(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】構造部材および骨組構造
(51)【国際特許分類】
E04C 2/30 20060101AFI20220926BHJP
E04C 2/20 20060101ALI20220926BHJP
E04C 2/40 20060101ALI20220926BHJP
E04C 2/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E04C2/30 G
E04C2/20 J
E04C2/40 E
E04C2/04 Z
(21)【出願番号】P 2018121336
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-06-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 大同大学建築・インテリアデザイン専攻平成29年度卒業研究梗概集,平成30年2月7日 大同大学建築・インテリアデザイン専攻平成29年度卒業研究発表会,平成30年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002487
【氏名又は名称】学校法人大同学園
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】萩原 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏晃
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-067595(JP,A)
【文献】特公昭50-011168(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/30-2/32
E04C 2/20
E04C 2/40
E04C 2/04
E04B 1/19,1/32
F16S 1/04-1/08
F16S 3/00-3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨組構造であって、
第1の平面上に配置された端点である頂端点と、
前記第1の平面から離間し前記第1の平面と平行な第2の平面上に配置された端点である底端点と、
前記第1と第2の平面の間に配置された中間点と、
前記頂端点および前記底端点のそれぞれの端点と、該端点に隣接する中間点である複数の隣接中間点とを接続する複数の束材と、
を備え、
前記頂端点と前記底端点とは、前記第1の平面における平面格子の格子点に交互に配置されており、
隣接する頂端点および底端点と、該頂端点および該底端点との双方に隣接する2つの隣接中間点とは、隙間なく敷き詰めることを可能にする複数種類の平面四角形のうちのいずれかの平面四角形の頂点となっている、
骨組構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物等において荷重を負担する構造部材や骨組構造に関し、特に、屋根、床あるいは壁等の面状の構造を形成するための構造部材や骨組構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物等の構造物においては、屋根、床あるいは壁等の面状の構造が多用されるが、これらの構造には、その構造に垂直な方向の荷重(垂直荷重)に対する剛性を高くし、あるいは、面剪断荷重(面外荷重)に対する剛性を高くすることが求められている。
【0003】
例えば、屋根や床においては、屋内構造の自由度を高めるため、架構スパンを大きくすることが求められているが、架構スパンを大きくするためには、垂直荷重に対する剛性を高める必要がある。このように、垂直荷重に対する剛性を高める手段としては、テンセグリッド構造(例えば、特許文献1参照)が知られている。また、壁については、面剪断荷重に対する剛性を高めて建築構造の堅牢性を高めるため、筋交い等を設けた耐力壁を採用することが行われている。
【0004】
さらに、建築物以外の構造物においても、構造物を構成する面状の部材の剛性の向上が要求されている。例えば、面状のパネルから構成されるパネルタンクにおいては、パネルタンクに貯留された液体からパネルに静水圧が加わる。そこで、パネル自体を特別な形状とし、静水圧に耐え得るパネルタンクを構築することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-54492号公報
【文献】特開平5-148865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来知られている手段によっても、垂直荷重や面剪断荷重に対する剛性を十分に高くすることは困難であった。
【0007】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、面状の構造を形成するための構造部材や骨組構造において、垂直荷重や面剪断荷重に対する剛性をより高くする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
