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特許7145355情報処理システム、運転計画方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-21
(45)【発行日】2022-09-30
(54)【発明の名称】情報処理システム、運転計画方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20220922BHJP
【FI】
F23G5/50 G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022101322
(22)【出願日】2022-06-23
【審査請求日】2022-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 陽介
(72)【発明者】
【氏名】岩下 信治
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】松本 慎治
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-38012(JP,A)
【文献】特開平8-282968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/50
B66C 13/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼却物が堆積される設備における1つ以上の状態量に基づき、前記設備に含まれる複数のクレーンの操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定する選定部と、
前記複数のクレーンに対する前記複数の操作候補の割り当てと、前記複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成する組合せ生成部と、
前記複数の組合せの各々について、前記複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または前記複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出する算出部と、
前記作業時間または前記待ち時間に基づき前記複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定し、前記複数のクレーンの運転計画を導出する運転計画導出部と、
を備えた情報処理システム。
【請求項2】
前記選定部は、前記複数のクレーンの干渉発生の可能性の有無に関わらず、前記優先度に基づいて前記複数の操作候補を選定し、
前記組合せ生成部は、前記複数のクレーンの干渉発生の可能性の有無に関わらず、前記複数のクレーンに対する前記複数の操作候補の割り当て、または前記複数の操作候補に関する実行順序を変えることで前記複数の組合せを生成する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記運転計画に基づき前記複数のクレーンを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記運転計画における前記複数のクレーンの干渉発生の可能性の有無を検証し、前記複数のクレーンの干渉発生の可能性がある場合、前記複数のクレーンのうち少なくとも一方のクレーンの回避操作の目標を設定する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記設備に含まれるピットは、前記被焼却物が外部から搬入される受入元エリアと、前記受入元エリアから前記被焼却物が移動されて撹拌される受入先エリアとを含み、
前記1つ以上の状態量は、焼却炉のホッパ内の前記被焼却物の高さ、前記受入元エリア内の前記被焼却物の高さ、および前記受入先エリア内の前記被焼却物の高さを含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記1つ以上の状態量は、前記設備に含まれるピットに対する前記被焼却物の単位時間当たりの搬入量と、前記ピットから焼却炉のホッパへの前記被焼却物の単位時間当たりの投入量とのうち少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記複数の操作候補の各々は、前記被焼却物の把持位置と落とし位置とのうち一方である第1位置を含むとともに、前記把持位置と前記落とし位置とのうち他方である第2位置は未定または変更可能であり、
前記算出部は、前記複数の操作候補に含まれる1つの操作候補に関する演算処理が完了するごとに、当該1つの操作候補の内容に応じて前記1つ以上の状態量を更新し、更新した前記1つ以上の状態量に基づいて前記複数の操作候補に含まれる次の操作候補に関する前記第2位置を決定して前記作業時間または前記待ち時間を算出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記組合せ生成部は、前記設備に含まれるピット内において前記複数のクレーンがそれぞれ担当するエリアと、前記複数の操作候補に関する実行順序とのうちいずれか一方を固定して前記複数の組合せを生成する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記設備に含まれるピットは、第1エリアと、第2エリアとを含み、
前記複数のクレーンは、第1クレーンと、第2クレーンとを含み、
前記選定部は、前記複数の操作候補として、前記第1エリアに関して優先度が高い2以上の操作候補と、前記第2エリアに関して優先度が高い2以上の操作候補とを選定し、
前記組合せ生成部は、前記第1エリアに関して選定された前記2以上の操作候補を前記第1クレーンに割り当てるとともに、当該2以上の操作候補について前記第1クレーンによる実行順序が入れ替えられた複数の実行パターンを生成し、前記第2エリアに関して選定された前記2以上の操作候補を前記第2クレーンに割り当てるとともに、当該2以上の操作について前記第2クレーンによる実行順序が入れ替えられた複数の実行パターンを生成し、前記第1クレーンに関する前記複数の実行パターンと前記第2クレーンに関する前記複数の実行パターンとを組み合わせることで、前記複数の組合せを生成する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第1エリアは、焼却炉のホッパに前記被焼却物を投入することを抑制して前記被焼却物を受け入れる受入先エリアであり、前記第2エリアは、前記ホッパに前記被焼却物を投入する投入エリアである、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記複数のクレーンは、第1クレーンと、第2クレーンとを含み、
前記組合せ生成部は、前記複数の操作候補のうち前記第1クレーンに割り当てる操作候補の数と、前記複数の操作候補のうち前記第2クレーンに割り当てる操作候補の数とを変えることで、前記複数の組合せを生成する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記設備に含まれるピットは、焼却炉のホッパに前記被焼却物を投入することを抑制して前記被焼却物を受け入れる受入先エリアと、前記ホッパに前記被焼却物を投入する投入エリアとを含み、
前記選定部は、前記複数の操作候補として、前記受入先エリアに関する操作候補であるか前記投入エリアに関する優先候補であるかに関わらず、前記受入先エリアと前記投入エリアとを合わせたエリアに関して優先度が高い複数の操作候補を選定する、
請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記選定部は、前記1つ以上の状態量と過去の運転計画または手動操作の履歴との対応関係から得られるデータセットに基づき学習が行われ、前記1つ以上の状態量が入力されると前記複数の操作候補を出力するように学習された学習済みモデルを用いて前記複数の操作候補を選定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項13】
コンピュータが、
被焼却物が堆積される設備における1つ以上の状態量に基づき、前記設備に含まれる複数のクレーンの操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定し、
前記複数のクレーンに対する前記複数の操作候補の割り当てと、前記複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成し、
前記複数の組合せの各々について、前記複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または前記複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出し、
前記作業時間または前記待ち時間に基づき前記複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定し、前記複数のクレーンの運転計画を導出する、
運転計画方法。
【請求項14】
コンピュータに、
被焼却物が堆積される設備における1つ以上の状態量に基づき、前記設備に含まれる複数のクレーンの操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定させ、
前記複数のクレーンに対する前記複数の操作候補の割り当てと、前記複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成させ、
前記複数の組合せの各々について、前記複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または前記複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出させ、
前記作業時間または前記待ち時間に基づき前記複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定させ、前記複数のクレーンの運転計画を導出させる、
プログラム。
【請求項15】
被焼却物が堆積される設備における1つ以上の状態量を含む入力データが入力されると、前記設備に含まれる複数のクレーンの操作候補として優先度が高い複数の操作候補と、前記複数のクレーンに対する前記複数の操作候補の割り当てと、前記複数の操作候補に関する実行順序とを示す出力データが出力されるように学習された学習済みモデルを用いて、前記複数のクレーンの運転計画を導出する運転計画部
