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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】動的読み取り閾値較正
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/56 20060101AFI20220922BHJP
   G11C 16/34 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
G11C11/56 220
G11C16/34 116
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021103671
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2022066136
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】63/092,731
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/211,602
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・バザラスキー
(72)【発明者】
【氏名】エラン・シャロン
(72)【発明者】
【氏名】アイダン・アルロッド
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0149868(US,A1)
【文献】特開2007-323731(JP,A)
【文献】特開2009-064440(JP,A)
【文献】特表2010-541119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/56
G11C 16/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データストレージデバイスであって、
不揮発性メモリ(NVM)と、
前記NVMに結合され、メモリセル読み取り較正のための方法を実行するように構成されたコントローラと、
を備え、前記方法が、
前記NVMの標的ワード線(WL)の複数のセルのうちの第1のセルを識別することと、
前記第1のセルに物理的に隣接する、隣接WLの第1の隣接セルの電圧を読み取ることと、
前記電圧に基づいて前記第1のセルの第1の読み取り閾値を較正することと、
前記第1のセルから標的電圧を読み取ることと、
前記電圧に基づいて、前記標的電圧を補正することと、を含む、データストレージデバイス。
【請求項2】
前記方法が、
前記複数のセルのうちの第2のセルを識別することと、
前記第2のセルに物理的に隣接する、前記隣接WLの第2の隣接セルの第2の電圧を読み取ることと、
前記第2の電圧に基づいて、前記第2のセルの第2の読み取り閾値を較正することと、を更に含む、請求項1に記載のデータストレージデバイス。
【請求項3】
前記第2の読み取り閾値が、前記第1の読み取り閾値とは異なる、請求項2に記載のデータストレージデバイス。
【請求項4】
前記方法が、前記第1の読み取り閾値に基づいて、前記第1のセルの読み取り動作を、及び前記第2の読み取り閾値に基づいて、前記第2のセルの読み取り動作を実行することを更に含む、請求項3に記載のデータストレージデバイス。
【請求項5】
前記方法が、
誤り訂正コード(ECC)を使用して、前記標的電圧における読み取り誤りを識別することを更に含む、請求項1に記載のデータストレージデバイス。
【請求項6】
前記第1のセルにREAD電圧を印加することを更に含む、請求項5に記載のデータストレージデバイス。
【請求項7】
データストレージデバイス用のコントローラであって、
1つ以上の不揮発性メモリ(NVM)へのI/Oと、
前記1つ以上のNVMの1つ以上のメモリセルの動的読み取り閾値較正のための方法を実行するように構成されたプロセッサと、
を備え、前記方法が、
前記1つ以上のNVMの第1のワード線(WL)から第1のセル群の第1の電圧を読み取ることと、
前記第1の電圧に基づいて、前記1つ以上のNVMの第2のWLの第2のセル群を分類することと、
前記第1の電圧に基づいて較正された第1の較正された読み取り閾値を用いて、前記第2のセル群を較正することと、
前記第1のWLの第3のセル群から第2の電圧を読み取ることと、
前記第2のWLの第4のセル群を分類することと、
第2の較正された読み取り閾値を用いて、前記第2の電圧に基づいて、前記第4のセル群を較正することと、
前記第1の較正された読み取り閾値及び第2の較正された読み取り閾値をほぼ同時に適用することと、前記第2のセル群及び第4のセル群から並列に読み取ることと、を含む、コントローラ。
【請求項8】
データストレージデバイス用のコントローラであって、
1つ以上の不揮発性メモリ(NVM)へのI/Oと、
前記1つ以上のNVMの1つ以上のメモリセルの動的読み取り閾値較正のための方法を実行するように構成されたプロセッサと、
を備え、前記方法が、
前記1つ以上のNVMの第1のワード線(WL)から第1のセル群の第1の電圧を読み取ることと、
前記第1の電圧に基づいて、前記1つ以上のNVMの第2のWLの第2のセル群を分類することと、
前記第1の電圧に基づいて較正された第1の較正された読み取り閾値を用いて、前記第2のセル群を較正することと、
前記第1のWLの第3のセル群から第2の電圧を読み取ることと、
前記第2のWLの第4のセル群を分類することと、
第2の較正された読み取り閾値を用いて、前記第2の電圧に基づいて、前記第4のセル群を較正することと、
通常の復号不良を検出することと、
