミックス原料を用いて、板状部23の下面17bに凹部17rを形成した形状であり、内部導体(抵抗発熱体27)となる導電ペーストが埋設された第2成形体(焼成前の板状体17)を作製するステップ(ST1)。第2成形体における凹部17rに焼結体の一部(突部19e)を挿入した後に焼成して接合体(板状体17及び柱状体19の組み合わせ)を得るステップ(ST6及びST7)。
【0139】
この場合、例えば、中継導体29を第1成形体に差し込む簡便な方法によって、柱状部25内を延びる中継導体29を有するヒータ1を実現することができる。また、板状体17及び柱状体19の接合が焼成によってなされることから、両者の接合強度を向上させることができる。既述のように、板状体17によって突部19eを締め付けて、接合強度をさらに向上させることができる。
【0140】
また、本実施形態では、ヒータ1の製造方法の第2例は、以下のステップを有している。セラミックス原料を用いて、柱状部25を含む第1成形体(焼成前の柱状体19)を作製するステップ(ST2)。第1成形体に中継導体29を差し込むステップ(ST3)。中継導体29が差し込まれた第1成形体を焼成して第1焼結体(焼成後の柱状体19)を得るステップ(ST4)。セラミックス原料を用いて、板状部23の下面17bに凹部17rを形成した形状であり、内部導体(抵抗発熱体27)となる導電ペーストが埋設された第2成形体(焼成前の板状体17)を作製するステップ(ST1)。第2成形体を焼成して第2焼結体(焼成後の板状体17)を得るステップ(ST11)。第2焼結体における凹部17rに第1焼結体の一部(突部19e)を挿入して両者を接合して接合体(板状体17及び柱状体19の組み合わせ)を得るステップ(ST12及びST13)。
【0141】
この場合、例えば、第1例と同様に、中継導体29を第1成形体に差し込む簡便な方法によって、柱状部25内を延びる中継導体29を有するヒータ1を実現することができる。また、板状体17及び柱状体19の双方をそれぞれ作製した後に両者を接合するから、例えば、接合前までに板状体17及び柱状体19を長期間に亘って保管しておくことができる。すなわち、製造プロセスの自由度が向上する。
【0142】
また、本実施形態では、第1成形体(焼成前の柱状体19)に中継導体29を差し込むステップ(ST3)では、中継導体29の一端(上端)が第1成形体の上面から突出するように中継導体29を第1成形体に差し込む。第2成形体(焼成前の板状体17)を作製するステップ(ST1)では、凹部17r内に穴17s(
図5(c))を形成する。接合体(板状体17及び柱状体19の組み合わせ)を得るステップ(ST6又はST12)では、中継導体29の一端が穴17sに挿入される。
【0143】
この場合、例えば、中継導体29の上端と穴17sとで板状体17と柱状体19との位置決めを行うことができる。また、例えば、中間層37となる導電ペーストを設けた場合において、導電ペーストが広がって中継導体29同士を短絡させてしまう蓋然性を低下させることができる。その結果、導電ペーストを比較的多い量で配置することが容易化される。ひいては、突部19e及び凹部17rの加工精度が低くても、中継導体29と抵抗発熱体27との電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0144】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係るヒータ201(符号は
図10(a))のヒータピラー211の構成を示す分解斜視図であり、第1実施形態の
図2に相当する。
【0145】
ヒータピラー211は、端的に言えば、第1実施形態の柱状体19において、突部19eを小径部19nのみによって構成したものである。すなわち、本実施形態の上部ピラー213の柱状体219は、柱本体219dと、柱本体219dの上面から突出している突部219eを有している。突部219eは、第1実施形態のように多段のものではなく、1段のものである。
【0146】