を備えた情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、運転計画方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のクレーンの搬送命令データを取得し、複数のクレーンの干渉が生じる場合にクレーンの運行順序または搬送命令データの組合せを変更して複数の時刻スケジュールを作成し、クレーンの待機時間が最も少ない組合せを決定する運行制御装置が開示されている。この運行制御装置は、荷積みや荷下ろしを行う工場などで用いられるものであり、各クレーンに対する搬送命令データの割り当ては変更されないものである。
【0003】
特許文献2には、当初計画された搬送スケジュールを天井クレーンに指示する前に、事前シミュレーションを行うことで別の天井クレーンと干渉するかどうかを検証し、干渉する場合には当初計画された搬送スケジュールと同一の優先順位の搬送スケジュールで、再度シミュレーションを行うことで別の天井クレーンと干渉するかどうかを検証する天井クレーンのリアルタイムスケジューリング方法が開示されている。
【0004】
特許文献3には、複数のクレーンを同時に移動させるときに発生する可能性がある移動パターンを分類し、各々のクレーンに対して要求動作信号が発生してときであって、クレーン同士の干渉が発生する可能性があるパターンである場合は、複数のクレーンの各々について、クレーンが要求動作を行うにあたって必要となる優先駆動要因ごとに、予め定められた重み係数を乗じて得られる数値を合計した優先度合値を算出して最大優先度合値を有するクレーンを優先的に移動させる制御方法が開示されている。
【0005】
特許文献4には、複数の天井クレーンに所定の動作を行わせるシミュレーション条件を入力するシミュレーション条件入力手段と、複数のクレーン制御項目のそれぞれについて所定の処理を行って複数の天井クレーンを自動制御するシミュレーションを行うシミュレーション部とを有したクレーンシミュレータが開示されている。このクレーンシミュレータでは、天井クレーン同士の干渉を回避する場合、相手クレーンが空車であるか、相手クレーンが荷下ろし中か、または相手クレーンが積載走行中かなどに基づき、命令が割り当てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-282968号公報
【文献】特許第4654496号公報
【文献】特開平7-179293号公報
【文献】特開2005-194025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、被焼却物が堆積される設備において運転される複数のクレーンを想定した場合、上述した方法では、適した運転計画を生成することが難しい場合があった。
【0008】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、より適切な運転計画を生成することができる情報処理システム、運転計画方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の情報処理システムは、被焼却物が堆積される設備における1つ以上の状態量に基づき、前記設備に含まれる複数のクレーンの操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定する選定部と、前記複数のクレーンに対する前記複数の操作候補の割り当てと、前記複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成する生成部と、前記複数の組合せの各々について、前記複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または前記複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出する算出部と、前記作業時間または前記待ち時間に基づき前記複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定し、前記複数のクレーンの運転計画を導出する運転計画導出部と、を備える。
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の運転計画方法は、コンピュータが、被焼却物が堆積される設備における1つ以上の状態量に基づき、前記設備に含まれる複数のクレーンの操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定し、前記複数のクレーンに対する前記複数の操作候補の割り当てと、前記複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成し、前記複数の組合せの各々について、前記複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または前記複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出し、前記作業時間または前記待ち時間に基づき前記複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定し、前記複数のクレーンの運転計画を導出する、ことを含む。
【0011】
上記課題を解決するために、本開示のプログラムは、コンピュータに、被焼却物が堆積される設備における1つ以上の状態量に基づき、前記設備に含まれる複数のクレーンの操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定させ、前記複数のクレーンに対する前記複数の操作候補の割り当てと、前記複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成させ、前記複数の組合せの各々について、前記複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または前記複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出させ、前記作業時間または前記待ち時間に基づき前記複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定させ、前記複数のクレーンの運転計画を導出させる。
【0012】
上記課題を解決するために、本開示の情報処理システムは、被焼却物が堆積される設備における1つ以上の状態量を含む入力データが入力されると、前記設備に含まれる複数のクレーンの操作候補として優先度が高い複数の操作候補と、前記複数のクレーンに対する前記複数の操作候補の割り当てと、前記複数の操作候補に関する実行順序とを示す出力データを出力するように学習された学習済みモデルを用いて、前記複数のクレーンの運転計画を導出する運転計画部を備える。
【発明の効果】
【0013】
本開示の情報処理システム、運転計画方法、およびプログラムによれば、より適切な運転計画を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の第1実施形態の焼却設備を示す概略構成図である。
図2】本開示の第1実施形態の燃焼設備を上方から見た場合を示す断面図である。
図3】本開示の第1実施形態のごみピット内に設定されるエリアおよび操作を説明するための図である。
図4】本開示の第1実施形態の制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】本開示の第1実施形態の操作候補選定部の処理を説明するための図である。
図6】本開示の第1実施形態の組合せ生成部の処理を説明するための図である。
図7】本開示の第1実施形態の組合せ生成部の処理を説明するための図である。
図8】本開示の第1実施形態の制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】本開示の第1実施形態のシミュレータ演算の処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本開示の第1実施形態の制御装置の作用効果を説明するための図である。
図11】本開示の第2実施形態の複数の操作候補を説明するための図である。
図12】本開示の第2実施形態の複数の操作組合せを示す図である。
図13】本開示の第3実施形態の複数の操作候補を説明するための図である。
図14】本開示の第3実施形態の複数の操作組合せを示す図である。
図15】本開示の第4実施形態の制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図16】本開示の第5実施形態の制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図17】本開示の実施形態のコンピュータ構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態の情報処理システム、運転計画方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本開示で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。本開示で「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。本開示で「取得」とは、送信要求を送信して能動的に取得する場合に限定されず、他の装置から送信される情報を受動的に受信することで取得する場合も含み得る。また本開示で「取得」とは、得られた情報に基づいて演算を行うことで必要な情報を取得する場合も含み得る。
【0016】
ここで先に、+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、およびZ方向を定義する。+X方向、-X方向、+Y方向、および-Y方向は、水平面に沿う方向である。+X方向は、後述するごみピット21からホッパ11に向かう方向である(図1参照)。-X方向は、+X方向の反対方向である。+X方向と-X方向を区別しない場合、単に「X方向」と称する。+Y方向および-Y方向は、X方向とは交差する(例えば直交する)方向である。+Y方向は、後述する第1ホッパ11Aから第2ホッパ11Bに向かう方向である(図2参照)。-Y方向は、+Y方向の反対方向である。+Y方向と-Y方向を区別しない場合、単に「Y方向」と称する。Z方向は、X方向およびY方向とは交差する(例えば直交する)方向である。Z方向は、例えば鉛直方向である(図1参照)。
【0017】
(第1実施形態)
<1.焼却設備の全体構成>
図1は、第1実施形態の焼却設備1を示す概略構成図である。焼却設備1は、例えば、都市ごみ、産業廃棄物、またはバイオマスなどを被焼却物Gとするストーカ炉である。なお、焼却設備1は、ストーカ炉に限定されるものではなく、別タイプの焼却設備でもよい。以下では説明の便宜上、「被焼却物」を「ごみ」と称する場合がある。焼却設備1は、例えば、貯留部2と、焼却炉3とを備える。
【0018】
(貯留部)
貯留部2は、収集された被焼却物Gを貯留し、貯留した被焼却物Gを焼却炉3に投入する設備である。貯留部2については、詳しく後述する。
