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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
F16H1/32 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018171264
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020041653
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391002487
【氏名又は名称】学校法人大同学園
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】宮下 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】林 秀行
(72)【発明者】
【氏名】小里 泰章
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/135552(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/187055(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記減速機の回転軸を中心に回転する動力が入力される入力歯車、前記ハウジングに対して固定された固定歯車、および、前記入力歯車と前記固定歯車との双方に噛み合う揺駆動歯車を入れ子状態に配置した歯車機構である前段部と、
前記ハウジング内に収容され、前記揺駆動歯車に固定的に取り付けられた従揺動歯車、および、前記従揺動歯車と噛み合って前記回転軸を中心に回転する減速された動力を出力する出力歯車を入れ子状態に配置した歯車機構である後段部と、
を備え、
前記入力歯車には、前記回転軸を軸とする第1の外歯車が形成され、
前記揺駆動歯車には、前記第1の外歯車と噛み合う第1の内歯車と、第2の外歯車とが同軸に形成され、
前記固定歯車には、前記第2の外歯車と噛み合い、前記回転軸を軸とする第2の内歯車が形成され、
前記従揺動歯車には、前記第1の内歯車および前記第2の外歯車と同軸の第3の外歯車が形成され、
前記出力歯車には、前記第3の外歯車と噛み合い、前記回転軸を軸とする第3の内歯車が形成されており、
前記第1ないし第3の外歯車および前記第1ないし第3の内歯車のモジュールは、全て同一に設定されており、互いに噛み合う内歯車と外歯車との歯数差は、全て同一に設定されている、
減速機。
【請求項2】
前記同一に設定された歯数差は、奇数に設定されている、請求項記載の減速機。
【請求項3】
前記同一に設定された歯数差は、1に設定されている、請求項記載の減速機。
【請求項4】
前記入力歯車、前記揺駆動歯車、前記固定歯車、前記従揺動歯車および前記出力歯車の歯形は、サイクロイド歯形である、請求項1ないしのいずれか記載の減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転動力を減速して伝達する減速機に関し、特に、薄型化が可能な減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの関節を駆動する関節駆動装置においては、動力発生装置としてモーターが使用されるが、一般的に、モーターの回転速度は、関節の駆動に適した回転速度に対し、必要以上に速くなっている場合がある。そのため、関節駆動装置等においては、通常、回転動力を減速して伝達する減速機が用いられる。しかしながら、減速機が大型化すると関節駆動装置等も大型化するため、ロボット等に使用される減速機には、薄型化が要求される。このように薄型化が可能な減速機としては、従来、遊星歯車減速機が使用されてきたが、遊星歯車減速機では、減速比を十分に高くすることは困難であった。
【0003】
そこで、薄型化が可能であり、減速比を十分に高くすることが可能な減速機が種々開発されてきた。例えば、特許文献1には、円柱状の外ピンを歯形として用いた内歯車、および、外周がエピトロコイド平行曲線に形成された遊星歯車として機能する曲線板から構成され、曲線板を偏心揺動させて減速を行う内接式遊星歯車機構と、円柱状の内ピンを曲線板に形成された円形の内ピン穴に挿入して、曲線板の減速された自転のみを取り出す等速度内歯車機構との2つの機構を組み合わせた、サイクロイド減速機が記載されている。このようなサイクロイド減速機は、内歯車と遊星歯車の歯数の差を小さくすることが可能となるため、減速比を高くすることが可能となる。
【0004】
