(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】識別装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/20 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B65B61/20
(21)【出願番号】P 2018101424
(22)【出願日】2018-05-28
【審査請求日】2021-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-09
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貴之
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】當間 庸裕
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-290752(JP,A)
【文献】特開2004-10102(JP,A)
【文献】特開2018-2290(JP,A)
【文献】特開2018-2245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B59/00-65/08
B65B57/00
B65B23/02
B65B43/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する容器本体と、容器本体の一側縁に折り曲げ部を介して設けられた蓋体とを有する容器の種類を識別する識別装置であって、
蓋体が開いた状態で蓋体の側方から蓋体の形状を検知する蓋検知部を備え、
蓋検知部の検知結果に基づいて容器の種類を識別する、識別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一経路上に混在する複数種類の容器を識別する識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような容器の一例として、いわゆる「卵パック」と呼ばれる、卵の包装に用いられる容器が挙げられる。卵の包装に用いられる容器の代表的なものには、容器本体及び蓋体が、複数の卵の外形に沿って凹凸に形成された、いわゆる「レギュラーパック」と、蓋体の天壁が側面視で略平坦に形成された、いわゆる「フラットパック」がある。
【0003】
レギュラーパックには、L、M、MSといったサイズ情報が記載された短冊状のラベルが投入された後で蓋体が閉じられる。短冊状のラベルは、卵と蓋体との間に挟まれる。一方、フラットパックには、そのような短冊状のラベルが投入されることなく蓋体が閉じられる。その後、フラットパックには、粘着面を有するラベル(以下、「上貼りラベル」と記す。)が蓋体に貼り付けられる(例えば、
図4を参照)。このように、容器の種類によって、蓋体を閉じる前後の処理が大きく異なる。
【0004】
ところで、特許文献1には、卵パックの蓋体を閉じた後に、光センサを用いて、卵パックの検出を行う従来技術が示されている。この他にも、フラットパックのみに上貼りラベルを貼り付けるラベル貼付装置の上流側で、光センサ等を用いて卵パックを検出する検査装置が開発されている。この検査装置は、卵パックの蓋体を閉じた後に、同一経路上に混在する複数種類の容器の中から、フラットパックを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、GPセンター(Grading & Packing Center)では、ますます省人化が進んできており、レギュラーパックへ短冊状のラベルを投入するラベル投入装置や、レギュラーパック内に短冊状のラベルが収まっているか否かを検査するラベル検査装置と関連付けて用いることができるように、レギュラーパックであるか否かの識別を自動化することが求められている。しかしながら、従来のものはいずれも、蓋体を閉じた後に検査していたため、このような要求に応えることはできなかった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目したものであり、同一経路上に混在する複数種類の容器を識別する識別装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の識別装置は、物品を収容する容器本体と、容器本体の一側縁に折り曲げ部を介して設けられた蓋体とを有する容器の種類を識別する識別装置であって、蓋体が開いた状態で蓋体の側方から蓋体の形状を検知する蓋検知部を備え、蓋検知部の検知結果に基づいて容器の種類を識別する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同一経路上に混在する複数種類の容器を識別する識別装置を提供できる。
