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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20220926BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220926BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220926BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/894
A61K8/89
A61K8/891
A61K8/06
A61Q1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017150574
(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公開番号】P2019026620
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 亮太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 美香子
【審査官】寺▲崎▼ 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-025049(JP,A)
【文献】特開2017-025048(JP,A)
【文献】特開2016-222599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(E):
(A)数平均粒子径0.05~4μmの酸化鉄被覆酸化チタン 0.4~12質量%、
(B)成分(C)以外の架橋型オルガノポリシロキサン 0.01~5質量%、
(C)ゴム弾性が20~80の範囲である球状シリコーン弾性粉体 0.05~5質量%、
(E)揮発性油 10~60質量%
を含有し、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)が、0.5~30である油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、0.1~100である請求項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
さらに、(D)体積平均粒子径5~100μm、アスペクト比10~100の無機板状粉体を含有する請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
成分(C)が、体積平均粒子径8~40μmである請求項1~3のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シミ、ソバカスをカバーし、毛穴の凹凸を目立たなくする化粧料が検討されている。例えば、特許文献1には、平均粒子径0.6~4μmの酸化鉄被覆酸化チタン、着色顔料、微粒子酸化亜鉛及びパラメトキシケイ皮酸オクチルを含有する乳化化粧料が、化粧後の肌の毛穴の目立ちやキメの乱れを抑え、白浮きや粉っぽさを抑制し、厚ぼったくなく、均一できれいな仕上りが得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-25049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の乳化化粧料では、肌表面に均一に付着した着色顔料が、時間の経過とともに毛穴の中に落ちることにより、経時において毛穴が目立つという課題があった。また、手やスポンジで化粧料を塗布するときに、すじ状のムラ(すじムラ)が見られるという課題もあった。すじムラが見られると、均一で自然な仕上がりが損なわれ、ファンデーション等を重ね塗りすると、ムラづきしてしまい、不自然な仕上がりになってしまう。すじムラは、何度ものばすことにより、均一な塗布状態にすることができるが、手間がかかるとともに、肌上の一定面積の化粧料の付着量が少なくなるため、毛穴や凹凸カバー効果が低減してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、酸化鉄被覆酸化チタン、架橋型オルガノポリシロキサン及び球状シリコーン弾性粉体を組合わせて用いることにより、経時での毛穴の目立ちを抑制し、塗布時のすじムラを抑え、カバー力を高め、均一で自然な仕上がりにできる油中水型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)数平均粒子径0.05~4μmの酸化鉄被覆酸化チタン 0.4~12質量%、
(B)成分(C)以外の架橋型オルガノポリシロキサン 0.01~5質量%、
(C)球状シリコーン弾性粉体 0.05~5質量%
を含有する油中水型乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油中水型乳化化粧料は、塗布直後及び経時での毛穴の目立ちを抑制し、また、塗布時のすじムラを抑え、顔全体のシミ・ソバカスに対するカバー力を高め、白浮きを抑制し、均一で自然な仕上がりを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いられる成分(A)は、数平均粒子径が0.05~4μmの酸化鉄被覆酸化チタンである。
ここで用いる酸化チタンは、数平均粒子径が0.05~4μmであり、0.1~3μmが好ましく、0.15~2μmがより好ましく、0.2~1μmがさらに好ましい。
なお、酸化チタンの数平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)等による観察から得られた写真を用い、その写真を画像解析することにより算出される数平均粒径である。
なお、本発明で用いられる他の粉体の数平均粒子径に関しても、同様の方法で測定される。
酸化チタンの形状は、球状、板状、針状等のいずれでも良い。具体的には、MP-25、MP-1133(テイカ社製)、ST710、ST-750(チタン工業社製)等の市販品を用いることができる。
成分(A)は、このような酸化チタンを酸化鉄で被覆処理したものである。
酸化鉄の処理量は、肌の毛穴や皮溝、皮丘に付着した時に、全体が均一に仕上がり、肌の毛穴の目立ちを抑制する点から、酸化鉄被覆酸化チタン中の酸化チタンの質量に対して、0.5~5質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましく、1.5~4質量%がさらに好ましい。
【0009】