しかしながら、サイクロイド減速機では、内接式遊星歯車機構において回転運動を曲線板の偏心揺動に変換するとともに、等速度内歯車機構において曲線板の自転のみを取り出す必要がある。そのため、サイクロイド減速機には、回転運動の中心軸に対して偏心した円柱形状部を有する偏心体や、内ピンを突出させた状態で固定したキャリア等を設けることが必要となる。このように、サイクロイド減速機は、減速機としての動作を実現するための構造が複雑となるので、構造の簡略化を図ることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-201996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、薄型化が可能な減速機において、減速比を高くするとともに、減速機自体の構造を簡略化することは困難であった。なお、この問題は、ロボット等に使用される減速機に限らず、種々の分野で使用される減速機一般に共通する。
【0007】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、薄型化が可能な減速機において、減速比を高くするとともに、減速機自体の構造の簡略化を可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
本発明の一形態としての減速機は、ハウジングと、前記ハウジング内に収容され、前記減速機の回転軸を中心に回転する動力が入力される入力歯車、前記ハウジングに対して固定された固定歯車、および、前記入力歯車と前記固定歯車との双方に噛み合う揺駆動歯車を入れ子状態に配置した歯車機構である前段部と、前記ハウジング内に収容され、前記揺駆動歯車に固定的に取り付けられた従揺動歯車、および、前記従揺動歯車と噛み合って前記回転軸を中心に回転する減速された動力を出力する出力歯車を入れ子状態に配置した歯車機構である後段部と、を備え、前記入力歯車には、前記回転軸を軸とする第1の外歯車が形成され、前記揺駆動歯車には、前記第1の外歯車と噛み合う第1の内歯車と、第2の外歯車とが同軸に形成され、前記固定歯車には、前記第2の外歯車と噛み合い、前記回転軸を軸とする第2の内歯車が形成され、前記従揺動歯車には、前記第1の内歯車および前記第2の外歯車と同軸の第3の外歯車が形成され、前記出力歯車には、前記第3の外歯車と噛み合い、前記回転軸を軸とする第3の内歯車が形成されており、前記第1ないし第3の外歯車および前記第1ないし第3の内歯車のモジュールは、全て同一に設定されており、互いに噛み合う内歯車と外歯車との歯数差は、全て同一に設定されていることを特徴とする。
この形態によれば、歯車の構成を適宜設定することにより、減速機の減速比を十分に高くすることができる。また、この形態によれば、減速機能を実現する前段部と後段部とを回転軸に沿って配列することができる。そして、前段部が有する入力歯車、揺駆動歯車および固定歯車と、後段部が有する従揺動歯車および出力歯車は、いずれもその厚みを十分に薄くすることができるので、減速機を十分に薄くすることができる。さらに、この適用例によれば、減速機としての動作は、入力歯車、揺駆動歯車、固定歯車、従駆動歯車および出力歯車によって実現される。これらの歯車は、一般的な外歯車や内歯車を有する歯車として構成することができるので、減速機自体の構造を簡略化することが可能となる。
加えて、この形態によれば、外歯車および内歯車の全てについてモジュールが同一に設定されているため、減速機を構成する入力歯車、揺駆動歯車、固定歯車、従揺動歯車および出力歯車をより容易に設計することができる。
【0009】
[適用例1]
減速機であって、ハウジングと、前記ハウジング内に収容され、前記減速機の回転軸を中心に回転する動力が入力される入力歯車、前記ハウジングに対して固定された固定歯車、および、前記入力歯車と前記固定歯車との双方に噛み合う揺駆動歯車を入れ子状態に配置した歯車機構である前段部と、前記ハウジング内に収容され、前記揺駆動歯車に固定的に取り付けられた従揺動歯車、および、前記従揺動歯車と噛み合って前記回転軸を中心に回転する減速された動力を出力する出力歯車を入れ子状態に配置した歯車機構である後段部と、を備え、前記前段部は、動力を入力して前記入力歯車を前記回転軸を中心に回転させた際に、前記揺駆動歯車が、前記揺駆動歯車の軸が前記回転軸を中心とする揺動円を描いて回転揺動するように構成されており、前記後段部は、前記従揺動歯車が、前記揺駆動歯車と同軸の前記従揺動歯車の軸が前記揺動円を描くように回転揺動した際に、前記出力歯車が前記回転軸を中心に回転するように構成されている、減速機。
【0010】
この適用例によれば、歯車の構成を適宜設定することにより、減速機の減速比を十分に高くすることができる。また、この適用例によれば、減速機能を実現する前段部と後段部とを回転軸に沿って配列することができる。そして、前段部が有する入力歯車、揺駆動歯車および固定歯車と、後段部が有する従揺動歯車および出力歯車は、いずれもその厚みを十分に薄くすることができるので、減速機を十分に薄くすることができる。さらに、この適用例によれば、減速機としての動作は、入力歯車、揺駆動歯車、固定歯車、従駆動歯車および出力歯車によって実現される。これらの歯車は、一般的な外歯車や内歯車を有する歯車として構成することができるので、減速機自体の構造を簡略化することが可能となる。