【0019】
(焼却炉)
焼却炉3は、被焼却物Gを搬送しながら燃焼させる炉である。焼却炉3は、例えば、ホッパ11と、炉本体12とを備える。
【0020】
ホッパ11は、炉本体12の内部へ被焼却物Gを供給するために設けられた一時貯留部である。ホッパ11は、上方に向けて開口している。ホッパ11には、後述する貯留部2のクレーン30によって被焼却物Gが投入される。ホッパ11には、不図示のフィーダが設けられている。フィーダは、ホッパ11の内部に貯留された被焼却物Gを炉本体12の内部に向けて移動させる。
【0021】
ホッパ11は、レベル計11s(図4参照)を有する。レベル計11sは、ホッパ11内に貯留された被焼却物Gの量を検出するセンサである。例えば、レベル計11sは、ホッパ11内に貯留された被焼却物Gの上面の高さを検出し、被焼却物Gの上面の高さを示す検出結果を後述する貯留部2の制御装置100に送信する。
【0022】
炉本体12は、被焼却物Gを搬送しながら燃焼させる設備である。炉本体12は、ホッパ11に隣接して設けられる。炉本体12は、被焼却物Gを燃焼させる処理空間Vを含む。
【0023】
図2は、焼却設備1を上方から見た場合を示す断面図である。本実施形態では、焼却炉3は、ホッパ11および炉本体12をそれぞれ複数備える。例えば、焼却炉3は、複数の炉本体12として、-Y方向側に配置された第1炉本体12Aと、+Y方向側に配置された第2炉本体12Bとを有する。同様に、焼却炉3は、複数のホッパ11として、-Y方向側に配置されて第1炉本体12Aに接続された第1ホッパ11Aと、+Y方向側に配置されて第2炉本体12Bに接続された第2ホッパ11Bとを有する。第1ホッパ11Aおよび第2ホッパ11Bは、Y方向に並んで配置されている。本実施形態では、第1ホッパ11Aと第2ホッパ11Bとを区別しない場合、単に「ホッパ11」と称する。なお、焼却炉3に設けられるホッパ11および炉本体12の数は、それぞれ2つに限定されず、それぞれ1つでもよいし、それぞれ3つ以上でもよい。
【0024】
<2.貯留部の構成>
次に、貯留部2について説明する。
図2に示すように、貯留部2は、例えば、ごみピット21、プラットホーム22、複数のごみ受入扉23、複数のクレーン30、およびごみ高さ検出装置41(図1参照)を備える。
【0025】
(ごみピット)
ごみピット21は、焼却炉3の前段に設けられ、焼却炉3に投入される前の被焼却物Gが貯留される収容部である。ごみピット21は、上方から見た場合、Y方向に沿う長辺、X方向に沿う短辺を有する長方形状である。ごみピット21は、ごみピット21の上部に被焼却物Gを受け入れるための開口を有する(図1参照)。
【0026】
(プラットホーム)
プラットホーム22は、外部で被焼却物Gを収集した作業車P(以下「パッカー車P」と称する)が到着する搬入部である。プラットホーム22は、ごみピット21の-X方向側の一端に隣接して設けられている。
【0027】
(ごみ受入扉)
複数のごみ受入扉23は、ごみピット21とプラットホーム22との間に設けられている。複数のごみ受入扉23は、Y方向に並べて配置されるとともに、互いに独立して開閉可能である。パッカー車Pがプラットホーム22に到着した場合、複数のごみ受入扉23のなかで、到着したパッカー車Pの位置に対応するごみ受入扉23が開かれる。
【0028】
各ごみ受入扉23は、開閉センサ23s(図4参照)を有する。開閉センサ23sは、当該開閉センサ23sが設けられたごみ受入扉23が開かれたことを検知するセンサである。開閉センサ23sは、当該開閉センサ23sが設けられたごみ受入扉23が開かれた場合、ごみ受入扉23が開かれたことを示す信号(以下「受入扉開信号」と称する)を、貯留部2の制御装置100に送信する。
【0029】
(クレーン)
図1に示すように、クレーン30は、ごみピット21の上方に設けられた天井クレーンである。クレーン30は、ごみピット21に貯留された被焼却物Gの一部を把持し、把持した被焼却物Gを焼却炉3のホッパ11まで運んでホッパ11に投入する。クレーン30は、例えば、移動機構31、ワイヤ32、巻上機33、およびグラップル34を有する。
【0030】
移動機構31は、例えば、一対のレール31a、ガーダ31b、およびトロリ31cを有する。一対のレール31aは、貯留部2の上部に設けられている。一対のレール31aは、ごみピット21のX方向の両側に分かれて配置され、それぞれY方向に延びている。ガーダ31bは、一対のレール31aの上に跨るように配置され、レール31aに沿ってY方向に移動可能である。トロリ31cは、ガーダ31bの上に配置され、ガーダ31bに沿ってX方向に移動可能である。
【0031】
ワイヤ32は、トロリ31cから吊り下げられている。巻上機33は、トロリ31cに設けられ、ワイヤ32の巻き上げおよび巻き下げを行う。グラップル34は、ワイヤ32の先端に取り付けられている。グラップル34は、被焼却物Gを把持するための複数の爪34aを有する。グラップル34は、被焼却物Gを把持する「把持部」の一例である。グラップル34は、移動機構31および巻上機33によって、X方向、Y方向、およびZ方向の任意の位置に移動可能である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態の貯留部2は、複数のクレーン30として、-Y方向側に配置された第1クレーン30Aと、+Y方向側に配置された第2クレーン30Bとを有する。第1クレーン30Aおよび第2クレーン30Bは、Y方向に並べて配置されている。第1クレーン30Aおよび第2クレーン30Bは、一対のレール31aを共有している。本実施形態では、第1クレーン30Aと第2クレーン30Bとを区別しない場合、単に「クレーン30」と称する。なお、貯留部2に設けられる複数のクレーン30は、2台のクレーン30に限定されず、3台以上のクレーン30でもよい。
【0033】
各クレーン30は、位置センサ35および重量センサ36を有する(図4参照)。位置センサ35は、当該位置センサ35が設けられたクレーン30のX方向およびY方向の位置を検出する。位置センサ35により検出されたクレーン30の位置を示す情報(以下「位置情報」と称する)は、貯留部2の制御装置100に送信される。なお本開示で「クレーンの位置」とは、グラップル34の位置を意味する。一方で、重量センサ36は、当該重量センサ36が設けられたクレーン30のグラップル34が把持した被焼却物Gの重量を検出する。重量センサ36により検出された被焼却物Gの重量を示す情報(以下「重量情報」と称する)は、貯留部2の制御装置100に送信される。
【0034】
(ごみ高さ検出装置)
図1に示すように、ごみ高さ検出装置41は、ごみピット21内に貯留された被焼却物Gの上面の高さを検出する。ごみ高さ検出装置41は、例えば、レーザスキャナであり、ごみピット21に貯留された被焼却物Gの表面にレーザ光を照射して走査し、レーザ光を照射してから被焼却物Gの表面で反射したレーザ光を受光するまでの時間(TOF:Time of fright)を計測し、計測した情報をごみ高さ検出装置41の検出結果として貯留部2の制御装置100に送信する。ごみ高さ検出装置41は、所定の周期(例えば1時間ごと)で被焼却物Gの上面の高さを検出する。
【0035】
なお、ごみ高さ検出装置41は、上記例に代えて、ステレオ画像の視差に基づいて距離を計測する装置や、所定パターンの画像を投影した画像を撮像し、撮像されたパターンのずれに基づいて距離を計測する装置、赤外線、音波または電波を照射することで被焼却物Gの上面の高さを検出する装置などであってもよい。ごみ高さ検出装置41は、「センサ」の一例である。
【0036】
<3.ごみピット内のエリアおよび操作>
<3.1 ごみピット内のエリア>
図3は、ごみピット21内に設定されるエリアおよび操作を説明するための図である。
まず、ごみピット21内に設定される区画について説明する。本実施形態では、ごみピット21内に、仮想的な複数の区画Rが設定される。複数の区画Rは、例えば、上方から見て格子状に配置される。各区画Rは、正方形に限定されず、長方形状でもよい。また、ごみピット21内の全ての領域において区画Rの大きさが同じである必要はなく、異なる大きさの区画Rが存在してもよい。
【0037】
次に、ごみピット21内に設定される複数のエリアについて説明する。本実施形態では、ごみピット21内に、受入元エリアA1、受入先エリアA2、および投入エリアA3が設定される。例えば、上述した複数の区画Rに含まれる一部の区画Rに受入元エリアA1が設定され、別の一部の区画Rに受入先エリアA2が設定され、さらに別の一部の区画Rに投入エリアA3が設定される。
【0038】
受入元エリアA1は、被焼却物Gが外部から搬入されるエリアである。例えば、受入元エリアA1は、ごみピット21内の-X方向側の端部に設けられ、パッカー車Pから被焼却物Gが搬入される。
【0039】
受入先エリアA2は、受入元エリアA1から移動される被焼却物Gを受け入れるエリアである。受入先エリアA2は、被焼却物Gをホッパ11に投入することが抑制されるエリアである。受入先エリアA2では、受入先エリアA2内で被焼却物Gの撹拌(積み替え)が行われ、被焼却物Gの性状が均される。受入先エリアA2は、「第1エリア」または「第2エリア」の一例である。
【0040】
投入エリアA3は、ホッパ11内の被焼却物Gが減少した場合に、被焼却物Gをホッパ11に投入するエリアである。なお、上記投入作業は断続的であるため、投入エリアA3では、投入作業の合間に投入エリア内で被焼却物Gの撹拌が行われ、被焼却物Gの性状が均される。投入エリアA3は、受入先エリアA2が「第1エリア」である場合における「第2エリア」の一例であり、受入先エリアA2が「第2エリア」である場合における「第1エリア」の一例である。
【0041】
本実施形態では、受入先エリアA2および投入エリアA3は、Y方向に並んで配置される。受入先エリアA2および投入エリアA3は、各エリアA2,A3に貯留された被焼却物Gはそのままで、所定時間ごと(例えば日替わりで)に割り当てられる機能が交互に入れ替えられる。例えば、図3中の(a),(b)は、-Y方向側に受入先エリアA2が設定され、+Y方向側に投入エリアA3が設定される例である。一方で、図3中の(c)は、-Y方向側に投入エリアA3が設定され、+Y方向側に受入先エリアA2が設定される例である。受入元エリアA1、受入先エリアA2、および投入エリアA3は、仮想的なエリアでもよいし、土手などによって実際に区分されたエリアでもよい。
【0042】
<3.2 ごみピットにおけるクレーンの操作>
次に、ごみピット21におけるクレーン30の操作について説明する。図3中で実線の矢印は、第1クレーン30Aの操作を示す。図3中で破線の矢印は、第2クレーン30Bの操作を示す。クレーン30の操作としては、例えば、「移動」、「撹拌」、および「投入」がある。なお本開示で「クレーン30の操作」とは、クレーン30による作業を意味する。
【0043】
