(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】釣りの仕掛け
(51)【国際特許分類】
A01K 91/06 20060101AFI20220922BHJP
A01K 85/00 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
A01K91/06 B
A01K85/00 K
(21)【出願番号】P 2021036776
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】520037566
【氏名又は名称】杉内 博之
(72)【発明者】
【氏名】杉内 博之
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-227081(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0005703(US,A1)
【文献】米国特許第4848024(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0119972(US,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2020-0001212(KR,U)
【文献】特開2018-174886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 91/00 - 91/20
A01K 83/00 - 83/06
A01K 85/00 - 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きた魚を餌とする釣りの仕掛けにおいて、釣り針とハリスとを備え、前記ハリスは一端が前記釣り針に結束され他端側は前記魚の体内を2回以上通された状態で他端が道糸に繋がっていることを特徴とする釣りの仕掛け。
【請求項2】
前記ハリスが、前記仕掛けを装着したのち大きく動くのを制限するためのストッパーが前記ハリスに付されていることを特徴とする請求項1の釣りの仕掛け。
【請求項3】
前記釣り針は、前記魚から離れた状態とするために前記魚に刺し込まれていないことを特徴とする請求項1乃至2の釣りの仕掛け。
【請求項4】
前記釣り針は、前記釣り針の軸が前記魚の口の中に収められ且つ針先が口の外に出ていることを特徴とする請求項1乃至2の釣りの仕掛け。
【請求項5】
前記釣り針は、複数本の針先を有しそのうち1~3本が前記魚に刺し込まれ固定されていることを特徴とする請求項1乃至2の釣りの仕掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
生きた魚を餌とする釣りにおいて、仕掛けを目立たせず効率よく釣り上げるための釣りの仕掛けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生きた魚を捕食するイカや魚などは、逃げようと激しくあばれる餌に興奮し捕食する習性がある。また釣りの仕掛けに敏感で仕掛けを見て捕食を中止することがある。特に大きい部品を持つアオリイカの仕掛けは警戒されやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-154455
【文献】実登3071048
【文献】特開2020-80674
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、生きた魚を餌とする仕掛けは目立ちやすいうえに魚が泳ぎにくかったりするので魚の体力の消耗が早く、仕掛けを目立たないようにし且つ魚が泳ぎやすい仕掛けを提供しなければならない課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、生きた魚を餌とする釣りの仕掛けにおいて、釣り針とハリスとを備え、前記ハリスは一端が前記釣り針に結束され他端側は前記魚の体内を2回以上通された状態で他端が道糸に繋がっていることを特徴とする釣りの仕掛けである。
【0006】
本発明は、前記ハリスが、前記仕掛けを装着したのち大きく動くのを制限するためのストッパーが前記ハリスに付されていることを特徴とする請求項1の釣りの仕掛けである。
【0007】
本発明は、前記釣り針は、前記魚から離れた状態とするために前記魚に刺し込まれていないことを特徴とする請求項1乃至2の釣りの仕掛けである。
【0008】
本発明は、前記釣り針は、前記釣り針の軸が前記魚の口の中に収められ且つ針先が口の外に出ていることを特徴とする請求項1乃至2の釣りの仕掛けである。
【0009】
本発明は、前記釣り針は、複数本の針先を有しそのうち1~3本が前記魚に刺し込まれ固定されていることを特徴とする請求項1乃至2の釣りの仕掛けである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ハリスを魚の体内に通すので、釣り針は魚の頭部に位置させハリスは尾近辺から出すことが可能となり、餌の魚が前方へ自然に泳ぎやすくなり体力の消耗が少ない。またイカや魚の多くは餌の頭から捕食する傾向が有るので餌の魚の頭部にハリスがないので警戒されにくい。その結果、警戒心が薄れ捕食しやすくなるのでイカや魚を釣り上げること出来る。(餌の魚は体内にハリスを通されても特段の変化は無く普通に泳ぎ続けるが内臓を通すのは良くない)釣り針を餌の魚の尾側に位置させハリスを頭部付近から通せば、餌の魚の泳ぎ方が変わり、餌を見慣れたイカや魚に違うアピールができる。さらに餌の魚の体内を通す回数を2回以上とするので通す距離を小分けにできハリスを通す作業が容易となり、作業時間が短縮され仕掛けを装着することでの餌の魚の体力消耗を防ぐことが出来る。またこの仕掛けは死んだ魚に使用しても問題ない。
