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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】シールド掘進機
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20220926BHJP
   E21D 9/087 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E21D9/06 301A
E21D9/06 302Z
E21D9/087 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022039728
(22)【出願日】2022-03-14
【審査請求日】2022-05-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】村中 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐司
(72)【発明者】
【氏名】森 竜生
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-021341(JP,A)
【文献】実開昭59-192992(JP,U)
【文献】特開2002-303092(JP,A)
【文献】実開昭60-066792(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
E21D 9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の周方向に沿って回転自在の状態で前記機器本体の進行方向の前面に支持されたカッタ盤と、
前記カッタ盤の裏面に対向して前記機器本体の開口部を塞ぐように設けられた隔壁部と、
前記カッタ盤の裏面と前記隔壁部の前面との間に設けられたチャンバと、
前記チャンバ内に入り込んだ掘削土砂と添加材とを攪拌して混合する攪拌手段と、
を備え、
前記攪拌手段は、前記隔壁部の前面に設けられた第1の攪拌棒と、前記カッタ盤の裏面において前記カッタ盤が回転したときに前記第1の攪拌棒に衝突しない位置に設けられた第2の攪拌棒と、
を備え、
前記第1の攪拌棒および前記第2の攪拌棒の各々の先端部は、側面視で重なるように前記チャンバに向かって突出しており、
前記第1の攪拌棒は、該第1の攪拌棒の先端側に位置して交換可能となった交換部と、前記交換部と接合された前記隔壁部側の既存部とを有し、
前記第1の攪拌棒の前記交換部の長さは、前記第1の撹拌棒と前記第2の攪拌棒とが互いに側面視で重なっている部分の長さである重なり長さより長い、
ことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記第1の攪拌棒の前記交換部と前記既存部とは溶接されていることを特徴とする請求項1記載のシールド掘進機。
【請求項3】
前記第1の攪拌棒の前記交換部と前記既存部とは相互に同一の径方向断面とされるとともに、前記第1の攪拌棒の外周において前記交換部と前記既存部との境界に、前記第1の攪拌棒の中心軸に向かって窪む溶接用の溝を設けたことを特徴とする請求項2記載のシールド掘進機。
【請求項4】
前記第1の攪拌棒の前記交換部と前記既存部との対向面には凹凸が嵌め合わされて形成された凹凸嵌合部が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載のシールド掘進機。
【請求項5】
前記第1の攪拌棒の前記交換部の前記対向面には凸部が設けられ、前記既存部の前記対向面には前記交換部の前記凸部が嵌合される凹部が設けられていることを特徴とする請求項4記載のシールド掘進機。
【請求項6】
前記第1の攪拌棒の前記既存部の外周には攪拌翼が設けられており、前記攪拌翼の先端部は前記第1の攪拌棒の前記交換部に側面視で重ならないことを特徴とする請求項2~5の何れか一項に記載のシールド掘進機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機に関し、例えば、シールド掘進機のチャンバ内において掘削土砂と添加材等とを攪拌し混合する攪拌棒の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、その前面に設けられたカッタ盤を地山の切羽に押し当てて回転させながら前進することにより地山に掘削坑を形成する掘削機器である。このシールド掘進機においては、掘削土砂と添加材および水との混錬を促進し、掘削土砂の付着や堆積を防ぐためにカッタヘッドの裏面とこれに対向する隔壁面との各々に攪拌棒を設けている。
【0003】