「移動」は、受入元エリアA1から受入先エリアA2に被焼却物Gを移動させる操作である。図3中の(a)に示す例では、第1クレーン30A(または第2クレーン30B)によって受入元エリアA1から受入先エリアA2に被焼却物Gを移動させる。
【0044】
「撹拌」は、被焼却物Gの掘り起こし、把持、および落下を行うことで、被焼却部Gを撹拌する操作である。図3中の(b)に示す例では、第1クレーン30Aによって受入先エリアA2内で撹拌が行われる。また上述したように、第2クレーン30Bによって投入エリアA3内で撹拌が行われる。
【0045】
「投入」は、投入エリアA3内の被焼却物Gをホッパ11に投入する操作である。図3中の(c)に示す例では、第1クレーン30Aによって投入エリアA3内からホッパ11(第1ホッパ11Aまたは第2ホッパ11B)に被焼却物Gの投入が行われる。
【0046】
本実施形態では、図3中の(a),(b)に示すように、-Y方向側に受入先エリアA2が設定され、+Y方向側に投入エリアA3が設定される場合、第1クレーン30Aは、受入先エリアA2に関する操作(受入および撹拌)を主に担当するクレーンとして動作し、第2クレーン30Bは、投入エリアA3に関する操作(投入および撹拌)を主に担当するクレーンとして動作する。一方で、図3中の(c)に示すように、-Y方向側に投入エリアA3が設定され、+Y方向側に受入先エリアA2が設定される場合、第1クレーン30Aは、投入エリアA3に関する操作(投入および撹拌)を主に担当するクレーンとして動作し、第2クレーン30Bは、受入先エリアA2に関する操作(受入および撹拌)を主に担当するクレーンとして動作する。
【0047】
<4.制御装置の構成>
次に、貯留部2の制御装置100について説明する。
図4は、制御装置100の機能構成を示すブロック図である。制御装置100は、ごみピット21で運転される複数のクレーン30の運転計画の生成および制御を行うための情報処理装置である。制御装置100は、「情報処理システム」の一例である。なお、制御装置100に含まれる機能部の一部または全部は、貯留部2の制御装置100に代えて、焼却設備1の全体を制御する制御装置の一部として設けられてもよい。また、制御装置100に含まれる機能部は、複数の装置に分かれて設けられてもよい。
【0048】
本実施形態の制御装置100は、例えば、情報取得部110、運転計画部120、制御部130、および記憶部140を有する。
【0049】
<4.1 情報取得部>
情報取得部110は、制御装置100に必要な各種情報を取得する。例えば、情報取得部110は、ホッパ11のレベル計11sの検出結果、ごみ受入扉23から送信される受入扉開信号、クレーン30の位置センサ35から送信される位置情報、クレーン30の重量センサ36から送信される重量情報、およびごみ高さ検出装置41の検出結果などを取得する。
【0050】
<4.2 運転計画部>
次に、運転計画部120について説明する。運転計画部120は、複数のクレーン30に関する運転計画を導出する上位計画部である。運転計画部120は、例えば、状態量取得部121、操作候補選定部122、組合せ生成部123、シミュレータ演算部124、および運転計画導出部125を含む。
【0051】
(状態量取得部)
状態量取得部121は、情報取得部110により取得される情報に基づき、燃焼設備1に関する1つ以上の状態量を取得する(例えば演算により算出する)。上記1つ以上の状態量は、例えば、(1)ホッパ11内のごみ高さ、(2)受入元エリアA1内のごみ高さ、(3)受入先エリアA2内のごみ高さ、(4)投入エリアA3内のごみ高さ、(5)受入先エリアA2内の撹拌進捗度、(6)投入エリアA3内の撹拌進捗度、(7)外部からごみピット21への被焼却物Gの単位時間当たりの搬入量、および(8)ごみピット21からホッパ11への被焼却物Gの単位時間当たりの投入量を含む。
【0052】
状態量取得部121は、例えば、ホッパ11のレベル計11sの検出結果に基づき、ホッパ11内のごみ高さを取得する。状態量取得部121は、例えば、ごみ高さ検出装置41の検出結果に基づき、受入元エリアA1、受入先エリアA2、および投入エリアA3の各々におけるごみ高さを取得する。なお、ごみ高さは、受入元エリアA1、受入先エリアA2、および投入エリアA3の各々において、区画Rごとに取得される。
【0053】
状態量取得部121は、例えば、クレーン30の操作履歴と、クレーン30の重量センサ36から送信される重量情報とに基づき、受入先エリアA2および投入エリアA3の各々における撹拌進捗度を算出する。なお、撹拌進捗度は、受入先エリアA2および投入エリアA3の各々において、区画Rごとに算出される。例えば、状態量取得部121は、下記の(式1)に基づき、撹拌進捗度を示す総合評価点を算出する。
【0054】
総合評価点=α×撹拌回数+β×滞留時間+γ×かさ比重 …(式1)
【0055】
式1中において、「撹拌回数」は、算出対象の区画Rに関する撹拌回数(例えば、算出対象の区画Rに被焼却物Gを落下させた回数)、「滞留時間」は、算出対象の区画Rに最後に被焼却物Gを落下させてからの経過時間、「かさ比重」は、「空隙を含む単位体積当たりの重量」から算出される比重、α、β、γは、それぞれ係数である。なお、総合評価点の計算において、滞留時間およびかさ比重の少なくとも一方は省略されてもよい。
【0056】
状態量取得部121は、例えば、ごみ高さ検出装置41の検出結果に基づき、外部からごみピット21への被焼却物Gの単位時間当たりの搬入量を算出する。状態量取得部121は、例えば、ホッパ11のレベル計11sの検出結果、またはクレーン30の操作履歴に基づき、ごみピット21からホッパ11への被焼却物Gの単位時間当たりの投入量を算出する。
【0057】
状態量取得部121は、取得した状態量を、状態量情報141として記憶部140に記憶させる。
【0058】
(操作候補選定部)
操作候補選定部122は、焼却設備1における1つ以上の状態量(例えば状態量情報141)に基づき、複数のクレーン30の操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定する。本開示で「優先度が高い」とは、例えば、優先度を高い順に並べた場合に、上位から所定数個の範囲に含まれることを意味する。本開示で「優先度が高い」とは、「優先度が所定条件を満たす」と読み替えられてもよい。操作候補選定部122は、「選定部」の一例である。
【0059】
本実施形態では、操作候補選定部122は、複数のクレーン30の干渉発生の可能性の有無に関わらず、上記優先度に基づいて複数の操作候補を選定する。これにより、複数のクレーン30の干渉発生が生じる操作候補についても、上記優先度が高い場合には、後述する組合せ生成部123により生成される操作組合せのなかに当該操作候補が含まれる。
【0060】
図5は、操作候補選定部122の処理を説明するための図である。本実施形態では、操作候補選定部122は、ホッパ11内のごみ高さに応じて4段階の点数付けを行う。例えば、L1<L2<L3であることを前提として、ホッパ11内のごみ高さがL1未満である場合は15点が付され、ホッパ11内のごみ高さがL1以上でL2未満である場合は10点が付され、ホッパ11内のごみ高さがL2以上でL3未満である場合は5点が付され、上記以外の場合(すなわちホッパ11内のごみ高さがL3以上である場合)は0点が付される。なお以下では説明の便宜上、ホッパ11を区画Rの1つとして取り扱う。
【0061】
また、操作候補選定部122は、受入元エリアA1内の各区画Rのごみ高さに応じて3段階の点数付けを行う。例えば、H1<H2であることを前提として、ごみ高さがH2以上である場合は10点が付され、ごみ高さがH1以上でH2未満である場合は5点が付され、上記以外の場合(すなわちごみ高さがH1未満である場合)は0点が付される。
【0062】
また、操作候補選定部122は、受入先エリアA2内の各区画Rのごみ高さに応じて点数付けを行う。例えば、操作候補選定部122は、受入先エリアA2内に含まれる複数の区画Rにおいて、ごみ高さが最も高い区画Rから高い順に4点から1点を付与する。ごみ高さが同じ複数の区画Rがある場合は、ごみ高さが同じ複数の区画Rにおいて、総合評価点(撹拌進捗度)が低い順に点数を付ける。なお、操作候補選定部122は、投入エリアA3内の各区画Rについても、受入先エリアA2内の各区画Rと同様に点数付ける。
【0063】
次に、操作候補選定部122は、上述した処理において点数が付された複数の区画Rを点数が高い順に並べ、点数が高い順の所定数個の区画Rを操作の優先度が高い区画Rとして選定する。そして、操作候補選定部122は、選定された優先度が高い区画Rに対応する操作候補を、優先度が高い操作候補として選定する。例えば、優先度が高い区画Rとしてホッパ11が選定された場合、優先度が高い操作として「投入」が選定される。優先度が高い区画Rとして受入元エリアA1内の区画Rが選定された場合、優先度が高い操作として当該区画Rから被焼却物Gを移動させる「受入」が選択される。優先度が高い区画Rとして受入先エリアA2内の区画Rが選定された場合、優先度が高い操作として当該区画Rで被焼却物Gを把持する「撹拌」が選択される。
【0064】
ここで、操作候補選定部122により選定される複数の操作候補の各々は、被焼却物Gの把持位置(掴み元)と落とし位置とのうち一方である第1位置を含むとともに、把持位置と落とし位置とのうち他方である第2位置は未定または変更可能である。例えば、操作候補が「投入」である場合、落とし位置は確定しているが、把持位置は未定または変更可能である。操作候補が「受入」または「撹拌」である場合、把持位置は確定しているが、落とし位置は未定または変更可能である。
【0065】
なお、操作候補選定部122は、状態量取得部121により取得された上記搬入量(ごみピット21への被焼却物Gの単位時間当たりの搬入量)と上記投入量(ホッパ11への被焼却物Gの単位時間当たりの搬入量)とのうち少なくとも一方に基づいて、上記点数付けを行ってもよい。例えば、操作候補選定部122は、上記搬入量が所定閾値よりも大きい時間帯では、受入元エリアA1から受入先エリアA2への被焼却物Gの移動を促進するために、受入元エリアA1内のごみ高さに応じて付与される点数が大きくなるように点数を補正してもよい。例えば、操作候補選定部122は、上記投入量が所定閾値よりも小さい時間帯では、投入エリアA3からホッパ11への被焼却物Gの移動を抑制するように、ホッパ11内のごみ高さに応じて付与される点数が小さくなるように点数を補正してもよい。
【0066】
また、操作候補選定部122は、例えば、ごみ受入扉23から受入扉開信号を受信する場合、当該ごみ受入扉23に隣接する区画Rに関する操作候補は、制約条件として選定対象の操作候補から外すようにしてもよい。
【0067】
(組合せ生成部)