前記第1のセル群及び前記第2のセル群でルックアヘッド読み取りを実行することと、を含んでおり、
前記ルックアヘッドが、
前記第1のセル群及び第3のセル群から前記第1の電圧及び第2の電圧を読み取ることと、
前記第1の電圧及び第2の電圧に基づいて、前記第2のセル群から第3の電圧を読み取ることと、を含む、コントローラ。
【請求項9】
前記第2のセル群及び前記第4のセル群を較正することが、
前記第2のWLのデータに対する読み取りコマンドを受信することと、
前記第1の較正された読み取り閾値及び第2の較正された読み取り閾値をそれぞれ、前記第2のセル群及び前記第4のセル群に適用することと、を更に含む、請求項7または8のコントローラ。
【請求項10】
前記方法が、
通常の復号不良を検出することと、
前記第1のセル群及び前記第2のセル群でルックアヘッド読み取りを実行することと、を更に含む、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記方法が、前記第3の電圧における誤差を識別することを更に含む、請求項8に記載のコントローラ。
【請求項12】
データを記憶するためのシステムであって、
不揮発性メモリ手段と、
プロセッサと、動的読み取り較正のための方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むメモリと、を備える、コントローラ手段であって、前記不揮発性メモリ手段に結合されている、前記コントローラ手段と、を備え、前記方法が、
第1のワード線(WL)の第1のセル群から第1の電圧を測定することと、
前記第1のWLに隣接する第2のWLの第2のセル群から第2の電圧を測定し、前記第1の電圧に基づいて、前記第2の電圧を等化することと、
前記第2の電圧における誤差を検出することと、
前記第1の電圧に基づいて、前記第2の電圧の読み取り閾値を較正することと、を含む、システム。
【請求項13】
前記方法が、
前記第1のWLの第3のセル群から第3の電圧を測定することと、
前記第2のWLの第4のセル群から第4の電圧を測定することと、を更に含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記方法が、
前記第3の電圧に基づいて、前記第4の電圧の第2の読み取り閾値を較正することを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記方法が、
前記第2のセル群及び第4のセル群に対して、ホストから読み取り要求を受信することと、
前記較正された読み取り閾値及び第2の較正された読み取り閾値を使用して、前記第2及び第4のセル群から複数の電圧を読み取ることと、を更に含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記方法が、
第3のWLの第5のセル群の第5の電圧を測定することを更に含み、前記第3のWLが、前記第2のWLに隣接する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記方法が、
前記第5の電圧に基づいて前記第2の電圧の第3の読み取り閾値を較正することを更に含む、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年10月16日に出願された米国仮特許出願第63/092,731号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示の実施形態は、概して、不揮発性メモリセルに記憶されたデータの誤り訂正能力、特に、ワード線(WL)読み取り閾値の較正に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
電子デバイスのメモリ需要が増加するにつれ、メモリセルはますますコンパクトになり、標的セルを読み取る際の隣接セル内の電気信号による干渉を克服することが一層困難になる。その結果、ビット誤り率(BER)が増加し易い。
【0004】
現行アプローチでは、隣接セルの影響を軽減するための多くの方法が存在する。例えば、ダイレベルにおけるアプローチは、ルックアヘッド及び動的ルックアヘッド読み取りを含み得る。別の実施例では、コントローラレベルにおける他のアプローチは、等化を含み得る。これらの方法は、標的WLセルを読み取るときに隣接ワード線(WL)電圧内のセルの追加読み取りを行うことを含み、次いで、標的WLの読み取り電圧が、隣接WL電圧に従って補正される。これらの軽減方法は、BERの低減には限られた影響しか及ぼさない。BERの低減に対してより有意な影響を及ぼす別の現行アプローチは、標的WLからのセルデータに基づいて、標的WLの読み取り閾値較正を含む。しかしながら、現行アプローチでは、読み取り閾値較正は、隣接WLの状態に関係なく実行される。
【0005】
隣接WLが標的WLのセルに及ぼす影響を軽減するために、読み取り閾値較正を改良するための方法及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、概して、ダイ上で、メモリダイに接続されたコントローラ内で、又はその両方で実施され得る、標的ワード線(WL)のセルの読み取り閾値を較正するための方法及びシステムに関する。1つ以上の隣接WLセルの電圧値が読み取られ、隣接セルの電圧値に基づいて、標的WLのセルが分類される。読み取り閾値較正は、各群で実行される。次いで、較正閾値は、標的WLの各別個の群のセルでの読み取り動作に使用される。
【0007】
一実施形態では、データストレージデバイスが開示され、データストレージデバイスは、不揮発性メモリ(NVM)と、NVMに結合され、メモリセル読み取り較正のための方法を実行するように構成されたコントローラと、を含む。本方法は、NVMの標的ワード線(WL)の複数のセルのうちの第1のセルを識別することと、第1のセルに物理的に隣接する、隣接WLの第1の隣接セルの電圧を読み取ることと、電圧に基づいて、第1のセルの第1の読み取り閾値を較正することと、を含む。