このようなシールド掘進機については、例えば、特許文献1に記載があり、シールド掘進機のカッタヘッドの裏面と隔壁面との各々に練混ぜ翼と称する攪拌棒を設けることにより、カッタヘッドを回転させるとシールド掘進機のチャンバ内に入り込んだ掘削土砂と添加材とが攪拌棒によって攪拌され混ぜ合わされる構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-21340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シールド掘進機においては、掘削の開始から終了までの掘削途中において、基本的に上記攪拌棒を交換することなく掘削処理を実施しているが、例えば、掘削対象の地盤に巨礫等が含まれていると、その礫が攪拌棒に衝突すること等に起因して攪拌棒が曲がってしまったり、摩耗してしまったりする結果、攪拌棒の攪拌混合の性能が低下してしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、シールド掘進機の攪拌棒の性能が低下することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のシールド掘進機は、機器本体の周方向に沿って回転自在の状態で前記機器本体の進行方向の前面に支持されたカッタ盤と、前記カッタ盤の裏面に対向して前記機器本体の開口部を塞ぐように設けられた隔壁部と、前記カッタ盤の裏面と前記隔壁部の前面との間に設けられたチャンバと、前記チャンバ内に入り込んだ掘削土砂と添加材とを攪拌して混合する攪拌手段と、を備え、前記攪拌手段は、前記隔壁部の前面に設けられた第1の攪拌棒と、前記カッタ盤の裏面において前記カッタ盤が回転したときに前記第1の攪拌棒に衝突しない位置に設けられた第2の攪拌棒と、を備え、前記第1の攪拌棒および前記第2の攪拌棒の各々の先端部は、側面視で重なるように前記チャンバに向かって突出しており、前記第1の攪拌棒は、該第1の攪拌棒の先端側に位置して交換可能となった交換部と、前記交換部と接合された前記隔壁部側の既存部とを有し、前記第1の攪拌棒の前記交換部の長さは、前記第1の撹拌棒と前記第2の攪拌棒とが互いに側面視で重なっている部分の長さである重なり長さより長い、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の本発明のシールド掘進機は、上記請求項1記載の発明において、前記第1の攪拌棒の前記交換部と前記既存部とは溶接されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の本発明のシールド掘進機は、上記請求項2記載の発明において、前記第1の攪拌棒の前記交換部と前記既存部とは相互に同一の径方向断面とされるとともに、前記第1の攪拌棒の外周において前記交換部と前記既存部との境界に、前記第1の攪拌棒の中心軸に向かって窪む溶接用の溝を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の本発明のシールド掘進機は、上記請求項2または3記載の発明において、前記第1の攪拌棒の前記交換部と前記既存部との対向面には凹凸が嵌め合わされて形成された凹凸嵌合部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の本発明のシールド掘進機は、上記請求項4記載の発明において、前記第1の攪拌棒の前記交換部の前記対向面には凸部が設けられ、前記既存部の前記対向面には前記交換部の前記凸部が嵌合される凹部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の本発明のシールド掘進機は、上記請求項2~5の何れか一項に記載の発明において、前記第1の攪拌棒の前記既存部の外周には攪拌翼が設けられており、前記攪拌翼の先端部は前記第1の攪拌棒の前記交換部に側面視で重ならないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シールド掘進機の攪拌棒の性能が低下することを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態である泥土圧シールド掘進機の内部を側面から透かして見せた構成図である。
図2】(a)は図1の泥土圧シールド掘進機のカッタヘッドの正面図、(b)は図1の泥土圧シールド掘進機の位置Aを矢印で示す方向から見た構成図である。
図3図1の泥土圧シールド掘進機のカッタヘッドの正面図である。
図4図1の泥土圧シールド掘進機の先端部の要部拡大断面図である。
図5図4の泥土圧シールド掘進機の練混ぜ棒の要部拡大側面図である。
図6】(a)は交換部を有する練混ぜ棒の一部破断要部側面図、(b)は図6(a)の練混ぜ棒の正面図、(c)は図6(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図、(d)は図6(c)の破線で囲んだ箇所の拡大断面図である。
図7】(a)は交換部を有する練混ぜ棒の変形例の一部破断要部側面図、(b)は図7(a)の練混ぜ棒の正面図、(c)は図7(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図である。