組合せ生成部123は、操作候補選定部122により選定された複数の操作候補に関して、複数のクレーン30に対する複数の操作候補の割り当てと、複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せ(以下では「操作組合せ」と称する)を生成する。本開示で「クレーンに対する操作候補の割り当て」とは、操作候補と当該操作候補を担当するクレーン30との対応関係を決めることを意味する。以下では説明の便宜上、「クレーンに対する操作候補の割り当て」を「操作候補に対するクレーンの割り当て」と称する場合があるが、両者は同じ意味である。また本開示で「複数の操作候補に関する実行順序」とは、複数の操作候補に含まれる2つ以上の操作候補が複数のクレーン30によって同時に実行されることを含み得る。組合せ生成部123は、「生成部」の一例である。
【0068】
図6および図7は、組合せ生成部123の処理を説明するための図である。図中における実線は第1クレーン30Aの動きを意味し、図中における破線は第2クレーン30Bの動きを意味する。図中の数字は、各クレーン30による操作候補の実行順序を意味する。図中の数字の周囲が四画である場合は、当該操作候補が待機であることを意味する。
【0069】
図6は、第1クレーン30Aおよび第2クレーン30Bがそれぞれ担当するエリアは固定されるとともに、複数の操作候補の実行順序が入れ替えられる場合を示す。例えば、図6中の(b)は、図6中の(a)と比べて、第1クレーン30Aに割り当てられた複数の操作候補の実行順序が入れ替えられた結果、第1クレーン30Aの移動距離が短くなる場合を示す。
【0070】
図7は、複数の操作候補の実行順序の入れ替えは行なわれず、複数のクレーンに対する複数の操作候補の割り当てが変更される場合を示す。例えば、図7中の(b)は、図7中の(a)と比べて、操作候補の近くに位置するクレーン30に操作候補が割り当てられ、複数のクレーン30として見た場合にクレーン30の移動距離が短くなる場合を示す。
【0071】
組合せ生成部123は、上述したように、複数のクレーン30に対する複数の操作候補の割り当てと、複数の操作候補に関する実行順序とのうち少なくとも一方を変えることで、複数の操作組合せを生成する。本実施形態では、組合せ生成部123は、ごみピット21内において複数のクレーン30がそれぞれ担当するエリアと、複数の操作候補に関する実行順序とのうちいずれか一方を固定して複数の操作組合せを生成する。
【0072】
本実施形態では、組合せ生成部123は、複数のクレーン30の干渉発生の可能性の有無に関わらず、複数のクレーン30に対する複数の操作候補の割り当て、または複数の操作候補に関する実行順序を変えることで複数の操作組合せを生成する。
【0073】
(シミュレータ演算部)
シミュレータ演算部124は、組合せ生成部123により生成された複数の操作組合せの各々について、各クレーン30の移動計画や退避計画などを導出し、上記複数の操作候補の実行完了までの作業時間(または複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間)を算出する。シミュレータ演算部124は、「算出部」の一例である。
【0074】
例えば、シミュレータ演算部124は、各操作候補について、各操作候補の第2位置(未定または変更可能であった把持位置または落とし位置)を決定し、各操作候補の移動計画を決定する。例えば、操作候補が「投入」である場合、被焼却物Gの把持位置として、投入エリアA3内で最もごみ高さが高い区画Rが選定される。操作候補が「受入」である場合、被焼却物Gの落とし位置として、受入先エリアA2内のごみ高さが最も低い区画Rが選定される。操作候補が「撹拌」である場合、被焼却物Gの落とし位置として、受入先エリアA2内または投入エリアA3内のごみ高さが最も低い区画Rが選定される。
【0075】
本実施形態では、シミュレータ演算部124は、複数の操作候補に含まれる1つの操作候補に関する演算処理が完了するごとに、当該1つの操作候補の内容に応じて1つ以上の状態量を更新し、更新した1つ以上の状態量に基づいて複数の操作候補に含まれる次の操作候補に関する上記第2位置を決定し、複数の操作候補の実行完了までの作業時間(または複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間)を算出する。更新される1つ以上の状態量は、例えば、受入元エリアA1、受入先エリアA2、または投入エリアA3のごみ高さや、受入先エリアA2または投入エリアA3の総合評価点(撹拌進捗度)などである。例えば、シミュレータ演算部124は、1つの操作候補の実行に応じてごみ高さなどの状態量が動的に変化する場合、その変化を反映させて次の操作候補に関する内容(例えば上記第2位置やその前後の移動計画)を決定する。
【0076】
また、シミュレータ演算部124は、複数のクレーン30の干渉発生の可能性がある場合、例えば行動の優先権が低いクレーン30を退避させることで、複数のクレーン30の干渉発生を抑制する。「行動の優先権」は、例えば、各クレーン30が担当する操作の内容に基づいて付与される。例えば、「投入」を担当するクレーン30の優先権が最も高く、次に「受入」を担当するクレーン30の優先権が高く、「撹拌」を担当するクレーン30の優先権が最も低い。
【0077】
(運転計画導出部)
運転計画導出部125は、シミュレータ演算部124により算出された上記作業時間(または上記待ち時間)に基づき複数の操作組合せのなかから所定条件を満たす組合せ(以下「最適操作組合せ」と称する場合がある)を1つ選定する。「所定条件を満たす組合せ」は、例えば、複数の操作組合せのなかで上記作業時間(または上記待ち時間)が最小となることである。なお、「所定条件を満たす組合せ」は、上記作業時間(または上記待ち時間)が最小となることだけに限定されず、上記作業時間(または上記待ち時間)と別の要素に基づいて決定されてもよい。
【0078】
そして、運転計画導出部125は、選定した最適操作組合せに基づき、複数のクレーン30の運転計画を導出する。運転計画は、操作候補選定部122により選定された複数の操作候補に対する複数のクレーン30の割り当て、複数の操作候補に関する実行順序、クレーン30が各操作候補を実行するタイミングおよび移動経路、複数のクレーン30の干渉発生が生じる場合における一方のクレーン30の退避計画などを含む。運転計画導出部125は、導出した運転計画を、運転計画情報142として記憶部140に記憶させる。
【0079】
<4.3 制御部>
次に、制御部130について説明する。制御部130は、運転計画部120により導出された運転計画(例えば運転計画情報142)に基づき、複数のクレーン30に各操作を実行させる制御部である。制御部130は、例えば、状態量取得部131、シミュレータ演算部132、および動作制御部133を含む。
【0080】
(状態量取得部)
状態量取得部131は、情報取得部110により取得される情報に基づき、燃焼設備1に関する1つ以上の状態量を取得する(例えば演算により算出する)。上記1つ以上の状態量は、例えば、状態量取得部121の説明において上述した(1)~(8)の状態量を含む。状態量取得部131は、複数の操作候補に含まれる1つの操作候補に関する制御処理が終了するごとに、情報取得部110により取得される最新情報に基づき、上記1つ以上の状態量(例えば状態量情報141)を更新する。
【0081】
(シミュレータ演算部)
シミュレータ演算部132は、状態量取得部131により更新された1つ以上の状態量に基づき、複数の操作候補に含まれる1つの操作候補の処理ごとに、複数のクレーン30の干渉発生の可能性の有無などを検証する。シミュレータ演算部132は、複数のクレーン30の干渉発生の可能性がある場合、優先権が低いクレーン30の退避計画を生成するなど、複数のクレーン30の運転計画を修正する。
【0082】
(動作制御部)
動作制御部133は、シミュレータ演算部132による検証で複数のクレーン30の干渉発生の可能性がないと判定される場合、運転計画に基づく制御指令を複数のクレーン30の制御盤に送信することで、複数のクレーン30による操作を実行させる。一方で、動作制御部133は、シミュレータ演算部132による検証で複数のクレーン30の干渉発生の可能性があると判定される場合、修正された運転計画に基づく制御指令を複数のクレーン30の制御盤に送信することで、複数のクレーン30による操作を実行させる。
【0083】
<5.処理の流れ>
次に、処理の流れについて説明する。
図8は、制御装置100の処理の流れを示すフローチャートである。まず、運転計画部120の処理の流れについて説明する。
【0084】
状態量取得部121は、情報取得部110により取得された各種情報に基づき、1つ以上の状態量を取得する(S101)。操作候補選定部122は、状態量取得部121により取得された1つ以上の状態量に基づき、複数のクレーン30の操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定する(S102)。次に、組合せ生成部123は、操作候補選定部122により選定された複数の操作候補に関して、複数の操作組合せを生成する(S103)。
【0085】
次に、シミュレータ演算部124は、初期設定として、複数の操作組合せを互いに識別するための変数iを「1」に設定する(S104)。そして、シミュレータ演算部124は、変数iを用いて演算対象の操作組合せを特定し(S105)、特定した演算対象の操作組合せに含まれる各操作候補についてシミュレータ演算を行う(S106)。このシミュレータ演算の詳細については後述する。
【0086】
シミュレータ演算部124は、演算対象の1つの操作組合せに含まれる1つの操作候補(1つのステップ)の処理が終了するごとに、当該操作組合せに含まれる全ての操作候補(全てのステップ)の演算が終了したか否かを判定する(S107)。シミュレータ演算部124は、1つの操作組合せに含まれる全ての操作候補の演算が終了していない場合(S107:NO)、S106に戻り演算を続ける。
【0087】
一方で、シミュレータ演算部124は、1つの操作組合せに含まれる全ての操作候補の演算が終了した場合(S107:YES)、その演算結果に基づき、当該操作組合せにおいて複数の操作候補の実行完了までの作業時間を算出する(S108)。
【0088】
次に、シミュレータ演算部124は、変数iが最大値であるか否かを判定する(S109)。シミュレータ演算部124は、変数iが最大値でない場合(S109:NO)、変数iをインクリメントし(S110)、S105の処理に戻る。一方で、シミュレータ演算部124は、変数iが最大値である場合(S109:YES)、複数の操作組合せについてそれぞれ算出された作業時間に基づき、最適操作組合せを選定する(S111)。次に、運転計画導出部125は、選定された最適操作組合せに基づき、運転計画を導出する(S112)。これにより、運転計画部120の処理が完了する。
【0089】
次に、制御部130の処理の流れについて説明する。シミュレータ演算部132は、運転計画に含まれる1つの操作候補についてシミュレータ演算を行う(S121)。このシミュレータ演算の詳細については後述する。そして、制御部130は、シミュレーション演算の結果に基づき、当該1つの操作候補に対応する1つの操作を実行する。
