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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】熱風乾燥機とその方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 21/00 20060101AFI20220926BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20220926BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
F26B21/00 C
F26B3/04
F26B9/06 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018070732
(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2019184081
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】吉瀬 泰宏
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-016991(JP,U)
【文献】特開昭52-145569(JP,A)
【文献】実開昭57-050698(JP,U)
【文献】特開2017-026257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 21/00
F26B 3/04
F26B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体は、天井の一角にダンパー付きの吸込み筒を備えた一方部屋、及びこの一方部屋と区画され、かつ前記天井の異なる一角にダンパー付きの排気筒を備えた他方部屋でなり、
この一方部屋と前記他方部屋とを区画する内壁を備え、
この内壁の上下に第一・第二連結通路を形成し、
この第一連結通路は開口とし、
この第二連結通路には、前記第二連結通路を開閉する第一扉を設け、
前記一方部屋には、上下の開口を備えたバイパス通路を形成し、
このバイパス通路の前記下の開口を開閉する第二扉を設け、
この第二扉と、前記第一扉の間にリンク機構を設け、前記第二扉と、前記第一扉を平面視してL形に配し、
前記一方部屋の熱風生成部には、ファン付きバーナ、及び熱交換筒、並びに空気・熱風流動を司るファンを設け、
前記吸込み筒と、前記バイパス通路の前記上の開口を経由し
吸込まれた空気は、前記吸込み筒から前記熱風生成部に至り、この熱風生成部で熱風に変換された後、前記バイパス通路の前記下の開口を経由し、前記他方部屋に至る構成とするとともに、前記バイパス通路の前記上の開口は、前記熱風生成部の上部に開口、かつ前記バイパス通路の前記下の開口は、前記熱風生成部の下部に開口し、
前記他方部屋に、被処理物を収容したエビラをセット、
する構成とした熱風乾燥機。
【請求項2】
前記吸込み筒から前記熱風生成部に導入された吸込み空気は、この熱風生成部で熱風に変換された後、前記第二連結通路から、前記他方部屋に到り、この他方部屋で働きを終えて降温した空気は、前記他方部屋の前記排気筒から前記筐体外に排気可能とする構成とした請求項1に記載の熱風乾燥機。
【請求項3】
前記バイパス通路は、前記一方部屋の一方側の上下方向に、前記熱交換筒に併設するように設け、前記上下が開口し、この下の開口を、前記第二扉で、開閉可能とする構成とした請求項1に記載の熱風乾燥機。
【請求項4】
前記第二扉は、前記リンク機構を介して、前記第一扉の開放時に、前記バイパス通路を閉塞する構成とした請求項1に記載の熱風乾燥機。
【請求項5】
前記リンク機構は、前記筐体の柱に設けたブラケットに貫設した第一杆と、この第一杆に設けた第一リンクと、この第一リンクに一端を固止し、その他端を、前記第二扉に固止した第二杆と、この第二杆に枢支した第二リンクと、この第二リンクに設けた第三杆と、この第三杆に第三リンクを介して設けた第四杆と、を備え、この第四杆を前記第一扉の側面に固止する構成とした請求項1に記載の熱風乾燥機。
