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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】単一部品車両ホイールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60B 3/02 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B60B3/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020502641
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 IB2018051463
(87)【国際公開番号】W WO2019048939
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】201741031520
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】518018193
【氏名又は名称】ウィールズ インディア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WHEELS INDIA LIMITED
【住所又は居所原語表記】Padi Chennai, Tamilnadu 600050 (IN)
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】ティヤガラジャン,ドクター スンダララジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラマサミー,ムスラジ
(72)【発明者】
【氏名】エル.,ラジャセカル
(72)【発明者】
【氏名】ベンサムブ,ジョナサン キンストン
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0278399(US,A1)
【文献】特開2000-280042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の金属帯からホイールを製造する方法であって、
前記ホイールを製造するため加工工具に設けられた主軸102に金属帯101を配置するステップと、
リム201及びホイールディスク202を作るため前記金属帯101を成形するステップと、
前記ホイールディスク202を形成するため前記金属帯101のこしき部401をスピニングするステップであって、前記金属帯101の前記こしき部のスピニングは前記ホイールの内側幅を固定するため利用されるステップと、
前記ホイールの溝部504及びディスクフランジ部502を作るため前記金属帯101をスピニングするステップと、
前記溝部504を形成するため前記金属帯101の前記リム部の一端をローリングするステップであって、前記リム部の前記一端は前記ホイールディスク202の部分に接続されているステップと、
タイヤシート及びウェル領域701を形成するため前記金属帯101の前記リム部をさらにスピニングするステップであって、前記ウェル領域701は前記リム部と比較して小さい幅を有するステップと、
前記リム部の別の端部を外側に曲げることでフランジフレア801を形成するステップと、
前記ホイールのリムのフランジ部を形成するため前記フランジフレア801を曲げるステップと、
前記ホイールをホイール軸に取り付けるためボルト穴503を広げ前記ホイールの前記ホイールディスクの部分の穴を面取りするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ホイールディスク202の部分を作るための成形工程において前記金属帯101曲げられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
単一の前記金属帯101からホイールを製造する方法は、
前記ホイールの前記溝部504及び前記ディスクフランジ部502を形成するスピニング工程を行う前にボルト穴503及び中央穴501を形成するステップ、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
単一の前記金属帯101からホイールを製造する方法は、
鋭利な縁部を避けるため前記フランジの縁部1201を機械加工するステップと、
前記ホイールの最終的な所望の形状を得るためこしき1202及び穴を機械加工するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
単一の前記金属帯101からホイールを製造する方法は、
前記リム部の別の端部にフランジ部901を形成した後、前記ホイールディスク202用の空気穴1001を開けるステップと、