図8】(a)は交換部を有する練混ぜ棒の他の変形例の一部破断要部側面図、(b)は図8(a)の練混ぜ棒の正面図、(c)は図8(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図である。
図9】交換部を有する練混ぜ棒のさらに他の変形例の要部拡大側面図である。
図10】(a)は交換部を有する練混ぜ棒の変形例の一部破断要部側面図、(b)は図10(a)の練混ぜ棒の正面図、(c)は図10(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図、(d)は図10(c)の練混ぜ棒の分解断面図である。
図11】(a)は交換部を有する練混ぜ棒の他の変形例の一部破断要部側面図、(b)は図11(a)の練混ぜ棒の正面図、(c)は図11(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図、(d)は図11(c)の破線で囲んだ箇所の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
図1は本実施の形態の泥土圧シールド掘進機の内部を側面から透かして見せた構成図、図2(a)は図1の泥土圧シールド掘進機のカッタヘッドの正面図、図2(b)は図1の泥土圧シールド掘進機の位置Aを矢印で示す方向から見た構成図である。
【0019】
本実施の形態の泥土圧シールド掘進機1は、カッタヘッド(カッタ盤)2により掘削された土砂をカッタヘッド2と機器本体3との間のチャンバCR内に充満させ、これに添加材を注入して混錬することにより土砂を塑性流動性(自由に変形および移動できる性質)および止水性の高い泥土にし、その土圧により切羽の安定性を図りながら掘削坑を構築する掘削機器である。
【0020】
特に限定されるものではないが、泥土圧シールド掘進機1の掘削外径は、例えば5900mm程度、機長は、例えば7140mm程度である。また、泥土圧シールド掘進機1の運転は、その後方の後続台車SB内の運転室内でオペレータにより制御される。また、その運転室内に設けられた制御部Cにより泥土圧シールド掘進機1の全体の動作が制御される。この制御部Cは、運転室内に設けられた表示部Dに電気的に接続されており、表示部Dには、制御部Cから送られた各種情報が表示される。
【0021】
カッタヘッド2は、地山の切羽を掘削する部材であり、機器本体3の前面に機器本体3の周方向に沿って回転自在の状態で設置されている。このカッタヘッド2には、例えば、円盤状のスポーク型が採用されている。すなわち、図2(a)に示すように、カッタヘッド2は、中央のハブ部2aと、ハブ部2aから外周に向かって放射状に延びる6本のスポーク部2bと、スポーク部2bの延在方向の中途部同士を結ぶ中間リング部2cと、スポーク部2bの先端部同士を結ぶ外周リング部2dと、これらの部材間に形成された貫通孔2eとを備えている。このように本実施の形態においては、カッタヘッド2の一例として開口率の大きなスポーク型を採用することにより、カッタヘッド2と機器本体3との間の室内に礫を極力割らずに取り込むことができる。
【0022】
カッタヘッド2の掘削面には、複数のカッタビット(以下、単にビットという)4a~4dが設置されている。カッタヘッド2の中央のハブ部2aには、センタービットと称するビット4aが設置されている。また、各スポーク部2bには、複数のビット4bが規則的に並んで設置されている。なお、ハブ部2aには、コーンヘッド型のローラビット等のような他の掘削部材が設置される場合もある。また、スポーク部2bには、ビット4bの他に、ローラビット等のような他の掘削部材が設置される場合もある。
【0023】
図1および図2(a)に示すように、外周リング部2dにおいて切羽側の前面には、複数のビット4cがその刃を外周側に向けた状態で並んで装着されている。また、外周リング部2dの外周面には、例えば、コピービットと称する2個のビット4dが対極となるように設置されている。このビット4dは、急曲線施工時の余掘りや泥土圧シールド掘進機1の姿勢制御等を行う役割を備えている。
【0024】
また、図2(a)に示すように、ハブ部2aおよびスポーク部2bには、添加材注入部5a1,5a2,5a3,5a4が設けられている。これらの添加材注入部5a1~5a4は、例えばベントナイト系の添加材のような作泥土材をカッタヘッド2の前面の切羽に向けて注入する構成部であり、カッタヘッド2の正面内の異なる回転軌跡上に分散された状態で配置されている。これにより、添加材の注入制御をより多様化させることができるので、掘削土砂の塑性流動化をより精度良く効率的に行うことができる。また、添加材注入部5a2と、添加材注入部5a3,5a4とは、中央の添加材注入部5a1を挟んで左右に離れて配置されている。これにより、添加材をカッタヘッド2の前面内においてより広い範囲に行き渡らせることができる。なお、添加材注入部5a1~5a4の各々から注入される添加材には、ベントナイト系の添加材に代えて気泡材を用いてもよいし、ベントナイト系の添加材と気泡材との両方を用いてもよい。