【請求項6】
前記筐体は、総ステンレス素材で構成した請求項1に記載の熱風乾燥機。
【請求項7】
筐体は、天井の一角にダンパー付きの吸込み筒を備えた一方部屋、及びこの一方部屋と区画され、かつ前記天井の異なる一角にダンパー付きの排気筒を備えた他方部屋でなり、
この一方部屋と前記他方部屋とを区画する内壁を備え、
この内壁の上下に第一・第二連結通路を形成し、
この第一連結通路は開口とし、
この第二連結通路には、前記第二連結通路を開閉する第一扉を設け、
前記一方部屋には、上下の開口を備えたバイパス通路を形成し、
このバイパス通路の前記下の開口を開閉する第二扉を設け、
この第二扉と、前記第一扉の間にリンク機構を設け、前記第二扉と、前記第一扉を平面視してL形に配し、
前記一方部屋の熱風生成部には、ファン付きバーナ、及び熱交換筒、並びに空気・熱風流動を司るファンを設け、
前記吸込み筒と、前記バイパス通路の前記上の開口を経由し
吸込まれた空気は、前記吸込み筒から前記熱風生成部に至り、この熱風生成部で熱風に変換された後、前記バイパス通路の前記下の開口を経由し、前記他方部屋に至る構成とするとともに、前記バイパス通路の前記上の開口は、前記熱風生成部の上部に開口、かつ前記バイパス通路の前記下の開口は、前記熱風生成部の下部に開口し、
前記他方部屋に、被処理物を収容したエビラをセット、
する構成とした熱風乾燥機において、
前記一方部屋と前記他方部屋を区画する前記内壁の上下に形成した前記第一・第二連結通路を介して、前記一方部屋に導入した空気を、この一方部屋で熱気に変換し、前記第二連結通路を介し、前記他方部屋に導入した熱気を当てて、この他方部屋に収容した被乾燥物を乾燥処理し、この乾燥処理により降温した降温熱気を、前記排気筒より、外部に排気するイ工程、
前記他方部屋を、前記筐体が備える開閉扉で開放時に、前記第二連結通路を前記第一扉で閉塞し、併せて、前記一方部屋の前記バイパス通路を利用し、前記一方部屋の熱気を、前記バイパス通路内で循環させ、この熱風、及び/又は、前記一方部屋に在るバーナ、及び/又は、熱交換機の温度低下を回避するロ工程、
を備えることを特徴とする構成とした熱風乾燥機の送風方法。
【請求項8】
前記熱風は、前記他方部屋における乾燥処理での降温を除いて、前記バイパス通路を循環移行することで、一定の熱さを確保可能とした請求項7に記載の熱風乾燥機の送風方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱風乾燥機に関する。その詳細は、椎茸、その他の農産物、等の作物、又は魚介物とか、その他の加工物(加工品)等の食品(被処理物)を乾燥する、主として、食品用の熱風乾燥機とその方法である。
【背景技術】
【0002】
通常の熱風乾燥機において、稼働中、所謂、乾燥中には、頻繁に開閉扉(本実施例で述べる、他方部屋の開閉を司る開閉扉)の開閉を繰り返すことはない。しかしながら、乾物類では,乾燥途中にエビラ(トレー)を取り出し、このエビラ内の乾物を撹拌しなくてはならない場合がある、特に味付けをした後の乾物では、くっ付き易い。くっ付きが生ずることで、形・味の劣化、品質低下等を招来し、結果として、例えば、価格低下の要因となる。従って、この種の所作は、必須事項である。
【0003】
このような状況において、熱風乾燥機の開閉扉を開けると、熱風降温を招くとともに、降温回復を意図して、着火と燃焼とを繰り返すことになる。熱交換筒(熱発生炉)・バーナの高熱化とか、燃料ロスの発生とかを生じ、最悪の場合には、熱交換筒・ファンバーナ等を、急冷、及び/又は、切替え頻度、又は熱風等で壊す可能性がある。
【0004】
また、前述の諸悪発生を回避するために、例えば、本来は開閉扉の開放は、バーナを切り、及び/又は、熱交換筒等(熱風生成部)の温度を下げてから、行う必要がある。しかしながら、このような所作を行うと、乾物(被処理物)の冷えと、この乾物の冷えによる、品質劣化とか、効率悪化とかを招くことになる。
