(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】リスクレベルセットを使用した混雑環境のナビゲート
(51)【国際特許分類】
B60W 30/09 20120101AFI20220922BHJP
B60W 30/095 20120101ALI20220922BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20220922BHJP
B60W 10/18 20120101ALI20220922BHJP
B60W 10/04 20060101ALI20220922BHJP
B60W 10/20 20060101ALI20220922BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220922BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W30/095
B60W40/04
B60W10/18
B60W10/04
B60W10/20
G08G1/16 A
G01C21/34
(21)【出願番号】P 2020560919
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(86)【国際出願番号】 US2019032177
(87)【国際公開番号】W WO2019222182
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-07
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン,アリッサ
(72)【発明者】
【氏名】シュワーティング,ウィルコ
(72)【発明者】
【氏名】カラマン,サータック
(72)【発明者】
【氏名】ラス,ダニエラ・エル
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-170762(JP,A)
【文献】国際公開第2012/033173(WO,A1)
【文献】特開2006-154967(JP,A)
【文献】特開2017-182563(JP,A)
【文献】特開2017-091138(JP,A)
【文献】特開2010-018062(JP,A)
【文献】特表2017-535873(JP,A)
【文献】特開2003-063430(JP,A)
【文献】特開2009-169535(JP,A)
【文献】特開2002-042300(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167457(WO,A1)
【文献】再公表特許第2016/024318(JP,A1)
【文献】特開2010-173511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
B60W 10/00 ~ 10/30
G08G 1/00 ~ 1/16
G01C 21/26 ~ 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計画エージェントで使用するための方法であって、
前記計画エージェントの処理回路構成が、前記計画エージェントの近くの第1のエージェントを特定するステップと、
前記処理回路構成が、前記第1のエージェントの場所と、前記第1のエージェントの速度とを特定するステップと、
前記処理回路構成が、前記第1のエージェントの占有コストのセットを計算するステップであって、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記計画エージェントの近くの異なるそれぞれの場所に関連付けられ、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記第1のエージェントの前記場所と、前記第1のエージェントの前記速度とに依存するコスト関数に少なくとも部分的に基づいて計算され
、前記コスト関数は、前記第1のエージェントの前記速度を使用して、前記第1のエージェントの移動の方向に、占有コストの前記セットの分布を歪めるように構成される、ステップと、
前記処理回路構成が、前記占有コストの前記セットに基づいて、前記計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更するステップとを備える、方法。
【請求項2】
占有コストの前記セットにおける各占有コストはさらに、前記第1のエージェントの1つ又は複数の物理的寸法に基づく偏差を有するガウスピーク関数に基づいて計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計画エージェントは、道路の一部を移動する第1の自動車を含み、
前記第1のエージェントは、前記道路の前記一部を移動する第2の自動車を含み、
各占有コストは、前記道路の前記一部における異なる場所に関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理回路構成が、占有コストの前記セットに少なくとも部分的に基づいてグラフを生成するステップであって、前記グラフは、複数のノード及び複数のエッジを含み、前記複数のエッジのおのおののエッジは、前記複数のノードの異なるペアを接続し、前記複数のエッジのおのおのは、それぞれの重みに関連付けられる、ステップと、
前記処理回路構成が、前記グラフに基づいて、前記計画エージェントの移動経路を計算するステップであって、前記移動経路は、前記計画エージェントの現在の場所において開始し、前記計画エージェントの近くの第2の場所において終了し、前記移動経路は、前記複数のエッジに割り当てられた前記それぞれの重みに基づいて計算される、ステップとをさらに備え、
前記計画エージェントの移動の前記速度又は方向は、前記移動経路に少なくとも部分的に基づいて変更され、
前記複数のエッジのうちの少なくとも1つのエッジの前記それぞれの重みは、占有コストの前記セットの一部である1つ又は複数の占有コストに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
計画エージェントで使用するための方法であって、
前記計画エージェントの処理回路構成が、前記計画エージェントの近くの第1のエージェントを特定するステップと、
前記処理回路構成が、前記第1のエージェントの場所と、前記第1のエージェントの速度とを特定するステップと、
前記処理回路構成が、前記第1のエージェントの占有コストのセットを計算するステップであって、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記計画エージェントの近くの異なるそれぞれの場所に関連付けられ、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記第1のエージェントの前記場所と、前記第1のエージェントの前記速度とに依存するコスト関数に少なくとも部分的に基づいて計算される、ステップと、
前記処理回路構成が、前記計画エージェントの近くの複数の空白領域を特定するステップであって、各空白領域は、前記計画エージェントを受け入れるのに十分な領域を有する、ステップと、
前記処理回路構成が、占有コストの前記セットに基づいて、複数の占有スコアを、前記複数の空白領域に割り当てるステップであって、前記複数の占有スコアのおのおのの占有スコアは、前記複数の空白領域のうちの異なる空白領域に割り当てられる、ステップと、
前記処理回路構成が、前記複数の占有スコアの1つ又は複数の占有スコアに基づいて、前記複数の空白領域のうちの1つの空白領域を選択するステップ
と、
前記処理回路構成が、占有コストの前記セットに基づいて、前記計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更するステップとを含み、前記計画エージェントの移動の前記速度又は方向を変更するステップは、前記計画エージェントを、前記選択された空白領域に移行させるステップを含む
、方法。
【請求項6】
前記処理回路構成が、前記第1のエージェントの制動距離に関連付けられた前記第1のエージェントの特性を検出するステップと、
前記処理回路構成が、前記特性に少なくとも部分的に基づく占有コストしきい値を計算するステップとをさらに備え、
前記計画エージェントの移動の前記速度又は方向は、前記占有コストしきい値に基づいてさらに変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記処理回路構成が、前記計画エージェントの近くの第2のエージェントを特定するステップと、
前記処理回路構成が、前記第2のエージェントの場所と、前記第2のエージェントの速度とを特定するステップとをさらに備え、
占有コストの前記セットは、前記第2のエージェントにも関連付けられた、組み合わされた占有コスト係数のセットを含み、
前記コスト関数はさらに、前記第2のエージェントの前記場所と、前記第2のエージェントの前記速度とに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
計画エージェントであって、
1つ又は複数のセンサと、
加速システムと、
ステアリングシステムと、
前記加速システム及び前記ステアリングシステムに動作可能に結合された処理回路構成とを備え、前記処理回路構成は、
前記
計画エージェントの近くの第1のエージェントを特定するステップと、
前記第1のエージェントの場所と、前記第1のエージェントの速度とを特定するステップと、
前記第1のエージェントの占有コストのセットを計算するステップであって、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記
計画エージェントの近くの異なるそれぞれの場所に関連付けられ、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記第1のエージェントの前記場所と、前記第1のエージェントの前記速度とに依存するコスト関数に少なくとも部分的に基づいて計算され
、前記コスト関数は、前記第1のエージェントの前記速度を使用して、前記第1のエージェントの移動の方向に、占有コストの前記セットの分布を歪めるように構成される、ステップと、
占有コストの前記セットに基づいて、前記
計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更するステップと
を含む方法を実行するように構成される、計画エージェント。
【請求項9】
占有コストの前記セットにおける各占有コストはさらに、前記第1のエージェントの1つ又は複数の物理的寸法に基づく偏差を有するガウスピーク関数に基づいて計算される、請求項
8に記載の計画エージェント。
【請求項10】
前記計画エージェントは、道路の一部を移動する第1の自動車を含み、
前記第1のエージェントは、前記道路の前記一部を移動する第2の自動車を含み、
各占有コストは、前記道路の前記一部における異なる場所に関連付けられる、請求項
8に記載の計画エージェント。
【請求項11】
前記方法は、
占有コストの前記セットに少なくとも部分的に基づいてグラフを生成するステップであって、前記グラフは、複数のノード及び複数のエッジを含み、前記複数のエッジのおのおののエッジは、前記複数のノードの異なるペアを接続し、前記複数のエッジのおのおのは、それぞれの重みに関連付けられる、ステップと、
前記グラフに基づいて、前記計画エージェントの移動経路を計算するステップであって、前記移動経路は、前記計画エージェントの現在の場所において開始し、前記計画エージェントの近くの第2の場所において終了し、前記移動経路は、前記複数のエッジに割り当てられた前記それぞれの重みに基づいて計算される、ステップとをさらに
含み、
前記計画エージェントの移動の前記速度又は方向は、前記移動経路に少なくとも部分的に基づいて変更され、
前記複数のエッジのうちの少なくとも1つのエッジの前記それぞれの重みは、占有コストの前記セットの一部である1つ又は複数の占有コストに基づく、請求項
8に記載の計画エージェント。
【請求項12】
計画エージェントであって、
1つ又は複数のセンサと、
加速システムと、
ステアリングシステムと、
前記加速システム及び前記ステアリングシステムに動作可能に結合された処理回路構成とを備え、前記処理回路構成は、
前記計画エージェントの近くの第1のエージェントを特定するステップと、
前記第1のエージェントの場所と、前記第1のエージェントの速度とを特定するステップと、
前記第1のエージェントの占有コストのセットを計算するステップであって、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記計画エージェントの近くの異なるそれぞれの場所に関連付けられ、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記第1のエージェントの前記場所と、前記第1のエージェントの前記速度とに依存するコスト関数に少なくとも部分的に基づいて計算される、ステップと、