【0090】
次に、シミュレータ演算部132は、上記1つの操作の実行が完了したか否かを判定する(S122)。制御部130は、上記1つの操作の実行が完了していない場合(S122:NO)、S121に戻り処理を続ける。
【0091】
一方で、制御部130は、上記1つの操作の実行が完了した場合(S122:YES)、上記運転計画に含まれる全ての操作(上記最適操作組合せに含まれる全ての操作)の実行が完了したか否かを判定する(S123)。制御部130は、上記運転計画に含まれる全ての操作の実行が完了した場合(S123:YES)、S101に戻り処理を続ける。
【0092】
制御部130は、上記運転計画に含まれる全ての操作の実行が完了していない場合(S123:NO)、シミュレータ演算部124(またはシミュレータ演算部132)により算出された内容(例えば算出された1つ以上の状態量)と、焼却設備1の実際の状態(例えば状態量取得部121により取得された最新の1つ以上の状態量)との間に所定基準以上の乖離が生じているか否かを判定する(S124)。
【0093】
制御部130は、シミュレータ演算部124(またはシミュレータ演算部132)により算出された内容と焼却設備1の実際の状態との間に上記所定基準以上の乖離がない場合(S124:NO)、S121の処理に戻り、上記運転計画に含まれる次の操作候補(上記最適操作組合せに含まれる次の操作候補)について同様の処理を行う。一方で、制御部130は、シミュレータ演算部124(またはシミュレータ演算部132)により算出された内容と焼却設備1の実際の状態との間に上記所定基準以上の乖離が生じている場合(S124:YES)、上記運転計画に含まれる動作を続けることを中止し、S101に戻り処理を続ける。すなわち、焼却設備1の実際の状態(例えば状態量取得部121により取得された最新の1つ以上の状態量)に基づき、改めて優先度が高い複数の操作候補が選定され(S101)、複数の操作組合せを生成される(S102)。
【0094】
次に、シミュレーション演算の流れについて説明する。
図9は、シミュレータ演算部124またはシミュレータ演算部132により実行されるシミュレーション演算の流れを示すフローチャートである。以下では、シミュレータ演算部124により実行される演算について説明するが、シミュレータ演算部132により実行される演算についても同様である。
【0095】
本実施形態では、シミュレータ演算部124は、1つの操作候補についての演算処理として、以下の演算を行う。例えば、複数のクレーン30の状態量(例えば各クレーン30の位置)を更新する(S201)。次に、シミュレータ演算部124は、ホッパ11に関する状態量(例えばホッパ11内のごみ高さ)を更新する(S202)。次に、シミュレータ演算部124は、ごみピット21に関する状態量(受入元エリアA1内のごみ高さ、受入先エリアA2内のごみ高さ、投入エリアA3内のごみ高さなど)を更新する(S203)。
【0096】
次に、シミュレータ演算部124は、複数のクレーン30の干渉発生の可能性の有無を検証する(S204)。シミュレータ演算部124は、複数のクレーン30の干渉発生の可能性がある場合(S204:干渉あり)、退避計画として回避操作の目標を設定し(S205)、演算を終了する。一方で、シミュレータ演算部124は、複数のクレーン30の干渉発生の可能性がない場合(S204:干渉なし)、演算を終了する。
【0097】
<6.作用効果>
以上説明した本実施形態では、制御装置100は、操作候補選定部122、組合せ生成部123、シミュレータ演算部124、および運転計画導出部125を有する。操作候補選定部122は、被焼却物Gが堆積される焼却設備1における1つ以上の状態量に基づき、複数のクレーン30の操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定する。組合せ生成部123は、複数のクレーン30に対する複数の操作候補の割り当てと、複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の操作組合せを生成する。シミュレータ演算部124は、複数の操作組合せの各々について、複数の操作候補の実行完了までの作業時間(または複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間)を算出する。運転計画導出部125は、作業時間または待ち時間に基づき複数の操作組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定し、複数のクレーン30の運転計画を導出する。
【0098】
このような構成によれば、焼却設備1における1つ以上の状態量に基づき優先度が高い複数の操作候補を選定され、複数のクレーン30に対する複数の操作候補の割り当てと複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の操作組合せのなかで所定条件を満たすもの(例えば最適な操作組合せ)を選定して運転計画を生成することができる。これにより、より適切な運転計画を生成することができる。
【0099】
図10は、本実施形態の制御装置100の作用効果を説明するための図である。図10中の(a)は、比較例として、運転計画部120が設けられていない場合における操作パターンを示す。この場合、複数のクレーン30は、干渉発生を抑制するために、例えば2台同時に動き、一方のクレーン30の作業が完了しても、そのクレーン30は、他方のクレーン30の作業完了までは次の作業に移行できない。そのため、片方のクレーン30の待機時間が生じやすい。
【0100】
一方で、図10中の(b)は、運転計画部120が設けられた場合における操作パターンを示す。本実施形態では、運転計画部120は、干渉発生の可能性の有無に関わらず最適操作組合せに関する探索を行うことで、より最適な操作パターンを探すことができる。例えば、一方のクレーン30の作業が完了する場合、そのクレーン30は、他方のクレーン30の作業完了を待たずに、別の作業を開始することができる。このため、クレーン30のアイドリング時間を短縮することができる。これにより、より適切な運転計画を生成することができる。
【0101】
<7.変形例>
次に、第1実施形態の変形例について説明する。上述したように、複数の操作候補の各々は、被焼却物Gの把持位置と落とし位置とのうち一方である第1位置を含むとともに、把持位置と落とし位置とのうち他方である第2位置は未定または変更可能である。
【0102】
本変形例では、運転計画部120のシミュレータ演算部124は、複数の操作候補に含まれる1つの操作候補に関する演算処理が完了しても状態量を更新せず、複数の操作候補に含まれる次の操作候補に関する上記第2位置を決定して作業時間(または待ち時間)を算出する。一方で、本変形例では、制御部130は、複数の操作候補に含まれる1つの操作候補に関する制御処理が完了するごとに、上記1つ以上の状態量を更新し、更新した上記1つ以上の状態量に基づいて複数の操作候補に含まれる次の操作候補に関する上記第2位置を決定して複数のクレーン30を制御する。
【0103】
このような構成でも、状態量の動的な変化に応じて複数のクレーン30を制御することで、複数のクレーン30のより良い制御を実現することができる。なお本変形例は、第1実施形態のような、複数の操作候補に含まれる1つの操作候補に関する演算処理の完了に応じて状態量が更新される態様と組み合わされて実現されてもよい。
【0104】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、複数のクレーン30のそれぞれが担当するエリアが固定される点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0105】
図11は、第2実施形態の複数の操作候補を説明するための図である。本実施形態では、クレーン30の担当範囲が予め決められている。例えば、ごみピット21は、受入先エリアA2と、投入エリアA3とを含む。以下では、受入先エリアA2が「第1エリア」の一例であり、投入エリアA3が「第2エリア」の一例である場合について説明する。本実施形態では、第1エリアを主として担当するクレーン30として、第1クレーン30Aが設定されている。第2エリアを主として担当するクレーン30として、第2クレーン30Bが設定されている。
【0106】
操作候補選定部122は、上記複数の操作候補として、第1エリア(受入先エリアA2)に関して優先度が高い2以上の操作候補と、第2エリア(投入エリアA3)に関して優先度が高い2以上の操作候補とを選定する。図11に示す例では、第1エリア(受入先エリアA2)に関して優先度が高い2以上の操作候補として、3つの操作候補A,C,Eが選定される。第2エリア(投入エリアA3)に関して優先度が高い2以上の操作候補として、3つの操作候補B,D,Fが選定される。
【0107】
図12は、第2実施形態の複数の操作組合せを示す図である。組合せ生成部123は、第1エリア(受入先エリアA2)に関して選定された2以上の操作候補を第1クレーン30Aに割り当てるとともに、当該2以上の操作候補について第1クレーン30Aによる実行順序が入れ替えられた複数の実行パターンを生成する。図12に示す例では、第1エリア(受入先エリアA2)に関して選定された2以上の操作候補の実行パターンとして、3つの操作候補A,C,Eの実行順序が入れ替えられた6つの実行パターン(1-1~1-6)が生成される。
【0108】
一方で、組合せ生成部123は、第2エリア(投入アリアA3)に関して選定された2以上の操作候補を第2クレーン30Bに割り当てるとともに、当該2以上の操作について第2クレーン30Bによる実行順序が入れ替えられた複数の実行パターンを生成する。図12に示す例では、第2エリア(投入エリアA3)に関して選定された2以上の操作候補の実行パターンとして、3つの操作候補B,D,Fの実行順序が入れ替えられた6つの実行パターン(2-1~2-6)が生成される。
【0109】
そして、組合せ生成部123は、第1クレーン30Aに関する複数の実行パターンと第2クレーン30Bに関する複数の実行パターンとを組み合わせることで、複数の操作組合せを生成する。図12に示す例では、3つの操作候補A,C,Eの実行順序が入れ替えられた6つの実行パターン(1-1~1-6)と、3つの操作候補B,D,Fの実行順序が入れ替えられた6つの実行パターン(2-1~2-6)とを掛け合わせた全組合せとして、36通りの操作組合せが生成される。
【0110】
本実施形態では、シミュレータ演算部124は、上述した36通りの操作組合せの各々について、シミュレータ演算を行い、上記作業時間(または上記待ち時間)を算出する。そして、運転計画導出部125は、上述した36通りの操作組合せのなかから、上記作業時間(または上記待ち時間)が最小となる最適組合せを選定する。
【0111】
