(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】流量調整ユニット及び流量調整ユニットを組み入れたファインバブル発生機能付き給水装置
(51)【国際特許分類】
F16K 17/30 20060101AFI20220926BHJP
A47K 3/28 20060101ALN20220926BHJP
B05B 1/30 20060101ALN20220926BHJP
【FI】
F16K17/30 A
A47K3/28
B05B1/30
(21)【出願番号】P 2022072622
(22)【出願日】2022-04-26
【審査請求日】2022-05-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391054165
【氏名又は名称】トーフレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】中野 勝利
(72)【発明者】
【氏名】芦辺 和也
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-205786(JP,A)
【文献】実開昭52-028132(JP,U)
【文献】特許第7012399(JP,B1)
【文献】特表2015-519947(JP,A)
【文献】実開昭57-160459(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0037132(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011101641(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/00-17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 上流側から下流側に向かって液体を案内する流路(15)を形成する中空の筒状壁(12)と、
前記流路(15)の上流側に配置された上流壁(14)と、
前記流路(15)の下流側に配置された下流壁(13)と、
前記上流壁(14)に形成された入口開口(16)と、
前記下流壁(13)に形成された出口開口(22)とを備えたハウジング(10)と、
(b) 前記筒状壁(12)の内側に且つ前記上流壁(14)と前記下流壁(13)との間に配置され、前記上流壁(14)によって上流側への移動が規制される最上流位置と前記下流壁(13)によって下流側への移動が規制される最下流位置との間を移動可能な弁部材(25)であって、前記入口開口(16)に対向して前記入口開口(16)から前記流路(15)に流入する液体から下流側に向かう方向の力を受ける受圧部(31)を備えた弁部材(25)と、
(c) 前記弁部材(25)を前記最上流位置に向けて付勢するとともに、前記受圧部(31)が液体から受ける力が大きくなるにしたがって前記弁部材(25)の下流側への移動量が大きくなるように変形する弾性付勢部材(35)とを有し、
(d) 前記弁部材(25)又は前記筒状壁(12)は、前記入口開口(16)から前記流路(15)に流れ込む液体を前記弁部材(25)の下流側に案内する第1の案内流路(30)を形成し、
(e) 前記弁部材(25)は、前記下流壁(13)との間に前記下流壁(13)と協働して、液体を前記第1の案内流路(30)から前記出口開口(22)に案内する第2の案内流路(33)を形成し、
(f) 前記第2の案内流路(33)は、前記弁部材(25)と前記下流壁(13)との協働により、前記弁部材(25)が前記上流壁(14)から下流側に移動するにしたがって、前記第2の案内流路(33)を通過する液体に与える抵抗が大きくなる可変抵抗部を構成し、
(g) 前記第1の案内流路(30)は、前記流路(15)の中心軸(11)に沿って、前記弁部材(25)を貫通し、
(h) 前記弁部材(25)は、前記中心軸(11)に沿って上流側から下流側に延在し、下流側端部に開口を有する内側中空円筒部(29)を有し、
(i) 前記下流壁(13)は、前記中心軸(11)に沿って下流側から上流側に延在し、上流側端部に開口を有する外側中空円筒部(20)を有し、
(j) 前記内側中空円筒部(29)の外径が前記外側中空円筒部(20)の内径よりも小さく、
(k) 前記内側中空円筒部(29)は前記外側中空円筒部(20)の内側に、前記内側中空円筒部(29)と前記外側中空円筒部(20)との間に前記第2の案内流路(33)を形成する隙間をあけた状態で、前記内側中空円筒部(29)が前記外側中空円筒部(20)に対して進退可能に挿入され、
(l) 前記弁部材(25)が上流側から下流側に移動するにしたがって前記第2の案内流路(33)の流路長が大きくなり、これにより、前記第2の案内流路(33)を通過する液体に与える抵抗が大きくなる、流量調整ユニット。
【請求項2】
前記弁部材(25)は、前記筒状壁(12)の内周面に対応する形状の外周面を有し、前記弁部材(25)が移動する際に、前記弁部材(25)の前記外周面が前記筒状壁の前記内周面に案内されるように構成されている、請求項1に記載の流量調整ユニット。
【請求項3】
(a) 上流側から下流側に向かって液体を案内する流路(15)を形成する中空の筒状壁(12)と、
前記流路(15)の上流側に配置された上流壁(14)と、
前記流路(15)の下流側に配置された下流壁(13)と、
前記上流壁(14)に形成された入口開口(16)と、
前記下流壁(13)に形成された出口開口(22)とを備えたハウジング(10)と、
(b) 前記筒状壁(12)の内側に且つ前記上流壁(14)と前記下流壁(13)との間に配置され、前記上流壁(14)によって上流側への移動が規制される最上流位置と前記下流壁(13)によって下流側への移動が規制される最下流位置との間を移動可能な弁部材(25)であって、前記入口開口(16)に対向して前記入口開口(16)から前記流路(15)に流入する液体から下流側に向かう方向の力を受ける受圧部(31)を備えた弁部材(25)と、
(c) 前記弁部材(25)を前記最上流位置に向けて付勢するとともに、前記受圧部(31)が液体から受ける力が大きくなるにしたがって前記弁部材(25)の下流側への移動量が大きくなるように変形する弾性付勢部材(35)とを有し、
