(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220926BHJP
G06F 16/00 20190101ALI20220926BHJP
G06F 16/50 20190101ALI20220926BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220926BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G06T1/00 200E
G06F16/00
G06F16/50
G08B25/00 510M
G08B25/04 F
(21)【出願番号】P 2017116599
(22)【出願日】2017-06-14
【審査請求日】2020-05-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】横井 佐代子
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】畑中 高行
【審判官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-72578(JP,A)
【文献】特開2012-252654(JP,A)
【文献】特開2006-243798(JP,A)
【文献】特開2018-169645(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151155(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T1/00
G06F16/00
G06F16/50
G08B25/00
G08B25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
避
難所で
撮影された
避難所の画像から抽出された
避難者の顔画像と、前記
避難所の画像
を撮影した場所に関する情報を対応づけて複数組、記憶するデータベースと、
前記データベースの前記顔画像と当該顔画像に対応づけられている前記場所に関する情報を出力する出力部と、
を備えた情報提供システムであって、
前記データベースに記憶されている前記顔画像との類似度を算出する類似度算出部
をさらに備え、
前記類似度算出部
に捜索対象の避難者に関する比較対象画像が入力されることにより、前記類似度算出部が算出した前記類似度
が所定値以上
である、前記データベースに記憶された前記顔画像と当該顔画像に対応づけられている前記
場所に関する情報を
前記出力部に出力する
、
情報提供システム。
【請求項2】
前記出力部
は、複数組の前記顔画像と前記類似度を表す情報と前記
場所に関する情報を表す情報を出力する
請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記
出力部は、前記
顔画像
と当該顔画像に対応付けられている前記場所に関する情報に加え、前記顔画像を抽出した前記避難所の画像が撮影された時刻
に関する情報
を出力する、
請求項1または請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記比較対象画像は、捜索対象となる避難者の顔画像、もしくは捜索対象となる避難者の近親者の顔画像である、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システムおよび情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自然災害の発災直後の安否確認については、避難した場所で作成された避難者の名簿が情報源のひとつとなる。避難者の名簿の作成は、例えば、避難した場所の運営者(自治体職員など)による聞き取りによってなされる。この場合、聞き取りに時間がかかると、名簿が完成し公表されるまでに時間がかかるという課題がある。
【0003】
一方、特許文献1に記載されている避難者データ収集システムでは、次の構成を採用することで、避難時における受け付け時の避難者情報の入力の手間を削減する。特許文献1に記載されているシステムでは、各避難者が携帯するICカード(集積回路カード)に記録されている固有ID(固有識別子)を用いて個人を特定するとともに、避難者の情報を映像や音声を用いて記録することで、キー入力を不要とする。