前記計画エージェントの近くの複数の空白領域を特定するステップであって、各空白領域は、前記計画エージェントを受け入れるのに十分な領域を有する、ステップと、
占有コストの前記セットに基づいて、複数の占有スコアを、前記複数の空白領域に割り当てるステップであって、前記複数の占有スコアのおのおのの占有スコアは、前記複数の空白領域のうちの異なる空白領域に割り当てられる、ステップと、
前記複数の占有スコアの1つ又は複数の占有スコアに基づいて、前記複数の空白領域のうちの1つの空白領域を選択するステップと
、
占有コストの前記セットに基づいて、前記計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更するステップと
を
含む方法を実行するように構成され、
前記計画エージェントの移動の前記速度又は方向を変更するステップは、前記計画エージェントを、前記選択された空白領域に移行させるステップを含む
、計画エージェント。
【請求項13】
前記方法は、
前記第1のエージェントの制動距離に関連付けられた前記第1のエージェントの特性を検出するステップと、
前記特性に少なくとも部分的に基づく占有コストしきい値を計算するステップとをさらに
含み、
前記計画エージェントの移動の前記速度又は方向は、前記占有コストしきい値に基づいてさらに変更される、請求項
8に記載の計画エージェント。
【請求項14】
前記方法は、
前記計画エージェントの近くの第2のエージェントを特定するステップと、
前記第2のエージェントの場所と、前記第2のエージェントの速度とを特定するステップとをさらに
含み、
占有コストの前記セットは、前記第2のエージェントにも関連付けられた、組み合わされた占有コスト係数のセットを含み、
前記コスト関数はさらに、前記第2のエージェントの前記場所と、前記第2のエージェントの前記速度とに基づく、請求項
8に記載の計画エージェント。
【請求項15】
計画エージェントの処理回路構成によって実行されると、計画エージェントにおける使用のために、前記処理回路構成に、
前記計画エージェントの近くの第1のエージェントを特定するステップと、
前記第1のエージェントの場所と、前記第1のエージェントの速度とを特定するステップと、
前記第1のエージェントの占有コストのセットを計算するステップであって、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記計画エージェントの近くの異なるそれぞれの場所に関連付けられ、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記第1のエージェントの前記場所と、前記第1のエージェントの前記速度とに依存するコスト関数に基づいて少なくとも部分的に計算され
、前記コスト関数は、前記第1のエージェントの前記速度を使用して、前記第1のエージェントの移動の方向に、占有コストの前記セットの分布を歪めるように構成される、ステップと、
占有コストの前記セットに基づいて、前記計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更するステップと
を備える方法を実行させる1つ又は複数のプロセッサ実行可能命令を格納する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
占有コストの前記セットにおける各占有コストはさらに、前記第1のエージェントの1つ又は複数の物理的寸法に基づく偏差を有するガウスピーク関数に基づいて計算される、請求項
15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記計画エージェントは、道路の一部を移動する第1の自動車を含み、
前記第1のエージェントは、前記道路の前記一部を移動する第2の自動車を含み、
各占有コストは、前記道路の前記一部における異なる場所に関連付けられる、請求項
15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記方法は、
占有コストの前記セットに少なくとも部分的に基づいてグラフを生成するステップであって、前記グラフは、複数のノード及び複数のエッジを含み、前記複数のエッジのおのおののエッジは、前記複数のノードの異なるペアを接続し、前記複数のエッジのおのおのは、それぞれの重みに関連付けられる、ステップと、
前記グラフに基づいて、前記計画エージェントの移動経路を計算するステップであって、前記移動経路は、前記計画エージェントの現在の場所において開始し、前記計画エージェントの近くの第2の場所において終了し、前記移動経路は、前記複数のエッジに割り当てられた前記それぞれの重みに基づいて計算される、ステップとをさらに備え、
前記計画エージェントの移動の前記速度又は方向は、前記移動経路に少なくとも部分的に基づいて変更され、
前記複数のエッジのうちの少なくとも1つのエッジの前記それぞれの重みは、占有コストの前記セットの一部である1つ又は複数の占有コストに基づく、請求項
15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
計画エージェントの処理回路構成によって実行されると、計画エージェントにおける使用のために、前記処理回路構成に、
前記計画エージェントの近くの第1のエージェントを特定するステップと、
前記第1のエージェントの場所と、前記第1のエージェントの速度とを特定するステップと、
前記第1のエージェントの占有コストのセットを計算するステップであって、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記計画エージェントの近くの異なるそれぞれの場所に関連付けられ、占有コストの前記セットにおける各占有コストは、前記第1のエージェントの前記場所と、前記第1のエージェントの前記速度とに依存するコスト関数に基づいて少なくとも部分的に計算される、ステップと、
占有コストの前記セットに基づいて、前記計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更するステップと、
前記計画エージェントの近くの複数の空白領域を特定するステップであって、各空白領域は、前記計画エージェントを受け入れるのに十分な領域を有する、ステップと、
占有コストの前記セットに基づいて、複数の占有スコアを、前記複数の空白領域に割り当てるステップであって、前記複数の占有スコアのおのおのの占有スコアは、前記複数の空白領域のうちの異なる空白領域に割り当てられる、ステップと、
前記複数の占有スコアの1つ又は複数の占有スコアに基づいて、前記複数の空白領域のうちの1つの空白領域を選択するステップと
を備える方法を実行させる1つ又は複数のプロセッサ実行可能命令を格納する、非一時的なコンピュータ可読媒体であって、
前記計画エージェントの移動の前記速度又は方向を変更するステップは、前記計画エージェントを、前記選択された空白領域に移行させるステップを含む
、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記方法は、
前記第1のエージェントの制動距離に関連付けられた前記第1のエージェントの特性を検出するステップと、
前記特性に少なくとも部分的に基づく占有コストしきい値を計算するステップとをさらに備え、
前記計画エージェントの移動の前記速度又は方向は、前記占有コストしきい値に基づいてさらに変更される、請求項
15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記方法は、
前記計画エージェントの近くの第2のエージェントを特定するステップと、
前記第2のエージェントの場所と、前記第2のエージェントの速度とを特定するステップとをさらに備え、
占有コストの前記セットは、前記第2のエージェントにも関連付けられた、組み合わされた占有コスト係数のセットを含み、
前記コスト関数はさらに、前記第2のエージェントの前記場所と、前記第2のエージェントの前記速度とに基づく、請求項
15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
占有コストの前記セットはガウスピーク関数に基づいてさらに計算され、前記計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの前記少なくとも1つは占有コストしきい値に基づいてさらに変更され、前記占有コストしきい値は制動距離及び前記ガウスピーク関数の偏差に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記占有コストしきい値は、
【数1】
によって定義され、
ここで、H
T
は前記占有コストしきい値であり、R
b
は前記計画エージェントの前記制動距離であり、σ
u
は前記ガウスピーク関数の前記偏差である、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リスクレベルセットを使用した混雑環境のナビゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]当技術分野で知られているように、自動運転車(autonomous vehicle)を使用する傾向にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部の場所(たとえば、都市や人口の多い環境など)では、自動運転車は、頻繁に変化し、混雑し、雑然とした環境で動作することになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0002]本明細書で説明される概念、システム、及び技法によれば、動的環境をうまくナビゲートするために、最初に環境内の混雑のレベルを定量化することが認識された。環境の混雑が分かると、エージェントは、環境内の障害物や他のエージェントとの衝突を回避するような制御則(control law)を選択し得る。
【0005】
[0003]開示されるものは、自律エージェントが移動している環境内の異なる場所でのリスクのレベルを定量化する占有コストセットに基づいて、混雑し雑然とした環境にわたって、自律エージェントをナビゲートするための改良された技法である。リスクレベルセットを使用すると、エージェント(たとえば、以下で詳細に説明する車両又は他のマシン)の制御スペースが削減され、衝突の回避が容易になる。開示される技法は、雑然とした環境の探索、又は、群衆又は交通におけるナビゲートを必要とするアプリケーションにおいて特に有用である。障害物の数が変化する可能性がある状況では、開示される技法は、環境の密度に対応して、エージェントへの混雑のメトリックの提供と、制御スペースの調整との両方を行う。
【0006】
[0004]本開示の態様によれば、計画エージェント(planning agent)で使用するための方法が提供され、この方法は、計画エージェントの近くの(in a vicinity of)第1のエージェントを特定することと、第1のエージェントの場所を特定することと、第1のエージェントの占有コストのセットを計算することと、占有コストのセット(set of occupancy costs)に基づいて、計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更することとを備える。
【0007】
[0005]本開示の態様によれば、装置の近くの第1のエージェントを特定し、第1のエージェントの場所と、第1のエージェントの速度とを特定し、第1のエージェントの占有コストのセットを計算し、占有コストのセットに基づいて、装置の移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更するように構成された処理回路構成、を備える装置が提供される。
【0008】
[0006]本開示の態様によれば、計画エージェントの処理回路構成によって実行されると、処理回路構成に対して、計画エージェントの近くの第1のエージェントを特定することと、第1のエージェントの場所を特定することと、第1のエージェントの占有コストのセットを計算することと、占有コストのセットに基づいて、計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更することとからなる動作を実行させる1つ又は複数のプロセッサ実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0009】
[0007]本開示の態様によれば、計画エージェント(たとえば、経路を計画するエージェント)で使用するための方法が提供され、この方法は、計画エージェントの近くの第1のエージェントを特定することと、第1のエージェントの場所と、第1のエージェントの速度とを特定することと、第1のエージェントの占有コストのセットを計算することであって、占有コストのセットにおける各占有コストは、計画エージェントの近くの異なるそれぞれの場所に関連付けられ、占有コストのセットにおける各占有コストは、第1のエージェントの場所と、第1のエージェントの速度とに依存するコスト関数に少なくとも部分的に基づいて計算される、計算することと、占有コストのセットに基づいて、計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更することとを備える。
