(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】耐候性に優れたポリアミド樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 77/00 20060101AFI20220926BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20220926BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K7/14
C08K3/04
(21)【出願番号】P 2019505544
(86)(22)【出願日】2018-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2018037859
(87)【国際公開番号】W WO2019074038
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2017199323
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】吉村 信宏
(72)【発明者】
【氏名】藤井 泰人
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/171363(WO,A1)
【文献】特開2010-254760(JP,A)
【文献】特開平10-182874(JP,A)
【文献】特開平05-093134(JP,A)
【文献】特開2013-043975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 77/00
C08K 7/14
C08K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリアミド(a1)と芳香族成分を含むポリアミド(a2)から構成されるポリアミド樹脂(A)と、断面積が1.5~5.0×10
-6cm
2のガラス繊維(B)と、カーボンブラック(C)と、ヒンダードアミン光安定剤(D)と、紫外線吸収剤(E)とを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)の質量比((A):(B))が20:80~35:65であり、脂肪族ポリアミド(a1)と芳香族成分を含むポリアミド(a2)の質量比((a1):(a2))が5:95~95:5であり、ポリアミド樹脂組成物中、カーボンブラック(C)、ヒンダードアミン光安定剤(D)、及び紫外線吸収剤(E)の含有量が、それぞれ
0.2~
0.5質量%、0.05~1質量%、及び
0.05~1質量%であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
芳香族成分を含むポリアミド(a2)が結晶性ポリアミドであり、(a1)と(a2)の質量比((a1):(a2))が5:95~75:25であることを特徴とする請求項
1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
芳香族成分を含むポリアミド(a2)が、96%硫酸溶液における相対粘度が1.4~1.8でありかつ末端カルボキシ基濃度が50meq/kg以下であるポリメタキシレンアジパミドを含むことを特徴とする請求項1
又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
芳香族成分を含むポリアミド(a2)が非結晶性ポリアミドであり、(a1)と(a2)の質量比((a1):(a2))が60:40~95:5であることを特徴とする請求項
1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
ガラス繊維(B)の一部または全てが扁平断面ガラス繊維であり、この扁平断面ガラス繊維が、短径/長径比が0.3~0.5である扁平断面ガラス繊維(B-1)と、短径/長径比が0.2~0.3である扁平断面ガラス繊維(B-2)からなり、その質量比((B-1):(B-2))が0:100~100:0であることを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項6】
さらに銅化合物(F)を最大0.5質量%の量で含むことを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項7】
さらに離型剤、安定剤、及び/又はカップリング剤を含む添加成分(G)を最大5質量%の量で含むことを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品であって、成形品の比重ρ(g/cm
3)と曲げ弾性率E(GPa)が11<E/ρ<18,1.7<ρ<2.0を満足することを特徴とする成形品。
【請求項9】
紫外線フェードメーターの、83℃降雨なし、照射度500±50W/m
2、照射波長300~700ナノメートル、照射時間400時間の処理を行なった成形品と、前記処理を行なわなかった成形品との色差がΔE≦1.5であることを特徴とする、請求項
8に記載の成形品。
【請求項10】
成形品における残存ガラス繊維長の重量平均が300~1000μmであることを特徴とする請求項
8又は
9に記載の成形品。
【請求項11】
電子電気筐体または車両の内装品もしくは外装品に使用されることを特徴とする請求項
8~
10のいずれかに記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド樹脂に特定の断面積を持つガラス繊維を添加することによって比弾性率を上げて、さらにカーボンブラック、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤を添加することによって耐候性を格段に向上した、極めて高い共振周波数を達成したポリアミド樹脂組成物に関する。本発明のポリアミド樹脂組成物は、電子電機部品の筐体や、自動車内装および外装に使用される車両用部品、例えばドアミラーを支持する外装用鏡体部品などの成形品として好適に使用できるものであり、特に各成形品において従来にないダウンサイズ化を実現できるものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は、ガラス繊維で強化することによって、高い剛性、高い靭性だけでなく高い荷重たわみ性を発現することができる。そのため、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、電子電機機器や自動車分野において内部部材および外部部材として広く用いられている。近年、特に電子電機部材における製品肉厚の薄肉化や、車両用部品の小サイズ化から要求される振動特性のレベルが高まっており、弾性率/比重で示される比弾性率のより高い熱可塑性樹脂組成物が求められている。また、ポリアミド樹脂成形品はポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)成形品などに比べて耐候性に劣るため、塗装などの成形後工程で製品の耐候性を付与する場合が多い。さらに、ガラスの充填量が60質量%以上になると、耐候性が顕著に悪くなり、特に車両内装、外装部品としては使用できない。
【0003】