複数の中継導体29Aは、第1実施形態と同様に、柱本体219d及び突部219eにおいて上下方向に延びており、突部219eの側面にて露出している。中継導体29Aの形状も、第1実施形態の中継導体29Aの形状と同様である。一方、複数の中継導体29Bは、第1実施形態とは異なり、柱本体219dのみにおいて上下方向に延びており(突部219eにおいては延びておらず)、上端を柱本体19dの上面から露出させている。なお、中継導体29Bの上端は、柱本体19dの上面から突出していてもよいし、突出していなくてもよい。また、本実施形態では、中継導体29Bは、一定の横断面(図示の例では円形)で、上端から下端まで延びている。
【0147】
図10(a)は、板状体17と柱状体219との接合の例を示す断面図であり、第1実施形態の
図1(b)に概ね相当している。この例では、突部219eは、板状体17の凹部17rに挿入され、柱本体219dの上面は、第1実施形態と同様に、板状体17の下面17bに対向している。この場合、板状体17及び突部219eが板状部23を構成し、柱本体19dが柱状部25を構成している。中継導体29Aと抵抗発熱体27との接続は、第1実施形態と同様とされてよい。中継導体29Bは、例えば、その上面が、板状体17内にて抵抗発熱体27の位置から下面17bまで延びる不図示の導体と直接又は中間層37(
図5(c)参照)を介して接続されている。中継導体29Bの上端が柱本体219dの上面から突出している場合においては、その側面と抵抗発熱体27とが直接又は中間層37を介して接続されてもよい。
【0148】
図10(b)は、板状体17と柱状体219との接合の他の例を示す断面図であり、第1実施形態の
図1(b)に概ね相当している。この例では、突部219e及び柱本体219dの上側の一部が、板状体17の凹部17rに挿入される。この場合、板状体17、突部219e及び柱本体219dの上側の一部が板状部23を構成し、柱本体19dの下側の一部が柱状部25を構成している。中継導体29Aと抵抗発熱体27との接続は、第1実施形態と同様とされてよい。中継導体29Bは、例えば、その上面が、抵抗発熱体27と直接に、又は中間層37(
図5(c)参照)を介して接続されている。中継導体29Bの上端が柱本体219dの上面から突出している場合においては、その側面と抵抗発熱体27とが直接又は中間層37を介して接続されてもよい。なお、板状体17内にて抵抗発熱体27から中継導体29Bの上面に向かって延びる不図示の導体が抵抗発熱体27と中継導体29Bとの間に介在してもよい。
【0149】
以上のとおり、本実施形態に係るヒータ201においても、複数の中継導体29は、柱状部25内を上下に延びている延在部29aをそれぞれ有しているとともに抵抗発熱体27に電気的に接続されている。従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、ヒータの周囲のガス及び/又はプラズマから配線(中継導体29)を保護することが容易化される。
【0150】
[第3実施形態]
図11(a)は、第3実施形態に係るヒータ301(符号は
図11(b))のヒータピラー311の構成を示す斜視図である。
【0151】
ヒータピラー311は、端的に言えば、第1実施形態のヒータピラー11を極力簡素化したものである。具体的には、ヒータピラー311は、上部ピラー及び下部ピラーに分割された構成とはなっていない。また、ヒータピラー311の柱状体319は、第1実施形態の突部19eを有しておらず、いわば、第1実施形態の柱本体19dのみから構成されている。中継導体29は、第2実施形態の中継導体29Bと同様に、上端面が柱状体319の上面から露出している。全ての中継導体29の上端の位置は、突部が設けられていないことから、例えば、互いに同一である。中継導体29の上端は、柱状体319の上面から突出していてもよいし、突出していなくてもよい。
【0152】
なお、中継導体29の上端の位置が互いに同一か否かは、ヒータプレート9の厚さ等に基づいて合理的に判断されてよい。例えば、同一は、中継導体29の上端の上下方向の位置の差が、板状部23の下面17bから当該下面17bに最寄りの内部導体(抵抗発熱体27)までの距離の1/2以下又は1/10以下の場合とされてよく、また、1mm以下又は0.1mm以下の場合とされてよい。
