(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】回転電機、送風機、および回転電機の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 5/16 20060101AFI20220926BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20220926BHJP
F04D 29/056 20060101ALI20220926BHJP
F16C 19/54 20060101ALI20220926BHJP
F16C 35/12 20060101ALI20220926BHJP
F16C 35/077 20060101ALI20220926BHJP
F16C 25/08 20060101ALI20220926BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H02K5/16 Z
F04D29/00 A
F04D29/056 B
F16C19/54
F16C35/12
F16C35/077
F16C25/08 Z
H02K7/14 A
(21)【出願番号】P 2018000440
(22)【出願日】2018-01-05
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【氏名又は名称】竹中 岑生
(72)【発明者】
【氏名】中野 愛子
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 光将
(72)【発明者】
【氏名】鬼橋 隆之
(72)【発明者】
【氏名】三國 雅知
(72)【発明者】
【氏名】寺本 昌也
(72)【発明者】
【氏名】堀内 俊博
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/169033(WO,A1)
【文献】特開2013-044435(JP,A)
【文献】特開2016-138653(JP,A)
【文献】特開平09-233791(JP,A)
【文献】特開2010-054004(JP,A)
【文献】特開2014-142071(JP,A)
【文献】実開平01-101168(JP,U)
【文献】特開2004-332900(JP,A)
【文献】実開平01-106629(JP,U)
【文献】特開2008-199764(JP,A)
【文献】特開2012-135188(JP,A)
【文献】特開2005-106214(JP,A)
【文献】特開平09-084293(JP,A)
【文献】実開昭56-018424(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム内に、回転軸に設置された回転子と、前記回転子の径方向の外側に設置された固定子とを備え、前記回転軸に前記回転子と異なる箇所に設置された負荷部を回転駆動する回転電機において、
前記回転軸の前記回転子と前記負荷部との間に軸受部が形成され、
前記フレームは、軸方向の前記負荷部側に前記回転軸が貫通する第一底部を有する第一フレーム部と、前記第一フレーム部の径方向の長さより径方向の長さが長く形成されるとともに前記第一フレーム部に軸方向に連続して形成され、前記第一フレーム部側に第二底部を有する第二フレーム部とにて形成され、
前記第一フレーム部には、前記軸受部が設置され、
前記第二フレーム部には、前記回転子および前記固定子が設置され、
前記軸受部は、軸方向において、前記負荷部側に設置された第一軸受部と、前記回転子側に設置された第二軸受部と、前記第一軸受部と前記第二軸受部との間に設置され前記第一軸受部の外輪および前記第二軸受部の外輪に予圧を印加する予圧部とを有し、
前記第一軸受部は、前記予圧部により前記第一フレーム部の前記第一底部に固定され、
前記第二軸受部は、前記第一フレーム部の内側壁との間において接着層を介して固定され、
前記予圧部は、軸方向において前記負荷部側から第一ワッシャ、スペーサ、第二ワッシャの順番に配置して形成され、
前記スペーサと、前記第一フレーム部とは線膨張係数が同一の部材にて形成され、
前記第一ワッシャは、前記第一軸受部のクリープ力より高い摩擦力となる摩擦係数を有し、前記第一軸受部の外輪を加圧する部材にて形成され、