【0010】
[0008]本開示の態様によれば、加速システムと、ステアリングシステムと、加速システム及びステアリングシステムに動作可能に結合された処理回路構成とを備え、処理回路構成は、装置の近くの第1のエージェントを特定することと、第1のエージェントの場所と、第1のエージェントの速度とを特定することと、第1のエージェントの占有コストのセットを計算することであって、占有コストのセットにおける各占有コストは、装置の近くの異なるそれぞれの場所に関連付けられ、占有コストのセットにおける各占有コストは、第1のエージェントの場所と、第1のエージェントの速度とに依存するコスト関数に少なくとも部分的に基づいて計算される、計算することと、占有コストのセットに基づいて、装置の移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更することとを行うように構成される、装置が提供される。
【0011】
[0009]本開示の態様によれば、計画エージェントの処理回路構成によって実行されると、処理回路構成に対して、計画エージェントの近くの第1のエージェントを特定することと、第1のエージェントの場所と、第1のエージェントの速度とを特定することと、第1のエージェントの占有コストのセットを計算することであって、占有コストのセットにおける各占有コストは、計画エージェントの近くの異なるそれぞれの場所に関連付けられ、占有コストのセットにおける各占有コストは、第1のエージェントの場所と、第1のエージェントの速度とに依存するコスト関数に基づいて少なくとも部分的に計算される、計算することと、占有コストのセットに基づいて、計画エージェントの移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更することとからなる動作を実行させる1つ又は複数のプロセッサ実行可能命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。
【0012】
[00010]概念、システム、及び技法の1つの態様では、雑然とした環境をナビゲートするためのリスクレベルセットの使用が説明される。他の障害物及びエージェントの場所と、環境内でのそれらの動きとの両方から、混雑のレベルを定量化するコスト関数が導入される。このコスト関数によって、環境内のポイントの占有率を測定し、その占有率を、そのポイントにナビゲートしようとするエージェントのリスクの測定値にマッピングできる。エージェントは、コスト関数を通じて確立されたレベルセットから、リスクしきい値を選択できる。構造上(by construction)、保守的なエージェントは、より低いリスクしきい値を選択し、積極的なエージェントは、より高いリスクしきい値を選択する。エージェントは、このセット内で任意の制御アクションを行うことが許可され、そうすることで、エージェントは、他のエージェントや障害物との衝突を回避することを保証される。
【0013】
[0011]本明細書で説明されるアプローチは、マルチエージェントシステムにおける多くのアプリケーションに有用である。リスクレベルセットを使用すると、エージェントの制御スペースを削減し、衝突回避の可能性が高まる(そして、理想的には、保証する)。これは、雑然とした環境の探索やナビゲーション、又は群衆又は交通のナビゲーションを必要とするアプリケーションにおいて特に有用である。障害物の数が変化する可能性がある状況では、本明細書で説明される技法は、環境の密度に対応して、エージェントへの混雑のメトリックの提供と、制御スペースの調整との両方を行う。いくつかの実施では、制御スペースは、システムが、定義されたレベルセット内に留まるように、システムへのすべての有効な制御入力のセットを含み得る。
【0014】
[0012]1つの態様では、リスクレベルセットが自動運転車に適用され得る方式。自動運転車が日常生活に完全に溶け込むためには、他の人間の運転者と対話し、日常の交通シナリオに対応する必要がある。高速道路のナビゲーションの場合、自動運転車は、道路沿いの様々なレベルの交通及び混雑に適応する必要がある。一例では、高速道路に沿った車線変更のシーケンスを計画する自動運転車の問題は、本明細書で説明される技法の1つの態様を実証するために使用される。車両は、混雑コストメトリックを使用して、道路上の混雑のレベルを迅速に評価できる。車線変更のシーケンスを計画するために、この技法は、コストを、計画範囲(planning horizon)に沿って重み付けられたグラフにマッピングし、ダイクストラのアルゴリズム(Djikstra’s Algorithm)を使用して、他の車との衝突を避けながら、交通による最速ルートを見出す。本明細書で説明されるリスクレベルセットの定式化(risk level set formulation)を使用して、エージェントのリスクしきい値の選択が、変化する挙動としてどのように現れるかを実証することができ、リスクしきい値がより低い保守的な運転者は、車線変更が少なくなり、リスクしきい値がより高い積極的な運転者は、より多くの車線変更を試みるであろう。
【0015】
[0013]この要約は、以下の詳細説明でさらに説明される簡略形式で、概念の選択を紹介するために提供されることが理解されよう。この要約は、特許請求された主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求された主題の範囲を限定するために使用されることも意図されていない。
【0016】
[0014]特許請求された発明の他の態様、特徴、及び利点は、以下の詳細説明、添付の特許請求の範囲、及び同様の参照番号が類似又は同一の要素を特定する添付の図面からより十分に明らかになるであろう。図面に関連して明細書に導入された参照番号は、他の特徴の文脈を提供するために、明細書における追加の説明なく、1つ又は複数の後続の図面において繰り返され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】[0015]本開示の態様による、計画エージェントの例の図である。
【
図1B】[0016]本開示の態様による、
図1Aの制御ユニットの図である。
【
図2】[0017]本開示の態様による、
図1Aの計画エージェントの動作を示す図である。
【
図3A】[0018]本開示の態様による、
図1Aの計画エージェントに関連付けられた占有コストのペアワイズセット(pairwise set of occupancy cost)の例を示す図である。
【
図3B】[0019]本開示の態様による、
図3Aの占有コストのペアワイズセットに関連付けられた
図1Aの計画エージェントの計画範囲内の複数の場所を示す図である。
【
図3C】[0020]本開示の態様による、
図3Aの占有コストのペアワイズセットを計算するためのプロセスの例のフローチャートである。
【
図4A】[0021]本開示の態様による、異なるペアワイズ占有コストセットを組み合わせることによって生成される占有コストのセットの例を示す図である。
【
図4B】[0022]本開示の態様による、
図4Aの占有コストセットを計算するためのプロセスの例のフローチャートである。
【
図5A】[0023]本開示の態様による、占有コストのセットに基づいて計画エージェントをナビゲートするためのプロセスの動作を示す図である。
【
図5B】[0024]本開示の態様による、占有コストのセットに基づいて計画エージェントをナビゲートするための
図5Aのプロセスのフローチャートである。
【
図6A】[0025]本開示の態様による、占有コストのセットに基づいて計画エージェントをナビゲートするための別のプロセスの動作を示す図である。
【
図6B】[0026]本開示の態様による、占有コストのセットに基づいて計画エージェントをナビゲートするための
図6Aのプロセスのフローチャートである。
【
図7】[0027]本開示の態様による、六角形のパッキングパターン(hexagonal packing pattern)の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0028]本開示の態様によれば、モデルの例は、環境内の異なる場所に関連付けられた占有スコアを計算するか、さもなければ決定するために提供される。モデルは、計画エージェントが、計画エージェントの周囲の様々な場所のそれぞれの占有スコアを決定するために使用され、モデルは、(i)計画エージェントの位置及び1つ又は複数の他の特性と、(ii)計画エージェントの近くに位置する少なくとも1つの近隣エージェントのそれぞれの位置及び1つ又は複数の他の特性とを考慮する。モデルによれば、計画エージェントの近くの近隣エージェントは、動的障害物として取り扱われる。環境では、環境
【0019】
【0020】
であり、Q内のポイントがqで表される。環境内のn個のエージェントについて、各エージェントの位置は、i∈{1,・・・,n}の場合、モデル内でxiとして示される。モデルによれば、計画エージェントは、位置がxeで示される計画エージェントである。このモデルは、
【0021】
【0022】
になるように、すべてのエージェントがダブルインテグレータのダイナミクス(double-integrator dynamic)を有することを前提としており、ここで、uiは各エージェントの制御入力である。いくつかの実施では、モデルは、
【0023】
【0024】
及び
【0025】
【0026】
となるように、すべてのエージェントが最大の速度及び加速度を有することも前提としており、ここで、ai及びviは、それぞれ最大の加速度及び速度である。
[0029]モデルは、ある場所でのエージェントの密度と、それらの意図された動きの方向との両方を捕捉する占有コストHを導入する。コストは、環境内のすべてのエージェントに基づいて計算され、以下の式2によって定義される。
【0027】
【0028】
ここで、Ωは、標準偏差の逆二乗の対角行列であり、xiは、近隣エージェント(たとえば、計画エージェントの近くにあるエージェント)の場所であり、qは、コストが計算される道路上の場所である。
【0029】
【0030】
では、
【0031】
【0032】
である。Hの構造は、ロジスティック関数(logistic function)を乗じられたガウスピークであることに注意されたい。
図5A及び
図5Bに示されるように、ガウスピークは、所定の将来の期間(たとえば、次の5秒)におけるエージェントの位置の推定値を表す一方、ロジスティック関数は、この推定値を、速度の方向に歪める。速度によって位置を歪めることにより、占有コストHは、エージェントの動きの直接経路におけるポイントに沿ってより高くなり、そうでない場合は、より低くなる。
【0033】
[0030]このモデルによれば、コスト関数は、システム内の他のエージェントの意図の代用として使用される。非常に雑然とした混雑した環境では、計画エージェントが、システム内の他のすべてのエージェントの制御則を(常に)知ることは非現実的である。これに関して、モデルは、近隣エージェントのそれぞれの観察された速度及び/又は加速度にのみ基づいて、位置を計算することを可能にするので、本モデルを使用してエージェントの位置を計算することは有利である。Hは、計画エージェントのローカル基準フレームで定義されるので、これらそれぞれの速度及びそれぞれの加速度は、いくつかの実施では、計画エージェントの位置に対して表現され得る。
【0034】
[0031]いくつかの実施では、モデルは、(たとえば、計画エージェント以外の)すべてのエージェントが、自己保存的(self-preserving)であることを前提とする。自己保存エージェントの前提の下で、衝突回避を保証するためのエージェントの適切なリスクしきい値を見出すことが可能である。これに関して、本開示は、エージェントがそのしきい値を下回ったままである場合、衝突を回避することが保証されるいくつかのコストしきい値があることを提案する。衝突が発生するコストをHCで定義する。自己保存エージェントの場合、目標は、エージェントがこのコストを超えないようにすることである。システムのダイナミクスを考えると、コストしきい値HTは、最大しきい値として定義され得、ここで、HT<HCである。エージェントが、このコスト内に留まる場合、衝突を回避するために常に十分な停止距離があるであろう。最後に、エージェントの計画しきい値HPが定義され得、ここで、HP≦HTである。エージェントが、最大許容リスクを選択した場合、HP=HTであるが、より低いリスクを選択したエージェントの場合、HP<HTである。
【0035】
[0032]いくつかの実施では、計画しきい値HPの確立は、
【0036】
【0037】
のように定義された特定の環境について、H<HPのすべての値を選択することによって、リスクレベルセットが構築されることを可能にし、ここで、xeは、計画エージェントの場所であり、qは、道路上の場所であり、
【0038】
【0039】
は、近隣エージェントの速度である。
[0033]本開示によれば、そのリスクレベルセット
【0040】
【0041】