【0025】
中間リング部2cにおいて隣接するスポーク部2b,2b間の中央には、制限突起2fが設けられている。カッタヘッド2で掘削された土砂は貫通孔2eを通じてチャンバCR(図1参照)内に取り込まれるが、制限突起2fは、貫通孔2eの開口面積を規制することで、地中の巨礫や玉石等が貫通孔2eを通じてチャンバCR内に入り込むのを規制する部分である。この制限突起2fの表面にもビット4bが設けられている。
【0026】
一方、機器本体3は、図1に示すように、ガーダー部の前胴プレート3aと、その後方のテール部の後胴プレート3bとを備えている。前胴プレート3aおよび後胴プレート3bは、例えば円筒状の鋼製板により形成されており、機器本体3の外形を形成するとともに、機器本体3の内部に中空空間を形成する外装体である。前胴プレート3aと後胴プレート3bとは、前胴プレート3aの後端側において後胴プレート3bの先端部分が前胴プレート3aの内周面に接した状態で入り込むことで係合されている。
【0027】
前胴プレート3aの前面側において、その前面から機器本体3の内方に後退した位置には、機器本体3内の中空空間を切羽側と機内側とに分ける隔壁板(隔壁部)7が設けられている。この隔壁板7よりも切羽側(すなわち、上記カッタヘッド2と隔壁板7との間の空間)には上記チャンバCRが設けられ、隔壁板7よりも機内側には、添加材注入部5bと、カッタ駆動体8と、中折れジャッキ9aと、シールドジャッキ9bと、スクリューコンベア10とが設けられている。
【0028】
チャンバCRは、カッタヘッド2により掘削された土砂等が取り込まれる空間である。このチャンバCR内において、隔壁板7の前面にはチャンバCR内に突出する円柱状等の練混ぜ棒(攪拌手段、第1の攪拌棒)15が設けられている。すなわち、練混ぜ棒15は隔壁板7に固定され不動である。
【0029】
一方、カッタヘッド2の裏面にはチャンバCR内に突出する円柱状等の練混ぜ棒(攪拌手段、第2の攪拌棒)16R(回転移動側)と三角柱状等の練混ぜ翼16Wとが設けられている。すなわち、練混ぜ棒16Rおよび練混ぜ翼16Wはカッタヘッド2に固定されカッタヘッド2の回転とともに回転移動するようになっている。
【0030】
これらの練混ぜ棒15,16Rおよび練混ぜ翼16Wは、カッタヘッド2が回転するとチャンバCR内に入り込んだ土砂とチャンバCR内に注入された添加材とを混合するとともに撹拌する役割を備えている。なお、練混ぜ棒15から添加材を注入させるようにしてもよい。
【0031】
添加材注入部5bは、機器本体3の外回りやチャンバCR内に向けて添加材を注入する部分であり、添加材注入部5bの注入口を機器本体3の外部に表出させた状態で隔壁板7の外周近傍に設けられている。添加材注入部5bから注入される添加材には、例えばベントナイト系の添加材のような作泥土材が使用される。なお、添加材注入部5bから注入される添加材には、ベントナイト系の添加材に代えて気泡材を用いてもよいし、ベントナイト系の添加材と気泡材との両方を用いてもよい。
【0032】
カッタ駆動体8は、カッタヘッド2を回転させる駆動源である。ここでは、カッタ駆動方式として中間支持駆動方式が例示されており、カッタ駆動体8は、図1に示すように、カッタヘッド2の正面内の中央と外周とのほぼ中央の位置に、カッタヘッド2の周方向に沿って複数個並んで配置されている。なお、符号8TAはトルクアームを示している。
【0033】
中折れジャッキ9aは、前胴プレート3aと後胴プレート3bとを連結するとともに、泥土圧シールド掘進機1の推進方向を修正する機器であり、図1に示すように、機器本体3内において前胴プレート3aと後胴プレート3bとの境界を跨ぐ位置に、泥土圧シールド掘進機1の周方向に沿って複数個並んで配置されている。この中折れジャッキ9aに圧油を供給し前胴プレート3aと後胴プレート3bとを予め決められた方向および角度に屈折させた状態で泥土圧シールド掘進機1を推進することにより、泥土圧シールド掘進機1の推進方向を制御することが可能になっている。
【0034】
シールドジャッキ9bは、機器本体3の後方に設置されたセグメントSGに反力をとって泥土圧シールド掘進機1を前進させるための推進力を発生させる機器であり、図1に示すように、機器本体3内において前胴プレート3aと後胴プレート3bとの境界を跨ぐ位置に、図2(b)に示すように、泥土圧シールド掘進機1の周方向に沿って複数個並んで配置されている。
【0035】
スクリューコンベア10は、チャンバCR内に取り込まれた土砂を機外に排出するための機器であり、図1に示すように、隔壁板7を貫通してチャンバCR内に配置された土砂取込端部10aから機器本体3の後方に配置された排出後端部10bに向かって斜め上向きに連続的に延在した状態で設けられている。なお、特に限定されるものではないが、スクリューコンベア10の外径は、例えば、850mm程度である。
【0036】