(d) 前記弁部材(25)又は前記筒状壁(12)は、前記入口開口(16)から前記流路(15)に流れ込む液体を前記弁部材(25)の下流側に案内する第1の案内流路(30)を形成し、
(e) 前記弁部材(25)は、前記下流壁(13)との間に前記下流壁(13)と協働して、液体を前記第1の案内流路(30)から前記出口開口(22)に案内する第2の案内流路(33)を形成し、
(f) 前記第2の案内流路(33)は、前記弁部材(25)と前記下流壁(13)との協働により、前記弁部材(25)が前記上流壁(14)から下流側に移動するにしたがって、前記第2の案内流路(33)を通過する液体に与える抵抗が大きくなる可変抵抗部を構成し、
(g) 前記第1の案内流路(30)は、前記流路(15)の中心軸(11)に沿って、前記弁部材(25)を貫通し、
(h) 前記弁部材(25)は、前記中心軸(11)に沿って上流側から下流側に延在し、下流側端部に開口を有する内側中空円筒部(29)を有し、
(i) 前記下流壁(13)は、前記中心軸(11)に沿って下流側から上流側に延在し、上流側端部に開口を有する外側中空円筒部(20)を有し、
(j) 前記内側中空円筒部(29)の外径が前記外側中空円筒部(20)の内径とほぼ等しく、
(k) 前記内側中空円筒部(29)は前記外側中空円筒部(20)の内側に、前記内側中空円筒部(29)が前記外側中空円筒部(20)に対して進退可能に挿入され、
(l) 前記内側中空円筒部(29)の外周面又は前記外側中空円筒部(20)の内周面若しくは前記内側中空円筒部(29)の外周面と前記外側中空円筒部(20)の内周面の両方に、前記中心軸(11)に沿って延在して前記第2の案内流路を構成する少なくとも1つの溝が形成され、
(m) 前記弁部材(25)が上流側から下流側に移動するにしたがって前記第2の案内流路(33)の流路長が大きくなり、これにより、前記第2の案内流路(33)を通過する液体に与える抵抗が大きくなる、流量調整ユニット。
【請求項4】
前記弁部材(25)は、前記筒状壁(12)の内周面に対応する形状の外周面を有し、前記弁部材(25)が移動する際に、前記弁部材(25)の前記外周面が前記筒状壁の前記内周面に案内されるように構成されている、請求項3に記載の流量調整ユニット。
【請求項5】
(a) 上流側から下流側に向かって液体を案内する流路(15)を形成する中空の筒状壁(12)と、
前記流路(15)の上流側に配置された上流壁(14)と、
前記流路(15)の下流側に配置された下流壁(13)と、
前記上流壁(14)に形成された入口開口(16)と、
前記下流壁(13)に形成された出口開口(22)とを備えたハウジング(10)と、
(b) 前記筒状壁(12)の内側に且つ前記上流壁(14)と前記下流壁(13)との間に配置され、前記上流壁(14)によって上流側への移動が規制される最上流位置と前記下流壁(13)によって下流側への移動が規制される最下流位置との間を移動可能な弁部材(25)であって、前記入口開口(16)に対向して前記入口開口(16)から前記流路(15)に流入する液体から下流側に向かう方向の力を受ける受圧部(31)を備えた弁部材(25)と、
(c) 前記弁部材(25)を前記最上流位置に向けて付勢するとともに、前記受圧部(31)が液体から受ける力が大きくなるにしたがって前記弁部材(25)の下流側への移動量が大きくなるように変形する弾性付勢部材(35)とを有し、
(d) 前記弁部材(25)又は前記筒状壁(12)は、前記入口開口(16)から前記流路(15)に流れ込む液体を前記弁部材(25)の下流側に案内する第1の案内流路(30)を形成し、
(e) 前記弁部材(25)は、前記下流壁(13)との間に前記下流壁(13)と協働して、液体を前記第1の案内流路(30)から前記出口開口(22)に案内する第2の案内流路(33)を形成し、
(f) 前記第2の案内流路(33)は、前記弁部材(25)と前記下流壁(13)との協働により、前記弁部材(25)が前記上流壁(14)から下流側に移動するにしたがって、前記第2の案内流路(33)を通過する液体に与える抵抗が大きくなる可変抵抗部を構成し、
(g) 前記第1の案内流路(30)は、前記流路(15)の中心軸(11)に平行に延在し、前記弁部材(25)を貫通し、
(h) 前記弁部材(25)は、前記中心軸(11)に沿って上流側から下流側に延在し、下流側端部に開口を有する外側中空円筒部を有し、
(i) 前記下流壁(13)は、前記中心軸(11)に沿って下流側から上流側に延在し、上流側端部に開口を有する内側中空円筒部を有し、
(j) 前記外側中空円筒部の内径が前記内側中空円筒部の外径よりも大きく、
(k) 前記外側中空円筒部は前記内側中空円筒部の外側に、前記外側中空円筒部と前記内側中空円筒部との間に前記第2の案内流路を形成する隙間した状態で、前記外側中空円筒部が前記内側中空円筒部に対して進退可能に外挿され、
(l) 前記弁部材が上流側から下流側に移動するにしたがって前記第2の案内流路の流路長が大きくなり、これにより、前記第2の案内流路を通過する液体に与える抵抗が大きくなる、流量調整ユニット。
【請求項6】
(a) 上流側から下流側に向かって液体を案内する流路(15)を形成する中空の筒状壁(12)と、
前記流路(15)の上流側に配置された上流壁(14)と、
前記流路(15)の下流側に配置された下流壁(13)と、
前記上流壁(14)に形成された入口開口(16)と、
前記下流壁(13)に形成された出口開口(22)とを備えたハウジング(10)と、
(b) 前記筒状壁(12)の内側に且つ前記上流壁(14)と前記下流壁(13)との間に配置され、前記上流壁(14)によって上流側への移動が規制される最上流位置と前記下流壁(13)によって下流側への移動が規制される最下流位置との間を移動可能な弁部材(25)であって、前記入口開口(16)に対向して前記入口開口(16)から前記流路(15)に流入する液体から下流側に向かう方向の力を受ける受圧部(31)を備えた弁部材(25)と、
(c) 前記弁部材(25)を前記最上流位置に向けて付勢するとともに、前記受圧部(31)が液体から受ける力が大きくなるにしたがって前記弁部材(25)の下流側への移動量が大きくなるように変形する弾性付勢部材(35)とを有し、
