(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20220926BHJP
C09B 11/28 20060101ALI20220926BHJP
C09B 45/16 20060101ALI20220926BHJP
C09B 45/20 20060101ALI20220926BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220926BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
C08L101/00
C09B11/28 E
C09B45/16 D
C09B45/20
G02B5/20 101
H01L27/32
(21)【出願番号】P 2018243243
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三藤 彰洋
【審査官】宮内 弘剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-118369(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158794(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/158747(WO,A1)
【文献】特開2016-166337(JP,A)
【文献】特開2011-038085(JP,A)
【文献】特開2016-040363(JP,A)
【文献】特開2015-194521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
G02B5/20-5/28
G02F1/1335
1/13363
C09B11/28
C09B45/16
C09B45/20
H01L27/32
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】
(式(1)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を、R
3は水素原子またはメチル基を、
R
4
は-COOR
5
で表される置換基を、R
5
は水素原子または置換基を有しても良いアルキル基を、X
-はトリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを表す。)
で表されるキサンテン系化合物、
下記式(2)
【化2】
(式(2)中、R
6は炭素数1乃至4のアルキル基を、R
7は水素原子、アミノ基または炭素数1乃至4のアルキル基を、R
8は水素原子またはハロゲン原子を、MはCrまたはCoを、Z
+はLiイオン、Naイオン、Kイオンまたは炭素数1乃至4のトリアルキルアンモニウムイオンを表す。)
で表されるアゾ系化合物、
バインダー樹脂、溶剤及び硬化剤を含有する着色樹脂組成物。
【請求項2】
R
1及びR
2が炭素数2乃至6の直鎖のアルキル基であり、かつR
3が水素原子である
請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
X
-がトリフルオロメタンスルホン酸アニオンまたはビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンである
請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
R
6及びR
7がメチル基である
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項5】
R
8がハロゲン原子である
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項6】
Z
+がNaイオン又はトリエチルアンモニウムイオンである
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて得られるカラーフィルター。
【請求項8】
請求項7に記載のカラーフィルターを装着した液晶表示装置、有機ELディスプレイまたは固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルターの赤色画素を形成する際に用いられるキサンテン系化合物およびアゾ化合物を含有する着色樹脂組成物、該着色樹脂組成物を用いて形成されるカラーフィルター、並びに該カラーフィルターを用いて形成される液晶表示装置、撮像素子(CCD、CMOS)及び有機ELディスプレイ等の電子表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンや液晶テレビ、携帯電話、スマートフォン等に代表される液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ等の液晶表示装置、及びデジタルカメラやカラーコピー機等の入力デバイスとして使用される撮像素子(CCD、CMOS)のカラー化にはカラーフィルターが必要である。これら液晶表示装置や固体撮像素子に用いられるカラーフィルターの製造方法としては、染色法、電着法、印刷法、顔料分散法等が挙げられるが、近年ではパターニングの手法を用いた顔料分散法が主流となっている。パターニングの方法としては、感光性樹脂組成物と顔料分散体との混合物を用いてカラーフィルターを形成するフォトリソグラフィー法が代表的であるが、最近では、インクジェットプリンターによってマスクを介さずに着色インキを直接基板上に塗布してカラーフィルターを形成する方法も行われている。
【0003】
カラーフィルターに求められる色純度、彩度、明度およびコントラスト等の諸特性を向上させることは特に重要である。例えば、明度が向上すればバックライトの光量を抑えることが可能であり、結果的に消費電力が低減されるため環境的にも必要な技術である。
明度を向上させるには、顔料濃度を減らすことや膜厚を薄くすることにより透過率を高くする必要がある一方で、カラーフィルターの色純度を向上させるためには着色顔料の含有量を増やすことや、より良い分光波形の顔料を選択することが必要である。これらの相反する特性を両立するために顔料の微粒子化という方法が行われているが、着色樹脂組成物の分散安定性、並びにカラーフィルターの光、熱または溶剤に対する耐性及びコントラスト等の諸特性とのバランスを保つ必要があり、明度が向上しても耐性との両立が図れないのが現状である。
【0004】
これらの問題を解決するための別のアプローチとして、染料を使用したカラーフィルターの検討が進められている。染料を用いれば、顔料では達成できない色純度と明度の両立や、粒子では無いことから光散乱を抑制出来るためコントラストも向上できるメリットがある。しかしながら、蛍光を有する染料を用いた場合、バックライト光によって励起された染料から発せられる偏光されていない蛍光によってコントラストの低下が起こることが知られている。
【0005】
C.I.Basic Violet 10等のキサンテン系化合物は、レッド~バイオレット領域の色調の染料として、各種塗料、水性インキ、油性インキ、インクジェット用インキ、カラーフィルター用など幅広い用途での応用がなされている。
キサンテン系化合物は、一般に染料に要求される色相が鮮明であること、高発色性を有すること、着色物が光や熱等に対し堅牢であること等の諸特性に優れるものの、蛍光の強い化合物であり、必ずしもカラーフィルター用の染料として有用ではない。