前記第二ワッシャは、前記第二軸受部の外輪を加圧する波ワッシャにて形成される回転電機。
【請求項2】
フレーム内に、回転軸に設置された回転子と、前記回転子の径方向の外側に設置された固定子とを備え、前記回転軸に前記回転子と異なる箇所に設置された負荷部を回転駆動する回転電機において、
前記回転軸の前記回転子と前記負荷部との間に軸受部が形成され、
前記フレームは、軸方向の前記負荷部側に前記回転軸が貫通する第一底部を有する第一フレーム部と、前記第一フレーム部の径方向の長さより径方向の長さが長く形成されるとともに前記第一フレーム部に軸方向に連続して形成され、前記第一フレーム部側に第二底部を有する第二フレーム部とにて形成され、
前記第一フレーム部には、前記軸受部が設置され、
前記第二フレーム部には、前記回転子および前記固定子が設置され、
前記軸受部は、軸方向において、前記負荷部側に設置された第一軸受部と、前記回転子側に設置された第二軸受部と、前記第一軸受部と前記第二軸受部との間に設置され前記第一軸受部の外輪および前記第二軸受部の外輪に予圧を印加する予圧部とを有し、
前記第一軸受部は、前記予圧部により前記第一フレーム部の前記第一底部に固定され、
前記第二軸受部は、前記第一フレーム部の内側壁との間において接着層を介して固定され、
前記第二軸受部の軸方向の前記回転子側の端面は、前記第二フレーム部の前記第二底部の内面と軸方向において同一面上に形成され、
前記予圧部は、軸方向において前記負荷部側から第一ワッシャ、スペーサ、第二ワッシャの順番に配置して形成され、
前記スペーサと、前記第一フレーム部とは線膨張係数が同一の部材にて形成され、
前記第一ワッシャは、前記第一軸受部のクリープ力より高い摩擦力となる摩擦係数を有し、前記第一軸受部の外輪を加圧する部材にて形成され、
前記第二ワッシャは、前記第二軸受部の外輪を加圧する波ワッシャにて形成される回転電機。
【請求項3】
前記第一ワッシャは、ゴムワッシャにて形成される
請求項1または請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第一フレーム部の前記内側壁の前記回転子側の端部は、軸方向において、前記第二底部の内面と同じ位置、または前記第二底部の内面よりも前記負荷部側に配置されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記第一フレーム部と前記第二フレーム部との接続箇所の内壁は、フィレットまたは面取り部が形成される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記第一フレーム部と前記第二フレーム部との接続箇所の内壁は、前記第一フレーム部側から、前記第一フレーム部の内側壁と第一角度θ1を成す第一面取り部と、前記第一面取り部に連続するとともに前記第二フレーム部の前記第二底部と第二角度θ2を成す第二面取り部とを備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記第一フレーム部と前記第二フレーム部との接続箇所の前記第一フレーム部側には、段差部が形成され、
前記接着層は、前記第一フレーム部の前記段差部より前記負荷部側の前記第二軸受部と前記第一フレーム部の前記内側壁との間に形成される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記第二フレーム部の前記第二底部には、前記第一フレーム部と前記第二フレーム部との接続箇所と連続する箇所に、軸方向において前記負荷部側に窪む第一凹部が形成される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記第一軸受部と前記第一フレーム部の内側壁とは、径方向の幅が3μmから100μmの隙間ばめにて形成され、
前記接着層は、径方向の幅が3μmから100μmにて形成される請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記第二軸受部は、径方向の外周面に、径方向の内側に窪む第二凹部が形成され、
前記接着層は、前記第二凹部内に形成される請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の回転電機の前記負荷部が、前記回転軸に挿入された羽部にて形成される送風機。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の回転電機の製造方法において、