特許文献1では、ナイロン66ベースに結晶性を低下させるイソフタラミド成分を共重合し、ガラス繊維などの強化材を60%以上配合して共振周波数の高い耐振動特性を有する樹脂組成物を得ている。しかしながら、結晶性を低下させる成分によって弾性率の上昇は充分でなく、試験サンプル形状で200Hz以上の共振周波数を得るための曲げ弾性率と比重の良好なバランスを得られていない。また、マイカを添加することによって伸度、耐衝撃性を落としている問題がある。
【0004】
特許文献2では、ポリアミド樹脂と非円形断面のガラスロービング繊維とを組み合わせた長繊維ポリアミド成形材料が開示されている。しかしながら、この特許文献の実施例においては、ガラス繊維を60%以上配合しておらず、したがって共振周波数と比例する関係にある弾性率/比重が充分に高くないため、強度、衝撃面では高度な特性を持つ成形材料であっても耐振動性に関しては充分な特性を発現しない。
【0005】
特許文献3では、ポリアミド6、ポリアミド66、非結晶ポリアミド等の複数樹脂を共重合でなくブレンドベースで使用し、結晶性を保持しながら強化材を高充填し、さらに最適量のポリプロピレンを添加することによって高い共振周波数を得ると同時に減衰特性も付与している。しかしながら、現在の耐振動要求としては、特許文献3の試験法において230Hz以上の共振周波数を求められており、ポリプロピレンのような弾性率発現の低い樹脂を成分としている場合は、これには到底届かない。このため、さらに比弾性率の高い特性発現を得られる、ガラス繊維と熱可塑性樹脂の組合せが求められている。
【0006】
特許文献4には、脂肪族ポリアミドと半芳香族ポリアミドの混合ベースに無機充填材や安定剤、カーボンブラックを添加することによって良好な耐候性を示す組成物が開示されている。しかし、無機充填材の添加量はやはり60質量%までに限定されており、実施例においても無機充填材は50質量%程度であり、従って、特許文献4の組成物は高い振動特性と耐候性を両立しているとは言えない。
【0007】
特許文献5には、脂肪族ポリアミドと半芳香族ポリアミドの混合ベースにカーボンブラックを添加することによって無機充填材の添加量が60質量%以上でも良好な耐候性を示す組成物が開示されている。しかし、カーボンブラックを過剰に添加することによって耐候性を向上していることから、成形品のカラーがブラックに限定されてしまうため自由な着色ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平7-118522号公報
【文献】特開2008-95066号公報
【文献】特開2005-162775号公報
【文献】特開2010-189467号公報
【文献】再公表WO2014/171363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、高い耐振動特性、つまり極めて高い共振周波数の成形品を得ることができ、優れた耐候変色性を有するポリアミド樹脂組成物を提供することにある。また、前記特性に加え、成形品のカラーをブラック以外にも着色可能とするポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の形状の断面積を有するガラス繊維を、ポリアミド樹脂に添加することによって、その比重に対して弾性率の発現を最大限となるようにし、かつ汎用で使用される断面積が9.5×10-7cm2(ガラス繊維径11μm)のガラス繊維や断面積が13.3×10-6cm2(ガラス繊維径13μm)のガラス繊維に比べて、その繊維本数およびガラス繊維表面積を低減することによって、高いガラス充填量にもかかわらず耐候性を付与するのに充分なカーボンブラック、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤を二軸押出機で添加し生産することができること、具体的にはこのようなガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を用いることによって曲げ特性及び耐候性に関して満足な成形品が得られること、そしてこれが従来技術では達成できなかった高い共振周波数を持つということだけでなく、強度、耐衝撃性、耐候性においても優れることを見出し、本発明の完成に至った。
【0011】
すなわち本発明は、以下の(1)~(13)の構成を採用するものである。
(1)脂肪族ポリアミド(a1)と芳香族成分を含むポリアミド(a2)から構成されるポリアミド樹脂(A)と、断面積が1.5~5.0×10-6cm2のガラス繊維(B)と、カーボンブラック(C)と、ヒンダードアミン光安定剤(D)と、紫外線吸収剤(E)とを含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)の質量比((A):(B))が20:80~35:65であり、脂肪族ポリアミド(a1)と芳香族成分を含むポリアミド(a2)の質量比((a1):(a2))が5:95~95:5であり、ポリアミド樹脂組成物中、カーボンブラック(C)、ヒンダードアミン光安定剤(D)、及び紫外線吸収剤(E)の含有量が、それぞれ0~5質量%、0.05~1質量%、及び0~1質量%であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)カーボンブラック(C)、ヒンダードアミン光安定剤(D)、及び紫外線吸収剤(E)の含有量が、それぞれ0~0.5質量%、0.05~1質量%、及び0~1質量%であることを特徴とする(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)カーボンブラック(C)、ヒンダードアミン光安定剤(D)、及び紫外線吸収剤(E)の含有量が、それぞれ0~0.5質量%、0.05~1質量%、及び0.05~1質量%であることを特徴とする(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)芳香族成分を含むポリアミド(a2)が結晶性ポリアミドであり、(a1)と(a2)の質量比((a1):(a2))が5:95~75:25であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)芳香族成分を含むポリアミド(a2)が、96%硫酸溶液における相対粘度が1.4~1.8でありかつ末端カルボキシ基濃度が50meq/kg以下であるポリメタキシレンアジパミドを含むことを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)芳香族成分を含むポリアミド(a2)が非結晶性ポリアミドであり、(a1)と(a2)の質量比((a1):(a2))が60:40~95:5であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7)ガラス繊維(B)の一部または全てが扁平断面ガラス繊維であり、この扁平断面ガラス繊維が、短径/長径比が0.3~0.5である扁平断面ガラス繊維(B-1)と、短径/長径比が0.2~0.3である扁平断面ガラス繊維(B-2)からなり、その質量比((B-1):(B-2))が0:100~100:0であることを特徴とする(1)~(6)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(8)さらに銅化合物(F)を最大0.5質量%の量で含むことを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(9)さらに離型剤、安定剤、及び/又はカップリング剤を含む添加成分(G)を最大5質量%の量で含むことを特徴とする(1)~(8)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(10)(1)~(9)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品であって、成形品の比重ρ(g/cm3)と曲げ弾性率E(GPa)が11<E/ρ<18,1.7<ρ<2.0を満足することを特徴とする成形品。