特許文献1にはキサンテンのカチオン部位と塩素イオンやさらに塩化亜鉛とから成るキサンテン系化合物が記載されているが、本発明者らの検討の結果、特許文献1に記載されているキサンテン系化合物は耐光性、耐熱性、耐水性、耐湿熱性等の堅牢性が不十分であった。特許文献2はキサンテン系化合物に関するものであるが、同文献にはカラーフィルターのコントラストについては何ら記載されていない。特許文献3及び4には、キサンテン系化合物とアゾ含金化合物との造塩化合物を用いた高コントラストなカラーフィルターが記載されているが、本発明者らの検討の結果、同文献の組成物はアゾ含金化合物の含有量が多く、硬化性に問題があった。
即ち、液晶表示装置や固体撮像素子の分野において求められている、信頼性に優れた耐性の高い鮮明な赤色カラーフィルターは、ほとんど実用化されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-271559号公報
【文献】特開2016-60828号広報
【文献】特開2017-57400号広報
【文献】特開2016-199635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、耐久性及びコントラストに優れたカラーフィルターを製造することができる着色樹脂組成物、及びそれを用いて製造されたカラーフィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、特定構造のキサンテン系化合物、特定構造のアゾ化合物、バインダー樹脂、溶剤及び硬化剤を含む着色樹脂組成物を使用することによって上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
(1)下記式(1)
【0010】
【0011】
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を、R3は水素原子またはメチル基を、R4は置換基を、X-はトリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを表す。)で表されるキサンテン系化合物、
下記式(2)
【0012】
【0013】
(式(2)中、R6は炭素数1乃至4のアルキル基を、R7は水素原子、アミノ基または炭素数1乃至4のアルキル基を、R8は水素原子またはハロゲン原子を、MはCrまたはCoを、Z+はLiイオン、Naイオン、Kイオンまたは炭素数1乃至4のトリアルキルアンモニウムイオンを表す。)で表されるアゾ系化合物、バインダー樹脂、溶剤及び硬化剤を含有する着色樹脂組成物、
(2)R4が-COOR5で表される置換基であって、かつR5が水素原子または置換基を有しても良いアルキル基である前項(1)に記載の着色樹脂組成物、
(3)R1及びR2が炭素数2乃至6の直鎖のアルキル基であり、かつR3が水素原子である前項(1)または(2)に記載の着色樹脂組成物、
(4)X-がトリフルオロメタンスルホン酸アニオンまたはビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンである前項(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物、
(5)R6及びR7がメチル基である前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物、
(6)R8がハロゲン原子である前項(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物、
(7)Z+がNaイオン又はトリエチルアンモニウムイオンである前項(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物、
(8)前項(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の着色樹脂組成物を用いて得られるカラーフィルター、及び
(9)前項(8)に記載のカラーフィルターを装着した液晶表示装置、有機ELディスプレイまたは固体撮像素子、
に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の着色樹脂組成物を用いることにより、耐久性及びコントラストに優れたカラーフィルターを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の着色樹脂組成物は、前記式(1)で表されるキサンテン系化合物を含有する。
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
式(1)のR1及びR2が表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等の炭素数1乃至6のアルキル基が挙げられ、炭素数2乃至6のアルキル基が好ましく、炭素数2乃至6の直鎖のアルキル基がより好ましく、炭素数2乃至4の直鎖のアルキル基が更に好ましい。
これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はないが、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基並びにヒドロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基;2-スルホエチル基;カルボキシエチル基;シアノエチル基;メトキシエチル基、エトキシエチル基並びにブトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;トリフルオロメチル基並びにペンタフルオロエチル基等のハロゲン化アルキル基;カルバモイル基;及びカルボキシル基等が挙げられる。
【0016】
式(1)のR1及びR2が表すアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基並びにベンゾピレニル基等の芳香族炭化水素残基;及びピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピロリル基、インドレニル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、チエニル基並びにフリル基等の芳香族複素環基が挙げられる。
これらのアリール基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はないが、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基並びにペンチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子並びにヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t-ブトキシ基並びにヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシエチル基並びにヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基;メトキシエチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基並びにブトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;2―ヒドロキシエトキシ基等のヒドロキシアルコキシ基;2-メトキシエトキシ基並びに2-エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2-スルホエチル基;カルボキシエチル基;シアノエチル基;及びスルホン酸基等が挙げられる。