前記回転軸に前記回転子および前記軸受部を設置し、前記第二軸受部の外周に接着剤を塗布し、当該回転軸を前記固定子が設置された前記第二フレーム部および前記第一フレーム部内に挿入し、前記第一軸受部を前記予圧部により前記第一フレーム部の前記第一底部に固定するとともに、前記第二軸受部の前記接着剤を前記第一フレーム部の内側壁と接着して前記接着層として形成し固定する回転電機の製造方法。
【請求項13】
前記接着剤の塗布は、前記第二軸受部の軸方向の前記負荷部側の半分の長さ位置にて行う請求項12に記載の回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、簡便な構成で軸受部を設置できる回転電機、送風機、および回転電機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の回転電機および送風機において、磁石と回転軸とが一体となった回転子は、1つまたはそれ以上の軸受を有しており、当該軸受がフレームに取り付けられている。従来の軸受とフレームとの固定方法は、軸受をフレームに圧入する方法、軸受とフレームとの隙間に接着剤を挿入して固定する方法が用いられている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-44435号公報
【文献】特開2014-142071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回転電機および送風機は、軸受とフレームとの間に隙間がある状態で固定させるために、フレームに溝を設けて、この溝内に接着剤を流し込み、軸受とフレームとを固定させている。しかし、フレームに溝を作るとなると、フレームに溝を形成するために追加の加工を行う必要があるか、もしくは溝を考慮した複雑な形状のフレームを形成するためのフレーム型を作成する必要があり、コストが高くなるという問題点があった。また、接着剤の使用量は、軸受とフレームとを固定する量と、溝内に挿入させる量が追加で必要となり、さらに、当該溝内に溜まった多くの量の接着剤を硬化させるための時間が多く必要になり、コストが高くなるという問題点があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡便な構成で軸受部を設置でき、低コストとなる回転電機、送風機および回転電機の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の回転電機は、
フレーム内に、回転軸に設置された回転子と、前記回転子の径方向の外側に設置された固定子とを備え、前記回転軸に前記回転子と異なる箇所に設置された負荷部を回転駆動する回転電機において、
前記回転軸の前記回転子と前記負荷部との間に軸受部が形成され、
前記フレームは、軸方向の前記負荷部側に前記回転軸が貫通する第一底部を有する第一フレーム部と、前記第一フレーム部の径方向の長さより径方向の長さが長く形成されるとともに前記第一フレーム部に軸方向に連続して形成され、前記第一フレーム部側に第二底部を有する第二フレーム部とにて形成され、
前記第一フレーム部には、前記軸受部が設置され、
前記第二フレーム部には、前記回転子および前記固定子が設置され、
前記軸受部は、軸方向において、前記負荷部側に設置された第一軸受部と、前記回転子側に設置された第二軸受部と、前記第一軸受部と前記第二軸受部との間に設置され前記第一軸受部の外輪および前記第二軸受部の外輪に予圧を印加する予圧部とを有し、
前記第一軸受部は、前記予圧部により前記第一フレーム部の前記第一底部に固定され、
前記第二軸受部は、前記第一フレーム部の内側壁との間において接着層を介して固定され、
前記予圧部は、軸方向において前記負荷部側から第一ワッシャ、スペーサ、第二ワッシャの順番に配置して形成され、
前記スペーサと、前記第一フレーム部とは線膨張係数が同一の部材にて形成され、
前記第一ワッシャは、前記第一軸受部のクリープ力より高い摩擦力となる摩擦係数を有し、前記第一軸受部の外輪を加圧する部材にて形成され、
前記第二ワッシャは、前記第二軸受部の外輪を加圧する波ワッシャにて形成されるものである。
また、この発明の回転電機は、
