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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】棒状化粧料繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/20 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
A45D40/20 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018079831
(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公開番号】P2019187491
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】石田 行一
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-218621(JP,A)
【文献】特開2001-204544(JP,A)
【文献】特開2017-189466(JP,A)
【文献】特開2008-221493(JP,A)
【文献】米国特許第02907301(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00~40/30
B43K 21/00~21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状化粧料を収容し、前記棒状化粧料を先端部の開口から軸線方向前方へ繰り出す棒状化粧料繰出容器であって、
側方から見た前記開口の開口縁は、前端部及び後端部を備え、
前記前端部を含む前側縁部と、
前記後端部を含む後側縁部と、
前記前側縁部と前記後側縁部との間に段差を形成するように前記前側縁部から後方へ延び前記後側縁部に繋がる中間縁部と、を有し、
前記棒状化粧料には、前記前側縁部に沿った第1の塗布面と、前記後側縁部に沿った第2の塗布面と、前記第1の塗布面及び前記第2の塗布面の間に段差を形成するように前記第1の塗布面及び前記第2の塗布面を繋ぐと共に前記中間縁部に沿った面と、が形成されていることを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項2】
前記前側縁部は、前記軸線方向に対し略一定の角度で傾斜しながら前記前端部から後方へ延び、
前記後側縁部は、前記前側縁部と略平行になるように前記後端部から傾斜しながら前方へ延び、
前記中間縁部は、前記前側縁部の後端から延び前記後側縁部の前端に繋がることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項3】
前記棒状化粧料の断面形状は円形であることを特徴とする請求項1又は2記載の棒状化粧料繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料を繰り出すことができる棒状化粧料繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばアイライン等の細い線を描く化粧料容器にあっては、より細い線を描く要求があり、以下の特許文献1には、直径が2.5mm以下の細径の棒状化粧料を繰り出して細い線を描くことができる棒状化粧料繰出容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-235885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、細い線を描くための棒状化粧料の直径にも限界があり、しかも棒状化粧料を、より小さくしようとすると、棒状化粧料の直径に対応して棒状化粧料繰出容器の構成部品の直径も小さくなり、組み立てや使用に耐え得る強度を確保するのが難しくなるという問題を生じる。
【0005】
そこで、本発明は、容器内の棒状化粧料本来の描線よりも細い線を容易に描くことができる棒状化粧料繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による棒状化粧料繰出容器は、棒状化粧料を収容し、棒状化粧料を先端部の開口から軸線方向前方へ繰り出す棒状化粧料繰出容器であって、側方から見た開口の開口縁は、前端部及び後端部を備え、前端部を含む前側縁部と、後端部を含む後側縁部と、前側縁部と後側縁部との間に段差を形成するように前側縁部から後方へ延び後側縁部に繋がる中間縁部と、を有し、棒状化粧料には、前側縁部に沿った第1の塗布面と、後側縁部に沿った第2の塗布面と、第1の塗布面及び第2の塗布面の間に段差を形成するように第1の塗布面及び第2の塗布面を繋ぐと共に中間縁部に沿った面と、が形成されていることを特徴としている。