【0008】
別の実施形態では、1つ以上の不揮発性メモリ(NVM)へのI/Oと、1つ以上のNVMの1つ以上のメモリセルの動的読み取り閾値較正のための方法を実行するように構成されたプロセッサと、を含む、データストレージデバイス用のコントローラが開示される。実施形態では、本方法は、1つ以上のNVMの第1のワード線(WL)から第1の電圧を読み取ることと、第1の電圧に基づいて、1つ以上のNVMの第2のWLの第2のセル群を分類することと、第1の較正された読み取り閾値を用いて、第1の電圧に基づいて、第2のセル群を較正することと、を含む。
【0009】
別の実施形態では、データを記憶するためのシステムが開示され、システムは、不揮発性メモリ手段と、プロセッサと、動的読み取り較正のための方法を実行するためのコンピュータ可読命令を備えるメモリと、を備える、コントローラ手段を含み、コントローラ手段は、不揮発性メモリ手段に結合される。実施形態では、本方法は、第1のワード線(WL)の第1のセル群から第1の電圧を測定することと、第1のWLに隣接する第2のWLの第2のセル群から第2の電圧を測定することと、第1の電圧に基づいて、第2の電圧を等化することと、第2の電圧における誤差を検出することと、第1の電圧に基づいて、第2の電圧の読み取り閾値を較正することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、簡潔に上で要約した本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによってなされ得、それらのいくつかが添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定するものと見なされるべきではなく、本開示が他の同等に有効な実施形態を認め得ることに留意すべきである。
【0011】
図1】開示される実施形態による、データストレージデバイスがホストデバイスのためのストレージデバイスとして機能し得るストレージシステムを示す概略ブロック図である。
【0012】
図2】開示される実施形態による、メモリセル及び隣接メモリセルの電圧状態を示すヒストグラムである。
【0013】
図3】開示される実施形態による動的読み取り閾値較正の方法を示すフロー図である。
【0014】
図4】開示される実施形態による、基本等化動作の失敗後に動的読み取り閾値較正を実行する方法を示すフロー図である。
【0015】
理解を容易にするために、図面に共通する同一の要素を示すために、可能な限り、同一の参照番号を使用している。一実施形態で開示される要素は、特に断ることなく、他の実施形態に有益に利用され得ることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本開示の実施形態を参照する。しかしながら、本開示は、具体的に説明される実施形態に限定されないことを理解されたい。その代わりに、以下の特徴及び要素の任意の組み合わせが、異なる実施形態に関連するか否かに関わらず、本開示を実施及び実践すると企図される。更に、本開示の実施形態は、他の可能な解決策に勝る、及び/又は先行技術に勝る利点を達成し得るが、特定の利点が所与の実施形態によって達成されるか否かは、本開示を限定するものではない。したがって、以下の態様、特徴、実施形態、及び利点は、単なる例示に過ぎず、請求項(複数可)に明示的に記載されている場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素又は限定と見なされない。同様に、「本開示」への言及は、本明細書に開示される任意の発明の主題の一般化として解釈されるものではなく、請求項(複数可)に明示的に記載されている場合を除いて、添付の特許請求の範囲の要素又は限定であると見なされるべきではない。
【0017】
本開示は、概して、ダイ上で、メモリダイに接続されたコントローラ内で、又はその両方で実施され得る、標的ワード線(WL)のセルの読み取り閾値を較正するための方法及びシステムに関する。1つ以上の隣接WLセルの電圧値が読み取られ、隣接セルの電圧値に基づいて、標的WLのセルが分類される。読み取り閾値較正は、各群で実行される。次いで、較正閾値は、標的WLの各別個の群のセルでの読み取り動作に使用される。
【0018】
図1は、開示される実施形態による、データストレージデバイス106がホストデバイス104のためのストレージデバイスとして機能し得るストレージシステム100を示す概略ブロック図である。例えば、ホストデバイス104は、データストレージデバイス106に含まれる不揮発性メモリ(NVM)110を利用して、データを記憶及び取得し得る。ホストデバイス104は、ホストDRAM138を備える。いくつかの実施例では、ストレージシステム100は、ストレージアレイとして動作し得るデータストレージデバイス106などの複数のストレージデバイスを含み得る。例えば、ストレージシステム100は、ホストデバイス104のための大量ストレージデバイスとして集合的に機能する安価/独立ディスクの冗長アレイ(RAID)として構成された複数のデータストレージデバイス106を含み得る。
【0019】
