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特許7145578車両のハイマウントストップランプ装置、およびガラスマウント装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】車両のハイマウントストップランプ装置、およびガラスマウント装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/44 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
B60Q1/44 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018173144
(22)【出願日】2018-09-16
(65)【公開番号】P2020044892
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100180747
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 剛彦
(72)【発明者】
【氏名】石渡 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 巧
(72)【発明者】
【氏名】入江 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】森 清輝
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-001292(JP,A)
【文献】実開平04-116248(JP,U)
【文献】特開2017-171228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のリアガラスにマウントされるハイマウントストップランプ装置であって、
ブラケット挟持板部を有し、前記リアガラスに貼着される複数のブラケットと、
複数の前記ブラケットの前記ブラケット挟持板部と重なる複数のボディ挟持板部を有するボディと、
複数の前記ブラケット挟持板部と複数の前記ボディ挟持板部とを挟持する複数のクリップと、
を有し、
複数の前記ブラケットは、少なくとも2つが前記リアガラスにおいて前記車両の車幅方向に沿って並べて貼着され、
前記ブラケット挟持板部、前記ボディ挟持板部および前記クリップは、前記車両にマウントした状態において前記車両の前後方向に幅広となるように形成され、
前記車両の前後方向に幅広の前記クリップは、前記車両の前後方向に幅広となるように重ねられている前記ブラケット挟持板部および前記ボディ挟持板部を、前記車両の車幅方向から挟持する、
車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項2】
前記ボディには、前記リアガラスにマウントされた状態での前上部分に発光ユニットが設けられるとともに後下部分に遮光面が設けられ、
複数の前記ボディ挟持板部は、前記発光ユニットについての車幅方向両側に2つで設けられる、
請求項1記載の、車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項3】
前記ボディは、ポリプロピレン樹脂で形成され、
前記ボディについての前記リアガラスとの接触部分には、オレフィン系エラストマで形成された周縁弾性部が射出成型により設けられる、
請求項1または2記載の、車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項4】
前記車両の前記リアガラスに貼着される前記ブラケットは、前記ブラケット挟持板部とともに、
前記車両の前後方向に並べて貼着される第一貼着部および第二貼着部と、
前記第一貼着部と前記第二貼着部との間において前記ブラケット挟持板部を、前記リアガラスから離間する位置に保持する第一脚部および第二脚部と、を有する、
請求項1から3のいずれか一項記載の、車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項5】
前記クリップは、
第一板部と第二板部とを連結部により微小間隔で連結するとともに、
前記第一板部の先端縁に沿って延在して前記第二板部の側へ突出する係合稜部および前記第二板部の先端縁に沿って延在して前記第一板部の側へ突出する係合稜部の中の少なくとも一方の係合稜部が形成され、
少なとも1つの前記係合稜部が前記ブラケット挟持板部または前記ボディ挟持板部と係合する、
請求項1から4のいずれか一項記載の、車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項6】
前記ブラケット挟持板部および前記ボディ挟持板部の中の少なくとも一方の挟持板部は、
前記係合稜部と係合する係合スリットが、前記車両の前後方向に沿って形成される、
請求項5記載の、車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項7】
前記係合稜部は、前記第一板部の先端縁に沿って形成され、前記ブラケット挟持板部に形成された前記係合スリットと係合する、
請求項6記載の、車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項8】
前記ボディは、車幅方向の両縁部分に、前記リアガラスにマウントされた状態で前記第一脚部、前記ブラケット挟持板部および前記第二脚部を収容する収容凹部、を有し、
前記ボディ挟持板部は、前記収容凹部に形成され、
前記クリップは、前記収容凹部へ向けて前記車両の車幅方向から操作されることにより、前記収容凹部において前記ボディ挟持板部と前記ブラケット挟持板部とを挟持する、
請求項4記載の、車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項9】