【0011】
[適用例2]
適用例1記載の減速機であって、前記入力歯車には、前記回転軸を軸とする第1の外歯車が形成され、前記揺駆動歯車には、前記第1の外歯車と噛み合う第1の内歯車と、第2の外歯車とが同軸に形成され、前記固定歯車には、前記第2の外歯車と噛み合い、前記回転軸を軸とする第2の内歯車が形成され、前記従揺動歯車には、前記第1の内歯車および前記第2の外歯車と同軸の第3の外歯車が形成され、前記出力歯車には、前記第3の外歯車と噛み合い、前記回転軸を軸とする第3の内歯車が形成されており、前記第1ないし第3の外歯車および前記第1ないし第3の内歯車のモジュールは、全て同一に設定されており、互いに噛み合う内歯車と外歯車との歯数差は、全て同一に設定されている、減速機。
【0012】
この適用例によれば、外歯車および内歯車の全てについてモジュールが同一に設定されているため、減速機を構成する入力歯車、揺駆動歯車、固定歯車、従揺動歯車および出力歯車をより容易に設計することができる。
【0013】
[適用例3]
前記同一に設定された歯数差は、奇数に設定されている、適用例2記載の減速機。
【0014】
この適用例によれば、入力歯車の回転を開始させた際に、各歯車の回転状態によって出力歯車が逆方向に回転する逆転現象の発生を抑制することができる。
【0015】
[適用例4]
前記同一に設定された歯数差は、1に設定されている、適用例3記載の減速機。
【0016】
この適用例によれば、減速機の減速比をより高くすることができる。
【0017】
[適用例5]
前記入力歯車、前記揺駆動歯車、前記固定歯車、前記従揺動歯車および前記出力歯車の歯形は、サイクロイド歯形である、適用例1ないし4のいずれか記載の減速機。
【0018】
この適用例によれば、減速機のバックラッシュを低減するとともに、歯数差をより少なくして減速比を大きくすることがより容易となる。
【0019】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、減速機、その減速機を用いた駆動機構、その減速機とモーター等の動力発生装置とを組み合わせた駆動装置等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態としての減速機の構成を示す分解斜視図。
図2】前段部の動作を示す説明図。
図3】前段部の動作を示す説明図。
図4】後段部の動作を示す説明図。
図5】後段部の動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を以下の順序で説明する。
A.実施形態:
A1.減速機の構成:
A2.減速機の動作:
B.変形例:
【0022】
A.実施形態:
A1.減速機の構成:
図1は、本発明の一実施形態としての減速機100の構成を示す分解斜視図である。この減速機100は、減速機100に入力され、減速機100の中心軸Cを中心として回転する動力を減速して、中心軸Cを中心として回転する動力(以下、「回転動力」あるいは単に「動力」とも呼ぶ)を出力する。このように、中心軸Cは、減速機100に入力され、また、減速機100から出力される動力の回転の中心となる。そのため、中心軸Cは、「回転軸」とも呼ぶことができる。なお、本実施形態の減速機100において、回転動力は、中心軸Cに沿って、図1の紙面の右側から入力され、左側から出力される。そのため、図1において中心軸Cに沿って紙面の右側方向を「入力側」とも呼び、紙面の左側方向を「出力側」とも呼ぶ。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の減速機100は、互いに噛み合う歯車の組合せ(歯車機構)である前段部101および後段部102と、入力シャフト105と、ハウジング160とを備えている。前段部101は、厚みが略同一の3つの板状の歯車110,120,130を入れ子状態に配置することにより構成され、後段部102は、厚みが略同一の2つの板状の歯車140,150を入れ子状態に配置することにより構成されている。なお、以下では、これらの5つの歯車110~150を、後述するそれぞれの動作や機能に対応して、入力歯車110、揺駆動歯車120、固定歯車130、従揺動歯車140および出力歯車150とも呼ぶ。
【0024】
ハウジング160は、円筒状の筒状部161と、円盤状の板状部162と、筒状部161の外周に設けられた6つの耳部165とを有している。板状部162は、筒状部161の入力側端の内側に固定的に取り付けられている。この板状部162には、入力シャフト105を通すためのシャフト穴169が設けられている。また、筒状部161と耳部165との境界部分には、外部に対して減速機100を固定するための貫通孔168が形成されている。
【0025】
外部に対して固定されたハウジング160は、減速機100各部の動作の基準となる。そのため、以下では、特に言及しない限り、回転等の各部の動作は、ハウジング160を基準として説明する。また、各部の回転状態については、特に言及しない限り、中心軸Cについての回転として説明する。