酸化チタンを酸化鉄で被覆処理する方法としては、通常の方法により行うことができる。例えば、酸化チタン及びポリ硫酸第二鉄を水へ投入してスラリー化させ、60℃に加熱する。アンモニア水にてpH7.5へ中和し、水酸化鉄(酸化鉄)を酸化チタン表面に析出させる。得られた複合化物を水洗し、110℃で10~12時間乾燥させる。乾燥物を490~690℃で焙焼させたのち、粉砕することにより、成分(A)の酸化鉄被覆酸化チタンを得ることができる。
【0010】
成分(A)の酸化鉄被覆酸化チタンは、そのまま使用することができるが、必要に応じて、疎水化処理したものを用いることもできる。
疎水化処理としては、シリコーン処理、アルキル基の水素がフッ素に置換してもよいアルキルシラン処理、脂肪酸処理、N-アシルアミノ酸処理等が挙げられる。シリコーン処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理等が挙げられ、アルキル基の水素がフッ素に置換してもよいアルキルシラン処理としては、アルキルアルコキシシラン処理、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理等が挙げられ、脂肪酸処理としては、ステアリン酸処理、ミリスチン酸処理が挙げられ、N-アシルアミノ酸処理としては、ラウロイルリジン処理、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa処理、ステアロイルグルタミン酸2Na処理、ラウロイルアスパラギン酸Na処理等が挙げられる。
疎水化処理としては、塗布直後及び経時での毛穴の目立ちを抑制する観点から、シリコーン処理、アルキル基の水素がフッ素に置換してもよいアルキルシラン処理が好ましく、アルキル基の水素がフッ素に置換してもよいアルキルシラン処理がより好ましく、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理がさらに好ましく、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン処理がよりさらに好ましい。
疎水化処理は、通常の方法により行うことができる。
なお、酸化鉄被覆酸化チタンを疎水化処理した場合、成分(A)の含有量や数平均粒子径は、疎水化処理した剤を含めての含有量や数平均粒子径を意味する。
【0011】
このようにして得られる成分(A)の酸化鉄被覆酸化チタンは、肌の毛穴や皮溝、皮丘に付着したときに、全体が均一に仕上がり、肌の毛穴の目立ちを抑制する点から、数平均粒子径が0.05~4μmであり、0.1~3μmであるのが好ましく、0.15~2μmがより好ましく、0.2~1μmがさらに好ましい。
【0012】
成分(A)は1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上し、経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、全組成中に0.4~12質量%であり、0.8~8質量%が好ましく、1.2~6質量%がより好ましい。1.7~4.5質量%がさらに好ましい。
【0013】
成分(B)の架橋型オルガノポリシロキサンは、成分(C)以外のものであり、ポリオキシアルキレンで修飾されていてもよく、具体的には、架橋型ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンで修飾された架橋型ジメチルポリシロキサン、架橋型アルキルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンで修飾された架橋型アルキルポリシロキサンなどが挙げられる。なお、架橋型ジメチルポリシロキサンは、シロキサン骨格を三次元架橋させた架橋構造を有する重合物であり、架橋型アルキルポリシロキサンは、さらに、炭素数6~20のアルキル基を有するものである。
なお、成分(B)を成分(C)以外のものとしたのは、後述する成分(C)には、粉体状の架橋したオルガノポリシロキサンであるシリコーンゴム粉体、シリコーンゴム球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を被覆してなる複合ポリマー粉体などが含まれるためである。成分(B)には、成分(C)の粉体状のものは含まない。
成分(B)の架橋型オルガノポリシロキサンとしては、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、架橋型ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンで修飾された架橋型アルキルポリシロキサンが好ましく、ポリオキシアルキレンで修飾された架橋型アルキルポリシロキサンがより好ましい。
【0014】
架橋型ジメチルポリシロキサンとしては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられ、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーが好ましく、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーがさらに好ましい。
これらは、固体状のまま使用しても良く、液状油と均一に混合したものを使用しても良い。なかでも、化粧料中への分散性、作業性の点から、液状油によって希釈された分散液として用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油、エステル油を用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油を用いるのがより好ましく、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、流動パラフィン、軽質イソパラフィンを用いるのがさらに好ましい。
【0015】
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、デカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物であるKSG-15、低粘度ジメチルポリシロキサンとの混合物であるKSG-16(以上、信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、メチルフェニルポリシロキサンとの混合物であるKSG-18(信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