この場合、個人か自治体等でICカードを用意する必要があるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決することができる情報提供システムおよび情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、避難所で撮影された避難所の画像から抽出された避難者の顔画像と、前記避難所の画像を撮影した場所に関する情報を対応づけて複数組、記憶するデータベースと、前記データベースの前記顔画像と当該顔画像に対応づけられている前記場所に関する情報を出力する出力部と、を備えた情報提供システムであって、前記データベースに記憶されている前記顔画像との類似度を算出する類似度算出部をさらに備え、前記類似度算出部に捜索対象の避難者に関する比較対象画像が入力されることにより、前記類似度算出部が算出した前記類似度が所定値以上である、前記データベースに記憶された前記顔画像と当該顔画像に対応づけられている前記場所に関する情報を前記出力部に出力する、情報提供システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記情報提供システムであって、前記出力部は、複数組の前記顔画像と前記類似度を表す情報と前記場所に関する情報を表す情報を出力する。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記情報提供システムであって、前記出力部は、前記顔画像と当該顔画像に対応付けられている前記場所に関する情報に加え、前記顔画像を抽出した前記避難所の画像が撮影された時刻に関する情報を出力する。
【0009】
また、本発明の一態様は、前記比較対象画像は、捜索対象となる避難者の顔画像、もしくは捜索対象となる避難者の近親者の顔画像である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ICカードなどを使用しなくても、避難者情報の入力の手間を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す顔画像データベース6の構成例を示す模式図である。
【
図3】
図1に示す避難者画像情報管理サーバ2の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示す情報提供システム1の動作例を説明するための模式図である。
【
図5】
図1に示す避難者画像情報管理サーバ2の他の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示すユーザ端末5が表示する画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報提供システム1の構成例を示すブロック図である。
図1に示す情報提供システム1は、避難者画像情報管理サーバ2と、撮像部31と、撮像部41と、ユーザ端末5と、顔画像データベース6を備える。避難者画像情報管理サーバ2と、撮像部31、撮像部41、ユーザ端末5および顔画像データベース6は、所定の情報を送受信できるように図示していない通信網、他のコンピュータ、通信機器等を介して接続されている。情報提供システム1では、避難者画像情報管理サーバ2が、ユーザ端末5から捜索対象の避難者の顔画像を比較対象画像として受信し、顔画像データベース6から類似度が高い顔画像を検索し、検索された顔画像と当該顔画像が撮像された避難した場所と時刻を示す情報を捜索結果としてユーザ端末5へ提供する。
【0013】
避難者画像情報管理サーバ2は、CPU(中央処理装置)、記憶装置、入出力装置、通信装置等のハードウェアを備えるコンピュータである。本実施形態において避難者画像情報管理サーバ2は、入力部21、顔画像抽出部22、類似度算出部23、出力部24、および記憶部25を有する。これらの入力部21、顔画像抽出部22、類似度算出部23、出力部24、および記憶部25は、避難者画像情報管理サーバ2が有するハードウェアとCPUが実行するプログラムの組み合わせから構成される機能の区分に対応する。
【0014】
入力部21は、例えば、撮像部31から避難した場所A3で撮像された撮像画像を表すファイルを所定の通信回線を介して受信したり、撮像部41から避難した場所B4で撮像された撮像画像を表すファイルを所定の通信回線を介して受信したり、ユーザ端末5から捜索対象の避難者の顔画像である比較対象画像を表すファイルを所定の通信回線を介して受信したりする。あるいは、入力部21は、例えば、着脱可能な記録媒体等を介して、撮像画像や比較対象画像を入力してもよい。入力部21は、入力した撮像画像を表すファイルや比較対象画像を表すファイルを例えば記憶部25に記憶する。なお、本実施形態において入力部21による入力は、例えば、通信回線等を介した受信、記録媒体等を介した読み込み、イメージスキャナ等を用いた取り込み等、避難者画像情報管理サーバ2の外部から内部への情報の入力を意味するものとする。
【0015】
顔画像抽出部22は、入力部21が入力した撮像部31または撮像部41が撮像した撮像画像から1または複数の顔画像を抽出する。顔画像を抽出する手法には限定がなく既存の技術を用いることができる。顔画像抽出部22は、例えばパターンマッチング等の手法によって顔画像を抽出する。また、顔画像抽出部22は、抽出した顔画像と、当該顔画像の抽出元の撮像画像が撮像された避難した場所と撮像時刻を対応づけて顔画像データベース6に登録する。
【0016】