(11)紫外線フェードメーターの、83℃降雨なし、照射度500±50W/m2、照射波長300~700ナノメートル、照射時間400時間の処理を行なった成形品と、前記処理を行なわなかった成形品との色差がΔE≦1.5であることを特徴とする、(10)に記載の成形品。
(12)成形品における残存ガラス繊維長の重量平均が300~1000μmであることを特徴とする(10)又は(11)に記載の成形品。
(13)電子電気筐体または車両の内装品もしくは外装品に使用されることを特徴とする(10)~(12)のいずれかに記載の成形品。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、添加されるガラス繊維の断面積を特定範囲に規定することによって比重に対する弾性率発現をガラス高充填領域でコントロール可能としており、かつガラス繊維が65質量%以上の組成においてカーボンブラック、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤を添加しても二軸押出機によるペレット造粒を容易に行うことができる。その結果、本発明のポリアミド樹脂組成物は、高い共振周波数を得ることができ、しかも高い強度と耐衝撃性、さらに優れた耐候変色性を有するため、電気電子機器の筐体や自動車内外装用の部品として極めて最適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、共振周波数評価のための振動試験装置の概略図である。
【
図2】
図2は、
参考例1の共振周波数評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、脂肪族ポリアミド(a1)と芳香族成分を含むポリアミド(a2)から構成されるポリアミド樹脂(A)と、断面積が1.5~5.0×10-6cm2のガラス繊維(B)と、カーボンブラック(C)と、ヒンダードアミン光安定剤(D)と、紫外線吸収剤(E)とを含有するものである。本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記(A)~(E)を主たる構成成分とするものであり、それらの合計で95質量%以上を占めることが好ましい。
【0015】
ポリアミド樹脂(A)は、ガラス繊維を添加した場合の比重に対する曲げ弾性率発現の点から一部が結晶性樹脂であることが好ましく、さらには結晶性ポリアミド樹脂の比率が大きいこと(例えば50質量%以上)が好ましい。ポリアミド樹脂は、ラクタムやω-アミノカルボン酸、ジカルボン酸及びジアミンなどを原料とし、これらの重縮合によって得られるポリアミド樹脂、又はこれらの共重合体やブレンド物である。ラクタムやω-アミノカルボン酸としては、例えば、ε-カプロラクタム、6-アミノカプロン酸、ω-エナントラクタム、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸、9-アミノノナン酸、α-ピロリドン、α-ピペリジンなどが挙げられる。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が挙げられる。ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルピペラジン、ビスアミノメチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0016】
ポリアミド樹脂(A)は、高い曲げ弾性率と高い耐衝撃性を同時に満たすために、脂肪族ポリアミド(a1)と芳香族成分を有するポリアミド(a2)とを、(a1):(a2)=5:95~95:5の質量比で混合して使用することが必要である。射出成形用ポリアミド樹脂は一定以上の結晶性を保っていることが好ましく、芳香族成分を有するポリアミド(a2)が結晶性である場合は、(a1):(a2)=5:95~75:25の質量比が成形性、耐熱性の観点からより好ましい。(a1):(a2)=15:85~70:30であることがさらに好ましく、(a1):(a2)=20:80~65:35であることが最も好ましい。一方、芳香族成分を有するポリアミド(a2)が非結晶性である場合は、(a1):(a2)=60:40~95:5の質量比が成形性、生産性の観点から好ましい。(a1):(a2)=60:40~90:10であることがさらに好ましい。
【0017】
芳香族成分を有するポリアミド(a2)としては、高い弾性率を発現させ、固化の速度を調整し生産時のストランド性や射出成形時の金型転写性を改善するポリアミド樹脂が好ましい。芳香族成分を含むポリアミド(a2)としては、テレフタル酸とイソフタル酸とアジピン酸を原料とするポリアミド6T/6I、テレフタル酸とアジピン酸とヘキサメチレンジアミンを原料とするポリアミド6T/66、メタキシリレンジアミンとアジピン酸を原料とするポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などが挙げられるが、(a1)と(a2)のポリアミドを併用した際の相溶性、強度発現、靭性保持、剛性発現を考慮すると、ポリアミドMXD6が好ましい。MXD6のようにキシリレンジアミンを成分とする結晶性ポリアミドを主成分とする場合は、(a2)として、その一部が96%硫酸溶液における相対粘度1.4~1.8のメタキシリレンアジパミドを用いることが特に望ましい。しかし、相対粘度1.4~1.8のメタキシリレンアジパミドは流動性が良好であるが、非常に脆く衝撃強度も低いため、ガラス繊維表面のシランカップリング剤と反応することは好ましくない。したがって、相対粘度1.4~1.8のメタキシリレンアジパミドを用いる場合は、カップリング剤と反応しないように末端カルボキシル基濃度が50meq/kg以下のものを、ポリアミド樹脂(A)全体の末端カルボキシル基濃度(CEG:meq/kg)が10~95meq/kgを満たす範囲の添加量で使用することが望ましい。
【0018】
脂肪族ポリアミド(a1)としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46などが成形性、耐熱性、靭性、剛性などの点で好ましい。芳香族成分を有するポリアミド(a2)が非結晶性である場合、脂肪族ポリアミド(a1)としては、96%硫酸溶液における相対粘度が1.4~2.0でありかつ末端カルボキシル基濃度が55~95meq/kgであるポリカプロアミドを含むことが好ましい。これにより、ある程度の靭性を保持しながら、扁平断面ガラス繊維を高充填する際の生産性と、成形時の樹脂組成物の流動性を向上させ、成形品外観を良好にする。
【0019】
ポリアミド樹脂(A)は、成形性、耐熱性、靭性、剛性などの観点より、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T/6、ポリアミド6T/66やそれらのブレンド物であることが好ましく、高い曲げ弾性率を満足するためには、特にポリアミドMXD6を主体(好ましくは50質量%以上)にして、ポリアミド6もしくはポリアミド66をブレンドすることが好ましい。