(d) 前記弁部材(25)又は前記筒状壁(12)は、前記入口開口(16)から前記流路(15)に流れ込む液体を前記弁部材(25)の下流側に案内する第1の案内流路(30)を形成し、
(e) 前記弁部材(25)は、前記下流壁(13)との間に前記下流壁(13)と協働して、液体を前記第1の案内流路(30)から前記出口開口(22)に案内する第2の案内流路(33)を形成し、
(f) 前記第2の案内流路(33)は、前記弁部材(25)と前記下流壁(13)との協働により、前記弁部材(25)が前記上流壁(14)から下流側に移動するにしたがって、前記第2の案内流路(33)を通過する液体に与える抵抗が大きくなる可変抵抗部を構成し、
(g) 前記第1の案内流路(30)は、前記流路(15)の中心軸(11)に平行に延在し、前記弁部材(25)を貫通し、
(h) 前記弁部材(25)は、前記中心軸(11)に沿って上流側から下流側に延在し、下流側端部に開口を有する外側中空円筒部を有し、
(i) 前記下流壁(13)は、前記中心軸(11)に沿って下流側から上流側に延在し、上流側端部に開口を有する内側中空円筒部を有し、
(j) 前記外側中空円筒部の内径が前記内側中空円筒部の外径とほぼ等しく、
(k) 前記内側中空円筒部の外周面又は前記外側中空円筒部の内周面若しくは前記内側中空円筒部の外周面と前記外側中空円筒部の内周面の両方に、前記中心軸(11)に沿って延在して前記第2の案内流路を構成する少なくとも1つの溝が形成され、
(l) 前記弁部材が上流側から下流側に移動するにしたがって前記第2の案内流路の流路長が大きくなり、これにより、前記第2の案内流路を通過する液体に与える抵抗が大きくなる、流量調整ユニット。
【請求項7】
流量調整ユニット(1)であって、前記流量調整ユニット(1)は、
(a) 液体が流れる流路を形成するハウジング(10)であって、
前記液体が流れる方向に延在する中心軸(11)に沿って延在する中空筒の周壁(12)と、
前記液体が流れる方向に関して前記周壁(12)の上流側にあって前記周壁(12)に一体的に設けられた上流側の壁(14)と、
前記液体が流れる方向に関して前記周壁(12)の下流側にあって前記周壁(12)に一体的に設けられた下流側の壁(13)とを有するハウジング(10)とを有し、
前記周壁(12)と前記上流側の壁(14)と前記下流側の壁(13)によって、前記周壁(12)と前記上流側の壁(14)と前記下流側の壁(13)によって囲まれ、前記液体が上流側から下流側に向かって流れる流路空間(15)が形成された、ハウジング(10)と、
(b) 前記流路空間(15)に、前記周壁(12)に案内されながら前記中心軸(11)に沿って上流側から下流側に又下流側から上流側に往復移動可能に収容された弁部材(25)と、
(c) 前記弁部材(25)を前記上流側の壁(14)に向けて付勢する付勢部材(35)とを備え、
(d) 前記上流側の壁(14)は、前記中心軸(11)に向かって前記周壁(12)から内方に突出し、前記付勢部材(35)によって付勢された前記弁部材(25)の上流側への移動を規制する規制部と、前記流路空間(15)を前記上流側の壁(14)の上流側にある上流側外部空間に連通する上流側開口部(16)とを有し、
(e) 前記上流側の壁(14)と前記弁部材(25)は、前記上流側外部空間から前記流路空間(15)に流れ込む液体が前記弁部材(25)に当たって前記弁部材(25)に上流側から下流側に向かう力を与えるように構成され、
(f)前記付勢部材(35)は、前記弁部材(25)が液体から受ける力が増加するしたがって前記弁部材(25)が前記規制部から下流側に移動する距離が大きくなることを許可するように構成され、
(g) 前記弁部材(25)は、前記流路空間(15)に流れ込んだ液体を下流側に案内する上流側流路(30)が形成され、
(h) 前記下流側の壁(13)は、前記流路空間(15)の液体を前記下流側の壁(13)の下流側にある下流側外部空間に案内する下流側開口部(22)を有し、
(i) 前記弁部材(25)と前記下流側の壁(13)との間には、前記上流側流路(30)を前記下流側開口部(22)に連通する下流側流路(33)が形成され、
(j) 前記下流側流路(33)は、前記弁部材(25)が下流側に移動する距離が大きくなるにしたがって流路長が大きくなり、前記下流側流路(33)を流れる液体に与える抵抗が大きくなる可変抵抗部を形成し、
(k) 前記可変抵抗部は、
前記弁部材(25)に形成され、前記下流側の壁(13)に向かって前記中心軸(11)に沿って延在する上流側中空
円筒部(29)と、
前記下流側の壁(13)に形成され、前記弁部材(25)に向かって前記中心軸(11)に沿って延在する下流側中空
円筒部(20)とを有し、
(l) 前記上流側中空
円筒部(29)と前記下流側中空
円筒部(20)は、前記弁部材(25)の前記中心軸(11)に沿った移動に応じて前記上流側中空
円筒部(29)が前記下流側中空
円筒部(20)に対して入子式に移動し、前記下流側流路(33)を通過する液体の受ける抵抗が前記弁部材(25)の下流側への移動量に応じて大きくなるように構成されている、流量調整ユニット。
【請求項8】
前記上流側中空円筒部が前記下流側中空円筒部の内側に進退できるように、前記上流側中空円筒部の外径が前記下流側中空円筒部の内径よりも小さく、前記上流側中空円筒部の外周面と前記下流側中空円筒部の内周面との間に円筒状の隙間が形成され、前記隙間が前記可変抵抗部を形成している、請求項7に記載の流量調整ユニット。
【請求項9】
前記下流側中空円筒部が前記上流側中空円筒部の内側に進退できるように、前記上流側中空円筒部の内径が前記下流側中空円筒部の外径よりも大きく、前記上流側中空円筒部の内周面と前記下流側中空円筒部の外周面との間に円筒状の隙間が形成され、前記隙間が前記可変抵抗部を形成している、請求項7に記載の流量調整ユニット。
【請求項10】
前記上流側中空円筒部の外径が前記下流側中空円筒部の内径と等しく又はほぼ等しく、
前記上流側中空円筒部の外周面と前記下流側中空円筒部の内周面の少なくとも一方には、前記中心軸に沿って延在する少なくとも1つの溝が形成されている、請求項7に記載の流量調整ユニット。
【請求項11】