【0010】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態を示すラベル検査システムを示す概略平面図である。
【
図2】同実施形態の識別装置を示す概略平面図である。
【
図3】同実施形態の識別装置を示す搬送方向に沿った方向から観察した図である。
【
図4】同実施形態で用いられるフラットパックの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に示す物品が卵Eの場合である一実施形態について、
図1~
図4を用いて説明する。本実施形態では、本発明の識別装置1をラベル検査システム10に適用した場合について説明する。
【0013】
ラベル検査システム10は、
図1及び
図2に示すように、識別装置1と、ラベル検査装置8とを備える。本実施形態のラベル検査システム10は、一の搬送装置20で搬送される複数種類の容器を識別する。そして、レギュラーパックP1であるか否かの情報に基づいて、蓋体P12が開いた状態のレギュラーパックP1に対して、ラベルP13が所定の位置に存在しているか否かを検査する。
【0014】
まず、容器について説明する。容器(レギュラーパックP1、または、フラットパックP2)は、容器本体P11、P21と、蓋体P12、P22とを備える。容器本体P11、P21は、卵Eを収容するものである。例えば、2列に並んだ10個のホールP14、P24を備える。各ホールP14、P24は、卵Eに沿った形状に形成されており、各ホールP14、P24には、1個の卵Eのうち下半部が収容される。レギュラーパックP1の容器本体P11は、2列に並んだ卵Eの間に、短冊状のラベルP13が配置されている。
【0015】
蓋体P12、P22は、容器本体P11、P21の一側縁に折り曲げ部P19、P29を介して設けられている。蓋体P12、P22の高さ寸法は、容器本体P11、P21の高さ寸法よりも小さく設定されている。
【0016】
レギュラーパックP1の蓋体P12は、容器本体P11のホールP14と同数のホールP15を備える。各ホールP15は、卵Eに沿った形状に形成されており、各ホールP15には、1個の卵Eのうち上半部が収容される。
【0017】
フラットパックP2の蓋体P22は、側面視でほぼ平坦な天壁P25と、天壁P25の内側に形成された支柱P26とを備える。支柱P26を避けた空間には、卵Eのうち上半部が収容される。蓋体P22の側壁P27、P28には、レギュラーパックP1のような大きな凹凸形状が表れない。なお、
図4は、フラットパックP2の形状を説明するための図であり、(a)では、フラットパックP2の蓋体P22を閉じて粘着テープで封緘した状態を示し、(b)では、さらに上貼りラベルP23を貼り付けた状態を示している。
【0018】
識別装置1は、
図1~
図3に示すように、容器の種類を識別する。識別装置1は、少なくとも蓋検知部2を備え、蓋検知部2の検知結果に基づいて容器の種類を識別する。本実施形態の識別装置1は、蓋検知部2と、容器検知部3と、本体検知部4と、ガイド部5、容器識別部6とを備える。
【0019】
蓋検知部2は、
図1~
図3に示すように、蓋体P12、P22が開いた状態で蓋体P12、P22の側方から、蓋体P12、P22の形状を検知する。「蓋体P12、P22の側方」とは、蓋体P12、P22の中で容器本体P11、P21から一番離れた側を指す。蓋検知部2は、投・受光器21および反射板22で構成された、いわゆる回帰反射型の光電センサである。蓋検知部2は、投光器から照射され、反射板22によって反射された光が受光器に到達する量の変化を検出して電気信号に変換する。投・受光器21は、搬送装置20の外側に配置される。反射板22は、搬送装置20とガイド部5との境界部分に配置される。言い換えれば、反射板22は、蓋体P12、P22が開いた状態の容器の折り曲げ部P19、P29付近に位置するように配置される。より具体的に説明すれば、フラットパックP2の場合、投・受光器21は、蓋体P22の側壁のうち、折り曲げ部P29から最も離れた側壁P27の外側から光を照射する。そして、蓋体P22の側壁のうち、折り曲げ部P29に最も近い側壁P28の外側に配置された反射板22で光を反射する。一方、レギュラーパックP1の場合、投・受光器21は、蓋体P12のホールP15を形成する側壁のうち、折り曲げ部P19から最も離れた部分の外側から光を照射する。そして、蓋体P12のホールP15を形成する側壁のうち、折り曲げ部P19に最も近い部分の外側に配置された反射板22で光を反射する。また、投・受光器21と反射板22とを結ぶ仮想線は、搬送装置20の搬送方向と交差するように蓋検知部2が配置されている。なお、蓋検知部2は、光電センサによるものに限られない。