【0007】
このような棒状化粧料繰出容器によれば、棒状化粧料の先端部が容器先端部の開口縁に沿った先端形状にされると、前端部を含む前側縁部の内側に、前側縁部に沿った第1の塗布面を形成でき、後端部を含む後側縁部の内側に、後側縁部に沿った第2の塗布面を形成でき、前側縁部と後側縁部との間に段差を形成する中間縁部のその内側に第1の塗布面と第2の塗布面を繋ぐ面を形成できる。これらの面を有する棒状化粧料を繰り出し、容器先端部の開口から突出させ、第1の塗布面を先端面に有する第1の塗布部、第2の塗布面を先端面に有する第2の塗布部を、それぞれ被塗布部に当てて塗布すれば、第1、第2の塗布部の大きさは、容器に収容されている棒状化粧料本来の大きさよりそれぞれ小さくなるため、容器内の棒状化粧料本来の描線よりも細い線を容易に描くことができる。
【0008】
ここで、前側縁部は、軸線方向に対し略一定の角度で傾斜しながら前端部から後方へ延び、後側縁部は、前側縁部と略平行になるように後端部から傾斜しながら前方へ延び、中間縁部は、前側縁部の後端から延び後側縁部の前端に繋がる構成が好ましい。このような構成を採用した場合、第1、第2の塗布面は、ほぼ同じ角度で傾斜した平坦な塗布面となるため、各々の塗布面を順次、該当する被塗布部に当てて使用すれば、容器の角度を変えずに、容器内の棒状化粧料本来の描線よりも細い線を容易に描くことができる。
【0009】
また、上記作用を好適に奏する構成としては、棒状化粧料の断面形状が円形である構成が挙げられる
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、容器内の棒状化粧料本来の描線よりも細い線を容易に描くことができる棒状化粧料繰出容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す斜視図である。
図2図1の棒状化粧料繰出容器の縦断斜視図である。
図3図1中の先筒の先端部を示す縦断面図であり、棒状化粧料を充填する前の図である。
図4図1中の先筒の先端部を示す側面図である。
図5図4の先筒の先端部を斜め前方且つ上方から見た斜視図である。
図6図4の状態から棒状化粧料を繰り出した側面図である。
図7図6の先筒の先端部及び棒状化粧料の先端部を斜め前方且つ上方から見た斜視図である。
図8図6の状態から棒状化粧料の第1の塗布部を使用し第2の塗布部を多少使用した状態を示す側面図である。
図9図8の先筒の先端部及び棒状化粧料の先端部を斜め前方且つ上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による棒状化粧料繰出容器の好適な実施形態について図1図9を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す斜視図、図2は、図1の縦断斜視図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態の棒状化粧料繰出容器100は、容器内に収容した細径の棒状化粧料Mを、使用者が適宜繰り出し使用するものであり、ここでは、特に細い線を描くのに好適だとして、棒状化粧料Mをアイライナーとして説明する。なお、ここで用いるアイライナーMは、断面形状が円形で直径1.5mmとしているが、2mmや3mm等の1.5mmより大きい直径のアイライナーを用いても良く、可能であれば1.5mm未満の直径のアイライナーを用いても良い。
【0015】
棒状化粧料繰出容器100は、容器外形を構成する容器本体1及び先筒2と、図2に示すように、容器本体1内に収容された移動体3及びラチェットバネ部材4と、先筒2内に収容された雌螺子部材5と、先筒2内で移動体3の先端を構成しアイライナーMを押し出すピストン6と、を概略備える。なお、ここでは、先筒2を覆うように先筒2に着脱可能に装着されるキャップは取り外され描かれていない。
【0016】
容器本体1は、長尺な有底円筒状に構成され、容器本体1には、その内周面に、底部から先端側に向かって長尺に延びる突条1aが、移動体3を回転方向に係合するためのものとして、周方向に沿って複数等配に並設されている。この突条1a,1a間に、移動体3の後端に周方向に沿って複数が設けられ軸線方向に短尺に延びるリブ3bが進入することにより、容器本体1に対して移動体3は同期回転可能且つ軸線方向移動可能に装着される。
【0017】