本発明の一形態としての骨組構造は、第1の平面上に配置された端点である頂端点と、前記第1の平面から離間し前記第1の平面と平行な第2の平面上に配置された端点である底端点と、前記第1と第2の平面の間に配置された中間点と、前記頂端点および前記底端点のそれぞれの端点と、該端点に隣接する中間点である複数の隣接中間点とを接続する複数の束材と、を備え、前記頂端点と前記底端点とは、前記第1の平面における平面格子の格子点に交互に配置されており、隣接する頂端点および底端点と、該頂端点および該底端点との双方に隣接する2つの隣接中間点とは、隙間なく敷き詰めることを可能にする複数種類の平面四角形のうちのいずれかの平面四角形の頂点となっていることを特徴とする。
この骨組構造では、平面四角形を隙間なく敷き詰めることにより形成される多面体が、そのほぼ全体に亘って、第1の平面上の任意の方向に直交し、第1の平面に垂直な垂直断面が凹凸形状となっている。そのため、当該任意の方向の曲げに対する剛性が高くなるので、垂直荷重に対する剛性をより高くすることができる。また、その多面体は、平面格子の桁方向とは異なる少なくとも2方向のそれぞれの方向において、当該方向に直交する垂直断面の形状が、当該方向に連続する凹凸形状となっている。そのため、面剪断荷重が当該方向に良好に伝達されるので、面剪断荷重に対する剛性をより高くすることができる。
【0009】
[適用例1]
構造部材であって、第1の平面上に配置された頂部と、前記第1の平面から離間し前記第1の平面と平行な第2の平面上に配置された底部と、前記頂部と、該頂部に隣接する底部である複数の隣接底部のそれぞれとを接続する複数種類の接続平板と、を備え、前記頂部と前記底部とは、前記第1の平面における平面格子の格子点に交互に配置されており、前記構造部材は、前記複数種類の接続平板を隙間なく敷き詰めることにより形成される多面体状の板として構成されている、構造部材。
【0010】
この適用例によれば、構造部材のほぼ全体に亘って、第1の平面上の任意の方向に直交し、第1の平面に垂直な垂直断面が凹凸形状となっているため、当該任意の方向の曲げに対する剛性が高くなるので、垂直荷重に対する剛性をより高くすることができる。また、平面格子の桁方向とは異なる少なくとも2方向のそれぞれの方向において、当該方向に直交する垂直断面の形状が、当該方向に連続する凹凸形状となっているため、面剪断荷重が当該方向に良好に伝達されるので、面剪断荷重に対する剛性をより高くすることができる。
【0011】
[適用例2]
前記第1の平面の前記第2の平面からの離間方向に対する、前記複数種類の接続平板のそれぞれの接続平板の傾斜方向は、該接続平板により接続される隣接底部の頂部からの隣接方向となっている、適用例1記載の構造部材。
【0012】
この適用例によれば、平面格子の桁方向の特定の線上において垂直断面に凹凸が現れないので、構造部材を平面状の他の部材に固定するのがより容易となる。
【0013】
[適用例3]
前記平面格子は、矩形格子である、適用例1または2記載の構造部材。
【0014】
この適用例によれば、構造部材は構造物を形成するためにより適した形状となる。
【0015】
[適用例4]
骨組構造であって、第1の平面上に配置された端点である頂端点と、前記第1の平面から離間し前記第1の平面と平行な第2の平面上に配置された端点である底端点と、前記第1と第2の平面の間に配置された中間点と、前記頂端点および前記底端点のそれぞれの端点と、該端点に隣接する中間点である複数の隣接中間点とを接続する複数の束材と、を備え、前記頂端点と前記底端点とは、前記第1の平面における平面格子の格子点に交互に配置されており、隣接する頂端点および底端点と、該頂端点および該底端点との双方に隣接する2つの隣接中間点とは、隙間なく敷き詰めることを可能にする複数種類の平面四角形のうちのいずれかの平面四角形の頂点となっている、骨組構造。
【0016】
この適用例によれば、平面四角形を隙間なく敷き詰めることにより形成される多面体が、そのほぼ全体に亘って、第1の平面上の任意の方向に直交し、第1の平面に垂直な垂直断面が凹凸形状となっている。そのため、当該任意の方向の曲げに対する剛性が高くなるので、垂直荷重に対する剛性をより高くすることができる。また、その多面体は、平面格子の桁方向とは異なる少なくとも2方向のそれぞれの方向において、当該方向に直交する垂直断面の形状が、当該方向に連続する凹凸形状となっている。そのため、面剪断荷重が当該方向に良好に伝達されるので、面剪断荷重に対する剛性をより高くすることができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、構造部材あるいは骨組構造、それらの構造部材や骨組構造を用いた建築構造、建築物あるいは装置等の構造物の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態としての構造部材の構成を示す説明図。
【
図2】構造部材を垂直な面で切断した様子を示す断面図。
【
図3】構造解析を行った多面板および平板の骨組置換モデルを示す説明図。
【
図4】小荷重時における構造部材の変形状態を示す説明図。