【0026】
前段部101を構成する入力歯車110、揺駆動歯車120および固定歯車130は、板状部162の出力側に隣接するように筒状部161の内側に収容される。また、後段部102を構成する従揺動歯車140および出力歯車150は、前段部101の出力側に隣接するように筒状部161の内側に収容される。
【0027】
このように、本実施形態の減速機100では、その主要な構成要素である前段部101と後段部102とが隣接した状態で中心軸Cに沿って配列される。また、前段部101および後段部102を構成する5つの歯車110~150は、いずれもその厚みを十分に薄くすることができる。そのため、本実施形態によれば、減速機100をより薄型化することが可能となる。
【0028】
なお、図1に示すように、板状部162に設けられたシャフト穴169の内径は、入力シャフト105の外径よりも大きく、かつ、入力歯車110の歯先円直径よりも小さく設定されている。そのため、前段部101の入力歯車110および揺駆動歯車120は、板状部162により入力側方向への移動が規制されている。また、後段部102の従揺動歯車140および出力歯車150は、前段部101の揺駆動歯車120および固定歯車130により入力側方向への移動が規制されている。
【0029】
また、前段部101の入力歯車110および揺駆動歯車120と、後段部102の従揺動歯車140および出力歯車150との出力側方向への移動の規制は、ハウジング160の出力側端に当該移動を規制する部材(図示しない)を配置し、あるいは、当該移動を規制するように出力歯車150から回転動力を出力する出力手段(図示しない)を適宜構成することにより行うことができる。
【0030】
入力シャフト105は、中心軸Cを軸とする円柱状の部材であり、板状部162のシャフト穴169を通して入力側に突出した状態で入力歯車110に固定的に取り付けられる。この入力シャフト105の入力側に突出した部分から回転動力を入力することにより、入力シャフト105および入力歯車110は、中心軸Cを中心に回転する。
【0031】
入力シャフト105の入力歯車110への取付は、例えば、入力シャフト105の出力側の端面に雌ねじが形成されたねじ孔を設けるとともに、入力歯車110にねじ孔と対応する貫通孔を設け、入力歯車110の貫通孔を通した雄ねじと、入力シャフト105の雌ねじとを締め付けることにより行うことができる。また、入力シャフト105と略同径のシャフト嵌入穴を入力歯車110に設け、シャフト嵌入穴に入力シャフト105を嵌め込むことにより、入力シャフト105を入力歯車110に取り付けることも可能である。
【0032】
図1に示すように、入力歯車110には、中心軸Cと同軸で歯数が6の外歯車111が形成されている。本実施形態において、この外歯車111の歯形は、減速機100のバックラッシュを低減するとともに、外歯車111と噛み合う内歯車129との歯数の差(歯数差)をより少なくすることがより容易となるように、サイクロイド歯形としている。同様に、本実施形態においては、後述する他の外歯車121,141および内歯車129,139,159についても、その歯形としてサイクロイド歯形を採用している。
【0033】
しかしながら、外歯車111,121,141および内歯車129,139,159の歯形(歯車110~150の歯形)としては、必ずしもサイクロイド歯形を採用する必要はなく、トロコイド歯形やインボリュート歯形とすることも可能である。この場合、互いに噛み合う外歯車と内歯車との歯形が同種の歯形であれば、複数種類の歯形を採用することも可能である。但し、バックラッシュの低減がより容易となる点と、互いに噛み合う外歯車と内歯車との歯数差を少なくすることがより容易となる点とで、外歯車および内歯車の歯形としては、サイクロイド歯形を採用するのが好ましい。
【0034】
また、本実施形態においては、外歯車111,121,141および内歯車129,139,159について、その形状を規定するパラメータの一つであるモジュール(ピッチ円の直径を歯数で除した値)を全て同一に設定している。このように、外歯車111,121,141および内歯車129,139,159のモジュールを同一に設定することにより、外歯車111,121,141および内歯車129,139,159(歯車110~150)をより容易に設計することができる。
【0035】
固定歯車130には、中心軸Cと同軸で歯数が18の内歯車139が形成されている。この固定歯車130は、筒状部161の内側に固定的に取り付けられている。このような固定歯車130の筒状部161(ハウジング160)への取付は、例えば、固定歯車130を筒状部161内に嵌め込み、あるいは、溶接等により固定歯車130をハウジング160に固着させることにより行うことができる。
【0036】