ホストデバイス104は、データストレージデバイス106などの1つ以上のストレージデバイスに及び/又はからデータを記憶及び/又は取得し得る。図1に示すように、ホストデバイス104は、インターフェース114を介してデータストレージデバイス106と通信し得る。ホストデバイス104は、コンピュータサーバ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)ユニット、デスクトップコンピュータ、ノートブック(すなわち、ラップトップ)コンピュータ、タブレットコンピュータ、セットトップボックス、いわゆる「スマート」フォンなどの電話機、いわゆる「スマート」パッド、テレビ、カメラ、ディスプレイデバイス、デジタルメディアプレーヤ、ビデオゲームコンソール、ビデオストリーミングデバイス、又はデータストレージデバイスからデータを送信又は受信することができる他のデバイスなど、広範なデバイスのうちのいずれも備え得る。
【0020】
データストレージデバイス106は、コントローラ108、NVM110、電源111、揮発性メモリ112、インターフェース114、及び書き込みバッファ116を含む。いくつかの実施例では、データストレージデバイス106は、明瞭化のために図1に示されていない追加の構成要素を含み得る。例えば、データストレージデバイス106は、データストレージデバイス106の構成要素が機械的に取り付けられ、データストレージデバイス106の構成要素を電気的に相互接続する導電性トレースを含む、プリント回路基板(PCB)を含み得る。いくつかの実施例では、データストレージデバイス106の物理的寸法及びコネクタ構成は、1つ以上の標準的フォームファクタに適合し得る。いくつかの例示的な標準的フォームファクタとしては、3.5”データストレージデバイス(例えば、HDD又はSSD)、2.5”データストレージデバイス、1.8”データストレージデバイス、周辺部品相互接続(PCI)、PCI拡張(PCI-X)、PCIエクスプレス(PCIe)(例えば、PCIe×1、×4、×8、×16、PCIeミニカード、ミニPCIなど)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、データストレージデバイス106は、ホストデバイス104のマザーボードに直接結合(例えば、直接半田付け)され得る。
【0021】
データストレージデバイス106のインターフェース114は、ホストデバイス104とデータを交換するためのデータバス、及びホストデバイス104とコマンドを交換するための制御バスのうちの一方又は両方を含み得る。インターフェース114は、任意の好適なプロトコルに従って動作し得る。例えば、インターフェース114は、以下のプロトコルのうちの1つ以上:先進技術アタッチメント(ATA)(例えば、シリアルATA(SATA)及びパラレルATA(PATA))、ファイバチャネルプロトコル(FCP)、シリアル接続SCSI(SAS)、PCI、及びPCIe、スモールコンピュータシステムインターフェース(SCSI)、不揮発性メモリエクスプレス(NVMe)、OpenCAPI、GenZ、キャッシュ・コヒーレント・インターフェース・アクセラレータ(CCIX)、オープンチャネルSSD(OCSSD)などに従って動作し得る。インターフェース114(例えば、データバス、制御バス、又はその両方)は、コントローラ108に電気的に接続され、この電気的接続は、ホストデバイス104とコントローラ108との間に電気的接続を提供し、ホストデバイス104とコントローラ108との間でデータを交換することを可能にする。いくつかの実施例では、インターフェース114の電気的接続はまた、データストレージデバイス106がホストデバイス104から電力を受け取り得る。例えば、図1に示すように、電源111は、インターフェース114を介してホストデバイス104から電力を受け取り得る。
【0022】
NVM110は、複数のメモリデバイス又はメモリユニットを含み得る。NVM110は、データを記憶及び/又は取得するように構成され得る。例えば、NVM110のメモリユニットは、データと、データを記憶するようにメモリユニットに命令するメッセージと、をコントローラ108から受信し得る。同様に、NVM110のメモリユニットは、データを取得するようにメモリユニットに命令するメッセージをコントローラ108から受信し得る。いくつかの実施例では、メモリユニットの各々は、ダイと称され得る。いくつかの実施例では、単一の物理チップは、複数のダイ(すなわち、複数のメモリユニット)を含み得る。いくつかの実施例では、各メモリユニットは、比較的大量のデータ(例えば、128MB、256MB、512MB、1GB、2GB、4GB、8GB、16GB、32GB、64GB、128GB、256GB、512GB、1TBなど)を記憶するように構成され得る。
【0023】
いくつかの実施例では、NVM110の各メモリユニットは、フラッシュメモリデバイス、相変化メモリ(PCM)デバイス、抵抗ランダムアクセスメモリ(ReRAM)デバイス、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス、強誘電性ランダムアクセスメモリ(F-RAM)、ホログラフィックメモリデバイス、及び任意の他の種類の不揮発性メモリデバイスなどの、任意の種類の不揮発性メモリデバイスを含み得る。
【0024】
NVM110は、複数のフラッシュメモリデバイス又はメモリユニットを備え得る。NVMフラッシュメモリデバイスは、NAND又はNORベースのフラッシュメモリデバイスを含み得、各フラッシュメモリセルのトランジスタの浮遊ゲートに含まれる電荷に基づいてデータを記憶し得る。NVMフラッシュメモリデバイスでは、フラッシュメモリデバイスは、複数のダイに分割され得、複数のダイの各ダイは複数のブロックを含み、これらは更に複数のページに分割され得る。特定のメモリデバイス内の複数のブロックの各ブロックは、複数のNVMセルを含み得る。NVMセルの行は、複数のページの各ページを定義するためにワード線を使用して電気的に接続され得る。複数のページの各々におけるそれぞれのセルは、それぞれのビット線に電気的に接続され得る。更に、NVMフラッシュメモリデバイスは、2D又は3Dデバイスであってもよく、単一レベルセル(SLC)、マルチレベルセル(MLC)、トリプルレベルセル(TLC)、又はクアッドレベルセル(QLC)であってもよい。コントローラ108は、ページレベルで、NVMフラッシュメモリデバイスにデータを書き込み、かつNVMフラッシュメモリデバイスからデータを読み取り得、ブロックレベルで、NVMフラッシュメモリデバイスからデータを消去し得る。