前記上流側中空円筒部の内径が前記下流側中空円筒部の外径と等しく又はほぼ等しく、
前記上流側中空円筒部の内周面と前記下流側中空円筒部の外周面の少なくとも一方には、前記中心軸に沿って延在する少なくとも1つの溝が形成されている、請求項7に記載の流量調整ユニット。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかの流量調整ユニットを含む給水装置。
【請求項13】
前記給水装置は、前記液体の流れる方向に関して前記流量調整ユニットの下流側にファインバブル発生ユニットを組み入れている、ことを特徴とする請求項12の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を流れる液体の量を調整する流量調整ユニットと、この流量調整ユニットを組み入れたファインバブル発生機能付き給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャワーヘッドなどの給水装置は、水源から供給される水の圧力に拘わらず、一定の勢いで水を噴射できることが好ましい。しかし、実際には、高低差の大きい高層建物等にあっては、場所によって又は地上からの高さによって、十分な水圧が確保できず、そのために給水口から勢いよく水が噴射されないことがある。
【0003】
そのため、特許文献1には、使用する水の量を維持又は低減させながらもシャワーの勢いを増大させるシャワーヘッドが提供されている。具体的に、特許文献1のシャワーヘッドでは、シャワーヘッドに吸気口とエジェクタ部を近接して設け、これにより、流路抵抗を低減して水に効率良く空気を混入させることでシャワーの勢いを増大させている。
【0004】
しかし、特許文献1のシャワーヘッドは、水に空気を混入させることによってシャワーの勢いを保つものであって、水圧に関係なく安定した量の水を噴射するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、水圧に関係なくほぼ一定量の水を自動的に噴射する流量調整ユニットと、その流量調整ユニットを組み入れたファインバブル発生機能付き給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の実施形態に係る流量調整ユニットは、
(a) 上流側から下流側に向かって液体を案内する流路(15)を形成する中空の筒状壁(12)と、
前記流路(15)の上流側に配置された上流壁(14)と、
前記流路(15)の下流側に配置された下流壁(13)と、
前記上流壁(14)に形成された入口開口(16)と、
前記下流壁(13)に形成された出口開口(22)とを備えたハウジング(10)と、
(b) 前記筒状壁(12)の内側に且つ前記上流壁(14)と前記下流壁(13)との間に配置され、前記上流壁(14)によって上流側への移動が規制される最上流位置と前記下流壁(13)によって下流側への移動が規制される最下流位置との間を移動可能な弁部材(25)であって、前記入口開口(16)に対向して前記入口開口(16)から前記流路(15)に流入する液体から下流側に向かう方向の力を受ける受圧部(31)を備えた弁部材(25)と、
(c) 前記弁部材(25)を前記最上流位置に向けて付勢するとともに、前記受圧部(31)が液体から受ける力が大きくなるにしたがって前記弁部材(25)の下流側への移動量が大きくなるように変形する弾性付勢部材(35)とを有し、
(d) 前記弁部材(25)又は前記筒状壁(12)は、前記入口開口(16)から前記流路(15)に流れ込む液体を前記弁部材(25)の下流側に案内する第1の案内流路(30)を形成し、
(e) 前記弁部材(25)は、前記下流壁(13)との間に前記下流壁(13)と協働して、液体を前記第1の案内流路(30)から前記出口開口(22)に案内する第2の案内流路(33)を形成し、
(f) 前記第2の案内流路(33)は、前記弁部材(25)と前記下流壁(13)との協働により、前記弁部材(25)が前記上流壁(14)から下流側に移動するにしたがって、前記第2の案内流路(33)を通過する液体に与える抵抗が大きくなる可変抵抗部を構成し、
(g) 前記第1の案内流路(30)は、前記流路(15)の中心軸(11)に沿って、前記弁部材(25)を貫通し、
(h) 前記弁部材(25)は、前記中心軸(11)に沿って上流側から下流側に延在し、下流側端部に開口を有する内側中空円筒部(29)を有し、
(i) 前記下流壁(13)は、前記中心軸(11)に沿って下流側から上流側に延在し、上流側端部に開口を有する外側中空円筒部(20)を有し、
(j) 前記内側中空円筒部(29)の外径が前記外側中空円筒部(20)の内径よりも小さく、
(k) 前記内側中空円筒部(29)は前記外側中空円筒部(20)の内側に、前記内側中空円筒部(29)と前記外側中空円筒部(20)との間に前記第2の案内流路(33)を形成する隙間をあけた状態で、前記内側中空円筒部(29)が前記外側中空円筒部(20)に対して進退可能に挿入され、
(l) 前記弁部材(25)が上流側から下流側に移動するにしたがって前記第2の案内流路(33)の流路長が大きくなり、これにより、前記第2の案内流路(33)を通過する液体に与える抵抗が大きくなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された実施形態の流量調整ユニット及び該流量調整ユニットを備えた給水装置によれば、流量調整ユニットに流れ込む液体の圧力に応じて可変抵抗部の抵抗が変化し、水圧が高くなるにしたがって、流路内を流れる液体に作用する抵抗が大きくなる。そのため、流量調整ユニットに流れ込む液体の水圧に拘わらず、ほぼ一定流量の液体を安定して送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る流量調整ユニットの斜視図を示す。
【
図2】
図1に示す流量調整ユニットの中心軸に沿った断面図で、弁部材が最上流位置にある状態を示す。
【
図3】
図1に示す流量調整ユニットの中心軸に沿った断面図で、弁部材が最上流位置から下流側に移動した位置にある状態を示す。
【
図4】
図1に示す流量調整ユニットを構成する下流壁の背面図[
図4(a)]、側面図[