【0017】
式(1)のR1及びR2としては、それぞれ独立にアルキル基であることが好ましく、4箇所のR1及びR2が同一のアルキル基であることがより好ましい。
式(1)中、R3は水素原子またはメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
式(1)中、R4は置換基を表す。
【0018】
式(1)のR4が表す置換基としては、例えば、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、アリールスルフィニル基、脂肪族チオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、脂肪族オキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシフォスフィニル基及びジアリールオキシフォスフィニル基等が挙げられ、脂肪族オキシカルボニル基またはカルボキシル基が好ましく、アルコキシカルボニル基またはカルボキシル基、即ち、-COOR5で表され、かつR5が水素原子またはアルキル基である置換基がより好ましい。
【0019】
R5が表すアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基及びシクロヘキシル基等の炭素数1乃至6のアルキル基が挙げられ、炭素数1乃至4のアルキル基が好ましく、炭素数1または2のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はないが、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基並びにヒドロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基;2-スルホエチル基;カルボキシエチル基;シアノエチル基;メトキシエチル基、エトキシエチル基並びにブトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;トリフルオロメチル基並びにペンタフルオロエチル基等のハロゲン化アルキル基;カルバモイル基;カルボキシル基;及びアリール基等が挙げられ、アリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0020】
式(1)中、X-はトリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを表し、トリフルオロメタンスルホン酸アニオンまたはビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンが好ましく、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンがより好ましい。
【0021】
式(1)で表されるキサンテン系化合物としては、上記R1乃至R5及びX-それぞれの好ましいものの組み合わせのものがより好ましく、より好ましいものの組み合わせのものが更に好ましい。
【0022】
本発明の着色樹脂組成物に用いられるキサンテン系化合物は、例えば、株式会社技報堂発行の細田豊著「理論製造染料化学」(373~375頁)に記載された既知の合成法で得ることもできるが、例えば、市販のC.I.Basic Violet 10を購入し、次の方法で合成することができる。
具体的には、先ず、市販品として入手可能な下記式(AA)で表されるC.I.Basic Violet 10を、ベンジルブロミドと反応させることにより下記式(B)で表される誘導体に変換し、更に、特許第5800493号公報に記載の方法を参考に塩交換反応を行うことにより上記式(1)におけるR1及びR2がエチル基であり、R3が水素原子であり、R4がフェニル基を置換基として有するメトキシカルボニル基であるキサンテン系化合物を得ることができる。
【0023】
【0024】
上記に一例として挙げたC.I.Basic Violet 10とベンジルブロミドとの縮合工程における反応温度は、50乃至150℃であることが好ましく、70乃至120℃であることがより好ましい。縮合工程では、必要に応じて縮合剤を使用してもよく、使用できる縮合剤としては、例えば、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等を用いることが好ましい。縮合剤を使用する場合には、原料となるキサンテン系化合物(上記の場合はC.I.Basic Violet 10)に対して0.5乃至2.0モル当量含有させることが好ましい。
【0025】
式(1)で表されるキサンテン系化合物を塩交換により合成する場合は、例えば、X-が塩素アニオンである染料を反応溶媒(例えば、水、またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N,N-ジメチルホルアミド(以下DMFと略記)、N-メチル-2-ピロリドン(以下NMPと略記)等の水溶性極性溶媒が挙げられ、これらの溶媒は単独、または混合してもよい。)に溶解し、対応する塩または酸を染料に対して0.5乃至3等量程度加え、所定温度(例えば0乃至100℃)で攪拌し、析出した結晶をろ取すればよい。
【0026】
以下に、上記式(1)で示されるキサンテン系化合物の具体例を示すが、本発明の着色樹脂組成物が含有する式(1)で表されるキサンテン系化合物はこれらに限定されない。
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
本発明の着色樹脂組成物の全固形分(溶剤を除くキサンテン系化合物、バインダー樹脂、硬化剤及び消光剤等から成る固形分の総量を指す。以降も同義で用いられる。)中に含まれる前記式(1)で表されるキサンテン系化合物の含有量は、好ましくは0.1乃至30質量部、より好ましくは0.3乃至20質量部である。式(1)で表されるキサンテン系化合物の含有量をこの範囲とすることにより、析出や凝集の問題がなく、硬化性が良好で基板との密着性に優れ、かつ、色特性としては十分な色純度を有するカラーフィルターが得られる。
【0031】
本発明の着色樹脂組成物は、前記式(2)で表されるアゾ系化合物を含有する。
式(2)中、R6は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。
式(2)中のR6が表す炭素数1乃至4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基及びt-ブチル基が挙げられ、メチル基であることが好ましい。
【0032】
式(2)中、R7は水素原子、アミノ基または炭素数1乃至4のアルキル基を表す。
式(2)のR7が表す炭素数1乃至4のアルキル基としては、式(2)のR6が表す炭素数1乃至4のアルキル基と同じものが挙げられる。
式(2)のR7としては、炭素数1乃至4のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0033】
式(2)中、R8は水素原子又はハロゲン原子を表す。
式(2)のR8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
式(2)のR8としては、水素原子または塩素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
【0034】
