(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】情報通信装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20220922BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20220922BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20220922BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20220922BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H01Q1/22 Z
H04B1/38
G06F1/20 B
G06F1/20 C
H05K7/20 F
(21)【出願番号】P 2021036313
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康智
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-010028(JP,A)
【文献】特開2018-133531(JP,A)
【文献】特開2019-195159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H01Q 1/22
H04B 1/38
G06F 1/20
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ及び電子部品が内蔵されて設置面に設置自在な本体部が備えられ、
その本体部には、本体部の外部に熱を放熱自在な放熱部が備えられ、
本体部の内部空間には、電子部品から発生する熱を、アンテナの一部に伝熱させてアンテナにて熱の伝達を中継させる状態で、前記放熱部に伝熱させる伝熱部が備えられている情報通信装置。
【請求項2】
前記アンテナは、電子部品から発生する熱の伝達を受ける受熱部が備えられ、
その受熱部から延設された固定用脚部と、その固定用脚部が固定されることでアンテナを固定する固定部とが備えられ、
前記伝熱部は、前記受熱部、前記固定用脚部、前記固定部の順に熱を伝達させるように構成されている請求項1に記載の情報通信装置。
【請求項3】
前記本体部の内部空間には、その前方側から、前記アンテナ、前記電子部品が設置された基板、前記固定部の順に並ぶ状態で配設されている請求項2に記載の情報通信装置。
【請求項4】
前記基板には、前記アンテナの前記固定用脚部を貫通自在な貫通部が備えられ、
前記アンテナは、前記固定用脚部が前記貫通部を通して前記基板を貫通させる状態で前記固定部に固定されている請求項3に記載の情報通信装置。
【請求項5】
前記本体部は、少なくとも後方側の一部が設置面の内部に埋設される埋設状態にて設置面に設置され、
前記放熱部は、前記本体部において設置面の内部に埋設される部位に配設され、
前記伝熱部には、前記固定部から前記放熱部への熱の伝達を行う固定部-放熱部間熱伝達部が備えられている請求項2~4の何れか1項に記載の情報通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナが備えられ、そのアンテナにて無線通信を行う情報通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような情報通信装置として、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末のようなモバイル通信端末を用いて室内等で無線通信を行うために、無線LAN用のアンテナが備えられ、室内に面する壁部等の設置面に設置可能な情報通信装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この情報通信装置では、電源部やその他の電子部品が内蔵された本体部が備えられ、その本体部が設置面に設置可能に構成されている。本体部の内部には、電源部やその他の電子部品が内蔵されていることから、これらの電子部品から発生する熱を放熱することが求められている。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の情報通信装置では、本体部の外部に露出するケーシング等を放熱部とし、電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱させることで、電子部品から発生する熱を本体部の外部に放熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の情報通信装置では、電子部品から発生する熱をケーシング等の放熱部に伝熱させているので、そのための専用の伝熱部材を備えなければならず、構成の複雑化及びコストアップを招く可能性がある。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、構成の簡素化及びコストの低減を図りながら、電子部品から発生する熱を本体部の外部に放熱させることができる情報通信装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、アンテナ及び電子部品が内蔵されて設置面に設置自在な本体部が備えられ、
