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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】車両用ドア構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20220926BHJP
   B60R 21/04 20060101ALI20220926BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B60J5/00 P
B60R21/04 320
B60R21/04 330
B60J5/04 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018146766
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020019453
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】長村 健太郎
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-081419(JP,A)
【文献】実開平05-032168(JP,U)
【文献】特開2015-020715(JP,A)
【文献】特開2000-142115(JP,A)
【文献】特開平07-117476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B60R 21/04
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアのベルトラインよりも車両下方に位置するドアガラスを昇降可能に案内するロアサッシュが配置されている車両用ドア構造において、
前記ロアサッシュは、車両後方側に配置されるサッシュであり、下端部がドアインナパネル側へ向かって突出して該ドアインナパネルに固定されるロアサッシュ固定部を有し、
前記ロアサッシュ固定部のドアアウタパネル側には、車両外方へ向かって突出する外側突出部が設けられ、該外側突出部は、車両側面視で前記ロアサッシュ固定部と重なる位置に配置され、
前記ドアのベルトラインよりも車両下方に位置する車室内側には、ドアトリムが設けられ、前記ドアインナパネルと前記ドアトリムとの間にはパッド材が配置されており、
前記ドアインナパネルには、車両側面視で、車両前後方向に沿って延びるビード形状部が形成されており、該ビード形状部は、少なくとも前記ロアサッシュ固定部から前記パッド材と前記ドアインナパネルとが重なる位置まで延びていることを特徴とする車両用ドア構造。
【請求項2】
前記ロアサッシュは、車両上下方向に延びるロアサッシュ本体部を有し、前記ロアサッシュ固定部は、前記ロアサッシュ本体部に対して車両後方側にオフセットした位置に配置され、
前記外側突出部は、車両前後方向で、前記ロアサッシュ本体部と前記ロアサッシュ固定部を跨いで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア構造。
【請求項3】
記ロアサッシュ固定部の車室内側端部の上下方向部分は、前記パッド材の車両上下方向の範囲内に位置し、前記ロアサッシュ固定部から前記パッド材の車両後方側端部までの距離は、前記パッド材の車両前後方向の長さよりも短くなるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ドア構造。
【請求項4】
前記ドアインナパネルと前記ロアサッシュ本体部との間には、ドアラッチが配置されており、該ドアラッチの下端部は、前記ロアサッシュ固定部の上方位置に配置されているとともに、前記ドアラッチの上端部は、ドアハンドルの下方位置に配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用ドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドア構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の車体側部には、開閉可能なサイドドアが設けられており、該サイドドアによって車体側部の開口部が開閉されるようになっている。このようなサイドドアのドア本体は、インナパネルとアウタパネルとから構成されており、これらインナパネルとアウタパネルとの間に形成された上方開口の空間内部には、サッシュやドアラッチなどが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-35440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の車両用ドア構造においては、サッシュの下部周辺領域の側面衝突時の対策構造が示されていないので、他に対策構造を設けないといけない。
なお、従来の車両用ドア構造の中には、樹脂製サッシュの下部の車両前方領域であって、乗員腰部に対応する位置のドアトリムの裏面側に、エネルギー吸収パッド(EAパッド)が設けられているものがある。しかし、このような従来の車両用ドア構造は、早いタイミングで乗員を保護するために、別部品の追加等が行われてきた。