このスクリューコンベア10としては、例えば、リボン式のスクリューコンベアが使用されている。すなわち、スクリューコンベア10の管内には回転軸を持たない螺旋状のブレード10cが回転自在の状態で設置されている。回転軸を持つスクリューコンベアの場合は礫等により閉塞し易いのに対して、リボン式のスクリューコンベア10の場合は搬送可能な礫等の最大径を搬送路の半径以上とすることができるので、回転軸を持つスクリューコンベアでは搬送できない大きな礫等をも搬送することができる。このため、スクリューコンベア10によって巨礫を排出することができるので、チャンバCR内に巨礫を極力割らずに取り込むことができる。
【0037】
このようなスクリューコンベア10の後方の排出端部10bには排土管(図示せず)が連結されており、スクリューコンベア10によって排出端部10bに搬送された土砂は、排土管を通じてズリ搬出台車(図示せず)等に搬送されるようになっている。なお、特に限定されるものではないが、排土管の外径は、例えば、600mm程度、長さは、例えば、30m程度である。
【0038】
また、本実施の形態の泥土圧シールド掘進機1は、図示しない土圧検出部および温度センサ等のようなセンサ部を備えている。土圧検出部は、チャンバCR内の泥土による圧力を検出するセンサ部であり、土圧検出面をチャンバCR内に向けた状態で設置されている。この土圧検出部によりチャンバCR内の泥土圧を計測することができるとともに、その計測値が予め決められた値の範囲になるように管理することによって切羽の安定性を図りながら掘削処理を進めることができる。
【0039】
また、温度センサは、掘削土砂の温度(以下、土砂温度という)を検出するセンサ部であり、カッタヘッド2の正面内および外周面内に設置されている。温度センサは、例えば、シース型熱電対により構成されている。このシース型熱電対で構成される温度センサは、故障に強い上、場所をとらず安価なので、カッタヘッド2に複数配置することができる。このため、カッタヘッド2の前面および外周の土砂温度の測定精度を向上させることができる。この複数の温度センサは、カッタヘッド2の正面内において異なる回転軌跡上(すなわち、カッタヘッド2の径方向の異なる位置)に分散された状態で配置されている。
【0040】
また、温度センサは、上記した制御部C(図1参照)に電気的に接続されている。そして、制御部Cにおいては、土砂温度をリアルタイムで計測するとともに、温度センサから送信された温度情報に基づいて、カッタヘッド2の前面内および外周面内の温度分布をグラフ化(可視化)し、さらに、添加材の注入条件を調整するようになっている。
【0041】
このような本実施の形態の泥土圧シールド掘進機1は、特に、巨礫(特に限定されるものではないが、例えば、直径が600mm程度)が混在する玉石混じり砂礫層や玉石層を含む地山を掘削する場合に好適であるが、巨礫が混在しない玉石混じり砂礫層や玉石層あるいは通常の砂礫層に適用することもできる。
【0042】
次に、本実施の形態の泥土圧シールド掘進機1の練混ぜ棒15,16Rについて図3図6を参照して説明する。
【0043】
図3図1の泥土圧シールド掘進機のカッタヘッドの正面図である。なお、図3においてはカッタヘッド2の裏面側の練混ぜ棒15,16Rおよび練混ぜ翼16W等を透かして見せている。また、図3は正面図であるが図面を見易くするため練混ぜ棒15にハッチングを付した。
【0044】
図3に示すように、練混ぜ棒15と練混ぜ棒16Rとは、カッタヘッド2が回転したときに互いに衝突しないように設置されている。すなわち、カッタヘッド2の径方向における練混ぜ棒15の設置位置と、カッタヘッド2の径方向における練混ぜ棒16Rの設置位置とは互いに異なっている。ここでは、例えば、カッタヘッド2の径方向において2個の練混ぜ棒15,15の間に1個の練混ぜ棒16Rが設置されている。
【0045】
また、図4図1の泥土圧シールド掘進機の先端部の要部拡大断面図、図5図4の泥土圧シールド掘進機の練混ぜ棒の要部拡大側面図である。なお、図4は断面図であるが図面を見易くするためビットおよびハッチングを省略した。
【0046】
図4および図5に示すように、練混ぜ棒15と、練混ぜ棒16Rとは、その各々の先端が側面視で部分的に重なる位置まで延在している。練混ぜ棒15は、先端側の交換部15aと、基端(脚部)側の既存部15bとを有しており、練混ぜ棒15の先端側を交換することが可能な構成となっている。
【0047】
ここで、練混ぜ棒15の先端側を交換することができない場合、例えば、掘削対象の地盤に巨礫等が含まれていると、その礫が練混ぜ棒15に衝突すること等に起因して練混ぜ棒15が曲がってしまったり、摩耗してしまったりする場合がある。特に、カッタヘッド2に固定された練混ぜ棒16Rはカッタヘッド2の回転とともに移動するので礫等が衝突したときに衝撃を逃がすことができ損傷や摩耗が比較的生じ難いのに対して隔壁板7に固定された練混ぜ棒15は礫等が衝突したときに衝撃を逃がすことができず損傷や摩耗等が生じ易く、練混ぜ棒15の攪拌混合の性能が低下するという課題がある。
【0048】