その本体部には、本体部の外部に熱を放熱自在な放熱部が備えられ、
本体部の内部空間には、電子部品から発生する熱を、アンテナの一部に伝熱させてアンテナにて熱の伝達を中継させる状態で、前記放熱部に伝熱させる伝熱部が備えられている点にある。
【0009】
本構成によれば、伝熱部は、アンテナの一部に伝熱させてアンテナにて熱の伝達を中継させるので、アンテナの一部を伝熱部として利用しながら、電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱させて、本体部の外部に放熱させることができる。このように、アンテナの一部に伝熱部の機能を兼用させて、部材の兼用化を図ることができ、構成の簡素化及びコストの低減を図ることができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記アンテナは、電子部品から発生する熱の伝達を受ける受熱部が備えられ、
その受熱部から延設された固定用脚部と、その固定用脚部が固定されることでアンテナを固定する固定部とが備えられ、
前記伝熱部は、前記受熱部、前記固定用脚部、前記固定部の順に熱を伝達させるように構成されている点にある。
【0011】
本構成によれば、アンテナを固定させるために、固定用脚部及び固定部が元々備えられることになるので、伝熱部が、受熱部、固定用脚部、固定部の順に熱を伝達させることで、元々備える部材を利用して、熱の伝達を行うことができ、更なる構成の簡素化を図ることができる。しかも、例えば、アンテナの受熱部は、電子部品から発生する熱の伝達を受けるので、熱の伝達を受けてもアンテナ本来の機能に悪影響が及ばない部位を、受熱部として利用することができ、アンテナ本来の機能を保持しながら、熱の伝達を行うことができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記本体部の内部空間には、その前方側から、前記アンテナ、前記電子部品が設置された基板、前記固定部の順に並ぶ状態で配設されている点にある。
【0013】
安定して広範囲の無線通信を行うためには、本体部の前方側から電波を送信させた方が効果的であることから、アンテナを本体部の前方側に配設するのが有用となる。一方、本体部の前方側は、利用者等が接触する可能性があることから、本体部の前方側が高温となるのを抑制することが求められる。そのため、伝熱部としては、熱の伝達方向として、本体部の後方側に向かう方向とすることが有用となる。
【0014】
そこで、本構成では、本体部の内部空間において、その前方側から、アンテナ、電子部品が設置された基板、固定部の順に並ぶ状態で配設している。このような配設順とすることで、アンテナを本体部の前方側に配設できながら、伝熱部が、本体部の後方側に配設される固定部に対して熱を伝達して、熱の伝達方向を本体部の後方側に向かう方向とすることができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、前記基板には、前記アンテナの前記固定用脚部を貫通自在な貫通部が備えられ、
前記アンテナは、前記固定用脚部が前記貫通部を通して前記基板を貫通させる状態で前記固定部に固定されている点にある。
【0016】
本構成によれば、アンテナを固定するに当たり、固定用脚部が貫通部を通して基板を貫通して固定部に固定されているので、基板の周囲に固定用脚部を通過させるための空間等を確保しなくてもよく、限られたスペースの本体部の内部空間に、アンテナ、基板及び固定部を効率よく配置させることができる。
【0017】
本発明の第5特徴構成は、前記本体部は、少なくとも後方側の一部が設置面の内部に埋設される埋設状態にて設置面に設置され、
前記放熱部は、前記本体部において設置面の内部に埋設される部位に配設され、
前記伝熱部には、前記固定部から前記放熱部への熱の伝達を行う固定部-放熱部間熱伝達部が備えられている点にある。
【0018】
本構成によれば、放熱部は、本体部において設置面の内部に埋設される部位に配設されているので、設置面の内部において、放熱部から本体部の外部への放熱が行われる。これにより、利用者等が接触する可能性のある部位が高温となるのを適切に防止することができる。
【0019】
しかも、固定部-放熱部間熱伝達部が備えられているので、固定部-放熱部間熱伝達部としては、他の伝熱部材との兼ね合いもなく、固定部から放熱部への熱の伝達を行うための好適な構成を採用することができ、その熱の伝達を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】情報コンセントが設置された状態を示す正面図
【
図2】情報コンセントが設置された状態を示す側面図
【
図5】第1伝熱部による熱の伝達を示す平面視での模式図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る情報通信装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