【0005】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、ロアサッシュの下端部に互いに反対方向へ突出するロアサッシュ固定部と外側突出部を設け、側突時の衝撃荷重による侵入物の車両内側への侵入量を低減させ、ドア開放を防止することが可能な車両用ドア構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、ドアのベルトラインよりも車両下方に位置するドアガラスを昇降可能に案内するロアサッシュが配置されている車両用ドア構造において、前記ロアサッシュは、車両後方側に配置されるサッシュであり、下端部がドアインナパネル側へ向かって突出して該ドアインナパネルに固定されるロアサッシュ固定部を有し、前記ロアサッシュ固定部のドアアウタパネル側には、車両外方へ向かって突出する外側突出部が設けられ、該外側突出部は、車両側面視で前記ロアサッシュ固定部と重なる位置に配置され、前記ドアのベルトラインよりも車両下方に位置する車室内側には、ドアトリムが設けられ、前記ドアインナパネルと前記ドアトリムとの間にはパッド材が配置されており、前記ドアインナパネルには、車両側面視で、車両前後方向に沿って延びるビード形状部が形成されており、該ビード形状部は、少なくとも前記ロアサッシュ固定部から前記パッド材と前記ドアインナパネルとが重なる位置まで延びている。
【発明の効果】
【0007】
上述の如く、本発明に係る車両用ドア構造は、ドアのベルトラインよりも車両下方に位置するドアガラスを昇降可能に案内するロアサッシュが配置されており、前記ロアサッシュは、車両後方側に配置されるサッシュであり、下端部がドアインナパネル側へ向かって突出して該ドアインナパネルに固定されるロアサッシュ固定部を有し、前記ロアサッシュ固定部のドアアウタパネル側には、車両外方へ向かって突出する外側突出部が設けられ、該外側突出部は、車両側面視で前記ロアサッシュ固定部と重なる位置に配置されている。
すなわち、本発明に係る車両用ドア構造では、ロアサッシュの下端部に車両外方へ突出して設けられた外側突出部が側突時に侵入するドアアウタパネルなどの侵入物に対して突っ張る作用を行うことになる。したがって、本発明に係る車両用ドア構造では、侵入物の車両内側への侵入量が低減し、侵入物によるロアサッシュ近傍のドアラッチの損傷や、侵入物とラッチレバーとの強接触が抑制されるので、ドアの開放を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る車両用ドア構造が適用されるフロントサイドドアを車両外側から見た側面図である。
図2図1のフロントサイドドアにおけるロアサッシュ及びその周辺を、ドアアウタパネルを取り除いた状態で示す側面図である。
図3図1におけるロアサッシュの下端部及びドアラッチを拡大して示す斜視図である。
図4図2におけるA-A線断面図である。
図5図2におけるB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1図5は本発明の実施形態に係る車両用ドア構造を示すものである。なお、図において、矢印Fr方向は車両前方を示し、矢印U方向は車両上方を示し、矢印X方向は車両前後方向を示している。また、矢印I方向は車室内側を示し、矢印O方向は車両外側を示している。さらに、車両前後方向などの方向を示す用語は、原則としてドアが閉じた状態での方向を示している。
【0010】
図1図5に示すように、本発明の実施形態の車両用ドア構造が適用されるフロントサイドドア1は、車体側部に開閉可能に設けられ、ドアハンドル11によって開閉操作されるようになっており、車体側部のドア開口部(図示せず)は、当該フロントサイドドア1により開閉可能に覆われるように構成されている。このようなフロントサイドドア1は、ドア本体2と昇降可能なドアガラス3とを備えており、ドア本体2は、車両内側に設けられるドアインナパネル21と、車両外側に設けられるドアアウタパネル22とから構成されている。そして、ドアインナパネル21及びドアアウタパネル22は、重ね合わせ部分が溶接などで接合され、これらパネル21,22の間には上方が開口した空間Sが形成されている。
【0011】
本実施形態のドア本体2の内部には、図1図5に示すように、フロントサイドドア1のベルトライン12よりも車両下方に位置するドアガラス3を昇降可能に案内支持するロアサッシュ4が配置されている。このロアサッシュ4は、本実施形態のドア構造において、車両後方側に配置される樹脂製サッシュとして構成されており、車両上下方向に延びるロアサッシュ本体部40を有している。
本実施形態のロアサッシュ4は、図2図4に示すように、下端部がドアインナパネル21側へ向かって突出してドアインナパネル21に固定されるロアサッシュ固定部41を有している。このロアサッシュ固定部41は、ドアガラス3が存在しない部分にロアサッシュ4を拡大するような形状に形成されており、先端部分41aは、締結する座面として、締結ボルト(もしくは、スクリュ)5などによりドアインナパネル21に締付け固定されるようになっている。
【0012】