前記ボディは、前記収容凹部内へ突出する仮止フック部、を有する、
請求項8記載の、車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項10】
前記ボディは、前記収容凹部についての外縁部分に形成され、前記クリップの先端縁に沿って延在するように形成された係合稜部と係合する仮止凹部、を有する、
請求項8または9記載の、車両のハイマウントストップランプ装置。
【請求項11】
車両のガラスにマウントされるガラスマウント装置であって、
ブラケット挟持板部を有し、前記ガラスに貼着される複数のブラケットと、
複数の前記ブラケットの前記ブラケット挟持板部と重なる複数のボディ挟持板部を有するボディと、
複数の前記ブラケット挟持板部と複数の前記ボディ挟持板部とを挟持する複数のクリップと、
を有し、
複数の前記ブラケットは、少なくとも2つが前記ガラスにおいて前記車両の車幅方向に沿って並べて貼着され、
前記ブラケット挟持板部、前記ボディ挟持板部および前記クリップは、前記車両にマウントした状態において前記車両の前後方向に幅広となるように形成され、
前記車両の前後方向に幅広の前記クリップは、前記車両の前後方向に幅広となるように重ねられている前記ブラケット挟持板部および前記ボディ挟持板部を、前記車両の車幅方向から挟持する、
車両のガラスマウント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のハイマウントストップランプ装置、およびガラスマウント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、たとえばリアガラスにハイマウントストップランプ装置がマウントされることがある(特許文献1)。
このようにリアガラスにハイマウントストップランプ装置を直接にマウントすることにより、特許文献2のようにリアガラスの上側の車体にハイマウントストップランプ装置をマウントする場合と比べて、リアガラスに対するハイマウントストップランプ装置の取付位置精度を向上することができる。
ハイマウントストップランプ装置を車両の車体に取り付ける場合、ハイマウントストップランプ装置のボディについてのリアガラスとの接触部分には、前後方向に長尺な周縁弾性部を設ける必要がある。特にリアガラスやハイマウントストップランプ装置等の部品自体の寸法誤差や、リアガラスとハイマウントストップランプ装置との組付け位置の誤差をも吸収できるように、周縁弾性部は、前後方向においてさらに長く形成しなければならない。この場合、ボディがリアガラスと直接に当たったり擦れたりすることによる異音の発生を抑制できるが、たとえばボディおよび長尺の周縁弾性部に対して日射等による熱によってボディおよび長尺の周縁弾性部が経時的に垂れ下がるように変形したりすることにより、リアガラスから周縁弾性部が離間することがあり、その隙間からハイマウントストップランプ装置の強い光が室内へ漏れ出し易くなる。また、長尺の周縁弾性部を設ける必要があることから、リアガラスの上部などにおいて比較的目立つ位置にマウントされるハイマウントストップランプ装置の外観デザインが制限されてしまう。
これに対して、ハイマウントストップランプ装置のボディをリアガラスに直接にマウントする場合、ボディについてのリアガラスとの接触部分に設ける周縁弾性部は、前後方向に短く形成することができ、周縁弾性部を長尺に形成する場合のような上述した課題が生じ難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平06-092179号公報
【文献】特開2008-105585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ハイマウントストップランプ装置をリアガラスに直接にマウントする場合でも、ハイマウントストップランプ装置をリアガラスに対して強固に取り付けなければ、ハイマウントストップランプ装置のボディまたは周縁弾性部とリアガラスとの隙間から、ハイマウントストップランプ装置の強い光が室内へ漏れ出る可能性が残る。したがって、ハイマウントストップランプ装置のボディをリアガラスに直接にマウントする場合、特許文献1のように単にハイマウントストップランプ装置のボディをリアガラスに貼着させたブラケットにねじ止めする構造では、ねじ止め作業時のミスによってリアガラスを傷つける可能性があるため、ハイマウントストップランプ装置のボディをリアガラスに対して押し付けるようにボディとブラケットとの間にばね材を介在させる必要がある。
【0005】
このように、リアガラスに直接にマウントされるハイマウントストップランプ装置では、さらなる改善が求められている。
また、このような課題は、車両のリアガラスにマウントされるハイマウントストップランプ装置に限られず、車両のガラスにマウントされるガラスマウント装置に共通する課題であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両のハイマウントストップランプ装置は、車両のリアガラスにマウントされるハイマウントストップランプ装置であって、ブラケット挟持板部を有し、前記リアガラスに貼着される複数のブラケットと、複数の前記ブラケットの前記ブラケット挟持板部と重なる複数のボディ挟持板部を有するボディと、複数の前記ブラケット挟持板部と複数の前記ボディ挟持板部とを挟持する複数のクリップと、を有し、複数の前記ブラケットは、少なくとも2つが前記リアガラスにおいて前記車両の車幅方向に沿って並べて貼着され、前記ブラケット挟持板部、前記ボディ挟持板部および前記クリップは、前記車両にマウントした状態において前記車両の前後方向に幅広となるように形成され、前記車両の前後方向に幅広の前記クリップは、前記車両の前後方向に幅広となるように重ねられている前記ブラケット挟持板部および前記ボディ挟持板部を、前記車両の車幅方向から挟持する。