内でアクションを計画することによって、エージェントは、他のすべてのエージェント及び障害物との衝突を回避できる場合がある。この提案をサポートするために、システムの様々なリスクしきい値を定義する一連の証明が以下に提示される。一連の証明は、以下に定義される主題(lemma)1、主題2、及び定理(theorem)2に関して提示される。主題1は、衝突前の最大コストHCを分析的に考案できることを示す。主題2は、計画しきい値HTを定義するための定式的な方法を提供する。そして定理1は、エージェントが
【0042】
【0043】
内で出発した場合に、リスクレベルセット内で将来のすべてのアクションを計画し、コストがHCを超えることはないため、衝突を回避できることを示す。2エージェントシステムから、これらの結果を、システム内の複数のエージェント及び障害物に拡張することができる。
【0044】
[0034]2エージェントシステム
[0035]計画エージェント(たとえば、xeに位置する、及びxiに位置する別のエージェント)を備える2エージェントシステムについて検討する。一般性を失うことなく、システムのダイナミクスは、計画エージェントが原点(origin)で静止して見えるように表現され得る。この変更された基準フレームでは、viは、xiの速度として定義され、aiは、xiの加速度として定義される。これらのダイナミクスを使用して、Rbは、その最大速度
【0045】
【0046】
で走行するときのxiの制動距離(braking distance)として、及びrcは、その範囲を囲む車両の安全半径(safety radius)として定義される。したがって、衝突は、||d||≦rcのときに定義される。
【0047】
[0036]制御アクションを選択するために、コストは、計画エージェントの場所で計算される必要がある。xeが原点になるように変更された座標フレームで、d=(xe-xi)を表現する。2エージェントシステムのコストは、次のように記述される。
【0048】
【0049】
[0037]我々の計画エージェントが衝突を回避するために、2つのエージェント間の距離は、||d||>rcを満たす必要がある。定理1では、Hの特性により、衝突回避は、コストHが、最大コストHCを超えないことを意味することも示される。車両の安全半径であるrcから、次の主題はHCの計算を要約する。
【0050】
[0038]主題1。(3)で定義されたコストHを有する2エージェントシステムの場合、衝突前の最大コストHCは、以下の式5にしたがって定義される。
【0051】
【0052】
であり、ここで
【0053】
【0054】
である。
[0039]証明。衝突前のHCの最大値を計算するために、||d||=rcの場合にHを評価する。uiが単位ベクトル
【0055】
【0056】
を表すものとする。安全半径は、rcuと記述される。これをコストの式に代入すると、次のようになる。
【0057】
【0058】
uTΩuの値は、uの方向に依存することに注意されたい。
【0059】
【0060】
を定義する。
【0061】
【0062】
から、
【0063】
【0064】
となる。HCの値は、分母の
【0065】
【0066】
の値に依存する。HCの最大値を見出すために、分母の最小値を見出す必要がある。
【0067】
【0068】
の値は、
【0069】
【0070】
とuとの間の関係に依存することにも注意されたい。xiが移動してxeから離れる場合、
【0071】
【0072】
となり、Hの全体的な値を、ゼロに向ける。したがって、
【0073】
【0074】
は、
【0075】
【0076】
の場合に増加し、ここで、vは速度の大きさである。最大速度viが与えられると、
【0077】
【0078】
のようになる。HCは、
【0079】
【0080】
の最大値であるため、
【0081】
【0082】
となり、これは、(式5)と等価である。
[0040]主題1から、エージェントがその安全半径でその最大速度で移動している場合に、最大コストHCが発生することが分かる。瞬時に停止できるシングルインテグレータのダイナミクスの車両の場合、我々のエージェントは、このしきい値に基づいてレベルセットを生成し、衝突を回避できる。しかしながら、エージェントが瞬時に停止できない場合は、HCのコストによって、衝突が発生する。代わりに、最小制動距離が与えられた場合に、衝突を防ぐコストの値を見出す必要もある。制動距離Rbの場合、主題2は、最大しきい値コストHTを定義する。我々の計画されたリスクしきい値HP≦HTを選択する場合、HTを使用する。
【0083】
[0041]主題2。(3)で定義されたコストHの2エージェントシステムの場合、衝突を回避するための最大しきい値HTが定義され、
【0084】
【0085】
ここで、σu=max{σx,σy}である。
[0042]証明。主題1と同様に、最大しきい値コストは、安全な制動距離を保証するための要件を探索することで見出され得る。Rbは、xiの制動距離であり、xeと衝突しないことを思い出して頂きたい。自己保存を保証するために、しきい値コストは、この距離||d||=RbにおけるHの最小値になるであろう。単位ベクトル
【0086】
【0087】
の場合、
【0088】
【0089】
となる。主題1では、HCを計算するために、Hの最大値が見出された。しかしながら、主題2では、HTを計算するために、Hの最小値が見出される。uTΩuの値は、σx及びσyの方位及び値に依存することに注意されたい。しかしながら、σu=max{σx,σy}の場合、
【0090】
【0091】
であることが知られている。ここで、Hの値は、分母(たとえば、
【0092】
【0093】
など)が増加するにつれて減少することが観察できる。いくつかの正の定数cについては、exp(-c)≦1であることに注意されたい。分母の最大値は、
【0094】
【0095】
の場合に発生する。u方向の速度があると、Hの値が大きくなる。したがって、
【0096】
【0097】
である。
【0098】
【0099】
の最小値をHTとして選択することにより、(式6)の式が見出される。
[0043]本開示の態様によれば、衝突を回避するために、計画エージェントは
【0100】
【0101】
内に留まり、リスクレベルセットは、HP≦HTの選択によって(式3)で定義される。構造上、HPの選択された値は、計画エージェントが、他のエージェントの次にどれだけ近いのかと相関していることが分かる。直感的には、HPの値が小さいほど、計画エージェント(と他のエージェント)との間の分離が大きいため、「リスクの少ない」操作に対応する。定理1では、
【0102】
【0103】
において出発するエージェントの場合、このリスクレベルセットを下回るアクションを計画するだけで、コストがHCを超えることはないことが実証される。
[0044]定理1。初期コストH<HPで出発し、
【0104】
【0105】
によって定義されたポイントのセット内で動作する計画エージェントの場合、総コストがHCを超えることはない。
証明。計画車両xeと他の車両xiとを備え、すべてのダイナミクスが、エゴ車両が原点で静止しているように見えるように記述された2エージェントシステムについて検討する。初期コストがHTを下回るとすると、||d||>Rbは、他の車両の制動距離であることが分かる。コストがHCを超えないことを証明するために、そのダイナミクスが検討される。
【0106】
【0107】
を思い出して頂きたい。次に、関数
【0108】
【0109】
について検討する。ここで、vmaxは、
【0110】
【0111】
の速度の最大の大きさであり、rは2つのエージェント間の距離、r=||d||である。調査により、
【0112】
【0113】
であり、||d||=rcの場合、W(rc)=HCである。Wの導関数は
【0114】
【0115】
である。導関数から、
【0116】
【0117】
は、rが増加しても、常に減少するとは限らない。
【0118】
【0119】
は、
【0120】
【0121】
のように書き直すことができ、ここで、
【0122】
【0123】
である。
【0124】
【0125】
の符号は、
【0126】
【0127】
となるようなαの選択に依存する。したがって、rc、σm、及びvmaxの値が与えられると、r>rcの場合、
【0128】
【0129】
となるようなαを選択できる。
[0045]W(r)は、||d||>rcの場合、常にHより大きく、rを増加させる場合、
【0130】
【0131】
であるので、任意の||d||>rcについて、
【0132】
【0133】
である。したがって、エージェントが衝突しない限り、コスト
【0134】
【0135】
はHCを超えることはない。
【0136】
【0137】
内で動作するエージェントの場合、
【0138】
【0139】
に留まるためには、H(・)<HP<HCとなるようなポイントを選択するだけでよいので、
【0140】
【0141】
で出発するどのエージェントも、H>HCとなるアクションを選択することはなく、定理1の主張を完結する。
[0046]定理1に示されるように、
【0142】
【0143】
内で出発するエージェントは、衝突しきい値HCを超えることはない。システム内のすべてのエージェントが、それぞれのしきい値
【0144】
【0145】
内に留まる場合、すべてのエージェントがこれらのセットを離れることはない。しかしながら、本例は、システム内のすべてのエージェントが、同じ制御則を使用していることを前提としない。むしろ、本例では、エージェントが自己保存していることのみを前提とする。この特性によって、計画エージェントが、HPよりも大きいが、HTを超えることはないコストを経験する状況が発生する可能性がある。環境内の他のエージェントの直後にある計画エージェントのシナリオについて検討する。他のエージェントが急ブレーキをかけた場合、計画エージェントは他のエージェントに向かって移動するため、コストが増加する。しかしながら、HTは制動距離を含むように選択されるので、計画エージェントは、H>HPを確認するとすぐに、衝突を回避してH<HCを維持するためにブレーキを開始できる。
【0146】
[0047]マルチエージェントシステム
[0048]2つのエージェントについて定理1からの主張を使用して、このセクションは、それらの結果を、環境内の複数のエージェントに拡張する。2つのエージェントのために、本開示は、Hを導入した。これは、他のエージェントの位置を、環境内の占有コストにマッピングし、リスクしきい値と
【0147】
【0148】
との定義を可能にする。複数のエージェントを考慮する場合、単純なアプローチは、すべてのエージェントを、多くのペアワイズ相互作用と見なすことである。i={1,・・・,n}の他のエージェントの場合、di=(xe-xi)、
【0149】
【0150】
を、2つのエージェント間のしきい値とし、Hc,iを、衝突コストとする。リスクレベルセットは
【0151】
【0152】
であり、その後、すべてのペアワイズレベルセットの交わり
【0153】
【0154】
として表すことができ、ここで、
【0155】
【0156】
は、(2)において定義される。このように定義された場合、推論(corollary)1は、定理1の主張を、マルチエージェントシナリオに拡張する。
[0049]推論1。計画エージェントxeと、位置xiを有するn個のエージェントのグループについて、
【0157】
【0158】
は、エージェントxeの計画セットを表すものとする。
【0159】
【0160】
内で計画することによって、エージェントxeは、環境内の他のn個すべてのエージェントとの衝突を回避する。
[0050]証明。構造上、
【0161】
【0162】
は、すべてのペアワイズリスクセットの交わりである。ポイントqがこのセットに含まれるためには、個々のエージェントのコストは、
【0163】
【0164】
となる。定理1により、計画エージェントが、このリスクしきい値内で計画する場合、最大ペアワイズコストは、Hc,iを超えることはなく、計画エージェントが、エージェントxiと衝突しないことを保証する。このペアワイズアプローチにより、計画エージェントは、すべてのエージェントとの衝突を回避する。
【0165】
[0051]一方、すべての個々のセットの交わりが、多くのエージェントにとって扱いにくいものになるので、推論1は、
【0166】
【0167】
を計算するために、ペアワイズ方式で衝突を回避するための方法を実証する。代わりに、環境全体にわたって単一のコストを計算し、そのコスト内の単一のリスクレベルセットを見出すことが望ましい場合がある。コストは、環境内のすべてのエージェントの総和として考慮されたい。
【0168】
【0169】
とする。
[0052]ここで、nは、フィールド内の他のエージェントの数であり、d
i=(x
e-x
i)は、計画エージェントx
eと他のエージェントx
iとの間のペアワイズ距離である。ここでは、Ω、α、v
max、及び衝突半径r
cが、グループ内のすべてのエージェントに対して等しいことが前提とされる。すべてのエージェントが、同じ安全半径を有しているとの前提から、コストのレベルセットは、円パッキング問題(circle-packing problem)から決定され得ることが示され得る。安全半径r