この情報通信装置に相当する情報通信ユニット2は、
図1及び
図2に示すように、例えば、壁11等の設置面に設置された情報コンセント1の一部として備えられている。以下、壁11に対して直交する表裏方向の表側を前後方向の前方側(
図2中、右側)として、表裏方向の裏側を前後方向の後方側(
図2中、左側)として説明する。
【0022】
情報コンセント1は、
図1に示すように、情報通信ユニット2に加えて、電源コンセントユニット3が備えられている。情報通信ユニット2は、左右方向の一方側(
図1中右側)に配置され、電源コンセントユニット3は、左右方向の他方側(
図1中左側)に配置され、情報通信ユニット2と電源コンセントユニット3とが、左右方向に並ぶように備えられている。情報通信ユニット2の前面側には、LAN用モジュラープラグが接続自在なLAN用モジュラープラグ用の接続口4が備えられ、電源コンセントユニット3の前面側には、上下に2つの差込口5が備えられている。
【0023】
情報コンセント1は、
図2に示すように、壁11に貫通形成された矩形状の設置用孔12の後方側に設置されたコンセントボックス13と、壁11の前面側に配置された化粧カバー14とを、それらの間において壁11の前面に当接する取付フレーム15を介して固定されている。
【0024】
コンセントボックス13の上下には、壁11の後方側空間に配線された電源ケーブル(図示省略)、及び、通信ケーブル7等の各ケーブルが挿入される挿入口16が形成されている。通信ケーブル7は、挿入口16を通してコンセントボックス13内に引き込まれ、情報通信ユニット2に接続されている。図示を省略した商用電源からの電力を供給する電源ケーブルも、挿入口16を通してコンセントボックス13内に引き込まれ、電源コンセントユニット3に接続されている。また、電源コンセントユニット3と情報通信ユニット2とを接続する電源ケーブル6が備えられ、その電源ケーブル6にて電源コンセントユニット3と情報通信ユニット2とを接続することで、商用電源からの電力が、電源コンセントユニット3を介して情報通信ユニット2に供給されている。
【0025】
化粧カバー14には、
図1及び
図2に示すように、情報通信ユニット2及び電源コンセントユニット3に対応した形状の取付窓17が形成されている。情報通信ユニット2及び電源コンセントユニット3は、各取付窓17を通して、情報通信ユニット2及び電源コンセントユニット3の前面部分を前方に露出させる形態で取り付けられている。
【0026】
情報通信ユニット2は、
図3に示すように、第1アンテナ31、第2アンテナ41や情報通信のための各種の部品が内蔵された本体ユニット21(本体部)が備えられている。本体ユニット21は、
図2に示すように、その全体が壁11よりも前方側に突出しているのではなく、その後方側の一部が壁11の内部に埋設される埋設状態で壁11に設置されている。本体ユニット21は、
図2及び
図3に示すように、前方側ケーシング24と後方側ケーシング25とに分割自在に構成されており、後方側ケーシング25の全体及び前方側ケーシング24の後端部位が壁11の内部に埋設されている(
図2参照)。このように、本体ユニット21を埋設状態で壁11に設置することで、壁11から室内側への装置の突出量を小さくすることができ、美観の低下や装置が邪魔になる等の問題発生を防止することができる。
【0027】
例えば、前方側ケーシング24は、合成樹脂製に構成され、後方側ケーシング25は、アルミや亜鉛銅等の金属製に構成されている。これにより、後方側ケーシング25は、良好な熱伝導性を有しており、後方側ケーシング25の外表面部から外部に放熱して、本体ユニット21の内部の昇温を抑制している。後方側ケーシング25の外表面部には、複数の溝部が形成されており、その表面積を拡大させて、外部への放熱を促進している。
【0028】
前方側ケーシング24は、
図3に示すように、前方側に面する矩形状の前面部24aと、その前面部24aの外周縁部から後方側に延出する周側部24bとを有する後方側が開放された箱状に形成されている。周側部24bは、前面部24aの上端縁部から後方側に延出する面状の上方側部位と、前面部24aの下端縁部から後方側に延出する面状の下方側部位と、前面部24aの右端縁部から後方側に延出する面状の右側部位と、前面部24aの左端縁部から後方側に延出する面状の左側部位との上下左右の4つの側部部位を有している。前方側ケーシング24には、周側部24bの後端部位から側方側に延出するフランジ部24cが備えられ、
図2に示すように、フランジ部24cが、取付フレーム15に固定自在に構成されている。
【0029】
前方側ケーシング24の前面部24aには、
図3に示すように、表示ランプ部26、設定ボタン27、LAN用モジュラープラグ用の接続口4等が配設されている。表示ランプ部26は、情報通信ユニット2の電源の投入状態を示すインジゲータ、ネットワークのアクセス状態を示すインジゲータ等の各種のインジゲータを有しており、前面部24aの右上方側部位に配設されている。設定ボタン27は、ネットワークを接続する各種の設定を行うためのボタンであり、前面部24aの左右方向及び上下方向の中央部位に配設されている。LAN用モジュラープラグ用の接続口4は、前面部24aの左右方向の中央部位で上下方向の下方側部位に配設されている。