【0007】
好適には、前記ボディには、前記リアガラスにマウントされた状態での前上部分に発光ユニットが設けられるとともに後下部分に遮光面が設けられ、複数の前記ボディ挟持板部は、前記発光ユニットについての車幅方向両側に2つで設けられる、とよい。
【0008】
好適には、前記ボディは、ポリプロピレン樹脂で形成され、前記ボディについての前記リアガラスとの接触部分には、オレフィン系エラストマで形成された周縁弾性部が射出成型により設けられる、とよい。
【0009】
好適には、前記車両の前記リアガラスに貼着される前記ブラケットは、前記ブラケット挟持板部とともに、前記車両の前後方向に並べて貼着される第一貼着部および第二貼着部と、前記第一貼着部と前記第二貼着部との間において前記ブラケット挟持板部を、前記リアガラスから離間する位置に保持する第一脚部および第二脚部と、を有する、とよい。
【0010】
好適には、前記クリップは、第一板部と第二板部とを連結部により微小間隔で連結するとともに、前記第一板部の先端縁に沿って延在して前記第二板部の側へ突出する係合稜部および前記第二板部の先端縁に沿って延在して前記第一板部の側へ突出する係合稜部の中の少なくとも一方の係合稜部が形成され、少なとも1つの前記係合稜部が前記ブラケット挟持板部または前記ボディ挟持板部と係合する、とよい。
【0011】
好適には、前記ブラケット挟持板部および前記ボディ挟持板部の中の少なくとも一方の挟持板部は、前記係合稜部と係合する係合スリットが、前記車両の前後方向に沿って形成される、とよい。
【0012】
好適には、前記係合稜部は、前記第一板部の先端縁に沿って形成され、前記ブラケット挟持板部に形成された前記係合スリットと係合する、とよい。
【0013】
好適には、前記ボディは、車幅方向の両縁部分に、前記リアガラスにマウントされた状態で前記第一脚部、前記ブラケット挟持板部および前記第二脚部を収容する収容凹部、を有し、前記ボディ挟持板部は、前記収容凹部に形成され、前記クリップは、前記収容凹部へ向けて前記車両の車幅方向から操作されることにより、前記収容凹部において前記ボディ挟持板部と前記ブラケット挟持板部とを挟持する、とよい。
【0014】
好適には、前記ボディは、前記収容凹部内へ突出する仮止フック部、を有する、とよい。
【0015】
好適には、前記ボディは、前記収容凹部についての外縁部分に形成され、前記クリップの先端縁に沿って延在するように形成された係合稜部と係合する仮止凹部、を有する、とよい。
【0016】
本発明に係る車両のガラスマウント装置は、車両のガラスにマウントされるガラスマウント装置であって、ブラケット挟持板部を有し、前記ガラスに貼着される複数のブラケットと、複数の前記ブラケットの前記ブラケット挟持板部と重なる複数のボディ挟持板部を有するボディと、複数の前記ブラケット挟持板部と複数の前記ボディ挟持板部とを挟持する複数のクリップと、を有し、複数の前記ブラケットは、少なくとも2つが前記ガラスにおいて前記車両の車幅方向に沿って並べて貼着され、前記ブラケット挟持板部、前記ボディ挟持板部および前記クリップは、前記車両にマウントした状態において前記車両の前後方向に幅広となるように形成され、前記車両の前後方向に幅広の前記クリップは、前記車両の前後方向に幅広となるように重ねられている前記ブラケット挟持板部および前記ボディ挟持板部を、前記車両の車幅方向から挟持する。

【発明の効果】
【0017】
本発明では、ハイマウントストップランプ装置のボディは、ボディ挟持板部がリアガラスに貼着されるブラケットと重ねてクリップにより挟持されることにより、車両のリアガラスにマウントされる。しかも、少なくとも2つのブラケットは、リアガラスにおいて前記車両の車幅方向に沿って並べて貼着され、ボディは、車両の車幅方向において少なくとも2か所において車両のリアガラスにマウントされる。また、ブラケット挟持板部、ボディ挟持板部およびクリップは、車両にマウントした状態において車両の前後方向に幅広となるように形成され、車両の前後方向に幅広の前記クリップは、前記車両の前後方向に幅広となるように重ねられている前記ブラケット挟持板部および前記ボディ挟持板部を、前記車両の車幅方向から挟持する。
よって、ボディは、たとえば車両の車幅方向の2か所においてのみ車両のリアガラスにマウントされている状態であっても、ガラスに対して前後左右に傾き難くなるように安定した状態でしっかりとリアガラスにマウントされ得る。特に、ボディは、リアガラスにマウントされた状態での前上部分に設けられる発光ユニットについての車幅方向両側の2か所においてボディ挟持板部とブラケット挟持板部とがクリップにより挟持されているだけであっても、安定した状態でしっかりとリアガラスにマウントされ得る。前後方向に長さを有するボディは、安定した状態でしっかりとリアガラスに押し当てた状態でマウントされ得る。
その結果、本発明では、車両の走行中の振動や加速度によりハイマウントストップランプ装置から室内へ光が漏れ難くできる。ボディの後縁は、ガラスから離れないように固定されていなくとも、経時的に垂れ下がることが起き難くなる。
【0018】
また、本発明では、ボディは、ボディ挟持板部がブラケット挟持板部とともにクリップにより挟持されることにより、リアガラスにマウントされている。リアガラスにマウントしたボディには応力が作用しない。日射等による熱や発光ユニットの発熱がボディに作用しても、ボディに熱クリープが発生し難くなる。したがって、本発明では、ボディについてのリアガラスとの接触部分に、長期的なリアガラスの曇りの可能性が低い材料を用いた周縁弾性部を採用しつつ、周縁弾性部を射出成型工程においてボディと一体化することが可能になる。
【0019】