突条1aは、軸線方向前方へ向かうに従い段階的に軸心に向かう突出度合いが小さくなっており、突条1aの軸線方向途中の径方向外側へ凹む段差面1bは、ラチェットバネ部材4の後端面を当接させるための段差面1bとなっている。また、容器本体1において段差面1bより前側の内周面には、軸線方向に延びる突条1a,1a間の溝1cが、ラチェットバネ部材4を回転方向に係合するためのものとして、周方向に沿って複数等配に並設されている。
【0018】
ラチェットバネ部材4は、略円筒状に構成され、先端側のラチェット部4aと後端部4cとを連結する中間部分が、軸線方向に伸縮可能なバネ部4bとされている。バネ部4bは、ここでは、ラチェット部4a、後端部4cと一体成形された樹脂バネとされ、略螺旋状に構成される。
【0019】
ラチェット部4aの先端面には、雌螺子部材5のラチェット歯5xとラチェット係合するラチェット歯4xが周方向に沿って複数並設されている。また、ラチェット部4aの外周面には、軸線方向に延びる突条4dが、容器本体1の溝1cに回転方向に係合するためのものとして、周方向に沿って複数(ここでは8個)等配に並設されている。また、後端部4cの外周面にも、軸線方向に延びる突条4eが、容器本体1の溝1cに回転方向に係合するためのものとして、周方向に沿って複数(ここでは4個)等配に並設されている。後端部4cの突条4eは、ラチェット部4aの突条4dの延長線上に配設されている。
【0020】
先筒2は、先細の円筒状に形成され、軸線方向途中に、容器本体1の先端面が当接する鍔部2xを備える。先筒2の鍔部2xより後側の部分は、容器本体1内に挿入される挿入部とされる。
【0021】
先筒2の軸線方向に貫通する筒孔は、先端から鍔部2xを過ぎる辺りまで延び、当該筒孔はアイライナーM及びピストン6が前進するアイライナー孔2aとされる。アイライナー孔2aの後端には、後方へ開放される大径孔が連設され、この大径孔に雌螺子部材5が、同期回転可能且つ軸線方向に移動不能に収容される。
【0022】
雌螺子部材5は、略円筒状に構成され、先端部の内周面に沿って、移動体3の前半部の外周面に形成された雄螺子3aに螺合する雌螺子5aを備えている。雌螺子部材5の外周側の後端面には、ラチェットバネ部材4のラチェット歯4xと周方向に噛み合うラチェット歯5xが周方向に沿って複数並設される。
【0023】
先筒2は、その挿入部が、容器本体1の前側から内挿され、その鍔部2xが容器本体1の先端面に突き当てられた状態で、容器本体1に回転可能且つ軸線方向移動不能に装着される。
【0024】
ラチェットバネ部材4は、先筒2の雌螺子部材5と容器本体1の突条1aの段差面1bとの間に挟まれ、そのラチェット部4aの突条4d及び後端部4cの突条4eが、容器本体1の溝1cに回転方向に係合することにより、容器本体1に同期回転可能且つそのバネ部4bが軸線方向に伸縮可能且つそのラチェット部4aが軸線方向に移動可能に装着される。
【0025】
そして、容器本体1と先筒2とを一方向に相対回転させると、容器本体1及びラチェットバネ部材4に同期回転する移動体3の雄螺子3aと、先筒2に同期回転する雌螺子部材5の雌螺子5aとによる螺合作用によって、移動体3及びピストン6が前進する。その際、容器本体1と先筒2との一方向の相対回転によってラチェットバネ部材4と雌螺子部材5とが相対回転すると、バネ部4bが収縮しながらラチェット歯4x,5xの噛み合いを解除する係合解除と、バネ部4bの付勢力によってラチェット歯4xが前進しラチェット歯5xと係合する係合復帰とが繰り返され、使用者にクリック感を与える。このようなクリック感を使用者に与えることによって、使用者は回転操作によりアイライナーMを徐々に繰り出すようになるので、アイライナーMの形状を崩さないようにすることができる。なお、ラチェット歯4x,5xより成るラチェット機構は、容器本体1と先筒2とを他方向に相対回転した場合にラチェット歯4x,5xが強固に係合し噛み合いが解除されない構成とされているので、容器本体1と先筒2とを他方向に相対回転しても、雄螺子3aと雌螺子5aとによる螺合作用は働かず、移動体3は後退しない。
【0026】
次に、本実施形態の特徴を成す先筒2の先端部の開口7の構成について説明する。
【0027】
図3は、先筒の先端部を示す縦断面図であり、アイライナーを充填する前の図、図4は、アイライナー充填後の先筒の先端部を示す側面図、図5は、図4を斜め前方且つ上方から見た斜視図である。
【0028】
図3図5に示すように、先筒2の先端の開口7を形成する(縁取る)開口縁7xは、側面視において(側方から見て)、図3の左側且つ下側の前側縁部7aと、図3の右側且つ上側の後側縁部7cと、前側縁部7aの後端と後側縁部7cの前端を段差を形成するように繋ぐ中間縁部7bと、を備える。
