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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】局所皮膜形成スプレー
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/12 20060101AFI20220926BHJP
   A61K 31/4453 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20220926BHJP
   A61P 23/02 20060101ALN20220926BHJP
【FI】
A61K9/12
A61K31/4453
A61K45/00
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/40
A61P23/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018546405
(86)(22)【出願日】2016-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 US2016063618
(87)【国際公開番号】W WO2017091739
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-08-21
(31)【優先権主張番号】622258672
(32)【優先日】2015-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521565958
【氏名又は名称】グレイス セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コテイル、エス.、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】クマール、アムレシュ
(72)【発明者】
【氏名】スンサンカール、プラサンナ
(72)【発明者】
【氏名】カビュル、ヴィマル
【審査官】小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-536319(JP,A)
【文献】国際公開第2008/088756(WO,A1)
【文献】特表2007-511524(JP,A)
【文献】特表平11-511763(JP,A)
【文献】特表2011-503183(JP,A)
【文献】国際公開第2014/134586(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/12
A61K 31/4453
A61K 45/00
A61K 47/10
A61K 47/12
A61K 47/14
A61K 47/18
A61K 47/20
A61K 47/24
A61K 47/26
A61K 47/32
A61K 47/36
A61K 47/38
A61K 47/40
A61P 23/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる、ポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤:
局所麻酔薬である活性薬剤、
前記製剤の2.5~20重量%の量のポビドン、ここで前記ポビドンの量は局所スプレー皮膜の形成後に前記製剤中に含まれる前記活性薬剤が沈殿するのを妨げるか又は実質的に妨げるために有効な量であり、
前記活性薬剤のための、前記製剤の1~15重量%の量の薬学的に許容され得る透過増強剤であって、ミリスチン酸イソプロピル、オレス-2、オレイン酸、2-ピロリドン、イソステアリン酸、オレイアルコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、メントール、アゾン、シクロデキストリン、尿素、ラウリル硫酸ナトリウム、及びその混合物からなる群から選択される上記活性薬剤のための前記薬学的に許容され得る透過増強剤、
pH緩衝剤、血管収縮剤、防腐剤、酸化防止剤、等張剤、可塑剤、薬物結晶沈殿阻害剤及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される任意選択の賦形剤、ここで、前記薬物結晶沈殿阻害剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水溶性ゴム、水溶性セルロース、デキストラン、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、多糖ポリマー、及びポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーから選択される、
並びに、濃度が前記製剤の2~99重量%である揮発性溶媒であって、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール及びそれらの混合物から選択される薬学的に許容され得るアルコール、又は水並びにエタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール及びそれらの組み合わせから選択されるアルコールからなる水アルコール溶媒から選択される上記揮発性溶媒、
前記製剤は、ヒトの皮膚上のある部位にメカニカルポンプスプレー装置の利用を介してスプレーされ、固化したときに、通気性であり、生体接着性でありかつマイクロ多孔質である皮膜を与え、さらに前記活性薬剤の二相性の放出を以下のように与える:
前記製剤は、前記活性薬剤の第一のピーク濃度を、ヒト対象の皮膚への前記局所スプレーの適用後0.05から1.5時間で与え、
前記活性薬剤の第二のピーク濃度を、ヒト対象の皮膚への前記局所スプレーの適用後3時間から24時間で与える。
【請求項2】
活性薬剤が、ブピバカイン塩基、ブピバカイン塩酸塩、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の局所スプレー用製剤。
【請求項3】
単位用量が複数のスプレー液滴を含み、
前記単位用量中の前記スプレー液滴の10%が26μm±20μmの平均径を有し、前記単位用量中の前記スプレー液滴の50%が55μm±20μmの平均径を有し、前記単位用量中の前記スプレー液滴の90%が116μm±40μmの平均径を有する、請求項1に記載の局所スプレー用製剤。
【請求項4】
2時間後に10μg/cm ~500μg/cmのインビトロ累積薬物透過、および24時間後に10μg/cm~6500μg/cmの累積薬物透過、又は2時間後にインビトロで10ng/cm ~500ng/cmのヒト皮膚上でのインビボ累積薬物透過、および24時間後に10ng/cmcm~6500ng/cmの累積薬物透過を与える、請求項1に記載の局所スプレー用製剤。
【請求項5】
単位用量として適用される局所スプレー医薬製剤であって、
前記製剤が、
エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール及びそれらの混合物から選択される薬学的に許容され得るアルコール、又は水並びにエタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール及びそれらの組み合わせから選択されるアルコールからなる水アルコール溶媒に分散された、
)0.5~40mgのブピバカイン塩酸塩を含む活性薬剤、
ii)局所スプレー皮膜の形成後に前記製剤中に含まれる前記ブピバカインが沈殿するのを妨げるか又は実質的に妨げるために有効な量である5~20重量%の量のポビドンである親水性ポリマー
ii)薬学的に許容され得る透過増強剤、ここで前記薬学的に許容され得る透過増強剤は、前記製剤の1~15重量%の量であり、ミリスチン酸イソプロピル、オレス-2、オレイン酸、2-ピロリドン、イソステアリン酸、オレイアルコール、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ホスファチジルコリン、アゾン、シクロデキストリン、尿素、メントール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びその混合物からなる群から選択され、並びに
iv)pH緩衝剤、血管収縮剤、防腐剤、酸化防止剤、等張剤、可塑剤、薬物結晶沈殿阻害剤及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される任意選択の賦形剤、ここで、前記薬物結晶沈殿阻害剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、水溶性ゴム、水溶性セルロース、デキストラン、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、多糖ポリマー、及びポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーから選択される、
のポリマーの溶液、エマルジョン又は懸濁液からなり、
記単位用量が複数のスプレー液滴を含み、前記単位用量中の前記スプレー液滴の10%が26μm±20μmの平均径を有し、
前記単位用量中の前記スプレー液滴の50%が55μm±20μmの平均径を有し、前記単位用量中の前記スプレー液滴の90%が、116μm±40μmの平均径を有し、
前記単位用量局所スプレーが、スプレー1回あたり1cm ~40cmの皮膜表面積を与え、前記アルコール又は水アルコール溶媒が蒸発したときにマイクロ多孔質、通気性、過飽和かつ生体接着性の皮膜として固化し、
前記ブピバカインの第一のピーク血漿濃度がヒト対象の皮膚への前記局所スプレー製剤の適用後0.05から1.5時間であり、かつ前記局所スプレー製剤の前記単位用量が前記ブピバカインの第二の異なるピーク血漿濃度を、ヒト対象の皮膚への前記局所スプレー製剤の適用後3時間から24時間で与えるというブピバカインの二相性の放出を与える、
上記単位用量として適用される局所スプレー医薬製剤。
【請求項6】
前記過飽和ブピバカイン濃度がインビボで1~24時間の期間持続して、増加したバイオアベイラビリティを達成する、請求項5に記載の単位用量として適用される局所スプレー医薬製剤。
【請求項7】
単位用量中の前記スプレー液滴の10%が26μm±1.82μmの平均径を有し、前記単位用量中の前記スプレー液滴の50%が55μm±2.39μmの平均径を有し、前記単位用量中の前記スプレー液滴の90%が116μm±4.9μmの平均径を有する、請求項5に記載の単位用量として適用される局所スプレー医薬製剤。
【請求項8】
第一のピーク濃度が、前記単位用量がヒト対象上にスプレーされた後、0.17~0.67時間で生じ、前記第二のピーク濃度が、前記単位用量がヒト対象上にスプレーされた後、4~24時間で生じる、請求項5に記載の単位用量として適用される局所スプレー医薬製剤。
【請求項9】
9pg/ml~380pg/mlブピバカインの第一のピーク血漿濃度および864pg/ml~3463pg/mlブピバカインの第二のピーク血漿濃度を与える、請求項5に記載の単位用量として適用される局所スプレー医薬製剤。
【請求項10】
前記活性薬剤がブピバカイン塩酸塩であり、前記透過増強剤がミリスチン酸イソプロピル、オレス-2、オレイン酸、オレイルアルコール、ポリエチレングリコール、メントール、及びその混合物からなる群から選択され、前記製剤が可塑剤及び酸化防止剤を含む、請求項1又は5に記載の局所スプレー製剤。
【請求項11】
前記活性薬剤がブピバカイン塩酸塩であり、前記透過増強剤がミリスチン酸イソプロピル、オレス-2、オレイン酸、オレイルアルコール、ポリエチレングリコール、メントール、及びその混合物からなる群から選択され、前記製剤がプロピレングリコールからなる可塑剤、及びアスコルビン酸からなる酸化防止剤を含む、請求項1又は5に記載の局所スプレー製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、表面(例えば、皮膚)上に適用された(例えば、スプレーされた)ときに、安定な皮膜を形成する皮膜形成組成物に関する。安定な皮膜は、溶媒の蒸発によって形成され、表面に付着する。
【0002】
発明の背景
治療薬を組み込む局所皮膜が、製薬技術において様々な目的のために開発されてきた。例えば、Tiptonら(米国特許第5,632,727号および第5,792,469号)は、薬学的に許容され得る溶媒中の少なくとも1つの生分解性/生体内分解性熱可塑性ポリマーの液体組成物から形成された追加の治療薬を有するまたは有さない生分解性皮膜包帯の調製物を記載している。皮膜は、液体組成物を、好ましくはスプレーすることによって組織部位上に分注し、液体組成物を水性流体と接触させて、ヒトまたは動物組織上に皮膜を凝固または固体化させることによって形成される。生分解性皮膜は、損傷した組織を保護し、その治癒を促進し、かつ/または生物学的に活性な薬剤を送達するために使用され得る。
【0003】
米国特許第6,958,154号は、スプレー式絆創膏および薬物送達システムを記載している。そこでは、流体組成物、例えば、エアロゾルスプレーが流体として表面上に適用されるが、その後インサイツで乾燥して、被着体にパッチを付着させるのを助ける下にある接着剤を覆う粘着性のない外面を有するパッチを形成する。
【0004】
米国特許第6,899,897号は、活性薬剤の局所適用のための担体として天然ゴム樹脂の使用を記載している。そこに記載された生物学的包帯は、ゴム樹脂、局所的に許容され得る揮発性溶媒、および薬理学的に活性な薬剤からなる。ゴム樹脂は、溶媒が蒸発したときに組成物が乾燥して、組成物が適用された皮膚または粘膜に付着する固体コーティングを形成し、処置される疾患の症状を提示している皮膚または粘膜上の部位と接触して、薬理学的に活性な薬剤を持続的に維持することになるのに適した量で存在する。
【0005】
しかしながら、従来の局所スプレー用製剤は、適用部位に短時間しかとどまらない傾向があり、結果として、皮膚を通して吸収される活性薬剤は、一過性にのみ利用可能である。さらに、知られている局所スプレー用製剤は、皮膚刺激性または閉塞の問題を引き起こし得る。
【0006】
発明の目的および概要
本発明の目的は、急性または慢性痛、侵害受容性および神経因性疼痛の処置のために局所麻酔製剤の用量を開放創または手術部位に投与することによって、ヒトおよび動物における鎮痛を与える製剤および方法を与えることである。
本発明の目的は、手術前および手術後疼痛、癌疼痛、神経伝達物質調節不全症候群および整形外科的障害に関連する疼痛、および/または局在的激痛もしくは難治性疼痛の処置のために局所麻酔製剤の用量を投与することによって、ヒトおよび動物における鎮痛を与える製剤および方法を与えることである。
【0007】
ある実施形態において本発明は、(メカニカルポンプ)スプレー装置の利用を介して皮膚に適用されるポリマー皮膜を形成するスプレー用製剤の投与を含む、疼痛を処置する方法に向けられている。
【0008】
ある実施形態では、本発明は、以下を含む、ポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤に部分的に向けられている:
親水性皮膜を形成するポリマーであって、製剤中に約1重量%~約50重量%、または約2重量%~約50重量%の量で存在する親水性皮膜を形成するポリマー、
活性薬剤、
薬物結晶沈殿阻害剤であって、製剤中に含まれた活性薬剤が沈殿するのを妨げるかまたは実質的に妨げるために有効な量の薬物結晶沈殿阻害剤、
活性薬剤のための薬学的に許容され得る透過増強剤であって、