【0020】
容器検知部3は、
図1~
図3に示すように、容器本体P11、P21の側方から、搬送される容器の先端と終端を検知する。容器検知部3は、蓋検知部2と同一またはこれに準じた回帰反射型の光電センサである。投・受光器31は、搬送装置20の外側に配置される。反射板32は、搬送装置20を挟んで投・受光器31の反対側に配置される。なお、容器検知部3は、光電センサによるものに限られない。
【0021】
本体検知部4は、
図1~
図3に示すように、容器本体P11、P21の側方から、ホールP14、P24を検知する。本体検知部4は、蓋検知部2と同一またはこれに準じた回帰反射型の光電センサである。投・受光器41は、搬送装置20の外側に配置される。反射板42は、搬送装置20を挟んで投・受光器41の反対側に配置される。本体検知部4が容器本体P11、P21を検出する高さ位置は、容器検知部3が容器本体P11、P21を検出する高さ位置よりも低い。本体検知部4は、搬送装置20を挟んで蓋検知部2と反対側に配置されている。本体検知部4は、蓋検知部2よりも搬送方向下流側に配置されている。本体検知部4と蓋検知部2とは、容器本体P11、P21のホールP14、P24の半ピッチ分、搬送方向に沿ってずらして配置されている。なお、本体検知部4は、光電センサによるものに限られない。
【0022】
ガイド部5は、
図1~
図3に示すように、蓋体P12、P22が開いた状態で、蓋体P12、P22を案内する。本実施形態のガイド部5は、板状のもので、搬送装置20の搬送面より高い位置に設けられている。ガイド部5は、開いた状態の蓋体P12、P22の下面側を支持する。ガイド部5よりも高い位置に蓋検知部2が設けられ、ガイド部5よりも低い位置に本体検知部4が設けられている。なお、ガイド部5は、図示したものに限られない。また、容器本体P11、P21を案内するためのガイド部7も設けられている。
【0023】
ラベル検査装置8は、
図1及び
図2に示すように、識別装置1の識別結果に基づいて容器の内部に配置されたラベルP13を検査する。ラベル検査装置8は、図示しない撮像装置を備えており、識別装置1によってレギュラーパックP1と識別された場合には、撮像装置によって容器を撮影し、その画像に基づいてラベルP13が所定箇所に配置されているか否かが検査される。一方、識別装置1によってレギュラーパックP1ではない(フラットパックP2である)と識別された場合には、卵Eの間に短冊状のラベルP13が入っていない前提であるため、撮像装置による容器の撮影及び検査は行われない。なお、ラベル検査装置8は、撮像装置による画像を用いたものには限られない。
【0024】
容器識別部6は、
図1及び
図2に示すように、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換部等の専用ないし汎用のコンピュータにより構成されている。そして、内部メモリに格納されたプログラムにしたがって、CPUやその他の周辺機器が協働することによって、容器識別部6としての機能が発揮される。識別装置1は、この容器識別部6によって制御される。
【0025】
次に、ラベル検査システム10の作動の一例について説明する。
【0026】
容器が、フラットパックP2の場合、まず、容器検知部3が、容器の先端を検知してから、容器の終端を検知するまでを検査中とすると、蓋検知部2は、隙間を検出しないためON/OFFが切り替わらず、出力信号が一定である。容器識別部6は、容器検知部3と、蓋検知部2とから得られるデータに基づいて、容器がフラットパックP2であると識別する。この情報が送られたラベル検査装置8では、ラベルP13の検査を行わない。
【0027】
なお、容器識別部6は、容器検知部3と、蓋検知部2と、本体検知部4とから得られるデータに基づいて容器の識別を行ってもよい。本体検知部4は、ホールP24と、ホールP24間の隙間を検出して、ON/OFFが切り替わる。フラットパックP2では、本体検知部4がホールP24を検知したタイミングで、半ピッチずれた蓋検知部2が隙間を検知していないことを利用すればよい。