【
図5】大荷重時における構造部材の変形状態を示す説明図。
【
図6】構造解析による最大たわみの評価結果を示すグラフ。
【
図7】荷重変化による測定試料の最大たわみの変化を測定する様子を示す説明図。
【
図8】実験による最大たわみの評価結果を示すグラフ。
【
図9】凹凸形状の第1変形例における構造部材の構成を示す上面図。
【
図10】凹凸形状の第2変形例における構造部材の構成を示す上面図。
【
図11】凹凸形状の第3変形例における構造部材の構成を示す上面図。
【
図12】凹凸形状の第4変形例における構造部材の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を以下の順序で説明する。
A.実施形態:
A1.構造部材の構成:
A2.構造部材の特性:
B.実施例:
B1.評価の概要:
B2.構造解析による評価:
B3.実験による評価:
C.凹凸形状の変形例:
D.変形例:
【0020】
A.実施形態:
A1.構造部材の構成:
図1は、本発明の一実施形態としての構造部材10の構成を示す説明図である。
図1(a)は、構造部材10を斜め上方から見た様子を示し、
図1(b)は、構造部材10を上方(+z方向)から見た様子を示している。本実施形態の構造部材10は、平板状の原材にプレス加工等を施し、原材に法線方向(z方向)の凹凸を形成した板状の部材である。なお、x方向およびy方向のそれぞれにおける凹凸の数と、凹凸の高さとは、いずれも適宜変更することが可能である。
【0021】
図1においては、図示の便宜上、構造部材10の厚みを0(零)として描いている。従って、
図1は、板厚方向における構造部材10の中心である中立面を示しているとも云うことができる。また、板材(構造部材10)の厚みは、本発明の要旨に直接関与しない。そのため、以下では、特に言及しない限り、構造部材10等の構成をその中立面の構成として説明する。
【0022】
図1(a)に示すように、構造部材10は、基準面19から+z方向に突出した複数の頂端点11と、基準面19から-z方向に突出した複数の底端点12とを有している。ここで、基準面19とは、構造部材10において凹凸の高低差(z方向における頂端点11と底端点12との距離)を零とした際に与えられる仮想的な平面であり、凹凸を形成する前の構造部材10の原材に対応する面である。なお、
図1(a)から分かるように、頂端点11は、基準面19から+z方向に離間した基準面19に平行な平面上に配置されており、底端点12は、基準面19から-z方向に離間した基準面19に平行な平面上に配置されている。従って、+z方向は、頂端点11が配置されている平面の底端点12が配置されている平面からの離間方向となる。
【0023】
図1(b)に示すように、構造部材10が有する頂端点11(白丸で示す)および底端点12(黒丸で示す)は、x方向およびy方向において交互に配置されている。すなわち、頂端点11および底端点12は、基準面19における正方格子LT1(その単位格子を破線で示している)の格子点に交互に配置されている。なお、対象物が基準面19における特定の位置に配置されているとは、基準面19に対して対象物をz方向(「垂直方向」あるいは「上下方向」とも云う)に投影した位置が、基準面19上の特定の位置であることを云う。また、このことから明らかなように、基準面19における特定の位置は、頂端点11や底端点12が配置された平面等のように、基準面19に対して平行な平面(xy面)における位置と同一となる。
【0024】
このように、本実施形態の構造部材10では、頂端点11および底端点12が、基準面19における正方格子LT1の格子点の位置に交互に配置されている。そのため、1つの頂端点11には、4つの底端点12が隣接する。そして、頂端点11とその頂端点11に隣接する4つの底端点12のそれぞれとは、平板13~16で接続されている。これら4種類の平板13~16は、いずれも頂端点11と底端点12とを接続する平板であるので、接続平板とも云うことができる。
【0025】
図1から分かるように、頂端点11とその頂端点11の+x方向側に位置する底端点12とを接続する接続平板13は、頂端点11と底端点12とに高低差があるため、+x方向(底端点12の隣接方向)に傾斜している。同様に、接続平板14~16は、それぞれ、-x方向、+y方向および-y方向、すなわち、当該接続平板により接続される底端点12の頂端点11からの隣接方向に傾斜している。なお、このような特定の平板あるいは平面の傾斜方向は、その法線方向の+z方向からの傾斜方向により表すものとする。
【0026】
構造部材10は、このように頂端点11と隣接する底端点12とを接続する4種の接続平板13~16が隙間なく敷き詰められることにより形成される。すなわち、構造部材10は、4種の接続平板13~16を隙間なく敷き詰めることにより形成される多面体状の板(多面板)と捉えることができる。
【0027】