ここで、親水性皮膜を形成するポリマーおよび薬物結晶沈殿阻害剤は、同一であるかまたは異なる、
活性薬剤のための薬学的に許容され得る透過増強剤、
ならびに、濃度が製剤の約20~約99重量%である揮発性溶媒、
製剤は、ヒトの皮膚上にスプレーされ、固化したときに通気性であり、生体接着性でありかつマイクロ多孔質である皮膜を与え、この皮膜は、約0.001%から約25%の活性薬剤を約2時間以内に放出し、活性薬剤の二相性の放出をさらに与える。好ましくは、局所スプレー用製剤は、治療有効量(または濃度)の活性薬剤を含有する。本発明はさらに、以下を含む、ポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤に向けられている:
親水性皮膜を形成するポリマーであって、約2~約50重量%の量で製剤中に存在する親水性皮膜を形成するポリマー、
活性薬剤、
薬物結晶沈殿阻害剤であって、製剤中に含まれた活性薬剤が沈殿するのを妨げるかまたは実質的に妨げるために有効な量の薬物結晶沈殿阻害剤、
活性薬剤のための薬学的に許容され得る透過増強剤、
ここで、親水性皮膜を形成するポリマーおよび薬物結晶沈殿阻害剤は、同一であるかまたは異なり、
ならびに、濃度が製剤の約20~約99重量%である揮発性溶媒、
製剤は、ヒトの皮膚上のある部位にスプレーされ、固化したときに通気性であり、生体接着性でありかつマイクロ多孔質である皮膜を与え、さらに活性薬剤の二相性の放出を以下のように与える:
【0009】
製剤は、活性薬剤の第一のピーク濃度を、ヒト対象の皮膚上への局所スプレーの適用後、約0.05から約5時間で与え、活性薬剤の第二のピーク濃度を、ヒト対象の皮膚への局所スプレーの適用後、約3時間から約24時間で与える。ある好ましい実施形態では、局所スプレー製剤は、一旦局所スプレーがヒトの皮膚にスプレーされると、活性薬剤の初期放出を与え、その後、ある期間にわたってより少ない薬物が放出される遅延が続く。ある好ましい実施形態では、局所スプレー用製剤は、活性薬剤の二相性の放出を与え、ここで、活性薬剤の第一の部分が、即時に、または短時間の遅れの後に放出されて、皮膚への局所スプレーの適用後約0.05~約5時間または約0.5時間~約5時間で生じる部位(局所薬物に関して)または血漿(全身的処置/薬物に関して)における第一のピーク最大濃度を与え、活性薬剤の第二の部分が、遅延時間後に放出されて、皮膚への局所スプレーの適用後約3時間~約24時間、または約3時間~約15時間で第二のピーク最大濃度を与える。ある好ましい実施形態では、製剤は、In-line PermeGear ILC07自動拡散セルシステムを使用して、Mattek Epidermまたは死体皮膚上で行われる、約10μg/cm~約6500μg/cmのインビトロでの累積薬物透過を与える。ある好ましい実施形態では、製剤は、過飽和濃度の薬物(例えば、ブピバカイン)を含む。これは、インビボで長期間持続する薬物濃度(例えば、約1~約24時間、または約3~約12時間)をもたらし得、製剤からの薬物の増加したバイオアベイラビリティを与え得る。ある好ましい実施形態では、局所ポリマー皮膜を形成する組成物は、2時間後に約10μg/cm~約500μg/cmのインビトロ累積薬物透過、および24時間後に10μg/cm~6500μg/cmの累積インビトロ薬物透過を与える。他の好ましい実施形態では、局所ポリマーは、2時間後に約10ng/cm~約500ng/cmのヒト皮膚上でのインビボ累積薬物透過、および24時間後に10ng/cm~6500ng/cmのインビボ累積薬物透過を与える。ある好ましい実施形態では、薬物結晶沈殿阻害剤は、製剤の約0.01~約50%、好ましくは約2~約20%、より好ましくは約2.5~約10%を構成する。局所スプレー用製剤は、活性薬剤の二相性の放出を好ましくは与え、ここで、活性薬剤の第一の部分が、即時に、または短時間の遅れの後に放出されて、(i)薬物が局所的に活性である場合、部位での、または(ii)薬物が全身的に活性である場合、血漿中での第一のピーク最大濃度を与え、これは、皮膚への局所スプレーの適用後約0.05時間~約5時間で生じ、活性薬剤の第二の部分が、遅延時間後に放出されて、皮膚への局所スプレーの適用後約3時間~約24時間で第二のピーク最大濃度を与える。
【0010】
ある実施形態では、製剤は、In-line PermeGear ILC07自動拡散セルシステムを使用して、例えば、Mattek Epidermまたは死体皮膚上で行われる、約10μg/cm~約6500μg/cmの累積インビトロ薬物(例えば、ブピバカイン)透過を与える。
【0011】
本発明はさらに、以下を含む、医薬製剤に部分的に向けられている:
薬学的に許容され得る水アルコール溶媒に分散された、
親水性ポリマー、
活性薬剤、および
薬学的に許容され得る透過増強剤
ポリマー溶液、エマルジョンまたは懸濁液
剤は、ポンプスプレーを介してスプレーされて約5ミクロン~約1000ミクロンの直径を有する液滴になり、水アルコール溶媒が蒸発するとき、マイクロ多孔質、通気性かつ生体接着性の皮膜として固化し、製剤がヒトの皮膚上で皮膜として固化したとき、約0.001%~約25%の活性薬剤を約2時間以内に放出し、さらに活性薬剤の二相性の放出を与える能力がある。
【0012】
ある実施形態において、本発明は、局所ポリマー皮膜を形成する組成物に向けられており、この組成物は、
約2~約50重量%の量の親水性皮膜を形成するポリマーと一緒に水アルコール溶媒に分散されたブピバカイン塩酸塩、
製剤に含まれた薬物が沈殿するのを妨げるかまたは実質的に妨げるのに有効な量の薬物結晶沈殿阻害剤、
活性薬剤のための薬学的に許容され得る透過増強剤、
ここで、親水性皮膜を形成するポリマーと薬物結晶沈殿阻害剤は、同じかまたは異なり、
および透過増強剤を含み、
この製剤は、ポンプスプレーの使用を介して単位用量として皮膚にスプレーされて、約1~約1000ミクロンの直径を有する液滴を与える能力があり、皮膚にスプレーされて固化したときに、通気性であり、生体接着性でありかつマイクロ多孔質である皮膜を与える。ある好ましい実施形態では、製剤は、製剤の約0.01~約50%、または約2~約20%、または局所スプレー用製剤の約2.5~約10%の量の1つ以上の薬物結晶沈殿阻害剤を含む。薬物結晶沈殿阻害剤は、親水性皮膜を形成するポリマーと同一であっても異なっていてもよい。ある好ましい実施形態では、局所ポリマー皮膜を形成する組成物は、ヒトの皮膚上に(例えば、ヒトの患部に)スプレーされて固化したときに、約2時間以内にブピバカインの約0.001%~約25%を放出し、さらに、ブピバカインの二相性の放出を与える。ある好ましい実施形態では、局所ポリマー皮膜を形成する組成物は、2時間後に約10μg/cm~約500μg/cmのインビトロ累積薬物透過、および24時間後に10μg/cm~6500μg/cmの累積インビトロ薬物透過を与える。他の好ましい実施形態では、局所ポリマーは、2時間後に約10ng/cm~約500ng/cmのヒト皮膚上でのインビボ累積薬物透過、および24時間後に10ng/cm~6500ng/cmのインビボ累積薬物透過を与える。
【0013】
ある好ましい実施形態では、局所ポリマー皮膜を形成する組成物は、インビボで二相性の放出プロフィールを与える。局所スプレー用製剤は、活性薬剤の二相性の放出を与え、ここで、活性薬剤の第一の部分が、即時に、または短時間の遅れの後に放出されて、(i)薬物が局所的に活性である場合、部位での、または(ii)薬物が全身的に活性である場合、血漿中での第一のピーク最大濃度を与え、これは、皮膚への局所スプレーの適用後約0.05時間~約5時間で生じ、活性薬剤の第二の部分が、遅延時間後に放出されて、皮膚への局所スプレーの適用後約3時間~約24時間で第二のピーク最大濃度を与える。好ましい実施形態では、局所ポリマー皮膜を形成する組成物は、ヒトの皮膚上にスプレーされて固化したときに、二相性の放出を与え、放出の第一および第二相を有し、ここで薬物放出の第一相は、ヒトの皮膚への単位用量の適用後、約0.5~約3時間でピークに達し、放出の第二相は、約3~約15時間または約3~約15時間または約3~約7時間でピーク血漿濃度に達する。他の好ましい実施形態では、二相性の放出は、放出の第一および第二相を与え、ここでブピバカイン放出の第一相は、ヒトの皮膚への単位用量の適用後、約0.25~約1.5時間でピークに達し、ブピバカイン放出の第二相は、約4~約12時間でピーク血漿濃度に達する。ある実施形態では、製剤は、約0.5~約40mgのブピバカイン用量、または約1mg~約20mgのブピバカインを与え、単位用量として皮膚上にスプレーされて、スプレー1回あたり約1cm~約40cmの皮膜表面積を与える。単位用量は、例えば、皮膚上への単位用量の1回の適用あたり1回から約20回のスプレーからなり得る。
【0014】
本発明は、薬学的に許容され得る水アルコール溶媒に分散された、
親水性ポリマー、
薬物結晶沈殿阻害剤、
活性薬剤、および
薬学的に許容され得る透過増強剤
ポリマー溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含む局所スプレー医薬製剤の単位用量にも向けられており、
単位用量は、複数のスプレー液滴を含み、ここで、単位用量中のスプレー液滴の10%が約26μm±20μmの平均径を有し、
単位用量中のスプレー液滴の約50%が、約55μm±20μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約90%が、約116μm±40μmの平均径を有し、
単位用量局所スプレーは、水アルコール溶媒が蒸発したときにスプレー1回あたり約1cm2~約40cm2の皮膜表面積を与え、マイクロ多孔質、通気性かつ生体接着性の皮膜として固化し、活性薬剤の二相性の放出を与える。ある実施形態では、活性薬剤の用量は、単位用量として皮膚上にスプレーされて、例えば、1回のスプレーあたり約1cm2~約40cm2、およびある実施形態では、好ましくは約20cm2の皮膜表面積を与える。単位用量は、皮膚上に単位用量の適用あたり約1~約20回スプレー(例えば、20×20cm2であろう)または1~約7回スプレーすることによって投与され得る。ある好ましい実施形態では、親水性皮膜を形成するポリマーおよび薬物結晶沈殿阻害剤は、ポビドンを含む。好ましくは、親水性ポリマーは、製剤の約2~約50重量%を構成し、薬物結晶沈殿阻害剤は、製剤の約0.01~約50重量%、より好ましくは、約2.5~約10重量%を構成する。ある好ましい実施形態では、二相性の放出は、単位用量のヒト皮膚への適用後、約0.5~約3時間での活性薬剤の第一のピーク濃度および約3~約15時間での活性薬剤の第二のピーク濃度を与える。ある実施形態では、二相性の放出は、単位用量のヒト皮膚への適用後、約0.5~約3時間での第一のピークおよび約3~約7時間での第二のピークを与える。ある好ましい実施形態では、単位用量中のスプレー液滴の10%は、約26μm±1.82μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約50%は、約55μm±2.39μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約90%は、約116μm±4.9μmの平均径を有する。
【0015】
ある実施形態では、活性薬剤は、約0.5~約40mgのブピバカイン塩酸塩を含む。ある好ましい実施形態では、製剤中のブピバカイン濃度は過飽和している。過飽和薬物濃度は、インビボで約1~約24時間続いて、増加したバイオアベイラビリティを達成し得る。ある好ましい実施形態では、ブピバカインの第一のピーク濃度は、単位用量がヒト対象にスプレーされた後、約0.17~約0.67時間で生じ、ブピバカインの第二のピーク濃度は、単位用量がヒト対象にスプレーされた後、約4~約24時間で生じる。ある実施形態では、単位用量は、約29pg/ml~約380pg/mlブピバカインの第一のピーク血漿濃度および約864pg/ml~約3463pg/mlブピバカインの第二のピーク血漿濃度を与える。ブピバカインを含有する単位用量は、例えば、12mgとすることができ、用量は、1回のスプレーあたり12mgとして投与され得る。
【0016】
ある実施形態では、本発明は、神経因性疼痛を処置する方法に向けられており、この方法は、以下のものを含む局所ポリマー皮膜を形成する組成物の単位用量をヒト患者の皮膚上にスプレーすることを含む:
約2~約50重量%の量の親水性皮膜を形成するポリマーと一緒に水アルコール溶媒に分散された治療有効量の局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン塩酸塩)、
有効量の薬物結晶沈殿阻害剤、
および透過増強剤:
単位用量は、約1~約1000ミクロンの直径を有する液滴の形で皮膚にスプレーされ、この液滴は、皮膚上で固化したときに、通気性であり、生体接着性でありかつマイクロ多孔質である皮膜を与え、この皮膜は、ブピバカインの二相性の放出を与える。ある実施形態では、約1~約20mgのブピバカイン用量が単位用量として皮膚上にスプレーされて、1回のスプレーあたり約1cm~約40cm、好ましくは約20cmの皮膜表面積を与え、単位用量の適用1回あたり約1~約20回のスプレーまたは1~約7回のスプレーを皮膚上にスプレーすることをさらに含む。ある好ましい実施形態では、方法は、第一の単位用量の適用後約6時間で、ヒト患者の皮膚上に局所ポリマー皮膜を形成する組成物のさらなる単位用量をスプレーすることをさらに含む。ある好ましい実施形態では、単位用量は、1回のスプレーあたり約40μl~約350μlの容量を送達する計量ポンプを用いてスプレーされる。ある実施形態では、二相性の放出は、放出の第一および第二相を与え、ここでブピバカイン放出の第一相は、ヒト皮膚への単位用量の適用後、約0.5~約3時間でピークに達し、ブピバカイン放出の第二相は、約3~約15時間または約3~約7時間でピーク血漿濃度に達する。
【0017】
ある実施形態では、ブピバイカイン局所スプレー液滴は、約20~約31μm Dv(10)のサイズであり、かつ/またはスプレー液滴は、約49~約60μm Dv(50)のサイズであり、かつ/または、局所スプレー液滴は、約100~約140μm Dv(90)のサイズである。
【0018】
本発明は、神経因性疼痛(例えば、とりわけ、先端紅痛症、ヘルペス後神経痛、線維筋痛および/または複合性局所疼痛症候群(CRPS))を処置する方法に部分的にさらに向けられており、この方法は、以下のものを含む局所ポリマー皮膜を形成する組成物の単位用量をヒト患者の皮膚上にスプレーすることを含む:
約2~約50重量%の量の親水性皮膜を形成するポリマーと一緒に水アルコール溶媒に分散された局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン塩基、ブピバカイン塩酸塩、またはその混合物)、
有効量の薬物結晶沈殿阻害剤、
および透過増強剤:
治療有効量の局所麻酔薬を含有する単位用量は、約1~約1000ミクロンの直径を有する液滴の形で皮膚にスプレーされ、この液滴は、皮膚上で固化したときに、通気性であり、生体接着性でありかつマイクロ多孔質である皮膜を与え、この皮膜は、ブピバカインの二相性の放出を与える。ブピバカイン用量は、約0.5~約40mgとすることができ、単位用量として皮膚上にスプレーされて、1回のスプレーあたり約1cm~約40cmの皮膜表面積を与え、単位用量の適用1回あたり1~約20回のスプレーを皮膚上にスプレーすることによって投与され得る。ある実施形態では、局所ポリマー皮膜を形成する組成物のさらなる単位用量が、第一の単位用量の適用後、約6時間でヒト患者の皮膚上にスプレーされ得る。単位用量は、例えば、1回のスプレーあたり約40μl~約350μlの容量を送達する計量ポンプを用いてスプレーされ得る。二相性の放出は、放出の第一および第二相を好ましくは与え、ここでブピバカイン放出の第一相は、ヒトの皮膚への単位用量の適用後、約0.25~約1.5時間でピークに達し、ブピバカイン放出の第二相は、約4~約12時間でピーク血漿濃度に達する。