前記ホイールディスク202用の前記空気穴1001を開けた後、前記空気穴の圧印加工を行うステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
単一の前記金属帯101からホイールを製造する方法は、
前記空気穴1001を開け圧印加工を行った後、収縮工程によって前記リム部の長さを短縮するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、概して、単一部品から車両用ホイールを製造する分野に関する。詳細には、本実施形態は、単一の金属帯(金属バンド)を使用して車両ホイールを製造する新規な方法を提供する。さらに、該方法は、ワークピースのリバースローリング及び分割の必要なく、簡単なステップを有する車両ホイール製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両ホイールを製造する様々な方法がある。ホイールは、複数部品のホイールを組み立てることによって製造することも、単一部品を使用して製造することも可能である。複数部品のホイール製造方法では、ホイールの中央ディスクとホイールリムが別々に形成される。さらに、中央ディスクとホイールリムを適切に組み立て、最終的な車両ホイールとして共に溶接する必要がある。単一部品のホイール製造方法の場合、ホイール全体が、円筒形、円形又は矩形の金属シートであるような単一のブランクを使用して形成される。
【0003】
複数部品の車両ホイールを組み立てて最終的に溶接する際、考慮を要する事実がある。リム部に鋭利な縁部が存在することによるタイヤの損傷を防ぐため、リムは適切に機械加工される必要がある。さらに、タイヤとリムの間の空気圧を維持するため、リムは気密でなければならない。そのような熟考を避けるため、製造業者は単一部品のホイール製造を好む。
【0004】
一般に、単一部品ホイール製造方法では、複数部品のホイールと比較すると、原材料の要件が少なくなる。製造方法も簡単である。さらに、複数部品のホイールとは異なり、単一ホイール製造方法では溶接が必要でないので、単一部品ホイール製造方法は溶接工程による応力集中を排除する。さらに、複数部品ホイール製造方法と比較すると、単一ホイール方法の製造コストも低くなる。
【0005】
単一の金属片から製造された車両ホイールは従来技術において既知である。既存の従来技術では、単一部品ホイール製造方法は、フランジ部を形成するためにリバースローリングを必要とする。さらに、別の従来技術では、該方法において、ハブ部を形成するために金属部分を分割する必要がある。場合によっては、フランジ及びハブ部を形成するために、金属ブランクの厚さを薄くし、必要な形状に適切に変形させる。
【0006】
したがって、リバースローリングの必要なく簡単なステップを有する単一部品ホイール製造方法を開発する必要がある。さらに、分割工程の必要なく単一のバンドを使用してホイールを製造する新規な方法が必要である。さらに、より多くの応力及び張力にワークピースが影響されることなく車両ホイールを製造する新規な方法が必要である。
【発明の目的】
【0007】
本開示の目的の幾つかを本明細書において以下説明する。
【0008】
本発明の主な目的は、単一の金属帯をワークピースとして使用して車両ホイールを製造する新規な方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、簡単な製造技術で車両ホイールを製造する新規な方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、フランジ部を得るためのリバースローリングの必要なく車両ホイールを製造する新規な方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、ワークピースを分割する必要なく車両ホイール部品を製造するための新規な方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、車両ホイールを低コストで製造するための新規な方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的及び利点は、添付の図面を参照して読むと以下の説明から明らかであり、添付の図面は本発明の好適な実施形態の例示のために組み込まれ、その範囲を限定することを意図していない。
【発明の概要】
【0014】