なお、本実施形態では、固定歯車130とハウジング160とを別部材として構成しているが、ハウジングを削り出し等の方法で作成し、ハウジング自体に固定歯車を設けるものとしても良い。また、筒状部および耳部に相当する外縁部と板状部とを有する板状の部材と、外縁部と固定歯車とを有する板状の部材と、外縁部のみからなる板状の部材とを中心軸C方向に重ね合わせてハウジングを形成することも可能である。このようにすれば、ハウジングおよびハウジングに固定された固定歯車をより容易に製造することができる。
【0037】
図1に示すように、揺駆動歯車120には、歯数が7の内歯車129と、歯数が17の外歯車121とが同軸に形成されている。上述のように、入力歯車110、揺駆動歯車120および固定歯車130は、入れ子状態に配置されている。そのため、揺駆動歯車120は、入力歯車110と固定歯車130との間に配置される。
【0038】
本実施形態では、入力歯車110の外歯車111と揺駆動歯車120の内歯車129との歯数差、および、揺駆動歯車120の外歯車121と固定歯車130の内歯車139との歯数差を、いずれも1に設定している。そのため、後述するように、揺駆動歯車120は、入力歯車110と固定歯車130との双方に噛み合った状態となり、入力歯車110の回転に伴って回転揺動する。
【0039】
従揺動歯車140は、揺駆動歯車120と同軸となるように、揺駆動歯車120の出力側に固定的に取り付けられている。従揺動歯車140の揺駆動歯車120への取付は、例えば、揺駆動歯車120に雌ねじが形成されたねじ孔を設けるとともに、従揺動歯車140にねじ孔と対応する貫通孔を設け、従揺動歯車140の貫通孔を通した雄ねじと、揺駆動歯車120の雌ねじとを締め付けることにより行うことができる。また、溶接等により、揺駆動歯車120と従駆動歯車140とを固着させるものとしても良い。このように、従揺動歯車140を揺駆動歯車120に固定的に取り付けることにより、従揺動歯車140は、揺駆動歯車120の回転揺動に伴って回転揺動する。
【0040】
図1に示すように、従揺動歯車140には、歯数が16の外歯車141と、中心穴149とが同軸に形成されている。本実施形態では、このように従揺動歯車140に中心穴149を設けることにより、従揺動歯車140と入力歯車110との接触を抑制している。また、従揺動歯車140に中心穴149を設ければ、上述のように入力シャフト105を入力歯車110にねじ止めする場合に、ねじ止め用のねじと従揺動歯車140との干渉を抑制することができる。
【0041】
なお、従揺動歯車140に設けられた中心穴149の形成を省略することも可能である。この場合、従揺動歯車により入力歯車の出力側方向への移動が規制されるので、当該移動の規制手段を別途設ける必要がなくなる。そのため、減速機の構成をより簡単にすることができる。
【0042】
出力歯車150は、外径が筒状部161の内径よりもやや小さく形成されており、ハウジング160に対して回転自在となるように、筒状部161の内側に収容される。この出力歯車150には、中心軸Cと同軸で歯数が17の内歯車159が形成されている。
【0043】
このように、後段部102では、従揺動歯車140の外歯車141と出力歯車150の内歯車159との歯数差が、前段部101において互いに噛み合う外歯車と内歯車との歯数差と同一の1に設定されている。そのため、後述するように、従揺動歯車140と出力歯車150とが互いに噛み合った状態で、従揺動歯車140が揺駆動歯車120の回転揺動に伴って回転揺動し、その回転揺動により出力歯車150が回転する。
【0044】
出力歯車150に伝達された回転動力は、種々の方法で出力させることができる。例えば、板状の部材を出力歯車150の出力側に固定的に取り付けるとともに、当該部材の出力側に中心軸Cを軸とする円柱状の出力シャフトを固定的に取り付け、出力シャフトから回転動力を出力させることができる。また、歯車が形成された環状の部材を出力歯車150の出力側に取り付け、当該部材の歯車から回転動力を出力させることも可能である。
【0045】
A2.減速機の動作:
図2および図3は、本実施形態の減速機100(図1)における前段部101の動作を示す説明図である。図2(a)、図2(b)、図3(a)および図3(b)は、この順に、入力シャフト105に回転動力を入力して、入力歯車110を回転させた際の時間的な変化を示している。なお、図2および図3では、前段部101を構成する入力歯車110、揺駆動歯車120および固定歯車130を出力側から見た様子を示している。
【0046】
図2および図3において、「+」状のマーカは減速機100(図1)の中心軸Cを表し、「×」状のマーカは揺駆動歯車120の軸を表している。二点鎖線は、入力歯車110、揺駆動歯車120および固定歯車130に形成された外歯車111,121と内歯車129,139とのそれぞれのピッチ円を表し、破線は、中心軸Cを中心とし、外歯車111,121および内歯車129,139のモジュールに直径が等しい円を表している。また、入力歯車110および揺駆動歯車120上に描いた黒点は、それぞれの回転状態を視覚化するために描いたものであり、入力歯車110および揺駆動歯車120上において固定された位置を示している。