【0019】
本発明は、疼痛を処置する方法にも部分的に向けられており、この方法は、ヒトの皮膚に局所スプレー医薬製剤の単位用量をスプレーすることを含み、この製剤は、
薬学的に許容され得る水アルコール溶媒に分散された、
親水性ポリマー、
薬物結晶沈殿阻害剤、
疼痛を処置するのに適した有効量の活性薬剤、および
薬学的に許容され得る透過増強剤
ポリマー溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含み、
単位用量は、複数のスプレー液滴を含み、ここで、単位用量中のスプレー液滴の10%が約26μm±20μmの平均径を有し、
単位用量中のスプレー液滴の約50%が、約55μm±20μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約90%が、約116μm±40μmの平均径を有し、
単位用量局所スプレーは、スプレー1回あたり約1cm2~約40cm2の皮膜表面積を与え、水アルコール溶媒が蒸発したときに、マイクロ多孔質、通気性かつ生体接着性の皮膜として固化し、活性薬剤の二相性の放出を与える。
【0020】
本発明は、疼痛を処置する方法にも部分的にさらに向けられており、この方法は、患部の近くのヒトの皮膚上に局所スプレー医薬製剤の単位用量をスプレーすることを含み、この製剤は、
薬学的に許容され得る水アルコール溶媒に分散された、
親水性ポリマー、
薬物結晶沈殿阻害剤、
局所麻酔薬またはその薬学的に許容され得る塩を含む有効量の活性薬剤、および
薬学的に許容され得る透過増強剤
ポリマー溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含み、
単位用量は、複数のスプレー液滴を含み、ここで、単位用量中のスプレー液滴の10%が約26μm±20μmの平均径を有し、
単位用量中のスプレー液滴の約50%が、約55μm±20μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約90%が、約116μm±40μmの平均径を有し、
単位用量局所スプレーは、水アルコール溶媒が蒸発したときに、スプレー1回あたり約1cm2~約40cm2の皮膜表面積を有するマイクロ多孔質、通気性かつ生体接着性の皮膜として固化し、活性薬剤の二相性の放出を与える。
【0021】
ある実施形態では、方法は、例えば、スプレー1回あたり約40μl~約350μlの容量を送達する計量ポンプを使用して、ヒトの皮膚上に活性薬剤を送達することをさらに含む。
【0022】
本発明の目的のために、「活性薬剤」、「薬物」および医薬という用語は、交換可能に使用され、本発明の局所スプレー用製剤に含有された単一薬物または複数の薬物(2つ以上)を包含することを意味する。
【0023】
「局所麻酔薬」という用語は、局所麻痺および/または鎮痛を与える任意の薬物または薬物の混合物を意味する。
【0024】
本明細書で使用する場合、「単位用量」という用語は、哺乳動物対象の単位用量として適した物理的に別個の単位を表し、各単位は、活性成分として所定量の活性薬剤(例えば、局所麻酔薬)を含有する。
【0025】
「含む(comprising)」という用語は、用語の後に列挙された要素を含有する、包含する、網羅するまたは含む(including)ことを意味する包括的な用語であるが、他の列挙されていない要素を排除しない。
【0026】
本発明の目的のために、「制御放出」、「持続放出」という用語および類似の用語は、活性薬剤が適用または注入の直後に分散されるのではなく、ある期間にわたって確認可能で制御可能な速度で送達ビヒクルから放出されるときに生じる活性薬剤送達の様式を示すために使用される。本発明の制御または持続放出製剤は、処置される局所領域に持続的な作用を好ましくは与える。例えば、そのような製剤が、例えば1日の期間、部位に局所麻酔薬を与えることが望ましいであろう。したがって、当然、このような所望の結果を得るために、製剤は、改変され得る。
【0027】
本発明による組成物またはコーティングもしくはコーティング材料に関連して本明細書で使用されるまたは他の文脈で使用される「改変された放出」という用語は、即効放出ではない放出を意味し、制御放出、持続放出および遅延放出を包含すると解釈される。
【0028】
「治療有効量」は、疾患を処置するために動物に投与されたときに、その疾患の処置を達成するのに十分な量を意味する。
【0029】
本明細書で使用する場合、疾患を「処置する」または「処置」という用語は、疾患に罹りやすい可能性があるが、疾患の症状をまだ経験していないかまたは提示していない動物において、疾患が生じるのを防ぐこと(予防的処置)、疾患を阻害すること(その発症を遅くするまたは止める)、疾患の症状または副作用からの救済を与えること(緩和処置を含む)、および疾患を緩和すること(疾患の退行を引き起こすこと)を含む。本発明の目的のために、「疾患」は、疼痛を含む。
【0030】
本明細書で使用する場合、「生体内分解性」という用語は、とりわけ生理的pHおよび温度での生きている生物の作用を含めた生物学的環境の作用によるゲル製剤の持続放出担体の分解(degradation)、分解(disassembly)または消化を表す。
【0031】
本明細書で使用する場合、「局所的に活性」という用語は、それが適用される表面を主に処置する少なくとも1つの活性薬剤を含む本発明による皮膜製剤を表す。
【0032】
本明細書で使用する場合、「経皮的」という用語は、局所的に適用されたときに、皮膚を通して吸収される少なくとも1つの活性薬剤を含む本発明による皮膜製剤を表す。典型的に、必ずではないが、医薬は、次いで身体全体に分布されることになり、適用部位で局所的にのみ活性であることとは対照的に、全身作用をもたらす。
【0033】
本発明の目的のために、「活性薬剤」という用語は、薬物を包含することを意味するが、これに限定されない。活性薬剤という用語は、製剤中に存在する単一の活性薬剤、または複数(2つ以上)の活性薬剤を包含することをさらに意味する。
【0034】
本発明の目的のために、本明細書に記載されている全ての百分率は、特記しない限り「w/w」である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明によるブピバカイン(HClおよび塩基)計量用量経皮皮膜スプレーで処置された個々のラットのインビボ薬物血漿濃度対時間プロットを示す。
図2】本発明によるブピバカイン計量用量経皮皮膜スプレーで処置された個々のラットのインビボ薬物血漿濃度対時間プロットを示す。
図3】本発明によるブピバカイン計量用量経皮皮膜スプレーで処置された個々のラットの8mg、12mgおよびプラセボのインビボ平均薬物血漿濃度対時間プロットを示す。
図4】本発明によるブピバカイン計量用量経皮皮膜スプレーで処置された個々のラットの8mg、12mgおよびプラセボのインビボ平均累積薬物血漿濃度対時間プロットを示す。
図5】ブピバカインおよびエタノールスプレーと比較した、種々の濃度のPVPを含有する本発明によるブピバカインスプレー用製剤のブピバカイン局所スプレー皮膜特徴を示す。
図6】種々の濃度のPVPを含有する本発明によるブピバカインスプレー用製剤のスプレーパターンおよび皮膜均一性を示す。
【0036】
詳細な説明
本発明は、様々な具体的かつ好ましい実施形態および技術を参照して説明されることになるが、しかしながら、本発明の精神および範囲を逸脱することなく多くの変更および修正が行われ得ることを理解されたい。
【0037】
ポリマー皮膜を形成する製剤は、皮膚または任意の他の身体表面上に適用後、インサイツで安定な皮膜を作製する。これらの組成物は、マトリクスの基本材料として疎水性および/または親水性皮膜を形成するポリマーを有する液体または半固体のいずれかとすることができる。形成された皮膜は、1時間~最大24時間、皮膚への薬物放出を与えるのに十分に安定である。ポリマー溶液は、液体として皮膚にスプレーされ、揮発性溶媒の蒸発によってインサイツでほとんど目に見えない皮膜を形成する。この皮膜は、性質上、剥がすことができるかつ/または剥がすことができない。好ましくは、皮膜は、マイクロ多孔質、ナノ多孔性、またはその両方である。この皮膜は、好ましくは通気性であり、これは、発汗、呼吸および皮膚の他の代謝活動を妨害しないことを意味する。皮膜は、好ましくは非油脂状で非粘着性である。それはまた、好ましくは移動不可能であり、好ましくは生体接着性である。
【0038】
本発明は、ある実施形態では、活性薬剤(例えば、ブピバカインまたはその薬学的に許容され得る塩など)を含有する皮膜を形成する局所スプレー組成物に向けられている。特定の実施形態における組成物は、活性薬剤、皮膜を形成するポリマー、揮発性溶媒、および透過増強剤(例えば、プロピレングリコール、オレイルアルコール、オレイルアルコールのポリエチレングリコールエーテル(例えば、オレス-2)、それらの組合せなど)を含む。ある実施形態では、組成物は、計量用量装置を介して投薬される。
【0039】
好ましい実施形態では、本発明のポリマー皮膜を形成するスプレー用製剤は、使用環境(例えば、ヒトの皮膚)上に適用またはスプレーされたときに、活性薬剤の改変された放出を与える。好ましい実施形態では、本発明による局所適用後の薬物の透過または放出は、二相性の放出プロファイルによって特徴付けられ、第一相は、小さな(例えば、約50ミクロン)スプレー液滴サイズによって促進される薬物溶媒マイクロ液滴からの薬物の即時放出を含み、それに続く第二の制御放出相は、溶媒系の蒸発時に形成された生体接着性皮膜からの薬物の放出を含む。
【0040】
好ましい実施形態では、ポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、一旦溶媒が蒸発し、皮膜が、例えば、ヒトの皮膚上で固化すると、活性薬剤の改変された拍動性放出を与える。そのような実施形態では、二峰性または多峰性の様式で活性成分を放出する能力がある改変放出組成物であって、ここで、活性成分の第一の部分が、即時にまたは短時間の遅れ(好ましくは1.5時間未満)後に放出されて、薬物放出のパルスを与え、活性成分の1つ以上の追加の部分が、それぞれの遅延時間の後にそれぞれ放出されて、薬物放出の少なくとも1つの追加のパルスを与える。
【0041】
本発明のポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、親水性ポリマーの選択および量ならびに水アルコール溶媒の使用によって、かつそれらに依存して、一旦局所スプレーが表面(例えば、ヒトの皮膚)に適用されると(例えば、スプレーされると)、薬物の初期放出を与え、その後、一定期間にわたってより少ない薬物が放出される遅延が続くことが見出された。遅延時間の持続時間は、ポリマー組成および/またはポリマーの量および/または透過増強剤の選択および活性薬剤の形態(例えば、塩基または塩の形態、および塩の選択)を変えることによって変動され得る。
【0042】
ある好ましい実施形態では、ポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、活性薬剤の二相性の放出を与え、ここで、活性薬剤の第一の部分が、即時に、または短時間の遅れの後に放出されて、皮膚への局所スプレーの適用後約0.05時間~約5時間で生じる部位(局所薬物に関して)または血漿(全身的処置/薬物に関して)における第一のピーク最大濃度を与え、活性薬剤の第二の部分が、遅延時間後に放出されて、皮膚への局所スプレーの適用後約3時間~約24時間、または約3時間~約15時間で第二のピーク最大濃度を与える。ある実施形態では、(局所薬物に関する)部位または(全身的な処置/薬物に関する)血漿における第一のピーク最大濃度は、皮膚上への局所スプレーの適用後、約0.05または約0.25時間~約1.5時間で生じ、活性薬剤の第二部分が遅延時間後に放出されて、皮膚上への局所スプレーの適用後、約4時間~約12または約15時間で第二のピーク最大濃度を与える。
【0043】
本発明の好ましい実施形態では、局所スプレー用製剤は、単位用量(例えば、約1から約20回のスプレーを含む)を与え、ここで、
単位用量中のスプレー液滴の10%が約26μm±20μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約50%が約55μm±20μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約90%が約116μm±40μmの平均径を有する。最も小さいスプレー液滴は、初期の迅速な(第一の)ピーク濃度を与え、薬物は、皮膜の固化前でさえも適用の部位で吸収/放出され得ると考えられている。その後、皮膜が固化し、第二のピーク濃度が生じるまで遅延がある。
【0044】
ある好ましい実施形態では、薬物は、製剤中で過飽和している。製剤中の薬物が過飽和に近いほど、薬物が、例えば、ヒト皮膚上にスプレーすることによって投与されたときにより多くの透過が得られると考えられている。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、活性成分は、塩基または塩形態の局所麻酔薬、例えば、ブピバカイン塩酸塩であり、作用中の組成物は、活性成分を二峰性またはパルス様式で送達する。
【0046】
本発明の別の好ましい実施形態では、活性成分は、メチルフェニデートであり、作用中の組成物は、活性成分を二峰性またはパルス様式で送達する。そのような作用中の組成物は、例えば、典型的なメチルフェニデート処置レジメンにおけるように、2回のIR投与の連続投与によって得られるものを実質的に模倣する血漿プロフィールを作製する。
【0047】
本発明では、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョンおよび/または固体脂質ナノ粒子は、薬学的活性成分の経皮スプレー送達のためのポリマー皮膜を形成する溶液中に懸濁かつ/または分散させることができる。マイクロエマルジョンは、その長期安定性および調製の容易さのために周知の系である。それらは、通常は短鎖アルコールなどのコサーファクタントと組み合わせられた界面活性剤の界面膜によって、安定化される。マイクロエマルジョンは、高い可溶化能力、増加した熱力学的活性、および角質層の拡散障壁の減少を通して、薬物の局所送達および効率を改善するためのいくつかの利点を与える。本発明では、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョン系は、メカニカルポンプによるスプレー投与後に、皮膚を通した薬物(例えば、ブピバカイン塩および塩基)の透過性を高めるために使用される。
【0048】
活性薬剤を含有するポリマー溶液は、哺乳動物(例えば、ヒト対象またはヒト患者)の皮膚上にマイクロ液滴およびナノ液滴として好ましくはスプレーされる(例えばメカニカルスプレー器を介して)。ある好ましい実施形態では、活性薬剤の単位用量は、1回のスプレーあたり約40μl~約350μlの容量を送達する計量ポンプを用いてスプレーされる。一旦溶媒が蒸発すると、皮膜は、非連続的な、高度にナノまたはマイクロ多孔質の皮膜として固化する。各マイクロおよびナノ液滴は、別個の薬物送達系として作用すると考えられ得る。
【0049】