【0025】
データストレージデバイス106は、データストレージデバイス106の1つ以上の構成要素に電力を提供し得る電源111を含む。標準モードで動作するとき、電源111は、ホストデバイス104などの外部デバイスによって提供される電力を使用して、1つ以上の構成要素に電力を提供し得る。例えば、電源111は、インターフェース114を介してホストデバイス104から受け取った電力を使用して、1つ以上の構成要素に電力を提供し得る。いくつかの実施例では、電源111は、外部デバイスから電力を受け取ることを停止する場合などのシャットダウンモードで動作するときに、1つ以上の構成要素に電力を供給するように構成された1つ以上の電力貯蔵構成要素を含み得る。このように、電源111は、積載電源として機能し得る。1つ以上の電力貯蔵構成要素のいくつかの例としては、コンデンサ、超コンデンサ、バッテリなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施例では、1つ以上の電力貯蔵構成要素によって貯蔵され得る電力の量は、1つ以上の電力貯蔵構成要素のコスト及び/又はサイズ(例えば、面積/体積)の関数であり得る。換言すれば、1つ以上の電力貯蔵構成要素によって貯蔵される電力の量が増加するにつれて、1つ以上の電力貯蔵構成要素のコスト及び/又はサイズも増加する。
【0026】
データストレージデバイス106は、情報を記憶するためにコントローラ108によって使用され得る揮発性メモリ112を更に含む。揮発性メモリ112は、1つ以上の揮発性メモリデバイスを含み得る。いくつかの実施例では、コントローラ108は、揮発性メモリ112をキャッシュとして使用し得る。例えば、コントローラ108は、キャッシュされた情報が不揮発性メモリ110に書き込まれるまで、揮発性メモリ112にキャッシュ情報を記憶し得る。図1に示すように、揮発性メモリ112は、電源111から受け取った電力を消費し得る。揮発性メモリ112の例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、及び同期ダイナミックRAM(SDRAM(例えば、DDR1、DDR2、DDR3、DDR3L、LPDDR3、DDR4、LPDDR4など))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
データストレージデバイス106は、データストレージデバイス106の1つ以上の動作を管理し得るコントローラ108を含む。例えば、コントローラ108は、NVM110からのデータの読み取り及び/又はNVM110へのデータの書き込みを管理し得る。いくつかの実施形態では、データストレージデバイス106がホストデバイス104から書き込みコマンドを受信すると、コントローラ108は、データ記憶コマンドを開始して、データをNVM110に記憶し、データ記憶コマンドの進捗を監視し得る。コントローラ108は、ストレージシステム100の少なくとも1つの動作特性を判定し、少なくとも1つの動作特性をNVM110に記憶し得る。いくつかの実施形態では、データストレージデバイス106がホストデバイス104から書き込みコマンドを受信すると、コントローラ108は、データをNVM110に送信する前に、内部メモリ又は書き込みバッファ116内の書き込みコマンドに関連付けられたデータを一時的に記憶する。
【0028】
図2は、開示される実施形態による、メモリセル及び隣接メモリセルの電圧状態を示すヒストグラム200である。メモリセル及び隣接メモリセルは、図1のNVM110などの不揮発性メモリのメモリセルであってもよい。ヒストグラム200は、標的ワード線の全てのメモリセルの電圧状態を示す第1の曲線202、低読み取りで得られた隣接ワード線に従う標的ワード線の電圧状態を示す第2の曲線204、及び高読み取りで得られた隣接ワード線に従う標的ワード線の電圧状態を示す第3の曲線206を示す。低読み取りは、低電圧で隣接ワード線を読み取ることを指し、高読み取りは、高電圧で隣接ワード線を読み取ることを指し、低電圧は、電圧状態分布の第1の半分を指し、高電圧は、電圧状態分布の第2の半分を指し得る。電圧状態分布の第1の半分の電圧は、電圧状態分布の第2の半分の電圧よりも実質的に低い。
【0029】
第1の曲線202、第2の曲線204、及び第3の曲線206は15個の信号を示すため、ヒストグラム200は、メモリセル当たり4ビットを含むQLCメモリセルを示しており、15個の信号は、15のプログラム可能な電圧状態を指す。QLCメモリセルは、追加の電圧状態、「消去済み(Er)」を有し、「Er」電圧状態は負のx軸上に位置する。QLCメモリセルの状態の数は、以下の式:2=電圧状態の数、を使用して計算され得る。式中、「n」は、メモリセル当たりのビット数を指す。QLCメモリが例示されているが、本明細書に記載される実施形態は、SLC、MLC、TLCなどのマルチレベルセルメモリの他のバージョンにも適用可能であり得ることが企図されるということを理解されたい。
【0030】