【0005】
以上の現状を踏まえて、先行技術を検討する。熱風乾燥機において、開閉扉の開閉と、熱風、空気等の流れを制御する発明は見当たらなかった。一般的な、熱風の吸排気に関しては、特開2006-337003号公報に記載された文献がある(文献(1)とする)。この文献(1)は、「乾燥機および乾燥制御方法」であって、多数の乾燥室ユニットを設置可能な構造であって、吸排気制御を、上下の通路と、この通路に設けたダンパーで制御する構造と方法とが開示されている。熱風と降温熱風の流れに関しては、段落0041と、図7~8を基にして、次のように説明がある。即ち、図7に示す乾燥初期の段階では、各乾燥室ユニット(12)の排気口(34から全量機外へ排出し、図8に示す乾燥中期の段階では、熱風戻し口(36)、熱風循環口(35)を通り、熱風発生装置(11)との間で全量の1/2を循環させる。図9に示す乾燥後期の段階では全循環させる。しかし、このような熱風の流れと制御に関しては一般的であって、本発明が意図する後述する構造と、熱風制御機構ではない。
【0006】
また、分野を限定せず、全般の分野において、先行技術を挙げると、特開2012-211711号公報に記載された文献がある(文献(2)とする)。ドラフトチャンバーの排気装置であって、段落0024によれば、「ドラフトチャンバー(1)が備える排気装置は、開閉用ダンパー(23)と前扉(16)との間に設けた開閉連動機構(40)を備えている。この開閉連動機構(40)によって、開閉用ダンパー(23)の開閉動作が前扉(16)の開閉動作に連動するようになっており、かつ、開閉用ダンパー(23)による排気ダクト(20)の開度が前扉(16)の開閉による開口部(15)の開度と等しい割合で変化するように設定されている。これにより、前扉(16)の開度に関わらず、処理室(5)内の排気による風速を一定に保つことができる。」という記載がある。しかし、この開閉連動機構(40)は、開閉用ダンパー(23)と排気ダクト(20)との動作が連動することに留まり、前記文献(1)と同様に、本発明が意図する後述する構造と、熱風制御機構ではない。
【0007】
【文献】特開2006-337003号公報
【文献】特開2012-211711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】

上記に鑑み、本発明は、熱風乾燥機を止めずに開閉扉の開閉を繰り返せる装置と送風方法を提案する。即ち、(イ)乾燥中は他方部屋(乾燥室)に熱風を送り、開閉扉が開いた瞬間、一方部屋(機械室=熱発生炉、即ち、バーナ、及び熱交換筒等)中だけで(バイパス通路)循環させる機構である。(ロ)利点は、1.急冷・ON/OFF切換え等による機械の損傷がない。2.被処理物に冷気が入らないため、被処理物品温を維持できる。3.開閉扉を閉めた瞬間から、必要な熱風が得られる。4.乾燥時間が短縮できる。5.開閉扉の開閉を気にすることなく乾燥が行える。(ハ)構造(機構)のポイントは、6.バイパス通路を設けたことで、例えば、開閉扉を開放した瞬間に、第二扉の遮断でバイパス通路を形成できる送風(制御)方法であり、開閉扉の閉塞時には、他方部屋でのON/OFF制御を、開閉扉の開放時には、一方部屋でのON/OFF制御を可能とする構造である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の(イ)~(ハ)を達成し、かつ従来にない特徴を発揮するために、請求項1~請求項8の発明を開示する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、筐体は、天井の一角にダンパー付きの吸込み筒を備えた一方部屋、及び一方部屋と区画され、かつ天井の異なる一角にダンパー付きの排気筒を備えた他方部屋でなり、
一方部屋と他方部屋とを区画する内壁を備え、
内壁の上下に第一・第二連結通路を形成し、
第一連結通路は開口とし、
第二連結通路には、第二連結通路を開閉する第一扉を設け、