ポリマー皮膜を形成するスプレー製剤は、効果的な局所薬物送達のためのポリマーおよび他の賦形剤との混合時に安定である、塩または塩基形態の任意の医薬活性成分と共に、または2つ以上の活性成分の組合せで使用することができる。
【0050】
本発明は、局所スプレー用製剤の複数用量および/または単位用量であり、この製剤は、活性薬剤および薬学的に許容され得る溶媒担体の液体の液滴を含む。液滴は、直径が約1ミクロン~約1000ミクロン、ある好ましい実施形態では、約5ミクロン~約500ミクロンのサイズ分布を好ましくは有する。ある好ましい実施形態では、皮膜は、適用された表面(例えば、ヒトの皮膚)上で連続シートとして固化(乾燥)せず、代わりに通気性のマイクロ多孔質(およびナノ多孔性)皮膜として固化する。薬物は、薬物が皮膜から皮膚中に浸出するにつれて、適用部位でゆっくりと吸収される。局所スプレーの各マイクロ液滴/ナノ液滴は、皮膚上の別個の薬物送達系として作用すると仮定される。
【0051】
ある実施形態では、本発明は、薬学的に許容され得る水アルコール溶媒に分散された、
親水性ポリマー、
薬物結晶沈殿阻害剤、
活性薬剤、および
薬学的に許容され得る透過増強剤
ポリマー溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含む局所スプレー医薬製剤の単位用量に向けられており、
単位用量は、複数のスプレー液滴を含み、ここで、単位用量中のスプレー液滴の10%が約26μm±20μmの平均径を有し、
単位用量中のスプレー液滴の約50%が、約55μm±20μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約90%が、約116μm±40μmの平均径を有し、
単位用量局所スプレーは、スプレー1回あたり約1cm2~約40cm2の皮膜表面積を与え、水アルコール溶媒が蒸発したときに、マイクロ多孔質、通気性かつ生体接着性の皮膜として固化し、活性薬剤の二相性の放出を与える。ある好ましい実施形態では、単位用量中のスプレー液滴の10%は、約26μm±1.82μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約50%は、約55μm±2.39μmの平均径を有し、単位用量中のスプレー液滴の約90%は、約116μm±4.9μmの平均径を有する。ある実施形態では、第一のピーク濃度が、単位用量がヒト対象にスプレーされた後、約0.17~約0.67時間で生じ、第二のピーク濃度が、単位用量がヒト対象にスプレーされた後、約4~約24時間で生じる。好ましくは、第二のピーク濃度は、単位用量がヒト対象にスプレーされた後、約9~約24時間で生じる。薬物がブピバカイン塩酸塩であるある好ましい実施形態では、第一のピーク濃度は、単位用量がヒト対象にスプレーされた後、約0.17~約0.67時間で生じ、第二のピーク濃度は、単位用量がヒト対象にスプレーされた後、約4~約24時間で生じる。好ましくは、第二のピーク濃度は、単位用量がヒト対象にスプレーされた後、約9~約24時間で生じる。ある好ましい実施形態では、ブピバカイン塩酸塩は、約0.5~約40mg、より好ましくは約0.5~約20mgの量において単位用量により存在する。最も好ましくは、ブピバカイン塩酸塩は、製剤中の過飽和溶液中に存在する。これは、例えば、単位用量中のブピバカインの量が1回のスプレーあたり少なくとも約12mgである場合に生じることが見出されている。
【0052】
ある好ましい実施形態では、単位用量は、約29pg/ml~約380pg/mlブピバカインの第一のピーク濃度および約864pg/ml~約3463pg/mlブピバカインの第二のピーク血漿濃度を与える。
【0053】
ある好ましい実施形態では、本発明の皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、水アルコール溶媒中に、約1%~約50%の親水性皮膜を形成するポリマー、約0.05%~約35%の活性薬剤、約0.05%~約50%の透過増強剤、および約0.01%~約30%の任意選択の追加の薬学的に許容され得る賦形剤(本明細書に記載されたような)を含む。
ある好ましい実施形態では、皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、約2重量%~約10重量%の親水性皮膜を形成するポリマーを含む。ある最も好ましい実施形態では、皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、約2.5重量%~約7.5重量%の親水性皮膜を形成するポリマーを含む。ある好ましい実施形態では、皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、約1重量%~約15重量%の透過増強剤を含む。ある好ましい実施形態では、皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、約2重量%~約12重量%の透過増強剤を含み、ある実施形態では、最も好ましくは、約2.5%~約10%の透過増強剤を含む。
【0054】
ある実施形態では、皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、約1%~約35%の疎水性ポリマーをさらに含む。
【0055】
ある好ましい実施形態では、本発明の皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、薬学的に許容され得る溶媒中の約2.5%~約20%の親水性皮膜を形成するポリマー、約0.75%~約20%の活性薬剤、約2.5%~約20%の透過増強剤、および約0.05%~約20%の任意選択の追加の薬学的に許容され得る賦形剤(本明細書に記載されたような)からなる。
【0056】
好ましい実施形態では、溶媒濃度は、約20~約99重量%である。ある好ましい実施形態では、溶媒は、本明細書に記載の水アルコール溶媒である。
【0057】
皮膜を形成する局所スプレー用製剤によって覆われるべき表面積は、処置される領域および活性薬剤、および意図された効果(例えば、局所的対全身的)に依存して変動することになる。一般に、皮膜表面積は、好ましくは、1回のスプレーあたり約1cm~約50cmであり、ある実施形態では、より好ましくは、1回のスプレーあたり約1cm~約20cmである。一般に、適用1回あたりのスプレーの回数は、1~約7回または1~約20回のスプレーの間で変動し得る。局所スプレー用製剤の各スプレーにおける液滴サイズ分布(例えば、ポンプスプレーを介した)は、(好ましくは)水アルコール溶媒中に活性薬剤、親水性ポリマー、および透過増強剤を含むマイクロおよびナノ液滴を与えることになる。製剤は、溶液、懸濁液、ゲルまたはエマルジョンの形態とすることができる。
【0058】
ある好ましい実施形態では、皮膜は、透明である。しかしながら、他の実施形態では、局所スプレー溶液は、その成分自体のために、または皮膚に適用され得るかつ/または全身に吸収され得る薬学的に許容され得る着色剤の添加を介して着色される。
【0059】
ある実施形態では、製剤は、当業者に知られている任意の薬学的に許容され得る様式で滅菌され得る。
【0060】
皮膜を形成するポリマー
好ましい皮膜を形成するポリマーは、有効量の親水性ポリマーを含み、本明細書に記載の活性薬剤の所望の放出を与える。親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP、ポビドンまたはコポビドンとしても知られている)またはその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、水溶性ゴム、水溶性セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、デキストラン、ヒアルロン酸、シクロデキストリン、多糖ポリマー、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび前述のもののいずれかの組合せを含み得る。ある実施形態では、皮膜を形成するポリマーは、親水性ポリマーのみからなる。
【0061】
好ましい実施形態では、皮膜を形成するポリマーは、約1%~約50%の局所スプレー用製剤、より好ましくは約2.5%~約20%の局所スプレー用製剤を含む。
【0062】
ある好ましい実施形態では、皮膜を形成するポリマーは、ポビドンである。
【0063】
ある実施形態では、親水性皮膜を形成するポリマーの一部または全部は、合成ゴムまたは植物浸出液などの天然ゴム(アラビアゴム、ガッチ、カラヤ、およびトラガント)、植物種子ゴム(グアー、イナゴマメおよびアカシア)、海藻抽出物(寒天、アルギン、アルギン酸塩およびカラギーナン)、穀物ゴム(デンプンおよび改変デンプン)、発酵または微生物ゴム(デキストランおよびキサンタンゴム)、生合成ゴム、ゼラチン、ペクチン、カゼイン、ウェランゴム、ジェラン、ラムサンゴム、合成ゴム(ポリビニルピロリドン、低メトキシルペクチン、アルギン酸プロピレングリコール、カルボキシメチルローカストビーンゴムおよびカルボキシメチルグアーゴム)、プルラン、当業者に知られている他の水膨潤性または水和可能なヒドロコロイドゴムなどに限定されないヒドロコロイドを含むまたはそれらからなる。ヒドロコロイドゴムという用語は、水和の状態にかかわらず使用される。ヒドロコロイドゴムは、本明細書に記載された本発明の様々な実施形態と関連して利用され得る流動性のある製剤を与えるのに適した粘度を与えることができる。本発明の製剤において利用されるヒドロコロイドゴムは、ゴムの組合せも含み得る。
【0064】
ある好ましい実施形態では、製剤は、製剤中に含まれる薬物が沈殿するのを妨げるかまたは実質的に妨げる約1%~約50%の薬物結晶沈殿阻害剤をさらに含む。ある好ましい実施形態では、製剤は、約2%~約20%の薬物結晶沈殿阻害剤、ある実施形態では、より好ましくは、約2.5~約10%の薬物結晶沈殿阻害剤を含む。薬物結晶沈殿阻害剤の量は、溶媒の蒸発後の薬物結晶の存在に関する皮膜の目視検査および皮膜均一性に基づき得る。ある実施形態では、ある薬物に関して、薬物沈殿にもかかわらず、治療有効用量の透過を可能にする皮膜に組み込まれた十分な薬物がある最小閾値(例えば、2.5%)があるように思われる。製剤中に組み込まれる薬物の選択は、好ましくは製剤中に含まれる薬物結晶沈殿阻害剤の最小閾値に影響を及ぼし得る。ある好ましい実施形態では、薬物結晶沈殿阻害剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシネート(HPMCAS)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)などのセルロース誘導体、およびポリビニルピロリドン(PVP、ポビドンまたはコポビドンとしても知られている)またはその誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリビニルピロリドンビニルアセタート(PVPVA)などのビニルポリマー、または前述のもののいずれかの混合物から選択される。ある好ましい実施形態では、親水性ポリマーおよび薬物結晶沈殿阻害剤は、同じ薬剤、例えばPVPからなる。
【0065】
ある実施形態では、皮膜を形成するポリマーの最大約35%が疎水性ポリマーからなり得る。適切な疎水性ポリマーには、アクリレートコポリマー、メタクリルポリマーおよびコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、メタクリルポリマー、ポリウレタン-14およびAMP-アクリレートコポリマー、ポリ(ブチルメタクリレート、(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)1:2:1、ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)2:1、ポリ(エチルアクリレート、(2-トリメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)1:0.2:2クロライド、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、ポリイソブチレン、シリコンゴム、二酸化ケイ素、微結晶セルロース、カルボン酸ナトリウムセルロースなどが含まれる。
【0066】
ある好ましい実施形態では、疎水性ポリマーは、アクリルポリマーまたはコポリマー、メタクリルポリマーおよびコポリマーを含み、これらには、エトキシエチルメタクリレート、シナオエチル(cynaoethyl)メタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびグリシジルメタクリレートコポリマーが含まれる。ある実施形態では、アクリルポリマーは、1つ以上のアンモニアメタクリレートコポリマーからなる。アンモニアメタクリレートコポリマーは、当該技術分野において周知であり、低含量の第四級アンモニウム基を有するアクリル酸およびメタクリル酸エステルの完全に重合したコポリマーとしてNF XVIIに記載されている。好ましい皮膜形成剤には、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートの非イオン性コポリマー(Plastoid B(登録商標))、ジメチルアミンエチルメタクリレートと中性メタクリル酸エステルのコポリマー(Eudragit E100(登録商標))、アンモニオメタクリレートコポリマータイプB(Eudragit RS(登録商標))、アンモニオメタクリレートコポリマータイプA(Eudragit RL(登録商標))、メタクリル酸コポリマータイプA(Eudragit L100(登録商標))、メタクリル酸コポリマータイプB(Eudragit S100(登録商標))などが含まれる。
【0067】
疎水性または疎水性ポリマーは、セルロースおよびセルロース誘導体(前述のセルロースエーテルおよびエステルなど)、デンプンまたは改変デンプン、ならびに当業者に知られている他の薬学的に許容され得る疎水性材料から選択され得る。好ましい疎水性セルロース材料の例は、エチルセルロースである。他の有用なセルロース誘導体(ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むが、これらに限定されない)、カルボキシビニルポリマー、ポリ-1,4-グルカン、例えば、デンプングリコーゲン、アミロース、アミロペクチン、カルボキシビニルポリマー、それらの組合せまたは混合物など。ポリ-1,4-グルカンの有用な水溶性誘導体には、加水分解アミロペクチン、およびヒドロキシエチルデンプン(HES)、ヒドロキシエチルアミロース、ジアルデヒドデンプンなどの加水分解アミロペクチンのヒドロキシアルキル誘導体が含まれる。適切な親水性ポリマーには、ポリ(アクリル酸)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、およびポリエチレンオキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