【0020】
ポリアミド樹脂(A)は、ガラスに表面処理されたカップリング剤と効率的に反応するためには、分子末端にカルボキシル基やアミノ基を持つことが好ましい。具体的には、末端カルボキシル基濃度(CEG:meq/kg)に関して、ポリアミド樹脂(A)は10~95meq/kgであることが好ましく、さらに好ましくは55~90meq/kgである。ただし、96%硫酸溶液における相対粘度が1.4~1.8であるポリメタキシリレンアジパミドは流動性が良好であるが、非常に脆く衝撃強度も低いため、このポリメタキシリレンアジパミドを含む場合は、ガラス繊維とカップリングしないように末端カルボキシル基量が50meq/kg以下であることが好ましい。
【0021】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)の質量比((A):(B))が20:80~35:65であることが必要である。これにより本発明のポリアミド樹脂組成物からなる成形品は、成形品の比重ρ(g/cm3)と曲げ弾性率E(GPa)が11<E/ρ<18、1.7<ρ<2.0を満足することができる。ガラス繊維(B)の質量比が上記範囲より低い場合、前述のE/ρの値が1.7未満になることがあり、充分に高い共振周波数を得ることができない。ガラス繊維(B)の質量比が上記範囲より高い場合、ガラス繊維(B)の比率が高くなりすぎて効率的に成形品を生産できないばかりか、ガラス繊維(B)とポリアミド樹脂の界面に欠損が生じ、充分な強度、耐衝撃性が得られない。
【0022】
ガラス繊維(B)の一部(例えば50質量%以上)または全部に扁平断面ガラス繊維を使用することが好ましい。扁平断面ガラス繊維とは、繊維の長さ方向に対して垂直な断面において略楕円形、略長円形、略繭形であるものを含み、扁平度が1.5~8であることが好ましく、より好ましくは2~5である。ここで扁平度とは、ガラス繊維の長手方向に対して垂直な断面に外接する最小面積の長方形を想定し、この長方形の長辺の長さを長径とし、短辺の長さを短径とした場合の、長径/短径の比である。扁平度が上記範囲未満である場合には、円形断面のガラス繊維と形状に大きな差がないため、成形物の耐衝撃性があまり向上しない場合がある。一方、扁平度が上記範囲を超える場合には、ポリアミド樹脂中における嵩密度が高くなるので、ポリアミド樹脂中に均一に分散できない場合があり、成形物の耐衝撃性があまり向上しない場合がある。本発明では、略長円形断面を有し、扁平度が2~5のガラス繊維が、高い機械的物性を発現するために特に好ましい。本発明ではガラス繊維(B)は、その断面形状によらず、その太さが断面積として1.5~5.0×10-6cm2に限定されることが必要であり、従来汎用で使用されている11μm、13μm径の丸型断面を有するガラス繊維は、65質量%以上の高充填領域では物性発現が効率的に行われないため好ましくない。ガラス繊維の一部もしくは全てに扁平断面形状ガラス繊維を使用する場合、短径/長径比が0.3~0.5である扁平断面ガラス繊維(B-1)と、短径/長径比が0.2~0.3である扁平断面ガラス繊維(B-2)を(B-1):(B-2)=0:100~100:0、好ましくは10:90~90:10で併用することによって、成形品のそり、収縮と、曲げ弾性率/比重の値をコントロールすることができるとともに、カーボンブラック、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤などの耐候性を向上させるのに必要な添加剤を十分に添加することができる。
【0023】
本発明においては、ポリアミド樹脂(A)にガラス繊維(B)を添加していった時、比重に対する曲げ弾性率発現のより高いポリアミド樹脂組成物ペレットを得ることが重要である。このためガラス繊維数が少なく、ガラス繊維同士の干渉が少ない特定の範囲の断面積を持つガラス繊維を使用することが必要である。この場合、必要なガラス繊維(B)の断面積は1.5~5.0×10-6cm2である。ガラス繊維の断面積がこれより小さい場合、単位質量あたりの繊維本数が多くなるばかりか、単糸一本一本が折れやすいため、二軸押出機のペレット造粒において高い充填率で繊維長を有効に保ったペレットを得ることができない。
【0024】
ガラス繊維(B)には、様々な断面形状のガラス繊維が適用されるが、ペレット生産時にガラス繊維が折れにくく、かつガラス繊維表面積の大きいため物性発現が大きく、さらに成形品のそり、変形を抑制できるという面から、比重に対して弾性率発現を上げるための目的に使用するガラス繊維には偏平断面形状のものが含まれることが好ましい。さらに、ポリアミド樹脂(A)との混練り時に異なる異形比の扁平断面のガラス繊維(B)を複数種使用することによって、樹脂流動パターンを乱し、押出機の特定オリフィス穴からの早い樹脂流を抑制することできる。これによって、二軸押出かつストランドカットでペレットを造粒する生産方法において生産性は格段に良好となり、比重に対して高い曲げ弾性率を発現する組成比ペレットを効率的に得ることができる。
【0025】
本発明のポリアミド樹脂組成物を作るにあたっては、ポリアミド樹脂(A)とガラス繊維(B)からなる混合物に対して、特にガラス繊維(B)に扁平断面ガラス繊維を使用する場合、ポリアミド反応性シランカップリング剤をガラス繊維(B)の0.1~1.0質量%の割合で添加することが好ましい。ポリアミド用チョップドストランドの集束剤にはマトリクス樹脂との接着性の向上のために、予めシランカップリング剤が繊維束に少量含まれている。しかし、予め繊維束に付着させることのできるアミノシランカップリング剤の量は、繊維束が押出時に解繊不良を起こさないように上限があるため、不足分を別途追加添加することが好ましい。
【0026】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐候変色性を向上させるためにカーボンブラック(C)が添加される。ただし、カーボンブラック(C)は、必須成分ではない。現在主流のファーネス法で製造されたカーボンブラックは「ファーネスブラック」と呼ばれ、他の製法で作られたカーボンブラックと区別されている。ファーネスブラックのファーネス法とは、高温ガス中に原料として石油系や石炭系の油を吹き込み、不完全燃焼させてカーボンブラックを得る方法で、収率が高く大量生産に向いており、かつ粒子径やストラクチャーなど広範にコントロールすることが可能でゴム補強用から着色用に至るまで、様々な用途に向けたカーボンブラックの生産に最もよく用いられている方法である。一方、チャンネルブラックのチャンネル法は、主に天然ガスを原料として、不完全燃焼する炎とチャンネル鋼(H型の鋼)を接触させてカーボンブラックを析出させ、これを掻きとって集める方法であるが、収率や環境の面で問題があることから、大量生産プロセスとしてはファーネス法が主流となっている。アセチレンブラックのアセチレン法は、アセチレンガスの熱分解によってカーボンブラックを得る方法で、ストラクチャーが高く、結晶性が高いカーボンブラックが得られ、主に導電性付与剤として使用される。油煙ブラック(ランプブラック)は、油や松を焚いた際に発生する煙から、すすとしてカーボンブラックを回収する方法で紀元前の時代から続く方法であり、大量生産には向かないが、独特の色調を持つカーボンブラックが得られることから固形墨の原料などに使用されている。本発明で用いるカーボンブラック(C)としては、前述のいずれのカーボンブラックでも良いが、価格面から選定するなら、好ましくはファーネス法で生産されたカーボンブラックである。本発明のポリアミド樹脂組成物中のカーボンブラック(C)の含有量は、0~5質量%であり、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品のカラーをブラック以外にする点からは、好ましくは0~0.5質量%、より好ましくは0~0.3質量%である。カーボンブラック(C)の含有量を0質量%とすることは、好ましい態様の一つである。