フレーム内に、回転軸に設置された回転子と、前記回転子の径方向の外側に設置された固定子とを備え、前記回転軸に前記回転子と異なる箇所に設置された負荷部を回転駆動する回転電機において、
前記回転軸の前記回転子と前記負荷部との間に軸受部が形成され、
前記フレームは、軸方向の前記負荷部側に前記回転軸が貫通する第一底部を有する第一フレーム部と、前記第一フレーム部の径方向の長さより径方向の長さが長く形成されるとともに前記第一フレーム部に軸方向に連続して形成され、前記第一フレーム部側に第二底部を有する第二フレーム部とにて形成され、
前記第一フレーム部には、前記軸受部が設置され、
前記第二フレーム部には、前記回転子および前記固定子が設置され、
前記軸受部は、軸方向において、前記負荷部側に設置された第一軸受部と、前記回転子側に設置された第二軸受部と、前記第一軸受部と前記第二軸受部との間に設置され前記第一軸受部の外輪および前記第二軸受部の外輪に予圧を印加する予圧部とを有し、
前記第一軸受部は、前記予圧部により前記第一フレーム部の前記第一底部に固定され、
前記第二軸受部は、前記第一フレーム部の内側壁との間において接着層を介して固定され、
前記第二軸受部の軸方向の前記回転子側の端面は、前記第二フレーム部の前記第二底部の内面と軸方向において同一面上に形成され、
前記予圧部は、軸方向において前記負荷部側から第一ワッシャ、スペーサ、第二ワッシャの順番に配置して形成され、
前記スペーサと、前記第一フレーム部とは線膨張係数が同一の部材にて形成され、
前記第一ワッシャは、前記第一軸受部のクリープ力より高い摩擦力となる摩擦係数を有し、前記第一軸受部の外輪を加圧する部材にて形成され、
前記第二ワッシャは、前記第二軸受部の外輪を加圧する波ワッシャにて形成されるものである。
【0007】
また、この発明の送風機は、
上記記載の回転電機の前記負荷部が、前記回転軸に挿入された羽部にて形成されるものである。
【0008】
また、この発明の回転電機の製造方法は、
上記記載の回転電機の製造方法において、
前記回転軸に前記回転子および前記軸受部を設置し、前記第二軸受部の径方向の外側の外周に接着剤を塗布し、当該回転軸を前記固定子が設置された前記第二フレーム部および前記第一フレーム部内に挿入し、前記第一軸受部を前記予圧部により前記第一フレーム部の前記第一底部に固定するとともに、前記第二軸受部の前記接着剤を前記第一フレーム部の内側壁と接着して前記接着層として形成し固定するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の回転電機、送風機、および回転電機の製造方法によれば、
簡便な構成で軸受部を設置でき、低コストとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の実施の形態1における送風機の構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示した回転電機の軸受部の構成を示す拡大図である。
【
図3】
図1に示した送風機に用いられる回転電機の構成を示す図である。
【
図4】
図1に示した送風機の製造方法を示す図である。
【
図5】
図1に示した送風機の製造方法を示す図である。
【
図6】
図1に示した送風機の製造方法を示す図である。
【
図7】
図1に示した送風機の製造方法を示す図である。
【
図8】
図1に示した送風機の製造方法を示す図である。
【
図9】この発明の実施の形態2における送風機の構成を示す断面図である。
【
図10】
図9に示した回転電機の第一フレーム部と第二フレーム部との接続箇所の内壁の構成を示す拡大断面図である。
【
図11】この発明の実施の形態2における他の送風機の構成を示す断面図である。
【
図12】
図11に示した回転電機の第一フレーム部と第二フレーム部との接続箇所の内壁の構成を示す拡大断面図である。
【
図13】この発明の実施の形態2における他の送風機の構成を示す断面図である。
【
図14】
図13に示した回転電機の第一フレーム部と第二フレーム部との接続箇所の内壁の構成を示す拡大断面図である。
【
図15】この発明の実施の形態3における送風機の構成を示す断面図である。
【
図16】
図15に示した回転電機の第一フレーム部と第二フレーム部との接続箇所の内壁の構成を示す拡大断面図である。
【
図17】この発明の実施の形態4における送風機の構成を示す断面図である。
【
