(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】樹脂シート接合装置、樹脂シート接合物の製造装置、および樹脂シート接合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/18 20060101AFI20220926BHJP
B42F 7/00 20060101ALI20220926BHJP
B29C 65/02 20060101ALI20220926BHJP
B29C 65/08 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B29C65/18
B42F7/00 C
B29C65/02
B29C65/08
(21)【出願番号】P 2018169530
(22)【出願日】2018-09-11
【審査請求日】2021-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】505085247
【氏名又は名称】株式会社シルキー・アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 力
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-130947(JP,A)
【文献】特開2015-136731(JP,A)
【文献】特開2015-58964(JP,A)
【文献】特開2015-47629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/18
B42F 7/00
B29C 65/02
B29C 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせた樹脂シートの辺縁部を接合する樹脂シート接合装置であって、
リブを有し、振動または熱を印加する印加部と、
接合する樹脂シートを載置する台座と、
前記印加部と対向する前記台座上の位置に形成された凹部と、
前記凹部に嵌合し着脱自在であり、前記凹部に嵌合させた場合に前記印加部のリブと対向する支持部を有する取付部とを有し、
前記凹部に嵌合された前記取付部の支持部と前記印加部のリブとで前記台座に載置した樹脂シートを挟み込み、前記印加部により振動または熱を樹脂シートに印加することで
、重なり合った樹脂シートを接合
し、
前記凹部は、形状の異なる支持部を有する複数の取付部を着脱自在に嵌合可能であり、前記複数の取付部は、前記支持部の長さがそれぞれ異なり、
前記取付部は、前記凹部の高さよりも高い本体部と、前記凹部の高さと略同じ高さの前記支持部とを有する、樹脂シート接合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂シート接合装置
であって、
前記印可部の下面に、前記リブの凸部よりも高い高さのクッションが配置される、樹脂シート接合装置
。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の樹脂シート接合装置であって、
前記取付部は、支持部を2つ以上有する、樹脂シート接合装置。
【請求項4】
樹脂シートを切り出して成形する形成装置と、
前記形成装置により切り出された樹脂シートを折り曲げて重ね合わせる折曲装置と、
前記折曲装置により重ね合わせた樹脂シートを接合する、請求項1ないし
3のいずれかに記載の樹脂シート接合装置
と、を有する、樹脂シート接合物の製造装置。
【請求項5】
請求項1ないし
4のいずれかに記載の樹脂シート接合装置を用いて樹脂シート接合物を製造する、樹脂シート接合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂シート接合装置、樹脂シート接合物の製造装置、および樹脂シート接合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クリアファイルは、1枚の樹脂シートを2つ折りにして重ね合わせ、重ね合わせた樹脂シートの下辺(接合部)を接合して作成される。このような接合部の接合方法として、超音波接合や熱圧着(ヒートシール)が知られている(特許文献1)。
【0003】