cのすべてのエージェントにとって、六角形のパッキングパターンが、エージェントの最密配置であることが分かる。このパターンでは、
図7に示すように、半径r
cの他の最大6つのエージェントが、計画エージェントの周りに配置され、別の12のエージェントが、計画エージェントから2r
cの距離内に配置される。
【0170】
[0053]この六角形のパターンから、ともにパッキングされたすべてのエージェントの最悪シナリオに基づいて、計画エージェントが遭遇する可能性のある最大コストHCが概算され得る。
【0171】
【0172】
が分かる。
[0054]この概要では、6つのエージェントが、
図7におけるハッチングで陰影付けられたr
cにおいて配置される。
図7に示されるように、さらに6つのエージェントが、ドットで陰影付けられた距離1.5r
cであり、6つのエージェントが、白で示されるように距離2r
c離れている。この計算は、六角形のパターンで、計画エージェントの周囲に、より多くのエージェントを追加することで拡張される。H
Cの概算値は、エージェントの数とパッキング密度とによって決定されることに注意されたい。非常に雑然とした環境における実用的な目的のために、H
Cは固定数のエージェントによって概算され得る。同様に、
【0173】
【0174】
のように、複数のエージェントについて、(式6)からHTを概算できる。
[0055]計画の目的で、級数展開を切り捨てることによってHTを概算することで、より保守的な推定をもたらすであろう。たとえば、
【0175】
【0176】
とすることで、環境内のn≧6の他のエージェントの任意のグループサイズについて、H
P<H
Tを保証するだろう。
[0056]次に
図1Aに示されるように、計画エージェント100の例は、ブレーキシステム104、ステアリングシステム106、及び加速システム108に動作可能に結合された制御ユニット102を含む。いくつかの実施では、計画エージェント100は、人間の運転者からの入力なしに(又は制限されて)、ある地点から別の地点に移動(たとえば、運転)するように構成され得る。この例によれば、計画エージェント100は自動車である。しかしながら、計画エージェント100が、トラック、オートバイ、バス、ボート、飛行機、ヘリコプタ、芝刈り機、レクリエーション車両、遊園地車両、農機具、建設機械、トラム、ゴルフカート、電車、トロリー、グライダ、倉庫設備、工場設備、車椅子、移動補助具、及び/又は、他の任意の適切なタイプのデバイス又はシステムである代替実施が可能である(すなわち、計画エージェント(又は任意のエージェント)は、陸上、水上、空中ベースの車両、又は制御可能な任意の機械や他の機器であり得る)。
【0177】
[0057]制御ユニット102は、計画エージェント100の動作を制御するための1つ又は複数のコンピューティングシステムを含み得る。制御ユニット102は、ブレーキシステム104、ステアリングシステム106、及び加速システム108と相互作用して、適切な制御信号を提供することによって計画エージェント100を減速、停止、操舵、又は加速させるように構成され得る。ステアリングシステム106は、計画エージェントにその進行方向を変更させることができる任意の適切なタイプのシステムを含み得る。たとえば、ステアリングシステム106は、ラックアンドピニオン(rack-and-pinion)ステアリングシステム又はウォームアンドローラ(warm-and-roller)ステアリングシステムを含み得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施において(たとえば、計画エージェント100が車椅子である事例において)、ステアリングシステムは、計画エージェントの異なるホイールが回転する速度を変更することによって実施され得る。加速システム106は、計画エージェントを加速させることができる任意の適切なタイプのシステムを含み得る。たとえば、加速システム106は、計画エージェント100、スロットル制御などの一部である1つ又は複数のアクチュエータ(たとえば、エンジン、モータなど)を含み得る。
【0178】
[0058]次に
図1Bに示されるように、例示的な制御ユニット102は、メモリ120、センサ130、及び無線140に動作可能に結合された処理回路構成110を含む。処理回路構成110は、1つ又は複数の汎用プロセッサ(たとえば、ARMベースのプロセッサ)、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(FPGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び/又は、他の任意の適切なタイプの処理回路構成を含み得る。メモリ120は、任意の適切なタイプの揮発性及び/又は不揮発性メモリを含み得る。いくつかの実施では、メモリ120は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ソリッドステートドライブ(SDD)、フラッシュメモリ、ハードディスク(HD)、フラッシュメモリなどを含み得る。
【0179】
[0059]センサ130は、マイクロフォン、カメラ、計画エージェント100のピッチ、ヨー、又はロールを検出するためのセンサ、レーザスキャナ、ソナー、RADAR、LIDAR、及び/又は、道路上の障害物及び/又は他の車両を検出するための他の任意の適切なタイプのデバイスのうちの1つ又は複数を含み得る。いくつかの実施では、センサ130のいずれかは、計画エージェント100の近くに位置する少なくとも1つの近隣エージェントの1つ又は複数の特性を特定する信号を処理回路構成110に提供するように構成され得る。たとえば、そのような特性は、(i)近隣エージェントの場所、近隣エージェントの移動の速度、近隣エージェントの移動の方向、近隣エージェントの加速度、近隣エージェントの物理的寸法(たとえば、長さ、幅、高さ)、近隣エージェントのタイプ(たとえば、SUV、車、トラック、緊急車両など)、近隣エージェントの制動距離などを含み得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施では、センサ130のいずれかは、計画エージェント100が移動している環境の1つ又は複数の特性を特定する信号を生成するように構成され得る。たとえば、そのような特性は、(i)計画エージェントが移動している表面のタイプと、(ii)移動エージェントが移動している表面の傾斜(たとえば、計画エージェントが上り坂、下り坂、又はほぼ水平な表面を移動している)と、(iii)計画エージェントが移動している環境における視認性などを含み得る。
【0180】
[0060]無線140は、802.11トランシーバ、4G又は5Gトランシーバ、車間通信用の通信ユニット、又は情報を送受信するための他の任意のタイプのトランシーバであり得る。いくつかの実施では、無線140は、計画エージェント100の近くに位置する少なくとも1つの近隣エージェントの様々な特性を示すインジケーションを受信するために、処理回路構成110によって使用され得る。たとえば、そのような特性は、(i)近隣エージェントの場所、近隣エージェントの移動の速度、近隣エージェントの移動の方向、近隣エージェントの加速度、近隣エージェントの物理的寸法(たとえば、長さ、幅、高さ)、近隣エージェントのタイプ(たとえば、SUV、車、トラック、緊急車両など)、近隣エージェントの制動距離などを含み得る。いくつかの実施では、特性を示すインジケーションは、車両間通信のためのプロトコルを介して近隣エージェントによって送信され得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施では、無線140は、計画エージェント100が移動している環境の1つ又は複数の特性を示すインジケーションを受信するために、処理回路構成110によって使用され得る。たとえば、そのような特性は、(i)計画エージェント100が移動している表面のタイプと、(ii)計画エージェント100が移動している表面の傾斜(たとえば、計画エージェントが上り坂、下り坂、又はほぼ水平な表面を移動している)と、(iii)計画エージェント100が移動している環境における視認性と、(iv)計画エージェントが移動している表面の状態(たとえば、乾燥又は湿潤)などを含み得る。いくつかの実施では、計画エージェント100が移動している環境の特性を示すインジケーションは、車両間通信のためのプロトコルを使用して、近隣エージェントによって送信され得る。追加的又は代替的に、計画エージェント100が移動している環境の特性を示すインジケーションは、集中サーバによって送信され得る。
【0181】
[0061]
図1Bは、制御ユニット102をモノリシックユニットとして示しているが、制御ユニット102は、計画エージェント100の異なるシステムに統合され、少なくとも1つの通信バス及び/又は別の通信チャネルを介して互いに接続された複数の制御ユニット102を備える分散システムであり得ることが理解されよう。たとえば、いくつかの実施では、たとえば、処理回路構成210は、ブレーキシステム104に統合される第1の制御ユニットと、ステアリングシステム106に統合される第2の制御ユニットと、加速システム108に統合される第3の制御ユニットとを含み得る。これに関して、いくつかの実施では、処理回路構成110は、センサ130のうちの第1のセンサ(たとえば、LIDAR)の一部である処理回路構成と、センサ130のうちの第2のセンサ(たとえば、RADAR)の一部である処理回路構成と、Bluetoothインターフェース(又は別の通信インターフェース)の一部である処理回路構成などとのうちの1つ又は複数を含み得る。簡潔に述べると、本開示は、制御ユニット102のいずれの特定の実施に限定されない。
【0182】
[0062]本例によれば、制御ユニット102は、占有スコア割当モジュール122を格納し得る。本例によれば、占有スコア割当モジュール122は、1つ又は複数のプロセッサ実行可能命令を含み、処理回路構成110によって実行されると、処理回路構成110は、リスクスコア係数(risk-score coefficient)を割り当てるためのモデルを実行する。実行されるモデルは、上記のモデルと同じでも類似していてもよい。いくつかの実施では、モデルは、
図2Aから
図7に関して以下でさらに論じられるプロセスにしたがって実行され得る。本例では、占有スコア割当モジュール122がソフトウェアで実施されるが、占有スコア割当モジュール122がハードウェアで、又はハードウェアとソフトウェアとの組合せとして実施される代替実施が可能である。これに関して、本開示は、モジュール122のいかなる特定の実施にも限定されないことが理解されよう。
【0183】
[0063]
図2は、本開示の態様による、計画エージェント100の動作を示す図である。図示されるように、本例では、計画エージェント100は、道路200を移動している。道路200上に存在するものは、道路200を混雑させる近隣エージェント220のクラスタである。計画エージェント100は、示されるように、移動経路230にしたがうことによって、近隣エージェント220のクラスタをバイパスするように構成される。移動経路230を決定してしたがうために、計画エージェントは、占有スコア割当モジュール122を使用することによって、少なくとも部分的に実施される制御シーケンスを実行し得る。いくつかの実施では、制御シーケンスは、少なくとも3つの段階を含み得る。第1段階は、計画エージェント100の計画範囲内に位置する近隣エージェント220(たとえば、近隣エージェント220A~D)について、占有コストの複数のペアワイズセット(たとえば、
図3を参照)を計算することを含み得る。計画範囲が選択/確立される方式が、以下に説明される。第2段階は、ペアワイズ占有コストを統合して、組み合わされた占有コストのセットを生成することを含み得る(たとえば、
図4A~
図4B参照)。そして、第3段階は、組み合わされた占有コストのセットに基づいて、計画エージェント100の移動経路を決定することを含み得る(たとえば、
図5A~
図6B参照)。追加的又は代替的に、いくつかの実施では、制御シーケンスは、少なくとも2つの段階を含み得る。第1段階は、最初にペアワイズセットを計算することなく、組み合わされた占有コストのセットを直接計算することを含み得る(たとえば、
図4A~
図4B参照)。そして、第2段階は、組み合わされた占有コストのセットに基づいて、計画エージェント100の移動経路を決定することを含み得る(たとえば、
図5A~
図6B参照)。
【0184】
[0064]計画範囲240は、計画エージェント100が移動している環境の任意の部分を含み得る。いくつかの実施では、計画エージェント100の計画範囲240は、計画エージェント100の前の事前選択された第1の距離(たとえば、10m)、計画エージェント100の背後の第2の距離(たとえば、10m又は7m)、及び計画エージェント100の側面までの第3の距離(たとえば、10m又は1m)を延ばす領域を含み得る。第1、第2、及び第3の距離のうちの任意の2つは、同じであっても、異なっていてもよい。いくつかの実施では、計画範囲240の正確な寸法は、計画エージェント100の一部である1つ又は複数のセンサ130の範囲に依存し得る。