【0153】
図11(b)は、板状体17と柱状体319との接合の例を示す断面図であり、第1実施形態の
図1(b)に概ね相当している。この例では、柱状体319の上面は、板状体17の下面17bに対向している。この場合、板状体17が板状部23を構成し、柱状体19が柱状部25を構成している。中継導体29と抵抗発熱体27との接続は、第2実施形態の
図10(a)の例における中継導体29Bと抵抗発熱体27との接続と同様になされてよい。
【0154】
図11(c)は、板状体17と柱状体319との接合の他の例を示す断面図であり、第1実施形態の
図1(b)に概ね相当している。この例では、柱状体319の上側の一部が、板状体17の凹部17rに挿入される。この場合、板状体17及び柱状体319の上側の一部が板状部23を構成し、柱状体319の下側の一部が柱状部25を構成している。中継導体29と抵抗発熱体27との接続は、第2実施形態の
図10(b)の例における中継導体29Bと抵抗発熱体27との接続と同様になされてよい。
【0155】
以上のとおり、本実施形態に係るヒータ301においても、複数の中継導体29は、柱状部25内を上下に延びている延在部29a(図示の例では中継導体29の全体)をそれぞれ有しているとともに抵抗発熱体27に電気的に接続されている。従って、第1実施形態と同様の効果が奏される。例えば、ヒータの周囲のガス及び/又はプラズマから配線(中継導体29)を保護することが容易化される。また、本実施形態は他の実施形態に比較して構成が簡素である。
【0156】
[変形例]
(柱状部の変形例)
図14は、ヒータピラー11(より詳細には上部ピラー13)の変形例を示す斜視図であり、
図2の一部に相当する。
【0157】
上部ピラー13の柱状体19は、突部19eの外周面に凹部20を有している。これにより、例えば、製造過程において、突部19eと、突部19eが挿入される板状体17の凹部17rとの間に存在する流動性の材料が、意図されていない領域にまで広がってしまう蓋然性が低減される。
【0158】
より具体的には、例えば、
図5(c)では、上部ピラー13の中継導体29(より詳細には接続部29b)と抵抗発熱体27との間に中間層37が設けられる変形例を示した。中間層37は、例えば、当該中間層37となる導電ペーストが接続部29bに塗布され、次に、突部19eが凹部17rに挿入され、その後、これらが焼成されることによって作製される。この場合において、突部19eが凹部17rに挿入されたときに、余剰な導電ペーストは凹部17rに貯留される。その結果、導電ペーストが必要以上に凹部17rの内周面及び底面に広がる蓋然性が低減される。従って、例えば、接続部29bに塗布された導電ペーストが、他の接続部29b又は他の接続部29bに塗布された導電ペーストに接触する蓋然性が低減される。ひいては、複数の接続部29b同士の短絡の蓋然性が低減される。
【0159】
凹部20の形状及び大きさは適宜に設定されてよい。図示の例では、凹部20は、突部19e(より詳細には大径部19m及び小径部19n)の外周面を上下方向に延びる溝状(上下方向の長さが左右方向の長さ(幅)よりも長い形状)とされている。また、凹部20の上端は、大径部19m及び小径部19nの上面に到達しており、凹部20は切り欠き状となっている。また、大径部19mに設けられた凹部20の上下方向の長さは、大径部19mの上下方向の長さの半分以上である。同様に、小径部19nに設けられた凹部20の上下方向の長さは、小径部19nの上下方向の長さの半分以上である。凹部20の突部19eの外周面からの深さは、中継導体29の突部19eの外周面からの埋設深さよりも浅い。溝の横断面の形状は、半円状である。
【0160】
凹部20の形状が図示の例のような形状であると、例えば、接続部29bの上端側の比較的長い範囲に亘って導電ペーストを塗布しても、余剰な導電ペーストが突部19eの周方向に広がる蓋然性を低減できる。導電ペーストを上下の比較的長い範囲に塗布することができることから、上下方向の特定の位置に存在する抵抗発熱体27に対して導電ペーストを確実に接触させることができる。一方で、凹部20は細長い形状であるから、突部19eの強度は維持される。