このような構成によれば、各クレーン30の担当範囲を決めることで、組合せ探索範囲を限定することができ、効率的に探索を行うことができる。
【0112】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、受入先エリアA2と投入エリアA3とを合わせたエリア内で優先度が高い複数の操作候補が選定される点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0113】
図13は、第3実施形態の複数の操作候補を説明するための図である。本実施形態では、操作候補選定部122は、上記複数の操作候補として、受入先エリアA2に関する操作候補であるか投入エリアA3に関する優先候補であるかに関わらず、受入先エリアA2と投入エリアA3とを合わせたエリアに関して優先度が高い複数の操作候補を選定する。なお、操作候補選定部122は、受入先エリアA2、投入エリアA3、および受入元エリアA1を合わせたエリアにおいて優先度が高い順に複数の操作候補を選定してもよい。図13に示す例では、受入先エリアA2と投入エリアA3とを合わせたエリアにおいて、優先度が高い順に4つの操作候補A~Dが選定される。
【0114】
図14は、第3実施形態の複数の操作組合せを示す図である。組合せ生成部123は、上記複数の操作候補(例えば操作候補A~D)のうち第1クレーン30Aに割り当てる操作候補の数と、上記複数の操作候補(例えば操作候補A~D)のうち第2クレーン30Bに割り当てる操作候補の数とを変えることで、上記複数の操作組合せを生成する。図14に示す例では、4つの操作候補A~Dに関する実行順序は固定されるとともに、4つの操作候補A~Dに対する第1クレーン30Aおよび第2クレーン30Bの割り当てが変更された全組合せとして、14通りの操作組合せが生成される。
【0115】
本実施形態では、シミュレータ演算部124は、上述した14通りの操作組合せの各々について、シミュレータ演算を行い、上記作業時間(または上記待ち時間)を算出する。そして、運転計画導出部125は、上述した14通りの操作組合せのなかから、上記作業時間(または上記待ち時間)が最小となる最適組合せを選定する。
【0116】
このような構成によれば、対象エリアを分けず、全体エリアにおいて優先度の高い操作候補を抽出し、優先度の高い順に操作を行う。これにより、エリアによって操作候補に偏りがある場合などにおいて、複数クレーン30で効率よく対応できる操作組合せを選定することができ、クレーン30を有効利用することができる場合がある。また本実施形態では、複数の操作候補の実行順序は固定されて操作組合せが生成されることで、組合せ探索範囲を限定することができ、効率的に探索を行うことができる。
【0117】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、操作候補選定部122Aが学習済みモデルM1を用いる点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0118】
図15は、第4実施形態の制御装置100の機能構成を示すブロック図である。本実施形態では、操作候補選定部122Aは、学習済みモデルM1を用いて、複数のクレーン30の操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定する。学習済みモデルM1は、焼却設備1における1つ以上の状態量と過去の運転計画または手動操作の履歴との対応関係から得られるデータセットに基づき学習が行われ、上記1つ以上の状態量が入力されると優先度が高い複数の操作候補を出力するように学習されている。操作候補選定部122は、1つ以上の状態量を学習済みモデルM1に入力することで、学習済みモデルM1から出力される上記複数の操作候補を得る。なお、上記データセットに含まれる入力データは、焼却設備1における1つ以上の状態量に限定されず、複数のクレーン30の位置、ごみ受入扉23の開閉状況、曜日および時間、季節、気温などを含んでもよい。
【0119】
このような構成によれば、複数の操作候補を選定するパラメータを導出することなく、実機の動きに合わせた予測を行うことができる。
【0120】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態では、運転計画部120が学習済みモデルM2を用いる点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同じである。
【0121】
図16は、第5実施形態の制御装置100の機能構成を示すブロック図である。本実施形態では、運転計画導出部125Bは、学習済みモデルM2を用いて運転計画を導出する。学習済みモデルM2は、焼却設備1における1つ以上の状態量を含む入力データが入力されると、複数のクレーン30の操作候補として優先度が高い複数の操作候補と、上記複数の操作候補に関する最適操作組合せ(すなわち、上記複数の操作候補に対する複数のクレーン30の割り当てと、上記複数の操作候補に関する実行順序との組合せ)とを示す出力データを出力するように学習されている。
【0122】
学習済みモデルM2は、焼却設備1における1つ以上の状態量と過去の運転計画または手動操作の履歴との対応関係から得られるデータセットに基づき学習が行われ、上記入力データが入力されると上記出力データを出力するように学習されている。なお、上記入力データは、焼却設備1における1つ以上の状態量に限定されず、複数のクレーン30の位置、ごみ受入扉23の開閉状況、曜日および時間、季節、気温などを含んでもよい。
【0123】
運転計画導出部125Bは、学習済みモデルM2からの出力データに含まれる最適操作組合せに基づき、運転計画を導出する。
【0124】
このような構成によれば、複数の操作候補を選定するパラメータを導出することなく、実機の動きに合わせた予測を行うことができる。
【0125】
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更なども含まれる。
【0126】
図17は、上述した実施形態に係るコンピュータ1100の構成を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1100は、例えば、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、およびインターフェース1140を備える。
【0127】
上述の制御装置100の各機能部は、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各機能部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した各機能部が使用する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0128】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0129】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどが挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース1140又は通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0130】
<付記>
各実施形態に記載の情報処理システム、運転計画方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0131】
(1)第1態様の情報処理システムは、被焼却物Gが堆積される設備(例えば焼却設備1)における1つ以上の状態量に基づき、上記設備に含まれる複数のクレーン30の操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定する選定部(例えば操作候補選定部122)と、複数のクレーン30に対する上記複数の操作候補の割り当てと、上記複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成する組合せ生成部123と、上記複数の組合せの各々について、上記複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または上記複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出する算出部(例えばシミュレータ演算部124)と、上記作業時間または上記待ち時間に基づき上記複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定し、複数のクレーン30の運転計画を導出する運転計画導出部125と、を備える。
【0132】
このような構成によれば、状態量に応じて優先度が高い複数の操作候補を選定し、複数のクレーン30に対する複数の操作候補の割り当てと複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せのなかから適した組合せを選定し、複数のクレーン30の運転計画を導出することができる。これにより、より適切な運転計画を生成することができる。
【0133】
(2)第2態様の情報処理システムは、(1)の情報処理システムであって、上記選定部は、複数のクレーン30の干渉発生の可能性の有無に関わらず、上記優先度に基づいて上記複数の操作候補を選定し、組合せ生成部123は、複数のクレーン30の干渉発生の可能性の有無に関わらず、複数のクレーン30に対する上記複数の操作候補の割り当て、または上記複数の操作候補に関する実行順序を変えることで上記複数の組合せを生成する。このような構成によれば、複数のクレーン30の干渉発生の可能性がある場合でも、複数のクレーン30の割り当てと複数の操作候補に関する実行順序との組合せによって、複数のクレーン30の干渉が発生しない場合と比べて作業時間または待ち時間が短くなる組合せが存在する場合、その組合せに基づく運転計画を導出することができる。
【0134】
(3)第3態様の情報処理システムは、(2)の情報処理システムであって、上記運転計画に基づき複数のクレーン30を制御する制御部130をさらに備え、制御部130は、上記運転計画における複数のクレーン30の干渉発生の可能性の有無を検証し、複数のクレーン30の干渉発生の可能性がある場合、複数のクレーン30のうち少なくとも一方のクレーン30の回避操作の目標を設定する。このような構成によれば、複数のクレーン30の干渉発生の可能性の有無に関わらず複数の操作候補を選定すること、および/または、複数のクレーン30の干渉発生の可能性の有無に関わらず上記複数の組合せを生成することができる。これにより、より適切な運転計画を生成することができる場合がある。
【0135】