また、本実施形態のロアサッシュ4において、ロアサッシュ固定部41のドアアウタパネル22側には、図2図4に示すように、車両外方へ向かって突出する外側突出部42が設けられている。この外側突出部42は、ドアガラス3が存在しない部分にロアサッシュ4を拡大するような形状に形成されており、側突時にドアアウタパネル22と接触する側の外側端部の面積が十分に確保されている。しかも、外側突出部42は、車両側面視でロアサッシュ固定部41と重なる位置に配置されている。すなわち、ロアサッシュ固定部41と外側突出部42とは、ロアサッシュ本体部40を間に挟んで、互いに反対側へ向かって突出するように配置されており、側突時に入力される衝撃エネルギーの吸収及び伝達ために別部品を追加することなく、側突対策構造が得られるように構成されている。そして、外側突出部42は、通常状態において、ドアアウタパネル22と接触しない位置まで突出している。
【0013】
さらに、本実施形態のロアサッシュ4において、ロアサッシュ固定部41は、図2及び図3に示すように、ロアサッシュ本体部40に対して、車両後方側にオフセットした位置に配置されている。しかも、外側突出部42は、車両前後方向で、ロアサッシュ本体部40とロアサッシュ固定部41を跨いで配置されている。そのため、外側突出部42は、ロアサッシュ本体部40及びロアサッシュ固定部41を跨ぐことが可能な長さにわたって、車両前後方向に延びている。
これによって、外側突出部42は、側突時にドアアウタパネル22と接触する側の外側端部の面積が確保されるように構成されている。
【0014】
一方、本実施形態のフロントサイドドア1のベルトライン12よりも車両下方に位置するドアインナパネル21の車室内側には、図2及び図5に示すように、内装部品であるドアトリム23が車両幅方向に間隔を空けて設けられている。そして、ドアインナパネル21とドアトリム23との間には、エネルギー吸収パッド(EAパッド)であるパッド材6が、図外のフロントシートに着座した乗員の腰部に対応して配置されており、本実施形態のパッド材6は、車両側面視で略四角形状に形成されている。
また、ロアサッシュ固定部41の車室内側端部の上下方向部分は、図2に示すように、パッド材6の車両上下方向の範囲内に位置している。すなわち、通常時にドアインナパネル21と接触する部分であるロアサッシュ固定部41の車室内側端部の先端部分41aは、パッド材6の車両上下方向の範囲内に含まれ、もしくは、パッド材6の車両上下方向と同等の高さに位置している。しかも、ロアサッシュ固定部41からパッド材6の車両後方側端部6aまでの距離L1は、パッド材6の車両前後方向の長さL2よりも短くなるように設定されている(L1<L2)。言い換えれば、パッド材6とロアサッシュ固定部41及び外側突出部42とは、車両前後方向で近接した位置に配置されている。
これにより、側突初期に入力された衝撃荷重が車室内側に伝達される場合に、ドアアウタパネル22が抵抗なく侵入する距離(空走距離)を無くし、パッド材6が早いタイミングで乗員の腰部を押して保護するようになっている。
【0015】
さらに、本実施形態のドアインナパネル21には、図2及び図5に示すように、車両側面視で、車両前後方向に沿って延びるビード形状部21Aが形成されている。このビード形状部21Aは、少なくともロアサッシュ固定部41からパッド材6とドアインナパネル21とが重なる位置まで延びている。しかも、このビード形状部21Aは、車室内側(ドアトリム23側)へ突出した湾曲形状を有し、先端部分がパッド材6の表面に当接するように設けられている。なお、本実施形態のビード形状部21Aは、パッド材6を越えて更に車両前方に延びている。
このような位置にビード形状部21Aを設けることによって、ドアインナパネル21の剛性が高められ、側突時に入力された衝撃荷重の周辺部品への伝達効率が向上するような構造にしている。
【0016】
また、本実施形態の車両用ドア構造において、ドアインナパネル21とロアサッシュ本体部40との間には、図2図4に示すように、車体に対して係脱可能なドアラッチ7が配置されており、該ドアラッチ7は、車体側部に設けられたストライカ(図示せず)によってロックされるように構成されている。ドアラッチ7の下端部7aは、ロアサッシュ固定部41の上方位置に配置されているとともに、ドアラッチ7の上端部7bは、ドアハンドル11の下方位置に配置されている。
すなわち、ドアラッチ7は、ロアサッシュ固定部41の上方で近接した位置に配置されている。これによって、側突時に侵入するドアアウタパネル22などがドアラッチ7と強接触することが抑制されるようになっている。
【0017】
このように、本発明の実施形態に係る車両用ドア構造は、フロントサイドドア1のベルトライン12よりも車両下方に位置するドアガラス3を昇降可能に案内するロアサッシュ4が配置されている。ロアサッシュ4は、車両後方側に配置される樹脂製のサッシュであり、下端部がドアインナパネル21側へ向かって突出してドアインナパネル21に固定されるロアサッシュ固定部41を有している。そして、ロアサッシュ固定部41のドアアウタパネル22側には、車両外方へ向かって突出する外側突出部42が設けられており、外側突出部42は、車両側面視でロアサッシュ固定部41と重なる位置に配置されている。