これに対して本実施の形態においては、練混ぜ棒15の先端の交換部15aが曲がってしまったり、摩耗してしまったりしたら、その交換部15aを取り外して新しいものに交換することができるので、練混ぜ棒15の性能が低下してしまうのを防止することができる。ただし、練混ぜ棒16Rの先端側も練混ぜ棒15と同様に交換可能な構成にしてもよい。また、練混ぜ棒15,16Rの両方の先端側を交換可能な構成にしてもよい。
【0049】
なお、本願において、練混ぜ棒15や練混ぜ棒16Rの「先端側」とは、先端を含む所定の長さ部分を意味している。
【0050】
図5に示すように、練混ぜ棒15の交換部15aの長さL1は、練混ぜ棒15,16Rが互いに側面視で重なっている部分の長さ(以下、重なり長さという)L2より長くなっている。練混ぜ棒15の損傷や摩耗等は、練混ぜ棒15,16Rが互いに側面視で重なっている部分で生じ易いので、仮に、練混ぜ棒15の交換部15aの長さL1を、上記重なり長さL2より短くしてしまうと、重なり長さL2の範囲内に練混ぜ棒15の既存部15bが入ってしまい既存部15bに損傷や摩耗等が生じてしまう。これに対して、練混ぜ棒15の交換部15aの長さL1を、上記重なり長さL2より長くすることにより、重なり長さL2の範囲内に既存部15bが入らないので、既存部15bに損傷や摩耗等が生じるのを抑制または防止することができる。
【0051】
また、図6(a)は交換部を有する練混ぜ棒の一部破断要部側面図、図6(b)は図6(a)の練混ぜ棒の正面図、図6(c)は図6(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図、図6(d)は図6(c)の破線で囲んだ箇所の拡大断面図である。
【0052】
図6(a),(c),(d)に示すように、練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとは、練混ぜ棒15の外周において交換部15aと既存部15bとの境界に形成された接合部Jによって接合されている。図6(c),(d)に示すように、接合部Jは、練混ぜ棒15の外周において交換部15aと既存部15bとの境界に、練混ぜ棒15の中心軸に向かって断面視でV字状に窪むように形成された溝Vの部分を溶接することにより形成されている。このように溝Vを設けることにより、練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとの溶接を容易にすることができるとともに、交換部15aと既存部15bとの接合強度を向上させることができる。
【0053】
また、図6(a),(c)に示すように、練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとは凹凸が嵌め合わされることにより形成された凹凸嵌合部Fが設けられている。ここでは、例えば、練混ぜ棒15の交換部15aの対向面の中央に1個の凸部CPが設けられ、既存部15bの対向面の中央に1個の凹部DPが設けられており、交換部15aの凸部CPが既存部15bの凹部DPに嵌め合わされている。これにより、練混ぜ棒15の中心軸に交差する横方向からの力に対して練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとの接合部の強度を向上させることができる。ただし、凸部CPおよび凹部DPの位置は、各々の対向面の中央に限定されるものではなく、各々の対向面の中央からずらしてもよい。
【0054】
また、図7(a)は交換部を有する練混ぜ棒の変形例の一部破断要部側面図、図7(b)は図7(a)の練混ぜ棒の正面図、図7(c)は図7(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図である。
【0055】
この変形例においては、図7に示すように、練混ぜ棒15の交換部15aの対向面に2個の凸部CPが設けられ、既存部15bの対向面に2個の凹部DPが設けられており、交換部15aの2個の凸部CPが既存部15bの2個の凹部DPに嵌め合わされている。これにより、練混ぜ棒15の中心軸に交差する横方向からの力に対して練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとの接合強度をさらに向上させることができる。
【0056】
また、図8(a)は交換部を有する練混ぜ棒の他の変形例の一部破断要部側面図、図8(b)は図8(a)の練混ぜ棒の正面図、図8(c)は図8(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図である。
【0057】
この変形例においては、図8に示すように、練混ぜ棒15の交換部15aの対向面に1個の凸部CPと1個の凹部DPとが設けられ、既存部15bの対向面に1個の凹部DPと1個の凸部CPとが設けられており、その交換部15aの凸部CPが既存部15bの凹部DPに嵌め合わされているとともに、交換部15aの凹部DPに既存部15bの凸部CPが嵌め合わされている。これにより、練混ぜ棒15の中心軸に交差する横方向からの力に対して練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとの接合強度を向上させることができる上、練混ぜ棒15の交換部15aの凸部CPおよび既存部15bの凸部CPの加工を容易にすることができる。