【0027】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐候変色性を向上させるためにヒンダードアミン光安定剤(D)が添加される。ヒンダードアミン光安定剤(D)とは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン構造を有する化合物(HALS)を指す。具体的には、以下の一般式の化合物およびその組み合わせである。
式中、R
1~R
5は、独立した置換基である。適切な置換基の例は、水素、エーテル基、エステル基、アミン基、アミド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基およびアリール基であり、その置換基は官能基を含有し得る。ヒンダードアミン光安定剤(D)は、ポリマーまたはオリゴマーの一部も形成し得る。
【0028】
ヒンダードアミン光安定剤(D)としては、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン;2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール;ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)ブチルマロネート;ジ-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(Tinuvin(登録商標)770,MW481);N-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとコハク酸のオリゴマー(Tinuvin(登録商標)622);シアヌル酸とN,N-ジ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ヘキサメチレンジアミンのオリゴマー;ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)スクシネート;ビス-(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート(Tinuvin(登録商標)123);ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケート(Tinuvin(登録商標)765);Tinuvin(登録商標)144;Tinuvin(登録商標)XT850;テトラキス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート;N,N’-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ヘキサン-1,6-ジアミン(Chimasorb(登録商標)T5);N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン;2,2’-[(2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジニル)-イミノ]-ビス-[エタノール];ポリ((6-モルホリン-トリアジン-2,4-ジイル)(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-イミノヘキサメチレン-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-イミノ)(Cyasorb(登録商標)UV3346);5-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-2-シクロ-ウンデシル-オキサゾール)(Hostavin(登録商標)N20);1,1’-(1,2-エタン-ジ-イル)-ビス-(3,3’,5,5’-テトラメチル-ピペラジノン);8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ(4,5)デカン-2,4-ジオン;ポリメチルプロピル-3-オキシ-[4(2,2,6,6-テトラメチル)-ピペリジニル]シロキサン(Uvasil(登録商標)299);1,2,3,4-ブタン-テトラカルボン酸-1,2,3-トリス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-4-トリデシルエステル;α-メチルスチレン-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)マレイミドとN-ステアリルマレイミドのコポリマー;1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、β,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノール、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニルエステルとのポリマー(Mark(登録商標)LA63);2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノール、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルエステルとのβ,β,β’,β’-テトラメチル-ポリマー(Mark(登録商標)LA68);D-グルシトール、1,3:2,4-ビス-O-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルイデン)-(HALS7);7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ[5.1.11.2]-ヘンエイコサン-21-オン-2,2,4,4-テトラメチル-20-(オキシラニルメチル)のオリゴマー(Hostavin登録商標)N30);プロパン二酸、[(4-メトキシフェニル)メチレン]-,ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)エステル(Sanduvor(登録商標)PR31);ホルムアミド、N,N’-1,6-ヘキサンジイルビス[N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル(Uvinul(登録商標)4050H);1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N,N’’’-[1,2-エタンジイルビス[[[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]イミノ]-3,1-プロパンジイル]]-ビス[N’,N’’-ジブチル-N’,N’’-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)(Chimassorb(登録商標)119 