類似度算出部23は、比較対象として与えられた比較対象画像と、顔画像データベース6に記憶されている顔画像との類似度を算出する。類似度を算出する手法に限定はなく既存の技術を用いることができる。類似度算出部23は、例えば、比較対象画像と顔画像データベース6に登録されている各顔画像について所定の複数種類の特徴量を算出し、各特徴量の類似度合いを数値化することで類似度を算出する。類似度算出部23は、所定値以上の類似度を有する顔画像が得られた場合、得られた1または複数の顔画像と算出した各類似度を表す情報を記憶部25に記憶する。なお、類似度算出部23(あるいは出力部24)は、所定値以上の類似度を有する顔画像が複数、得られた場合、類似度や撮像時刻に応じて一部の顔画像を選択してもよい。また、類似度算出部23は、所定値以上の類似度を有する顔画像が得られなかった場合、その旨を示す情報を記憶部25に記憶する。なお、比較対象画像は、例えば、捜索対象の避難者の顔画像、捜索対象の避難者の近親者の顔画像、捜索対象の避難者の似顔絵等とすることができる。
【0017】
出力部24は、類似度算出部23が算出した類似度に基づき、所定値以上の類似度を有する顔画像と当該顔画像に対応づけられている撮像時刻を表す情報と避難した場所を表す情報を出力する。出力部24は、例えば、顔画像と撮像時刻を表す情報と避難した場所を表す情報を表すファイルを所定の通信回線を介してユーザ端末5へ送信する。あるいは、出力部24は、類似度算出部23が所定値以上の類似度を有する顔画像を抽出できなかった場合、その旨を示す情報を通信回線を介してユーザ端末5へ送信する。ただし、本実施形態において、出力部24による出力は、通信回線を介して直接ユーザ端末5へ捜索結果を送信するもののほか、電子メールやソーシャルネットワークを用いてユーザ端末5のユーザに対して捜索結果を送信するもの、避難者画像情報管理サーバ2に接続された表示装置に表示したり、印刷装置に印刷したりするもの、所定の記憶媒体に記憶するもの等を含む。
【0018】
記憶部25は、例えば、入力部21、顔画像抽出部22、類似度算出部23および出力部24が上述したような処理を実行する際に処理に用いられるデータを記憶する。
【0019】
次に、撮像部31は、避難した場所A3で画像を撮像する撮像装置である。撮像部31は、例えば、撮影機能と通信機能を有するネットワークカメラ、スマートフォン等の装置であってもよいし、カメラとそのカメラが撮像した画像を取り込む機能を有するコンピュータの組み合わせ等であってもよい。撮像部31は、一定の周期で、あるいは決められた時刻に、あるいは被写体の動きを検出したとき等に、自動的に避難した場所A3の画像を撮像し、撮像画像と撮像時刻と撮像場所を示す情報を所定の通信回線を介して入力部21へ送信する。あるいは、撮像部31は、操作者の指示に応じて、任意のタイミングで、避難した場所A3の画像を撮像し、撮像画像と撮像時刻と撮像場所を示す情報を所定の通信回線を介して入力部21へ送信する。なお、撮像時刻や撮像場所を示す情報は、例えば、撮像画像を表すファイルに含まれていてもよいし、撮像画像を表すファイルとは別のファイルに含まれていてもよい。撮像場所を示す情報は、例えば、撮像位置の緯度および経度を示す情報であってもよいし、避難した場所の識別符号や、住所、避難した場所の名称を表す情報であってもよい。なお、撮像時刻や撮像場所を示す情報は、必ずしも撮像部31から入力部21に対して送信しなくてもよい。この場合、避難者画像情報管理サーバ2は、入力部21が撮像画像を表すファイルを受信した時刻を撮像時刻としたり、撮像部31の識別情報や通信元アドレス等に基づいて撮像場所を特定したりすることができる。なお、撮像部31は、同一の避難した場所A3に複数設置されていてもよい。なお、撮像部31が撮像する画像には、1または複数の避難者が含まれていることが望ましい。
【0020】
撮像部41は、撮像部31と同様の装置であり、避難した場所A3とは異なる避難した場所B4で画像を撮像する。
【0021】
ユーザ端末5は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の通信機能を有するコンピュータである。ユーザ端末5は、例えば、汎用のブラウザや専用のアプリケーションプログラムを実行することで、ユーザの指示に応じて、避難者画像情報管理サーバ2との間で所定の情報を送受信する。ユーザ端末5は、例えば、ユーザ端末5が記憶している捜索対象の避難者の顔画像を比較対象画像として入力部21に対して送信し、比較対象画像と類似度が高い顔画像データベース6に登録されている顔画像と当該顔画像が撮像された避難した場所と時刻を示す情報を捜索結果として出力部24から受信し、表示する。
【0022】
顔画像データベース6は、避難した場所A3または避難した場所B4で撮像された撮像画像から抽出された顔画像と、撮像画像の撮像時刻と、避難した場所(撮像画像の撮像情報)を対応づけて複数組、記憶する。ここで、