(4)第4態様の情報処理システムは、(1)から(3)のうちいずれか1つの情報処理システムであって、上記設備に含まれるピット(例えばごみピット21)は、被焼却物Gが外部から搬入される受入元エリアA1と、受入元エリアA1から被焼却物Gが移動されて撹拌される受入先エリアA2とを含み、上記1つ以上の状態量は、焼却炉3のホッパ11内の被焼却物Gの高さ、受入元エリアA1内の被焼却物Gの高さ、および受入先エリアA2内の被焼却物Gの高さを含む。このような構成によれば、ホッパ11やごみピット21内の被焼却物Gの高さを反映させて複数のクレーン30の操作候補を選定することができる。
【0136】
(5)第5態様の情報処理システムは、(1)から(4)のうちいずれか1つの情報処理システムであって、上記1つ以上の状態量は、上記設備に含まれるピット(例えばごみピット21)に対する被焼却物Gの単位時間当たりの搬入量と、上記ピットから焼却炉3のホッパ11への被焼却物Gの単位時間当たりの投入量とのうち少なくとも一方を含む。このような構成によれば、ごみピット21内の被焼却物Gの高さの変動量を反映させて複数のクレーン30の操作候補を選定することができる。
【0137】
(6)第6態様の情報処理システムは、(1)から(5)のうちいずれか1つの情報処理システムであって、上記複数の操作候補の各々は、被焼却物Gの把持位置と落とし位置とのうち一方である第1位置を含むとともに、上記把持位置と上記落とし位置とのうち他方である第2位置は未定または変更可能であり、上記算出部は、上記複数の操作候補に含まれる1つの操作候補に関する演算処理が完了するごとに、当該1つの操作候補の内容に応じて上記1つ以上の状態量を更新し、更新した上記1つ以上の状態量に基づいて上記複数の操作候補に含まれる次の操作候補に関する上記第2位置を決定して作業時間または待ち時間を算出する。このような構成によれば、複数の操作候補の各々の実行によって動的に変化する状態量を反映させて、複数のクレーン30の作業時間または待ち時間を評価することができる。
【0138】
(7)第7態様の情報処理システムは、(1)から(6)のうちいずれか1つの情報処理システムであって、組合せ生成部123は、上記設備に含まれるピット(例えばごみピット21)内において複数のクレーン30がそれぞれ担当するエリアと、上記複数の操作候補に関する実行順序とのうちいずれか一方を固定して上記複数の組合せを生成する。このような構成によれば、組合せ数を予め絞り込んで作業時間または待ち時間を算出することができる。これにより、演算の効率化を図ることができ、リアルタイムの演算でも遅れが生じにくくなる。
【0139】
(8)第8態様の情報処理システムは、(1)から(7)のうちいずれか1つの情報処理システムであって、上記設備に含まれるピット(例えばごみピット)は、第1エリアと、第2エリアとを含み、複数のクレーン30は、第1クレーン30Aと、第2クレーン30Bとを含み、上記選定部は、上記複数の操作候補として、上記第1エリアに関して優先度が高い2以上の操作候補と、上記第2エリアに関して優先度が高い2以上の操作候補とを選定し、組合せ生成部123は、上記第1エリアに関して選定された2以上の操作候補を第1クレーン30Aに割り当てるとともに、当該2以上の操作候補について第1クレーン30Aによる実行順序が入れ替えられた複数の実行パターンを生成し、上記第2エリアに関して選定された2以上の操作候補を第2クレーン30Bに割り当てるとともに、当該2以上の操作について第2クレーン30Bによる実行順序が入れ替えられた複数の実行パターンを生成し、第1クレーン30Aに関する複数の実行パターンと第2クレーン30Bに関する前記複数の実行パターンとを組み合わせることで、上記複数の組合せを生成する。このような構成によれば、クレーンごとに操作候補を設定することで、組合せ数を予め絞り込んで作業時間または待ち時間を算出することができる。これにより、演算の効率化を図ることができ、リアルタイムの演算でも遅れが生じにくくなる。
【0140】
(9)第9態様の情報処理システムは、(8)の情報処理システムであって、上記第1エリアは、焼却炉3のホッパ11に被焼却物Gを投入することを抑制して被焼却物Gを受け入れる受入先エリアA2であり、上記第2エリアは、ホッパ11に被焼却物Gを投入する投入エリアA3である。このような構成によれば、受入先エリアA2と投入エリアA3とでクレーン30ごとに操作候補を設定することで、組合せ数を予め絞り込むことができる。
【0141】
(10)第10態様の情報処理システムは、(1)から(7)のうちいずれか1つの情報処理システムであって、複数のクレーン30は、第1クレーン30Aと、第2クレーン30Bとを含み、組合せ生成部123は、上記複数の操作候補のうち第1クレーン30Aに割り当てる操作候補の数と、上記複数の操作候補のうち第2クレーン30Bに割り当てる操作候補の数とを変更することで、上記複数の組合せを生成する。このような構成によれば、選定された操作候補に近いクレーン30によって当該操作候補を実行することができるため、より適切な運転計画を導出することができる場合がある。
【0142】
(11)第11態様の情報処理システムは、(10)の情報処理システムであって、上記設備に含まれるピット(例えばごみピット21)は、焼却炉3のホッパ11に被焼却物Gを投入することを抑制して被焼却物Gを受け入れる受入先エリアA2と、ホッパ11に被焼却物Gを投入する投入エリアA3とを含み、上記選定部は、上記複数の操作候補として、受入先エリアA2に関する操作候補であるか投入エリアA3に関する優先候補であるかに関わらず、受入先エリアA2と投入エリアA3とを合計したエリアに関して優先度が高い順に複数の操作候補を選定する。このような構成によれば、複数のエリアのなかで優先度が高い順に複数の操作候補を選定することができる。これにより、より適切な運転計画を導出することができる場合がある。
【0143】
(12)第12態様の情報処理システムは、(1)から(11)のうちいずれか1つの情報処理システムであって、上記選定部は、上記1つ以上の状態量と過去の運転計画または手動操作の履歴との対応関係から得られるデータセットに基づき学習が行われ、上記1つ以上の状態量が入力されると上記複数の操作候補を出力するように学習された学習済みモデルM1を用いて上記複数の操作候補を選定する。このような構成によれば、複数の操作候補を選定するパラメータを導出することなく、実機の動きに合わせた予測を行うことができる。
【0144】
(13)第13態様の運転計画方法は、コンピュータが、被焼却物Gが堆積される設備(例えば焼却設備1)における1つ以上の状態量に基づき、上記設備に含まれる複数のクレーン30の操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定し、複数のクレーン30に対する上記複数の操作候補の割り当てと、上記複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成し、上記複数の組合せの各々について、上記複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または上記複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出し、上記作業時間または上記待ち時間に基づき上記複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定し、複数のクレーン30の運転計画を導出する。このような構成によれば、(1)の情報処理システムと同様に、より適切な運転計画を生成することができる。
【0145】
(14)第14態様のプログラムは、コンピュータに、被焼却物Gが堆積される設備(例えば焼却設備1)における1つ以上の状態量に基づき、上記設備に含まれる複数のクレーン30の操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定させ、複数のクレーン30に対する上記複数の操作候補の割り当てと、上記複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成させ、上記複数の組合せの各々について、上記複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または上記複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出させ、上記作業時間または上記待ち時間に基づき上記複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定し、複数のクレーン30の運転計画を導出させる。このような構成によれば、(1)の情報処理システムと同様に、より適切な運転計画を生成することができる。
【0146】
(15)第15態様の情報処理システムは、被焼却物Gが堆積される設備(例えば焼却設備1)における1つ以上の状態量が入力されると、上記設備に含まれる複数のクレーン30の操作候補として優先度が高い複数の操作候補と、複数のクレーン30に対する上記複数の操作候補の割り当てと、上記複数の操作候補に関する実行順序とを示す情報を出力するように学習された学習済みモデルM2を用いて、複数のクレーン30の運転計画を導出する運転計画部120を備える。このような構成によれば、(1)の情報処理システムと同様に、より適切な運転計画を生成することができる場合がある。
【符号の説明】
【0147】
1…焼却設備
2…貯留部
3…焼却炉
11…ホッパ
11A…第1ホッパ
11B…第2ホッパ
21…ごみピット
30…クレーン
30A…第1クレーン
30B…第2クレーン
100…制御装置(情報処理システム)
110…情報取得部
120…運転計画部
121…状態量取得部
122,122A…操作候補選定部(選定部)
123…組合せ生成部
124…シミュレータ演算部(算出部)
125,125B…運転計画導出部
130…制御部
131…状態量取得部
132…シミュレータ演算部
133…動作制御部
【要約】
【課題】より適切な運転計画を生成することができる情報処理システム、運転計画方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】情報処理システムは、被焼却物が堆積される設備における1つ以上の状態量に基づき、設備に含まれる複数のクレーンの操作候補として優先度が高い複数の操作候補を選定する選定部と、複数のクレーンに対する複数の操作候補の割り当てと、複数の操作候補に関する実行順序とを規定する複数の組合せを生成する生成部と、複数の組合せの各々について、複数の操作候補の実行完了までの作業時間、または複数の操作候補の実行完了までに生じる待ち時間を算出する算出部と、作業時間または待ち時間に基づき複数の組合せのなかから所定条件を満たす組合せを選定し、複数のクレーンの運転計画を導出する運転計画導出部と、を備える。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
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図17