MW2286);ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]](Chimassorb(登録商標)944 MW2000~3000);1,5-ジオキサスピロ(5,5)ウンデカン3,3-ジカルボン酸、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ペリジニル)エステル(Cyasorb(登録商標)UV-500);1,5-ジオキサスピロ(5,5)ウンデカン3,3-ジカルボン酸、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ペリジニル)エステル(Cyasorb(登録商標)UV-516);N-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル-N-アミノ-オキサミド;4-アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジン;1,5,8,12-テトラキス[2’,4’-ビス(1’’,2’’,2’’,6’’,6’’-ペンタメチル-4’’-ピペリジニル(ブチル)アミノ)-1’,3’,5’-トリアジン-6’-イル]-1,5,8,12-テトラアザドデカン;HALS PB-41(Clariant Huningue S.A.);Nylostab(登録商標)S-EED(Clariant Huningue S.A.);3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ピロリジン-2,5-ジオン;Uvasorb(登録商標)HA88;1,1’-(1,2-エタン-ジ-イル)-ビス-(3,3’,5,5’-テトラ-メチル-ピペラジノン)(Good-rite(登録商標)3034);1,1’1’’-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリス((シクロヘキシルイミノ)-2,1-エタンジイル)トリス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)(Good-rite(登録商標)3150)および;1,1’,1’’-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリス((シクロヘキシルイミノ)-2,1-エタンジイル)トリス(3,3,4,5,5-テトラメチルピペラジノン)(Good-rite(登録商標)3159)が挙げられる。
【0029】
ヒンダードアミン光安定剤(D)の含有量は、本発明のポリアミド樹脂組成物中、0.05~1質量%、好ましくは0.08~1質量%、より好ましくは0.1~1質量%である。本発明のポリアミド樹脂組成物にヒンダードアミン光安定剤(D)を配合することで、耐候性が向上する。配合割合が上記範囲未満であると、耐候性への寄与が少なくなり、一方、上記範囲を越えると、生産時・成形時にガスが多くなり生産性を損なう傾向がある。
【0030】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐候変色性を向上させるために紫外線吸収剤(E)が添加される。ただし、紫外線吸収剤(E)は、必須成分ではない。紫外線吸収剤(E)としては、公知の紫外線吸収剤を使用することができる。具体的には、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、p-t-ブチルフェニルサリシレート、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミル-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-〔2’-ヒドロキシ-3’、5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンアゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾチリアゾール、2,5-ビス-〔5’-t-ブチルベンゾキサゾリル-(2)〕-チオフェン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル燐酸モノエチルエステル)ニッケル塩、2-エトキシ-5-t-ブチル-2’-エチルオキサリックアシッド-ビス-アニリド85~90%と2-エトキシ-5-t-ブチル-2’-エチル-4’-t-ブチルオキサリックアシッド-ビス-アニリド10~15%の混合物、2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-エトキシ-2’-エチルオキサザリックアシッドビスアニリド、2-〔2’-ヒドロオキシ-5’-メチル-3’-(3’’,4’’,5’’,6’’-テトラヒドロフタルイミド-メチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-i-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシルオキシベンゾフェノン、サリチル酸フェニル等が挙げられる。これらの中では、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアゾール系、ニッケル系、サリチル系光安定剤が好ましく、ベンゾトリアゾール系、トリアゾール系がより好ましい。
【0031】
紫外線吸収剤(E)の含有量は、本発明のポリアミド樹脂組成物中、0~1質量%であり、好ましくは0.05~1質量%であり、より好ましくは0.1~0.8質量%である。紫外線吸収剤(E)は、ヒンダードアミン光安定剤(D)と併用することにより、耐候性を一層向上させることができる。
【0032】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐熱性を向上するために、銅化合物(F)を最大0.5質量%の量、さらには少なくとも0.01質量%、多くとも0.4質量%の量で含有することができる。銅化合物(F)が0.01質量%未満の場合、180℃、2000時間における曲げ強度保持率が低い値のままであり、耐熱老化性に効果を与えない可能性がある。一方、0.5質量%を超えて添加しても、それ以上の耐熱老化性の向上は見られず、物性が低下する可能性がある。銅化合物としては、具体的に、塩化銅、臭化銅、沃化銅、酢酸銅、銅アセチルアセトナート、炭酸銅、ホウフッ化銅、クエン酸銅、水酸化銅、硝酸銅、硫酸銅、蓚酸銅などが挙げられる。本発明では、銅化合物と併用する形で他の添加成分(G)として安定剤、例えばハロゲン化アルカリ化合物を配合することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、特に好ましくはヨウ化カリウムである。
【0033】