また、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとしては、流動パラフィンとの混合物であるKSG-41、軽質イソパラフィンとの混合物であるKSG-42、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリルとの混合物であるKSG-43、スクワランとの混合物であるKSG-44(以上、信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
【0016】
さらに、ポリオキシアルキレンで修飾された架橋型アルキルポリシロキサンとしては、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等が挙げられ、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマーが好ましく、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマーがより好ましく、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマーがさらに好ましい。
ポリオキシアルキレンで修飾された架橋型アルキルポリシロキサンは、化粧料中への分散性、作業性の点から、液状油によって希釈された分散液として用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油、エステル油を用いるのがより好ましく、シリコーン油、炭化水素油を用いるのがよりさらに好ましい。
さらに、揮発性炭化水素油に希釈又は分散されたものが好ましく、揮発性炭化水素油としては、イソドデカンがより好ましい。
【0017】
ポリオキシアルキレンで修飾された架橋型アルキルポリシロキサンとしては、例えば、KSG-210、KSG-240(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー);KSG-310、KSG-320、KSG-330((PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー);KSG-340((PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー及び(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0018】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、含有量は、全組成中に0.01~5質量%であり、0.1~3質量%が好ましく、0.2~2質量%がより好ましく、0.3~1質量%がさらに好ましい。
【0019】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、0.1~100が好ましく、0.5~60がより好ましく、1.0~20がさらに好ましい。
【0020】
成分(C)の球状シリコーン弾性粉体としては、シリコーンゴム粉体、シリコーンゴム球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を被覆してなる複合ポリマー粉体などが挙げられる。
球状シリコーン弾性粉体は、ゴム弾性が5~80の範囲であることが好ましく、20~50がより好ましい。ゴム弾性は、JIS K 7215に従い、デュロメータAにより測定される。
成分(C)としては、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、シリコーンゴム球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を被覆してなる複合ポリマー粉体が好ましい。
【0021】
シリコーンゴム球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を被覆してなる複合ポリマー粉体としては、例えば、(a)ビニル基含有オルガノポリシロキサンと(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含む、油系の水中油型乳化物に触媒を加えて硬化反応させ、球状シリコーンゴム硬化物微粒子分散液とした後、その水分散液にアルカリ性物質又はアルカリ性水溶液と、オルガノトリアルコキシシランを添加し、オルガノトリアルコキシシランを加水分解、縮合硬化反応させた後、乾燥させて得ることができる。この複合粉体の製造方法の詳細は、特開平7-196815号公報に記載されている。
【0022】
成分(C)の球状シリコーン弾性粉体は、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、体積平均粒子径が、1~50μmであるのが好ましく、8~40μmであるのがより好ましく、12~35μmがさらに好ましく、14~30μmがよりさらに好ましい。その形状は、球状で、真球、略球状、回転楕円体を含み、表面に凹凸がある球状粉体等であっても良い。球状粉体の短径/長径の比、すなわち楕円率は、1.5以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、1.1以下がさらに好ましい。
ここで、粉体の体積平均粒子径は、エタノールを分散媒として、レーザー回折散乱式粒度分布測定器(セイシン企業社製、LMS-350)で測定された値である。なお、体積平均粒子径は、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。
なお、本発明で含有される他の粉体の体積平均粒子径に関しても、同様の方法で測定される。
【0023】
このような球状シリコーン弾性粉体は、上述した製法により製造したものに加え、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、シリコーンゴム粉体として、トレフィルE-506S(体積平均粒子径4μm、ゴム弾性30)、トレフィルE-508(体積平均粒子径4μm、ゴム弾性17)(以上、東レ・ダウコーニング社製)、シリコーンゴム球状微粒子にポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を被覆してなる複合ポリマー粉体として、KSP-101(体積平均粒子径11μm、ゴム弾性30)、KSP-102(体積平均粒子径21μm、ゴム弾性30)(以上、信越化学工業社製)等を用いることができる。
【0024】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、含有量は、全組成中に0.05~5質量%であり、0.08~3.8質量%が好ましく、0.15~2.8質量%がより好ましい。
【0025】
