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  • 特許-トイレ掃除用具 図1
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  • 特許-トイレ掃除用具 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】トイレ掃除用具
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/10 20060101AFI20220926BHJP
   B08B 1/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A47K11/10
B08B1/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021104519
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】304040278
【氏名又は名称】星野 延幸
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】星野 延幸
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0121507(KR,A)
【文献】特開平08-326959(JP,A)
【文献】特開2013-075038(JP,A)
【文献】特開2015-080522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/10-11/12
B08B 1/00
B08B 5/00-13/00
A47L 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便器の内蔵トラップに挿入して清掃するトイレ掃除用具であって、
金属ワイヤで構成されたワイヤ部と、
前記ワイヤ部の基側に固定した持ち手部と、
前記ワイヤ部の先側に固定したブラシ部と、
前記ワイヤ部が内部を通ったサポート部と、を有し、
前記サポート部は、合成樹脂製で略円筒形の複数の円筒体で構成されるとともに、
前記サポート部がスライド可能に挿入したガイドパイプをさらに有することを特徴とするトイレ掃除用具。
【請求項2】
円筒体が、ポリプロピレン樹脂で構成され、長さが2cm~3cmであることを特徴とする請求項1記載のトイレ掃除用具。
【請求項3】
ブラシ部がナイロンファイバーの不織布体で構成されるとともに、金属ワイヤの先端が輪状部で構成され、前記ブラシ部に切れ目を入れて、前記輪状部を挿入した上で、前記ブラシ部を貫いて前記輪状部を通した結束バンドにより緊結し、前記ブラシ部とワイヤ部とを固定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレ掃除用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小便器の内蔵トラップを清掃するトイレ掃除用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
便器の排水部には下水側からの臭気の流入を防ぐため、略S字状もしくは略P字状のトラップが設けられている。このようなトラップのうち特に男性用の小便器のトラップは径が細く、水が溜まるトラップ部分に尿石が付着して目詰まりを起こす可能性がある。このため、定期的に清掃を行うことが好ましい。尚、小便器のトラップには着脱型と内蔵型があり、このうち着脱型のものはトラップ部分を取り外すことで内部及びトラップの清掃を比較的容易に行うことができる。しかしながら、内蔵型のトラップは小便器と一体化しているため、小便器の排水口から内部トラップの清掃を行う必要があり、極めて困難な作業となる。
【0003】
ここで、下記[特許文献1]には小便器の排水口にノズルを挿入して高圧水を圧送し、内蔵トラップ内を清掃する便器清掃用具に係る発明が開示されている。しかしながら、通水によって湾曲した内蔵トラップ内を洗浄するには限界があり、ブラシ等による直接的な清掃が好ましい。これに対し、コイル状ばね線の先端にブラシを設けた排水管の清掃具が市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-198549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のコイル状ばね線を用いた清掃具では、小便器の内蔵トラップのように小径で急峻に折れ曲がった排水管では曲がり切れず、特に近年の内蔵トラップが小径化した節水型の小便器では十分な清掃が行えないという問題点がある。また、ワイヤ部分(コイル状ばね線)が内蔵トラップの壁面と接触して擦れ、壁面を傷付けるという問題点がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、小便器の内蔵トラップに挿入可能で且つ壁面を傷付けないトイレ掃除用具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)小便器10a、10bの内蔵トラップ12a、12bに挿入して清掃するトイレ掃除用具であって、