図1から分かるように、本実施形態の構造部材10では、頂端点11および底端点12は、基準面19における正方格子LT1の格子点に交互に配置されている。また、頂端点11に接続された4つの接続平板13~16は、それぞれ、接続平板13~16が接続された底端点12の隣接方向に傾斜している。そのため、接続平板13~16のそれぞれは、その法線方向から見ると、頂端点11と、底端点12と、2つの中間点とを頂点とする正方形状となっている。ここで、中間点とは、基準面19において隣接する2つの頂端点11(あるいは底端点12)の中間に位置する点である。なお、本実施形態の構造部材10では、2つの中間点は、いずれも基準面19上に位置している。
【0028】
A2.構成部材の特性:
図2は、構造部材10を垂直(z方向に平行)な面で切断した様子を示す断面図である。
図2(a)ないし
図2(c)は、それぞれ、
図1(b)において、一点鎖線で示す垂直な面(垂直断面)A,B,Cで切断した断面形状を示している。
【0029】
図1(b)に示すように、隣接する頂端点11と底端点12とを結びx方向に沿った垂直断面Aにおいて、構造部材10は、
図2(a)に示すように、高低差が頂端点11と底端点12との高低差と同一の凹凸を有している。なお、
図2(a)から分かるように、垂直断面Aにおける構造部材10の断面形状は、横方向にV字形を連結したV字連結形状となっている。
【0030】
このように、垂直断面Aにおける構造部材10の断面形状は、V字連結形状となっているが、当該断面形状は、構造部材10が実質的に多面板となっていれば、必ずしも完全なV字連結形状となっている必要はない。例えば、頂端点11や底端点12に対応する頂点部分に丸み等が付けられた状態となっていても良く、また、接続平板13,14に対応する斜辺部分が若干屈曲した状態となっていても良い。後述する他の垂直断面に現れるV字連結形状についても、同様である。
【0031】
これに対し、
図1(b)に示すように、単一の接続平板15(あるいは、接続平板16)の頂点となる2つの中間点(
図2(b)では、白三角で示す)を結び、x方向に沿った垂直断面Bにおいて、構造部材10は、
図2(b)に示すように、凹凸を有していない。なお、構造部材10では、このように、構造部材10が凹凸を有していない垂直断面は、接続平板13~16のいずれかの頂点となる2つの中間点を結び、かつ、x方向あるいはy方向に沿った垂直断面、すなわち、隣接する2つの中間点を結ぶ直線上の垂直断面のみである。
【0032】
一方、
図1(b)に示すように、x方向を+z方向に進む右ねじ方向に+45°回転させた方向(+45°方向、以下同様に、x方向の+z方向に進む右ねじ方向の回転角度で方向を表す)に沿った垂直断面Cにおいて、構造部材10は、
図2(c)に示すように、高低差が頂端点11と底端点12との高低差の1/2となる凹凸を有している。なお、
図2(c)から分かるように、垂直断面Cにおける構造部材10の断面形状も、垂直断面Aにおける断面形状と同様に、V字連結形状となっている。
【0033】
一般的に、垂直断面に凹凸があるコルゲート構造は、その垂直断面に直交する方向の曲げに対する剛性が高くなる。これに対し、本実施形態の構造部材10は、上述のように、ほぼ全体に亘って、xy面上の任意の方向に直交する垂直断面において凹凸を有する。そのため、本実施形態の構造部材10によれば、xy面上の任意の方向の曲げに対する剛性が高くなるので、垂直方向の荷重(垂直荷重)に対する剛性を高くし、静水圧のような等分布荷重によって発生するたわみを小さくすることができる。
【0034】
また、構造部材10において、隣接する2つの中間点を結ぶ直線上では、中間点を境に、傾斜方向が異なる接続平板(
図1(b)では、接続平板15,16)に入れ替わる。そして、これらの接続平板は、さらに傾斜方向が異なる接続平板(
図1(b)では、接続平板13,14)と辺を共有している。そのため、隣接する2つの中間点を結ぶ直線部分にその直線に直交する方向の曲げ応力が加わると、曲げ応力は、当該直線方向や垂直方向に分散される。このように、本実施形態の構造部材10では、隣接する2つの中間点を結ぶ直線上の垂直断面において凹凸を有していないが、当該直線部分に加わる曲げ応力が分散される。そのため、当該直線部分においても、その直線に直交する方向の曲げに対する剛性を高くすることができる。
【0035】
上述のように、本実施形態の構造部材10では、隣接する2つの中間点を結ぶ直線上の垂直断面を除き、垂直断面において凹凸を有する。また、構造部材10は、連続体である多面体状の板となっている。そのため、構造部材10は、xy平面上で傾いた任意の方向(x方向およびy方向以外の方向:以下、「斜方向」とも云う)に直交する垂直断面において、その斜め方向に連続的に形成された凹凸を有する。すなわち、構造部材10は、xy平面上の少なくとも2方向(任意の斜方向のうちの2方向)のそれぞれの方向において、当該方向に直交する垂直断面の形状が、当該方向に連続する凹凸形状となっている。
【0036】
一般的に、特定の方向に直交する垂直断面において当該方向に連続的に形成された凹凸を有する部材は、当該方向の圧縮応力による座屈が抑制されるため、当該方向に荷重を良好に伝達することができる。本実施形態の構造部材10では、上述のように、斜方向に直交する垂直断面において、その斜方向に連続的に形成された凹凸を有している。そのため、構造部材10に面剪断荷重(面外荷重)が加わった場合、斜方向に荷重が伝達されるため、面剪断荷重が加わっていない構造部材10の外縁に荷重が伝達され、面剪断荷重に対する剛性が高くなる。