本発明において、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、0.1~80が好ましく、0.2~50がより好ましく、0.5~30がさらに好ましい。
【0026】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(D)体積平均粒子径5~100μm、アスペクト比10~100の無機板状粉体を含有することが好ましく、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制することができる。
成分(D)の板状粉体は、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、体積平均粒子径8~60μmが好ましく、10~30μmがより好ましく、アスペクト比10~80が好ましく、15~70がより好ましい。
ここで、板状とは、形状が狭義の板状の他、薄片状、鱗状等の形状の粉体も含まれる。
また、アスペクト比は、体積平均粒子径と粒子の平均厚さとの比により計算されるものであり、アスペクト比=(体積平均粒子径/平均厚さ)で定義される。
なお、粒子の平均厚さは、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡により観察して測定した10~50個の母粒子の厚さを数平均して求められる。
【0027】
成分(D)の板状粉体としては、例えば、板状酸化亜鉛、板状酸化チタン、板状酸化セリウム、板状硫酸バリウム、タルク、マイカ、板状カオリン、セリサイト、白雲母、板状合成雲母、金雲母、合成金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、板状無水ケイ酸、板状ヒドロキシアパタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、板状セラミックスパウダー、板状アルミナ、板状窒化ホウ素、板状酸化鉄、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン処理マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、アルミニウム、板状ガラス末等が挙げられる。
成分(D)の板状粉体としては、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、板状酸化亜鉛、タルク、マイカ、板状合成雲母、合成金雲母、板状窒化ホウ素が好ましく、板状酸化亜鉛、タルク、合成金雲母、板状窒化ホウ素がより好ましく、合成金雲母がさらに好ましい。
成分(D)としては、例えば、PDM-1000S(体積平均粒子径12μm、アスペクト比20)、PDM-40L(体積平均粒子径40μm、アスペクト比80)(以上、トピー工業社製)等の市販品を用いることができる。
また、成分(D)の板状粉体は、そのまま用いることができるほか、成分(A)と同様に、疎水化処理したものを用いることもできる。
【0028】
成分(D)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、含有量は、全組成中に0.1~10質量%が好ましく、0.2~8質量%がより好ましく、0.5~6質量%がさらに好ましい。
【0029】
本発明において、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、0.01~20が好ましく、0.02~10がより好ましく、0.03~3がさらに好ましい。
【0030】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(E)揮発性油を含有することが好ましく、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制することができる。揮発性とは、35~87℃の引火点を有するものである。
揮発性油としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等の直鎖状ジメチルポリシロキサン;トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の分岐状シロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシロキサンなどの揮発性シリコーン油;イソドデカン、イソトリデカン、イソヘキサデカンなどの揮発性炭化水素油;エチルパーフルオロブチルエーテルなどのフッ素油などが挙げられる。
これらのうち、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、揮発性シリコーン油、揮発性炭化水素油が好ましく、揮発性シリコーン油がより好ましく、直鎖状ジメチルポリシロキサンがより好ましい。
また、同様の観点から、少なくとも揮発性シリコーン油を含むことが好ましく、少なくとも直鎖状ジメチルポリシロキサンを含むことがより好ましい。
【0031】
成分(E)は、1種又は2種以上を用いることができ、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ち、塗布時のすじムラを抑制する観点から、含有量は、全組成中に10~60質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましく、20~40質量%がさらに好ましい。
【0032】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(F)ポリメチルシルセスキオキサンを含有することが好ましく、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ちを抑制することができる。
ポリメチルシルセスキオキサンは、メチルトリメトキシシロキサンをアルカリ水溶液中で乳化重合させた球状粉体であり、シリコーンKMP-590(信越化学工業社製;体積平均粒子径2.1μm)、トスパール1110A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製;体積平均粒子径10.4μm)等の市販品を用いることができる。
成分(F)のポリメチルシルセスキオキサンは、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ちを抑制する観点から、体積平均粒子径1.0~15μmであるのが好ましく、1.3~7μmがより好ましく、1.5~4μmがさらに好ましい。
【0033】