【0047】
図2(a)は、入力歯車110を回転させていない初期状態を示している。なお、以下の説明において、入力歯車110等の回転角は、この初期状態における回転角を±0°とし、出力側から見て右回り(時計回り)、すなわち、出力側を示す記号(丸の中心に点を付した記号)の周囲に描いた矢印の方向を正の値とする。
【0048】
上述のように、本実施形態では、入力歯車110の外歯車111と揺駆動歯車120の内歯車129との歯数差、および、揺駆動歯車120の外歯車121と固定歯車130の内歯車139との歯数差を、いずれも1に設定している。そのため、図2(a)に示す初期状態において、揺駆動歯車120は、中心軸Cからモジュールの1/2だけ紙面下方(以下、単に「下方」等と呼び、上方、右方、左方についても同様に呼ぶ)に偏心している。そして、入力歯車110の外歯車111と揺駆動歯車120の内歯車129とは、偏心方向と反対の方向である上方で噛み合い、揺駆動歯車120の外歯車121と固定歯車130の内歯車139とは、偏心方向である下方で噛み合っている。
【0049】
このように、揺駆動歯車120が入力歯車110と噛み合った状態で入力歯車110を回転させると、揺駆動歯車120が揺駆動歯車120自体の軸を中心に回転(自転)する。このとき、揺駆動歯車120に噛み合う固定歯車130が回転しないため、揺駆動歯車120の自転に伴い、揺駆動歯車120の軸が中心軸Cの回りを回転(公転)する。
【0050】
図2(b)は、初期状態(図2(a))から白抜きの矢印で示すように正方向に入力歯車110を回転させ、入力歯車110の回転角が+20°となった第1の回転状態(回転状態1)を示している。このとき、揺駆動歯車120の軸は、中心軸Cを中心に-85°回転している。また、揺駆動歯車120は、その軸を中心に+5°回転している。この揺駆動歯車120の回転状態は、揺駆動歯車120を-85°の回転角で公転させるとともに、+90°の回転角で自転させた状態に相当する。
【0051】
図3(a)は、第1の回転状態(図2(b))からさらに入力歯車110を回転させ、入力歯車110の回転角が+40°となった第2の回転状態(回転状態2)を示している。このとき、揺駆動歯車120の軸は、図2(a)に示す初期状態から、中心軸Cを中心に-170°回転し、揺駆動歯車120は、その軸を中心に+10°回転している。従って、揺駆動歯車120は、-170°の回転角で公転するとともに、+180°の回転角で自転した状態となっている。
【0052】
図3(b)は、第2の回転状態(図3(a))からさらに入力歯車110を回転させ、入力歯車110の回転角が+60°となった第3の回転状態(回転状態3)を示している。このとき、図2(a)に示す初期状態から、揺駆動歯車120の軸は、中心軸Cを中心に-255°回転し、揺駆動歯車120は、その軸を中心に+15°回転している。従って、揺駆動歯車120は、-255°の回転角で公転するとともに、+270°の回転角で自転した状態となっている。
【0053】
このように、揺駆動歯車120は、入力歯車110および固定歯車130の双方と噛み合った状態で、入力歯車110の回転に応じて回転揺動する。そして、上述のように、入力歯車110の外歯車111と揺駆動歯車120の内歯車129との歯数差、および、揺駆動歯車120の外歯車121と固定歯車130の内歯車139との歯数差が、いずれも1に設定されているため、揺駆動歯車120は、図2および図3に示すように、その軸が中心軸Cを中心とし直径がモジュールに等しい円(揺動円)を描くように回転揺動する。
【0054】
また、図2および図3に示すように、本実施形態の前段部101においては、入力歯車110の回転に伴う揺駆動歯車120の自転方向と公転方向とが反対方向となっている。このように、揺駆動歯車120では自転方向と公転方向とが反対方向となっているため、ハウジング160(図1)を基準とする静止系から見ると、揺駆動歯車120のその軸を中心とする回転角は、入力歯車110の回転角よりも小さくなる。
【0055】
図4および図5は、本実施形態の減速機100(図1)の後段部102の動作を示す説明図である。図4(a)、図4(b)、図5(a)および図5(b)は、この順に、入力シャフト105に回転動力を入力して、入力歯車110を回転させた際の時間的な変化を示している。なお、図4および図5では、後段部102を構成する従揺動歯車140および出力歯車150と、入力歯車110とを出力側から見た様子を示している。図4および図5において描いた、記号、矢印、マーカ、二点鎖線、破線および黒点は、図2および図3と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0056】