【0029】
前側縁部7aは、側面視において、図3及び図4の底部左側で若干R状に前方へ膨らむ前端部7d(図5参照)を含み、図5に示すように、正面視(図3において左側から見た図)において前端部7dの両側に続き、側面視においてタケノコを斜め切りしたように底部略中央から両側に上り勾配の傾斜面7eを備える。すなわち、略一定の角度で傾斜しながら前端部7dから後方へ延びる傾斜面7eを備える。
【0030】
中間縁部7bは、前側縁部7aの後端に続き後方へ水平に延びる水平面7fを備える。
【0031】
後側縁部7cは、水平面7fの後端に続き、側面視においてタケノコを斜め切りしたように上記傾斜面7eと同様な上り勾配の(傾斜面7eと略平行な)傾斜面7gを備える。すなわち、略一定の角度で傾斜しながら水平面7fの後端から上方且つ後方へ延びる傾斜面7gを備え、傾斜面7g同士が合流する図3の上部略中央の後端部7h(図5参照)を含む構成となっている。従って、前側縁部7aと後側縁部7cとは、段差を形成する中間縁部7bを介して繋がった状態となっている。
【0032】
ここで、先筒2のアイライナー孔2aに充填されているアイライナーMは、棒状化粧料繰出容器100を組み立てた状態で、溶融化粧料を先筒2の開口7からアイライナー孔2aに流し込み固化させることにより得ることができる。
【0033】
そして、棒状化粧料繰出容器100の出荷時の状態(初期状態)にあっては、図1及び図5に示すように、アイライナーMの先端部は、開口縁7xに沿って削ぎ落とされ当該開口縁7xに倣った先端形状となっている。すなわち、アイライナーMは、側面視において、その先端部の上部側が先筒2の開口7から上方へ露出すると共に、その先端部の下部側が先筒2に下から覆われて隠されガードされた状態となっている。
【0034】
次に、棒状化粧料繰出容器100の使用方法の一例を説明する。
【0035】
図6は、アイライナーを繰り出した先筒の側面図、図7は、図6を斜め前方且つ上方から見た斜視図である。
【0036】
使用者は、先ず、容器本体1と先筒2を繰り出し方向(一方向)に相対回転させ、移動体3を前進させピストン6によりアイライナーMを押し出す。このとき、ラチェット歯4x,5xより成るラチェット機構により、クリック感が与えられながらアイライナーMの出し過ぎが防止され、アイライナーMは、図6及び図7に示すように、適度に突出する。
【0037】
先筒2の先端部から軸線方向前方へ突出したアイライナーMは、前端部7dを含む前側縁部7aの内側に、前側縁部7aに沿った第1の塗布面M1が形成され、後端部7hを含む後側縁部7cの内側に、後側縁部7cに沿った第2の塗布面M2が形成され、中間縁部7bの内側に第1の塗布面M1と第2の塗布面M2とを繋ぐ面M3が形成された状態で、前方へ突出する。すなわち、先筒2の先端部からは、第1の塗布面M1を先端面に有する側面視において下側の第1の塗布部T1、第2の塗布面M2を先端面に有する側面視において上側で第1の塗布部T1より後側の第2の塗布部T2が突出することになる。
【0038】
ここで、例えば目尻の細い跳ね上げラインを描く場合には、第1の塗布面M1を有する第1の塗布部T1を使用するのが好適である。
【0039】
図8は、図6の状態からアイライナーの第1の塗布部を使用し第2の塗布部を多少使用した状態を示す側面図、図9は、図8を斜め前方且つ上方から見た斜視図である。
【0040】
ここでは、例えば目尻の細い跳ね上げラインを描き、図6及び図7に示す第1の塗布部T1を使いきった後に、例えば第2の塗布面M2を有する第2の塗布部T2を使用し、目頭から目尻へ向かうアイラインを描いて第2の塗布部T2が多少消費された例を示している。この第2の塗布部T2は、目頭から目尻へ向かうアイラインを描くのに好適である。
【0041】
そして、このまま、第2の塗布部T2を使い切って、図4及び図5に示した初期状態のアイライナーMの形状に戻し、再度、図6及び図7に示すように、アイライナーMを繰り出して使用し、これら一連の動作を繰り返しても良い。また、第1の塗布部T1を使い切った後に第2の塗布部T2を大分使用した後に、ナイフ等を用いて残りの第2の塗布部T2をカットして図4及び図5の状態に戻し、再度、図6及び図7に示すように、アイライナーMを繰り出して使用し、これら一連の動作を繰り返しても良い。また、図6及び図7に示す第1の塗布部T1を使いきった後に、第2の塗布部T2を使用することなく、ナイフ等を用いてアイライナーMをカットして図4及び図5の状態に戻し、再度、図6及び図7に示すように、アイライナーMを繰り出して使用し、これら一連の動作を繰り返しても良い。すなわち、アイライナーMの第1の塗布部T1のみを専ら使用し、目尻の跳ね上げラインを専用に描く棒状化粧料繰出容器100としても良い。