具体的には、超音波接合で接合部を接合させる方法として、超音波振動を印加する超音波発振ホーンの先端面にリブ(突起)を配置し、リブと樹脂シートとを接触させて超音波振動を樹脂シートに印加することで、2枚に重ね合わせた樹脂シートを摩擦熱により接合する方法が知られている(たとえば特許文献2)。また、熱圧着で接合部を接合させる方法として、熱源に接続されたシールバーを樹脂シートに圧着させて樹脂シートを加熱することで、2枚に重ね合わせた樹脂シートを接合する方法が知られている(たとえば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-262516号公報
【文献】特開2015-136731号公報
【文献】特開2014-046959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、たとえば、大きいサイズ(たとえばA4サイズ)のクリアファイルと小さいサイズ(たとえばB5サイズ)のクリアファイルとを製造する場合には、大きいサイズ(たとえばA4サイズ)に応じた長さのリブを有する印加部を取り付け、小さいサイズ(たとえばB5サイズ)のクリアファイルを製造する場合も、大きいサイズ(たとえばA4サイズ)に応じた長さのリブを用いて樹脂シートの接合(溶着)を行っていた。しかしながら、リブの長さに対して接合する樹脂シートの長さが短い場合、リブの一部が樹脂シートに接触しない状態となり、これにより、ホーン12の荷重がリブ13に均一にかからない状態でリブを振動させることとなり、樹脂シートに接触していないリブの一部が台座に直に接触しリブを欠損する場合や、振動子に過度の負担がかかり振動子を破損する場合があった。また、このような問題を解決するために、異なる長さのリブを有する印加部を複数種類揃えることも考えられるが、印加部は熱や振動を均一に印加するたに水平に取り付ける必要があるところ、印加部は一般に重たく取り付け作業が困難であるし、印加部自体が高価であるという問題もある。そのため、特に小ロットの樹脂シート接合物を複数種類作成することが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、樹脂シートを接合する接合部の長さや形状を変えた場合も、容易かつ迅速に、リブと台座とが直に接することを防止しリブや振動子の損傷を低減させることができる樹脂シート接合装置、樹脂シート接合物の製造装置、および樹脂シート接合物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る樹脂シート接合装置は、重ね合わせた樹脂シートの辺縁部を接合する樹脂シート接合装置であって、リブを有し、振動または熱を印加する印加部と、接合する樹脂シートを載置する台座と、前記印加部と対向する前記台座上の位置に形成された凹部と、前記凹部に嵌合し着脱自在であり、前記凹部に嵌合させた場合に前記印加部のリブと対向する支持部を有する取付部とを有し、前記凹部に嵌合された前記取付部の支持部と前記印加部のリブとで前記台座に載置した樹脂シートを挟み込み、前記印加部により振動または熱を樹脂シートに印加することで、前記重なり合った樹脂シートを接合し、前記凹部は、形状の異なる支持部を有する複数の取付部を着脱自在に嵌合可能であり、前記複数の取付部は、前記支持部の長さがそれぞれ異なり、前記取付部は、前記凹部の高さよりも高い本体部と、前記凹部の高さと略同じ高さの前記支持部とを有する。
上記クリアファイルの製造装置において、記印可部の下面に、前記リブの凸部よりも高い高さのクッションが配置されるように構成することができる。
上記樹脂シート接合装置において、前記取付部は、支持部を2つ以上有するように構成することができる。
上記樹脂シート接合装置において、前記取付部は、前記凹部の高さよりも高い本体部と、前記凹部の高さと略同じ高さの前記支持部とを有するように構成することができる。
本発明に係る樹脂シート接合物の製造装置は、樹脂シートを切り出して成形する形成装置と、前記形成装置により切り出された樹脂シートを折り曲げて重ね合わせる折曲装置と、前記折曲装置により重ね合わせた樹脂シートを接合する、上記樹脂シート接合装置と、を有する。
本発明に係る樹脂シート接合物の製造方法は、上記樹脂シート接合装置を用いて樹脂シート接合物を製造する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接合する樹脂シートに応じて支持部を自在かつ容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る樹脂シート接合装置の斜視図であり、凹部に取付部を取り付ける前の状態を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る樹脂シート接合装置の斜視図であり、凹部に取付部を取り付けた後の状態を示す図である。
【
図3】(A)は、