更に、第1の曲線202、第2の曲線204、及び第3の曲線206によって表される各信号の交点は、標的ワード線の電圧状態の様々な読み取り閾値を示す局所最小値を反映する。例えば、第1の電圧状態及び第2の電圧状態に関して、電圧状態が第1の曲線202の正のx方向に順に増加していく場合、第1の電圧状態と第2の電圧状態との交点が第1の点208によって示され、これが第2の電圧状態の読み取り閾値である。同じ分析が、第2の曲線204及び第3の曲線206に適用され、読み取り閾値の範囲を判定し得る。標的ワード線(WL)について、複数の電圧状態の各々の読み取り閾値は、読み取り閾値が判定される場所に依存し得る。例えば、第2の点210は、第2の曲線204に従う第2の電圧状態の読み取り閾値を示し、第3の点212は、第3の曲線206に従う第2の電圧状態の読み取り閾値を示す。
【0031】
標的ワード線などのワード線のメモリセルにプログラミングするとき、隣接ワード線上に標的ワード線をプログラミングする電気干渉が、ビット反転を引き起こし、ビット誤り率(BER)を高くすることによって、隣接ワード線に影響を及ぼし得る。更に、データストレージデバイスの寿命期間中、メモリセルの読み取り閾値は、摩滅、プログラム、及び消去サイクルなどによってシフトし得る。隣接ワード線の電圧状態に関する情報を把握することによって、BERは、効果的に低減され得る。隣接ワード線の電圧状態に関する情報を判定するそのような方法は、ルックアヘッド(LA)及び動的ルックアヘッド(DLA)であってもよい。LA法及びDLA法は、図1のデータストレージデバイス106などのデータストレージデバイスのダイレベル又はコントローラレベルで利用される等化スキームであってもよい。
【0032】
LA法は、標的ワード線の電圧を読み取ることと、隣接ワード線の電圧を読み取ることと、を含む。標的ワード線及び隣接ワード線の読み取り後、標的ワード線の電圧が、隣接ワード線の電圧に基づいて判定され、それにより、標的ワード線の予想読み取り閾値は、標的ワード線の実際の読み取り閾値と一致するように較正される。同様に、DLA法は、標的ワード線及び隣接ワード線の両方の電圧を読み取ることを含む。VREADK電圧が隣接ワード線に印加される場合、VREADK電圧は、標的ワード線の電圧よりも高くすることができる。LA法及びDLA法の両方において、標的ワード線の電圧は、隣接ワード線の電圧に調整され、隣接ワード線の電圧は高電圧値又は低電圧値のいずれかであり、この高電圧値又は低電圧値が、標的ワード線の実際の読み取り閾値を判定するために使用される。
【0033】
隣接ワード線の電圧に従って、セル群毎に読み取り閾値を別々に較正することによって、誤り訂正能力及び読み取り閾値較正が改善され得る。例えば、以下の表1は、いくつかの実施例を示し、第1の実施例は基準スキームであり、以下の実施例は、異なる等化スキームを利用する。
【表1】
【0034】
表1において、「b」はビット数を指すため、「1b」は1ビットを指し、「2b」は2ビットを指す。「1b」は、1ビットの隣接ワード線に基づいて標的電圧の電圧を補正することを指す。同様に、「2b」は、2ビットの隣接ワード線に基づいて標的電圧の電圧を補正することを指す。更に、「WLn+1」は、次の隣接ワード線であり、「WLn-1」は、前の隣接ワード線である。セル誤り率(CER)は、提案されるスキーム下で誤りがあるセルの割合である。平均シグマは、平均値からの標準偏差であり、平均シグマ値が小さいほど、より良好な訂正能力をもたらす。更に、マージンは、基準値からの平均シグマの差に基づく誤差マージンである。一般的に、CER及び平均シグマの値が低いほど、基準値からの改善が大きく、大きいマージンは小さいマージンよりも大きな改善を例示する。表1に示すように、1b(WLn+1)+1b(WLn-1)DLAスキームは、基準スキーム、1b(WLn+1)DLAスキーム、及び2b(WLn+1)DLAスキームと比較して、約1.74%の最低CER、約82.8mVの最低平均シグマ、及び約465mvの最高マージンをもたらす。
【0035】
誤り訂正能力を増加させ、標的ワード線のより正確な読み取り閾値較正を生成するために、隣接ワード線の電圧を考慮することによって、動的読み取り閾値較正が利用され得る。動的読み取り閾値較正は、同一又は類似の隣接セルを共有する標的ワード線セルのいくつかの群を識別することと、標的ワード線セルの識別された群の各々に対して個々の読み取り閾値較正を実行することと、較正された読み取り閾値を用いて、標的ワード線セルの識別された群の各々から読み取ることと、を含む。
【0036】
群の数は、LA法又はDLA法に使用されるビット数によって分類され得る。LA法又はDLA法以外の他の等化方式が、本明細書に記載される実施形態に適用可能であることが企図される。群の数は、以下の式:群の数=2×、を用いて計算され得、式中、「x」は、ビット数を指し、群の数がニ分割されて、隣接ワード線の高電圧値に対する群の数、及び低電圧値に対する隣接ワード線の群の数を判定する。例えば、隣接ワード線上に1ビットを使用するとき、群の数は2又は2であり、第1の群は隣接ワード線の高電圧値に関連付けられ、第2の群は隣接ワード線の低電圧値に関連付けられる。
【0037】
読み取り閾値較正を実行するとき、読み取り閾値較正は、互いに異なる群に対して並列に行われ得る。そうでなければ、読み取り閾値較正は、互いに別個ではない群に対して順次行われ得る。次いで、較正された読み取り閾値を使用して、標的ワード線のセル群の各々を読み取る。標的ワード線の各セル群に対する読み取りは、並列に又は個別に完了され得る。代替的に、読み取りは、関連する較正読み取り閾値が利用されるように、関連する群に対応するセルのみをフィルタリングするマスクを含む群毎に行われ得る。以下に示す表2は、基準例と、動的読み取り閾値較正アプローチの各種実施形態のいくつかの実施例と、を含む。
【表2】
【0038】