【0037】
また、本実施形態の構造部材10では、+45°方向に沿った垂直断面Cを-45°方向に移動させると、断面形状は同一のまま、断面の位置のみが垂直方向に移動する。-45°方向に沿った垂直断面を+45°方向に移動させた場合も同様である。そのため、これら45°方向(すなわち、
図1(b)に示す正方格子LT1の対角方向)においては、その方向に直交する垂直断面の形状が、その垂直断面の配置にかかわらず、垂直方向において並進対称となっている。
【0038】
垂直断面の形状が並進対称性を有している場合、断面形状が変化する位置に応力が集中することが抑制されるため、垂直断面に直交する方向により良好に荷重が伝達される。このように、本実施形態の構造部材10では、45°方向に荷重がより良好に伝達されるので、構造部材10の全体としての外縁を、
図1に示すようにx方向およびy方向(すなわち、正方格子LT1の桁方向)とした場合、構造部材10全体に加わる面剪断荷重に対する剛性をさらに高くすることができる。
【0039】
B.実施例:
B1.評価の概要:
本実施形態の構造部材10により、垂直荷重に対する剛性を高くし得ることを確認するため、
図1に形状を示す多面板と、比較例としての平板とについて、等分布荷重を加えた際の板の中央における変位である最大たわみを評価した。評価は、構造解析と実験の双方により行った。
【0040】
多面板および平板の材料としては、厚みが2mmの低発泡塩化ビニルの板を採用した。採用した低発泡塩化ビニルは、ヤング率Eが716.5N/mm2で、ポアソン比νが0.40である。また、多面板において、x方向およびy方向における頂端点11と隣接する底端点12との間隔、すなわち、正方格子LT1の格子間隔は、45mmとした。また、頂端点11および底端点12と、基準面19との距離は、いずれも6mm(すなわち、頂端点11と底端点12との高低差は12mm)とした。
【0041】
B2.構造解析による評価:
図3は、構造解析を行った多面板および平板の骨組置換モデルを示す説明図である。ここで、骨組置換モデルとは、連続体である多面板および平板を、等価な骨組構造に置き換えた解析モデルである。なお、
図3に示す骨組構造モデルでは、実験に合わせて下方に向かって荷重をかけた際の変形状態が分かりやすくなるように、
図1の多面板と上下方向を反転した。
【0042】
多面板の骨組置換モデルでは、頂端点、底端点、および、中間点を可動節点とした。また、多面板の四隅、並びに、頂端点(底端点)および中間点を通るx方向およびy方向の直線と多面板の四辺との交点を固定節点とした。骨組構造は、これらの節点を、x方向、y方向および45°方向に延びる棒状部材(束材)により繋ぐように構成した。平板については、多面板の骨組置換モデルにおいて、頂端点および底端点の高さを零(垂直方向において他の節点と同一の位置)とすることにより、骨組置換モデルを作成した。
【0043】
構造解析は、このように作成した骨組置換モデルにおいて、各節点に-z方向の均等な荷重を加え、その際の骨組構造の変形状態を幾何学的非線形弾性解析により求めることにより行った。なお、解析にあたっては、各節点に加える荷重を、0Nから15cmの水かさに相当する荷重(1.488N:面圧で1469.6Pa)まで、2mmの水かさに相当する荷重(1.98×10-2N:面圧で19.56Pa)ずつ順次増加させた。
【0044】
図4は、小荷重時における多面板および平板(構造部材)の変形状態を示す説明図であり、多面板および平板に相当する骨組構造(以下、単に「平面板」あるいは「平板」とも云う)を+x方向から見た様子を示している。
図4(a)は、多面板の変形状態を示し、
図4(b)は、平板の変形状態を示す。なお、
図4(a)および
図4(b)では、変形状態が分かりやすくなるように、いずれも、変位のみを200倍に拡大して描いている。
【0045】
図4から分かるように、2mmの水かさに相当する小荷重時においては、平板の最大たわみが0.114mmであったのに対し、多面板の最大たわみは、その約1/3の0.038mmとなった。このことから、多面板は、厚みが同一の平板よりも垂直荷重に対する剛性が高くなることが確認できた。
【0046】
また、
図4(a)から分かるように、小荷重時においては、隣接する2つの中間点を結ぶ直線上における大きな屈曲が見られなかった。このことから、当該直線部分においても、直交する方向の曲げに対する剛性が高くなることが確認できた。
【0047】
図5は、大荷重時における多面板および平板の変形状態を示す説明図であり、多面板および平板を+x方向から見た様子を示している。
図5(a)は、多面板の変形状態を示し、
図5(b)は、平板の変形状態を示す。なお、
図5(a)および
図5(b)では、変形状態が分かりやすくなるように、いずれも、変位のみを10倍に拡大して描いている。
【0048】