図1のIIIA-IIIA線に沿う断面概要図であり、(B)は、
図2のIIIB-IIIB線に沿う断面概要図である。
【
図4】クリアファイルを製造する場合において、リブの長さに対して溶着する樹脂シートの長さが短い場面を例示する図である。
【
図5】長さが異なる支持部を有する複数の取付部の一例を示す図である。
【
図6】支持部を2つ有する取付部と、当該取付部による接合を説明するための図である。
【
図7】本実施形態に係るクリアファイル製造装置を示すブロック図である。
【
図8】本実施形態にクリアファイルを形成するための形成シートの一例を示す図である。
【
図9】他の実施形態に樹脂シート接合装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態に係る樹脂シート接合装置1および樹脂シート接合物の製造装置2を図に基づいて説明する。なお、以下においては、樹脂シート接合物として、クリアファイルを製造する例について説明するが、樹脂シート接合物はクリアファイルに限定されず、
図6(B)に示すように、樹脂シートを接合して製造したカードホルダーなどの製品も含まれる。以下においては、まず、本実施形態に係る樹脂シート接合装置1について説明する。なお、以下においては、樹脂シートに対して超音波振動を印加する樹脂シート接合装置1を例示して説明するが、樹脂シート接合装置1はこれに限定されず、たとえば、熱圧着(ヒートシール)により樹脂シートを接合させる構成とすることもできる。
【0011】
(樹脂シート接合装置)
図1は、本実施形態に係る樹脂シート接合装置1の斜視図であり、凹部30に取付部40を取り付ける前の状態を示している。また、
図2は、本実施形態に係る樹脂シート接合装置1の斜視図であり、凹部30に取付部40を取り付けた後の状態を示している。
図1および
図2に示すように、樹脂シート接合装置1は、印加部10と、台座20と、凹部30と、取付部40とを有する。
【0012】
印加部10は、上下に移動が可能な部材であり、下方向に移動することで、台座20に置かれた樹脂シートを取付部40とともに挟み込み、樹脂シートに振動または熱を印加することで重なり合った樹脂シートを接合させる。
図1に示すように、印加部10は、超音波振動を発生させる超音波振動子11と、樹脂シートに超音波振動と荷重とを与えるホーン12と、樹脂シートに接触し樹脂シートを押圧するリブ13とを有する。また、取付部40と対向するリブ13の表面には凸部14のパターンを有する。凸部14のパターンは、特に限定されず、たとえば矩形の凸部14が複数並列したパターンとすることができる。
【0013】
具体的には、印加部10は、たとえば、発振器(不図示)から伝達される超音波領域の電気エネルギー(電気的周波数と電圧)を超音波振動子11において機械的振動エネルギー(機械的周波数と機械的振幅)に変換する。この振動エネルギーはホーン12およびリブ13を介して、樹脂シートへと伝達する。そして、伝達された振動エネルギーにより、重なり合った樹脂シートに強力な摩擦熱を発生させ、樹脂の溶融温度まで瞬時に上昇させることで、樹脂シートを溶着させる。より具体的には、樹脂シートのうち、印加部10のリブ13と取付部40の支持部42とに挟まれた部分(接合断片)が熱融着により接合する。
【0014】
台座20は、接合する樹脂シートを載置するための台である。本実施形態では、下方向に移動させた印加部10のリブ13の位置と、取付部40の支持部42の位置とが台座20と略同じ高さとなるように構成されている。これにより、樹脂シートを台座20に置いた状態で、台座20と略同じ高さ位置において、印加部10のリブ13と取付部40の支持部42とで樹脂シートを挟み、樹脂シートを溶着させることができる。
【0015】
凹部30は、
図1に示すように、台座20上に形成されている。具体的には、凹部30は、
図3(A)に示すように、印加部10のリブ13と対向する台座20上の位置に形成されている。また、
図2および
図3(B)に示すように、凹部30には、取付部40が嵌合される。そのため、凹部30の形状は、取付部40の形状に合わせて形成されている。具体的には、凹部30の幅(X軸方向の長さ)は、取付部40がぴったりと嵌る幅に形成されており、凹部30の長さ(Y軸方向の長さ)は、取付部40が十分に入る長さに形成されている。なお、
図3(A)は
図1のIIIA-IIIA線に沿う断面概要図であり、
図3(B)は、
図2のIIIB-IIIB線に沿う断面概要図である。
【0016】
取付部40は、本体部41と支持部42とから構成される。本体部41は、アルミニウムや木材などから構成されており、