金属ワイヤ32で構成されたワイヤ部30と、前記ワイヤ部30の基側に固定した持ち手部20と、前記ワイヤ部30の先側に固定したブラシ部24と、前記ワイヤ部30が内部を通ったサポート部50と、を有し、
前記サポート部50は、合成樹脂製で略円筒形の複数の円筒体52で構成されるとともに、
前記サポート部50がスライド可能に挿入したガイドパイプ60をさらに有することを特徴とするトイレ掃除用具80bを提供することにより、上記課題を解決する。
)円筒体52が、ポリプロピレン樹脂で構成され、長さが2cm~3cmであることを特徴とする上記(1)記載のトイレ掃除用具80bを提供することにより、上記課題を解決する。
)ブラシ部24がナイロンファイバーの不織布体で構成されるとともに、金属ワイヤ32の先端が輪状部32aで構成され、、前記ブラシ部24に切れ目を入れて、前記輪状部32aを挿入した上で、前記ブラシ部24を貫いて前記輪状部32aを通した結束バンド26により緊結し、前記ブラシ部24とワイヤ部30とを固定したことを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載のトイレ掃除用具80bを提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るトイレ掃除用具は、ワイヤ部に柔軟な金属ワイヤを用い、これを覆うように円筒体が挿入して構成されている。そして清掃時には、ワイヤ部が内蔵トラップの形状に応じて湾曲するとともに円筒体がワイヤ部の必要以上の湾曲を制限するため、ブラシ部の円滑な移動が可能となる。また、力の伝達が効率良く行われ、ブラシ部の往復による清掃動作をスムーズに行うことができる。さらに、ワイヤ部に通された円筒体は合成樹脂製のため、往復動作時に擦れても内蔵トラップ及び排水部内の壁面を傷付ける事はない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るトイレ掃除用具を示す図である。
図2】本発明に係るトイレ掃除用具の使用方法を説明する図である。
図3】本発明に係るトイレ掃除用具のワイヤ部及びサポート部を説明するための模式断面図である。
図4】ブラシ部を複数備えた本発明に係るトイレ掃除用具を示す図である。
図5】本発明に係るトイレ掃除用具のブラシ部の固定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るトイレ掃除用具の実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、図1(a)は第1の形態のトイレ掃除用具80aを示す図であり、図1(b)は本発明に係る第2の形態のトイレ掃除用具80bを示す図である。また、図2(a)、(b)はトイレ掃除用具80a、80bの使用方法を説明する図である。また、図3(a)、(b)はトイレ掃除用具80a、80bのワイヤ部30及びサポート部50を説明するための模式断面図である。尚、図2では、壁掛け式の小便器10aを壁排水、床置き式の小便器10bを床排水とした例を示している。
【0011】
先ず、トイレ掃除用具80a、80bは、図2(a)、(b)に示すように、トラップ内蔵型の壁掛け式の小便器10aもしくは床置き式の小便器10bの内蔵トラップ12a、12bに挿入して内部を清掃するトイレ掃除用具であって、金属ワイヤ32で構成されたワイヤ部30と、このワイヤ部30の基側に固定した持ち手部20と、ワイヤ部30の先側に固定したブラシ部24と、ワイヤ部30が内部を通ったサポート部50と、を有している。また、本発明に係る第2の形態のトイレ掃除用具80bは、これらの構成に加えて、サポート部50がスライド可能に挿入したガイドパイプ60を有している。
【0012】