【0185】
[0065]本例では、近隣エージェント220は道路車両であるが、近隣エージェント220が別のタイプのエージェントを含む代替実施が可能である。そのような事例では、近隣エージェントのいずれかは、人(たとえば、歩行者)、動物(たとえば、道路脇の野生生物)、及び又は、計画エージェント100の近くの他の任意の動く物体を含み得る。別の例として、計画エージェント100が、車椅子又は別のタイプの移動補助デバイスである場合、近隣エージェント220の1つ又は複数は、計画エージェント100と同じ空間に位置する人又はペットであり得る。本例では、近隣エージェント220は平行方向に移動するが、いくつかの実施では、近隣エージェント220のうちの任意の2つが、互いに反対の方向又は横方向に移動し得ることが理解されよう。
【0186】
[0066]
図3A~
図3Cは、本開示の態様による、近隣エージェント220Aの占有コストのペアワイズセット402Aを計算するか、さもなければ決定するか、又は受信するためのプロセス300の例を示す。本開示全体で使用される「占有コストのペアワイズセット」という用語は、近隣エージェント220のうちの他の近隣エージェントの特性をとらずに、近隣エージェント220及び/又は近隣エージェント220のうちの1つのみの特性に基づいて計算される占有コストのセットを指す。
【0187】
[0067]占有コストのペアワイズセット402Aにおける各占有コストは、計画エージェント100の計画範囲240における特定の場所に関連付けられ得、計画エージェント100がその場所に移動することになっていたのであれば、計画エージェント100が近隣エージェント220Aと衝突する確率を定量化することができる。
図3の例によれば、占有コストのペアワイズセット402Aは、近隣エージェント220Aに関して計算される。しかしながら、残りの近隣エージェント220B~Dのいずれかのペアワイズ占有コストのそれぞれのセットは、同じ又は類似の方式で計算されることが理解されよう。
【0188】
[0068]ステップ302において、計画エージェント100は、計画エージェント100の近くに位置する近隣エージェント220を特定する。本例によれば、近隣エージェント100は、計画エージェントが、計画エージェントの計画範囲240内に位置する場合、計画エージェント100の近くにあると見なされる。近隣エージェントは、RADAR、LIDAR、及び/又は、他の任意の適切なタイプの技術を使用して特定され得る。本例では、近隣エージェント220Aは、ステップ302において特定される。
【0189】
[0069]ステップ304において、計画エージェント100は、近隣エージェント220Aの1つ又は複数の特性を特定する。たとえば、特定された特性は、(i)近隣エージェント220Aの場所、近隣エージェントの移動の速度、近隣エージェント220Aの移動の方向、近隣エージェント220Aの加速度、近隣エージェント220Aの物理的寸法(たとえば、長さ、幅、及び高さ)、近隣エージェント220Aのタイプ(たとえば、SUV、車、トラック、緊急車両など)、近隣エージェント220Aの制動距離などのうちの1つ又は複数を含み得る。上記のように、これら特性は、センサ130及び/又は無線140を使用することによって、計画エージェント100によって取得され得る。
【0190】
[0070]ステップ306において、計画エージェント100が移動している環境の1つ又は複数の特性が判定される。たとえば、これら特性は、(i)計画エージェントが移動している表面のタイプと、(ii)移動エージェントが移動している表面の傾斜(たとえば、計画エージェントが、上り坂、下り坂、又はほぼ水平な表面を移動している)と、(iii)計画エージェントが移動している環境における視認性と、(iv)計画エージェントが移動している表面の状態(たとえば、乾燥又は湿潤)などのうちの1つ又は複数を含み得る。上記のように、これら特性は、センサ130及び/又は無線140を使用することによって、計画エージェント100によって取得され得る。
【0191】
[0071]ステップ308において、複数の場所が、計画エージェント100の近くにおいて特定される。本例によれば、計画エージェント100の近くの複数の場所を特定することは、場所Qのセットを特定することを含み、セットQの一部である各場所qは、計画エージェント100の計画範囲240内に位置する。本例によれば、各場所qは、計画エージェント100の現在位置に対する用語で表され得る。これに関して、いくつかの実施では、各位置qは、計画エージェント100が原点にある座標系を使用して表され得る。場所qは、任意の適切なピッチで間隔を空けられ得る。たとえば、いくつかの実施では、場所qは、0.15m離れている、0.3m離れている、1m離れているなどであり得る。
【0192】
[0072]ステップ310において、近隣エージェント220Aの占有コストのペアワイズセット402Aは、計画エージェント100によって計算される。場所のペアワイズセット402における係数のおのおのは、セットQ内の異なる場所qに関連付けられ、計画エージェント100がその場所qに移動することになっていたのであれば、計画エージェント100が近隣エージェント220Aと衝突する可能性を表す。ペアワイズ占有コストのセットにおける各係数は、以下の式20を使用して計算され得る。
【0193】
【0194】
【0195】
[0073]ここで、Hは、AN占有コスト、qは、占有コストが計算される道路200の場所、σは、標準偏差、xは、近隣エージェント220Aの場所、
【0196】
【0197】
は、近隣エージェント220Aの速度ベクトル、αは、式13の分母によって構成されるコスト関数の変化率である。いくつかの実施では、σの値は、計画エージェントの不確かさの測定に基づいて選択され得る。たとえば、いくつかの実施では、σの値は、近隣エージェント220Aの速度及び場所を測定するために、計画エージェント100によって使用されるセンサ読取値に存在するあらゆる不確かさを考慮するために選択され得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施では、σの値は、近隣エージェント220Aの1つ又は複数の物理的寸法(たとえば、近隣エージェント220Aの幅、近隣エージェント220Aの高さ、及び近隣エージェント220Aの長さ)に基づいて選択され得る。いくつかの実施では、変化率αは、近隣エージェント220Aの1つ又は複数の特性、又は、計画エージェント100が近隣エージェント220Aの背後を移動できる最小安全距離に影響を与える、計画エージェント100が移動する環境に基づき得る。そのような特性は、近隣エージェント220Aの速度、近隣エージェントのタイプ(たとえば、SUV、セダン、ピックアップトラック、貨物トラックなど)、計画エージェント100の制動距離、道路200の傾斜、及び/又は、道路の状態(たとえば、乾燥、湿潤、凍結など)を含み得る。
【0198】
[0074]本例によれば、式20の分子[すなわち、exp(-(q-xi)TΩ(q-xi))]は、ガウスピーク関数である。ガウスピーク関数は、近隣エージェント220Aの現在位置の推定値を表す。ガウスピーク関数のみを適用すると、近隣エージェント220Aに対して対称なガウス分布を有する占有コストのセットが生成される。
【0199】
[0075]本例によれば、式2の分母[すなわち、
【0200】
【0201】
]は、コスト関数(たとえば、ロジスティック関数)である。コスト関数は、近隣エージェント220Aの速度の方向に、ガウスピーク関数によって別の方法で生成される分布を歪める。いくつかの態様では、コスト関数を適用すると、ガウス分布関数によって計算された、車両の背後及び側面の場所の値が減少して、それらの場所の占有コストに到達する。さらに、ロジスティック関数を適用すると、車両の前方の場所についてガウス分布関数によって計算された値が増加し、それらの場所の占有コストに到達する。言い換えれば、ロジスティック関数を適用することにより、ペアワイズ占有コストセットは、
図3に見られる「細長形状」を前提とする。
【0202】
[0076]
図4A~
図4Bは、組み合わされた占有コストのセット404を計算するためのプロセス400の例を示す。いくつかの実施では、「組み合わされた占有コストのセット」という用語は、計画エージェント100の計画範囲240内のすべての近隣エージェントの特性に基づいて計算される占有コストのセットを指す場合がある。組み合わされたセット404における各占有コストは、計画エージェント100の計画範囲240内の特定の場所に関連付けられ得、計画エージェント100が、その場所に移動することになっていたのであれば、計画範囲240内の近隣エージェントのいずれかと衝突する確率を定量化することができる。
【0203】
[0077]ステップ410において、計画エージェント100は、計画エージェント100の近くに位置する複数の近隣エージェント220を検出する。本例によれば、近隣エージェントが、計画エージェント100の計画範囲240内に位置する場合、近隣エージェントは、計画エージェント100の近くにあると見なされる。本例によれば、近隣エージェント220A~Dは、ステップ410を実行した結果として特定される。
【0204】
[0078]ステップ420において、計画エージェント100は、近隣エージェント220のおのおのについて、占有コストの異なるペアワイズセット402を計算する。より具体的には、ステップ420において、計画エージェント100は、近隣エージェント220Aの占有コストのペアワイズセット402A、近隣エージェント220Bの占有コストのペアワイズセット402B、近隣エージェント220Cの占有コストのペアワイズセット402C、及び近隣エージェント220Dの占有コストのペアワイズセット402Dを計算する。占有コストのペアワイズセット402のおのおのは、プロセス300にしたがって計算することができ、これは、
図3A~
図3Cに関して上記で論じられた。ペアワイズセット402のうちの与えられた任意の1つのペアワイズセットにおける係数のおのおのは、位置Qのセット内の異なるそれぞれの場所qに関連付けられ得る。いくつかの点で、占有コストのペアワイズセット402のおのおのの係数のいずれかは、計画エージェント100が、係数のそれぞれの場所qに移動することになっていたのであれば、計画エージェントがセット402のそれぞれの近隣エージェント220と衝突する可能性を表すことができる。
【0205】
[0079]ステップ430において、占有コストのペアワイズセット402は、組み合わされた占有コストのセット404を生成するために組み合わされる。セット402を組み合わせることは、セットQ内の場所qのおのおのについて、ペアワイズセット402のいずれかの一部である最大の占有コストを特定することと、組み合わされたセット404における最大の占有コストを含めることとを含み得る。たとえば、ペアワイズセット402A~Dが、場所Qのセット内の場所q1に対してそれぞれ係数0.3、0.4、0.6、及び0.7を含む場合、0.7の値を有する係数が、組み合わされた占有コストのセット404内の場所q1に割り当てられ得る。別の例として、ペアワイズセット402A~Dが、場所Qのセット内の場所q2に対してそれぞれ係数0.2、0.8、0.1、及び0.7を含む場合、0.8の値を有する係数が、組み合わされた占有コストのセット404内の場所q2に割り当てられ得る。いくつかの実施では、組み合わされた占有コストのセットは、上記の式9にしたがって、占有コストのペアワイズセット402の和集合を取ることによって計算され得る。
【0206】
[0080]ステップ440において、占有コストしきい値が特定される。いくつかの実施では、占有コストしきい値は、定理1に関して論じられたしきい値HC以上になる場合がある。いくつかの点で、しきい値HCは、計画エージェント100が、占有コストに関連付けられた位置(たとえば、空白領域(vacant region)又は場所)に移行することになっていたのであれば、計画エージェント100と別のエージェントとの間の衝突が発生する可能性が非常に高いと考えられる占有コスト値を表すことができる。いくつかの実施では、占有コストしきい値は、主題2に関して論じられたしきい値HT以上である可能性がある。いくつかの点で、しきい値HTは、計画エージェント100が占有コストに関連付けられた位置(たとえば、空白領域又は場所)に移行することが安全であると考えられる最小占有コスト値を表すことができる。本例では、占有コストしきい値の例として、しきい値HT及びHCが提供されているが、占有コストしきい値の値は、計画エージェントによって提供されるアプリケーションにしたがって変動し得るので、本開示は、占有コストしきい値を決定するためのあらゆる特定の方法に限定されないことが理解されよう。たとえば、いくつかの実施では、リスクコストしきい値は、近隣エージェント220の1つ又は複数の制動距離、又は(i)近隣エージェントのいずれかの重量、(ii)近隣エージェントのいずれかの速度(iii)、(iv)道路200の傾斜、道路200の表面のタイプ、(v)道路表面の状態(たとえば、湿潤、乾燥など)のような近隣エージェント220の1つ又は複数の制動距離に影響を与える(又は、さもなければ、制動距離の代用として役立つ)特性に基づいて決定され得る。上記のように、そのようなメトリックは、センサ130及び/又は無線140を使用することによって、計画エージェント100によって取得され得る。