表1と同様に、CER及び平均シグマの値が低いほど、基準値からの改善が大きく、大きいマージンは小さいマージンよりも大きな改善を例示する。表2を参照すると、WL(+1)+WL(-1)は、次の隣接ワード線のビット数及び前の隣接ワード線のビット数を示す。例えば、「2+8群」は、次の隣接ワード線の1ビット(すなわち、2)、及び前の隣接ワード線の3ビット(すなわち、2)を指す。表2と表1の結果を比較すると、改善は表1の等化スキームよりも大きく、1b(WLn+1)+1b(WLn-1)DLAスキームをより深い深さで適用している。上述のように、群の正しい識別は、読み取り閾値較正の改善をもたらし得る。
【0039】
例えば、WL(+1)+WL(-1)スキームは、隣接ワード線の電圧状態に従って、隣接ビット又は隣接セルを分類する。本明細書の説明では、「ビット」という用語及び「セル」という用語は、例示の目的のために互換可能に使用され得る。隣接ワード線のうちの少なくとも一方は次のワード線であり、隣接ワード線のうちの他方は、前のワード線である。更に、次の隣接ワード線に印加される電圧は、標的ワード線に印加される電圧とは異なっていてもよい。前の隣接ワード線に印加される電圧は、次の隣接ワード線に印加される電圧と同じであってもよく、又は次の隣接ワード線に印加される電圧及び標的ワード線に印加される電圧の両方とは異なってもよい。
【0040】
図3は、開示される実施形態による、動的読み取り閾値較正の方法300を示すフロー図である。ブロック302において、動的読み取り閾値較正動作が開始される。ブロック302において、図1のNVM110などのNVMの標的ワード線の複数のセルの第1のセル及び第2のセルが識別され得る。ブロック304において、隣接ワード線読み取りが行われ、読み取りは、隣接ワード線の第1の隣接セル、第2の隣接セル、及び第3の隣接セルの電圧を読み取ることを含み、第1の隣接セルは、第1のセルに物理的に隣接し、第2の隣接セルは、第2のセルに物理的に隣接する。隣接ワード線読み取りは、次の隣接ワード線及び前の隣接ワード線を読み取ることを含む。
【0041】
ブロック306において、標的ワード線のセルは、隣接ワード線セル値に応じて別個の群に分割され、隣接ワード線セル値は、隣接ワード線の電圧値である。別個の群は、セル群の電圧に基づいて、表2に例示される群であり得る。例えば、第1のワード線からの第1のセル群は、第1の電圧を有し得る。第2のワード線のセル群は、第1の電圧に基づいて第2のセル群として分類され得、第2のセル群は、第1のセル群とは異なる電圧を有する。更に、第1のワード線は、次の隣接ワード線であってもよく、第2のワード線は、前の隣接ワード線であってもよい、又はその逆であってもよい。
【0042】
ブロック308において、読み取り閾値較正動作が、群毎に別々に実行される。別の実施形態では、読み取り閾値較正動作は、群に対して並列に実行され得る。読み取り閾値較正動作中、標的ワード線の複数の電圧が読み取られる。読み取り閾値較正動作は、図2に記載され、表2に例示される動的読み取り閾値較正スキームを利用し得る。第1のセル又は第1のセル群の第1の読み取り閾値は、隣接する第1のセルの第1の電圧に基づいて較正される。同様に、第2のセル又は第2のセル群の第2の読み取り閾値は、隣接する第2のセルの第2の電圧に基づいて較正される。第1の読み取り閾値は、第2の読み取り閾値とは異なっていてもよい。
【0043】
ブロック310において、ブロック308で判定された較正読み取り閾値は、別個の群の各々のセルを読み取るために使用される。例えば、第1のセルの標的電圧が読み取られ得る。コントローラは、読み取り誤りが識別された場合に、第1のセルの較正された読み取り閾値を利用して、電圧読み取りと較正された読み取り閾値電圧との間の差に基づいて標的電圧を補正し得る。読み取り誤りは、誤り訂正コード(ECC)を復号することによって識別され得、第1のセルの読み取りは、第1のセルにおいてVREADK電圧を印加することよって実行され得る。VREADK電圧は、標的ワード線のデータのみが読み取られるように、隣接ワード線をシャットダウンし得る。
【0044】
いくつかの実施例では、隣接ワード線上の1つ以上のセル群は、同じ較正された読み取り閾値を有し得る。例えば、第1のワード線の第1のセル群及び第2のワード線の第2のセル群は、同じ較正された読み取り閾値を有し得、較正された読み取り閾値は、第1の較正された読み取り閾値である。同様に、第1のワード線の第3のセル群及び第2のワード線の第4のセル群は、同じ較正された読み取り閾値を有し得、較正された読み取り閾値は、第2の較正された読み取り閾値であり、第4のセル群は、第3のセル群の電圧に基づいて較正される。
【0045】
第2のワード線のデータに対する読み取りコマンドを受信すると、第1の較正された読み取り閾値が第2のセル群に適用され、第2の較正された読み取り閾値が第4のセル群に適用され、これらの較正された読み取り閾値は、ほぼ同時に適用され、第2のセル群及び第4のセル群の読み取りは並列である。
【0046】
図4は、開示される実施形態による、基本等化動作の失敗後に動的読み取り閾値較正を実行する方法400を示すフロー図である。方法300の態様が、方法400において利用され得る。ブロック402において、通常の復号不良が検出される。ブロック404において、基本等化動作が実行され、基本等化動作は、図2及び表1に記載されるLA法又はDLA法とすることができる。ブロック406において、コントローラは、ECC復号を実行する。ブロック406においてECC復号が成功した場合、方法400はブロック408で完了する。
【0047】