図5から分かるように、15cmの水かさに相当する大荷重時においても、平板の最大たわみが3.80mmであったのに対し、多面板の最大たわみは、それよりも小さい2.55mmとなった。このことから、多面板は、荷重が大きい状態においても、厚みが同一の平板よりも垂直荷重に対する剛性が高くなることが確認できた。なお、大荷重時では、多面板の最大たわみは、平板の最大たわみの約2/3となった。このことは、平板については、変位の増大により剛性が増大する構造非線形性の効果がより強く現れたのに対し、多面板については、多面板自体が有する凹凸により構造非線形性の効果が十分に現れなかったものと考えられる。
【0049】
また、
図5(a)から分かるように、大荷重時においても、隣接する2つの中間点を結ぶ直線上における大きな屈曲が見られなかった。このことから、荷重の大小にかかわらず、当該直線部分においても、直交する方向の曲げに対する剛性が高くなることが確認できた。
【0050】
図6は、構造解析による最大たわみの評価結果を示すグラフである。
図6のグラフは、荷重と変位との関係(荷重-変位特性)を示している。
図6のグラフにおいて、横軸は、最大たわみを表し、縦軸は、荷重に対応する面圧を表している。また、
図6のグラフにおいて、実線および破線は、それぞれ、多面板および平板の荷重-変位特性を示している。
【0051】
図6に示すように、面圧が十分に小さく、たわみが十分に小さい領域(微小たわみ領域)では、平板の最大たわみと多面板の最大たわみとの差が大きい。そして、多面板の最大たわみは、面圧の上昇に対しほぼ直線的に増加するのに対し、平板の最大たわみは、面圧の上昇に伴い増加量が低下する。これは、上述のように、平板においては、多面板よりも構造非線形性による剛性の増大効果がより強く表れたものと考えられる。
【0052】
B3.実験による評価:
評価に当たって、まず、低発泡塩化ビニルの平板を成形することによって得られた多面板の形状を確認した。具体的には、頂端点11と底端点12との高低差(以下、単に「高低差」とも云う)を確認するため、得られた多面板を2枚の平板で挟み、平板間の距離を測定した。測定の結果、平板間の距離は、約12mmであった。上述のように、低発泡塩化ビニルの板厚は2mmとなっているため、高低差は、平板間の距離から板厚を差し引いた約10mmとなっていた。このように、高低差が設計値(12mm)よりやや小さくなったのは、平板を成形して多面板を作成した際の成形誤差によるものと考えられる。
【0053】
図7は、荷重変化による測定試料80の最大たわみの変化を測定する様子を示す説明図である。
図7では、測定試料80が取り付けられた測定装置90を、測定試料80の中央を通りx方向(
図3参照)に沿った垂直な切断面で切断した断面を示している。
【0054】
図7に示すように、測定装置90は、透明な正四角筒状の水槽91と、水槽91の外側に取り付けられた外枠92と、水槽91の内面と同形状の穴が設けられた下枠93と、レーザー変位計94とを有している。
【0055】
測定試料80は、構造部材(多面板)に相当する凹凸部81と、凹凸部81の外周に設けられた平坦な固定部82とを有している。測定試料80は、外枠92と下枠93とでこの測定試料80の固定部82を挟み込むことにより、水槽91に固定される。
【0056】
レーザー変位計94は、測定試料80に設けられた凹凸部81の中央の点(中央点)にレーザー光を照射し、レーザー変位計94と中央点との距離を測定する。そして、水槽91内に水WTを導入した際に測定された距離と、水WTを導入する前に測定された距離との差が、多面板の最大たわみとなる。
【0057】
なお、
図7では、多面板に相当する凹凸部81が設けられた測定試料80を測定装置90に取り付けているが、この測定試料80に換えて、平板の測定試料を取り付けることにより、平板の最大たわみを測定することができる。
【0058】
最大たわみを評価する実験は、この
図7に示す測定装置90を用いて行った。具体的には、水槽91に水WTを導入する前にレーザー変位計94と中央点との距離を測定し、その後、水位が1cmずつ上昇するように水WTを水槽91に導入し、水WTの導入の度に距離を測定した。そして、水WTを水槽91に導入する前後の距離の差から、最大たわみを算出した。
【0059】
図8は、実験による最大たわみの評価結果を示すグラフである。
図6のグラフと同様に、
図8のグラフは、荷重-変位特性を示しており、横軸および縦軸は、
図6と同様である。
図8のグラフにおいて、白丸および黒四角は、それぞれ、多面板と平板における測定結果を表し、実線と破線は、それぞれ、多面板と平板における測定結果を3次の多項式で近似した回帰曲線を表している。
【0060】
図8に示すように、実験結果においても、
図6に示す構造解析の結果と同様に、多面板の最大たわみは、同一の面圧における平板の最大たわみより小さくなった。また、面圧の上昇に伴う最大たわみの増大の傾向も、構造解析の結果と同様であった。
【0061】