図18】この発明の実施の形態5における送風機の構成を示す断面図である。
【
図19】
図18に示した回転電機の第一フレーム部と第二フレーム部との接続箇所の構成を示す拡大断面図である。成を示す拡大断面図である。
【
図20】この発明の実施の形態6における送風機の構成を示す断面図である。
【
図21】
図20に示した送風機の回転電機の軸受部の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、本願発明の実施の形態について説明する。
図1はこの発明の実施の形態1における回転電機および送風機の構成を示す図である。
図2は
図1に示した回転電機の軸受部の構成を示す拡大図である。
図3は
図1に示した送風機に用いられる回転電機の構成を示す図である。
図3は
図1における軸方向の下側から見た状態を示す図である。
図4から
図8は
図1に示した送風機の製造方法を示す図である。
【0012】
本実施の形態1では、回転電機1に負荷部としての羽部8が設置された送風機100について説明する。また、回転電機1は4極4スロットの永久磁石型の例について説明する。但し、回転電機1の極数およびスロット数は適宜増減可能である。また、以下の説明において、回転電機1における各方向を、それぞれ軸方向Y、軸方向Yの回転電機1の羽部8側を上側Y1、軸方向Yの回転電機1の羽部8側と相反する側を下側Y2、径方向X、径方向Xの外側X1、径方向Xの内側X2として示す。よって、固定子2および回転子3においても、これらの方向は同一方向となる。また、他の実施の形態においても同様に説明する。
【0013】
図において、回転電機1は、フレーム4内に設置された、固定子2と、回転子3と、回転軸6と、軸受部9とを備える。回転電機1は、径方向Xの外側X1からフレーム4、固定子2、回転子3の順番で配置される。回転電機1の回転軸6の回転子3と異なる箇所である一端に負荷部として羽部8が設置される。軸受部9は回転軸6の回転子3と羽部8との間に形成される。
【0014】
固定子2はフレーム4に固定して設置される。固定子2は、回転子3と同心円状に形成され、回転子3との径方向Xの間には、空隙であるエアギャップ5が形成される。
図3に示すように、当該エアギャップ5は、径方向Xの幅W1が、0.1mm~2.5mmで形成される。固定子2は鉄心21と巻線22とを有す。鉄心21は円環状に構成された電磁鋼板を軸方向Yに積層して形成される。鉄心21の使用部材は、磁束を通す部材であればいずれであっても用いることができる。
【0015】
回転子3は回転軸6に固定して設置される。回転子3は、軸心位置に回転軸6に固定された永久磁石7と、永久磁石7の軸方向Yの両端に設置されたエンドキャップ71とを備える。永久磁石7は、回転軸6に一体成形または接着剤または圧入等で固定される。回転軸6の外周面には、ローレットが形成されており、このローレットの噛み込みで永久磁石7と回転軸6との強度を保っているが、当該強度を保持する手段としてはローレットに限定するものではない。エンドキャップ71は、永久磁石7の飛散防止として永久磁石7の軸方向Yの両端に配置される。エンドキャップ71の材料は、例えば黄銅を使用するが、これに限定するものではない。
【0016】
羽部8は、回転軸6に接着剤、ナット締結、または圧入等で固定されている。尚、回転軸6に固定されていればいずれの方法でもよく、羽部8の回転により空気を移動できればよい。回転電機1と羽部8とにより送風機100が構成される。送風機100とは、例えば掃除機などが考えられる。
【0017】
フレーム4は、軸方向Yの上側Y1に凸形状であり、第一フレーム部41と第二フレーム部42とにて構成される。また、第一フレーム部41と第二フレーム部42とは一体成形または固定等にて形成される。第一フレーム部41は、軸方向Yの羽部8側(上側Y1)に回転軸6が貫通する第一底部410を有する。第二フレーム部42は、第一フレーム部41の径方向Xの長さW2より径方向Xの長さW3が長く形成されるとともに第一フレーム部41に軸方向Yに連続して形成され、第一フレーム部41側に第二底部420を有する。第一フレーム部41には、軸受部9が設置される。第二フレーム部42には、回転子3および固定子2が設置される。
【0018】