しかしながら、ブロック406においてECC復号が失敗した場合、ブロック410において、動的読み取り閾値等化動作が実行され、動的読み取り閾値等化動作は、記載される方法300であってもよい。更に、動的読み取り閾値等化動作は、図2の表2に記載される実施例であってもよい。図3の例を参照すると、動的読み取り閾値等化動作が実行されるとき、コントローラは、第1のセル群及び第2のセル群でLA又はDLA読み取りを実行し得、第1のセル群は、第1のワード線からであり、第2のセル群は、第2のワード線からである。第1のワード線は、次の隣接ワード線であってもよく、第2のワード線は、前の隣接ワード線であってもよい、又はその逆であってもよい。LA又はDLA読み取りは、第1のセル群及び第3のセル群から第1の電圧及び第2の電圧を読み取ることと、第1の電圧及び第2の電圧に基づいて第2のセル群から第3の電圧を読み取ることと、を含み得る。コントローラは、復号不良が第3の電圧における誤差であると判定する。ブロック412において、ECCが復号され、第2のセル群の読み取り閾値は、第3の電圧に基づいて較正される。
【0048】
動的読み取り閾値等化動作を実行することによって、データストレージデバイス内のデータの訂正能力を改善され得、それにより、異なるストレス条件下でのデータストレージデバイスの信頼性が改善され得る。
【0049】
一実施形態では、データストレージデバイスが開示され、データストレージデバイスは、不揮発性メモリ(NVM)と、NVMに結合され、メモリセル読み取り較正のための方法を実行するように構成されたコントローラと、を含む。本方法は、NVMの標的ワード線(WL)の複数のセルのうちの第1のセルを識別することと、第1のセルに物理的に隣接する、隣接WLの第1の隣接セルの電圧を読み取ることと、電圧に基づいて第1のセルの第1の読み取り閾値を較正することと、を含む。
【0050】
本方法は、複数のセルの第2のセルを識別することと、第2のセルに物理的に隣接する、隣接WLの第2の隣接セルの第2の電圧を読み取ることと、第2の電圧に基づいて第2のセルの第2の読み取り閾値を較正することと、を更に含む。第2の読み取り閾値は、第1の読み取り閾値とは異なる。本方法は、第1の読み取り閾値に基づき第1のセルの読み取り動作を、及び第2の読み取り閾値に基づき第2のセルの読み取り動作を実行することを更に含む。本方法は、第1のセルから標的電圧を読み取ることと、電圧に基づいて標的電圧を補正することと、を更に含む。方法は、誤り訂正コード(ECC)を使用して、標的電圧における読み取り誤りを識別することと、第1のセルにおいてVREADK電圧を印加することと、を更に含む。
【0051】
別の実施形態では、1つ以上の不揮発性メモリ(NVM)へのI/Oと、1つ以上のNVMの1つ以上のメモリセルの動的読み取り閾値較正のための方法を実行するように構成されたプロセッサと、を含む、データストレージデバイス用のコントローラが開示される。実施形態では、本方法は、1つ以上のNVMの第1のワード線(WL)から第1の電圧を読み取ることと、第1の電圧に基づいて、1つ以上のNVMの第2のWLの第2のセル群を分類することと、第1の較正された読み取り閾値を用いて第1の電圧に基づく第2のセル群を較正することと、を含む。
【0052】
本方法は、第1のWLの第3のセル群から第2の電圧を読み取ることと、第2のWLの第4のセル群を分類することと、第2の較正された読み取り閾値を用いて、第2の電圧に基づく第4のセル群を較正することと、を更に含む。第2の群及び第4の群を較正することは、第2のWLのデータに対する読み取りコマンドを受信することと、第1の較正された読み取り閾値及び第2の較正された読み取り閾値をそれぞれ、第2のセル群及び第4のセル群に適用することと、を更に含む。本方法は、第1の較正された読み取り閾値及び第2の較正された読み取り閾値をほぼ同時に適用することと、第2のセル群及び第4のセル群から並列に読み取ることと、を更に含む。本方法は、通常の復号不良を検出することと、第1のセル群及び第2のセル群でルックアヘッド読み取りを実行することと、を更に含む。ルックアヘッドは、第1のセル群及び第3のセル群から第1の電圧及び第2の電圧を読み取ることと、第1の電圧及び第2の電圧に基づいて、第2のセル群から第3の電圧を読み取ることと、を含む。本方法は、第3の電圧における誤差を識別することを更に含む。
【0053】
別の実施形態では、データを記憶するためのシステムが開示され、システムは、不揮発性メモリ手段と、プロセッサと、動的読み取り較正のための方法を実行するためのコンピュータ可読命令を備えるメモリと、を備える、コントローラ手段を備え、コントローラ手段は、不揮発性メモリ手段に結合される。実施形態では、本方法は、第1のワード線(WL)の第1のセル群から第1の電圧を測定することと、第1のWLに隣接する第2のWLの第2のセル群から第2の電圧を測定することと、第1の電圧に基づいて第2の電圧を等化することと、第2の電圧における誤差を検出することと、第1の電圧に基づいて第2の電圧の読み取り閾値を較正することと、を含む。
【0054】
本方法は、第1のWLの第3のセル群から第3の電圧を測定することと、第2のWLの第4のセル群から第4の電圧を測定することと、を更に含む。本方法は、第3の電圧に基づいて第4の電圧の第2の読み取り閾値を較正することを更に含む。本方法は、第2のセル群及び第4のセル群に対してホストから読み取り要求を受信することと、較正された読み取り閾値及び第2の較正された読み取り閾値を使用して、第2及び第4のセル群から複数の電圧を読み取ることと、を更に含む。本方法は、第3のWLの第5のセル群の第5の電圧を測定することを更に含み、第3のWLは、第2のWLに隣接する。本方法は、第5の電圧に基づいて第2の電圧の第3の読み取り閾値を較正することを更に含む。
【0055】
上記は本開示の実施形態を目的とするが、本開示の他の及び更なる実施形態が、その基本的範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4