【0030】
後方側ケーシング25は、後方側に面する矩形状の後面部25aと、その後面部25aの外周縁部から前方側に延出する周側部25bとを有する前方側が開放された箱状に形成されている。周側部25bは、後面部25aの上端縁部から前方側に延出する上方側部位と、後面部25aの下端縁部から前方側に延出する下方側部位と、後面部25aの右端縁部から前方側に延出する右側部位と、後面部25aの左端縁部から前方側に延出する左側部位との上下左右の4つの側部部位を有している。後方側ケーシング25の後面部25aや周側部25bには、電源ケーブル6や通信ケーブル7等の各ケーブルを接続する接続口25c(
図2参照)が備えられている。
【0031】
前方側ケーシング24と後方側ケーシング25とを組み付けることで、前後、左右及び上下が閉塞された中空状の内部空間が形成され、その内部空間に、
図3及び
図4に示すように、情報通信のための各部品が内蔵されている。各部品として、例えば、第1アンテナ31、第2アンテナ41、複数の電子部品22、複数の電子部品22が実装された複数の基板23が備えられている。基板については、複数備えられているが、
図3及び
図4では、1つの基板23のみ示しており、他の基板を省略して図示している。
【0032】
本体ユニット21の内部空間に備えられる電子部品22が発熱源となることから、
図3及び
図4に示すように、電子部品22にて発生する熱を、放熱部となる後方側ケーシング25に伝達する第1伝熱部51及び第2伝熱部61が備えられている。これらの伝熱部51、61にて後方側ケーシング25に熱を伝熱させて、その伝熱された熱を後方側ケーシング25の外表面から外部に放熱して、本体ユニット21の内部の昇温を抑制している。
【0033】
2つの伝熱部51、61のいずれもが、電子部品22から発生する熱を、アンテナ31、41の一部に伝熱させてアンテナ31、41にて熱の伝熱を中継させる状態で、後方側ケーシング25に伝熱させている。第1伝熱部51と第2伝熱部61とは、上下方向に並ぶ状態で備えられ、第1伝熱部51は、上方側に配設された第1アンテナ31の一部にて熱の伝熱を中継させる状態で、後方側ケーシング25に伝熱させており、第2伝熱部61は、下方側に配設された第2アンテナ41の一部にて熱の伝熱を中継させる状態で、後方側ケーシング25に伝熱させている。
【0034】
以下、
図3及び
図4に基づいて、伝熱部51、61について説明を加えるが、第1伝熱部51と第2伝熱部61は、熱を伝熱させる部位が上下方向で異なるだけであり、同様の構成を有するので、上方側の第1伝熱部51のみ説明し、下方側の第2伝熱部61については説明を省略する。
【0035】
第1伝熱部51は、第1アンテナ31の一部にて熱の伝熱を中継させる状態で、後方側ケーシング25に伝熱させており、第1アンテナ31の一部が伝熱部の一部を兼用している。第1アンテナ31は、無線LANの複数の周波数帯域(例えば、2.4GHzと5.0GHz)に感度を有する板状のアンテナ素子32と、グランド33とを有するデュアルアンテナとして備えられている。グランド33は、電子部品22に対して前方側から直接的に当接する状態で配設され、又は、伝熱パッド等の伝熱部材を介して電子部品22に対して前方側から間接的に当接する状態で配設され、電子部品22から発生する熱を受ける受熱部として備えられている。
【0036】
基板23の前面部の上方側部位には、複数の電子部品22が左右方向に間隔を隔てる状態で実装されている。第1アンテナ31のグランド33は、左右方向に延びて複数の電子部品22に亘る長さを有する板状に形成されている。グランド33において、電子部品22に対して前方側から対向する対向部位33aが、電子部品22よりも上下方向及び左右方向で大きな幅を有するように拡幅されている。これにより、グランド33において電子部品22から発生する熱を受ける受熱部の面積を大きくして、効率よく熱を受けるようにしている。
【0037】
第1アンテナ31を固定させるために、グランド33から後方側に延びる固定用脚部34と、その固定用脚部34が固定されることで第1アンテナ31を固定する固定部35とが備えられている。固定用脚部34は、前後方向に延びる金属製の細長棒状に形成され、上下方向及び左右方向に所定間隔を隔てて複数備えられている。固定部35は、基板23と同様に、上下方向の幅が左右方向よりも大きな金属製の矩形板状体にて構成され、複数の固定用脚部34の夫々を取り付ける凹状の取付部35aが形成されている。
【0038】
第1アンテナ31、基板23、固定部35については、前方側から、第1アンテナ31、基板23、固定部35の順に並ぶ状態で配設されている。第1アンテナ31と固定部35との間に基板23が配設されているので、基板23には、第1アンテナ31における複数の固定用脚部34の夫々を貫通自在な貫通部23aが備えられている。第1アンテナ31は、複数の固定用脚部34の夫々が複数の貫通部23aの夫々を通して基板23を貫通させる状態で固定部35の取付部35aに取り付けられて、第1アンテナ31が固定部35に固定されている。
【0039】