また、本発明では、ボディは、ボディ挟持板部がブラケット挟持板部と重なるようにリアガラスに押し付けるだけで、クリップを用いてリアガラスにマウントできる。これに対し、仮にたとえばリアガラスに貼着されているブラケットに対してボディをスライドして嵌める場合、ボディはリアガラスのガラス面に沿ってスライドされることになる。この場合、ボディに擦られたリアガラスのガラス面には、擦り傷が生じる可能性がある。本発明では、このような擦り傷を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態に係るハイマウントストップランプ装置が適用される自動車の説明図である。
図2図2は、図1の自動車のリアガラスにマウントされるハイマウントストップランプ装置の取付状態の説明図である。
図3図3は、図2のハイマウントストップランプ装置のカバー部材の斜視図である。
図4図4は、図3のカバー部材をリアガラスへマウントするためのブラケットおよびクリップの説明図である。
図5図5は、図3のカバー部材を、ブラケットおよびクリップによりリアガラスへマウントする作業工程の一例を説明するための模式的な説明図である。
図6図6は、図3のカバー部材に対して、ブラケットおよびクリップを装着させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るハイマウントストップランプ装置10が適用される自動車1の説明図である。
自動車1は、車両の一例である。
図1の自動車1は、車体2を有する。車体2は、乗員が乗る車室3を有する。
車体2には、車室3の周囲に、フロントガラス4、リアガラス5、左右のサイドガラス6、が取り付けられる。
リアガラス5は、車体2の後面部7に取り付けられる。リアガラス5は、ハッチバック式のリアゲートに設けられてもよい。
車室3に乗った運転手などは、これらのガラスを通じて、自動車1の周囲を目視により確認することができる。
【0023】
図2は、図1の自動車1のリアガラス5にマウントされるハイマウントストップランプ装置10の取付状態の説明図である。
図2のハイマウントストップランプ装置10は、発光ユニット11を収容するボディとしてのカバー部材20、リアガラス5に貼着されるブラケット30、を有する。
カバー部材20についてのリアガラス5との接触部分には、カバー部材20がリアガラス5と直接に当たって異音が発生したり、カバー部材20がリアガラス5と擦れることによりリアガラス5に擦り傷が生じたりしないように、周縁弾性部12が設けられる。
周縁弾性部12は、カバー部材20と射出成型工程により一体化するとよい。
【0024】
カバー部材20がリアガラス5に直接にマウントされることにより、カバー部材20をリアガラス5の上側の車体2に取り付ける場合よりも、リアガラス5に対して隙間が生じ難くなるように精度よく取り付けることができる。
しかも、カバー部材20をリアガラス5の上側の車体2に取り付ける場合よりも、周縁弾性部12についての前後方向の長さを短くできる。特に、リアガラス5がリアゲートなどに設けられている場合には車体2に対して開閉可能であるにもかかわらず、周縁弾性部12についての前後方向の長さを必要最小限に短くすることができる。その結果、走行中の振動や経時的な変形により、カバー部材20に対して周縁弾性部12が垂れ下がり難くできる。リアガラス5から周縁弾性部12が離間することにより生じる隙間から、ハイマウントストップランプ装置10の強い光が車室3へ漏れ出し易くなる。また、周縁弾性部12を長尺にする必要がないことから、ハイマウントストップランプ装置10の外観において周縁弾性部12が目立たなくできる。
しかしながら、ハイマウントストップランプ装置10のカバー部材20をリアガラス5に直接にマウントする場合であっても、カバー部材20をリアガラス5に対して強固に取り付けなければ、カバー部材20に取り付けられる周縁弾性部12とリアガラス5との隙間から、ハイマウントストップランプ装置10の強い光が車室3へ漏れ出る可能性が残る。したがって、ハイマウントストップランプ装置10のカバー部材20をリアガラス5に直接にマウントする場合には、単にカバー部材20をリアガラス5に貼着したブラケット30に対してねじ止めする構造では、ねじ止め作業時のミスによってリアガラスを傷つける可能性があるため、カバー部材20をリアガラス5に対して押し付けるように取り付ける必要がある。
この場合において、カバー部材20とブラケット30との間にばね材を介在させることが考えられる。しかしながら、このようにカバー部材20とブラケット30との間にばね材を介在させると、ばね材による応力がカバー部材20に常に作用し続けることになる。リアガラス5にマウントされるハイマウントストップランプ装置10では、発光ユニット11の熱や日射などにさらされる。その結果、カバー部材20には、熱クリープが生じる可能性があるポリプロピレン樹脂などを使用することができず、ポリカーボネートなどの耐熱性の高い樹脂材料を用いることになる。しかしながら、ポリカーボネートなどの耐熱性の高い樹脂材料でカバー部材20を形成する場合、オレフィン系エラストマ(TPO)などの高分子材料で形成される周縁弾性部12を、射出成型工程により一体化することができない。オレフィン系エラストマ(TPO)などの高分子材料で形成される周縁弾性部12は、ポリカーボネートなどの耐熱性の高い樹脂材料でカバー部材20から剥離される。このため、周縁弾性部12には、熱可塑性エラストマ(TPE)などの高分子材料を用いることになる。しかしながら、熱可塑性エラストマ(TPE)には揮発性がある。このため、リアガラス5と直接に接触する周縁弾性部12に熱可塑性エラストマ(TPE)を用いると、リアガラス5は長期的には曇ってしまうことになる。
このように、リアガラス5に直接にマウントされるハイマウントストップランプ装置10では、さらなる改善が求められている。
【0025】
図3は、図2のハイマウントストップランプ装置10のカバー部材20の斜視図である。