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)、ガラス繊維(B)、カーボンブラック(C)、ヒンダードアミン光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)及び銅化合物(F)の混合物に対して、本発明の特性を阻害しない範囲で、他の添加成分(G)、例えば上記の安定剤、上記のカップリング剤、無機充填材、光または熱安定剤としてフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、離型剤、結晶核剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料等を最大5質量%の量で配合することができる。この添加成分には、前記各成分をマスターバッチとして用いる場合のマスターベース(樹脂)成分も含む。
【0034】
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、特に制限は無く、各成分を従来公知の混練方法により溶融混練して得ることができる。具体的な混練装置にも制限はなく、例えば単軸または二軸の押出機、混練機、ニーダーなどが挙げられるが、特に二軸押出機が生産性の面で好ましい。スクリューアレンジにも特に制限は無いが、各成分をより均一に分散させるためにニーディングゾーンを設けることが好ましい。具体的な方法としては、ポリアミド樹脂(A)、カーボンブラック(C)、ヒンダードアミン光安定剤(D)、紫外線吸収剤(E)、銅化合物(F)、他の添加成分(G)をブレンダーでプリブレンドし、ホッパーから単軸や二軸の押出機に投入した後、(A)の少なくとも一部が溶融した状態で、溶融混合物中にガラス繊維(B)をフィーダーで単軸や二軸の押出機に投入し、溶融混練後ストランド状に吐出し、冷却、カットする方法が挙げられる。
【0035】
上述のようにして作られた本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物からなる成形品は、特定のポリアミド樹脂(A)と特定の断面積のガラス繊維(B)を用いることにより、成形品の比重ρ(g/cm3)と曲げ弾性率E(GPa)が11<E/ρ<18,1.7<ρ<2.0を満足することができ、良好な耐振動性、極めて高い曲げ強度と耐衝撃性を達成することができる。
【0036】
本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、成形品における残存ガラス繊維長の重量平均が300~1000μmであることが好ましい。残存ガラス繊維長の測定は、以下のように行う。ガラス繊維高充填材料では、ガラス繊維同士の干渉が多く、測定時にガラス繊維が破損しやすく、正確な繊維長を求めにくいので、本発明ではガラス繊維長を正確に測定するため、溶融混練して得られたペレットを650℃にて、2時間強熱し、ガラス繊維を破損することなくガラス繊維を灰分として取り出し、得られたガラス繊維を水に浸し、一般的に用いられる超音波洗浄機にてガラス繊維を分散させる。分散したガラス繊維をプレパラート上に取り出し、デジタルマイクロスコープ(株式会社ハイロックス製KH-7700)で、80倍にて観察し、重量平均の繊維長を求め、残存ガラス繊維長とする。なお、ペレットの形状は、一般的に得られる形状であれば、特に制限はない。例えば、断面は、円形、楕円形、長円形のいずれかであり、直径(短径、長径含む)は、2.0mm~4.0mm、ペレットの長さは、2.5~6.0mm程度である。また、ペレット化の条件は、一般的な条件であれば、特に制限はない。例えば、後記する実施例での方法が挙げられる。
【0037】
共振周波数F(0)は、弾性率E(MPa)と比重ρ(g/cm3)に対して、F(0)∝k(E/ρ)^(1/2)の関係にあり、X=E/ρとして与えられるX値の平方根と比例関係にある。すなわち曲げ弾性率と成形品比重で示すと、比重のわりに曲げ弾性率の高い組成構成は、その成形品における共振周波数がより高くなり、耐振動性能が向上したといえる。主に射出成形を前提とする従来の組成構成は、ガラス繊維の添加量に対して強度や衝撃発現をより高くするために6.5~13μmのガラス繊維径が最適とされていた。すなわち断面積としては、3.3×10-7cm2~1.34×10-6cm2のガラス繊維径が最適として設計されていた。この断面積のガラス繊維は、その細い径ゆえにポリアミド樹脂組成物への充填量は65質量%未満が上限であり、本発明で示され共振周波数がその平方根に比例するところのX値としては、X<11の範囲であった。この領域では十分な共振周波数の高さを得られない。本発明では、これ以上の共振周波数発現をする、射出成形用を前提とするガラス繊維強化樹脂組成物ペレットを得るために、より太いガラス繊維、すなわち断面積が1.5~5.0×10-6cm2のガラス繊維を使用している。加えて、耐候性を付与する場合には一定量以上のカーボンブラックを添加している。従来の断面積のガラス繊維を使用すると、二軸押出機により65質量%以上のガラス繊維とカーボンブラックを含むペレット造粒が極めて困難である。本発明の樹脂組成物からなる成形品は、これらのことを考慮して、良好な耐振動性と耐候性を達成している。カーボンブラックを使用した本発明の樹脂組成物からなる成形品の耐候性としては、紫外線フェードメーターの、83℃降雨なし、照射度500±50W/m2、照射波長300~700ナノメートル、照射時間400時間の処理を行なった成形品と、かかる処理を行なわなかった成形品の色差ΔEが1.5以下であることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、この実施例の物性値の測定方法は以下の方法に従った。
【0039】
(1)ポリアミド樹脂の相対粘度:ポリアミド樹脂0.25gを96%の硫酸25mlに溶解し、この溶液10mlをオズワルド粘度管に入れ、20℃で測定し、以下の式より算出した。
RV=T/T0
RV:相対粘度、T:サンプル溶液の落下時間、T0:溶媒の落下時間
【0040】
(2)ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度(CEG):ポリアミド樹脂0.2gにベンジルアルコール10mlを加え、180℃±5℃にて5分間溶解した。この溶液を水中にて15秒間冷却し、フェノールフタレインを指示薬としてエタノール性水酸化カリウム溶液(0.5NのKOH80mlにエタノールを加え1000mlに調製した)で滴定し、以下の式で算出した。
CEG(meq/kg)={〔(A-B)×N×f〕/(W×1000)}×106
A:滴定量(ml)
B:溶媒のブランク滴定量(ml)
N:エタノール性水酸化カリウムの濃度(mol/l)
f:エタノール性水酸化カリウムのファクター
W:ポリアミド樹脂の質量(g)
【0041】
(3)曲げ強度、曲げ弾性率:ISO-178に準じて測定した。
【0042】
(4)シャルピー衝撃強度:ISO179-1に準じ、試験片形状は1eA(切削ノッチ)で測定した。
【0043】
(5)残存ガラス繊維長:成形品における残存ガラス繊維長を以下の方法で測定した。
ガラス繊維高充填材料ではガラス繊維同士の干渉が多く測定時にガラス繊維が破損しやすく正確な繊維長が求めにくいので、本発明では、ガラス繊維長を正確に測定するため溶融混練して得られたペレットから曲げ試験用成形された成形品を650℃にて2時間強熱しガラス繊維を破損することなくガラス繊維を灰分として取り出し、得られたガラス繊維を水に浸し、分散したガラス繊維をプレパラート上に取り出し、デジタルマイクロスコープ(株式会社ハイロックス製KH-7700)で80倍にて観察し、重量平均の繊維長を求め、残存ガラス繊維長とした。