一方、平板ではたわみが大きい大たわみ領域において、また、多面板では全領域に亘って、実験で測定された最大たわみ(測定値)が構造解析により求められた最大たわみ(計算値)よりも大きくなった。このように、多面板において、微小たわみ領域においても最大たわみの測定値が計算値よりも大きくなった主な原因としては、上述のように、剛性に大きな影響を与える高低差が設計値(構造解析モデルの設定値)よりも小さくなったことが考えられる。また、最大たわみの測定値が計算値よりも大きくなったその他の原因としては、測定試料80の固定が十分でなく、凹凸部81等の構造部材(多面板や平板)に相当する領域の周縁部が理想的な固定支持状態とならなかったことや、測定試料80の作成時に材料特性が変化したことが考えられる。しかしながら、構造解析および実験のいずれにおいても、垂直荷重に対する剛性は、多面板の方が平板よりも高くなることが確認できた。
【0062】
さらに、多面板では、構造解析および実験による評価のいずれにおいても、微小たわみ領域における剛性が平板よりも顕著に高くなった。一般的に、建築物の屋根や床等の構造部材は、使用上の支障が発生しないようにするためたわみに制限が設けられており、通常、微小たわみ領域において使用される。そのため、本実施例の多面板(上記実施形態の構造部材10)は、特に微小たわみ領域において平板よりも高い優位性を有しているので、建築物の構造部材として好適に利用することができる。
【0063】
C.凹凸形状の変形例:
図9は、凹凸形状の第1変形例における構造部材20の構成を示す上面図である。なお、以下、構造部材20を含む凹凸形状の変形例において、上記実施形態の構造部材10と対応する要素については、符号の一の位の数字を構造部材10と同じ数字にしている。
【0064】
図9に示すように、構造部材20は、上記実施形態の構造部材10の全体をy方向に圧縮した形状となっている点で、上記実施形態の構造部材10と異なっており、他の点においては、上記実施形態と同様である。そのため、頂端点21および底端点22の配置位置を規定する格子が、上記実施形態における正方格子LT1から長方格子LT2となっており、上記実施形態の説明において、45°方向(正方格子LT1の対角方向)とした部分を、長方格子LT2の対角方向に読み替えるとともに、関連する事項を適宜(例えば、正方形を菱形に)読み替えれば、上記実施形態の説明が妥当するので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0065】
なお、
図9の例では、構造部材20を上記実施形態の構造部材10の全体をy方向に圧縮した形状としているが、構造部材を、上記実施形態の構造部材10の全体をy方向に伸長した形状とすることも可能である。
【0066】
図10は、凹凸形状の第2変形例における構造部材30の構成を示す上面図である。なお、
図10に示すように、構造部材30は、+y方向端において、上記実施形態の構造部材10の全体を+x方向に歪ませた形状となっている点で、上記実施形態の構造部材10と異なっており、他の点においては、上記実施形態と同様である。そのため、頂端点31および底端点32の配置位置を規定する格子が、上記実施形態における正方格子LT1から歪斜格子LT3となっており、上記実施形態の説明において、45°方向(正方格子LT1の対角方向)とした部分を、歪斜格子LT3の対角方向に読み替えるとともに、関連する事項を適宜(例えば、正方形を平行四辺形に、また、+y方向を歪斜格子LT3の斜めの桁方向に)読み替えれば、上記実施形態の説明が妥当するので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0067】
なお、上記凹凸形状の第1変形例および第2変形例を組合せ、上記実施形態の構造部材10の全体を、+y方向端において+x方向に歪ませるとともに、y方向に圧縮あるいは伸長させるものとしても良い。一般的には、構造部材は、その頂端点および底端点とが、xy平面における平面格子の格子点に交互に配置されるように構成されていればよい。
【0068】
但し、一般的に、建築用をはじめ種々の構造物を形成するための構造部材は、正方形あるいは長方形の状態で使用される。そのため、構造部材として使用がより容易となるように、構造部材は、その頂端点および底端点とが、xy平面における矩形格子(正方格子あるいは長方格子)の格子点に交互に配置されるように構成されるのが好ましい。
【0069】
図11は、凹凸形状の第3変形例における構造部材40の構成を示す上面図である。
図11に示すように、構造部材40は、頂端点11および底端点22を正方形状の平板である頂部41および底部42に置き換えている点で、上記実施形態の構造部材10と異なっている。他の点は、上記実施形態と同様である。なお、構造部材40においては、頂部41および底部42の位置は、その中心の位置を云う。
【0070】
構造部材40では、正方形状の平板である頂部41および底部42を使用しているため、45°方向と直交する垂直断面が、頂部41あるいは底部42を通過する場合と、頂部41および底部42のいずれをも通過しない場合とで、断面形状が異なる。従って、構造部材40では、垂直断面の形状が並進対称性を有していない。
【0071】