【0161】
もちろん、図示の例とは異なり、凹部20は、長さと幅とが同等の形状であってもよい。凹部20は、中継導体29の埋設深さよりも深い深さを有していてもよい。凹部20は、大径部19m又は小径部19nの上面に到達していなくてもよい。凹部20の横断面は矩形状であってもよい。溝状の凹部20は、上下方向に傾斜する方向に延びていたり、湾曲していたりしてもよい。
【0162】
凹部20の位置及び数も適宜に設定されてよい。図示の例では、凹部20は、全ての接続部29bに関して、突部19eの周方向において互いに隣り合う2つの接続部29bの間に2つずつ設けられている。このようにすると、一方の接続部29bから広がった導電ペーストは、2つの凹部20のうち前記一方の接続部29bに近い凹部20に入り込む。同様に、他方の接続部29bから広がった導電ペーストは、2つの凹部20のうち前記他方の接続部29bに近い凹部20に入り込む。すなわち、互いに隣り合う2つの接続部29bから広がった導電ペーストは、互いに異なる凹部20に入り込む。従って、導電ペースト同士が接触する蓋然性が低減される。
【0163】
もちろん、図示の例とは異なり、凹部20は、互いに隣り合う2つの接続部29bの間に1つずつ設けられてもよい。凹部20は、全ての接続部29bに関して設けられるのではなく、一部の接続部29bについてのみ設けられてもよい。例えば、複数の接続部29bのうち、隣の接続部29bまでの距離が相対的に長い一部の接続部29bについては、凹部20を設けないようにしてもよい。接続部29bと凹部20との距離、及び凹部20同士の距離は、適宜に設定されてよい。
【0164】
凹部20について、柱状体19の観点から説明した。ただし、完成後のヒータ1においては、柱状体19と板状体17との境界の特定は困難である場合がある。ここで、既に述べたように、平面視において、複数の接続部29bは、柱状部25の中心C1を中心とする円周上に位置してよい。また、凹部20は、例えば、中間層37となる導電ペースト等によって満たされないようにその大きさが設計される。従って、例えば、完成後のヒータ1を観察したとき、中心C1を中心とする円周上において互いに隣り合う接続部29bの間に空洞が位置していれば、この空洞は、凹部20の一部又は全部として特定されてよい。空洞は、気体が密閉されているか、真空状態とされている。
【0165】
ここでは、第1実施形態を例に取って説明したが、凹部20は、第2実施形態等の他の実施形態に適用されてもよい。また、凹部20は、突部の外周面ではなく、突部の上面に設けられていてもよいし、突部が挿入される凹部17rの内周面又は底面に設けられていてもよい。
【0166】
(上部ピラー及び下部ピラーの連結構造の変形例)
図12は、上部ピラー13(213でもよい。)及び下部ピラー15の連結構造の変形例を示す断面図である。
【0167】
この図に示すように、下部基体21の上面に形成した凹部(符号省略)に柱状体19の下部を挿入して(嵌合させて)、両者を連結してもよい。また、この場合において、パッキン39は、柱状体19の側面と、下部基体21の凹部側面との間に介在してもよい。
【0168】
このような構造では、パッキン39は、まず、柱状体19と下部基体21との間の封止に寄与する。また、パッキン39は、その弾性力(復元力)によって柱状体19と下部基体21とに押し付けられ、柱状体19を下部基体21の凹部から引き抜く力に対する抵抗を生じるから、柱状体19及び下部基体21の機械的な連結の強化にも寄与する。
【0169】
本変形例から理解されるように、柱状体19のうち下部基体21から隠される領域(別の観点では封止される領域)は、柱状体19の下面に限定されず、柱状体19の下方側の側面であってもよい。そして、中継導体29を屈曲させることなどにより、柱状体19の側面かつ封止された領域において、中継導体29の一端が露出していてもよい。
【0170】
[抵抗発熱体のパターンの例]
図13(a)及び