図3(B)に示すように、凹部30から取付部40を取り出しやすいように、本体部41の高さH2は、凹部30の高さ(深さ)H1よりも高く形成されている。
【0017】
支持部42は、アルミニウムなどの金属で構成され、本体部41に固定または接続されている。なお、支持部42と本体部41とは個別に形成し互いに固定してもよいし、一体的に形成することもできる。支持部42は、取付部40を凹部30に嵌合させた場合に、支持部42の表面が台座20の高さと略同じ高さ位置となるように形成されている(言い換えると、支持部42の高さは、凹部30の高さH2と略同じ高さに形成されている。)。これにより、台座20の高さ位置において、支持部42と、印加部10のリブ13とで、樹脂シートを挟み込み、樹脂シートを溶着させることができる。支持部42は、アルミニウムなどの金属で製造されているため、切削加工などにより、比較的自由にパターンを設計することができる。
【0018】
ここで、従来では、たとえば、大きいサイズ(たとえばA4サイズ)のクリアファイルと小さいサイズ(たとえばB5サイズ)のクリアファイルとを製造する場合には、大きいサイズ(たとえばA4サイズ)に応じた長さのリブを有する印加部を取り付け、小さいサイズ(たとえばB5サイズ)のクリアファイルを製造する場合も、大きいサイズ(たとえばA5サイズ)に応じた長さのリブを用いて樹脂シートの溶着を行っていた。しかしながら、リブの長さに対して溶着する樹脂シートの長さが短い場合、リブの一部が樹脂シートと接触しない状態となり、ホーン12の荷重がリブ13に均一にかからない状態でリブ13を振動させることとなるため、リブの一部が台座に直に接触してしまいリブの一部を欠損する場合や、振動子に過度の負担がかかり振動子を破損する場合があった。特に、クリアファイルを製造する場合は、空気抜き孔を設ける必要があるため、リブ13と樹脂シートS2とが左右対称となるように、リブ13を樹脂シートS2に押し付けることはできず、
図4(A),(B)に示すように、空気抜き孔の分の長さHを空けて、リブ13を樹脂シートS2に押し付ける必要がある。そのため、リブ13の長さに対して溶着する樹脂シートS2の長さが短い場合には、
図4(A)に示すように、リブ13のうちDの部分が樹脂シートS2と接しないため、リブ13を樹脂シートS2に押し付けた場合に、ホーン12の荷重がリブ13に均一にかからずにリブ13のDの部分が台座20に直に接触してしまいリブの一部を欠損する場合や、ホーン12の荷重が偏った状態でリブ13を振動することで振動子を破損する場合があった。
【0019】
これに対して、本実施形態では、異なる支持部42を有する複数の取付部40が、凹部30に着脱自在に嵌合可能となっている。たとえば、
図5に示すように、長さが異なる支持部42(42a~42c)を有する複数の取付部40(40a~40c)を用意しておくことで、取付部40a~40cを交換することで、支持部42の長さを、接合する樹脂シートの種類に適した長さに自在かつ容易に変更することができる。たとえば、A4サイズのクリアファイルを製造する場合には、
図5(A)に示すように、A4サイズの長さに応じた支持部42aを有する取付部40aを凹部30に取り付け、また、B5サイズのクリアファイルを製造する場合には、
図5(B)に示すように、B5サイズの長さに応じた支持部42bを有する取付部40bを凹部30に取り付け、A5サイズのクリアファイルを製造する場合には、
図5(C)に示すように、A5サイズの長さに応じた支持部42cを有する取付部40cを凹部30に取り付けるなど、製造するクリアファイルの大きさごとに、取付部40を交換することができる。これにより、たとえば、A4サイズに応じたリブ13を用いてB5サイズのクリアファイルを溶着する場合、B5サイズの長さに応じた支持部42bを有する取付部40bを用いることで、リブ13の一部(両端部)が樹脂シートに接しないこととなるが、樹脂シートに接しないリブ13の一部と凹部30との間には深さH1のスペースSができるため、樹脂シートに接しないリブ13の一部が台座と直接接することを防止することができ、リブ13の一部が欠損することや、振動子に過度の負担がかかり振動子を破損することを抑制することができる。たとえば、
図4に示す例においても、
図4(B)に示すように、リブ13の長さに対して溶着する樹脂シートS2の長さが短いが、支持部42の長さを溶着する樹脂シートS2と略同じ長さとすることで、リブ13のうちDの部分は台座20に直に接触しなくなるため、リブの一部を欠損することや、振動子を破損することを有効に防止することができる。