ある実施形態では、皮膜を形成するポリマーは、使用時にチキソトロピー挙動を与え得る。例えば、皮膜を形成するポリマーは、カルボキシメチルセルロース系チキソトロープゲルのアミド誘導体とすることができ、均質な三次元足場を形成し、これは、(直鎖状)多糖類のチキソトロピー特性を維持する。エステル官能基を介した多糖主鎖への長鎖アルキル鎖の化学共有結合によって調製されたアルギン酸ナトリウムの両親媒性誘導体は、水溶液中で剪断減粘性およびチキソトロープ挙動を有する強力なヒドロゲルを形成する。このようなヒドロゲルは、医薬活性成分の担体またはカプセル化のために使用された。そのような実施形態では、チキソトロープゲルスプレーは、皮膜を形成するポリマーおよびチキソトロピー剤を溶媒に加え、溶液を撹拌して、ポリマーの完全な水和および/または溶解を確実にすることによって調製された。使用した溶媒は、調製のための水、水アルコールおよびエタノール(95%)であった。懸濁された水和ポリマーゲル薬物を得た後、揮発性溶媒、透過増強剤および他の任意の賦形剤が添加された。全ての賦形剤の添加後、溶液を撹拌して、使用前に薬物および賦形剤の完全な溶解を確実にした。製剤を、キャップまたはスプレーポンプでしっかりと密封されたガラスバイアル中で保存した。
【0069】
本発明の皮膜を形成する局所スプレー用製剤の初期透過速度は、ポリマー濃度が減少するにつれて増加する。しかしながら、より良好な皮膜特性を得るためには、特定の実施形態では、約5%以上のポリマー濃度が好ましい。
【0070】
溶媒
ポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤に好ましい溶媒には、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、n-ブタノール、塩化メチレン、メチレンジメチルエーテル、水、水アルコール系単独、または2つ以上の溶媒の組合せが含まれる。局所スプレー用製剤中の溶媒濃度は、製剤の約20%~約99%の間で変動し得る。好ましくは、溶媒は、水アルコール溶媒である。
【0071】
透過増強剤
ある好ましい実施形態では、ポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、薬物の十分な量の用量が皮膚を通って透過することを可能にする有効量1つ以上の透過増強剤をさらに含む。好ましい透過増強剤には、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ラウリン酸、薬学的に許容され得るグリコール誘導体(例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、メチレンオレアート、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン、アプロチニン、アゾン、シクロデキストリン、硫酸デキストラン、メントール、ポリソルベート80、スルホキシドおよび種々のアルキルグリコシド、尿素、エタノール、カプリルアルコール、オレイルアルコール、n-メチル-2-ピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、イソステアリン酸、オレス-2、ポリエチレングリコール、ポリオキシセトステアリルエーテル、ポリオキシルオレイルエーテル、ポリオキシルラウリルエーテル、ポリオキシステアリルエーテル、ベンジルアルコール、前述のもののいずれかの混合物などが含まれる。ある好ましい実施形態では、透過増強剤は、ミリスチン酸イソプロピル、オレス-2、オレイン酸、2-ピロリドン、イソステアリン酸、オレインアルコール、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール600、および前述のもののいずれかの混合物から選択される。
【0072】
透過増強剤がポリエチレングリコールである実施形態では、全てのグレードのポリエチレングリコールが、局所麻酔薬ストックの調製における使用に関して企図される。ポリエチレングリコールは、様々な分子量を有する多くの異なるグレードで利用可能である。例えば、ポリエチレングリコールは、PEG200、PEG300、PEG400、PEG540(ブレンド)、PEG600、PEG900、PEG1000、PEG1450、PEG1540、PEG2000、PEG3000、PEG3350、PEG4000、PEG4600およびPEG8000として入手可能である。ある実施形態では、ポリエチレングリコールは、好ましくは、PEG300である。
【0073】
ある実施形態では、ベースは、ポリソルベートとすることができる。ポリソルベートは、ソルビタンエステルの非イオン性界面活性剤である。本発明において有用なポリソルベートには、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80(Tween80)およびそれらの任意の組合せまたは混合物が含まれるが、これらに限定されない。ある好ましい実施形態では、ポリソルベート80は、薬学的に許容され得る透過増強剤として利用され得る。
【0074】
透過増強剤は、可塑剤としても作用し得ることが認識されている。これに関して、ポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、1つ以上の可塑剤をさらに含み得る。適切な可塑剤には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸エステル、ジメチルイソソルビド、ヒマシ油、および上述のもののいずれかの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
より薄い皮膜厚さの場合には、透過増強剤濃度は、活性の膜または皮膚を通る初期透過速度に関してより重大になる。代替的に、より薄い皮膜厚さは、スプレー投与後のヒト皮膚上のより広い表面積にわたって広げられた皮膜を表す。
【0075】
任意選択の賦形剤
活性薬剤(例えば、局所麻酔薬)に加えて、ポリマー皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、塩化ナトリウムなどおよび典型的な体液との等張性を達成するために従来使用されている材料のような生理学的に許容され得る構成成分、生理学的に適合するpH範囲を確立し、存在する麻酔薬、エピネフリンなどの血管収縮剤、防腐剤、安定剤および酸化防止剤などの溶解性を増強するためのpH緩衝剤をさらに含み得る。
【0076】
ある他の実施形態では、追加の界面活性剤(コサーファクタント)および/または緩衝剤が、界面活性剤および/または緩衝剤が安定性に関する最適pHで生成物を維持するように、本明細書で前に記載された1つ以上の薬学的に許容され得るビヒクルと好ましくは組み合わされ得る。界面活性剤および/または緩衝剤は、皮膚への活性薬剤(例えば、局所麻酔薬)の投与に関連する初期の刺すようなまたは灼けつく不快感も妨げ得る。
【0077】
ある他の実施形態では、追加の抗酸化剤および/または安定化剤が、抗酸化剤および/または安定化剤が安定性に関する最適不純物レベルで薬物生成物を維持するように、本明細書で前に記載された1つ以上の薬学的に許容され得るビヒクルと好ましくは組み合わされ得る。抗酸化剤および/または安定化剤は、製造プロセス中の活性薬剤の初期分解も妨げる。抗酸化剤は、例えば、アスコルビン酸、EDTA、トロラミン、トコフェロール、プロピルガレート、亜硫酸ナトリウム、および前述のもののいずれかの混合物から選択され得る。
【0078】
本発明の製剤は、微生物増殖を妨げるために防腐剤を含有し得る。本発明での使用に適した防腐剤には、安息香酸、ホウ酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェノール、塩素化フェノール化合物、アルコール、四級化合物、水銀、前述のものの混合物などが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
組成物は、可溶化剤、可塑剤、および水溶性添加剤からなる群から選択される1つ以上の追加の構成成分をさらに含み得る。
好ましい可塑剤には、クエン酸トリエチル、ジメチルイソソルビド、クエン酸アセチルトリブチル、ヒマシ油、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、または前述のものの任意の2つ以上の組合せが含まれる。
【0080】
製剤の粘度
ほとんどの適用において、本発明の系の最適粘度は、37℃で約10~約2,000,000センチポイズ、好ましくは約0.3~1000センチポイズ、より好ましくは約0.5~約100センチポイズにわたることになる。本発明の利点は、広い範囲の高い粘度にわたって実現されるが、最適粘度は、異なる適用に応じて異なることになる。任意の所与の製剤または使用に関する所望の粘度は、例えば、医師の好み、適用の様式および使用される適用の型、必要とされる製剤の量、処方物が適用される領域、および同様の考慮事項に応じて変動し得る。
【0081】
活性薬剤
膜を透過する薬物の量は、製剤中の活性(薬物)の濃度に正比例し、製剤中の薬物濃度がより高いと、より大きい累積薬物透過がもたらされる。
【0082】
本発明のある好ましい実施形態では、活性薬剤は、局所麻酔薬を含む。本発明のゲル製剤に有用な局所麻酔薬の例には、メピバカイン、リドカイン、メピバカイン、エチドカインおよびプリロカインのなどのアミド型局所麻酔薬、プロカイン、クロロプロカイン、およびテトラカインなどのエステル型局所麻酔薬、およびベナドリルのような抗ヒスタミン剤様麻酔薬が含まれる。これらの麻酔剤は、麻酔薬組合せで、単独で、またはそれらの2つ以上の混合物として存在し得る。したがって、有用な局所麻酔薬の例は、リドカイン、ブピバカイン、ジブカイン、テトラカイン、エチドカイン、メピバカイン、ロピバカイン、ベンゾカイン、アンブカイン、アミロカイン、ブタンベン、2-クロロプロカイン、シクロメチカイン、アミノ安息香酸エチル、ユープロシン、レボキサドロール、オルトカイン、ピペロカインおよびパレトキシカインである。ある好ましい実施形態では、局所麻酔薬は、ブピバカイン、ロピバカイン、ジブカイン、プロカイン、クロロプロカイン、プリロカイン、メピバカイン、エチドカイン、テトラカイン、リドカイン、およびキシロカイン、またはそれらの混合物である。
【0083】
ある好ましい実施形態では、局所麻酔薬は、リドカイン、ブピバカイン、レボ-ブピバカイン、ロピバカイン、テトラカイン、メピバカイン、プリロカイン、ベンゾカイン、エディトカイン、または前述のもののいずれかの組合せである。「局所麻酔薬」というフレーズは、モルヒネ、フェンタニル、および例えば、侵害受容経路(求心性および/または遠心性)の局所遮断を与えることができる薬剤などの伝統的に局所麻酔特性に関連するものとは異なるクラスの薬物も含み得る。本発明のゲル製剤において局所麻酔薬として使用され得る他の化合物には、ベナドリルなどの抗ヒスタミン様麻酔薬が含まれる。フェノールも局所麻酔薬として使用され得る。当業者は、米国特許第4,302,465号(Abergら)に記載されている置換ピペリジンおよびピロリジン、および米国特許第6,413,987号(Abergら)に記載されているアミノインダンピペリジン化合物などの局所麻酔特性を有すると認識されている他の薬剤を認識することになり、両特許は、参照により本明細書に組み込まれている。局所麻酔薬という用語は、本発明の目的のために、局所麻酔塩基またはその薬学的に許容され得る塩、多形体、複合体またはプロドラッグを包含するともみなされる。薬物および局所麻酔薬の両方の他の多くの例は、当業者には容易に明らかとなり、本開示および添付の特許請求の範囲によって包含されると考えられる。
【0084】
局所麻酔薬は、塩の形態、例えば、塩酸塩、臭化物、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、硫酸塩またはリン酸塩とすることができる。ある実施形態では、局所麻酔薬は、遊離塩基の形態である。局所麻酔薬は、塩、例えば、塩酸塩、臭化物、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸塩または硫酸塩の形態、または遊離塩基の形態とすることができる。局所麻酔薬の多くは、それらの酸付加塩の形態で従来法で使用されているが、これは、酸付加塩が水性注射媒体における溶解性を与えるからである。本発明のある実施形態では、遊離塩基形態であるか、または存在する局所麻酔薬の酸付加塩のごく一部のみを有する局所麻酔薬を使用することが望ましい(所望の場合、酸付加塩の少量の添加は、増強された放出を与え得る)。遊離塩基は、一般に、より遅い初期放出を与え、注入部位における局所麻酔薬の早期の「ダンピング」を回避する。好ましい局所麻酔薬には、例えば、ブピバカイン、ロピバカインまたはリドカインが含まれる。ブピバカインに関して、遊離塩基は、より遅い初期放出を与え、投与の部位における局所麻酔薬の早期の「ダンピング」を回避する。また、製剤は、ブピバカイン塩(すなわち、ブピバカイン塩酸塩)との用量比例性を与えるが、塩基形態との用量比例性は与えないことが見出された。他の局所麻酔薬は、異なって作用し得る。
【0085】
ある好ましい実施形態では、単位用量に含有される局所麻酔薬の用量は、約0.01mg~約50mgのブピバカインである。他の好ましい実施形態では、用量は、約0.1mg~約20mgのブピバカイン、好ましくは約1mg~約10mgまたは約20mgのブピバカインである。
【0086】
他の実施形態では、活性薬剤は、バルビツール酸塩(例えば、アモビリタール、メトヘキシタール、チアミラール、チオペンタール)、ベンゾジアゼピン(例えば、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム)、またはエトミデート、ケタミン、またはプロポフォールなどの麻酔薬である。
【0087】
本発明のある実施形態では、皮膜を形成する局所スプレー用製剤は、使用環境(例えば、ヒトの皮膚)に適用またはスプレーされたときに、全身的効果を与える。拍動性血漿プロファイルの利点を組み合わせるのに有用な任意の活性成分(薬物)が、本発明の実施において使用され得、これは、患者の耐容性の発達に感受性の活性成分などの、薬理学的および/または治療的効果が血漿濃度ピーク間の休薬期間を有することにより利益を受ける活性薬剤を含むが、これらに限定されない。例示的な活性成分(薬物)には、ペプチドまたはタンパク質、ホルモン、鎮痛薬、抗片頭痛薬、抗凝固剤、麻薬拮抗剤、キレート剤、抗狭心症剤、化学療法剤、鎮静剤、抗新生物剤、プロスタグランジンおよび抗利尿剤、脳(中枢神経系)刺激剤、例えば、メチルフェニデートなどの中枢神経系に作用する薬物化合物、疼痛管理活性成分、アヘン剤、例えば、モルヒネなどのアルカロイド、硝酸塩などの心血管治療薬、およびリウマチ性疾患を処置するための薬剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
本発明は、以下を含むが、これらに限定されるものではない多くの薬物を送達するために使用され得ることがさらに理解されよう:インスリン、カルシトニン、カルシトニン遺伝子調節タンパク質、成長因子(ソマトメジン)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、オキシトシン、エストラジオール、成長ホルモン、酢酸ロイプロリド、第VIII因子、インターロイキン-2などのインターロイキン、およびその類似体などのペプチド、タンパク質またはホルモン;フェンタニル、スフェンタニル、ブトルファノール、ブプレノルフィン、レボルファノール、モルヒネ、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシモルフォン、メタドン、リドカイン、ブピバカイン、ジクロフェナク、ナプロキセン、パベリン、およびそれらの類似体などの鎮痛剤;スマトリプタン、麦角アルカロイド、およびそれらの類似体などの抗片頭痛薬;ヘパリン、ヒルジン、およびそれらの類似体などの抗凝固剤;スコポラミン、オンダンセトロン、ドンペリドン、メトクロプラミド、およびそれらの類似体などの制吐剤;ジルチアゼム、クロニジン、ニフェジピン、ベラパミル、イソソルビド-5-モノニトレート、有機硝酸塩、心臓疾患の処置に使用される薬剤、およびその類似体などの心血管剤、抗高血圧剤、および血管拡張剤;ベンゾジアゼピン、フェノチアジン、およびそれらの類似体などの鎮静薬;デフェロキサミンおよびその類似体などのキレート剤;デスモプレシン、バソプレシン、およびその類似体などの抗利尿剤;ニトログリセリン、およびその類似体などの抗狭心症薬;フルオロウラシル、ブレオマイシンおよびその類似体などの抗新生物薬;プロスタグランジンおよびその類似体;ビンクリスチンおよびその類似体などの化学療法剤。