図13(b)は、抵抗発熱体27のパターンの一例を示す平面図である。
図13(a)は、中継導体29Aに接続される抵抗発熱体27を示している。
図13(b)は、中継導体29Bに接続される抵抗発熱体27を示している。すなわち、
図13(a)は、上層の抵抗発熱体27を示し、
図13(b)は、下層の抵抗発熱体27を示している。
【0171】
図13(a)では、板状体17を2分割した各領域において、1本の抵抗発熱体27が円周方向に沿ってミアンダ状に延びている。すなわち、合計で2本の抵抗発熱体27が延びている。各抵抗発熱体27の両端には、2つの中継導体29Aが接続されている。すなわち、合計で4つの中継導体29Aが2本の抵抗発熱体27に接続されている。抵抗発熱体27は、中継導体29Aに対して、板状体17の外縁側に位置している。なお、2本の抵抗発熱体27は互いにつなげられてもよい。
【0172】
図13(b)では、板状体17を3分割した各領域において、1本の抵抗発熱体27が円周方向に沿ってミアンダ状に延びている。すなわち、合計で3本の抵抗発熱体27が延びている。各抵抗発熱体27の両端には、2つの中継導体29Bが接続されている。すなわち、合計で6つの中継導体29Bが3本の抵抗発熱体27に接続されている。抵抗発熱体27は、中継導体29Bに対して、板状体17の外縁側に位置している。6つの中継導体29Bの内側には、中継導体29Aが位置している。なお、3本の抵抗発熱体27は互いにつなげられてもよい。
【0173】
このようなパターンで抵抗発熱体27が設けられている場合、例えば、複数の抵抗発熱体27に対して印加する電圧を個別に制御することによって、板状体17の領域間における温度差を縮小又は拡大することができる。
【0174】
[ヒータの材料の一例]
既述のように、ヒータプレート9の板状体17の材料及び上部ピラー13の柱状体19の材料は、いずれもセラミックとされてよく、また、両者の材料(又はその主成分)は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。ここでは、板状体17の材料及び柱状体19の材料が、成分全体又は主成分が同一のセラミックである場合の一例について述べる。なお、ここでは、第1実施形態の符号を用いるが、ここでの材料の一例は、第2実施形態等の他の実施形態に適用されてもよい。
【0175】
図15(a)は、板状体17の一部の断面図である。
図15(b)は、柱状体19の一部の断面図である。この断面図は、例えば、1辺が50μm以上200μm以下となるような範囲を示しており、複数の粒子Gr(単結晶粒子、セラミック粒子)が図示されている。別の観点では、粒界が図示されている。
【0176】
これらの図に示されているように、柱状体19の結晶粒径の平均値(平均粒径)は、板状体17の結晶粒径の平均値よりも大きくされてよい。この場合、例えば、セラミックは結晶粒径が大きいほどヤング率が大きくなるから、柱状体19の強度を高くすることができる。その結果、例えば、柱状体19に曲げモーメントが加えられたときに柱状体19にクラックが生じる蓋然性を低減できる。
【0177】
このような態様におけるセラミックの成分及び平均粒径は適宜に設定されてよい。例えば、セラミックの主成分は、窒化アルミニウム(AlN)とされてよい。板状体17における平均粒径は、例えば、3μm以上8μm以下とされてよい。柱状体19における平均粒径は、例えば、5μm以上12μm以下(ただし、板状体17における平均粒径よりも大きい)とされてよい。板状体17及び柱状体19は、同一又は主成分が同一の焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤を構成する元素は、例えば、イットリウム(Y)とされてよい。
【0178】