式(2)中、MはCr(クロム原子)またはCo(コバルト原子)を表し、Crであることが好ましい。
式(2)中、Z+はLi(リチウム)イオン、Na(ナトリウム)イオン、K(カリウム)イオンまたは炭素数1乃至4のトリアルキルアンモニウムイオンを表す。
式(2)のZ+が表す炭素数1乃至4のトリアルキルアンモニウムイオンとしては、例えば、トリメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、トリプロピルアンモニウムイオン及びトリブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
式(2)のZ+としては、Naイオン又はトリエチルアンモニウムイオンであることが好ましい。
【0035】
式(2)で表されるアゾ系化合物としては、上記R6乃至R8M及びZ+それぞれの好ましいものの組み合わせのものがより好ましく、より好ましいものの組み合わせのものが更に好ましい。
【0036】
本発明のアゾ化合物は、例えば、Acid Orange86のような市販のアゾ化合物を購入し使用することもできるが、例えば次のような方法で合成することもできる。尚、下記式(C)乃至(F)において、R6乃至R8は上記式(2)におけるのと同じ意味を表す。
先ず、下記式(C)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と下記式(D)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(E)で表される化合物を得る。次いで、得られた下記式(E)の化合物を対応するクロム化合物又はコバルト化合物と縮合反応させることにより、下記式(F)で表される化合物を合成することができる。
最後に、必要に応じて下記式(F)の化合物を対応するトリアルキルアミン化合物と反応させることにより、上記式(2)で表されるアゾ化合物を得ることができる。
【0037】
【0038】
以下に、上記式(2)で示されるアゾ系化合物の具体例を示すが、本発明の着色樹脂組成物が含有する式(2)で表されるアゾ系化合物はこれらに限定されない。尚、下記具体例中のMeはメチル基、Etはエチル基、Prはn-プロピル基及びBuはn-ブチル基をそれぞれ表す
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
本発明の着色樹脂組成物の全固形分中に含まれる前記式(2)で表されるアゾ系化合物の含有量は、好ましくは0.5乃至50質量%部、より好ましくは1乃至30質量%部である。式(2)で表されるアゾ系化合物の含有量をこの範囲とすることにより、本着色樹脂化合物の硬化性を阻害することなく、コントラストに優れた着色樹脂組成物を構成することができる。
【0046】
本発明の着色樹脂組成物はバインダー樹脂を含有する。
着色樹脂組成物が含有するバインダー樹脂は特に限定されず、従来公知のものを用いることができるが、本発明の着色樹脂組成物をフォトリソグラフィーの手法に用いる場合は、以下に挙げられる1個以上のカルボキシル基または水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーの共重合体、あるいは他の共重合可能な芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマー等の共重合体であることが望ましい。また、これら共重合体の側鎖もしくは末端等に不飽和二重結合やエポキシ基を有するものやエポキシアクリレート樹脂も使用できる。これらのモノマー等は共重合体に単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
本発明で使用できる前記のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、エタクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタアクリロイロキシエチル2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシエチルフタル酸等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0048】
本発明で使用できる前記の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシペンチ(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシ-3-メチル-ペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール-モノ(メタ)アクリレート、2-(2-ヒドロキシエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0049】
また、前記の他の共重合可能な芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、o-クロルスチレン、m-クロルスチレン、p-クロルスチレン、p-メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレートヒドロキシエチル化物、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、フェニルノルボルニル(メタ)アクリレート、シアノノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、フェンチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-イル=(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-4-メチル=(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環骨格類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノメタクリレート等の水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキル末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-(メタ)アクリロイルフタルイミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、マレイミド等の不飽和アミドあるいは不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリn-ブチルアクリレート、ポリn-ブチルメタクリレート、ポリシリコーン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0050】