軸受部9は、軸方向Yにおいて羽部8側(上側Y1)から、第一軸受部93、予圧部92、第二軸受部94の順番で配置される。第一軸受部93および第二軸受部94にて、当該回転電機1の軸受91が構成される。予圧部92は、第一軸受部93、および、第二軸受部94に予圧を印加する。予圧部92は、第一ワッシャとしてのゴムワッシャ95と、スペーサ96と、第二ワッシャとしての波ワッシャ97とから構成される。予圧部92は、軸方向Yにおいて羽部8側(上側Y1)から、ゴムワッシャ95、スペーサ96、波ワッシャ97の順番で配置される。
【0019】
第一ワッシャとして、第一軸受部93のクリープ力より高い摩擦力となる摩擦係数を容易に得ることができる部材であるゴムワッシャ95にて形成する例を示したが、これに限られるものではなく、他の部材でも同様の機能を有するものであれば利用可能である。スペーサ96は、非磁性部材である例えばアルミニウムにて形成される。波ワッシャ97は、例えばステンレスにて形成される。
【0020】
ゴムワッシャ95、スペーサ96、波ワッシャ97は、それぞれ隙間ばめで回転軸6に挿入される。また、ゴムワッシャ95および波ワッシャ97の内径は、第一軸受部93、および、第二軸受部94の内輪の外径よりも大きく形成される。これにより、第一軸受部93、および、第二軸受部94の内輪は予圧部92により加圧されず、回転軸6とともに回転可能となる。
【0021】
また、スペーサ96と第一フレーム部41の内側壁411とは隙間ばめにて設置されるため隙間が構成される。よって、第一フレーム部41の線膨張係数は、スペーサ96の線膨張係数と同一の部材にて形成することが望ましい。このように形成すれば、回転電機1が高温環境に設置された場合、第一フレーム部41とスペーサ96との間の間隔(隙間)の変化を防止できる。
【0022】
第一軸受部93は、第一フレーム部41の第一底部410とゴムワッシャ95との間に挟まれており、ゴムワッシャ95が第一軸受部93の外輪を加圧する。よって、第一軸受部93は、ゴムワッシャ95の摩擦力と、第一フレーム部41の第一底部410が第一軸受部93を押し付けている力とで、第一軸受部93の外輪は回転しないように固定される。
【0023】
第二軸受部94は、波ワッシャ97と接触して形成され、波ワッシャ97の予圧により第二軸受部94の外輪が加圧される。第二軸受部94は、第一フレーム部41の内側壁411との間において接着層110を介して固定される。接着層110は、第二軸受部94と第一フレーム部41の内側壁411とが固定できる接着剤であればどのような素材を使用してもよい。第一軸受部93と第一フレーム部41の内側壁411とは、径方向Xの幅が、接着層110と同様の3μmから100μmの隙間ばめにて形成される。接着層110は、径方向Xの幅が3μmから100μmにて形成される。
【0024】
接着層110の幅および隙間ばめが上記のように構成されるため、第一軸受部93および第二軸受部94の同軸度の精度が向上し、回転子3のふれを抑制して、固定できる。第二軸受部94の軸方向Yにおいて波ワッシャ97と接触していない側の端面941は、軸方向Yにおいて第二フレーム部42の第二底部420の内面と同一面上に形成される。
【0025】
次に、上記のように構成された実施の形態1の回転電機1および送風機100の製造方法について
図1および
図4から
図8を用いて説明する。まず、回転軸6に永久磁石7を一体成形し、エンドキャップ71を設置する(
図4)。次に、回転軸6に永久磁石7が配置されていない側から、第二軸受部94、波ワッシャ97、スペーサ96、ゴムワッシャ95、第一軸受部93を挿入する(
図5)。この際、第二軸受部94と第一軸受部93とは回転軸6に対して圧入となる公差寸法で挿入する。また、波ワッシャ97は第二軸受94に予圧を加える。
図5の状態となった段階で、軸受部9が回転軸6に挿入されたこととなる。
【0026】
次に、第二軸受部94の外周面に接着剤10を塗布する(
図6)。尚、第二軸受部94に塗布される接着剤10の量は、後述する工程において、第二軸受部94と第一フレーム部41と径方向Xの間を隙間なく充填でき、さらに、この隙間から溢れ出ない量にて塗布される。当該条件を満たせば、第二軸受部94に塗布される接着剤10の量はいずれであってもよい。また、