なお、平均粒径は適宜な方法によって測定されてよい。以下に、一例を示す。板状体17及び柱状体19の主成分(例えばAlN)の結晶の平均円相当径を平均粒径としてみなすこととする。円相当径は、次のように測定する。まず、板状体17及び柱状体19それぞれの断面を鏡面に加工する。加工した断面をSEM(Scanning Electron Microscope)により撮影する。このときの倍率は概ね1000倍以上3000倍以下とする。また、投影面積は、1000μm2以上20000μm2以下とする。次に、撮影した画像のうち、主成分の結晶の輪郭を黒い線でトレースして描く。このとき、焼結助剤が含まれる場合には、焼結助剤を含む結晶を黒く塗りつぶす。トレースした画像を画像解析ソフト「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)の粒子解析という手法を用いて解析する。この解析によって、粒子の平均円相当径が得られる。
【0179】
柱状体19の平均粒径を板状体17の平均粒径よりも大きくする方法は適宜なものとされてよい。例えば、柱状体19の焼成の回数を板状体17の焼成の回数よりも多くしたり、及び/又は柱状体19の焼成の時間を板状体17の焼成の時間よりも長くしたりしてよい。なお、
図7を参照して説明した製造方法では、板状体17は、柱状体19と共に焼成されるだけであるのに対して(ステップST7)、柱状体19は、単独でも焼成されるから(ステップST4)、柱状体19の粒径は板状体17の粒径よりも大きくなりやすい。
【0180】
以上の実施形態及び変形例において、ヒータ1、201及び301それぞれはウェハ用部材の一例である。ヒータシステム101はウェハ用システムの一例である。抵抗発熱体27は内部導体の一例である。中継導体29Aは第1中継導体の一例である。中継導体29Bは第2中継導体の一例である。プレート流路17cは第1流路の一例である。上部流路19cは第2流路の一例である。接合材33は封止剤層の一例である。焼成前の板状体17は第2成形体の一例である。焼成後の板状体17は第2焼結体の一例である。焼成前の柱状体19は第1成形体の一例である。焼成後の柱状体19は焼結体又は第1焼結体の一例である。焼成後の板状体17及び焼成後の柱状体19の組み合わせは接合体の一例である。
【0181】
本開示に係るヒータは、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0182】
上述した実施形態及び変形例等は適宜に組み合わされてよい。例えば、第3実施形態の柱状体が突部を有さない構成と、第1及び第2実施形態の下部ピラーが設けられる構成とが組み合わされてもよい。また、例えば、第1実施形態のように柱状体19が多段の突部19eを有する場合において、
図10(b)の例のように、柱本体19dの上方の一部が板状体17の凹部17rに挿入されてもよい。
【0183】
実施形態では、ウェハ用部材として、加熱機能を有するセラミックヒータを例に取った。ただし、ウェハ用部材は、他の機能を有するものであってもよい。例えば、ウェハ用部材は、静電チャック、又はプラズマ発生用の構造体であってもよいし、これら及びヒータの2つ以上の組み合わせとして機能するものであってもよい。
【0184】
換言すれば、内部導体は、実施形態では加熱用の抵抗発熱体であったが、他の用途の導体であってよく、例えば、静電チャック用の電極、又はプラズマ発生用の電極であってもよい。ウェハ用部材は、これらの電極及び抵抗発熱体の1つ、又は2以上の組み合わせを有していてもよい。内部導体は、例えば、全体として、板状部の上面に沿って広がっている(上方に面している)といえる形状を有している導体である。また、例えば、平面視において内部導体全体を囲む最小の凸曲線を仮定したときに、当該凸曲線により囲まれた領域は、板状部の上面の6割以上又は8割以上を占める。
【0185】
下部ピラーの下部基体は、例えば、上端が塞がれたパイプ状とされてもよい。パイプの上端にてパイプの上方及びパイプ内に露出する端子が設けられ、この端子に上部ピラーの中継導体が接続されてよい。パイプ内には、端子に接続された配線導体が配置されてよい。この配線導体は、ロッド状の導体であってもよいし、可撓性を有する導体であってもよい。
【符号の説明】
【0186】
1…ヒータ(ウェハ用部材)、17…板状体、17a…上面、17b…下面、23…板状部、25…柱状部、27…抵抗発熱体(内部導体)、29…中継導体、29a…延在部。