一方部屋には、上下の開口を備えたバイパス通路を形成し、
バイパス通路の下の開口を開閉する第二扉を設け、
第二扉と、前記第一扉の間にリンク機構を設け、第二扉と、第一扉を平面視してL形に配し、
一方部屋の熱風生成部には、ファン付きバーナ、及び熱交換筒、並びに空気・熱風流動を司るファンを備え、
吸込み筒と、バイパス通路の上の開口を経由し、
吸込まれた空気は、吸込み筒から熱風生成部に至り、この熱風生成部で熱風に変換された後、バイパス通路の下の開口を経由し、他方部屋に至る構成とするとともに、バイパス通路の上の開口は、熱風生成部の上部に開口、かつバイパス通路の下の開口は、熱風生成部の下部に開口し、
前記他方部屋に、被処理物を収容したエビラをセット、
する構成とした熱風乾燥機である。
【0011】
これにより、請求項1では、(イ)乾燥中は他方部屋に熱風を送り、開閉扉が開いた瞬間、一方部屋中だけの状態で循環させる機構となり、(ハ)構造のポイントは、6.バイパス通路を設けたことで、例えば、開閉扉を開放した瞬間に、第二扉の遮断でバイパス通路を形成できる送風機構であり、開閉扉閉塞時には、他方部屋でのON/OFF制御を、開閉扉開放時には、一方部屋でのON/OFF制御を可能とする。その効果は、(ロ)1.急冷・ON/OFF切換え等による機械の損傷がない。2.被処理物に冷気が入らないため、被処理物品温を維持できる。3.開閉扉を閉めた瞬間から、必要な熱風が得られる。4.乾燥時間が短縮できる。5.開閉扉の開閉を気にすることなく乾燥が行える。ことである。
【0012】
請求項2の発明では、吸込み筒から熱風生成部に導入された吸込み空気は、熱風生成部で熱風に変換された後、第二連結通路から、他方部屋に到り、他方部屋で働きを終えて降温した空気は、他方部屋の排気筒から筐体外に排気可能とする熱風乾燥機である。
【0013】
これにより、請求項2では、前述の請求項1と、同じ機構、構造としての特徴が確保できることと、又はそれによる効果が期待できる。
【0014】
請求項3の発明では、バイパス通路は、一方部屋の一方側の上下方向に、熱交換筒に併設するように設け、上下が開口し、下の開口を、第二扉で、開閉可能とする構成とした熱風乾燥機である。
【0015】
これにより、請求項3では、請求項1・2の機構と効果とを達成できるバイパス通路の構造を提案できる。
【0016】
請求項4の発明では、第二扉、リンク機構を介して、第一扉の開放時に、バイパス通路を閉塞する構成とした熱風乾燥機である。
【0017】
これにより、請求項4では、請求項1・2の機構と効果とを達成できる第一・第二扉と、両者を繋ぐリンク機構の構造を提案できる。
【0018】
請求項5の発明では、リンク機構は、筐体の柱に設けたブラケットに貫設した第一杆と、第一杆に設けた第一リンクと、第一リンクに一端を固止し、他端を、第二扉に固止した第二杆と、第二杆に枢支した第二リンクと、第二リンクに設けた第三杆と、第三杆に第三リンクを介して設けた第四杆と、を備え、第四杆を第一扉の側面に固止する熱風乾燥機である。
【0019】
これにより、請求項5では、請求項1・2の機構と効果とを達成できるリンク機構の構造を提案できる。
【0020】
請求項6の発明では、筐体は、総ステンレス素材で構成した熱風乾燥機である。
【0021】
これにより、請求項6では、請求項1・2の機構と効果とを達成できる特定した素材を提案できる。
【0022】
請求項7の発明では、筐体は、天井の一角にダンパー付きの吸込み筒を備えた一方部屋、及び一方部屋と区画され、かつ天井の異なる一角にダンパー付きの排気筒を備えた他方部屋でなり、
一方部屋と他方部屋とを区画する内壁を備え、
内壁の上下に第一・第二連結通路を形成し、
第一連結通路は開口とし、
第二連結通路には、第二連結通路を開閉する第一扉を設け、
一方部屋には、上下の開口を備えたバイパス通路を形成し、
バイパス通路の下の開口を開閉する第二扉を設け、
第二扉と、第一扉の間にリンク機構を設け、第二扉と、第一扉を平面視してL形に配し、