図4(a)は、入力歯車110の回転角が±0°の初期状態を示している。上述のように、従揺動歯車140は、揺駆動歯車120と同軸となるように、揺駆動歯車120の出力側に固定的に取り付けられている。そのため、従揺動歯車140は、初期状態において、揺駆動歯車120と同様に、中心軸Cからモジュールの1/2だけ下方に偏心している。そして、従揺動歯車140の外歯車141と、出力歯車150の内歯車159との歯数差が1に設定されているため、初期状態において、従揺動歯車140の外歯車141と出力歯車150の内歯車159とは、偏心方向である下方において噛み合っている。
【0057】
図4(b)は、初期状態(図4(a))から正方向に入力歯車110を回転させ、入力歯車110の回転角が+20°となった第1の回転状態(回転状態1)を示している。このとき、従揺動歯車140は、揺駆動歯車120と同様に、-85°の回転角で公転するとともに、90°の回転角で自転した状態となる。そして、従揺動歯車140の外歯車141と、出力歯車150の内歯車159とは、従揺動歯車140の偏心方向(すなわち、中心軸Cを中心に初期状態から-85°回転した方向)において、互いに噛み合う。
【0058】
出力歯車150は、出力歯車150の内歯車159と、固定歯車130(図2(b))の内歯車139との間で歯数差(本実施形態では1)があるため、従揺動歯車140の回転揺動に伴って、入力歯車110に対して高い減速比(本実施形態では、68)で減速され、入力歯車110とは反対方向に回転する。そのため、図4(b)に示すように、入力歯車110の回転角が+20°となる回転状態1では、出力歯車150の回転角は、約-0.29°となる。
【0059】
図5(a)および図5(b)に示すように、さらに、入力歯車110を回転させると、従揺動歯車140がさらに回転揺動し、それに伴い、出力歯車150が回転する。入力歯車110の回転角が+40°となる回転状態2(図5(a))では、従揺動歯車140は、-170°の回転角で公転するとともに、+180°の回転角で自転した状態となり、出力歯車150の回転角は、約-0.58°となる。また、入力歯車110の回転角が+60°となる回転状態3(図5(b))では、従揺動歯車140は、-225°の回転角で公転するとともに、+270°の回転角で自転した状態となり、出力歯車150の回転角は、約-0.58°となる。
【0060】
なお、このような減速機100による減速比(速度伝達比の絶対値)は、通常、作表法等を用いて算出することができる。具体的には、次の表1に示すように、揺駆動歯車および従揺動歯車(揺動歯車)の公転を停止した状態で、入力歯車を1回転させた場合と、全体を糊付けした状態で、固定歯車の回転を相殺するように入力歯車を回転させた場合とについて入力歯車、揺駆動歯車、固定歯車、従揺動歯車および出力歯車のそれぞれの回転数を算出する。次いで、これらの2条件での各歯車の回転数を加算することにより、減速機における各歯車の回転数を算出する。
【0061】
【表1】
【0062】
なお、表1において、Z,Z21,Z22,Z,Z,Zは、それぞれ、入力歯車の外歯車の歯数、揺駆動歯車の内歯車の歯数、揺駆動歯車の外歯車の歯数、固定歯車の内歯車の歯数、従揺動歯車の外歯車の歯数、および、出力歯車の内歯車の歯数を表している。
【0063】
このようにして各歯車の回転数を算出した後、算出された入力歯車の回転数を出力歯車の回転数で除することにより、減速機全体の速度伝達比jが得られる。このようにして得られた速度伝達比jは、次の式(1)により表される。
【数1】
【0064】
そして、本実施形態の減速機100のように、互いに噛み合う内歯車と外歯車の歯数差を1とした場合、すなわち、Z21=Z+1,Z22=Z-1,Z=Z-1とした場合、速度伝達比jは、次の式(2)により表される。
【数2】
【0065】
これらの式(1)および(2)において、本実施形態において使用した外歯車111,121,141および内歯車129,139,159のそれぞれの歯数を代入して速度伝達比jを算出すると、上述のように、速度伝達比jは-68となる。このことから、入力された回転動力は、減速比68で減速されるとともに、回転方向が反転されて出力されることがわかる。
【0066】
なお、上記式(1)および(2)から分かるように、歯数の関係によっては、式(1)あるいは式(2)の分母が零になり、速度伝達比jが算出不能となる。この状態は、従揺動歯車が、その軸が揺動円を描くように回転揺動しても出力歯車が中心軸を中心に回転しない状態となる。従って、従揺動歯車が、その軸が揺動円を描くように回転揺動した際に、出力歯車が中心軸を中心に回転する状態は、上記式(1)および(2)の分母が零とならない状態、すなわち、一般的な式(1)についてはZ-Z22、互いに噛み合う内歯車と外歯車の歯数差を1とした式(2)についてはZ-Zが零でないことに相当する。
【0067】
以上で説明した通り、本実施形態の減速機100によれば、減速機100をより薄型化しつつ、減速機100の減速比をより高くすることができる。また、本実施形態の減速機100では、入力歯車110、揺駆動歯車120、固定歯車130、従揺動歯車140および出力歯車150の計5つの歯車により減速機能を実現することができるので、薄型で減速比の高い減速機100の構造を簡略化し、その製造をより容易にすることができる。