図3のカバー部材20は、基部21、遮光部22、2つの収容凹部23、2つの仮止フック部24、2つの仮止凹部25、を有する。カバー部材20は、たとえばポリプロピレン樹脂を用いて、射出成型により形成される。
【0026】
基部21は、カバー部材20についての前上部分であり、車幅方向に長尺に形成される。基部21には、車幅方向に長尺の発光ユニット11が取り付けられる。発光ユニット11の後面には、たとえば複数の高輝度LEDが配列される。
遮光部22は、車幅方向に長尺の基部21より後方へ延在する。遮光部22には、発光ユニット11の光を遮光するために遮光面26が形成される。
これにより、カバー部材20には、リアガラス5にマウントされた状態での前上部分に発光ユニット11が設けられ、後下部分に遮光面26が設けられる。
遮光部22は、リアガラス5との隙間を狭めるために、車幅方向において湾曲する。湾曲する遮光部22についての略U字型の外周縁には、周縁弾性部12が設けられる。
【0027】
周縁弾性部12は、たとえばオレフィン系エラストマで形成され、カバー部材20と一体的に形成される。
周縁弾性部12は、たとえばカバー部材20を射出成型する際に金型内に、周縁弾性部12の樹脂材料を収容させることにより、射出成型工程においてカバー部材20と一体的に形成してよい。
周縁弾性部12は、図2に示すようにカバー部材20をリアガラス5の内面にマウントした状態において、カバー部材20の遮光部22とリアガラス5との間に挟まれる。カバー部材20についてのリアガラス5との接触部分には、周縁弾性部12が設けられる。
【0028】
2つの収容凹部23は、基部21についての車幅方向両側である左右に設けられる。2つの収容凹部23は、発光ユニット11についての車幅方向両側に設けられる。
収容凹部23は、図2に示すようにカバー部材20をリアガラス5の内面にマウントした状態において、自動車1の前後方向に幅広となるように略立方体形状に形成される。収容凹部23には、ブラケット30の一部を収容する。
図3に示すように収容凹部23の下側には、挟持穴27が形成される。これにより、収容凹部23と挟持穴27との間に、カバー挟持板部28が形成される。カバー挟持板部28は、図3の姿勢において収容凹部23の底面となる。
【0029】
仮止フック部24は、収容凹部23と基部21との間に立設される。仮止フック部24の先端部分は、収容凹部23に収容されるブラケット30と上下方向で重なるように、収容凹部23へ向かって突出する。これにより、カバー部材20は、収容凹部23についてのカバー部材20の車幅方向中央側に立設される内側から、収容凹部23へ向かって突出する。
【0030】
仮止凹部25は、収容凹部23に収容されるブラケット30と上下方向で重ならないように、カバー挟持板部28についての外縁に沿って形成される。これにより、仮止凹部25は、収容凹部23についての外縁部分に形成される。
【0031】
図4は、図3のカバー部材20をリアガラス5へマウントするためのブラケット30およびクリップ40の説明図である。図4において、カバー部材20は、収容凹部23およびその周辺部分についてのみ図示されている。
【0032】
ブラケット30は、リアガラス5に貼着されるものである。
ブラケット30は、第一貼着部31、第一脚部32、ブラケット挟持板部33、第二脚部34、第二貼着部35、を有する。ブラケット30は、金属製の板材をプレス加工などにより屈曲することにより形成してよい。
第一貼着部31および第二貼着部35は、自動車1の前後方向に沿って並ぶようにリアガラス5に貼着される。
2つのブラケット30は、自動車1の車幅方向に沿って並べてリアガラス5に貼着される。
【0033】
第一脚部32は、第一貼着部31の後端縁から下向きに突出するように屈曲される部分である。
第二脚部34は、第二貼着部35の前端縁から下向きに突出するように屈曲される部分である。
ブラケット挟持板部33は、第一脚部32と第二脚部34との間に設けられる。
第一脚部32および第二脚部34は、第一貼着部31および第二貼着部35を傾斜したリアガラス5に対して貼着した状態において、リアガラス5から離間する位置においてブラケット挟持板部33が略水平となる長さに形成される。
【0034】
ブラケット挟持板部33は、ブラケット30を自動車1にマウントした状態において、自動車1の前後方向に幅広となるように形成される。
ブラケット挟持板部33は、長尺方向に沿って係合スリット36が形成される。
【0035】
ブラケット30についての第一脚部32、ブラケット挟持板部33、および第二脚部34は、図2に示すように収容凹部23に収容される。ブラケット挟持板部33は、カバー部材20をリアガラス5の内面にマウントした状態において、カバー挟持板部28と面状に接触するように重なる。
ブラケット挟持板部33は、カバー挟持板部28と仮止フック部24の先端部分との間に挟まれるようになる。
カバー部材20の2つの仮止フック部24は、自動車1の車幅方向に沿って並べてリアガラス5に貼着される2つのブラケット30のブラケット挟持板部33に逆向き(外向き)に引っかかる。これにより、2つのブラケット30は、ブラケット挟持板部33とカバー挟持板部28とが重なる状態にカバー部材20を仮保持することができる。カバー部材20は、2つのブラケット30の間から外れ難くなる。カバー部材20は、リアガラス5に対して大きくずれ難くなるように仮固定され得る。
【0036】
クリップ40は、ブラケット挟持板部33とカバー挟持板部28とを重ねて挟持するものである。
クリップ40は、第一板部41、連結部42、第二板部43、係合稜部44、を有する。クリップ40は、金属製の幅広の板材をプレス加工などにより屈曲することにより形成してよい。このようなクリップ40は、図2のマウント状態において、自動車1の前後方向に幅広になる。
【0037】