図2を参照して、顔画像データベース6の構成例について説明する。
図2は、
図1に示す顔画像データベース6の構成例を示す模式図である。
図2に示す顔画像データベース6は、複数の顔画像ファイル61と複数の管理情報ファイル62を備える。各顔画像ファイル61には各1つの管理情報ファイル62が対応づけられている。顔画像ファイル61は、1人分の顔画像を表す所定形式の画像データを含む。ただし、顔画像ファイル61は、1人分の顔画像の背景画像として2人分以上の顔画像を含んでいてもよい。管理情報ファイル62は、顔画像ファイル61を管理するための情報を含む。
図2に示す例では、管理情報ファイル62は、データ621~624を含む。データ621は、シリアル番号等の識別符号を表す。データ622は、対応づけられた顔画像ファイル61の格納位置であるファイルパスを表す。データ623は、顔画像ファイル61が含む顔画像の撮像場所を表す。データ624は、顔画像ファイル61が含む顔画像の撮像時刻を表す。
【0023】
なお、顔画像データベース6は、
図2に示す構成例に限定されず、例えば、顔画像ファイル61と管理情報ファイル62を1つのファイルにまとめたり、管理情報ファイル62に類似度を判定する際に算出した特徴量の値を格納したりしてもよい。また、顔画像データベース6は、避難者画像情報管理サーバ2が備えていてもよい。また、顔画像データベース6は、格納する各ファイルを管理する機能を有していてもよい。この場合、顔画像データベース6は、各ファイルを管理するコンピュータとそのコンピュータが実行するプログラムを含むデータベースシステムとして構成される。また、顔画像データベース6あるいは避難者画像情報管理サーバ2と顔画像データベース6は、クラウドコンピューティング(クラウドサービス)を利用して構築されていてもよい。
【0024】
次に、
図3と
図4を参照して、
図1に示す避難者画像情報管理サーバ2の動作例について説明する。
図3は、撮像部31や撮像部41から撮像画像が送られてきた際に、避難者画像情報管理サーバ2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図4は、
図1に示す撮像部41が撮像した撮像画像の一例(撮像画像7)を示す模式図である。
【0025】
図3に示すように、撮像画像が送られてきた場合、避難者画像情報管理サーバ2では、まず、入力部21が、避難した場所A3や避難した場所B4で撮像された撮像画像を撮像部31や撮像部41から受信する(ステップS11)。ステップS11で入力部21は例えば撮像画像を表すファイルと、撮像時刻と撮像場所を示す情報を含むファイルを受信する。
【0026】
次に、顔画像抽出部22が、受信した撮像画像から1または複数の顔画像を抽出する(ステップS12)。例えば
図4に示すように撮像画像7が複数の人物を含む場合、顔画像抽出部22は顔画像として認識できた複数の顔画像81~89を撮像画像7から抽出する。
【0027】
次に、顔画像抽出部22が、抽出した各顔画像と、撮像画像の撮像時刻と避難した場所を対応づけて顔画像データベース6に登録する(ステップS13)。
図4に示す撮像画像7の場合、ステップS12では、各顔画像81~89に対応する複数の顔画像ファイル61と複数の管理情報ファイル62が顔画像データベース6に登録される。
【0028】
次に、
図5と
図6を参照して、
図1に示す避難者画像情報管理サーバ2の他の動作例について説明する。
図5は、ユーザ端末5から避難者の捜索依頼が送られてきた際に避難者画像情報管理サーバ2が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図6は、ユーザ端末5における表示画面の一例(表示画面9)を示す模式図である。
図6に示す表示画面9は、避難者画像情報管理サーバ2が送信した捜索結果を示す情報をユーザ端末5が受信したときの表示例である。
図6に示す表示画面9は、例えばブラウザの表示領域に対応する。この場合、表示画面9には、比較対象画像910、比較対象画像910を選択したりアップロードしたりするためのボタン群920、捜索結果930、捜索結果を示す文字情報940、および、捜索結果に該当する避難した場所を示す地
図950が表示されている。
【0029】
例えば、
図6に示す表示画面9において図示と異なり捜索結果(捜索結果930、文字情報940および地
図950)が表示されていない状態で、ユーザがボタン群920を操作し、捜索対象者の顔画像である比較対象画像910の格納位置を指定して、アップロードボタンをクリックすると、ユーザ端末5から比較対象画像910を表すファイルが避難者画像情報管理サーバ2に対して送信される。
【0030】
図5に示すように、比較対象画像が送られてきた場合、避難者画像情報管理サーバ2では、まず、入力部21が、比較対象画像を受信する(ステップS21)。ステップS21で入力部21は、例えば比較対象画像を表すファイルと、ユーザ端末5のアドレスと撮像時刻と撮像場所を示す情報を含むファイルを受信する。