また、共重合体の側鎖に更に不飽和二重結合を導入した重合体も有用である。例えば、無水マレイン酸と共重合可能なスチレン、ビニルフェノール、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド等との共重合物の無水マレイン酸部に、ヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートやグリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有するアクリレートを反応させハーフエステル化した化合物、及びアクリル酸、アクリル酸エステルとヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性のヒドロキシル基を有するアクリレートとの共重合体の水酸基にアクリル酸を反応せしめた化合物等が挙げられる。また、ウレタン樹脂やポリアミド、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、市販のACA-200M(ダイセル製)、ORGA-3060(大阪有機化学製)、AX3-BNX02(日本触媒製)、UXE-3024(日本化薬製)、UXE-3000(日本化薬製)、ZGA-287H(日本化薬製)、TCR-1338H(日本化薬製)、ZXR-1722H(日本化薬製)、ZFR-1401H(日本化薬製)、ZCR-1642(日本化薬製)も使用することができる。
【0051】
本発明の着色樹脂組成物が含有するバインダー樹脂(共重合体)を製造する場合には、重合開始剤を使用する。
重合開始剤の具体例としては、α,α’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、t-ブチルパーオクトエート、ジ-t-ブチルパーオキシド過酸化ベンゾイルメチルエチルケトンパーオキシド等を挙げることができる。重合開始剤の使用量は、共重合体の合成に使用する全ての単量体の合計に対して、好ましくは0.01乃至25質量部である。
また、共重合体を合成する場合には、合成に用いる単官能のモノマーや重合開始剤等に対して十分な溶解力を有する有機溶剤を使用するのが好ましい。合成に用いる有機溶剤は、後述する本発明の着色樹脂組成物が含有する溶剤の具体例の中から、モノマーや重合開始剤に対する溶解力を考慮して選択すればよい。
共重合体を合成する際の反応温度は50乃至120℃であることが好ましく、特に好ましくは80乃至100℃である。また、反応時間は1乃至60時間であることが好ましく、より好ましくは3乃至20時間である。
共重合体の好ましい酸価は10乃至300(mgKOH/g)であり、好ましい水酸基価は10乃至200(mgKOH/g)である。前記の範囲の酸価もしくは水酸基価を有する共重合体を用いることにより、現像性に優れた着色樹脂組成物が得られる。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は2,000乃至400,000が好ましく、3,000乃至100,000がより好ましい。前記の範囲の重量平均分子量を有する共重合体を用いることにより、感度及び現像性に優れた感光性樹脂組成物が得られる。
【0052】
前記のバインダー樹脂(共重合体)は、本発明の着色樹脂組成物に単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。本発明の着色樹脂組成物におけるバインダー樹脂の含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、通常1乃至99質量部、好ましくは5乃至50質量部である。
【0053】
本発明の着色樹脂組成物は溶剤を含有する。
溶剤としては、例えば油溶性有機溶媒、水溶性有機溶媒並びに水等の溶媒類、更にはこれらの溶媒類を組み合わせた一種または二種以上を、着色樹脂組成物の用途や用法に合せて特に制限なく用いることが出来る。
【0054】
油溶性有機溶媒の具体例としては、エタノール、ペンタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、テトラフルオロプロパノール及びジアセトンアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールジアセテート等のグリコール誘導体;メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類;ブチルフェニルエーテル、ベンジルエーテル及びヘキシルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸エチル及びラウリン酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、DMF、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N-メチルピロリドン及び2-ピロリドン等の極性有機溶媒等が挙げられる。
【0055】
水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ペンタノール及びベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びモルホリン等のアミン類;2-ピロリドン;N-メチルピロリドン;1,3-ジメチル-イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0056】
これらの溶媒類は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。溶剤類を含有する場合の使用量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して好ましくは40乃至10000質量部、より好ましくは100乃至1000質量部である。
【0057】
本発明の着色樹脂組成物は硬化剤を含有する。
硬化剤としては、ラジカル重合の場合は光重合モノマー、イオン硬化の場合はエポキシ樹脂、その他にメラミン硬化剤等が挙げられる。これらの具体例は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、9,9-ビス〔4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、カヤラッドRP-1040(日本化薬製)、カヤラッドDPCA-30(日本化薬製)、UA-33H(新中村化学製)、UA-53H(新中村化学製)、M-8060(東亞合成製);チオール系重合モノマーとして、TEMPIC(堺化学製)、TMMP(堺化学製)、PEMP(堺化学製)、DPMP(堺化学製);エポキシ樹脂としては、日本化薬製品のNC―6000、NC-3000、EOCN-1020、XD-1000、EPPN-501H、BREN-S、NC-7300L、ダイセル化学製品のセロキサイト2021P、EHPE3150、サイクロマーM100、エポリードPB3600、ジャパンエポキシレジン製品のエピコート828、エピコートYX8000、エピコートYX4000、サイラエースS510(チッソ製)、TEPIC(日産化学工業製)等;メラミン硬化剤としてはメチロール化メラミンやMw-30(三和ケミカル製)等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。これらの含有量は、着色樹脂組成物の全固形分100質量部に対して通常80質量部以下、好ましくは5乃至30質量部である。
【0058】
本発明の着色樹脂組成物に併用し得るその他の成分としては、例えば、有機顔料、染料、分散剤、樹脂類、光重合開始剤、熱重合開始剤、表面調整剤、消泡剤、防腐・防黴剤、pH調整剤、上記式(1)で表されるキサンテン系化合物以外の色素及び上記式(2)で表されるアゾ系化合物以外の色素等が挙げられる。
【0059】
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る分散剤は特に限定されないが、溶剤の種類に合せて分散剤を選択することは、着色樹脂組成物の分散安定性を向上させるために効果的である。