そのため、本発明に係る車両用ドア構造では、車室内側へ突出してドアインナパネル21に固定されるロアサッシュ固定部41に加えて、車両外方へ突出する外側突出部42がロアサッシュ4の下端部にロアサッシュ固定部41と対応して設けられているので、外側突出部42が側突時に侵入するドアアウタパネル22などの侵入物に対して突っ張る作用を行うことになる。したがって、本発明に係る車両用ドア構造では、侵入物の車両内側への侵入量を低減させ、侵入物によるロアサッシュ4近傍のドアラッチ7の損傷や、侵入物とラッチレバーとの強接触を抑制するようになるので、フロントサイドドア1の開放を防止することができる。しかも、側突時に生じるドアアウタパネル22などの侵入に対して、樹脂製のロアサッシュ4に設けられた突出形状の外側突出部42及びロアサッシュ固定部41が変形することになるので、側突時の衝撃エネルギーを効果的に吸収でき、衝撃エネルギーの吸収及び伝達ための別部品を追加する必要が無く、レイアウトの自由度が向上し、部品コストを低減させることができる。
【0018】
また、本実施形態の車両用ドア構造では、ロアサッシュ4が車両上下方向に延びるロアサッシュ本体部40を有し、ロアサッシュ固定部41は、ロアサッシュ本体部40に対して車両後方側にオフセットした位置に配置されている。そして、外側突出部42は、車両前後方向で、ロアサッシュ本体部40とロアサッシュ固定部41を跨いで配置されている。したがって、本実施形態の車両用ドア構造によれば、側突時にドアアウタパネル22と接触する側に位置する外側突出部42の外側端部の面積を確保することが可能になるので、側突時のドアアウタパネル22の侵入量をより一層低減させることができるとともに、衝撃エネルギーの吸収効果を高めることができる。
【0019】
さらに、本実施形態の車両用ドア構造において、フロントサイドドア1のベルトライン12よりも車両下方に位置する車室内側には、ドアトリム23が設けられ、ドアインナパネル21とドアトリム23との間には、パッド材6が配置されている。しかも、ロアサッシュ固定部41の車室内側端部の上下方向部分は、パッド材6の車両上下方向の範囲内に位置し、ロアサッシュ固定部41からパッド材6の車両後方側端部6aまでの距離L1は、パッド材6の車両前後方向の長さL2よりも短くなるように設定されている。
したがって、本実施形態の車両用ドア構造では、外側突出部42及びロアサッシュ固定部41がパッド材6の近くに位置することになるので、側突初期に衝撃荷重が車室内側に伝達され、ドアアウタパネル22が侵入しても、外側突出部42などの突っ張りによってドアアウタパネル22の空走距離を無くすことができ、パッド材6が早いタイミングで乗員の腰部を押して保護することができる。
【0020】
また、本実施形態の車両用ドア構造において、ドアインナパネル21には、車両側面視で、車両前後方向に沿って延びるビード形状部21Aが形成されている。このビード形状部21Aは、少なくともロアサッシュ固定部41からパッド材6とドアインナパネル21とが重なる位置まで延びている。
したがって、本実施形態の車両用ドア構造では、ドアインナパネル21の剛性がビード形状部21Aによって高められることになるので、側突時に入力された衝撃荷重を周辺部品等へ効率的に伝達することができ、ドアインナパネル21の変形モードの発生を抑制することができる。
【0021】
さらに、本実施形態の車両用ドア構造において、ドアインナパネル21とロアサッシュ本体部40との間には、ドアラッチ7が配置されている。ドアラッチ7の下端部7aは、ロアサッシュ固定部41の上方位置に配置されているとともに、ドアラッチ7の上端部7bは、ドアハンドル11の下方位置に配置されている。
したがって、本実施形態の車両用ドア構造では、ドアラッチ7がロアサッシュ固定部41の上方で近接した位置に配置されているので、側突時に侵入するドアアウタパネル22などの侵入物とドアラッチ7との強接触を抑制することができ、ドアラッチ7等の破損を抑えてフロントサイドドア1の開放を防止することができる。
【0022】
以上、本発明の実施形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
【0023】
例えば、既述の実施形態のロアサッシュ固定部41及び外側突出部42の形状は、図示されているものに限られず、ロアサッシュ固定部41はロアサッシュ本体部40からドアインナパネル21側に突出して拡大し、外側突出部42はロアサッシュ本体部40からドアアウタパネル22側に突出して拡大する形状であれば、他の形状に形成されていても良い。また、既述の実施形態の車両用ドア構造は、フロントサイドドア1に適用されているが、リヤサイドドアにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 フロントサイドドア(ドア)
2 ドア本体
3 ドアガラス
4 ロアサッシュ
5 締結ボルト
6 パッド材
6a パッド材の車両後方側端部
7 ドアラッチ
7a ドアラッチの下端部
7b ドアラッチの上端部
11 ドアハンドル
12 フロントサイドドアのベルトライン
21 ドアインナパネル
21A ビード形状部
22 ドアアウタパネル
23 ドアトリム
40 ロアサッシュ本体部
41 ロアサッシュ固定部
42 外側突出部
図1
図2
図3
図4
図5