第一板部41と第二板部43とは、連結部42により、微小間隔で重なるように連結される。第一板部41、連結部42および第二板部43は、それらについての断面が略U字形状となる。第一板部41と第二板部43との間隔は、ブラケット挟持板部33およびカバー挟持板部28の全体の厚さと同程度にするとよい。
【0038】
係合稜部44は、第一板部41についての連結部42により連結される側とは反対側の先端縁に設けられる。
係合稜部44は、第一板部41の先端縁に沿って、第二板部43の側へ突出するように、延在する。
係合稜部44は、カバー部材20のカバー挟持板部28についての外縁に沿って形成される仮止凹部25と係合できる。これにより、クリップ40は、カバー部材20に仮固定され得る。
また、係合稜部44は、ブラケット30のブラケット挟持板部33に形成される係合スリット36と係合できる。これにより、クリップ40は、第二板部43がカバー部材20のカバー挟持板部28と全面的に接触するとともに、カバー挟持板部28とブラケット挟持板部33とが全面的に接触する状態で、カバー挟持板部28をブラケット挟持板部33に対して押し付ける。これにより、ブラケット挟持板部33およびカバー挟持板部28の全体を強固に挟むことができる。カバー挟持板部28は、ブラケット挟持板部33に対してずれ難くなる。
【0039】
また、クリップ40は、自動車1の前後方向に幅を有し、係合稜部44は、自動車1の前後方向に沿って延在する。カバー部材20に対して前後方向に対して傾けるような力が作用したとしても、カバー部材20は、力の作用方向へ回転しないように、前後方向に幅広のクリップ40によりしっかりと挟持され得る。
【0040】
図5は、図3のカバー部材20を、ブラケット30およびクリップ40によりリアガラス5へマウントする作業工程の一例を説明するための模式的な説明図である。
【0041】
図5(A)に示すように、作業開始前に、カバー部材20は、発光ユニット11の両側に、左右一対のクリップ40が仮固定される。クリップ40は、係合稜部44が仮止凹部25と係合することにより、カバー部材20に仮固定できる。
また、リアガラス5は、ハイマウントストップランプ装置10がマウントされる内面を上にした裏返した姿勢にて作業現場に設置される。リアガラス5の内面には、左右一対のブラケット30が車幅方向に並べて所定の配置で貼着される。
このような事前準備がなされたカバー部材20は、図中に矢印の破線で示すように、作業者は、カバー部材20の左右一対の収容凹部23に、左右一対のブラケット30が収まるように、カバー部材20をリアガラス5の内面に真上から載せる。
【0042】
次に、図5(B)に示すように、作業者は、リアガラス5の内面に載せたカバー部材20を上から抑える。これにより、車幅方向に並ぶことになる左右一対のブラケット30のブラケット挟持板部33の上に、カバー部材20の左右一対のカバー挟持板部28が重なって圧接する。
【0043】
次に、図5(C)に示すように、作業者は、カバー部材20に仮固定されている左右一対のクリップ40を、カバー部材20の中央へ向かって押し込む。クリップ40は、収容凹部23へ向けて内向きに押し込まれる。
このように仮止凹部25と係合することによりカバー部材20に予め取り付けけられていたクリップ40は、収容凹部23へ向けて自動車1の車幅方向の外側から操作されることにより、仮止凹部25から外れて、収容凹部23においてカバー挟持板部28とブラケット挟持板部33とを重ねて挟持する。
クリップ40は、仮止凹部25がブラケット挟持板部33の係合スリット36に嵌まるように係合するまで、押し込まれる。クリップ40は、自動車1の車幅方向から挟持する。
これにより、クリップ40は、カバー部材20およびブラケット30から抜けて脱落し難くなる。
自動車1の前後方向に幅広のクリップ40は、ブラケット挟持板部33およびカバー挟持板部28を重ねた状態で、自動車1の前後方向において幅広に挟持する。
【0044】
図6は、図3のカバー部材に対して、ブラケットおよびクリップを装着させた状態を示す斜視図である。
図6は、図3のカバー部材20を、ブラケット30およびクリップ40によりリアガラス5へマウントした状態に対応する。
【0045】
図6に示すリアガラス5へのマウント状態では、リアガラス5に対して左右に並べて貼着される2つのブラケット30は、カバー部材20についての車幅方向両側の左右の収容凹部23に収まる。収容凹部23において、ブラケット挟持板部33とカバー挟持板部28とがクリップ40により重ねて挟持される。クリップ40は、左右の外向きに外れないように、ブラケット挟持板部33に形成された係合スリット36と係合する。前後方向に幅広のクリップ40により挟持されることにより、カバー部材20は、リアガラス5に貼着されるブラケット30に対して強固に且つ安定的に固定される。自動車1の走行中の振動が作用しても、カバー部材20の周縁弾性部12がリアガラス5から離れ難くなる。また、カバー部材20は、経時的にも、周縁弾性部12とリアガラス5との隙間が形成されるほどに変形し難くなる。
【0046】
以上のように、本実施形態では、ハイマウントストップランプ装置10のカバー部材20は、カバー挟持板部28がリアガラス5に貼着されるブラケット30と重ねてクリップ40により挟持されることにより、自動車1のリアガラス5にマウントされる。しかも、少なくとも2つのブラケット30は、リアガラス5において自動車1の車幅方向に沿って並べて貼着され、カバー部材20は、自動車1の車幅方向において少なくとも2か所において自動車1のリアガラス5にマウントされる。また、ブラケット挟持板部33、カバー挟持板部28およびクリップ40は、自動車1にマウントした状態において自動車1の前後方向に幅広となるように形成され、自動車1の前後方向に幅広のクリップ40は、自動車1の前後方向に幅広となるように重ねられているブラケット挟持板部33およびカバー挟持板部28を、自動車1の車幅方向から挟持する。
【0047】