上記を考慮して、本実施形態は単一の金属帯をワークピースとして使用して車両ホイールを製造する新規な方法を提供する。単一のワークピースを使用して車両ホイールを製造する方法は、加工工具に設けられた主軸に金属帯を配置するステップと、所望の長さのリム及びホイールディスクを作るため金属帯/ワークピースを成形するステップであって、リム及びホイールディスクのサイズは要件に応じて形成可能であるステップと、ホイールディスクを形成するためワークピースのこしき部をスピニングするステップであって、ワークピースのこしきスピニングはホイールの内側幅を固定するために利用可能であるステップと、ホイールのディスクフランジ及び溝部を作るためワークピースをスピニングするステップと、所定の形状及び厚さを有する必要な溝部を形成するためホイールディスク部に接続されたワークピースのリム部の一端をローリングするステップと、タイヤシート及びウェル領域を形成するためワークピースのリム部をさらにスピニングするステップと、リム部の別の端部を曲げることでフランジフレアを形成するステップと、フランジフレアを所望の形状に曲げることでホイールリムのフランジ部を形成するステップと、鋭利な縁部を避けるためフランジ縁部、こしき及び穴を機械加工するステップと、ボルト穴を広げ、ホイールのホイールディスク部の穴を面取りするステップと、を含む。
【0015】
一実施形態によれば、ホイールの溝及びディスクフランジ部を形成するスピニング工程を行う前に、ボルト穴及び中央穴が形成される。さらに、リム部の別の端部にフランジ部を形成した後、ホイールディスク用の空気穴が開けられ、空気穴の圧印加工も行われる。機械加工工程は、ホイールの最終的な所望の形状を得るために行われる。
【0016】
本明細書の実施形態のこれら及び他の態様は、以下の説明及び添付の図面とあわせて考慮するとよりよく認識され理解されるであろう。しかし、以下の説明は、好適な実施形態及びその多数の特定の詳細を示しているが、限定ではなく例示として与えられていることが理解されるべきである。本明細書の実施形態の範囲内で、その主旨から逸脱することなく多くの変更及び修正を行うことができ、本明細書の実施形態はそのような全ての修正を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面を参照して詳細な説明をする。図面において、符号の左端の数字は、符号が最初に現れる図を識別する。異なる図面において同じ符号を使用することで、類似の又は同一の項目を示す。
【0018】
図1】本実施形態の加工工具に固定された金属帯の断面図を示す。
【0019】
図2】本実施形態の第一スピニング成形工程の断面図である。
【0020】
図3】本実施形態の最終スピニング成形工程の断面図である。
【0021】
図4】本実施形態のこしきスピニング工程の断面図を示す。
【0022】
図5】本実施形態のディスクフランジ及び溝スピニング工程の断面図を示す。
【0023】
図6】本実施形態の溝ローリング工程の断面図を示す。
【0024】
図7】本実施形態のタイプシート及びウェル領域スピニング工程の断面図を示す。
【0025】
図8】本実施形態のフランジフレア工程の断面図を示す。
【0026】
図9】本実施形態のフランジ形成工程の断面図を示す。
【0027】
図10】本実施形態のアクセス穴[A/H]圧印加工及び穿孔工程の断面図を示す。
【0028】
図11】本実施形態の収縮工程の断面図である。
【0029】
図12】本実施形態の機械加工及びリーマ加工工程の断面図を示す
【発明を実施するための形態】
【0030】
本実施形態並びにその様々な特徴及び有利な詳細は、非限定的な実施形態を参照してより十分に説明され、以下の説明で詳述される。本実施形態を不必要に不明瞭にしないため、周知の構成要素及び処理技術の説明は省略される。本明細書で使用される例は、単に、本実施形態が実施される方法の理解を容易にし、さらに当業者が本実施形態を実施できるようにすることを意図している。したがって、実施例は本実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0031】
上述のとおり、単一のワークピースを使用して車両ホイールを製造する方法が必要である。本実施形態は、ワークピースのリバースローリング又は分割の必要なく車両ホイールを製造する方法を提供することによって、これを達成する。ここで図面、詳細には図1~12を参照し、図面において類似の符号は図面全体を通して一貫して対応する特徴を示し、好適な実施形態が示されている。
【0032】
一実施形態によれば、単一のワークピースを使用して車両ホイールを製造する方法は、加工工具に設けられた主軸に金属帯を配置するステップと、所望の長さのリム及びホイールディスクを作るため金属帯/ワークピースを成形するステップであって、リム及びホイールディスクのサイズは要件に応じて形成可能であるステップと、ホイールディスクを形成するためワークピースのこしき部をスピニングするステップであって、ワークピースのこしきスピニングはホイールの内側幅を固定するために利用可能であるステップと、ホイールのディスクフランジ及び溝部を作るためにワークピースをスピニングするステップと、所定の形状及び厚さを有する必要な溝部を形成するためホイールディスク部に接続されたワークピースのリム部の一端をローリングするステップと、タイヤシート及びウェル領域を形成するためワークピースのリム部をさらにスピニングするステップと、リム部の別の端部を曲げることでフランジフレアを形成するステップと、フランジフレアを所望の形状に曲げることでホイールリムのフランジ部を形成するステップと、鋭利な縁部を避けるためフランジ縁部、こしき及び穴を機械加工するステップと、ボルト穴を広げ、ホイールのホイールディスク部の穴を面取りするステップと、を含む。