図4(b)]、及び一部を切除した側面図[
図4(c)]を示す。
【
図5】
図1に示す流量調整ユニットを構成する弁部材の背面図[
図5(a)]及び一部を切除した側面図[
図5(b)]を示す。
【
図6】
図1に示す流量調整ユニットにおける弁部材の動きを示す断面図[
図6(aa)~(d)]を示す。
【
図7】
図1に示す流量調整ユニットを組み入れたシャワーヘッドの部分断面図を示す。
【
図8】
図7に示すシャワーヘッドに組み込まれた節水アセンブリの断面図を示す。
【
図9】
図8に示す節水アセンブリの分解斜視図を示す。
【
図10】実験に使用した流路調整ユニットの各部の寸法を示す断面図[
図10(a)、(b)]を示す。
【
図11】外側中空円筒部の他の実施形態の斜視図[
図11(a)]、正面図[
図11(b)]を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明に係る流量調整ユニットとそれを組み入れた給水装置の実施形態を説明する。
【0011】
[A.流量調整ユニット]
図1~3は、本発明に係る流量調整ユニット1の第1の実施形態を示す。流量調整ユニット1は、
図2,3の右側から左側に向かって流れる液体の流路(図示せず)に組み込まれる。したがって、以下の説明では、
図2,3の右側と左側をそれぞれ「上流側」と「下流側」と呼ぶ。
【0012】
[ハウジング]
流量調整ユニット1は、ハウジング(筐体)10を有する。図示する実施形態において、ハウジング10は2つの部材で構成されている。これら2つの部材は、
図2,3に仮想線で表された中心軸11に沿って延在する管状の筒状壁(周壁)12と、筒状壁12の下流端に連結された下流壁13を含む。筒状壁12の上流端は中心軸11に向けて内方に延ばして上流壁(規制部)14が一体的に形成されている。したがって、ハウジング10の外観は、3つの壁部分(筒状壁12、下流壁13、上流壁14)によって形作られ、ハウジング10の内側に液体の流れる流路空間(流路)15が形成されている。
【0013】
[上流壁]
図示する実施形態では、上流壁14は筒状壁12に一体的に形成されているが、上流壁14を独立した一つ又は複数の部材で構成し、そのように構成された上流壁を筒状壁の上流端に固定してもよい。
【0014】
図示する実施形態では、上流壁14は、中心軸11を中心とする周方向に連続した一定の幅(中心軸11を中心とする径方向の幅)を有する環状のフランジであるが、周方向に間欠的に配置された複数の部分(例えば、周方向に一定の間隔をあけて筒状壁から内方に突出する突部)によって構成してもよい。
【0015】
このように、上流壁14は、その内側に、中心軸11を中心とする円形又は略円形の上流側開口部(入口開口)16を形成している。したがって、上流側から流れてくる液体は、上流側開口部16を介して流路空間15に流れ込む。
【0016】
[下流壁]
下流壁13は、
図4に示すように、筒状壁12と組み合わされた状態(
図1~3の状態)で中心軸11に一致する中心軸17を有する略円形のブロックで、下流側の円形基部18と、円形基部18の上流側に該円形基部18と一体に且つ同心的に形成された円形隆起部19と、円形隆起部19の上流側に該円形隆起部19と一体的に且つ同心的に形成された円形筒部(以下、適宜「外側中空円筒部」という。)20を有する。
【0017】
円形基部18の外径は、筒状壁12の下流端外径にほぼ等しい。円形隆起部19の外径は、筒状壁12の下流端内径にほぼ等しい。円形筒部20は中空円筒であって、外径は円形隆起部19よりも小さく、内側に筒状の窪み又は空間21を形成している。空間21は、後に説明する内側中空円筒部29を受け入れる部屋として機能する。
【0018】
円形基部18と円形隆起部19には、円形筒部20の外側に位置する部分に、これら円形基部18と円形隆起部19を中心軸17の方向に貫通する複数の下流側開口部(出口開口)22が形成されている。
【0019】
実施形態では、4つの下流側開口部22が、周方向に90°の間隔をあけて等間隔に形成されている。
【0020】
実施形態では、下流側開口部22は、下流壁13の外周面から切り込まれた切り欠き又は溝である。他の実施形態では、下流側開口部22は、下流壁13を貫通する孔であってもよい。
【0021】
実施形態では、下流側開口部22の中心線23はすべて、中心軸17に平行な方向24に対して、所定角度(例えば、17°)傾斜している。他の実施形態では、下流側開口部22は、中心軸17に平行に設けてもよい。
【0022】
このように構成された下流壁13は、円形隆起部19を筒状壁12の下流端開口に嵌め込んで固定され、複数の下流側開口部22が筒状壁12の流路空間15に流体接続される。したがって、流路空間15を上流側から流れてくる液体は、下流側開口部22を介して下流側に流れ出る。
【0023】
[弁部材]
筒状壁12内の流路空間15には、弁部材25が配置される。
図5に示すように弁部材25は、筒状壁12に組み込まれた状態(
図2,3参照)で中心軸11に一致する中心軸26を有する略中空筒状のブロックで、上流側円筒部27と、上流側円筒部27の下流側に該上流側円筒部27と一体に且つ同心的に形成された中央円筒部28と、中央円筒部28の下流側に該中央円筒部28と一体に且つ同心的に形成された下流側円筒部(以下、適宜「内側中空円筒部」という。)29を有し、これら3つの円筒部27,28,29には中心軸26に沿って一つの円筒流路(以下、「第1の案内流路」という。)30が形成されている。
【0024】
図2,3に示すように、第1の案内流路30の内径は、上流壁14に形成された上流側開口部16の内径よりも小さい。したがって、弁部材25が上流壁14に当接した状態では、弁部材25の上流端面31のうちで上流側開口部16に臨む箇所(すなわち、弁部材25の上流端面31のうちで上流壁14に対向しない箇所)が、流路空間15に流れ込む液体から力を受ける。弁部材25が上流壁14から下流側に移動した状態では、弁部材25の上流端面31の全体が、流路空間15に流れ込む液体から力を受ける。したがって、弁部材25の上流端面31が受圧部として機能する。
【0025】