【0028】
次に、容器が、レギュラーパックP1の場合、まず、容器検知部3が、容器の先端を検知してから、容器の終端を検知するまでを検査中とすると、蓋検知部2は、ホールP14と、ホールP14間の隙間を検出して、ON/OFFが切り替わる。容器識別部6は、容器検知部3と、蓋検知部2とから得られるデータに基づいて、容器がレギュラーパックP1であると識別する。この情報が送られたラベル検査装置8では、ラベルP13の検査を行う。
【0029】
なお、容器識別部6は、容器検知部3と、蓋検知部2と、本体検知部4とから得られるデータに基づいて容器の識別を行ってもよい。本体検知部4は、ホールP14と、ホールP14間の隙間を検出して、ON/OFFが切り替わる。レギュラーパックP1では、本体検知部4がホールP14を検知したタイミングで、半ピッチずれた蓋検知部2が隙間を検知することを利用すればよい。
【0030】
以上に説明したように、本実施形態の識別装置1は、卵Eを収容する容器本体P11、P21と、容器本体P11、P21の一側縁に折り曲げ部P19、P29を介して設けられた蓋体P12、P22とを有する容器の種類(レギュラーパックP1であるか、フラットパックP2であるか)を識別する。識別装置1は、蓋体P12、P22が開いた状態で蓋体P12、P22の側方から蓋体P12、P22の形状を検知する蓋検知部2を備え、蓋検知部2の検知結果に基づいて容器の種類を識別する。そのため、搬送装置20の同一経路上に混在する複数種類の容器を識別できる。
【0031】
また、識別装置1は、ガイド部5と、本体検知部4を備える。ガイド部5は、蓋体P12、P22が開いた状態で蓋体P12、P22を案内する。本体検知部4は、ガイド部5を挟んで蓋検知部2と反対側に配置され、容器本体P11、P21の凹凸を検出する。蓋検知部2は、ガイド部5より上側の領域を検知し、本体検知部4は、ガイド部5より下側の領域を検知する。このようなものであるため、検知部間の干渉を防ぐことができる。
【0032】
蓋検知部2は、容器本体P11、P21のホールP14、P24の半ピッチ分、本体検知部4よりも搬送方向にずれた場所に配置されている。そのため、容器を識別するための処理が複雑にならない。
【0033】
本実施形態のラベル検査システム10は、識別装置1と、識別装置1の識別結果に基づいて容器の内部に配置されたラベルP13を検査するラベル検査装置8とを備える。そのため、ラベルP13の検査を適切に行うことができる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0035】
本発明の識別装置1は、ラベル投入システムに適用してもよい。ラベル投入システムは、識別装置1と、ラベル投入装置とを備える。ラベル投入装置は、識別装置1の識別結果に基づいて容器の内部にラベルP13を投入する。より具体的には、ラベル投入システムは、搬送装置20で搬送される複数種類の容器を識別して、蓋が開いた状態のレギュラーパックP1に対して、卵Eの間にラベルP13を投入するものが考えられる。
【0036】
容器の天壁P25、側壁P27、P28、ホールP14、P15、P24には、容器の強度を向上させるためのリブ構造が形成されていてもよい。その場合に、蓋検知部2及び本体検知部4は、これらリブ構造の凹凸と、ホールP14、P15、P24と隙間の凹凸とを区別できるようなものが好ましい。
【0037】
本発明の識別装置が識別可能な容器として、例えば、特許第6284990号公報に記載されたような新しいタイプの容器であってもよい。この容器は、透明な蓋体の内側に粘着面を有していない紙製のラベルが配置されるタイプのもので、蓋体の天壁が側面視で略平坦に形成されており、蓋体の側壁には、レギュラーパックのような大きな凹凸形状が表れない。本発明の識別装置によれば、この新しいタイプの容器と、レギュラーパックとを識別することが可能である。
【0038】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、同一経路上に混在する複数種類の容器を識別する識別装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…識別装置
2…蓋検知部
P11、P21…容器本体
P12、P22…蓋体
P19、P29…折り曲げ部