【0011】
本発明の釣りの仕掛けは、仕掛けを装着したのちハリスが動くことで張り過ぎたり緩んだりすることを防止するためのストッパーがハリスに付されているので、釣り人が餌の魚を目的の場所へ遠投することが出来る。またこのストッパーは固定されてはいるが移動可能にしておけば魚の大きさに合わせて調整できる。
【0012】
本発明の釣りの仕掛けは、釣り針が餌である魚に刺し込まれていないので、釣り針が魚から離れる状態となりイカや魚に警戒されにくくなっている。イカや魚が捕食し逃げるとハリスが強く引かれるのでハリスが餌の魚の体内を滑ることで釣り針が移動してイカや魚に針掛かりする。特に餌の魚を捉えて脳を破壊した後捕食するアオリイカは頭に釣り針がある仕掛けは非常に警戒し釣り針の無い部位である顎側から脳を破壊する。頭から少し離れたところに釣り針を位置させれば警戒させずに捉えさせ、アオリイカが脳を破壊した後捕食の為に移動し始めると針掛かりすることになる。この時、前段落に述べたストッパーが有る場合はイカや魚の強い引きでハリス上を滑る程度の固定が良い。
【0013】
本発明の釣りの仕掛けは、釣り針の軸が餌の魚の口内に隠れる状態になり針先が口外に出ているのでイカや魚に警戒されずに捕食させ釣ることが出来る。
【0014】
本発明の釣りの仕掛けは、釣り針が複数本の針先を有しそのうち1~3本が餌の魚に差し込まれているので、餌の魚を丸呑みするブリなど仕掛けをさほど警戒しない魚を効率よく針掛かりさせることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本発明の釣りの仕掛けを説明する図である。(実施例1)
【
図2】
図2は本発明のアオリイカ釣りの仕掛けを説明する図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記の実施例をもって発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、釣りの仕掛けの説明図でありイカ釣り針の例で示した実施例1である。イカ釣り針1は複数本の返しの無い針先2と軸3で構成されており、ハリス6が結束される管5も有している。ハリス6の一端17が管5に結束されており、ハリス6の他端側は餌の魚10の口から入り鰓と鰓の間を通り鰓ブタ11から体外に出て、さらに餌の魚10の尾14付近の体内を通過し他端18がサルカン8などを経由して道糸9に繋がっている。この状態となるので餌の魚10が泳げば自然にハリス6が後ろに引かれ餌の魚10の胴13横のハリスに撓みは出ずハリス6は目立たない。餌の魚10の体内を通す方法は縫い針などでハリス6を通すのがやりやすいので鰓と鰓の間を通しにくい場合は下顎を貫通させる方法もある。また、体内の浅い部分を通すのが良いと通常考えられるが反対側の側面に貫通しても魚の状態は特に変化しない。ただし、内臓や血管を傷付けない注意は必要である。この方法で仕掛けを装着した後、ハリス6を餌の魚10の後方から引けばイカ釣り針1の軸4が口の中に隠れ、針先2は口外へ出ている状態になる。よって、仕掛けは目立たないうえに餌の魚は前方へ泳ぎやくイカに警戒されにくく針掛かりさせることが可能となる。水槽の実験ではイカ釣り針が餌の魚の呼吸でわずかに前後に動き餌の魚が何かを捕食しかけているように見え、釣り針がある違和感がほとんどなく水槽中の他の魚が横取りしようと寄ってくる状態である。この仕掛けで針先に返しが有る釣り針を使用するだけで魚を釣る仕掛けとなるが図での説明は省略する。
【実施例2】
【0018】
図2は、実施例2であるアオリイカ釣りの仕掛けの説明図である。アオリイカは餌の魚に付けられたイカ釣り針などを警戒しやすいのが大きな特徴である。そこでイカ釣り針1を餌の魚10から離した状態に保持するためハリス6の移動を制限するストッパー16が付されている。つまりイカ釣り針1はハリス6に固定された状態ではあるが、ハリス6は動かないため餌の魚10から離れたままである。アオリイカは餌の魚を捉えたのち直ぐに餌の魚の脳を破壊し始めるのでこの脳に近いところからハリス6を魚に通し5cm以内にイカ釣り針1が位置するようストッパー16を設ける。このストッパー16は固定されているがアオリイカの強い引きで動く程度の固定が良い。ハリスの他端側は餌の魚の尾付近の体内を通過しているのは実施例1と同じである。イカ釣り針は金属製なので餌の魚の横または下に位置するので餌の魚の頭上に浮かせたい場合はイカ釣り針に小さな浮き15を付ければよい。
【0019】
1 イカ釣り針
2 針先
3 軸
4 口内に隠れた軸
5 ハリスが結束される管
6 ハリス(体外にある)
7 魚の体内を通るハリス
8 サルカン
9 道糸
10 魚
11 鰓及び鰓ブタ
12 頭部
13 胴
14 尾
15 釣り針の小さな浮き
16 ストッパー
17 ハリスの一端
18 ハリスの他端