第1伝熱部51は、電子部品22から発生する熱を、第1アンテナ31のグランド33、固定用脚部34、固定部35の順に熱を伝熱させている。第1伝熱部51は、固定部35から後方側ケーシング25への熱の伝達を行う固定部-放熱部間熱伝達部52が備えられている。固定部-放熱部間熱伝達部52は、金属製に構成され、固定部35の全体に対して後方側から対向する板状の対向部位52aと、その対向部位52aの左右方向の両端部から後方側に延びる後方延設部位52bとを有する平面視でU字形状に形成されている。対向部位52aは、固定部35に対して後方から直接的に当接する状態で配設され、又は、伝熱パッド等の伝熱部材を介して固定部35に対して後方側から間接的に当接する状態で配設され、固定部35の熱を受熱している。後方延設部位52bは、その後方側端部が後方側ケーシング25に接触するように配設され、対向部位52aにて固定部35から受けた熱を後方側に移動させて、その熱を後方側ケーシング25に伝熱させている。
【0040】
図5の模式図に基づいて、第1伝熱部51による熱の伝達について説明を加える。
図5は、熱の伝達の仕方を示す平面視での模式図であり、熱の伝達の仕方が分かり易くなるように、第1アンテナ31における固定用脚部34の一部や第2アンテナ41等を省略して図示している。
【0041】
電子部品22から発生する熱は、まず、矢印T1に示すように、前方側に対向する第1アンテナ31のグランド33に伝達される。次に、矢印T2に示すように、グランド33に伝達された熱は、グランド33から固定用脚部34に伝達され、固定用脚部34を通して後方側に移動し、固定部35に伝達される。次に、矢印T3に示すように、固定部355に伝達された熱は、固定部35から固定部-放熱部間熱伝達部52に伝達され、固定部-放熱部間熱伝達部52の後方延設部位52bを通して後方側に移動し、後方側ケーシング25に伝達される。
【0042】
このようにして、第1伝熱部51にて後方側ケーシング25に伝達された熱は、後方側ケーシング25の外表面部から外部に放熱される。後方側ケーシング25は、
図2に示すように、その全体が壁11の内部に埋設されているので、壁11の内部にて放熱が行われることになり、壁11から前方側に膨出する前方側ケーシング24等が高温になるのを防止することができる。よって、情報通信ユニット2において、使用者等が触れる可能性がある部位が高温となるのを適切に防止することができ、好適な放熱構造を有する情報通信ユニット2となる。
【0043】
第2伝熱部61については、詳細な説明は省略したが、
図3及び
図4に示すように、第1伝熱部51と同様に、第2アンテナ41の一部にて熱の伝熱を中継させる状態で、後方側ケーシング25に伝熱させている。第2アンテナ41は、第1アンテナ31と同様に、第2伝熱部61の一部を兼用しており、アンテナ素子42、グランド43が備えられ、第2アンテナ41を固定するために、固定用脚部44、固定部35が備えられている。
【0044】
ここで、固定部35は、上下方向及び左右方向で基板23と同様の幅を有する1つの板状体にて構成されており、第1アンテナ31の固定部35と第2アンテナ41の固定部35とが一体的に備えられている。固定部-放熱部間熱伝達部52も、固定部35と同様に、上下方向及び左右方向で基板23と同様の幅を有する1つの板状体にて構成されており、第1伝熱部51の固定部-放熱部間熱伝達部52と第2伝熱部61の固定部-放熱部間熱伝達部52とが一体的に備えられている。これにより、第2伝熱部61は、電子部品22から発生する熱を、第2アンテナ41のグランド43、固定用脚部45、第1アンテナ31と共通の固定部35の順に伝達させている。第2伝熱部61は、固定部35に伝達された熱を、第1伝熱部51と共通の固定部-放熱部間熱伝達部52にて後方側ケーシング25に伝達させている。
【0045】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0046】
(1)上記実施形態では、情報通信ユニット2に対して電源ケーブル6を接続することで、電源ケーブル6を通して電力の供給を受けるように情報通信ユニット2を商用電源仕様としているが、通信ケーブル7を介して電力の供給を受けるように情報通信ユニット2をPOE(Power Over Ethernet)仕様とすることもできる。
【0047】
(2)上記実施形態では、情報通信ユニット2を、LAN用モジュラープラグ用の接続口4を備えた仕様としているが、LAN用モジュラープラグ用の接続口4を省略することもできる。また、情報通信ユニット2を、LAN用モジュラープラグ用の接続口4に加えて、電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口を備えた仕様とすることもできる。
【符号の説明】
【0048】
2 情報通信ユニット(情報通信装置)
21 本体ユニット(本体部)
22 電子部品
25 後方側ケーシング(放熱部)
31 第1アンテナ
33 グランド(受熱部)
34 固定用脚部
35 固定部
41 第2アンテナ
43 グランド(受熱部)
44 固定用脚部
51 第1伝熱部
52 固定部-放熱部間熱伝達部
61 第2伝熱部