【0031】
次に、類似度算出部23が、受信した比較対象画像と顔画像データベース6に記憶されている各顔画像との類似度を算出する(ステップS22)。
【0032】
次に、出力部24が、所定値以上の類似度を有する顔画像と当該顔画像の撮像時刻を表す情報と避難した場所を表す情報を、捜索結果としてユーザ端末5へ出力する(ステップS23)。出力部24は、例えば、避難した場所を表す情報として、避難した場所の名称を示す情報と、避難した場所周辺の地図を表す情報を出力する。ユーザ端末5では、出力部24から捜索結果を示す情報を受信すると、例えば
図6に示すように捜索結果(捜索結果930、文字情報940および地
図950)を表示する。
図6に示す例では、捜索結果930として、類似度が比較的高い顔画像931と顔画像933が表示されている。また、顔画像931の下に顔画像931が撮像された避難した場所および類似度を示す情報932が表示されるとともに、顔画像933の下に顔画像933が撮像された避難した場所および類似度を示す情報934が表示されている。また、文字情報940として、類似度が最も高い顔画像931が撮像された時刻と避難した場所が表示されている。また、地
図950は、類似度が最も高い顔画像931が撮像された避難した場所周辺の地図である。
【0033】
以上のように本実施形態によれば、ICカードなどを使用しなくても、避難者情報の入力の手間を少なくすることができる。
【0034】
なお、本実施形態の情報提供システム1について、具体的な使用例の流れを以下に示す。すなわち、本実施形態の情報提供システム1は、例えば下記(1)~(6)の手順で使用することができる。ただし、この使用例では、避難者画像情報管理サーバ2と顔画像データベース6がクラウドコンピューティングを利用して構築されているものとする。
【0035】
(1)災害発災直後に避難者が退避した場所の様子を避難した場所に取り付けられたカメラ(撮像部31、撮像部41等)で撮影し電子データ化する。
【0036】
(2)得られた電子データは、写真が撮影された場所、時刻と共にクラウド(顔画像データベース6)に集められる。
【0037】
(3)クラウド(避難者画像情報管理サーバ2)では顔検出処理によって避難者の集団の画像から個人の顔写真を抽出し、リスト(顔画像データベース6)を作成する。
【0038】
(4)避難者の近親者は、捜索用のウェブサイトを通してクラウド(避難者画像情報管理サーバ2)にアクセスし、捜索者の手持ちの写真をアップロードする。
【0039】
(5)クラウド(避難者画像情報管理サーバ2)では、捜索者の写真と避難者の個人の写真を照合し類似度を算出する。
【0040】
(6)近親者は、捜索者用のウェブサイト上で捜索者と似ている避難者の写真とその写真の撮影場所、時刻の情報を得る。
【0041】
なお、手順(1)での「カメラ」は、避難した場所に設置された監視カメラ等に限定するものではなく、避難者の携帯電話についているカメラでもよい。また、手順(3)においてクラウドで抽出された顔データはインターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)など既存の個人情報(顔写真と名前)と照合することで避難者の名前を推定することに発展させられる。
【0042】
上述したように、本実施形態によれば、画像を撮像するだけで情報を入力することができるので、文字による名簿作成よりも早く個人特定の情報を公開できる。また、避難者毎にICカードを用意する等の事前準備が発生しない。また、避難した時も本人が何らかの動作をする必要がない。また、画像は、顔の類似度を算出できる程度の解像度があればよく、多くの場合、新たな設備投資(例えば解像度の高いカメラの設置など)をする必要がない。また、顔画像を情報とするため、外国人旅行者などの言葉が通じない避難者や、聞き取りの難しい名前の避難者の聞き間違いに配慮する必要がない。また、顔と名前が関連付けられていないので、発災後に個人情報が不正利用される危険性を伴わない。
【0043】
また、本実施形態は次の効果を奏する。すなわち、事前準備が必要ないので、被災者は身の安全を図ることに集中できる。また、安否確認の高速化によって、近親者のパニックを解消し、憶測による行動が引き起こす二次災害(車で塾に子供を迎えに行く親が原因で幹線道路が渋滞し、救急車がなかなか病院にたどり着けなかったなど)を防ぐことができる。また、外国人旅行者の生存確認を近親者が行えるようになるため、出国手続き、遺体引き取りなどの手続きなどの迅速化につながる。
【0044】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1…情報提供システム、2…避難者画像情報管理サーバ、3…避難した場所A、4…避難した場所B、5…ユーザ端末、6…顔画像データベース、21…入力部、22…顔画像抽出部、23…類似度算出部、24…出力部、25…記憶部、31、41…撮像部