よって、カバー部材20は、たとえば自動車1の車幅方向の2か所においてのみ自動車1のリアガラス5にマウントされている状態であっても、ガラスに対して前後左右に傾き難くなるように安定した状態でしっかりとリアガラス5にマウントされ得る。特に、カバー部材20は、リアガラス5にマウントされた状態での前上部分に設けられる発光ユニット11についての車幅方向両側の2か所においてカバー挟持板部28とブラケット挟持板部33とがクリップ40により挟持されているだけであっても、安定した状態でしっかりとリアガラス5にマウントされ得る。前後方向に長さを有するカバー部材20は、安定した状態でしっかりとリアガラス5に押し当てた状態でマウントされ得る。
その結果、本実施形態では、自動車1の走行中の振動や加速度によりハイマウントストップランプ装置10から車室3へ光が漏れ難くできる。カバー部材20の後縁は、ガラスから離れないように固定されていなくとも、経時的に垂れ下がることが起き難くなる。
【0048】
しかも、本実施形態では、カバー部材20は、カバー挟持板部28がブラケット挟持板部33とともにクリップ40により挟持されることにより、リアガラス5にマウントされている。リアガラス5にマウントしたカバー部材20には応力が作用しない。日射等による熱や発光ユニット11の発熱がカバー部材20に作用しても、カバー部材20に熱クリープが発生し難くなる。これに対して仮にたとえば、収容凹部23にブラケット30とともにそれらの隙間を塞ぐようにばね材を挿入した場合、ばね材のばね力がカバー部材20に作用する。マウントしたカバー部材20には、ばね力による応力が作用し続ける。この場合、日射等による熱や発光ユニット11の発熱にさらされることにより、カバー部材20には、熱クリープが発生し易くなる。これを防ぐためには、カバー部材20に使用する樹脂材料として、耐熱性の高いたとえばポリカーボネートなどを使用する必要がある。しかしながら、ポリカーボネートなどの耐熱性の高い樹脂材料をカバー部材20に用いた場合、オレフィン系エラストマ(TPO)などの高分子材料による周縁弾性部12を、カバー部材20に対して射出成型工程により一体化することができない。ポリカーボネートなどの耐熱性の高い樹脂材料をカバー部材20に対して周縁弾性部12を射出成型工程により一体化しようとする場合、周縁弾性部12には、たとえば熱可塑性エラストマ(TPE)などの高分子材料を用いる必要がある。しかしながら、熱可塑性エラストマには揮発性があり、長期的にはリアガラス5が曇ってしまう。本実施形態では、これらの課題を一気に解消することができる。本実施形態では、カバー部材20をポリプロピレン樹脂で形成し、周縁弾性部12をオレフィン系エラストマで形成することができる。
【0049】
しかも、本実施形態では、カバー部材20は、カバー挟持板部28がブラケット挟持板部33と重なるようにリアガラス5に押し付けるだけで、クリップ40を用いてリアガラス5にマウントできる。これに対し、仮にたとえばリアガラス5に貼着されているブラケット30に対してカバー部材20をスライドして嵌める場合、カバー部材20はリアガラス5のガラス面に沿ってスライドされることになる。この場合、カバー部材20に擦られたリアガラス5のガラス面には、擦り傷が生じる可能性がある。本実施形態では、このような擦り傷を生じることがない。
【0050】
本実施形態では、自動車1のリアガラス5に貼着されるブラケット30は、ブラケット挟持板部33とともに、自動車1の前後方向に並べて貼着される第一貼着部31および第二貼着部35と、第一貼着部31と第二貼着部35との間においてブラケット挟持板部33を、リアガラス5から離間する位置に保持する第一脚部32および第二脚部34と、を有する。よって、は、リアガラス5から離間する位置において重ねられる。よって、クリップ40は、リアガラス5から離間する位置において、ブラケット挟持板部33およびカバー挟持板部28を挟持するように操作される。クリップ40は、リアガラス5のガラス面に擦り傷を生じないように、操作できる。
【0051】
本実施形態では、クリップ40は、連結部42により第二板部43と微小間隔で連結される第一板部41の先端縁に沿って、第二板部43の側へ突出する係合稜部44が延在して形成される。また、ブラケット挟持板部33には、第一板部41の先端縁に沿って係合スリット36が形成される。そして、係合稜部44は、係合スリット36と係合する。よって、ブラケット挟持板部33とカバー挟持板部28とは、密着するように挟持される。カバー部材20は、前後方向において揺動しないようにしっかりとマウントされ得る。
【0052】
本実施形態では、クリップ40は、カバー部材20の収容凹部23に形成されたカバー挟持板部28とブラケット挟持板部33とを挟持する。したがって、クリップ40は、リアガラス5の表面から離れた位置においてこれらを挟持するように操作できる。クリップ40は、ガラスの表面の近くで操作する必要が無いので、作業中のクリップ40によりガラス面に擦り傷を付け難くなる。
【0053】
本実施形態では、カバー部材20には、収容凹部23についてのカバー部材20の車幅方向中央側に立設される内側から、収容凹部23へ向かって突出する仮止フック部24が設けられる。よって、リアガラス5に貼着されたブラケット30を収容凹部23に収めるようにカバー部材20を重ねることにより、ブラケット30に対して仮止フック部24を引っ掛けることができる。ブラケット挟持板部33とカバー挟持板部28とが重なる状態に、ブラケット30に対してカバー部材20を仮止めすることができる。カバー部材20は、リアガラス5の内面に擦れるように大きくずれ難くなる。そして、仮止めされたカバー部材20とブラケット30とに対して、クリップ40を容易に操作することができる。
【0054】