【0089】
ある好ましい実施形態では、活性薬剤は、ブプレノルフィン、モルヒネ、オキシコドン、ヒドロモルホン、コデイン、オキシモルフォン、フェンタニル、スフェンタニル、トラマドール、およびヒドロコドンを含むが、これらに限定されないオピオイド鎮痛薬とすることができる。
【0090】
他の好ましい実施形態では、活性薬剤は、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ケトプロフェン、ケトロラクなどの非ステロイド系抗炎症薬を含むが、これに限定されない非オピオイド鎮痛薬とすることができる。
【0091】
活性薬剤は、ムピロシン、バシトラシン、ネオマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、バンコマイシン、バシトラシン、セファロスポリン、ポリミキシン、アミカシン、ドキシサイクリン、ナイスタチン、アンホテリシン-B、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、ミノサイクリン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、クリンダマイシン、リファンピン、ナリジクス酸、フルシトシン、グリセオフルビン、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、上述のもののいずれかの混合物などを含むが、これに限定されない抗菌剤ともすることができる。
活性薬剤は、ビダラビン、アシクロビル、リバビリン、塩酸アマンタジン、インターフェロン、ジデオキシウリジン、前述のもののいずれかの混合物などを含むが、これらに限定されない抗ウイルス剤ともすることができる。
活性薬剤は、ブトコナゾール、テトラコナゾール、ナイスタチン、ミコナゾール、トルナフテート、ウンデシリン酸およびその塩、前述のものの混合物などを含むが、これらに限定されない抗真菌剤とすることもできる。
【0092】
代替的に、活性薬剤は、キナクリン、クロロキン、キニーネ、前述のものの混合物などを含むが、これらに限定されない駆虫薬とすることができる。
活性薬剤は、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、フルドロコルチゾン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、デスオキシメタソン、フルチカゾン、前述のものの混合物などを含むが、これらに限定されないステロイド性抗炎症剤ともすることができる。
活性薬剤は、ジフェンヒドラミン、クロルフェネラミン、クロルシクリジン、プロメタジン、シメチジン、テルフェナジン、前述のものの混合物などを含むが、これらに限定されない抗ヒスタミン剤(H2アンタゴニスト)ともすることができる。
【0093】
本発明の製剤に組み込むことができる他の好ましい医薬活性薬剤(薬物)には、エピネフリン、クロニジン、メチルフェニデート、ニコチン、ニトログリセリン、オキシブチニン、ロチゴチン、セレギリン、スコポラミン、シクロピロクス、ミソプロストール、ヒスサミン、アトロピン、銀スルファジアジン、スルファニルアミド、クロトリマゾール、テルビナフィン、ケトコナゾール、アシクロビル、ミノキシジル、トレチノイン、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル、カプサイシン、クロベタゾール、デソニド、ミコナゾール、タクロリムス、サリチル酸、テルベナフィン、クロベタゾール、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、トリアムシノロン、ゾルピデム、リバスチグミン、ピロキシカム、アミトリプチレン、メロキシカム、ダルファムプリジン、スピロ-オキシインドール化合物、ガバペンチン、ケタミン、ドコサノール、ピルフェニドン、イソトレチノイン、およびパパイヤ酵素が含まれるが、これらに限定されない。活性薬剤(薬物)は、塩基形態であり得るか、または活性薬剤の薬学的に許容され得る塩、複合体もしくは誘導体であり得る。
【0094】
本発明の製剤は、2つ以上の上記の成分(薬物)またはその薬学的に許容され得る塩、複合体もしくは誘導体も含み得る。
ある好ましい実施形態では、活性薬剤(薬物)は、エストロゲン、エストラジオール、ノルエチンドロン、レボノルゲストレル、エチニルエストラジオール、ノルエルゲストロミン、テストステロン、およびその混合物などのステロイドである。
【0095】
ある好ましい実施形態では、活性薬剤(薬物)は、神経因性疼痛の処置における使用のための治療有効量の局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン)およびケタミンおよび/またはアミトリプチリンの組合せである。ある実施形態では、活性薬剤は、ブピバカイン塩酸塩と、ケタミン、アミトリプチリン、およびそれらの組合せからなる群から選択される第二の活性薬剤との組合せを含む。
【0096】
組成物は、好ましくは最大約30%の少なくとも1つの医薬(薬物)、より好ましくは最大約10%の少なくとも1つの薬物、最も好ましくは最大約5%の少なくとも1つの薬物を含有する。
組成物は、好ましくは、エアロゾルまたはポンプスプレー容器からスプレーすることによる適用に適した形態である。
【0097】
疼痛の処置
神経因性疼痛は、神経損傷に続発する持続性疼痛状態である。末梢神経因性疼痛の2つの最も一般的な型は、ヘルペス後神経痛(PHN)および疼痛性末梢性糖尿病性ニューロパチー(PDN)である。PHNは、しばしば小児期に初回感染(水痘)後に個体の後根神経節に存在する水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化に続発する一部の患者において発生する、帯状ヘルペスまたは帯状疱疹の重篤な合併症である。帯状ヘルペス感染の急性期中に経験される主な症状は、疼痛および皮膚発疹である。発疹の治癒に続いて現れ、3ヶ月を超えて持続する疼痛は、PHNとして知られている。帯状ヘルペス患者のうちPHNの発生率は、約10~34%であり、高齢患者(60歳超)の発生率がより高く、高齢患者の50%がPHNを発症する可能性がある。
【0098】
現在、「ニューロパチー性神経損傷」を逆転させる治療法はない。したがって、治療法は、厳密に対症的であり、疼痛を許容レベルまで低下させる処置目標での症候的鎮痛を与えることを目標とする。PHNの症状軽減処置のための現在利用可能な薬理学的治療には、抗うつ薬、セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、抗てんかん薬、オピオイド、N-メチルD-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストおよびリドカイン、ブピバカイン、ロピバカインのような局所麻酔薬が含まれる。リドカイン5%パッチは、PHNの症状軽減のためにFDAによって承認された局所薬剤である。主な作用機序は、Na+チャネルの傷害誘発性増加発現に関連すると考えられる病理学的自発的活動を発達させた損傷末梢神経における電位依存性Na+チャネルを阻害するリドカインによるものである。
【0099】
リドカイン(キシロカイン)は、1948年に局所麻酔薬として導入された。局所麻酔薬は、神経インパルスの発生および伝導を妨げることによって作用する。それらの主要な作用部位は、細胞膜である。局所麻酔薬は、膜の僅かな脱分極によって通常生成される、Na+に対する興奮性膜の透過性の大きな一過性の増加を減少させるまたは妨げることによって伝導を遮断する。局所麻酔薬のこの作用は、電位依存性Na+チャネルとの局所麻酔薬の直接相互作用に起因する。麻酔作用が神経中で進行性に発達するにつれて、電気興奮性の閾値が徐々に上昇し、活動電位の上昇率が低下し、インパルス伝導が遅くなり、伝導の安全率が減少する。これらの因子は、活動電位の伝播の確率を低下させ、神経伝導は、機能しなくなる。ブピバカインは、リドカインのより長く作用する変異形であり、好ましい局所鎮痛薬である。
【0100】
所与の濃度の局所麻酔薬によってもたらされる遮断の程度は、神経がどのように刺激されたか、およびその静止膜電位に依存する。したがって、静止している神経は、局所麻酔薬に対して、繰り返し刺激されている神経よりもはるかに感受性が低い。より高い頻度の刺激およびより正の膜電位は、より大きな程度の麻酔遮断を引き起こす。局所麻酔薬のこれらの周波数および電圧依存性の影響が生じるのは、荷電した形態の局所麻酔分子が、Na+チャネルが開状態にあるときのみポア内のその結合部位へのアクセスを得るからであり、かつ局所麻酔分子がNa+チャネルの不活性化状態により強く結合し、これを安定化するからである。局所麻酔薬は、それらのpKa、脂質溶解度および分子サイズに依存して、異なる程度にこれらの特性を示す。
【0101】
リドダームパッチは、使用するのが厄介である。それは、10cm×14cmパッチとして供給される。患者は、3つのパッチを最も痛い領域に最大12時間に1回、適用するよう指導される。添付文書によれば、パッチ適用部位は、紅斑、浮腫、挫傷、丘疹、小胞、変色、色素脱失、灼熱感、そう痒、およびパッチ除去の際に逆転される異常な感覚を発症し得る。このパッチは、疼痛が上半身および躯幹領域、特に顔領域の外側(筋筋膜痛)に現れた場合、より患者に優しくない。本発明は、使いやすい専売の経皮スプレー用製剤であり、PHN患者における鎮痛をなお与えながらパッチ適用の多くの不都合を克服することが予想される。局所スプレー用製剤は、適用の便利さを与えるであろう。
【0102】
したがって、ある好ましい実施形態では、本発明の局所スプレー用製剤は、全身性疼痛、神経因性疼痛神経因性疼痛(例えば、とりわけ、先端紅痛症、ヘルペス後神経痛(PHN)、線維筋痛および/または複合性局所疼痛症候群(CRPS))、術後疼痛、スポーツ痛、骨粗鬆症痛、化粧的処置から生じる疼痛、歯痛、創傷痛および熱傷痛を処置するために使用される。
【0103】
ある好ましい実施形態では、本発明の局所スプレー用製剤は、神経因性疼痛を引き起こすか、または神経因性疼痛構成成分を有する以下の疾患のいずれか1つ以上の症状の処置または回復中の疼痛を軽減するために使用される:
とりわけ、腹壁不全、腹性片頭痛、軟骨無発生症、IV型軟骨無発生症、III型軟骨無発生症、軟骨形成不全、晩発性軟骨形成不全症、軟骨形成不全性小人症、後天性免疫不全症候群(エイズ)、急性間欠性ポルフィリン症、急性ポルフィリン症、急性肩神経炎、急性毒性表皮剥離、アディポサ・ドロローサ、副腎新生物、副腎脊髄ニューロパチー、成人皮膚筋炎、筋萎縮性側索硬化症、筋萎縮性側索硬化症-ポリグルコサンボディー、AN、AN1、AN2、
【0104】
肛門直腸奇形、肛門狭窄、クモ膜炎(Arachnitis)、骨化性クモ膜炎(Arachnoiditis Ossificans)、クモ膜炎(Arachnoiditis)、動脈炎巨細胞、関節炎、ライテル症候群、上行性麻痺、星細胞腫グレードI(良性)、星状細胞腫グレードII(良性)、アテトーシス性脳性麻痺、バレット食道、バレット潰瘍、中枢神経系の良性腫瘍、骨腫瘍-類表皮嚢胞ポリープ症、上腕神経炎、上腕神経炎症候群、上腕神経叢神経炎、上腕神経叢-脊髄神経障害、腕頭虚血、脳腫瘍、脳腫瘍良性、脳腫瘍悪性、脆弱骨疾患、ブルコサ・ヘルデリタリア(Bullosa Hereditaria)、水疱性CIE、水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症、水疱性魚鱗癬、水疱性類天疱瘡、バーキットリンパ腫、バーキットリンパ腫アフリカ型、バーキットリンパ腫非アフリカ型、踵骨外反、カルカネンヴァルガス(Calcaneovalgus)、
【0105】
海綿体リンパ管腫、海綿奇形、中枢神経系線維腫症、子宮頸部脊柱管狭窄症、頚椎癒合、シャルコー病、シャルコー・マリー・トゥース、シャルコー・マリー・トゥース病、シャルコー・マリー・トゥース病変、シャルコー・マリー・トゥース-ルシー-レヴィ病、小児期皮膚筋炎、点状軟骨異形成症、先天性石灰化軟骨異栄養症、胎児性軟骨異栄養症、軟骨異栄養性ミオトニア、軟骨異栄養症、内反足を有する軟骨異栄養症、軟骨異栄養症骨端部、軟骨異栄養症過形成、軟骨外胚葉異形成、軟骨形成不全症、軟骨性異栄養症(Chondrohystrophia)、骨軟骨性異栄養症、慢性接着性クモ膜炎、慢性特発性多発性神経炎(CIP)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、慢性炎症性脱髄性多発神経根障害、瘢痕性食細胞性類天疱瘡、複合性局所疼痛症候群、先天性頸椎癒合症、先天性髄鞘形成不全ニューロパチー、先天性低髄鞘形成多発ニューロパチー、先天性低髄鞘形成ニューロパチー、先天性低髄鞘形成症、先天性低髄鞘形成症(オニオンバルブ)多発ニューロパチー、
【0106】
先天性魚鱗癬様紅皮症、先天性係留頚髄症、頭蓋動脈炎、クローン病、皮膚ポルフィリア症、退行性腰部脊椎管狭窄症、脱髄疾患、真性糖尿病インスリン依存性、真性糖尿病、真性糖尿病アジソン病、粘液水腫、円板状ループス、円板状ループスエリテマトーデス、播種性ループスエリテマトーデス、播種性神経皮膚炎、散在性硬化症、後側湾型EDS、EDS後側弯症、温和型EDS、EDS眼球-脊柱側弯症、異栄養性弾力線維症候群、脳顔面血管腫症、脳三叉神形領域血管腫症、多発性海綿状血管腫を有する内軟骨腫症、地方病性多発神経炎、子宮内膜症、好酸球性筋膜炎、表皮水疱症、後天性表皮水疱症、遺伝性表皮水疱症、ラタリア表皮水疱症、遺伝性遅発性表皮溶解、表皮剥離性角化症、表皮剥離性角化症(水疱性CIE)、家族性腰椎狭窄、家族性早発性リンパ浮腫、線維筋痛、線維筋痛-線維筋炎、線維筋炎、結合組織炎、多関節の繊維性強直症、線維性異形成、脆弱X症候群、全身線維腫症、ギランバレー症候群、血管腫症、コンドロジストフィカ、
【0107】
遺伝性感覚および自律神経障害I型、遺伝的感覚および自律神経障害II型、遺伝性感覚および自律神経障害III型、遺伝性感覚運動ニューロパチー、遺伝性感覚ニューロパチーI型、遺伝性感覚ニューロパチーI型、遺伝性感覚ニューロパチーII型、遺伝性感覚ニューロパチーIII型、遺伝性感覚根性ニューロパチーI型、遺伝性感覚根性ニューロパチーI型、遺伝性感覚根性ニューロパチーII型、
【0108】
帯状ヘルペス、ホジキン病(Hodgkin Disease)、ホジキン病(Hodgkin’s Disease)、ホジキンリンパ腫、過形成性表皮水疱症、肥厚性間質性ニューロパチー、肥厚性間質性神経炎、肥厚性間質性ラジカルニューロパチー、レフサムの肥厚性ニューロパチー、特発性腕神経叢ニューロパチー、特発性頸部ジストニア、若年性(小児期)皮膚筋炎(JDMS)、若年性糖尿病、若年性関節リウマチ、扁平足、下腿潰瘍、腰部脊柱管狭窄、腰部脊椎管狭窄、腰仙脊椎管狭窄症、狼瘡、狼瘡、紅斑性狼蒼、リンパ管腫、多発性単神経炎、末梢単神経炎、末梢単神経障害、単発性線維性形成異常、多発性軟骨新生、多発性軟骨外骨腫症、多発性軟骨腫症、多発性骨髄腫、肩甲帯の多発神経炎、多発性骨軟骨腫症、多発性末梢神経炎、多発硬化症、筋骨格疼痛症候群、神経障害性アミロイドーシス、神経障害性脚気、腕神経叢症候群の神経障害、遺伝性感覚性ニューロパチーI型、遺伝性感覚性ニューロパチーII型、