また、ワイヤ部30を構成する金属ワイヤ32としては、ステンレス製の素線を複数撚りあわせた撚線(ストランド)を、さらに複数(通常3~9本)撚り合わせた周知のステンレスワイヤを用いることが好ましい。また、ワイヤ部30の径や用いる金属ワイヤ32の本数に関しては、内蔵トラップ12a、12bの形状や清掃する排水部の長さに応じて適宜選定し、柔軟性が重視される場合には径の細い複数の金属ワイヤ32で構成し、強度(ワイヤ部30を押し引きした時の力の伝達性)が重視される場合には径の太い1本の金属ワイヤ32で形成することが好ましい。具体的には、強度が重視される場合には図3(a)に示すように例えば直径5mmの金属ワイヤ32を1本で構成し、また柔軟性が重視される場合には図3(b)に示すように例えば直径1.5mmの金属ワイヤ32を3本で構成する。また、ワイヤ部30の長さ(持ち手部20からブラシ部24までの長さ)は、内蔵トラップ12a、12bを含む排水部の長さに応じて異なるが、例えば排水部が比較的大径で路長が短い旧式の小便器10aでは20cm~30cm程度が好ましく、排水部が比較的小径で路長が長い節水型の小便器10bでは50cm~60cm程度が好ましい。また、ブラシ部24が固定する金属ワイヤ32の先端は輪状の所謂アイ加工を施したものを用いることが好ましい。
【0013】
また、持ち手部20には特に限定は無く、作業者が片手で握れれば如何なる部材を用いても良い。中でも特に、樹脂パイプ等の円筒部材を用い、ワイヤ部30を持ち手部20の中を通して固定することが、強度の面から好ましい。
【0014】
また、ブラシ部24に関しても特に限定は無が、尿石は付着力が強いため比較的硬質なブラシ部材を用いることが好ましく、具体的にはナイロンたわし等で用いられる硬質なナイロンファイバーの不織布を数cmの厚みで形成した不織布体を用いることが好ましい。また、ブラシ部24はワイヤ部30の先端に加えて、図4(a)、(b)に示すように、補助のブラシ部24aをワイヤ部30の途中に1つもしくは複数設けても良い。
【0015】
尚、ブラシ部24にナイロンファイバーの不織布体を用い、金属ワイヤ32の先端が輪状に構成された輪状部32aの場合、ブラシ部24と金属ワイヤ32との固定は以下の方法で行うことが好ましい。先ず、図5(a)に示すように、ブラシ部24の側面に切れ目Cを入れる。次に、図5(b)に示すように、この切れ目Cに金属ワイヤ32の輪状部32aを挿入する。次に、図5(c)に示すように、市販の結束バンド26をブラシ部24を貫くようにして輪状部32aの両側に通し、ブラシ部24ごと両側で緊結する。これにより、ブラシ部24の固定が完了する。この固定方法によれば、ブラシ部24の固定を比較的容易且つ強固に行うことができる。尚、ブラシ部24と金属ワイヤ32との固定方法は上記の方法に限定される訳ではなく、ネジやピン等の周知の固定部材を用いて行っても良い。
【0016】
また、サポート部50は、端面の角にテーパが付与された略円筒形の円筒体52が、少なくともワイヤ部30の持ち手部20からブラシ部24の間を覆うように複数通されて構成される。尚、円筒体52の間隔は、過度に詰め過ぎてワイヤ部30の湾曲を必要以上に妨げないように、サポート部50の全体として5mm~1cm程度の余裕を持たせることが好ましい。また、円筒体52の長さは3cmを越えるとワイヤ部30の湾曲を必要以上に制限する可能性が有り、また2cm未満だと円筒体52の数が多くなり必要以上に湾曲する可能性が有るため、円筒体52の長さは2cm~3cmであることが好ましい。また、円筒体52の外径は1cm前後とすることが好ましい。さらに、円筒体52の材質は内蔵トラップ12a、12bの壁面を傷付けないよう、合成樹脂製のものを用いることが好ましく、アクリル樹脂やポリエチレン樹脂、メタクリル樹脂、その他の周知の合成樹脂を用いることができる。中でも特に比較的柔らかく、ある程度の柔軟性を有するポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。
【0017】
また、ガイドパイプ60は、内径がサポート部50(円筒体52)の外径よりも2mm~10mm程度大きい筒状部材であり、作業者が片手で握れる長さを有する。そして、ガイドパイプ60にはサポート部50がスライド可能に挿入して、持ち手部20とブラシ部24との間で移動可能となる。尚、ガイドパイプ60は特にワイヤ部30の長さが長いトイレ掃除用具80bに設け、ブラシ部24の出し入れを補助する機能を有する。
【0018】