【0033】
一実施形態によれば、ホイールの溝及びディスクフランジ部を形成するスピニング工程を行う前に、ボルト穴及び中央穴が形成される。さらに、リム部の別の端部にフランジ部を形成した後、ホイールディスク用の空気穴が開けられ、空気穴の圧印加工も行われる。機械加工工程は、ホイールの最終的な所望の形状を得るために行われる。
【0034】
図1は、一実施形態の加工工具に固定された金属帯100の断面図を示す。金属帯101は、加工工具に設けられた主軸102に配置される。金属帯の重量はホイールのサイズの要件に従って選択される。
【0035】
図2は、一実施形態の第一スピニング成形工程の断面図200を示す。金属帯/ワークピース101は、まず、所望の長さのリム201及びホイールディスク202を作る成形工程を経る。リム及びホイールディスクのサイズは要件に応じて形成可能である。金属帯は、所定の厚さを有する所望のホイールディスク部202を成形するために、所定の角度203に曲げられる。
【0036】
図3は、一実施形態の最終スピニング成形工程300の断面図を示す。最終成形工程中、ワークピースは、ホイールディスク部301及びホイールリムを作るために必要な角度に従って曲げられる。
【0037】
図4は、一実施形態のこしきスピニング工程400の断面図を示す。ワークピースのこしき部401は、ホイールディスクを形成するスピニング工程を経る。ここで、ワークピースのこしきスピニングは、ホイールの内側幅を固定するために利用されてもよい。
【0038】
図5は、一実施形態のディスクフランジ及び溝スピニング工程500の断面図を示す。ワークピースはさらに、ホイールのディスクフランジ502及び溝部504を作るスピニング工程を経る。ホイールの溝及びディスクフランジ部を形成するスピニング工程を行う前に、ボルト穴503及び中央穴501が形成される。
【0039】
図6は、一実施形態の溝ローリング工程600の断面図を示す。ホイールディスク部に接続されたリム部の一端は、必要な形状及び厚さを有する溝部504を形成するローリング工程を経る。ローリング工程中にリム部の重量が増加する。
【0040】
図7は、一実施形態のタイプシート及びウェル領域スピニング工程700の断面図を示す。ワークピースのリム部はさらに、タイヤシート及びウェル領域701を形成するスピニング工程を経る。ウェル領域701はリム部と比較して小さい幅を有する。
【0041】
図8は、一実施形態のフランジフレア工程800の断面図を示す。成形プロセスを用いて、フランジフレア801は、リム部の別の端部を外側に曲げることで形成される。
【0042】
図9は、一実施形態のフランジ成形工程900の断面図を示す。ホイールリムのフランジ部901は、フランジフレア801を所望の形状に曲げることで形成される。
【0043】
図10は、一実施形態のA/H圧印加工及び穿孔工程1000の断面図を示す。リム部の別の端部にフランジ部を形成した後、ホイールディスク用の空気穴1001が開けられ、空気穴の圧印加工も行われる。
【0044】
図11は、一実施形態の収縮工程1100の断面図を示す。リム部の長さは収縮工程によって短縮される。
【0045】
図12は、一実施形態の機械加工及びリーマ加工工程1200の断面図を示す。フランジ縁部1201、こしき1202及び穴は、鋭利な縁部を避けるため機械加工工程を経る。ボルト穴は広げられ、ホイールディスク部の穴は適切に面取りされる。機械加工工程は、ホイールの最終的な所望の形状を得るために行われる。
【0046】
実施形態によれば、車両ホイールを製造する新規な方法は簡単な製造技術を有する。したがって、該方法は、フランジ部を得るためのリバースローリングを何ら利用せず、溝形成のための分割工程を何ら必要としない。さらに、車両ホイールの製造を低コストで行うことができる。したがって、他の全てのホイール製造方法と比較して、原材料の要件、廃棄物及び人件費が低減される。
【0047】
特定の実施形態の上述の説明は、本明細書の実施形態の一般的な性質を十分に明らかにするので、他の人は、現在の知識を適用することにより、一般的な概念から逸脱することなく、特定の実施形態などの様々な用途に容易に修正及び/又は適応することができるため、そのような適応及び修正は、開示された実施形態の等価物の意味及び範囲内で理解されるべきであり、そのように意図される。本明細書で使用される表現又は用語は説明のためのものであり、限定のためではないことを理解されるべきである。したがって、本明細書の実施形態を好適な実施形態に関して説明したが、当業者は、本明細書に記載の実施形態の主旨及び範囲内で修正を加えて本実施形態を実施できることを認識するであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12