上流側円筒部27の外径は、筒状壁12の内径とほぼ同じ又はそれよりも僅かに小さい。したがって、弁部材25は、上流側円筒部27の外周面が筒状壁12の内周面に案内されながら、流路空間15の中を上流側から下流側へ又は下流側から上流側へと、中心軸11に沿って往復移動できる。
【0026】
内側中空円筒部29の外径は、下流壁13における外側中空円筒部20の内径よりも小さい。したがって、
図3に示すように、弁部材25の内側中空円筒部29が下流壁13の外側中空円筒部20に入子式に進退し、進入した状態で内側中空円筒部29の外周面と外側中空円筒部20の内周面との間に環状の隙間が形成される。
【0027】
弁部材25の中心軸11の方向の長さは、
図2に示すように、弁部材25が上流壁14に当接した最上流位置にあるとき、中心軸11の方向に関して、内側中空円筒部29の下流端が外側中空円筒部20の上流端の上流側に位置する、または、内側中空円筒部29の下流端が外側中空円筒部20の上流端とほぼ同じ位置に位置する、もしくは、内側中空円筒部29の下流端が外側中空円筒部20の上流端の下流側に位置し、且つ、
図3に示すように、弁部材25が流路空間15の最下流位置[
図6(d)に示すように、中央円筒部28と内側中央円筒部(下流側円筒部)29との境界に形成された環状段部32が、外側中空円筒部20の上流端に最接近する位置]にあるとき、内側中空円筒部29が外側中空円筒部20の内側に進入するように決められる。以下、外側中空円筒部20内側中空円筒部29の間に形成される流路を第2の案内流路33(
図2,3参照)という。
【0028】
第2の案内流路33の大きさは、弁部材25の位置に応じて変化する。例えば、
図2に示すように、内側中空円筒部29が外側中空円筒部20に挿入されていない状態では、第2の案内流路33は、内側中空円筒部29の下流端と外側中空円筒部20の上流端との間に形成された環状の隙間である。
図3に示すように、内側中空円筒部29が外側中空円筒部20に挿入された状態では、第2の案内流路33は、内側中空円筒部29の外周面と外側中空円筒部20の内周面との間に形成された薄い筒状の隙間である。また、隙間の長さ(中心軸11の方向の長さ)は、外側中空円筒部20に対する内側中空円筒部29の進入量に応じて異なる。
【0029】
そのため、第2の案内流路33を通過する液体が受ける抵抗は、弁部材25の位置、すなわち、内側中空円筒部29と外側中空円筒部20の中心軸方向の相対的位置(両者の間隔及びオーバーラップ量)に応じて変化する。したがって、内側中空円筒部29と外側中空円筒部20が、第2の案内流路33を流れる液体に与える抵抗を変える可変抵抗部として機能する。
【0030】
[付勢部材]
図2,3に示すように、下流壁13の円形隆起部19と弁部材25の上流側円筒部27との間には、弁部材25の周りにヘリカル状に配置された弾性圧縮ばね35からなる付勢部材が配置される。圧縮ばね35の中心軸方向の長さと弾性、すなわち、圧縮ばね35が弁部材25を上流側に付勢する力は、流路空間15に液体が流れていない状態、すなわち、弁部材25が流路空間15を流れる液体から下流側に向かう力を受けていない状態では、弁部材25を上流壁14に軽く押し付けて最上流位置に保持し、流路空間15に流れる液体から下流側に向かう力を受けると、その力の大きさに応じて圧縮し、その結果、内側中空円筒部29と外側中空円筒部20の位置関係が変化して、第2の案内流路33を流れる液体に与える抵抗が大きくなるように、決められている。
【0031】
[動作]
このように構成された流量調整ユニット1によれば、
図2に示す状態において、液体に圧力(水圧)が作用して、流量調整ユニット1の上流側から流路空間15に向けて液体が流れ始めると、その液体は上流側開口部16から、弁部材25に形成された第1の案内流路30に流れ込む。また、第1の案内流路30を通過した液体は、内側中空円筒部29と外側中空円筒部20の間の第2の案内流路33を通過した後、下流壁13の下流側開口部22を通過する。
【0032】
液体に作用している圧力は、上流側開口部16に面する弁部材25の上流端面(受圧部)31に作用する。これにより、弁部材25は下流側に向かう力を受ける。この力は、流れ込む液体の水圧によって異なり、水圧が高くなると、弁部材25に作用する力、また弁部材25から圧縮ばね35に加わる力が大きくなる。その結果、
図3に示すように、圧縮ばね35が圧縮し、弁部材25が下流側に移動する。
図6(a)~(d)は、弁部材25が水圧に応じて異なる位置を取ることを示しており、水圧がゼロ又はほぼゼロのとき、弁部材25は
図6(a)に示す最上流位置をとり、水圧の上昇に応じて弁部材25は
図6(d)に示す最下流位置まで徐々に移動する。
【0033】
弁部材25の下流側への移動量が大きくなると、第2の案内流路33を通過する液体の受ける抵抗が大きくなり、結果、流路空間15に流れ込む液体の水圧と下流側開口部22を通じて流れ出る液体の水圧との差(水頭損失)が大きくなり、下流側開口部22から流れ出る液体の流量が減少する。
【0034】
逆に、上流側開口部16を通じて流路空間15に流れ込む液体の水圧が低下すると、弁部材25の下流側への移動量が小さくなって、第2の案内流路33を通過する液体の受ける抵抗が小さくなり、結果、流路空間15に流れ込む液体の水圧と下流側開口部22を通じて流れ出る液体の水圧との差(水頭損失)が小さくなり、下流側開口部22から流れ出る液体の流量が増加する。
【0035】
したがって、流量調整ユニット1は、流れ込む液体の水圧が変化しても、一定又はほぼ一定の圧力及び流量の液体を送り出すことができる。
【0036】
[B.給水装置]
上述の流量調整ユニットを組み入れたファインバブル発生機能付き給水装置について説明する。以下に説明する給水装置は、シャワーヘッドである。
【0037】
図7は、流量調整ユニット1を含むシャワーヘッド50の一部を示す。
【0038】
[ヘッド本体]
シャワーヘッド50は、プラスチックを成形して一体的に成型された把持部51と円筒状のヘッド本体52を有する。把持部51の中には液体(通常は水)が流れる流路53が形成されている。また、ヘッド本体52には、把持部51の流路53に通じる空間54が形成されており、空間54には節水アセンブリ60が収容されている。
【0039】
[節水アセンブリ]