【0042】
このように、本実施形態によれば、アイライナーMの先端部が、容器先端部である先筒2の先端部の開口縁7xに沿った先端形状にされているため、前端部7dを含む前側縁部7aの内側に、前側縁部7aに沿った第1の塗布面M1が形成され、後端部7hを含む後側縁部7cの内側に、後側縁部7cに沿った第2の塗布面M2が形成され、前側縁部7aと後側縁部7cとの間に段差を形成する中間縁部7bのその内側に第1の塗布面M1と第2の塗布面M2を繋ぐ面M3が形成される。そして、これらの面M1,M2,M3を有するアイライナーMを繰り出し、先筒2の先端部の開口7から突出させ、第1の塗布面M1を先端面に有する第1の塗布部T1、第2の塗布面M2を先端面に有する第2の塗布部T2を、それぞれ被塗布部に当てて塗布するようにしている。このため、第1、第2の塗布部T1,T2の大きさは、先筒2に収容されているアイライナーM本来の大きさより当然それぞれ小さくなる。このため、先筒2内のアイライナーM本来の描線よりも細い線を容易に描くことができる。
【0043】
また、前側縁部7aは、軸線方向に対し略一定の角度で傾斜しながら前端部7dから後方へ延び、後側縁部7cは、前側縁部7aと略平行になるように後端部7hから傾斜しながら前方へ延び、中間縁部7bは、前側縁部7aの後端から延び後側縁部7cの前端に繋がる構成のため、第1、第2の塗布面M1,M2は、ほぼ同じ角度で傾斜した平坦な塗布面となる。このため、各々の塗布面M1,M2を順次、該当する被塗布部に当てて使用すれば、棒状化粧料繰出容器100の角度を変えずに、先筒2内のアイライナーM本来の描線よりも細い線を容易に描くことができる。
【0044】
なお、ここでは、中間縁部7b全体が軸線方向に沿って延びる構成としているが、中間縁部7bの前側縁部7aとの繋ぎ部、中間縁部7bの後側縁部7cとの繋ぎ部をそれぞれR形状とし、中間縁部7bの繋ぎ部同士の間を軸線方向に沿って延びる構成としても良く、中間縁部7bの少なくとも一部分が軸線方向に沿って延びている構成であれば良い。
【0045】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好ましいとして、アイライナーMを断面円形としているが、断面雫形状や、楕円形状のアイライナーに対しても適用可能である。
【0046】
また、上記実施形態においては、ラチェット機構を採用し、アイライナーMの前進のみを許容するようにしているが、ラチェット機構はなくても良い。
【0047】
また、上記実施形態においては、特に細径のアイライナーMとしているため、ピストン押し出しタイプの棒状化粧料繰出容器としているが、アイライナーMを複数爪で把持できる所謂芯チャックタイプの棒状化粧料繰出容器に対して適用しても良い。
【0048】
また、上記実施形態においては、前側縁部7a、後側縁部7cを傾斜縁部としているが、前側縁部7aを、側面視下側の前端部7dを含み軸線方向に直交する垂直な前側縁部とし、後側縁部7cを、側面視上側の後端部7hを含み軸線方向に直交する垂直な後側縁部とし、この垂直な前側縁部と後側縁部とを段差となる中間縁部7bで繋ぐ構成であっても良い。また、特に好ましいとして、中間縁部7bを水平面としているが、水平面ではなく、例えば傾斜面であっても良い。
【0049】
また、上記実施形態においては、特に細い線を描くのに好適だとして、棒状化粧料をアイライナーとしているが、例えば、棒状化粧料をアイブロウとし、眉尻の細いラインを描く場合にも適用でき、また、棒状化粧料を口紅とし、口角の細いラインを描く場合にも適用でき、要は、細い線を描くのに用いられる棒状化粧料に対して適用できる。
【0050】
さらにまた、相対回転による棒状化粧料の繰り出しに限定されるものではなく、公知のペンシル型のノック式のようにノック操作部のノックにより棒状化粧料を繰り出すタイプに対しても適用可能であり、要は、操作部の操作により棒状化粧料を繰り出すタイプ全てに対して適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
7…開口、7a…前側縁部、7b…中間縁部、7c…後側縁部、7d…前端部、7e,7g…傾斜面、7f…水平面、7h…後端部、7x…開口縁、100…棒状化粧料繰出容器、M…アイライナー(棒状化粧料)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9