【0109】
ニーマン・ピック病A型(急性神経障害型)、ニーマン・ピック病B型、ニーマン・ピック病C型(慢性神経障害型)、非瘢痕性表皮水疱症、アルカプトン尿性関節炎、眼性ヘルペス、タマネギ茎ニューロパチー、骨形成不全、骨形成不全、先天性骨形成不全、晩発性骨形成不全、末梢神経炎、末梢神経障害、ペルテス病、結節性多発性動脈炎、リウマチ性多筋痛、多発筋炎と皮膚筋炎、末梢多発性神経炎、末梢多発性ニューロパチー、多発性ニューロパチーと多発神経根障害、多骨性線維性骨形成異常、多骨性硬化性組織球増殖症、脊髄造影後クモ膜炎、一次性進行型多発性硬化症、乾癬、橈骨神経麻痺、感覚の根性神経障害、劣性根性神経障害感覚、反射交感神経ジストロフィ症候群、再発寛解型多発性硬化症、遺伝性感覚神経障害I型、遺伝性感覚神経障害II型、遺伝性感覚神経障害I型、感覚性根性神経障害、劣性感覚性根性神経障害、
【0110】
鎌状赤血球性貧血、鎌状赤血球症、鎌形赤血球-ヘモグロビンC症、鎌形赤血球-ヘモグロビンD症、鎌状赤血球-サラセミア病、鎌状赤血球形成傾向、脊椎披裂、開放脊椎披裂、脊髄クモ膜炎、脊髄動静脈奇形、脊髄性骨化性のクモ膜炎、脊椎管狭窄症、腰脊柱管の狭窄、スティル病、脊髄空洞症、全身性硬化症、踵足、内転尖足、尖足、内反足、外反足、直列型の脊椎管狭窄症、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、側頭動脈炎、係留脊髄症候群、繋索脊髄形成異常連鎖、係留脊髄症候群、係留頸髄症候群、視床疼痛症候群、視床知覚過敏の麻酔、三叉神経痛、異型ポルフィリン症、脊椎骨強直性骨増殖症。これらの状態は、本明細書に記載の1つ以上の局所麻酔薬で処置され得る。
【0111】
本発明の目的のために、ある実施形態では、処置の方法は、哺乳動物、好ましくはヒト患者が罹患している神経因性および/または炎症性疼痛に対する鎮痛応答を誘導する。この文脈において、患者は、「対象」、「標的」または「レシピエント」とも称される。この文脈において、「鎮痛」および「鎮痛応答」という用語は、ある実施形態において、適用部位での、他の実施形態において、全身的な疼痛に対する減少した感受性の状況を説明することが意図されている。本発明による方法によって誘発された鎮痛に関連する疼痛に対する感受性の減少のレベルを評価するために、von Frey hairsまたは同様の装置を使用して、VAS(疼痛強度に関する視覚的アナログスケール)質問表、または短い形式のMcGill疼痛質問表、および/または疼痛強度に関する口頭評価尺度、および/または接触性アロディニアの測定などの試験を行うことが可能である。これらの試験は、当該技術分野内の標準的な試験であり、当業者に周知である。
【0112】
局所麻酔薬実施形態
ある好ましい実施形態では、本発明の局所スプレー用製剤は、活性薬剤として局所麻酔薬を含む。ある実施形態では、局所麻酔薬がブピバカイン塩酸塩であることが特に好ましい。局所スプレー用製剤は、ブピバカイン塩が使用される場合にのみ用量比例的であり、本発明の局所スプレー組成物に組み込まれたブピバカイン塩基は用量比例的ではないことが予想外に見出された。
【0113】
ある好ましい実施形態では、ブピバカイン塩酸塩局所スプレー用製剤は、約0.1mg~約50mgの用量が所望の位置で患者の皮膚に適用される十分な濃度のブピバカインを含む。ある好ましい実施形態では、ブピバカインの用量は、ブピバカイン塩酸塩に基づいて約10mgである。投与計画は、例えば、5つの別個の領域において、5回のスプレー(各スプレーは10mgのブピバカイン塩酸塩を含む)とすることができる。他の好ましい実施形態では、局所スプレー用製剤の約1~約30、または約1~約10、好ましくは約3~約20回のスプレーが、約6時間毎、1日2回、1日3回、1日1回、または必要に応じて皮膚上にスプレーされ得る。
【0114】
In-line PermeGear ILC07自動拡散セルシステムを使用してStrat-M合成膜上で実施されたインビトロ透過試験によって試験した場合、2時間後に少なくとも1.0%のブピバカインのインビトロ放出を与える。
【0115】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明による以下の例は、本発明をいかなる様式でも限定すると解釈されるべきではなく、本明細書に記載された様々な製剤の単なる実例である。
【0116】
例1
例1では、表1に記載の成分を使用してブピバカインHCl局所スプレー用製剤を調製した。
【0117】
溶液を撹拌して、薬物および他の賦形剤の完全な溶解を確実にしながら、標的薬物、不揮発性溶媒および透過増強剤を溶媒に添加することによって、皮膜を形成するスプレーを調製した。使用した溶媒は、エタノール(95%)であった。清澄な溶液を得た後、ポリマーおよび他の任意選択の賦形剤を添加した。全ての賦形剤を添加した後、溶液を撹拌して、使用前にポリマーの完全な溶解および/または水和を確実にした。製剤を、キャップまたはスプレーポンプでしっかりと密封したガラスバイアル中に保存した。
【表1】
【0118】
製剤を調製するための方法は、以下の通りである:
薬物、プロピレングリコール、Transcutol(登録商標)(Gattefosseから市販されている高度に精製されたジエチレングリコールモノエチルエーテル。これは、高度に精製された薬物のための親水性溶媒である)、Tween(登録商標)80(ポリソルベート80、非イオン性界面活性剤および乳化剤。例1)、メントールを撹拌しながらエタノールに添加し、清澄な溶液が形成されるまで混合する。均一な分散が形成されるまで、イソプロピルアルコールまたは水にポリマー(Plastoid B(登録商標)およびEudragit(登録商標)EPO)を撹拌しながら添加する。Plastoid B(登録商標)は、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートの非イオン性コポリマーであり、Evonikから市販されている。Eudragit(登録商標)EPOは、Evonikから市販されている、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルに基づくカチオン性コポリマーである。薬物清澄溶液を、ポリマーが完全に溶解または水和し、溶液および/またはエマルジョンを形成するまで撹拌しながら、ポリマー分散液に添加する。ポリマー溶液を、キャップまたはメカニカルポンプを有するガラス瓶中で保存する。Eudragit EPOおよびPlastoid Bをポリマーとして含み、エタノールおよびイソプロピルアルコールを溶媒として含めた。活性物質の2mg水溶液を正の対照として使用した。皮膜を、インビトロFranz Cell Strat-M合成膜実験で試験した。結果を以下の表2に示す。
【表2】

Eudragitなどの疎水性ポリマーを使用して、約1.2%の活性が24時間にわたって合成膜を透過することが観察された。これは、水性対照から透過する活性の量よりもはるかに少ない。皮膚にスプレーした後に形成する皮膜は、性質上剥離可能であり、皮膚または適用部位に完全に接着しなかった。皮膜の特性および透過の速度に基づいて、疎水性ポリマーを以後の検討においては(単独で)使用しないことを決定した。
【0119】
例2~5
例2~5では、表3に示された成分を使用してブピバカインHCl局所スプレー用製剤を調製し、さらなる検討を、水および/またはエタノールを溶媒として用い、親水性ポリマーAvicel RC-591(ナトリウムCMCおよびMCC)およびポビドンK-30(PVP)を使用して行った。
【表3】
【0120】
製剤を調製するための方法は、以下の通りである:
Avicel(登録商標)RC591(微結晶セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムNF、Ph.{j}Eur.、FMC Biopolymerから市販されている)(例5を除く)およびポビドンK30(ポリビニルピロリドン)を撹拌しながら精製水に添加し、ポリマーが完全に水和するまで混合する。薬物、プロピレングリコール、transcutol(例4を除く)、透過増強剤およびメントールをエタノールまたは精製水に撹拌しながら添加し、清澄な溶液が形成されるまで混合する。薬物を有する清澄な溶液を、薬物溶液がチキソトロピー性ポリマーゲルと均一に分散するまで撹拌しながら、ポリマー分散液に添加する。ポリマーチキソトロープゲルを、キャップまたはメカニカルポンプを有するガラス瓶中で保存する。
【0121】
皮膜を、インビトロFranz Cell Strat-M合成膜実験で試験した。結果を以下の表4に示す。
【表4】

【0122】
得られたデータから、ポビドンが水アルコール溶媒を含有する製剤中のポリマーとして使用される場合、活性はAvicel RC591よりもはるかに速い速度および程度で透過すると結論付けられた。Avicel RC591は、ゲル様コンシステンシーを形成し、メカニカルポンプでスプレーするとより大きな液滴サイズを生成するカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる。溶媒としてエタノールを使用することにより、水よりも良好な透過特徴が与えられ、親水性ポリマーは、透過および皮膚への接着に関して疎水性ポリマーより優れていると結論付けられた。
【0123】
例6~14
例1~5に関して記載された結果に基づいて、エタノールを溶媒として使用し、種々の透過増強剤および親水性ポリマーを次の一連の検討により評価することとした。8種類の異なる型の透過増強剤(ミリスチン酸イソプロピル、オレス-2、オレイン酸、2-ピロリドン、イソステアリン酸、オレインアルコール、ポリソルベート80およびポリエチレングリコール600)を評価して、薬物透過の速度および程度を理解した。ブピバカイン局所スプレー用製剤を、表5に記載された成分を使用して調製した。
【表5】

【表6】
【0124】
製剤を調製するための方法は、以下の通りである:
薬物、プロピレングリコール、オレイルアルコールおよびメントールを、撹拌しながらエタノールに添加し、清澄な溶液が形成されるまで混合する。皮膜を形成するポリマーを、ポリマーが完全に溶解または水和するまで撹拌しながら、清澄な薬物溶液に添加する。ポリマー皮膜を形成する溶液をキャップまたはメカニカルポンプを有するガラス瓶中で保存する。例6~14のそれぞれは、製剤中に5w/w% PVPを含有する。
【0125】
皮膜を、インビトロFranz Cell Strat-M合成膜実験で試験した。結果を以下の表6に示す。
【表7】

【表8】
【0126】
得られたデータに基づいて、透過増強剤は、最初の2時間における活性の初期透過に非常に重要であると結論付けることができる。透過増強剤を含まない例6は、最初の2時間で50ug/cmの活性しか透過せず、例12は、最初の2時間で約250ug/cmの活性を透過する。また、使用される透過増強剤の型は、活性物質のより高い初期透過を達成する上で重要である。
【0127】
例15~20
例6~14に関して得られたデータに基づいて、製剤中の濃度を2.5~10w/w%の間で変動させることにより、オレイルアルコールおよびオレス-2をさらに評価した。これら2つの透過増強剤は、膜を通る活性透過の初期速度および程度に基づいて選択した。例15~20では、表7に記載の成分を使用してブピバカイン局所スプレー用製剤を調製した。エタノールおよびポビドンを、それぞれ溶媒およびポリマーとして使用した。
【表9】
【0128】
製剤を調製するための方法は、以下の通りである:
薬物、ミリスチン酸イソプロピル、ポリソルベート80および透過増強剤を撹拌しながらエタノールに加え、清澄な溶液が形成されるまで混合する。精製水を、一滴ずつ薬物:油性基剤溶液にナノエマルジョンが形成されるまで撹拌しながら添加する。皮膜を形成するポリマーを、ポリマーが完全に溶解または水和するまで撹拌しながら、ナノエマルジョンに添加する。ポリマーナノエマルジョンを、キャップまたはメカニカルポンプ有するガラス瓶中で保存する。
【0129】
皮膜を、インビトロFranz Cell Strat-M合成膜実験で試験した。結果を以下の表8に示す。
【表10】
【0130】
データから、透過増強剤濃度が透過の初期速度を有意に改善すると結論付けられた。これらの例において、透過増強剤濃度は、オレイルアルコールよりもオレス-2に影響を及ぼす。また、オレス-2については、5~10w/w濃度の間では、初期透過速度の影響はあまり有意ではないと結論付けられた。7.5w/w%濃度のオレイルアルコールが製剤の優れた透過増強剤であることが決定された。
【0131】
例21~27
例21~27では、表9および表10に記載の成分を使用してブピバカイン局所スプレー用製剤を調製した。
【表11】

【表12】
【0132】
製剤を調製するための方法は、以下の通りである:
薬物、プロピレングリコール、透過増強剤およびメントールを、撹拌しながらエタノールに添加し、清澄な溶液が形成されるまで混合する。皮膜を形成するポリマーを、ポリマーが完全に溶解または水和するまで撹拌しながら、清澄な薬物溶液に添加する。ポリマーを、キャップまたはメカニカルポンプを有するガラス瓶中で保管する。
【0133】
インビトロ透過についての検討を、In-line PermeGear ILC07自動拡散セルシステムを使用して、Mattek Epidermおよび/または死体皮膚上で例21~27の製剤について行った。ヒト死体皮膚を使用したインビトロ皮膚透過についての検討を設計する間に、標的患者集団を表すためにドナー年齢群を検討した。発達についての検討のために、50~60歳の年齢群の白人男性ドナー由来のヒト死体皮膚を選択した。ヒト死体皮膚を、凍結保存された分層皮膚同種移植片としてNew York Firefighter Skin Bankから受け取った。皮膚移植片は、インビボ拡散バリア層をシミュレートする表皮および部分真皮を含有する。ヒト死体皮膚を、-30℃の温度で受け取ったまま保存した。インビトロ皮膚透過試験を行う前に、皮膚を室温で15分間リン酸緩衝液に浸した。インビトロ皮膚透過試験を、PermeGear ILC07自動拡散セルシステムを使用して行った。経時的に合成膜を透過した累積(μg/cm)薬物を下記の表11に示す。
【表13】
【0134】
経時的にヒト死体皮膚を透過した累積(μg/cm)薬物を、例24および25に関して以下の表12に示す。3つの異なるヒト死体皮膚ドナーを使用して、皮膚の型が透過速度に及ぼす影響を理解した。7つの拡散セルを1ドナーにつき1製剤につき使用し、1つの製剤あたり平均21の透過データポイントを以下の表12に報告する。
【表14】
【0135】
上記のデータに基づいて、ブピバカイン塩酸塩(例24)は、3つの異なる皮膚ドナーにおいてブピバカイン塩基(例25)よりも優れた透過性を実証すると結論付けられた。
【0136】
例28
例28では、例24のブピバカイン計量用量経皮皮膜スプレーの粒径分布データを以下の表13に示す。
【表15】
【0137】
例29:インビボによる検討
健康なラットにおいてインビボによる検討を行って、例24に従って作製されたブピバカイン局所生体接着性皮膜を形成するスプレーからの薬物放出を評価した。計量用量メカニカルスプレーポンプを使用して、合計4回のスプレーを適用した(動物の背部に2回のスプレー、腹部に2回のスプレー)。血液試料を15、30分、1、2、4、8および24時間で採取した。全ての試料を、有効な分析LC-MS法を使用して分析した。