節水アセンブリ60は、上述した流量調整ユニット1、後述するファインバブル発生ユニット62と、これら2つのユニット1,62をヘッド本体52に固定する複数の固定部品を含む。
【0040】
[ファインバブル発生ユニット]
図8に示すように、ファインバブル発生ユニット62は、中空円筒の真っ直ぐなチューブ63を有する。チューブ63の内面には、上流端と下流端からそれぞれ上流側内ねじ64と下流側内ねじ65が形成されている。上流側内ねじ64の下流端と下流側内ねじ65の上流端との間には不連続領域66が形成されている。実施形態において、不連続領域66は、ねじが形成されていない領域である。例えば、上流側内ねじ64の方向と下流側内ねじ65の方向を違えることによっても、また、上流側内ねじ64のピッチと下流側内ねじ65のピッチを違えることによっても、不連続領域を形成することができる。
【0041】
上流側内ねじ64には、上流側から下流側に向かって順番に、第1の撹拌部材67と第2の撹拌68が収容されている。
【0042】
第1の撹拌部材67は、外周面に、上流側内ねじ64に噛み合う外ねじ69が形成されている。第1の撹拌部材67はまた、チューブ63の中心軸70に沿って、上流側の小径円筒流路71と下流側の大径円筒流路72が形成されている。
【0043】
第2の撹拌部材68は、外周面に、上流側内ねじ64に噛み合う外ねじ73が形成されている。第2の撹拌部材68はまた、外周面に、周方向に一定の間隔をあけて、上流端と下流端を貫通する複数の溝又は流路74が形成されている。
【0044】
このように構成された第1の撹拌部材67と第2の撹拌部材68は、チューブ63の上流端からねじ込まれ、不連続領域66の上流側に固定される。
【0045】
チューブ63の外周面には、上流端を径方向外側に突出させて環状のフランジ75が一体的に形成され、フランジ75の下流側に隣接して外ねじ76が形成されている。
【0046】
[固定部品]
複数の固定部品は、カップリング78と、支持プレート79と、接続ジョイント80を
含む。
【0047】
図9に示すように、カップリング78は、環状のリングからなり、円筒部81と、円筒部81の上流端から径方向に内側に突出するフランジ82と、を一体的に備えており、円筒部81の内面に内ねじ83が形成されている。このように構成されたカップリング78は、円筒部81の中心軸をヘッド本体52の中心軸84(
図7)に一致させた状態で、ヘッド本体52に一体的にインサート成形されて固定されている。
【0048】
支持プレート79は円盤状の板である。
【0049】
接続ジョイント80は、環状のリングからなり、外周面にはカップリング78の内ねじ83に噛み合う外ねじ85が形成されている。接続ジョイント80の内周面は、上流側の大径円筒部86と下流側の小径円筒部87を有し、下流側の小径円筒部87の内周面にチューブ63の外ねじ76と噛み合う内ねじ88が形成されている。
【0050】
このような構成を備えた複数の部品を組み立てる場合、例えば、接続ジョイント80の内側に、その上流側からファインバブル発生ユニット62を挿入し、チューブ63の外ねじ76を接続ジョイント80の内ねじ88に螺合する。次に、流量調整ユニット1を接続ジョイント80の大径円筒部86にその上流側から嵌め込む。続いて、支持プレート79を、流量調整ユニット1の筒状壁89に外装する。最後に、このようにして組み合わされたアセンブリを、ヘッド本体52の内部空間にその下流側から挿入し、接続ジョイント80の外ねじ85を、カップリング78の内ねじ83に螺合する。
【0051】
[動作]
このように構成されたシャワーヘッド50によれば、把持部51の流路53を通じて送られてくる液体は、シャワーヘッド本体52の内部の空間54に供給される。空間54に入った液体は、
図2,3に示すように、流量調整ユニット1の上流側開口部16を通じて、流量調整ユニット1の流路空間15に入り、上述のように、第1の案内流路30、第2の案内流路33を介して下流側開口部22から吐出する。このとき、水圧に応じて弁部材25が流路空間15内を上流側から下流側に又は下流側から上流側に移動して、吐出する液体の流量をほぼ一定に維持する。
【0052】
流量調整ユニット1から吐出した液体は、
図7、8に示すように、ファインバブル発生ユニット62のチューブ63の内部に入り、そこを下流側に向かって流れる。
【0053】
次に、チューブ63の中を流れる液体は、第1の撹拌部材67の上流側の小径円筒流路71から下流側の大径円筒流路72を通過する。このとき、小径円筒流路71に入った液体の流速が上昇するとともに圧力が変化する(具体的には、動圧(運動エネルギー)が上昇し、静圧が減少する。)。これにより、液体中に溶解している残存気体が気泡となって析出する。また、大径円筒流路72に入ると、液体の圧力が変化し(具体的には、動圧(運動エネルギー)が低下し、静圧が上昇する。)、析出した気泡が破砕されて微細なファインバブルになる。
【0054】
続いて、第1の撹拌部材67を通過した液体は、第2の撹拌部材68の複数の流路74に入る。このとき、第1の撹拌部材67の大径円筒流路72を通過した液体は、径方向外側に向けて流れの方向が変わり、複数の流路74を通過する際に、周囲の内ねじ64から受ける摩擦によってせん断され、これにより液体に含まれる気泡がせん断破壊されてさらに微細なファインバブルが生成される。
【0055】
その後、第2の撹拌部材68から吐出した液体は、下流側内ねじ65の領域に入ると圧力が変化し(具体的には、動圧(運動エネルギー)が低下し、静圧が上昇する。)、析出した気泡が破砕されて微細なファインバブルになる。また、下流側内ねじ65の近傍を通過する液体は、下流側内ねじ65との接触によってさらにせん断される。その結果、液体に含まれる気泡がさらにせん断破壊されて微細なファインバブルになる。
【0056】
このように、シャワーヘッド50の内部を通過する液体は、繰り返し圧力の変化を受けることにより大量のファインバブルが生成されるだけでなく、生成されたファインバブルはねじとの接触によって繰り返しせん断される。これにより、シャワーヘッド50から吐出する液体は、勢いが良く、大量のファインバブルを含む。
【0057】
[実験1]