【0207】
[0081]ステップ450において、占有コストしきい値を超える、組み合わされたセット404における占有コストは、組み合わされたセット404から除去され、プロセス400は終了する。
【0208】
[0082]
図4A~
図4Bの例において、組み合わされた占有コストのセット404は、ステップ410~430を実行することによって計算される。しかしながら、いくつかの実施では、ステップ410~430は省略され、ペアワイズセット402を事前に計算することなく、組み合わされたセット404が直接計算される単一のステップに置き換えられ得る。このアプローチを使用することは、計画範囲240内に多数の近隣エージェントが存在するために、リスクコスト係数のペアワイズセットを計算することが実用的ではない状況において有利であり得る。そのような実施では、組み合わされた占有コストのセット404は、上記で論じられた式2及び式14を使用して計算され得る。
【0209】
【0210】
【0211】
ここで、nは、ステップ410において特定された近隣エージェントの総数、σは標準偏差、
【0212】
【0213】
は、近隣エージェントiの速度ベクトル、xiは、近隣エージェントiの場所、αは、式2の分母によって構成されるコスト関数の変化率である。いくつかの実施では、場所xiは、(たとえば、その原点に計画エージェント100を有する座標系を使用することによって)計画エージェント100に関して計算され得る。いくつかの実施では、σの値は、計画エージェントの不確かさの測定に基づいて選択され得る。たとえば、いくつかの実施では、σの値は、近隣エージェント220Aの速度及び場所を測定するために、計画エージェント100によって使用されるセンサ読取値に存在する不確かさを考慮するために選択され得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施では、σの値は、1つ又は複数の近隣エージェントの1つ又は複数の物理的寸法に基づいて選択され得る。
【0214】
[0083]いくつかの実施では、変化率αは、近隣エージェント220の1つ又は複数の特性、又は、計画エージェント100が近隣エージェント220の背後を移動することができる最小安全距離に影響を与える、計画エージェント100が移動する環境に基づき得る。そのような特性は、近隣エージェント220の1つ又は複数の速度、近隣エージェント200の1つ又は複数のタイプ(たとえば、SUV、セダン、ピックアップトラック、貨物トラックなど)、計画エージェント100の制動距離、道路200の傾斜、及び/又は、道路の状態(たとえば、乾燥、湿潤、凍結など)を含み得る。示されているように、式2は本質的に式13の総和である。これに関して、上記のように、式2の分子[すなわち、exp(-(q-xi)TΩ(q-xi))]は、ガウスピーク関数であり、式2の分母[すなわち、
【0215】
【0216】
]は、コスト関数(たとえば、ロジスティック関数)であり、これは、
図4Aに示されるように、他の方法でガウスピーク関数によって生成される分布を、個々の近隣エージェントの速度の方向に歪める。
【0217】
[0084]
図4A~
図4Bの例では、組み合わされたセット404は、占有コストしきい値を超える占有コストを除外するために、ステップ440~450において変更される。しかしながら、ステップ440~450が省略される代替実施が可能である。そのような事例では、占有コストしきい値と、個々の占有コストの値が、占有コストしきい値とどのように比較されるかとが、計画エージェント100の制御シーケンスの計画段階中に考慮され得る。
【0218】
[0085]
図5A~
図5Bは、本開示の態様による、組み合わされた占有コストのセットに基づいて、計画エージェントの速度及び/又は方向を変更するためのプロセス500の例を示す。
【0219】
[0086]ステップ510において、組み合わされた占有コストのセットが、計画エージェント100の近くの複数の近隣エージェントについて計算される。いくつかの実施では、組み合わされた占有コストのセットは、
図4A~
図4Bに関して上記で論じたように、リスクコスト係数の複数のペアワイズセットに基づいて計算され得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施では、式2に関して上記で論じたように、組み合わされたリスクコスト係数のセットが、直接計算され得る。本例によれば、近隣エージェント220について、組み合わされた占有コストのセット404は、ステップ510を実行した結果として計算される。
【0220】
[0087]ステップ520において、計画エージェント100の近くの複数の空白領域502が特定される。本例によれば、複数の空白領域502のおのおのは、計画エージェント100の計画範囲240内に配置される。空白領域502のおのおのは、計画エージェント100がその中に移動することを決定した場合に、計画エージェント100を受け入れるのに十分な大きさの道路200の一部であり得る。したがって、空白領域502のおのおのは、計画エージェント100の幅以上の幅、及び計画エージェント100の長さ以上の長さを有し得る。いくつかの実施では、空白領域502は、(たとえば、計画エージェント100の現在位置が原点である座標系を使用することによって)計画エージェント100の位置に対する用語で定義され得る。
【0221】
[0088]ステップ530において、空白領域502のおのおのは、組み合わされた占有コストのセット404に基づいて、それぞれの占有スコアを割り当てられる。所与の空白領域502のいずれかのそれぞれの占有スコアは、セットQからの場所q’に関連付けられたセット404からの1つ又は複数の占有コストに基づくことができ、場所q’のおのおのは、所与の空白領域内に位置する。
【0222】
[0089]いくつかの実施では、リスクコスト係数のセットは、空白領域502のおのおのの場所に対して唯一のそれぞれの占有コストが存在するように生成され得る。そのような事例では、領域のおのおののそれぞれの占有スコアは、占有コストに対応する空白領域と同じであり得る。
【0223】
[0090]いくつかの実施では、リスクコスト係数のセットは、空白領域のおのおのにおける場所に、複数の占有コストが存在するように生成され得る。そのような実施では、それぞれの占有スコアを複数の空白領域502に割り当てることは、組み合わされた占有コストのセット404を、計画範囲240内の空白領域502の密度及び分布に一致する解像度にダウンサンプリングすることを含み得る。例として、それぞれの占有スコアを空白領域502のいずれかに割り当てることは、(i)空白領域内の複数の場所を特定することと、(ii)特定された場所に関連付けられたセット404内の占有コストを特定することと、(iii)特定された占有コストに基づいて占有スコアの値を決定することとを含み得る。いくつかの実施では、空白領域502の占有スコアの値を決定することは、特定された占有コストの中で最大の占有コストに、占有スコアを等化させることを含み得る。いくつかの実施では、空白領域502の占有スコアの値を決定することは、特定された占有コストの平均に、占有スコアを等化させることを含み得る。簡潔に述べると、本開示は、組み合わされた占有コストのセット404に基づいて、占有スコアを、複数の空白領域502に割り当てるためのいずれの特定の方法にも限定されない。
【0224】
[0091]ステップ540において、計画エージェント100は、その領域のそれぞれの占有スコアに基づいて、空白領域502のうちの1つの空白領域を選択する。本例によれば、選択された空白領域は、(i)計画エージェント100に直接隣接し、(ii)計画エージェント100に直接隣接するすべての空白領域の中で最低の占有スコアを有し、(iii)プロセス400のステップ440に関して論じられた占有コストしきい値のように、占有コストしきい値を下回る占有スコアを有するものである。いくつかの実施では、計画エージェント100に直接隣接する所与の空白領域は、所与の空白領域と、計画エージェント100との間に位置する他の空白領域がないように、計画エージェント100の隣に配置されるものであり得る。
図5A~
図5Bの例では、空白領域502a、502b、502hは、計画エージェント100に直接隣接している。
【0225】
[0092]本例では、選択された空白領域は、計画エージェント100に直接隣接しているが、選択された空白領域が直接隣接していない代替実施が可能である。簡潔に述べると、本開示は、1つ又は複数の占有スコア及び/又は組み合わされた占有コストのセット404に基づいて、空白領域を選択するためのいかなる特定の方法にも限定されない。本例によれば、ステップ540を実行した結果として、空白領域502Bが選択される。
【0226】
[0093]ステップ550において、計画エージェント100は、選択された空白領域に移行される。計画エージェント100を、選択された空白領域に移行させることは、計画エージェント100を加速すること、又は計画エージェントの移動の方向を変更することのうちの少なくとも1つを含み得る。本例によれば、計画エージェント100を空白領域502Bに移行させることは、計画エージェント100を加速することと、計画エージェント100の移動の方向を変更することとの両方を含む。
【0227】
[0094]ステップ560において、組み合わされた占有コストの新しいセットを取得するか否かの判定がなされる。いくつかの実施では、この判定をすることは、タイマが満了したか否かを検出すること、及び/又は、計画エージェント100の制御ユニットで所定のイベントが生成されたか否かを検出することを含み得る。組み合わされた占有コストの新しいセットを取得することが判定された場合、プロセス500はステップ510に戻る。そうではなく、組み合わされた、低減されたコスト係数の、新しいセットを取得しないと判定された場合、プロセス500は、ステップ540に戻る。
【0228】
[0095]
図6A~
図6Bは、本開示の態様による、組み合わされた占有コストのセットに基づいて、計画エージェントの速度及び/又は方向を変更するためのプロセス500の例を示す。
【0229】
[0096]ステップ610において、組み合わされた占有コストのセットが、計画エージェント100の近くの複数の近隣エージェントについて計算される。いくつかの実施では、組み合わされた占有コストのセットは、
図4A~
図4Bに関して上記で論じたように、リスクコスト係数の複数のペアワイズセットに基づいて計算され得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施では、式2に関して上記で論じたように、組み合わされたリスクコスト係数のセットが、直接計算され得る。本例によれば、ステップ610を実行した結果として、近隣エージェント220の、組み合わされた占有コストのセット404が計算される。
【0230】
[0097]ステップ620において、計画エージェント100は、組み合わされた占有コストのセット404に基づいてグラフ602を生成する。組み合わされた占有コストのセット404を生成することは、複数のグラフノードを、計画範囲240内に互いに距離D(たとえば、6m)で配置し、ノードをエッジで接続することを含み得る。
【0231】
[0098]いくつかの実施では、グラフ602内のノードのおのおのは、計画範囲240内の1つ又は複数の場所qに関連付けられ得る。さらに、いくつかの実施では、グラフ602内のノードのうちの1つのノードは、計画エージェント100によって現在占有されている計画範囲内の場所に関連付けられ得る。追加的又は代替的に、いくつかの実施では、グラフ602内の1つ又は複数のノードは、近隣エージェント220によって占有される計画範囲240内の場所に関連付けられ得る。そのようなノードは、本明細書では「占有ノード(occupied node)」と呼ばれる。追加的又は代替的に、グラフ602内の1つ又は複数のノードは、占有されていない計画範囲240内の場所に関連付けられ得る。このようなノードは、本明細書では「空白ノード」と呼ばれる。
【0232】
[0099]いくつかの実施では、グラフ602内の空白ノードのおのおのは、セット404からの占有コストに関連付けられた1つ又は複数の場所qに関連付けられ得る。これに関して、グラフ602内のノードのおのおのは、それぞれの占有スコアを割り当てられ得る。いくつかの実施では、ノードのうちの所与の任意の1つのノードに割り当てられる占有スコアは、所与のノードに関連付けられた場所に対応するセット404からの占有コストに基づき得る。追加的又は代替的に、グラフ602内の任意の所与のノードの占有スコアは、所与のノードに関連付けられた複数の場所に基づき得る。
【0233】