【0068】
さらに、本実施形態の減速機100では、減速比を高くすることが可能な不思議遊星歯車装置のようにバックラッシュの発生や強度の低下をもたらす虞のある転位歯車を使用する必要がない。そのため、減速比の高い減速機において、バックラッシュを抑制するとともに、強度の低下を抑制することが可能となる。
【0069】
B.変形例:
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0070】
B1.変形例1:
上記実施形態では、板状部162と、前段部101と、後段部102とを順次隣接した状態で中心軸Cに沿って配列しているが、板状部、前段部および後段部は、必ずしも隣接している必要はない。例えば、板状部と前段部との間、および、前段部と後段部との間の少なくとも一方に、スペーサーを挟み込むことも可能である。なお、スペーサーを使用する場合、板状部と前段部との間、および、前段部と後段部との間での摩擦抵抗を低減し、減速機の動力伝達効率をより高くすることができるため、スペーサーとして潤滑性のある樹脂フィルム(例えば、ポリテトラフルオロエチレンやナイロン)で形成されたフィルムを使用するのが好ましい。
【0071】
B2.変形例2:
上記実施形態では、ハウジング160に板状部162を設け、前段部101の入力歯車110および揺駆動歯車120の入力側方向への移動が規制しているが、他の方法により、入力歯車および揺駆動歯車の入力側方向への移動を規制することも可能である。例えば、入力歯車に固定的に取り付けられた入力シャフトとハウジングとの間にベアリングを設け、入力歯車の中心軸に沿った(入力側方向への)移動を規制するとともに、開口部が板状部162よりも大きい板状の部材で揺駆動歯車の入力側方向への移動を規制することも可能である。また、入力歯車の入力側方向への移動を規制するとともに、入力歯車と揺駆動歯車との少なくとも一方にフランジを設けることにより、揺駆動歯車の入力側方向への移動を規制することもできる。
【0072】
一般的には、入力歯車、揺駆動歯車および固定歯車を有する前段部と、従揺動歯車および出力歯車を有する後段部とが、ハウジング内に収容されていれば良く、上述のように、前段部および後段部がハウジング内に収容された状態が維持されるように、前段部および後段部の中心軸に沿った移動の規制は、種々の手段により行うことができる。
【0073】
B3.変形例3:
上記実施形態では、外歯車111,121,141および内歯車129,139,159について、モジュールを全て同一に設定するとともに、互いに噛み合う外歯車と内歯車との歯数差を全て1に設定している。しかしながら、互いに噛み合う外歯車と内歯車とのモジュールが同一であれば、互いに噛み合う外歯車と内歯車との組ごとにモジュールを変更することも可能である。この場合、互いに噛み合う外歯車と内歯車とのモジュールと、当該外歯車と内歯車との歯数差との積は、全て同一に設定される。
【0074】
このように、モジュールと歯数差との積を全て同一に設定することにより、揺駆動歯車を入力歯車および固定歯車の双方に噛み合わせるとともに、従揺動歯車を出力歯車に噛み合わせることができる。従って、揺駆動歯車が入力歯車および固定歯車の双方に噛み合い、かつ、従揺動歯車と出力歯車とが噛み合う状態は、モジュールと歯数差との積を全て同一に設定した状態に相当する。
【0075】
また、以上の説明から分かるように、モジュールを全て同一に設定した場合、互いに噛み合う内歯車と外歯車の歯数差は、同一に設定されていれば、任意に変更することが可能である。この場合、歯数差は、奇数に設定するのが好ましく、1にするのがより好ましい。歯数差を奇数に設定すれば、入力歯車の回転を開始させた際に、各歯車の回転状態によって出力歯車が逆方向に回転する逆転現象の発生を抑制することができる。また、歯数差を1に設定すれば、減速比をより高くすることができる。
【0076】
B4.変形例4:
上記実施形態では、入力シャフト105に回転動力を入力し、出力歯車150から減速された回転動力を出力しているが、入力シャフト105を省略することもできる。入力シャフト105を省略する場合には、例えば、入力歯車をモーターの回転子として機能させ、入力歯車を直接電磁的に動かすことにより、入力歯車に動力を入力するものとしても良い。
【符号の説明】
【0077】
100…減速機
101…前段部
102…後段部
105…入力シャフト
110…入力歯車
111…外歯車
120…揺駆動歯車
121…外歯車
129…内歯車
130…固定歯車
139…内歯車
140…従揺動歯車
141…外歯車
149…中心穴
150…出力歯車
159…内歯車
160…ハウジング
161…筒状部
162…板状部
165…耳部
168…貫通孔
169…シャフト穴
C…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5