【0138】
本発明による局所適用後の薬物の透過または放出は、二相性の放出プロファイルによって特徴付けられ、第一の相は、小さな(約50ミクロン)スプレー液滴サイズによって促進される薬物溶媒マイクロ液滴からの薬物の即時放出を含み、それに続く第二の制御放出相は、溶媒系の蒸発時に形成された生体接着性皮膜からの薬物の放出を含む。
【0139】
得られた結果を表14および図1~4に報告する。結果から、本発明の局所/経皮薬物送達製剤は、好ましくは二相放出プロファイルを有し、薬物放出は、用量比例的であると結論付けることができる。8mgと12mgの両方の強度は、スプレー適用後約1時間で薬剤放出の第一相を示し、スプレーパターンおよび液滴サイズが即時の薬物透過および迅速な作用開始を達成する上で非常に重要であることを示している。スプレー適用後、4~8時間で観察される薬物放出の第二のより遅い相は、薬剤が制御された様式でポリマー生体接着皮膜から徐々に透過することを示している。局所/経皮経路によるこの観察されたインビボ二相性薬物放出は、本発明、つまり薬物含有ポリマー生体接着性皮膜スプレーに特有のものである。より高い薬物濃度での薬物放出の第二相の間のCmaxの遅延は、用量強度としての効果の延長が増加することを意味することもデータから明らかである。
【表16】
【0140】
図1は、本発明によるブピバカイン計量用量経皮皮膜スプレーで処置された個々のラットのインビボ薬物血漿濃度対時間プロットである。ブピバカインHCl 8mg(n=5)、ブピバカインHCl 12mg(n=3)、ブピバカイン塩基8mg(n=7)、およびブピバカイン塩基12mg(n=3)。
図2は、本発明によるブピバカイン計量用量経皮皮膜スプレーで処置された個々のラットのインビボ薬物血漿濃度対時間プロットである。
図3は、本発明によるブピバカイン計量用量経皮皮膜スプレーで処置された個々のラットの8mg、12mgおよびプラセボのインビボ平均薬物血漿濃度対時間プロットである。
図4は、本発明によるブピバカイン計量用量経皮皮膜スプレーで処置された個々のラットの8mg、12mgおよびプラセボのインビボ平均累積薬物血漿濃度対時間プロットである。
【0141】
例30~32
例30~32では、ブピバカイン塩基、ロピバカイン塩基およびリドカインHClに関して表15に記載の成分を使用して、局所麻酔局所スプレー用製剤を調製した。
【表17】
【0142】
製剤を調製するための方法は、以下の通りである:
薬物、プロピレングリコール、透過増強剤およびメントールを、撹拌しながらエタノールに添加し、清澄な溶液が形成されるまで混合する。皮膜を形成するポリマーを、ポリマーが完全に溶解または水和するまで撹拌しながら、清澄な薬物溶液に添加する。ポリマーを、キャップまたはメカニカルポンプを有するガラス瓶中で保管する。
【0143】
皮膜を、インビトロFranz Cell Strat-M合成膜実験で試験した。結果を以下の表16に示す。
【表18】
【0144】
例33
例33a~cでは、表17に記載の成分を使用してテストステロン局所スプレー用製剤を調製した。
【表19】

調製方法は、例2~5に関して上述した手順と同様である。
【0145】
例34
例34a~cでは、表18に記載の成分を使用してケタミン局所スプレー用製剤を調製した。
【表20】

調製方法は、例2~5に関して上述した手順と同様である。
例35
【0146】
例35a~bでは、表19に記載の成分を使用してエストラジオール局所スプレー用製剤を調製した。
【表21】

調製方法は、例2~5に関して上述した手順と同様である。
例36
【0147】
例36では、表20に記載の成分を使用してフェンタニル局所スプレー用製剤を調製した。
【表22】

調製方法は、例2~5に関して上述した手順と同様である。
【0148】
例37
例37a~bでは、表21に記載の成分を使用してメチルフェニデート局所スプレー用製剤を調製した。
【表23】

調製方法は、例2~5に関して上述した手順と同様である。
【0149】
例38
例38a~bでは、表22に記載の成分を使用してネオマイシン局所スプレー用製剤を調製した。
【表24】

調製方法は、例2~5に関して上述した手順と同様である。
【0150】
例39
異なる濃度のポリビニルピロリドン(PVP)(0.0%、0.5%、2.5%、5%および10%)を使用してブピバカイン局所スプレー用製剤を調製し、ガラススライド上にスプレーして、局所スプレー皮膜形成後のブピバカイン結晶沈殿の速度および程度を評価した。図5および図6は、ブピバカイン局所スプレー皮膜特徴を視覚的に例示する。より具体的には、図5は、本発明による製剤中のブピバカイン局所スプレー皮膜特徴を示す。a)PVPなし(著しいブピバカイン結晶が観察された)、b)0.5%PVPを有する製剤(著しいブピバカイン結晶が観察された)、c)2.5%PVPを有する製剤、d)5%PVPを有する製剤、e)10%PVPを有する製剤、f)ブピバカインおよびエタノールスプレー(著しいブピバカイン結晶が観察された)。ブピバカイン結晶沈殿の速度および程度は、製剤ポリマー濃度の増加とともに著しく低下することが観察された。ポリマー濃度の増加とともに皮膜の均一性および完全性が増加することも観察された。より具体的には、図6は、異なる濃度の沈殿阻害ポリマーPVP(0%PVP、0.5%PVP、2.5%PVP、5%PVPおよび10%PVP)を含有する本発明によるブピバカインスプレー用製剤のスプレーパターンおよび皮膜均一性を示す。2.5%~10%の製剤中のPVP濃度は、ブピバカイン沈殿を著しく阻害し、溶媒蒸発後に均一な皮膜を形成すると結論付けられた。
【0151】
例40
例40a~bでは、表23に記載の成分を使用してブピバカインHCl局所スプレー用製剤を調製した。
【表25】
【0152】
製剤を調製するための方法は、以下の通りである:
薬物、プロピレングリコール、透過増強剤、アスコルビン酸(抗酸化剤)、およびメントールを、撹拌しながらエタノールに添加し、清澄な溶液が形成されるまで混合する。皮膜を形成するポリマーを、ポリマーが完全に溶解または水和するまで撹拌しながら、清澄な薬物溶液に添加する。ポリマーを、キャップまたはメカニカルポンプを有するガラス瓶中で保管する。
【0153】
例41
例41では、健康な男性および女性のボランティアにおけるブピバカイン局所スプレーおよびブピバカイン注射液の3用量の薬物動態および相対バイオアベイラビリティを評価するための単回用量クロスオーバーによる検討を行った。薬物動態の検討を12人の健康なヒトボランティアにおいて行って、ブピバカイン局所スプレー送達系の安全性および忍容性を評価し、ブピバカイン局所スプレーの単一の漸増用量後に健康なボランティアによって知覚される局所効果の持続時間を推定した。参照療法は、皮下投与されたブピバカインHClの単一の30mg用量(合計6ml、2mlの3回の注入)であった。
【0154】
試験製剤は、例40bに従って調製されたブピバカイン塩酸塩10mg局所スプレー(8.88mgのブピバカイン塩基に相当する)であった。参照製剤は、Sensorcaine(登録商標)(ブピバカイン塩酸塩)0.5%10mLであった。
【0155】
処置Aの単一の皮下用量または処置B、C、もしくはDの単一の局所用量を以下のランダム化スキームに従って投与した:処置A:30mgの単一用量:Sensorcaine(登録商標)(ブピバカイン塩酸塩)0.5%10mL(参照)の3回の皮下注入(それぞれ2mL)、処置B:30mgの単一用量:GTX101(ブピバカイン塩酸塩10mg局所スプレー;試験)の3回のスプレー、処置C:50mgの単一用量:GTX101(ブピバカイン塩酸塩10mg局所スプレー;試験)の5回のスプレー、処置D:70mgの単一用量:GTX101(ブピバカイン塩酸塩10mg局所スプレー;試験)の7回のスプレー。
【0156】
2つの処置(処置-Aおよび処置-B、-Cまたは-Dのいずれか)を、表24に記載のように12人の対象に投与することになっていた。対象は、投与の少なくとも10時間前に臨床現場に到着した。終夜絶食を監視した後、対象に薬物投与の前に標準的な朝食を与え、その後、ブピバカイン塩酸塩30mgの単一の皮下用量、またはブピバカイン塩酸塩30mg、50mgもしくは70mgの単一の局所用量を午前中に投与した。対象は、用量後24時間の採血後に臨床現場を離れることができた。休薬期間は、少なくとも3暦日であった。
【表26】
【0157】
全12人のボランティアが試験を完了した。各試験期間において、21の血液試料を採取した。最初の試料を薬物投与の前に採取し、他のものを薬物投与後最大24時間で採取した。加えて、皮膚刺激性を各処置に関する投薬後約5分、6時間および24時間で適用部位で評価した。各時点で、局所皮膚反応を評価し、症例報告書に含まれた特定の形式で記録した。全12人の対象は、皮膚刺激性評価において変化を示さず、全ての皮膚応答は0とスコア付けされ、刺激性の証拠はなく、他の影響は、観察されなかった。
【0158】
知覚分析(有効性分析)
薬物適用後30分毎に最初の8時間または感覚が戻るまでのどちらか早い方で、Qチップ(はい/いいえ)の感覚を感じたかどうかを対象に質問した。2箇所のQチップ試験を、1箇所は、適用の部位で、もう1箇所は、適用の部位から離れた場所で行った。Qチップ試験を、Qチップを皮膚の表面上に軽く接触させることで行った。薬物投与後8時間持続した対象によって知覚された全ての局所効果は、有害事象として報告した。参照および試験生成物の両方が、Qチップ分析後に感覚喪失に関して同様の結果を示し、これは、新規なブピバカイン局所スプレーが参照皮下注射液製品と同等に有効であることを示唆している。Qチップ知覚分析結果を表25に報告する。
【表27】
【0159】
薬物動態結果を表26に報告する。Tmaxを時間の単位で示し、Cmaxをng/mLの単位で示す。
【表28】
【0160】
24時間にわたる単一用量適用から、局所スプレー用製剤については2.41ng/mL、参照注入生成物については129.31ng/mLの平均最大血漿濃度が観察された。上記の臨床的な検討から、新規なブピバカイン局所スプレー用製剤は効果的、安全かつ耐容性良好であると結論付けることができる。
【0161】
例42
例42では、健康な男性および女性のボランティアにおけるブピバカイン局所スプレーの単一用量薬物動態を評価するためのオープンラベルによる検討を行った。薬物動態についての検討を10人の健康なヒトボランティアにおいて行って、10回の局所スプレーとして投与された100mg用量の局所ブピバカインの安全性、忍容性を評価した。この検討は、単一施設、非無作為化、単一投与、オープンラベル、1期間、1処置設計であった。100mg用量のブピバカインを局所的に投与した(10回のスプレーをT10デルマトームでの皮膚表面を覆う類似した分布区域で適用した)。ブピバカインスプレーは、1回のスプレーあたり約10mgのブピバカインを与えた。例40bに従って製剤を調製した。
【0162】
全10人のボランティアについての検討を完了した。1人の対象につき29の血液試料を採取した。最初の試料を薬物投与の前に採取し、他のものを薬物投与後最大504時間で採取した。加えて、皮膚刺激性を各処置に関する投薬後約5分、6時間および24時間で適用部位で評価した。各時点で、局所皮膚反応を評価し、症例報告書に含まれた特定の形式で記録した。全10人の対象は、皮膚刺激性評価において変化を示さず、全ての皮膚応答は0とスコア付けされ、刺激性の証拠はなく、他の影響は、観察されなかった。
【0163】
薬物動態結果を図7および8ならびに表26に報告する。Tmaxを時間の単位で示し、Cmaxをpg/mLの単位で示す。図7は、216時間にわたるブピバカイン血漿濃度(pg/mL)を描写するグラフである。図8は、24時間にわたるブピバカイン血漿濃度を描写するグラフである。
【表29】
【0164】
504時間にわたる単一用量適用から、1248pg/mLの平均最大血漿濃度が観察された。図7および8から、この局所/経皮薬物送達技術の発明は、ラットについての検討で観察されたものと同様の二相性の放出プロファイルを有すると結論付けることができる。薬物放出の第一相は、スプレー適用後約30~40分で放出し、スプレーパターンおよび液滴サイズが即時の薬物透過および迅速な作用開始を達成するために重要であることを示している。スプレー適用後、7~24時間で観察される薬物放出の第二のより遅い相は、薬物が制御された様式でポリマー生体接着皮膜から徐々に透過することを示している。局所/経皮経路によるこの観察されたインビボ二相性薬物放出は、本発明、つまり薬物含有ポリマー生体接着性局所皮膜スプレーに特有のものである。より高い薬物濃度での薬物放出の第二相の間のCmaxの遅延は、用量強度としての効果の延長が増加することを意味することもデータから明らかである。表28は、個々の対象における両方のピークに関する血液試料時間および血漿濃度分類を与える。
【表30】
【0165】
例43a~b
インビトロ透過についての検討を本発明に従って調製された製剤について行った。
例43aでは、例12の製剤をStrat-M合成膜からの1cmあたりの累積薬物透過について試験した。最初の2時間にわたって、薬物透過は、10μg/cm~500μg/cmにわたった。24時間にわたって、薬物透過は、10μg/cm~6500μg/cmにわたった。
例43bでは、例24の製剤を、Mattekおよびヒト死体皮膚膜からの1cm2あたりの累積薬物透過について試験した。最初の2時間にわたって、薬物透過は、10μg/cm~500μg/cmにわたった。24時間にわたって、薬物透過は、10μg/cm~6500μg/cmにわたった。
【0166】
例44a~b
インビボ透過についての検討を本発明に従って調製された製剤について行った。
例44aでは、例24の製剤を、ラット皮膚上の1cmあたりの累積薬物透過について試験した。最初の2時間にわたって、薬物透過は、10ng/cm~500ng/cmにわたった。24時間にわたって、薬物透過は、10ng/cm~6500ng/cmにわたった。
例44bでは、例40bの製剤を、ヒト皮膚上の1cmあたりの累積薬物透過について試験した。最初の2時間にわたって、薬物透過は、10ng/cm~500ng/cmにわたった。24時間にわたって、薬物透過は、10ng/cm~6500ng/cmにわたった。
【0167】
例45
薬物が飽和レベルで存在する濃度を見出すための溶解度についての検討を以下のように行った:エタノール中のプロピレングリコール、オレイルアルコールおよびメントールに薬物(ブピバカイン塩酸塩2、4、8、10、12および16mg)を撹拌しながら添加し、清澄な溶液が形成されるまで混合した。皮膜を形成するポリマーを、ポリマーが完全に溶解または水和するまで撹拌しながら、清澄な薬物溶液に添加した。16mgの薬物溶液の場合、薬物は、静置後に清澄な溶液から沈殿した。他の溶液は清澄であり、沈殿は、観察されなかった。薬物飽和は、1回のスプレーあたり約12mgの濃度で達成されたと結論付けることができる。
【0168】
結論
本明細書に記載された方法および適用に対する他の適切な改変および適合が適切であり、本発明の範囲またはその任意の実施形態から逸脱することなく行われ得ることが当業者には容易に明らかとなろう。本発明は、ある実施形態に関連して記載されているが、本発明を上記の特定の形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれ得る代替物、改変物および等価物を包含することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6
図7
図8