図6においては、第二軸受部94の外周面の全面に接着剤10を塗布する例を示したが、これに限られるものではなく、接着剤10が第二フレーム部42側に溢れ出ないようにするために、第二軸受部94の軸方向Yの羽部8側(上側Y1)の半分の箇所のみに接着剤10を塗布する場合も考えられる。また、接着剤10は第二軸受部94の外周面の全周に塗布する例を示したが、これに限られるものではなく、第二軸受部94の外周面の周方向に間隔を隔てて複数箇所、例えば、4箇所に塗布する場合も考えられる。
【0027】
次に、固定子2を第二フレーム部42に設置する。そして、固定子2が設置されたフレーム4に、回転軸6を
図7に示す矢印Aの方向に挿入する。ここで、軸受部9はフレーム4の第一フレーム部41に挿入される。この時、第一軸受部93はゴムワッシャ95により第一フレーム部41の第一底部410に接触しており、ゴムワッシャ95と第一フレーム部41の第一底部410とで第一軸受部93の外輪を加圧し、第一軸受部93の外輪が回転しないように固定される。そして、第二軸受部94に塗布された接着剤10を第一フレーム部41の内側壁411に接着させる。
【0028】
またこの際、第二軸受部94の軸方向Yにおいて波ワッシャ97と接触していない側の端面941は、軸方向Yにおいて第二フレーム部42の第二底部420の内面と同一面上に形成されるため、接着剤10が溢れたとしても、第二フレーム部42の第二底部420側に漏れ、第二軸受部94の内輪側に漏れることを防止できる。
【0029】
当該接着剤10の硬化には、一般的に1時間~12時間の硬化時間が必要であるため、
図8に示すように、硬化中は永久磁石7が上向き、すなわち、軸方向Yの下側Y2が上側となるような配置して硬化させる。そして、接着剤10を硬化させて接着層110として形成する。そして、第二軸受部94は、第一フレーム部41の内側壁411との間において接着層110を介して確実に固定され、回転電機1が製造される。次に、第一フレーム部41から軸方向Yの上側Y1に突出している回転軸6に羽部8を設置し、送風機100を製造する(
図1)。
【0030】
上記のように構成された実施の形態1の回転電機、送風機および回転電機の製造方法によれば、回転軸の回転子と負荷部との間に軸受部が形成され、フレームは、軸方向の負荷部側に回転軸が貫通する第一底部を有する第一フレーム部と、第一フレーム部の径方向の長さより径方向の長さが長く形成されるとともに第一フレーム部に軸方向に連続して形成され、第一フレーム部側に第二底部を有する第二フレーム部とにて形成され、第一フレーム部には、軸受部が設置され、第二フレーム部には、回転子および固定子が設置され、軸受部は、軸方向において、負荷部側に設置された第一軸受部と、回転子側に設置された第二軸受部と、第一軸受部と第二軸受部との間に設置され第一軸受部および第二軸受部に予圧を印加する予圧部とを有し、第一軸受部は、予圧部により第一フレーム部の第一底部に固定され、第二軸受部は、第一フレーム部の内側壁との間において接着層を介して固定されているため、予圧部により第一軸受部は第一フレーム部の第一底部に固定され、接着層により第二軸受部は、第一フレーム部の内側壁に固定されるため、簡便な構成で、軸受部を設置することができ、軸受部の軸方向に加わる力による抜けを防止できる。よって、低コストにて製造できる。
【0031】
また、片側の第二軸受部にのみ接着層を形成するため、少量の接着剤で、軸受部と第一フレーム部とを固定できる。
また、第一軸受部は、予圧部により第一フレームの第一底部に加圧され固定できるため、フレームの形状が単純化できる。
【0032】
また、第二軸受部の軸方向の回転子側の端面は、第二フレーム部の第二底部の内面と軸方向において同一面上に形成されるため、第二軸受部が第一フレーム部内に確実に収納され、第二軸受部の軸受の機能を確実に得ることができる。また、第二軸受部の軸方向の回転子側の端面側に接着剤が漏れた場合、第二フレーム部の第二底部側に漏れ、第二軸受部の内輪側に漏れることを防止できる。
【0033】
また、第一フレーム部の線膨張係数と、スペーサの線膨張係数とを同一にて形成するため、スペーサと第一フレーム部との径方向の隙間が温度変化、例えば高温になっても変化しないため、軸受部が壊れにくくなる。
【0034】
また、第一ワッシャは、第一軸受部のクリープ力より高い摩擦力となる摩擦係数を有する部材にて形成されるため、第一軸受部を確実に第一フレーム部に保持できる。さらに、第一ワッシャをゴムワッシャにて形成するため、当該効果を容易に得ることができる。
【0035】