油溶性有機溶媒との併用で好ましく用いられる分散剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートのアンモニウム塩、ポリオキシアルキルエーテル燐酸エステル塩等公知のアニオン界面活性剤、ビニルナフタレン誘導体、α、β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、またはこれらの塩等の高分子分散剤等が挙げられる。
【0060】
水溶性有機溶媒や水との併用で好ましく用いられる分散剤としては、界面活性剤の他、高分子分散剤を好適に使用することができる。高分子分散剤の具体例としては、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリルニトリル共重合体、アクリル酸塩-アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体等のスチレン-アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体、及び酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体等の酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。
【0061】
また、その他の樹脂系分散剤としては、ポリウレタン樹脂系、ポリカルボン酸系、ポリアミド樹脂系及びポリエステル樹脂系等の分散剤が挙げられる。樹脂系分散剤の具体例としては、例えば、ED211(楠本化成製)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ製)ソルスパース71000(アビシア製)等である。
【0062】
これらの分散剤類は、本発明の着色樹脂組成物が含有する上記式(1)で表されるキサンテン系化合物、上記式(2)で表されるアゾ系化合物及び任意に含有し得る色素の合計質量に対して、通常500質量%以下、好ましくは10乃至450質量%、より好ましくは100乃至400質量%が用いられる。
【0063】
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る樹脂類としては、例えばポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系及びポリアクリル系の樹脂等が挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物が含有し得るポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びポリアクリル樹脂としては、特に限定されず従来公知のものが挙げられる。
【0064】
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る光重合開始剤としては、露光光源として一般的に用いられる超高圧水銀灯から射出される紫外線に充分感度を有するものが好ましく、ラジカル重合性の光ラジカル開始剤、イオン硬化性の光酸発生剤もしくは光塩基発生剤等が挙げられる。より少ない露光エネルギーで光効果を行うために、増感剤と呼ばれる重合促進剤成分を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る光重合開始剤に特に制限は無いが、例えば、ベンジル、ベンゾインエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸のエステル化物、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、ベンジルジメチルケタール、2-ブトキシエチル-4-メチルアミノベンゾエート、クロロチオキサントン、メチルチオキサントン、エチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、メチルアミノメチルベンゾエート、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、メチルベンゾイルフォーメート、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4-ビス(トリブロモメチル)-6-(4’-メトキシフェニル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリブロモメチル)-1,3,5-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(1,3-ベンゾジオキソラン-5-イル)-1,3,5-s-トリアジン、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-o-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-o-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-o-アセタート、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、P-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、P-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、ジアゾナフトキノン系開始剤、また市販のカヤキュアーDMBI、カヤキュアーBDMK、カヤキュアーBP-100、カヤキュアーBMBI、カヤキュアーDETX-S、カヤキュアーEPA(いずれも日本化薬製)、ダロキュアー1173、ダロキュアー1116(いずれもメルクジャパン製)、イルガキュアー907(BASFジャパン製)、イルガキュアー369(BASFジャパン製)、イルガキュアー379EG(BASFジャパン製)、イルガキュアーOXE-01(BASFジャパン製)、イルガキュアーOXE-02(BASFジャパン製)、イルガキュアーPAG103(BASFジャパン製)、TME-トリアジン(三和ケミカル製)、ビイミダゾール(黒金化成製)、STR-110、STR-1(いずれもレスペケミカル製)等が挙げられる。
【0065】
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る熱重合開始剤としては、例えばアゾ系化合物や有機過酸化物等であり、その具体例としては2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、過酸化ジ-t-ブチル、ジベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート等が挙げられる。
【0066】
これらの光重合開始剤や熱重合開始剤は、必要に応じて単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これら開始剤の含有量は、着色樹脂組成物の固形分100質量部に対して、通常50質量部以下、好ましくは1乃至25質量部である。
【0067】