【0044】
(6)比重:JIS-Z8807に準じて測定した。
【0045】
(7)共振周波数:振動試験はISO6721-1を参考にISO引張りダンベル試験片を使用して、中央加振法で行なった(
図1参照)。試験片中央を加振機に固定し、23℃、50%RHの雰囲気で加振機より振動を与え、加速度応答をISO6721-1に準じてフーリエ変換を行なうことにより周波数応答関数を算出して共振周波数を求めた。
【0046】
(8)生産性:生産可能なものを○とし、押出機からのストランド引取り時にストランド切れの頻度が高かったり、ガスの発生が多かったりして、全く生産が不可能なものを×として表示した。
【0047】
(9)耐候性:紫外線フェードメーターで、83℃降雨なし、照射度500±50W/m2、照射波長300~700nm、照射時間400hr処理した後、JIS-Z8722規格の方法に準じて反射法により色差の測定を行った。紫外線フェードメーターで前述の処理をしていない成形品とのΔEを評価指標とした。紫外線フェードメーターとして、スガ試験機(株)製、U48AUHBBR型を用い、測定器として、スガ試験機(株) SC-T45を使用した。
【0048】
使用したポリアミド樹脂(A)
(a1A)相対粘度RV=1.9のポリアミド6、東洋紡社製「ナイロンT-860」、末端カルボキシル基濃度(CEG:単位meq/kg)=80
(a1B)相対粘度RV=2.4のポリアミド66、ローディア社製「スタバミド23AE」、CEG=91
(a2A)相対粘度RV=2.1のポリアミドMXD6、東洋紡社製「ナイロンT600」、CEG=65、結晶性ポリアミド
(a2B)相対粘度RV=1.7のポリアミドMXD6、東洋紡社製「ナイロンT640」、CEG=35、結晶性ポリアミド
(a2C)相対粘度RV=2.0のポリアミド6T6I、エムス社製「グリボリーG21」、CEG=87、非結晶性ポリアミド
【0049】
使用したガラス繊維(B)
(b1)扁平断面ガラス繊維チョップドストランドとして日東紡社製「CSG3PA810S」、扁平度4.0(短径/長径比=0.25)、短径7μm、繊維長3mm 断面積=1.67×10-6~1.96×10-6cm2
(b2)扁平断面ガラス繊維チョップドストランドとして日東紡社製「CSG3PL810S」、扁平度2.5(短径/長径比=0.4)、短径9μm、繊維長3mm 断面積=1.72×10-6~2.03×10-6cm2
(b3)円形断面ガラス繊維チョップドストランドとして日本電気硝子社製「T-275N」、直径17μm、繊維長3mm 断面積=約2.27×10-6cm2
(b4)円形断面ガラス繊維チョップドストランドとして日本電気硝子社製「T-275H」、直径11μm、繊維長3mm 断面積=約9.50×10-7cm2
【0050】
使用したカーボンブラック(C)
(C)カーボンブラックマスターバッチ
(c1)カーボンブラックマスターバッチ、「住化カラー社製 EPC8E313」マスターベース=LDPE樹脂、カーボンブラック含有量45質量%、ファーネスブラック使用
(c2)カーボンブラックマスターバッチ、「レジノカラー社製 ABF-T-9801」マスターベース=AS樹脂、カーボンブラック含有量45質量%、ファーネスブラック使用
【0051】
使用したヒンダードアミン光安定剤(D)
(D)ヒンダードアミン光安定剤
(d1)ヒンダードアミン光安定剤(クラリアント社製 ナイロスタブS-EED)
(d2)ヒンダードアミン光安定剤(BASF社製 キマゾーブ944F)
【0052】
使用した紫外線吸収剤(E)
(E)紫外線吸収剤
(e1)紫外線吸収剤(BASF社製 チヌビン234)
【0053】
使用した銅化合物(F)
(f1)臭化銅(II)
【0054】
使用した他の添加成分(G)
離型剤:クラリアント社製、モンタン酸エステルワックス「WE40」
安定剤:ヨウ化カリウム
カップリング剤:アミノシランカップリング剤として信越化学社製「KBE903」
顔料:青色顔料として(フタロシアニン銅、和光純薬工業社製)
【0055】
<
参考例1
、参考例2、実施例3,参考例4~7、比較例1~9>
表1に示す配合割合で、ガラス繊維(B)以外の成分をドライブレンドし、コペリオン社製ベント式二軸押出機「STS35mm」(バレル12ブロック構成)を用いてシリンダー温度280℃、スクリュウ回転数250rpmの押出条件で溶融混合し、次いでガラス繊維(B)をサイドフィード方式で供給し溶融混練を行った。押出機から押出されたストランドは急冷してストランドカッターでペレット化した。なお、ペレットの形状は、一般的に得られる形状であれば、特に制限はない。例えば、断面は、円形、楕円形、長円形のいずれかであり、直径(短径、長径含む)は、2.0mm~4.0mm、ペレットの長さは、2.5~6.0mm程度である。また、ペレット化の条件は、一般的な条件であれば、特に制限はない。得られたペレットを100℃で12時間乾燥した後、射出成形機(東芝機械株式会社製、IS80)でシリンダー温度280℃、金型温度80℃、もしくは結晶化の必要に応じて金型温度140℃にて各種試験用試験片を成形して評価に供した。評価結果も表1に記した。なお、
参考例1の共振周波数評価結果のグラフを
図2に示した。
【0056】
【0057】
本実施例(参考例)/比較例では、同じように着色材料で対比を行うため、カーボンブラックを含まない組成物には、青色顔料を含ませた組成物で評価を行った。表1から明らかなように、カーボンブラック、ヒンダードアミン光安定剤、及び紫外線吸収剤を含まず、青色顔料のみを含む比較例9が、各実施例に比べて耐侯性が悪いことから、青色顔料は耐侯性の向上には効いていないことが分かる。
参考例1、参考例2、実施例3,参考例4~7の試験片は、極めて高い共振周波数であるばかりか、曲げ強度、曲げ弾性率及びシャルピー衝撃強度がいずれも優れており、ΔEの値から耐候性に優れ、耐振動成形品として有用な特性値である。比重に対する曲げ弾性率値:X=E/ρも高い値を示している。一方、比較例1~4、8の試験片は、参考例1、参考例2、実施例3,参考例4~7のものに比べて、共振周波数が低く、耐候性が悪いものか、または生産性が悪いものであった。比較例5の試験片は、実施例3のものと比べて、耐侯性が悪いものであった。
比較例6は、前記特許文献5に開示されたものであるが、参考例1、参考例2、実施例3,参考例4~7は、この比較例6と同等以上の耐侯性を有することが分かる。ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品のカラーをブラック以外にするためには、カーボンブラックの含有量を0.5質量%以下にすると良いが、比較例7のように単にカーボンブラックの含有量を少なくするだけでは、耐侯性が悪くなる。カーボンブラックの含有量を0.5質量%以下として、ヒンダードアミン光安定剤、及び紫外線吸収剤を所定量含有する参考例2、実施例3、参考例4~7のものは、耐侯性も優れ、成形品のカラーをブラック以外に着色することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のポリアミド樹脂組成物による成形品は、極めて高い共振周波数故に、高い耐振動特性を有し、かつ曲げ強度と曲げ弾性率、耐衝撃値においても高い特性を発現している。さらに耐候性も大幅に向上させている。それゆえ、携帯電話、パソコンなどの電子電機機器筐体や、自動車部品に適しており、特に車両用鏡体保持部品に最適である。