【0020】
さらに、
図6(A)に示すように、支持部42gを2つ有する取付部40gを用いる構成としてもよい。たとえば、樹脂シート接合物として、
図6(B)に示すように、透光性樹脂シートで製造したカードケース50を製造する場合には、
図6(A)に示すように、支持部42gを2つ有する取付部40gを用いることができる。この場合も、リブ13の一部(リブ13の両端部と、リブ13のうち支持部42gの間に対応する部分)が樹脂シートに接しないこととなるが、樹脂シートに接しないリブ13の一部と凹部30との間に、深さH1のスペースSができるため、樹脂シートに接しないリブ13の一部が台座と直接接することを防止することができ、リブ13の一部が欠損することや、振動子に過度の負担がかかり振動子を破損することを抑制することができる。さらに、
図6(A)に示すように、支持部42gを2つ有する取付部40gを用いることで、2つの支持部42gで、カードケース50の一対の接合部51を同時に接合することができるため、カードケース50を効率的に製造することが可能となる。
【0021】
(樹脂シート接合物の製造装置)
次に、本実施形態に係る樹脂シート接合物の製造装置2として、クリアファイルを製造するクリアファイル製造装置2について説明する。
図7は、本実施形態に係るクリアファイル製造装置2のブロック図である。本実施形態に係るクリアファイル製造装置2は、
図7に示すように、シート供給装置100、形成装置200、折曲装置300、および樹脂シート接合装置1を備える。なお、クリアファイル製造装置2は、シート供給装置100と形成装置200との間、形成装置200と折曲装置300との間、および折曲装置300と樹脂シート接合装置1との間に、ベルトコンベアーなどの搬送部をさらに備える構成としてもよいし、作業者が手作業により各構成間で樹脂シートS1および形成シートS2を移動させる構成としてもよい。また、樹脂シート接合装置1による接合工程の後にクリアファイルCを包装・梱包するための装置を用いた包装・梱包工程を設けてもよい。
【0022】
シート供給装置100は、形成装置200で樹脂シートS1が形成できるように、樹脂シートS1を形成装置200に供給する。樹脂シートS1は、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、および、ポリビニルアセテートの中から選択される一の熱可塑性樹脂製とすることができる。
【0023】
形成装置200は、シート供給装置100により供給された樹脂シートS1を、折り曲げ前(開いた状態)のクリアファイルCの形に打ち抜くことで、形成シートS2を形成する。ここで、
図8は、樹脂シートS1から形成された形成シートS2の一例を示す図であり、図中の破線は樹脂シートS1を示している。形成装置200は、図示しない型押しを有しており、
図8に示すように、クリアファイルCの完成時に折曲辺411となる箇所にスジ411'を押し付けると同時に、樹脂シートS1から、折り曲げ前(開いた状態)のクリアファイルCとなる部分を打ち抜くことで、形成シートS2を作成する。形成シートS2では、スジ411'を境に接合部412(接合辺)および開放辺413、414が線対称となっている。打ち抜き加工を行う方法は、樹脂シートS1を抜型の間に挟んで打ち抜く方法や、ロール表面に刃を有するロータリーカッターによって樹脂シートS1から形成シートS2を切り抜く方法などがある。なお、コンピュータ制御によるレーザーカットで作成した抜型を用いる方法が、寸法精度が高くスジに対して左右対称に折ることができるので好ましい。なお、打ち抜き加工後、形成シートS2に残った不必要な切れ端を手作業にてむしり取る。このむしり取る工程は、風圧等を利用して機械化してもよい。
【0024】
折曲装置300は、たとえば折り機で構成される。折曲装置300は、形成装置200により形成された形成シートS2を、スジ411'に沿って2つに折り曲げる。これにより、スジ411’に対応する部分はクリアファイルCの折曲辺411となり、スジ411’を境に線対称であった接合部412および開放辺413,414は、それぞれの辺が互いに重なった状態となる。
【0025】