【0058】
また、図9は交換部を有する練混ぜ棒のさらに他の変形例の要部拡大側面図である。この変形例においては、練り混ぜ棒15の既存部15bの外周には翼部WPが設けられている。翼部WPの先端部は、練混ぜ棒15の交換部15aに側面視で重ならないように交換部15aの手前で終端している。これにより、練混ぜ棒15に翼部WPが設けられている場合においても練混ぜ棒15の交換部15aを容易に交換することができる。
【0059】
なお、練混ぜ棒16Rの側面に翼部を設けてもよい。この場合、練混ぜ棒15,16Rの重なり部で練混ぜ棒16Rの翼部が練混ぜ棒15に接触しないように翼部を設ける。また、練混ぜ棒16Rの先端側を交換可能とする場合は、練混ぜ棒15と同様に、練混ぜ棒16Rの翼部の先端部が練混ぜ棒16Rの交換部に側面視で重ならないようにする。
【0060】
次に、図1の泥土圧シールド掘進機1による泥土圧シールド工法の一例について説明する。
【0061】
本実施の形態の泥土圧シールド掘進機1においては、カッタヘッド2を切羽に押し付け回転させながら機器本体3を推し進めることで地中に掘削抗を構築する。ここでは、例えば、粒径2mm未満の細粒(砂分)が20%を超えず、粒径2mm以上の礫石(礫分)が80%を超える地山が掘削対象とされている。
【0062】
この掘削作業に際して、カッタヘッド2で掘削した土砂に上記添加材を添加するとともに、カッタヘッド2の回転により練混ぜ棒16R等を回転移動させて練混ぜ棒15,16Rにより土砂と添加材とを撹拌し混合して掘削土砂を塑性流動性と不透水性を持つ泥土に変換する。そして、その泥土をチャンバCR内およびスクリューコンベア10内に充満させ、その充満した泥土をシールドジャッキ9bの推進力により加圧して泥土圧を発生させ、この泥土圧を切羽の土圧に対抗させることで切羽の安定性を維持する。
【0063】
また、例えば、カッタヘッド2の回転速度を一定にし、シールドジャッキ9bの伸長速度やスクリューコンベア10の回転速度を調整し、チャンバCR内の泥土圧を上記土圧検出部により測定しこれが一定になるようにすることで切羽の安定性を維持する。
【0064】
添加材として加えるベントナイト系の添加材(作泥土材)は、土砂の塑性流動性や不透水性を高める作用を有する上、巨礫を破砕した礫や玉石等の礫分を掘削土砂とともに包み込んで当該礫分が掘削土砂から分離しないように掘削土砂と礫分との一体性を向上させる作用を有している。
【0065】
一方、添加材として加える気泡材は、上記礫分がカッタヘッド2や隔壁板7に付着するのを抑制する分離作用を有する上、ベントナイト系の添加材では得られないクッション作用により掘削土砂や作泥土材の圧縮性を高めてチャンバCR内やスクリューコンベア10内で礫分が転がり移動するのを抑制し、また、転がり移動したとしてもクッション作用により泥土圧の急激な変動を抑制する作用を有している。
【0066】
このため、チャンバCR内への取り込みが好ましくない巨礫が混在する玉石混じり砂礫層や玉石層が存在する地山を掘削する場合でも、泥土圧を安定化することができ、切羽の安定性を維持できる上、スクリューコンベア10による礫分の排土を円滑に移動させて閉塞の発生を防止でき、噴出が発生するのを防止することができる。
【0067】
ここで、泥土圧シールド掘進機1による掘削施工の際に、練混ぜ棒15の先端部に礫等の衝突に因り損傷や摩耗等が生じた場合、練混ぜ棒15の性能が低下し、掘削土砂の塑性流動性を低下させてしまう。そこで、本実施の形態においては、練混ぜ棒15の先端部に損傷や摩耗等が生じた場合には、泥土圧シールド掘進機1の掘削動作を停止し、練混ぜ棒15の先端側の交換部15aを新しいものに交換してから再度、泥土圧シールド掘進機1の掘削動作を開始する。
【0068】
これにより、泥土圧シールド掘進機1の練混ぜ棒15の性能の低下を防止することができるので、泥土圧シールド掘進機1による掘削施工の開始から終わりまで掘削土砂の塑性流動性を維持することができる。このため、掘削施工の開始から終わりまで、泥土圧シールド掘進機1のカッタトルクを低減することができる。また、掘削土砂による閉塞および噴発を抑制または防止することができるので、閉塞および噴発に因る掘削作業の中断回数を低減することができる。したがって、泥土圧シールド掘進機1による掘削動作をより効率的に実施することができるので、掘削工期を短縮することができ、巨礫を含む地盤であっても長距離施工を推進することができる。
【0069】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0070】
前記実施の形態においては、練混ぜ棒15を2本、練混ぜ棒16Rを1本、それぞれ設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく種々変更可能である。