[00100]追加的又は代替的に、いくつかの実施では、グラフ602の各ノードは、道路200内の空白領域又は占有領域のいずれかに対応し得る。名前が示すように、「占有領域」は、近隣エージェントのうちの1つの近隣エージェントが現在位置している道路200における領域を指すことができる。これに関して、いくつかの実施では、グラフ602内のノードへの占有スコアの割当は、
図5A~
図5Bのプロセス500に関して論じたように、異なる空白領域への割当と同じ又は類似の方式で実行することができる。
【0234】
[0101]追加的又は代替的に、いくつかの実施では、組み合わされたリスクコスト係数のセット404は、グラフ602内のノードのおのおのに関連付けられた場所に対して、唯一のそれぞれの占有コストが存在するように生成され得る。そのような事例では、グラフノードのおのおのの占有スコアは、ノードのそれぞれの場所に関連付けられたセット404における占有コストと同じであり得る。いくつかの実施では、リスクコスト係数のセットは、グラフ602内のノードのおのおのに関連付けられた場所に、複数の占有コストが存在するように生成され得る。そのような実施では、それぞれの占有スコアを、複数の空白領域502に割り当てることは、組み合わされた占有コストのセット404を、計画範囲240内の(グラフ602内の)ノードの密度及び分布に一致する解像度にダウンサンプリングすることを含み得る。
【0235】
[0102]グラフ602内のエッジは、他の直進エッジ(straight traveling edge)及び車線変更エッジ(lane change edge)として分類され得る。直進エッジは、道路200の同じ車線で開始及び終了するエッジを含み得る。車線変更エッジは、ある車線で開始し、別の車線で終了するエッジであり得る。グラフ602におけるエッジは、それらの分類に基づいて、それぞれの重みを割り当てられ得る。たとえば、直進エッジには、重みBを割り当てることができ、ここで、Bは、所定の数である。(i)計画エージェント100の現在の場所に対応するノードで開始し、(ii)グラフ602内の別のノード(以下「目的地ノード」)で終了する占有車線変更エッジは、目的地ノードの占有スコアに等しい(又は、そうでなければ基づく)重みを割り当てられ得る。そして、計画エージェント100の現在の場所に対応するノード以外のグラフ602内の任意のノードで開始する、非占有車線変更エッジに、重みCを割り当てることができ、ここで、C>Dであり、移動経路を計画するために、直進エッジが、非占有車線変更エッジよりも優先されることが保証される。
【0236】
[0103]ステップ630において、計画エージェント100は、グラフに基づいて計画エージェントの移動経路604を計算する。移動経路は、ダイクストラの最短経路アルゴリズム及び/又は他の任意の適切なタイプのアルゴリズムを使用して計算され得る。移動経路は、グラフ602の複数のエッジを含み得る。いくつかの実施では、移動経路におけるエッジが、占有コストしきい値よりも大きい重みを含まないように、移動経路が選択され得る。いくつかの実施では、占有コストしきい値は、プロセス400のステップ440に関して論じられた占有コストしきい値と同じ又は類似であり得る。いくつかの実施では、占有コストしきい値は、上記で論じたしきい値HT、HC、及びHTのうちの1つと同じ又は類似であり得る。
【0237】
[0104]ステップ640において、計画エージェント100は、移動経路604の一部に沿って移動される。移動経路604の一部に沿って計画エージェント100を移動させることは、計画エージェント100の移動の速度又は方向のうちの少なくとも1つを変更して、計画エージェントに、移動経路604におけるエッジの1つ又は複数によって定義される軌道で移動させることを含み得る。
【0238】
[0105]ステップ650において、組み合わされた占有コストの新しいセットを取得するか否かの判定がなされる。いくつかの実施では、この判定をすることは、タイマが満了したか否かを検出すること、及び/又は、計画エージェント100の制御ユニットで、所定のイベントが生成されたか否かを検出することを含み得る。組み合わされた占有コストの新しいセットを取得することが判定された場合、プロセス600はステップ610に戻る。そうではなく、組み合わされた、低減されたコスト係数の、新しいセットを取得しないと判定された場合、プロセス600はステップ640に戻る。
【0239】
[0106]
図1~
図6Bに関して説明されたプロセスは、例として提供される。これらのプロセスにおけるステップの少なくとも一部は、異なる順序で実行されるか、完全に省略され得る。本例では、
図2~
図6Bに関して説明されたプロセスは、制御ユニット102の処理回路構成110によって(少なくとも部分的に)実行されるが、いくつかの実施では、プロセスのステップのうちの1つ又は複数のステップは、別のデバイスによって実行され得る。本開示を通して提供される例において、特定の前提は、数学的証明の目的のために提供されるが、本開示は、これら前提のいずれにも決して限定されないことが理解されよう。当業者は、これら前提が、センサ測定、及び/又は、計画エージェント100によって取得された他の情報に基づく様々なヒューリスティック又はアルゴリズムで容易に置換されることを容易に理解するであろう。
【0240】
[0107]本明細書における「1つの実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、特許請求された主題の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な箇所における「1つの実施形態において」という句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指す訳ではなく、別個の又は代替の実施形態は、必ずしも他の実施形態と相互に排他的である必要はない。同じことが「実施」という用語にも当てはまる。
【0241】
[0108]本出願で使用される場合、「例示的」という単語は、本明細書では、例、事例、又は例示として役立つことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好適又は有利であると解釈されるべきではない。むしろ、例示的という単語の使用は、具体的様式で概念を提示することが意図される。
【0242】
[0109]さらに、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することが意図される。つまり、特に明記されていない限り、又は文脈から明らかではない限り、「Xは、A又はBを適用する」は、自然な包括的順列のいずれかを意味することが意図される。つまり、XがAを適用する、XがBを適用する、又は、XがAとBとの両方を適用する場合、前述した事例のいずれかの下で、「Xは、A又はBを適用する」が満たされる。さらに、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」及び「an」は、他に明記されていない限り、又は文脈から明確に単数形に示されていない限り、一般に「1つ又は複数」を意味すると解釈されるべきである。
【0243】
[0110](たとえば、上部、下部、平行、垂直など)方向的な用語が明細書及び特許請求の範囲で使用される範囲内で、これらの用語は、本発明を説明及び特許請求する際に支援することが単に意図され、いずれにせよ特許請求の範囲を限定することは意図されていない。そのような用語は、正確さ(たとえば、正確な垂直性又は正確な平行性など)を必要としないが、代わりに、通常の公差及び範囲が適用されることが意図される。同様に、特に明記しない限り、各数値及び範囲は、「約」、「実質的に」、又は「ほぼ」という単語が、値又は範囲の値の前にある場合、およそ、として解釈されるべきである。
【0244】
[0111]さらに、「システム」、「コンポーネント」、「モジュール」、「インターフェース」、「モデル」などの用語は、一般に、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組合せ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかのコンピュータ関連エンティティを指すことが意図される。たとえば、コンポーネントは、プロセッサで実行中のプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行形式、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピュータであり得るが、これらに限定されない。実例として、コントローラで実行中のアプリケーションと、コントローラとの両方が、コンポーネントであり得る。1つ又は複数のコンポーネントは、プロセス及び/又は実行スレッド内に存在し得、コンポーネントは、1つのコンピュータ上に局在化され得るか、及び/又は、2つ以上のコンピュータ間に分散され得る。
【0245】
[0112]本明細書に記載される主題は、ユーザ対話型コンポーネントを有するコンピューティングアプリケーションのための1つ又は複数のコンピューティングアプリケーション機能/動作を処理するための例示的な実施の文脈で説明され得るが、主題は、これらの特定の実施形態に限定されない。むしろ、本明細書で説明される技法は、任意の適切なタイプのユーザ対話型コンポーネント実行管理方法、システム、プラットフォーム、及び/又は装置に適用される。
【0246】
[0113]例示的な実施形態は、単一の集積回路、マルチチップモジュール、単一のカード、又はマルチカード回路パックとして、可能な実施を含む回路のプロセスに関して説明されたが、説明された実施形態はそのように限定されない。当業者に明らかであるように、回路要素の様々な機能はまた、ソフトウェアプログラムにおける処理ブロックとしても実施され得る。そのようなソフトウェアは、たとえば、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、又は汎用コンピュータにおいて適用され得る。
【0247】
[0114]いくつかの実施形態は、それらの方法を実現するための方法及び装置の形態で実施され得る。説明された実施形態はまた、磁気記録媒体、光記録媒体、ソリッドステートメモリ、フロッピーディスク、CD-ROM、ハードドライブ、又は他の任意のマシン可読記憶媒体などの有形媒体に具体化されたプログラムコードの形態で実施され得、ここでは、プログラムコードがコンピュータなどのマシンにロードされ、実行されると、そのマシンは、特許請求された発明を実現するための装置となる。説明された実施形態はまた、たとえば、記憶媒体に格納されるか、マシンによってロード及び/又は実行されるか、又は電気配線又はケーブル接続によって、光ファイバを介して、又は電磁放射を介してなどの何らかの伝送媒体又はキャリアを介して送信されるか否かに関わらず、プログラムコードの形態で実施され得、ここでは、プログラムコードが、コンピュータなどのマシンにロードされ、実行されると、そのマシンは、特許請求された発明を実現するための装置となる。汎用プロセッサにおいて実施された場合、プログラムコードセグメントを、プロセッサと組み合わせて、特定の論理回路と同様に動作する独自のデバイスを提供する。特許請求された発明の方法及び/又は装置を使用して生成される説明される実施形態はまた、媒体を介して電気的又は光学的に送信される信号値のビットストリーム又は他のシーケンス、磁気記録媒体に記憶された磁場変動などの形態で実施され得る。
【0248】
[0115]本明細書に記載された例示的な方法のステップは、必ずしも説明された順序で実行される必要はなく、そのような方法のステップの順序は、単に例示的であると理解されるべきであることが、理解されるべきである。同様に、様々な実施形態と一致する方法において、追加のステップがそのような方法に含まれ得、特定のステップが省略又は組み合わされ得る。
【0249】
[0116]また、この説明の目的のために、「結合する」、「結合している」、「結合された」、「接続する」、「接続している」、又は「接続された」という用語は、当技術分野で知られているか、又は、エネルギが2つ以上の要素間で伝達され、必須ではないが、1つ又は複数の追加の要素の介在が企図される、後に開発される任意の方式を指す。逆に、「直接結合された」、「直接接続された」などの用語は、そのような追加要素がないことを示唆する。
【0250】
[0117]要素及び規格に関して本明細書で使用される場合、「互換性がある」という用語は、要素が、規格によって全体的又は部分的に明記された方式で他の要素と通信し、規格によって明記された方式で、他の要素と通信することが十分に可能なものとして、他の要素によって認識されることを意味する。互換性のある要素は、規格によって明記された方式で内部的に動作する必要はない。
【0251】
[0118]特許請求される発明の本質を説明するために記載及び図示された部品の詳細、材料、及び配置の様々な変更は、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者によって行われ得ることがさらに理解されるであろう。