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る表面調整剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物等の公知のノニオン系、ポリシロキサン系あるいはポリジメチルシロキサン系の界面活性剤が挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る消泡剤としては、シリコーン系、アセチレン系の公知の消泡剤が挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る防腐・防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン-1-オキサイド、ジンクピリジンチオン-1-オキサイド、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、1-ベンズイソチアゾリン-3-オンのアミン塩等の公知の防腐・防黴剤が挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物に併用し得るpH調整剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の3級アミン類等の公知のpH調整剤が挙げられる。
【0068】
本発明の着色樹脂組成物には、上記式(1)で表されるキサンテン系化合物以外の色素としては、有機顔料、無機顔料又は染料等を併用してもよい。
【0069】
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る有機顔料に特に制限はないが、例えば、アントラキノン系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、ベンゾイミダゾロン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、キサンテン系等の顔料;酸性染料、塩基性染料、直接染料等をそれぞれの沈澱剤で不溶化したレーキ顔料、染付けレーキ顔料等が挙げられる。
これら顔料の具体例としては、カラーインデックスで、ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79;ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50;ピグメントバイオレット3、4、27,39;ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、122、146、168、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264270、272、279;ピグメントオレンジ43、71、73;ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、ピグメントグリーン7、36、58、等が挙げられる。
【0070】
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る無機顔料に特に制限はないが、例えば、複合金属酸化物顔料、カーボンブラック、黒色低次酸化チタン、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、ベンガラ、群青、紺青、酸化クロム、アンチモン白、鉄黒、鉛丹、硫化亜鉛、カドニウムエロー、カドニウムレッド、亜鉛、マンガン紫、コバルト紫、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩等が挙げられる。
【0071】
本発明の着色樹脂組成物に併用し得る染料に特に制限はなく、酸性染料、塩基性染料、直接染料、硫化染料、建染染料、ナフトール染料、反応染料、分散染料等が挙げられる。有機溶媒を併用する場合は、有機溶媒に可溶なものが好ましいが、有機溶媒に不溶な染料でも分散体とする事で適宜使用することができる。有機溶媒に不溶な染料はよく知られた処方として、例えば酸性染料の場合は、有機アミン化合物(例えばn-プロピルアミン、エチルヘキシルプロピオン酸アミン等)を反応させアミン塩染料に変性するか、またはそのスルホン酸基に同有機アミン化合物を反応させてスルホンアミド基を有する染料等に変性することが知られている。それらアミン変性した染料も本発明の着色樹脂組成物に使用可能である。
これら染料の具体例としては、カラーインデックスで、C.I.ナンバーのベーシックブルー7、アシッドブルー1、7、9、15、18、23、25、27、29、40、42、45、51、62、70、80、83、86、87、90,92,96,103,112,113,120,129,138,147,150,158,171,182,192,210,242,243,249、256,259,267,278,280,285,290,296,315,324,335,340;ベーシックブルー7、11、15、26;ソルベントブルー2、3、4、5、6、23、25、35、37、38、43、55、59、67、72、124;ベーシックバイオレット10;アシッドバイオレット17、49;ソルベントバイオレット4、5、14;ベーシックレッド1、10、29;アシッドレッド91、92、97、114、138、151、289;ソルベントレッド45、49、127;アシッドイエロー17、23、25、29、38、40、42、76;ソルベントイエロー4、14、15、24、76、81、82、94、98、162;ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、56;アシッドオレンジ16、86、等が挙げられる。
【0072】
本発明の着色樹脂組成物は、式(1)で表されるキサンテン系化合物他の必須成分及び必要により加えられる任意成分を、ディゾルバーやホモミキサー等により混合撹拌して製造される。顔料や本発明の着色樹脂組成物の必須成分に対する相溶性の低い染料を併用する場合は、これらの成分に適当な溶剤及び分散剤を用いてペイントシェーカー等の分散機により得られた分散体を着色樹脂組成物に加えて混合してもよく、調製した着色樹脂組成物から異物等を取り除くためにフィルター等で精密濾過を施すことも出来る。
【0073】
本発明の着色樹脂組成物は、各種塗料、水性インキ、油性インキ、インクジェット用インキ、カラーフィルター用着色樹脂組成物に用いられ、カラーフィルター用着色樹脂組成物の具体的な用途としては、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、あるいはデジタルカメラ等に使用される固体撮像素子等のカラーフィルターが挙げられる。
本発明の着色樹脂組成物を用いる被着色材料としては、例えば普通紙、コート紙、プラスチックフィルム、プラスチック基板が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の着色樹脂組成物を被着色材料に付与する方法としては、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの各種印刷方法あるいはスピンコーター、ロールコーターなどによる塗工方法が挙げられる。
【0074】
次に本発明の着色樹脂組成物からその硬化物を調製する方法について説明する。ただし、本発明の着色樹脂組成物からその硬化物を調製する方法についてはこれに限定されない。先ず、本発明の着色樹脂組成物をガラス基板、シリコン基板等の基板上に、スピンコート法、ロールコート法、スリットアンドスピン法、ダイコート法、バーコート法等の方法で、膜厚が0.1乃至20μm、好ましくは0.5乃至5μmになるように塗布し、必要に応じて、減圧チャンバー内で、乾燥条件、温度23乃至150℃下で、時間1乃至60分間、より好ましくは温度60乃至120℃下で時間1乃至10分間で減圧乾燥を行い、さらにホットプレートもしくはクリーンオーブン等でプリベーク処理を行い製膜する。次に一般的なフォトリソグラフィー法により所定のマスクパターンを通して放射線(例えば電子線、紫外線。好ましくは紫外線)を照射し、界面活性剤水溶液、アルカリ水溶液、または界面活性剤とアルカリ剤の混合水溶液で現像する。現像方式としては、ディップ法、スプレー法、シャワー法、パドル法、超音波現像法等あるが、これらのいずれかを組み合わせても良い。現像により未照射部を取り除き、水でリンスした後、ポストベーク処理、処理は例えば、温度130乃至300℃下で時間1乃至120分間、より好ましくは温度150乃至250℃下で時間1乃至30分間の条件で行い、本発明の着色硬化膜からなる画素を得る。