樹脂シート接合装置1は、上述した樹脂シート接合装置1を用いることができる。樹脂シート接合装置1は、手動により、形成シートS2を作業者が台座20に載置し、重なり合った形成シートS2(第1シート415および第2シート416)を接合する構成としてもよいし、また自動により、形成シートS2を機械が台座20に載置して重なり合った形成シートS2を接合する構成としてもよい。なお、クリアファイル製造装置2においても、異なる支持部42を有する複数の取付部40を用意しておき、接合する樹脂シートに応じて、樹脂シート接合装置1の取付部40を自在に変更することができる。この場合、作業者は、クリアファイル製造装置2を動作させる前に、作業者は、接合する樹脂シートに応じた取付部40を凹部30に嵌合させて、樹脂シート接合装置1を構成することが好ましい。
【0026】
以上のように、本実施形態では、振動または熱を印加する印加部10と、接合する樹脂シートを載置する台座20と、台座20の印加部10と対向する位置に形成された凹部30と、支持部42を有し、凹部30に嵌合し着脱自在となっている取付部40とを有し、印加部10と凹部30に嵌合された取付部40の支持部42とで、台座20に載置した樹脂シートを挟み込み、印加部により振動または熱を樹脂シートに印加することで、重なり合った樹脂シートを接合する。特に、本実施形態においては、凹部30は、異なる形状の支持部42を有する異なる複数の取付部40を取り付け可能であるため、接合する樹脂シートに応じた支持部42を備えた取付部40を凹部30に嵌合させることで、接合する樹脂シートに応じた接合が可能となる。すなわち、たとえば、接合する樹脂シートがリブ13の長さよりも短い場合も、樹脂シートの長さに応じた支持部42を有する取付部40を用いることで、リブ13のうち樹脂シートと接する部分ではリブ13と支持部42とで挟み込み溶着させることができるとともに、樹脂シートに接しないリブ13の一部については、凹部30との間に深さH1のスペースSができるため、樹脂シートに接しないリブ13の一部が台座と直接接することを防止することができ、リブ13の一部が欠損することや、振動子に過度の負担がかかり振動子を破損することを抑制することができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、取付部40が容易に着脱可能となっているため、取付部40を、樹脂シートを接合する接合部の長さや形状に応じた支持部42を有する取付部40に容易かつ迅速に交換することができる。すなわち、従来では、リブの欠損等を防ぐためにはリブ全体が樹脂シートに接するようにする必要があり、この場合、樹脂シートの接合部の長さや形状に応じて印加部を交換する必要があった。しかしながら、印加部は、本実施形態に係る取付部40とは異なり、重く、また均一に溶着させるために水平になるように微調整が必要となり、交換作業に多大な時間(たとえば1時間程度)や労力、技術が必要となっていた。そのため、クリアファイル製造業者などは独自に交換できない場合もあり、専門の業者に依頼しなくていけない場合もあった。しかしながら、本実施形態では、取付部40を交換するだけでよいため、交換作業が短くて(たとえば1,2分)で済み、特別な技術も必要ではなく、だれでも実施することができる。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0029】
たとえば、上述した実施形態では、
図6(A)に示すように、2つの支持部42gを有する取付部40gを用いる構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、支持部を3つ以上有する取付部を用いる構成としてもよい。
【0030】
また、上述した実施形態に加えて、
図9に示すように、印加部10のホーン12の下面にスポンジなどのクッション15を配置する構成とすることができる。当該クッション15は、リブ13(凸部14)の高さよりも高くすることが好ましい。これにより、溶着後にホーン12を上方向に移動させた場合に、クッション15とリブ13(凸部14)とに段差が生じ、リブ13(凸部14)にくっついている樹脂シート接合物を、リブ13(凸部14)から引き離しやすくすることができる。また、ホーン12のうち、リブ43が存在しない部分では空打ちによるホーン12の破損等が生じやすいが、クッション15を設けることで、このようなホーン12の損傷(劣化)を軽減することもできる。
【符号の説明】
【0031】
2…クリアファイル製造装置
100…シート供給装置
200…形成装置
300…折曲装置
1…樹脂シート接合装置
10…印加部
11…超音波振動子
12…ホーン
13…リブ
14…凸部
15…クッション
20…台座
30…凹部
40…取付部
41…本体部
42…支持部
C…クリアファイル
411…折曲辺
411’…スジ
412…接合部(接合辺)
413,414…開放辺
415…第1シート
416…第2シート
S1…樹脂シート
S2…形成シート