成分(F)は、1種又は2種以上を用いることができ、シミ・ソバカスに対するカバー力を向上させ、白浮き、塗布直後及び経時での毛穴の目立ちを抑制する観点から、含有量は、全組成中に0.1~6質量%が好ましく、0.2~4質量%がより好ましく、0.3~2.5質量%がさらに好ましい。
【0034】
本発明の油中水型乳化化粧料において、(G)水の含有量は、全組成中に5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、25~45質量%がさらに好ましい。
【0035】
本発明の乳化化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、成分(A)、(C)、(D)及び(F)以外の粉体、成分(E)以外の油性成分、界面活性剤、エタノール、多価アルコール、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤などを含有することができる。
【0036】
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法により製造することができ、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができ、乳液状、クリーム状が好ましい。
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、リキッドファンデーション、コンシーラー、日やけ止め乳液、日焼け止めクリームがより好ましく、化粧下地、リキッドファンデーションがさらに好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料は、単品のみの使用においても、リキッドファンデーションやパウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の重ね付けにおいても使用することができる。
【実施例
【0037】
製造例1(トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5質量%処理酸化鉄1.75質量%被覆酸化チタンの製造)
水に数平均粒子径が0.25μmのルチル型酸化チタン(テイカ社製、MP-1133)100kgを分散させ、ポリ硫酸第二鉄(Fe23として、酸化チタンの質量に対して、1.75質量%)を投入し、60℃に加熱した。アンモニア水にてpH7.5へ中和し、水酸化鉄(酸化鉄)を酸化チタン表面に析出させた。得られた複合化物を水洗し、110℃で10~12時間乾燥させた。乾燥物を590℃で焙焼させたのち、粉砕し、酸化鉄1.75質量%被覆酸化チタンを得た。
その後、得られた酸化鉄1.75質量%被覆酸化チタン1kgに対して5質量%のトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン(デグサ社製、DYNASYLAN F8261)のイソプロピルアルコール溶液を作製し、攪拌層で攪拌されている前記酸化鉄1.75質量%被覆酸化チタン1kgと混合し、イソプロピルアルコールを加熱除去して攪拌層から粉体を取り出した。この後、100℃にて6時間加熱処理を行い、粉砕してトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5質量%処理酸化鉄1.75質量%被覆酸化チタンを得た。
得られたトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5質量%処理酸化鉄1.75質量%被覆酸化チタンは、数平均粒子径0.25μmであった。
【0038】
実施例1~13及び比較例1~3
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料を製造し、シミ・ソバカスに対するカバー力、白浮きのなさ、塗布直後の毛穴の目立ちにくさ、塗布4時間後の毛穴の目立ちにくさ、塗布時のすじムラのなりにくさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0039】
(製法)
成分(B)及び(E)を含む油相を、ディスパー(1000rpm)で5分間撹拌した。次に、成分(A)、(C)、(D)及び(F)を含む粉体相を、油相中にディスパー(1500rpm)で撹拌しながら1分間で添加し、更に15分間撹拌した。粉体相が均一に分散したことを確認した後、成分(G)を含む水相に、油相をプロペラ攪拌機(450rpm)で撹拌しながら10分間で添加し、更に10分間プロペラで撹拌した。その後、ホモミキサー(3000rpm)で、5分間撹拌し、脱泡を行い、油中水型乳化化粧料を得た。
【0040】
(評価方法)
(1)シミ・ソバカスに対するカバー力:
専門評価者5人が各油中水型乳化化粧料を顔に塗布し、シミ・ソバカスに対するカバー力を、以下の基準で評価した。結果を、専門評価者5人の合計点で示した。
5;シミ・そばかすが全く目立たない。
4;シミ・そばかすがほとんど目立たない。
3;シミ・そばかすがあまり目立たない。
2;シミ・そばかすがやや目立つ。
1;シミ・そばかすが非常に目立つ。
【0041】
(2)白浮きのなさ:
専門評価者5人が各油中水型乳化化粧料を顔に塗布し、顔全体が周囲から白く浮き上がって見えない感じを、以下の基準で評価した。結果を、専門評価者5人の合計点で示した。
5;白浮きが全く目立たない。
4;白浮きがほとんど目立たない。
3;白浮きがあまり目立たない。
2;白浮きがやや目立つ。
1;白浮きが非常に目立つ。
【0042】
(3)塗布直後の毛穴の目立ちにくさ:
専門評価者5人が各油中水型乳化化粧料を顔に塗布し、塗布直後の毛穴の目立ちにくさを、以下の基準で評価した。結果を、専門評価者5人の合計点で示した。
5;毛穴が全く目立たない。
4;毛穴がほとんど目立たない。
3;毛穴があまり目立たない。
2;毛穴がやや目立つ。
1;毛穴が非常に目立つ。
【0043】
(4)塗布4時間後の毛穴の目立ちにくさ:
専門評価者5人が各油中水型乳化化粧料を顔に塗布し、次いで、パウダーファンデーションを重ね付けし、4時間後の毛穴の目立ちにくさを、以下の基準で評価した。結果を、専門評価者5人の合計点で示した。
5;毛穴が全く目立たない。
4;毛穴がほとんど目立たない。
3;毛穴があまり目立たない。
2;毛穴がやや目立つ。
1;毛穴が非常に目立つ。
【0044】
(5)塗布時のすじムラのなりにくさ:
専門評価者5人が各油中水型乳化化粧料を顔の肌上に置き、3回指でのばしたとき、肌上でのすじムラのなりにくさについて、以下の基準で評価した。結果を、専門評価者5人の合計点で示した。
5;すじムラが全く目立たない。
4;すじムラがほとんど目立たない。
3;すじムラがあまり目立たない。
2;すじムラがやや目立つ。
1;すじムラが非常に目立つ。
【0045】
【表1】