【0071】
また、前記実施の形態においては、練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとの対向面に凹部DPおよび凸部CPを設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図10に示すようにしてもよい。図10(a)は交換部を有する練混ぜ棒の変形例の一部破断要部側面図、(b)は図10(a)の練混ぜ棒の正面図、(c)は図10(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図、(d)は図10(c)の練混ぜ棒の分解断面図である。
【0072】
この変形例においては、練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとの各々の対向面に2個ずつ凹部DPを設け、その各々の凹部DP内に、別体で用意した円柱棒状の2個の埋込ロッドRPを嵌め込むことにより交換部15aと既存部15bとを嵌合している。これにより、練混ぜ棒15の中心軸に交差する横方向からの力に対して練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとの接合強度を向上させることができる上、練混ぜ棒15の交換部15aおよび既存部15bの加工を容易にすることができる。ただし、凹部DPを1個にし、埋込ロッドRPを1個にしてもよい。この場合は、凹部DPおよび埋込ロッドRPの正面視での形状を六角形等のような多角形にしてもよい。これにより、交換部15aの周方向に沿って加わる力に対して強化することができる。
【0073】
また、図11(a)は交換部を有する練混ぜ棒の他の変形例の一部破断要部側面図、(b)は図11(a)の練混ぜ棒の正面図、(c)は図11(a)の練混ぜ棒を中心軸に沿って切断したときの要部断面図、(d)は図11(c)の破線で囲んだ箇所の要部拡大断面図である。
【0074】
この変形例においては、練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとの各々の対向面に1個ずつ凹部DPを設け、その各々の凹部DPの内壁面に雌ネジを設ける一方、側面に雄ネジを設けた円柱棒状の埋込ロッドRsPを別体で用意し、その雄ネジを持つ埋込ロッドRsPを交換部15aおよび既存部15bの雌ネジを持つ凹部DP内に螺合することにより交換部15aと既存部15bとを螺合している。この場合の練混ぜ棒15の組立に際しては、既存部15bの凹部DP内に埋込ロッドRsPを螺合した後、その埋込ロッドRsPの突出部に交換部15aの凹部DPを合わせてから交換部15aを回転させて埋込ロッドRsPの突出部を交換部15aの凹部DP内に螺合すればよい。これにより、練混ぜ棒15の中心軸に交差する横方向からの力に対して練混ぜ棒15の交換部15aと既存部15bとの接合強度を向上させることができる。
【0075】
また、前記実施の形態においては、リボンスクリュー型のスクリューコンベアを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、リボン型と軸付き型とを組み合わせたスクリューコンベアを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上の説明では、本発明を中間支持駆動方式の泥土圧シールド掘進機に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばセンターシャフト駆動方式や外周支持駆動方式の泥土圧シールド掘進機等、他のシールド掘進機にも適用できる。
【符号の説明】
【0077】
1 泥土圧シールド掘進機
2 カッタヘッド
2a ハブ部
2b スポーク部
2c 中間リング部
2d 外周リング部
2e 貫通孔
2f 制限突起
3 機器本体
4a~4c ビット
4d コピービット
5a1~5a4 添加材注入部
5b 添加材注入部
7 隔壁板
15 練混ぜ棒
15a 交換部
15b 既存部
16R 練混ぜ棒
16W 練混ぜ翼
C 制御部
D 表示部
CR チャンバ
J 接合部
V 溝
CP 凸部
DP 凹部
F 凹凸嵌合
WP 翼部
RP,RsP 埋込ロッド
【要約】
【課題】シールド掘進機の攪拌棒の性能が低下することを防止することができる。
【解決手段】泥土圧シールド掘進機1の機器本体3の隔壁板7に設けられた練混ぜ棒15は、その先端側に交換可能な状態で設けられた交換部15aと、その交換部15aが溶接された既存部15bとを有している。これにより、泥土圧シールド掘進機1による掘削施工時に練混ぜ棒15の先端部に損傷や摩耗等が生じたら交換部15aを取り外して新しいものに交換することができる。このため、練混ぜ棒15,16Rにより土砂と添加材とを良好に攪拌し混合することができるので掘削土砂の塑性流動性を維持することができる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11