一方部屋の熱風生成部には、ファン付きバーナ、及び熱交換筒、並びに空気・熱風流動を司るファンを設け、
吸込み筒と、バイパス通路の上の開口を経由し、
吸込まれた空気は、吸込み筒から熱風生成部に至り、この熱風生成部で熱風に変換された後、バイパス通路の下の開口を経由し、他方部屋に至る構成とするとともに、バイパス通路の上の開口は、熱風生成部の上部に開口、かつバイパス通路の下の開口は、熱風生成部の下部に開口し、
他方部屋に、被処理物を収容したエビラをセット、
する構成とした熱風乾燥機において、
一方部屋と他方部屋を区画する内壁の上下に形成した第一・第二連結通路を介して、一方部屋に導入した空気を、一方部屋で熱気に変換し、第二連結通路を介し、他方部屋に導入した熱気を、他方部屋に収容した被乾燥物を乾燥処理し、乾燥処理により降温した降温熱気を、排気口より、外部に排気するイ工程、
他方部屋を、前記筐体が備える開閉扉で開放時に、第二連結通路を第一扉で閉塞し、併せて、一方部屋のバイパス通路を利用し、一方部屋の熱気を、バイパス通路内で循環させ、熱風、及び/又は、一方部屋に在るバーナ、及び/又は、熱交換機の温度低下を回避するロ工程、
を備えることを特徴とする構成とした熱風乾燥機である。
【0023】
これにより、請求項7では、(イ)乾燥中は他方部屋に熱風を送り、開閉扉が開いた瞬間、一方部屋中だけの状態で循環させる機構となり、(ハ)構造のポイントは、6.バイパス通路を設けたことで、例えば、開閉扉を開放した瞬間に、第二扉の遮断でバイパス通路を形成できる送風方法であり、開閉扉閉塞時には、他方部屋でのON/OFF制御を、開閉扉開放時には、一方部屋でのON/OFF制御を可能とする。その効果は、(ロ)1.急冷・ON/OFF切換え等による機械の損傷がない。2.被処理物に冷気が入らないため、被処理物品温を維持できる。3.開閉扉を閉めた瞬間から、必要な熱風が得られる。4.乾燥時間が短縮できる。5.開閉扉の開閉を気にすることなく乾燥が行える。ことである。
【0024】
請求項8の発明では、熱風は、他方部屋における乾燥処理での降温を除いて、バイパス通路を循環移行することで、一定の熱さを確保可能とした熱風乾燥機である。
【0025】
これにより、請求項8では、請求項7の機構と効果とを達成できるバイパス通路を循環移行する送風方法を提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の全体を示した俯瞰正面斜視図
図2図1において、開閉扉を解放し、内部を透視し、他方部屋を示した俯瞰正面斜視図
図3図1において、開閉扉を解放し、内部を全体透視して示した俯瞰正面斜視図
図4図1において、内部を透視し、一方部屋を示した俯瞰正面斜視図
図5図4に示した一方部屋を抽出し、その内部を透視して示した俯瞰正面斜視図
図6図4に示した一方部屋を抽出し、その内部を示した俯瞰正面斜視図本発明の外壁と正面扉を開放し、ファンの収容状態を示した一部切欠きの俯瞰正面斜視図
図7】一方部屋から他方部屋に亙って、吸込み空気と熱風、及び降温した空気の流れを説明する縦方向に切断し、内部の要部を示したロ工程を説明する俯瞰正面斜視図
図8】一方部屋とバイパス通路を流れる熱風を説明する縦方向に切断し、内部の要部を示した一部欠截のロ工程を説明する俯瞰正面斜視図
図9図8において、筐体の底部を拡大し、底部に備えた部品と、第一・第二扉と、リンク機構とを示した俯瞰正面斜視図
図10図9で示した第一・第二扉と、リンク機構とを示した一部欠截の俯瞰正面斜視図
図11図9で示した第一・第二扉及びリンク機構を動作させ、第二連結通路を開放しバイパス通路を開放した状態の俯瞰正面斜視図
図12図9で示した第一・第二扉により、第二連結通路を閉塞しバイパス通路を解放した状態の俯瞰正面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0027】