【0075】
上記において界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が使用出来る。又、アルカリ剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が使用される。本発明においては、アルカリ剤と界面活性剤の両方を含む水溶液の使用が好ましい。現像は、が通常10乃至50℃、好ましくは20乃至40℃の処理温度下で、通常30乃至600秒間、好ましくは30乃至120秒間の処理時間で行われる。
【0076】
本発明の着色樹脂組成物の硬化物は液晶表示装置、有機ELディスプレイ、あるいはデジタルカメラ等に使用される固体撮像素子等に好適なカラーフィルターとして有用であり、そのカラーフィルターは前記のようにして調製された本発明の着色樹脂組成物の硬化物からなるパターン化された画素を有する。
【0077】
本発明の表示装置のうち、液晶表示装置は、例えばバックライト、偏光フィルム、表示電極、液晶、配向膜、共通電極、本発明のカラーフィルター、偏光フィルム等がこの順に積層した構造で作製される。有機ELディスプレイは多層の有機発光素子の上もしくは下のどちらか一方に本発明のカラーフィルターを形成して作製される。また、固体撮像素子は、例えば、転送電極、フォトダイオードを設けたシリコンウエーハーの上に、本発明のカラーフィルター層を設け、ついでマイクロレンズを積層することにより作製される。
【実施例】
【0078】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特別の記載のない限り、本文中「部」とあるのは質量基準であり、また反応温度は内温である。合成した化合物のうち、λmax(最大吸収波長)を測定したものについては、特に断りのない限り紫外可視分光光度計UV-3150(島津製作所社製)を用いてメタノール中で測定した紫外可視吸収スペクトルの測定結果における最大吸収波長の値である。
尚、紫外可視吸収スペクトルの測定条件は、以下の通りである。
測定機器:分光光度計「(株)島津製作所製、商品名UV-3150」
波長範囲:300乃至800nm
スキャンスピード:中速
サンプリングピッチ:0.5nm
測定モード:シングル
測光値::吸光度
スリット幅:2.0nm
光源切替波長:360.0nm
S/R切替:標準
【0079】
合成例1(上記具体例の化合物No.3で表されるキサンテン系化合物の合成)
(工程1-1)
200mlの四つ口フラスコに、ローダミンB(東京化成工業社製)9.6部、DMF32部、ベンジルブロミド(東京化成工業社製)10部及び炭酸カリウム3.3部を入れ、90℃で2時間攪拌した。反応液を冷却後、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドのカリウム塩(森田化学工業社製)6.4部を更に1時間攪拌した。得られた反応液を水に注ぎ、析出した結晶をろ取、洗浄、乾燥させることにより、上記具体例のNo.3で表されるキサンテン系化合物を20部得た。該キサンテン系化合物の最大吸収波長は559nm(メタノール)であった。
【0080】
合成例A(バインダー樹脂の合成)
500mlの四つ口フラスコにメチルエチルケトン160部、メタクリル酸10部、ベンジルメタクリレート33部及びα,α’-アゾビス(イソブチロニトリル)1部を仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入した。その後、80℃まで昇温し、80乃至85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一な共重合体溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥し、バインダー樹脂を得た。得られたバインダー樹脂重量平均分子量(ゲルパーミエションクロマトグラフィーの測定結果に基づいてポリスチレン換算で算出)は18,000であり、JIS K2501に準じて測定した酸価は152(mgKOH/g)であった。
【0081】
実施例1、2及び比較例1(着色樹脂組成物の作製)
合成例1で得られた化合物No.3で表されるキサンテン系化合物、下記式(100)又は(101)で表されるアゾ系化合物、バインダー樹脂として合成例Aで得られたバインダー樹脂、溶剤としてシクロペンタノン、硬化剤として光重合性モノマーDPHA(日本化薬社製)及び光重合開始剤イルガキュアー907(BASF社製)を表1に記載の配合量(部)で混合した後、10分間超音波装置で処理を行い溶解させることで着色樹脂組成物1、2及び比較用の着色樹脂組成物1を作製した。
【0082】
【0083】
【0084】
実施例3、4及び比較例2(染料着色体(カラーフィルター)の作製)
実施例1、2及び比較例1で得られた着色樹脂組成物1、2及び比較用の着色樹脂組成物1をガラス基板にスピンコートし、80℃で10分間乾燥し、染料着色体1、2及び比較用の染料着色体1をそれぞれ作製した。
【0085】
【0086】
(蛍光強度の評価)
蛍光分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、商品名F-7000)を用いて、実施例3、4及び比較例2で得られた、各染料着色体の蛍光強度を測定した。蛍光強度が小さい程、蛍光が弱く、着色樹脂組成物から得た染料着色体のコントラストが優れていることを意味する。結果を表2に示した。
尚、蛍光分光光度計の測定及び条件は、以下の通りである。
測定機器:蛍光分光光度計「日立ハイテクサイエンス社製、商品名F-7000」
励起波長:559nm
観測波長範囲:500乃至850nm
スキャンスピード:240nm/min
サンプリングピッチ:1nm
測定モード:蛍光
スリット幅:5.0nm
【0087】
【0088】
表2の結果から、本発明の着色樹脂組成物1及び2を用いて作製した染料着色体は、比較用の着色樹脂組成物1を用いて作製した染料着色体に比べて蛍光強度が小さいことは明らかである。
【0089】
以上のように式(1)で表されるキサンテン系化合物及び式(2)で表されるアゾ系化合物を含有する本発明の着色樹脂組成物を用いて得られた染料着色体は、小さな蛍光強度を示すことから、高いコントラストを有するものであり、カラーフィルター用インキやインクジェット用インキ等、高い堅牢性が要求される幅広い用途で使用可能であり、産業的な価値が高いことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0090】
式(1)で表される特定構造のキサンテン系化合物及び式(2)で表される特定構造のアゾ化合物を含有する本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物を用いることにより、コントラストに優れた高品位で信頼性の高いカラーフィルターの赤色の画素を提供することができる。