流量調整ユニットを内蔵した5つのシャワーヘッド(No.1~5)を用意し、それぞれについて、供給する水の圧力を変えて、吐出する水の量を測定した。実験に使用した流量調整ユニットにおいて、流量調整に関与する箇所の寸法を
図10に示す。また、付勢部材である圧縮ばねには、ばね定数は6.72N/mmのヘリカルスプリングを使用した。結果を表1に示す。
【0058】
【0059】
表1から明らかなように、すべてのシャワーヘッドにおいて、平均流量5L/min以下、最低流量4.5L/min以上、最高流量5.5L/minで、水圧に拘わらずほぼ安定した流量が得られた。
【0060】
[実験2]
供給する水の圧力を変えて、流量調整ユニットを内蔵したシャワーヘッドから吐出されたシャワー水流に含まれるウルトラファインバブルの数とメディアン径(D50)を計測した。水温は40℃であった。結果を表2に示す。
【0061】
【0062】
表2から、水圧が高い場合(0.4MPa)は勿論、水圧が低い場合(0.2MPa)でも、必要量のウルトラファインバブルが得られることを確認した。
【0063】
[他の実施形態]
上述した実施形態1の流量調整ユニットは、種々改変可能である。
【0064】
[第2の実施形態]
上述した流量調整ユニットの外側中空円筒部に、外側中空円筒部の上流側端部から下流側に向かって延在する一つ又は複数の溝又はスロットを形成し、これによって流量を調整してもよい。例えば、
図11に示す他の形態では、外側中空円筒部20に、その上流端から下流側に延在する3つのスロット91~93を、周方向に90°の間隔をあけて形成している。複数のスロットの数、間隔(周方向の間隔)、幅(周方向の幅)、及び/又は深さ(中心軸方向の長さ)は、流量調整ユニットを組み込む給水装置に応じて、適宜決定することができる。これにより、より柔軟な流量調整が可能となる。
【0065】
スロットは、外側中空円筒部に代えて、又は、外側中空円筒部に加えて、内側中空円筒部に設けてもよい。この場合も、外側中空円筒部又は内側中空円筒部若しくは両方のスロットの数、間隔、幅、及び/又は深さを、流量調整ユニットを組み込む給水装置に応じて適宜変更し、より柔軟な流量調整を行うことができる。
【0066】
[第3の実施形態]
上述した第1の実施液体の流量調整ユニットは、弁部材に内側中空円筒部を形成し、下流壁に外側円筒部を形成し、第1の案内流路から供給される液体が第2の案内流路を介して径方向外側に流れるように構成したが、逆に、弁部材に外側円筒部を形成し、下流壁に内側円筒部を形成し、第1の案内流路から供給される液体が第2の案内流路を介して径方向内側に流れるように構成してもよい。この場合、弁部材の外周面又弁部材の外周面に対向する筒状壁の内周面に中心軸に平行に又はらせん状に延びる複数の溝を形成するか、又は弁部材の外周面付近に弁部材を貫通する複数の貫通孔を形成してこれを第1の案内流路として利用する一方、下流側壁には内側円筒部の内側に下流側開口部を形成する。
【0067】
[第4の実施形態]
上述した第1及び第2の実施形態の流量調整ユニットは、内側中空円筒部の外径を外側中空円筒部の内径よりも小さくすることによって両中空円筒部の間に筒状の隙間を形成し、その隙間を第2の案内流路として利用したが、内側中空円筒部の外径を外側中空円筒部の内径と等しく又はほぼ等しくする(すなわち、内側中空円筒部を外側中空円筒部の内側に進退可能に構成する)一方、内側中空円筒部の外周面に該内側中空円筒部の開口端部(外側中空円筒部に隣接する開口端部)から反対側に向かって中心軸に沿って延在する少なくとも1つの溝、又は外側中空円筒部の内周面に該外側中空円筒部の開口端部(内側中空円筒部に隣接する開口端部)から反対側に向かって中心軸に沿って延在する少なくとも1つの溝、若しくはそれらの溝の両方を設け、その溝を第2の案内流路として利用してもよい。この場合、溝は、内側中空円筒部の外周面又は外側中空円筒部の内周面に周方向に間隔をあけて複数形成してもよい。また、溝は、中心軸に平行な溝である必要はない、らせん溝であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
上述した流量調整ユニット及び給水装置は、種々の分野で種々の目的に利用できる。例えば、環境分野(工場排水処理、汚泥減容化、水質浄化、水質改善)、農業分野(植物成長促進、収量増加、品質向上、害虫駆除)、食品分野(鮮度保持、酸化防止、薬剤使用抑制)、洗浄分野(トイレの洗浄、衣類や食品の洗浄)、美容分野(洗顔、頭皮洗浄、シャワーヘッド)等における給水システムに幅広く利用可能である。その場合、適用する分野によっては、液体は水である必要はなく、水以外の液体(例えば油、油と油以外の液体との混合液)であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:流量調整ユニット
10:ハウジング(筐体)
11:中心軸
12:筒状壁(周壁)
13:下流壁
14:上流壁
15:流路空間
16:上流側開口部(入口開口)
17:中心軸
20:円形筒部(外側中空円筒部)
22:下流側開口部(出口開口)
25:弁部材
29:下流側円筒部(内側中空円筒部)
30:第1の案内流路(上流側流路)
31:上流端面(受圧部)
33:第2の案内流路(下流側流路)
35:ばね(付勢部材)
50:シャワーヘッド
【要約】 (修正有)
【課題】水圧に関係なくほぼ一定量の水を自動的に噴射する流量調整ユニットと、該ユニットを組み入れたファインバブル発生機能付き給水装置を提供する。
【解決手段】流量調整ユニットは、流路15を形成する中空の筒状壁12と、上流壁14と、下流壁13と、入口開口16と、出口開口22とを備えたハウジング10と、最上流と最下流位置との間を移動可能な弁部材25と、入口開口から流入する液体から下流側に向かう方向の力を受ける受圧部31を備え、受圧部が液体から受ける力が大きくなるに従って弁部材の移動量が大きくなるように変形する弾性付勢部材35と、入口開口から流れ込む液体を弁部材の下流側に案内する第1の案内流路30と、液体を第1の案内流路から出口開口に案内する第2の案内流路33を形成し、第2の案内流路は、弁部材が下流側に移動するにしたがって、第2の案内流路を通過する液体に与える抵抗が大きくなる可変抵抗部を構成する。
【選択図】
図2