しかしながら、構造部材40においても、斜方向に直交する垂直断面の形状が、斜方向に連続する凹凸形状となっている。そのため、荷重が斜方向に良好に伝達され、面剪断荷重が加わっていない構造部材40の外縁に荷重が伝達されるので、面剪断荷重に対する剛性を高くすることができる。また、構造部材40においても、ほぼ全体に亘って、xy面上の任意の方向に直交する垂直断面において凹凸を有する。そのため、垂直荷重に対する剛性を高くし、等分布荷重によって発生するたわみを小さくすることができる。なお、これらの効果をより確実に発現させるためには、頂部41および底部42の辺の長さを、正方格子LT1(
図1(b)参照)の単位格子の辺の長さの1/2以下とするのが好ましく、1/3以下とするのがより好ましい。
【0072】
以上の説明から分かるように、上記実施形態の構造部材10は、構造部材40において、頂部41および底部42の辺の長さを零とした場合に相当する。また、構造部材40では、頂部41と底部42との双方を正方形状の平板としているが、頂部41と底部42とのいずれか一方を点状(辺の長さを零)にするものとしても良い。
【0073】
なお、構造部材40では、上記実施形態の構造部材10における頂端点11および底端点22を頂部41および底部42に置き換えているが、上記凹凸形状の第1変形例、第2変形例やこれらの変形例を組み合わせて適用した構造部材における頂端点および底端点を頂部および底部に置き換えるものとしても良い。
【0074】
図12は、凹凸形状の第4変形例における構造部材50の構成を示す斜視図である。
図12に示すように、構造部材50では、接続平板53~56として、接続平板13~16を、それぞれ、-y方向、+y方向、-x方向および+x方向にさらに傾斜させた接続平板を使用している点で、上記実施形態の構造部材10と異なっている。他の点は、上記実施形態と同様である。なお、構造部材50では、接続平板53~56のそれぞれを、当該接続平板により接続される底端点12の頂端点11からの隣接方向とは異なる方向に傾斜させているため、当該接続平板の頂点となる中間点は、基準面59上に位置しない。但し、いずれの中間点も、頂端点51が配置された平面と、底端点52が配置された平面との間に位置する。
【0075】
このように、構造部材50では、接続平板53~56のそれぞれを、当該接続平板により接続される底端点12の頂端点11からの隣接方向とは異なる方向に傾斜させている。そのため、上記実施形態のように、凹凸を有しない垂直断面が発生しないので、垂直荷重に対する剛性をさらに高くし、等分布荷重によって発生するたわみをさらに小さくすることができる。また、斜方向に直交する垂直断面の形状が、斜方向に連続する凹凸形状となっているので、荷重が斜方向に良好に伝達される。そのため、面剪断荷重が加わっていない構造部材50の外縁に荷重が伝達されるので、面剪断荷重に対する剛性を高くすることができる。
【0076】
但し、凹凸形状の第4変形例における構造部材50では、任意の垂直断面が凹凸を有しているため、構造部材50を平面状の他の部材に固定するのが必ずしも容易ではなくなる。この点において、上記実施形態や凹凸形状の変形例は、凹凸形状の第4変形例よりも好ましい。
【0077】
なお、構造部材50は、上記実施形態の構造部材10に対して接続平板13~16の傾斜方向を変更することによって実現されているが、さらに、凹凸形状の第1~3変形例やこれらの組み合わせを適用することも可能である。
【0078】
D.変形例:
本発明は上記実施形態および上記凹凸形状の変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0079】
D1.変形例1:
上記実施形態および上記凹凸形状の変形例では、平板状の原材にプレス加工等を施して凹凸を形成することにより構造部材を得ているが、構造部材を他の方法により得ることも可能である。例えば、構造部材に相当する空隙を形成するように型枠を配置し、当該空隙にコンクリートを打ち込むことによって構造部材を得ることも可能である。このようにすれば、より剛性の高い床や耐力壁等を形成することが可能となる。また、構造部材に相当する空隙が形成された成形型を用いて樹脂等の射出成形を行うことにより、構造部材を得ることも可能である。
【0080】
D2.変形例2:
上記実施形態および上記凹凸形状の変形例では、本発明を連続体である板状の構造部材に適用しているが、本発明は、所定の態様で束材を接続することにより構成される骨組構造に適用することも可能である。この場合、頂端点および底端点(端点)と、当該端点に隣接する中間点とを、束材で接続するようにすれば良い。このようにすれば、束材は、接続平板の辺に相当する位置に配置されるので、板状の構造部材と同様に、垂直荷重に対する剛性を高くし、等分布荷重により発生するたわみを小さくすることができ、また、面剪断荷重に対する剛性を高くすることができる。
【符号の説明】
【0081】
13~16,23~26,33~36,43~46,53~56…接続平板
10,20,30,40,50…構造部材
11,21,31,51…頂端点
12,22,32,52…底端点
19,29,39,49,59…基準面
41…頂部
42…底部
80…測定試料
81…凹凸部
82…固定部
90…測定装置
91…水槽
92…外枠
93…下枠
94…レーザー変位計
A,B,C…垂直断面
LT1…正方格子
LT2…長方格子
LT3…歪斜格子
WT…水