次に、トイレ掃除用具80a、80bの使用方法を説明する。先ず、小便器10a、10bの排水口に設置された目皿等を取り外す。次に、排水部が比較的大径の旧式の小便器10aでは、図2(a)に示すように、ワイヤ部30が短い第1の形態のトイレ掃除用具80aのブラシ部24を小便器10aの排水口から内蔵トラップ12a内に挿し入れる。また、排水部が比較的小径の節水型の小便器10bでは、図2(b)に示すように、ワイヤ部30が長い第2の形態のトイレ掃除用具80bのブラシ部24を壁掛け式小便器10bの排水口から内蔵トラップ12b内に挿し入れる。このとき、トイレ掃除用具80a、80bは、ワイヤ部30に金属ワイヤ32を用い、また金属ワイヤ32の径や本数を最適化しているから、内蔵トラップ12a、12bの形状に応じて湾曲し、容易に挿入することができる。また、ワイヤ部30はサポート部50の円筒体52によって、必要以上の湾曲が制限されるため、内蔵トラップ12a、12b内で撓んだり縮んだりする事が無く、円滑な挿入を可能とする。さらに、ブラシ部24を挿入するときの押圧力は円筒体52を介しても伝達するため、ブラシ部24の挿入を効率良く行うことができる。
【0019】
次に、作業者は持ち手部20を持ってトイレ掃除用具80a、80bを押し引きする。この際、本発明に係る第2の形態のトイレ掃除用具80bでは、片手でガイドパイプ60を小便器10bの排水口の近傍で保持しながら押し引きする。この構成では、小便器10bから引き出したワイヤ部30を再度、排水口に押し込む際にガイドパイプ60がワイヤ部30の無用な湾曲を防止して、ワイヤ部30の出し入れをスムーズに行うことができる。
【0020】
そして、トイレ掃除用具80a、80bの押し引き時の引く力はワイヤ部30が主となってブラシ部24に伝達し、押す力はサポート部50の円筒体52が主となってブラシ部24に伝達する。これにより、力の伝達が効率良く行われ、ブラシ部24の往復動作を円滑に行うことができる。尚、内蔵トラップ12a、12bの壁面には合成樹脂製の円筒体52が接触するため、ワイヤ部30の押し引き動作時にも壁面を傷付ける事はない。そして、このブラシ部24の往復動作により、内蔵トラップ12a、12b及び排水部内の汚れ及び尿石等は剥ぎ落され、トイレ掃除用具80a、80bによる内蔵トラップ12a、12bの清掃が行われる。
【0021】
以上のように、トイレ掃除用具80a、80bは、ワイヤ部30に柔軟な金属ワイヤ32を用い、これを覆うように円筒体52が挿入されて構成されている。そして清掃時には、ワイヤ部30が内蔵トラップ12a、12bの形状に応じて湾曲するとともに円筒体52がワイヤ部30の必要以上の湾曲を制限する。このため、ブラシ部24を内蔵トラップ12a、12b内に容易に挿入することができることに加え、ワイヤ部30が内蔵トラップ12a、12b内で撓んだり縮んだりする事が防止され、ブラシ部24の円滑な移動が可能となる。また、トイレ掃除用具80a、80bを引く時の力はワイヤ部30が主となってブラシ部24に伝達し、押す時の力はサポート部50の円筒体52が主となってブラシ部24に伝達する。これにより、力の伝達が効率良く行われ、ブラシ部24の往復による清掃動作をスムーズに行うことができる。さらに、ワイヤ部30に通された円筒体52は合成樹脂製であるため、ワイヤ部30の往復動作時に擦れても内蔵トラップ12a、12b及び排水部内の壁面を傷付ける事はない。
【0022】
尚、本例で示したトイレ掃除用具80a、80bは一例であり、各部の形状、デザイン、構成、寸法、個数、材質、固定方法等は上記の例に限定されるわけではなく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0023】
10a、10b 小便器
12a、12b 内蔵トラップ
20 持ち手部
24 ブラシ部
26 結束バンド
30 ワイヤ部
32 金属ワイヤ
32a 輪状部
50 サポート部
52 円筒体
60 ガイドパイプ
80a、80b トイレ掃除用具
【要約】
【課題】小便器の内蔵トラップに挿入可能で且つ壁面を傷付けないトイレ掃除用具を提供する。
【解決手段】このトイレ掃除用具80a、80bは、ワイヤ部30に柔軟な金属ワイヤ32を用い、これを覆うように円筒体52が挿入されて構成されている。そして清掃時には、ワイヤ部30が内蔵トラップ12a、12bの形状に応じて湾曲するとともに円筒体52がワイヤ部30の必要以上の湾曲を制限する。このため、ブラシ部24を内蔵トラップ12a、12b内に容易に挿入することができることに加え、ワイヤ部30が内蔵トラップ12a、12b内で撓んだり縮んだりする事が防止され、ブラシ部24の円滑な移動が可能となる。さらに、ワイヤ部30に通された円筒体52は合成樹脂製であるため、ワイヤ部30の往復動作時に擦れても内蔵トラップ12a、12b及び排水部内の壁面を傷付ける事はない。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5