本実施形態では、カバー部材20には、収容凹部23についての外縁部分に、仮止凹部25が形成される。カバー部材20の仮止凹部25には、クリップ40の先端縁に沿って延在するように形成された係合稜部44を予め係合させることができる。このようにクリップ40を予めカバー部材20に仮止した状態で、カバー部材20をブラケット30に対して重なることができる。カバー部材20をブラケット30に対して重ねた後に、別体のクリップ40をこれらに嵌め込む場合、操作中にクリップ40が脱落し易くなる。脱落したクリップ40がリアガラス5などに当たると、リアガラス5などに傷を付けてしまうことになる。本実施形態では、このような事態の発生を効果的に抑制できる。
【0055】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるのもではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0056】
たとえば上記実施形態では、クリップ40の係合稜部44は、ブラケット挟持板部33に形成された係合スリット36と係合している。
この他にもたとえば、クリップ40の係合稜部44は、ブラケット挟持板部33の内縁と係合してよい。
【0057】
上記実施形態のクリップ40では、ブラケット挟持板部33と重なる第一板部41の先端縁に係合稜部44が形成されている。
この他にもたとえば、係合稜部44は、クリップ40についてのカバー挟持板部28と重なる第二板部43の先端縁に形成されてよい。第二板部43の先端縁の係合稜部44は、カバー挟持板部28に形成される係合スリット36と係合しても、カバー挟持板部28についての内縁と係合してもよい。
また、クリップ40は、第一板部41の先端縁に係合稜部44と、第二板部43の先端縁に係合稜部44との双方を備えてもよい。
ただし、上記実施形態では、カバー挟持板部28は、クリップ40の第二板部43と面状に接触した状態で、ブラケット挟持板部33とともにクリップ40により挟持され易い。このような挟持状態では、カバー挟持板部28は安定的に挟持され易くなる。
特に、係合稜部44と係合スリット36とが自動車1の前後方向に沿って長尺に形成されることにより、上記実施形態のようにカバー部材20が前後方向に長く形成され、カバー部材20の前縁部分のみをクリップ40で挟持していたとしても、カバー部材20の周縁弾性部12とリアガラス5との間が開くようになり難くできる。
【0058】
上記実施形態では、リアガラス5には、2つのブラケット30が車幅方向に並べて貼着される。
この他にもたとえば、リアガラス5には、3つ以上のブラケット30を、車幅方向に並べて貼着してよい。また、一部のブラケット30は、他のブラケット30に対して前後方向にずれた位置でリアガラス5に貼着されてよい。
これらの場合、カバー部材20には、複数のブラケット30に対応する位置に、複数の収容凹部23を形成すればよい。
【0059】
上記実施形態では、カバー部材20にポリプロピレン樹脂を用いるとともに、周縁弾性部12にオレフィン系エラストマ(TPO)を用いている。
この他にもたとえば、カバー部材20には、ポリカーボネートなどの耐熱性の高い樹脂材料を用いてよい。また、周縁弾性部12に熱可塑性エラストマ(TPE)を用いてよい。
ただし、ポリカーボネートなどの耐熱性の高い樹脂材料を射出成型する際に、オレフィン系エラストマ(TPO)を用いても、オレフィン系エラストマ(TPO)による部分を、ポリカーボネートによる部分と一体化することができない。
したがって、カバー部材20にポリカーボネートなどの耐熱性の高い樹脂材料を用いる場合には、周縁弾性部12には、熱可塑性エラストマ(TPE)を用いるとよい。
この他にもたとえば、周縁弾性部12には、水添スチレン系熱可塑性エラストマ(SEBS)や熱可塑性ポリウレタン(TPU)を用いてよい。
【0060】
上記実施形態は、本発明を、自動車1のリアガラス5にハイマウントストップランプ装置10に適用した例である。
自動車1では、ハイマウントストップランプ装置10以外にも、たとえばフォグランプ、方向指示ランプ、速度表示ランプ、ミラー、車外を撮像するカメラ、液晶表示装置といったガラスマウント装置が、自動車1のガラスにマウントされることがある。
本発明は、これらのガラスマウント装置にも好適に適用することができる。
たとえば、自動車1のガラスにマウントされるガラスマウント装置のボディは、リアガラス5に貼着される複数のブラケット30のブラケット挟持板部33と重なる複数のボディ挟持板部を有する。上記実施形態のカバー挟持板部28は、ボディ挟持板部の一例である。複数のクリップ40は、複数のブラケット挟持板部33と複数のボディ挟持板部とを重ねて挟持する。
この場合においても、複数のブラケット30は、少なくとも2つがリアガラス5において自動車1の車幅方向に沿って並べて貼着され、複数のクリップ40の少なくとも一部は、自動車1の前後方向に幅広となるように重ねられているブラケット挟持板部33およびボディ挟持板部を、自動車1の車幅方向から挟持する。また、ブラケット挟持板部33、ボディ挟持板部およびクリップ40は、自動車1にマウントした状態において自動車1の前後方向に幅広となるように形成されてよい。これにより、たとえば、ガラスマウント装置のボディは、自動車1のガラスに対して強固にマウントされ得る。
【符号の説明】
【0061】
1…自動車(車両)、2…車体、3…車室、4…フロントガラス、5…リアガラス、6…サイドガラス、7…後面部、10…ハイマウントストップランプ装置(ガラスマウント装置)、11…発光ユニット、12…周縁弾性部、20…カバー部材(ボディ)、21…基部、22…遮光部、23…収容凹部、24…仮止フック部、25…仮止凹部、26…遮光面、27…挟持穴、28…カバー挟持板部(ボディ挟持板部)、30…ブラケット、31…第一貼着部、32…第一脚部、33…ブラケット挟持板部、34…第二脚部、35…第二貼着部、36…係合スリット、40…クリップ、41…第一板部、42…連結部、43…第二板部、44…係合稜部

図1
図2
図3
図4
図5
図6