1はステンレス製でなる筐体であり、後述する他方部屋を開放する開閉扉2を備える。筐体1は第一内壁3により一方部屋100と他方部屋101とに区分するとともに、内壁3の上下を開口して第一連結通路300と、第二連結通路301とを形成する。この第一連結通路300と第二連結通路301は、共に一方部屋100と他方部屋101とに繋がる。即ち、第二連結通路301は熱風A(高温空気)、第一連結通路300は降温空気Bの通路となる。図中Cは吸込み空気を示す。
【0028】
尚、一方部屋100には、バイパス通路5が形成されるが、この例では、一方部屋100の一方側で、一方部屋100に設けた、後述する熱交換筒に併設するように設けた箱型ケース500であり、バイパス通路5は、望ましくは、筐体1に設けた開閉扉2と同じ方向1aの横並びであって、一方部屋100の内部100aに設けられる。また、このバイパス通路5の上下は開口5a、5bであり、上の開口5aは、常時、開口であり、下の開口5bは第二扉6で開閉する。
【0029】
この一方部屋100には、吸込み空気C(取り入れた空気)を熱風Bに変換する、又は吸込み・搬送するための機器が備えられており、例えば、内部100aには、上から順に、熱風生成部となる吸込み筒7、熱交換筒8と、ファン付きバーナ9と、吸込み筒7に設けたファン10と、を備える。従って、吸込み用の開口(吸込み口)100bからの吸込み空気Cは、吸込み筒7→熱交換筒8→第二連結通路301に導くとともに、熱交換筒8との接触で熱風Aに変換する。尚、熱交換筒8はバーナ9で熱せられるとともに、吸込み空気Cを熱風Aに変換する。また、熱交換筒8の下側にある空間(周辺隙間)と第二連結通路301とは繋がっている。吸込み筒7は、一方部屋100の天井に開口する吸込み口100bに設けた吸込み筒11に間接的に繋がり、かつ前述の如く、吸込み空気Cを、吸込み筒7に導く構造である。図中12は、吸込み筒11に設けたダンパーである。
【0030】
次に他方部屋101は、エビラ等の被処理物、又は荷台等を出し入れできる開口101aを備えており、この開口101aには開閉扉2を配備し、この開閉扉2で、他方部屋101の内部101bを開閉する。そして、内部101の側面の壁面101cと対峙する内壁3の壁面3aには、エビラ支持用の棚22、23が多数個設けられている。この棚22、23の間にエビラが差込み支持される。また、この棚22、23は、複数本を単位として、壁面101c・3aに着脱自在に配備される。従って、清掃とか損傷等の際に有益である。この他方部屋101の天井には、開口101dを設け、この開口101dに排気筒101eとダンパー101fとを配備する。従って降温した空気Bを、ダンパー101fを開放した状態で外部に排気する。
【0031】
また、内壁3の第二連結通路301と、バイパス通路5とは、第一扉30と第二扉6で開閉される。この開閉は、例えば、次のようなリンク機構の構造とする。内壁3、又は柱32に固止したブラケット33と、このブラケット33に貫設し、かつ他方部屋101の内部101bに向った枝杆34aを備えた第一杆34と、この第一杆34を支持する(枢支する)第一リンク35と、第一リンク35に一端を支持し、かつ第二扉6を架承する第二杆36と、この第二杆36に支持する第二リンク37と、この第二リンク37と第三リンク38とを中継する第三杆39と、前記第三リンク38を第二扉6に繋ぐ第四杆40とで構成される。
【0032】
図中Dは、燃焼ガスを排気する煙突である。
【0033】
リンク機構の動きを説明すると、図12に示した、バイパス通路5が閉塞されており、第二連結通路301が第一扉30によって閉塞されている(開閉扉2が開いている)状態から、開閉扉2を閉めると、第一杆34が開閉扉2でイ方向に押圧されて、枝杆34aと第一リンク35、及び第二リンク37が共に矢視ロ方向に回転する。この第一リンク35、及び第二リンク37のロ方向への回転により、矢視ロ方向に、第二扉6が回転し、バイパス通路5は、図12閉塞状態から、図11開放状態となる。そして、この第二リンク37の回転は、第三杆39をハ方向に押し下げる。この押し下げによって、第三リンク38がニ方向の反時計方向に回転する。第三リンク38の反時計方向の回転によって、この第三リンク38に支持した第四杆40もニ方向の反時計方向に回転する。この回転により、当該第四杆40に支持されている第一扉30もニ方向の反時計方向に回転する。そして、この第一扉30の回転で、図11の如く、第二連結通路301が開放される。
【0034】
次に、図7図8とにより、空気の流れを説明する。図7はイ工程を説明するものであり、吸込み空気C、熱風A、及び降温した空気Bの流れを説明する。少なくとも、一方部屋100のダンパー12を開放し、吸込み筒11より吸込んだ吸込み空気C(外気)は、ファン10の吸込み力を利用して、熱交換筒8(燃焼筒)に到り、熱交換により熱風Aに変換される。この熱風Aは、一方部屋100の下側の空間より第二連結通路301を通り、他方部屋101の下側より上昇して、降温した空気Bとなり、他方部屋101の上側の第一連結通路300より、再び熱交換筒8に到る。被処理物の乾燥工程である。この乾燥工程では、第二連結通路301は開放されており、バイパス通路5は、第二扉6で閉塞されている(図11の状態である)。尚、他方部屋101のダンパー101fは開放であるが限定されない。
【0035】
図8は、熱風Aの流れ(循環)を説明する。ロ工程を説明するものであり、少なくとも、ダンパー12、101gを閉塞、かつ一方部屋100の吸込み口100bと、他方部屋101の開口101eを閉塞し、筐体1を密封する。また、バイパス通路5の第二扉6を開放するとともに、内壁3の第二連結通路301を第一扉30で閉塞する(図12の状態である)。併せて、バイパス通路5を熱風Aが循環できるように上下の開口5a、5bは開放する。従って、熱風Aは、一方部屋100の吸込み筒7→熱交換筒8を経由し、下の開口5b→上の開口5aという循環流れであり、熱風Aの降温(熱量の低下)をなくし得る。即ち、熱エネルギーのロス発生を回避できる。尚、ファン10の吸込み力は維持されている。
【0036】
図8で示したバイパス通路5と熱交換筒8との一方部屋100(機械室)における、熱風Aのバイパス(循環)の流れは、熱風乾燥の各箇所の動作を止めずに、開閉扉2の開閉を繰り返せる方法であり、例えば、被処理物の乾燥中は、他方部屋101に熱風Aを送り、開閉扉2を開いたとき(望ましくは、瞬間)に、熱風Aは、機械室においてのみ循環させる機構である。
【0037】
次のような利点がある。
【0038】
1.急冷、及び/又は、ON/OFFの切替え(例えば、バーナ9等のON/OFF)による機械室の機械の損傷がない。2.熱風Aの降温防止と、省エネルギー達成が可能となる。3.開閉扉2を閉めた瞬間から、必要な熱風Aが得られ、かつ速やかな乾燥ができる。4.時間短縮化と、品質確保ができる。5.開閉扉2の開閉を気にすることなく乾燥が行える。6.バイパス通路5への切り替え(乾燥と、乾燥停止と)が、開閉扉2の開閉動作で、自動に切り替わる。7.その他として、ダンパー12、101fによる一方部屋100と他方部屋101の密封度が確保できる。
【0039】
前述した各実施例等は、本発明の好ましい一例の説明であり、各実施例とか図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0040】
1 筐体
1a 方向
100 一方部屋
100a 内部
100b 開口(吸込み口)
101 他方部屋
101a 開口
101b 内部
101c 壁面
101d 開口
101e 排気筒
101f ダンパー
2 開閉扉
3 内壁
3a 壁面
300 第一連結通路
301 第二連結通路
5 バイパス通路
5a 上の開口
5b 下の開口
500 ケース
6 第二扉
7 吸込み筒
8 熱交換筒
9 バーナ
10 ファン
11 吸込み筒
12 ダンパー
22 棚
23 棚
30 第一扉
32 柱
33 ブラケット
34 第一杆
34a 枝杆
35 第一リンク
36 第二杆
37 第二リンク
38 第三リンク
39 第三杆
40 第四杆
A 熱風
B 降温した空気
C 吸込み空気
D 煙突
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12