接着層は、径方向の幅が3μmから100μmにて形成され、第一軸受部と第一フレーム部とは、径方向の幅が3μmから100μmの隙間ばめにて形成されるため、接着層の固着力を最大限に活用できる。
【0036】
また、回転軸に回転子および軸受部を設置し、第二軸受部の径方向の外側の外周に接着剤を塗布し、当該回転軸を固定子が設置された第二フレーム部および第一フレーム部内に挿入し、第一軸受部を予圧部により第一フレーム部の第一底部に固定するとともに、第二軸受部の接着剤を第一フレーム部の内側壁と接着して接着層として形成し固定して回転電機を製造するため、容易、かつ、簡便に組み立てることが可能となる。
【0037】
また、接着剤の塗布は、第二軸受部の軸方向の負荷部側の半分の長さ位置にて行うため、接着剤が溢れることを防止できる。
【0038】
尚、上記実施の形態1においては、軸受部に、第一軸受部および第二軸受部の二つの軸受部を備える例を示したが、これに限られることはなく、例えば、スペーサが分割され、第一軸受部と第二軸受部との軸方向の間に他の軸受部が設置される場合も考えられる。
【0039】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁の形状について特に示していないが、本実施の形態2においては、第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430の特徴的な構成について説明する。
【0040】
図9はこの発明の実施の形態2における送風機の構成を示す断面図である。
図10は
図9に示した第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430の構成を示す拡大断面図である。
図11はこの発明の実施の形態2における他の送風機の構成を示す断面図である。
図12は
図11に示した第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430の構成を示す拡大断面図である。
図13はこの発明の実施の形態2における他の送風機の構成を示す断面図である。
図14は
図13に示した第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430の構成を示す拡大断面図である。
【0041】
図において、上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図9および
図10は第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430が、フィレット431にて形成される。また、
図11および
図12は第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430が、長さL1=長さL2となる45度の面取り部432にて形成される。また、
図13および
図14は第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430が、長さL3>長さL4または長さL3<長さL4となる45度以外の角度の面取り部433にて形成される。尚、
図14は、長さL3>長さL4の場合を示したものである。
【0042】
上記のように構成された実施の形態2における回転電機1によれば、上記実施の形態1と同様に、
図6に示すように、第二軸受部94に塗布される接着剤10の量は、第二軸受部94と第一フレーム部41と径方向Xの間を隙間なく充填でき、さらに、この隙間から溢れ出ない量にて塗布されている。しかしながら、
図7に示すように、回転軸6をフレーム4内に挿入した場合、接着剤10がもし溢れたとしても、本実施の形態2に示したように、内壁430が、フィレット431、面取り部432、面取り部433にて形成されていれば、フィレット431、面取り部432、面取り部433の各箇所を、溢れた接着剤10の液溜まりとして使用できる。そして、当該箇所内に接着剤10を収めることで、第二フレーム部42の第二底部420に接着剤10が溢れ出ない。
【0043】
上記のように構成された実施の形態2の回転電機、送風機および回転電機の製造方法によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、第一フレーム部と第二フレーム部との接続箇所の内壁が、フィレットまたは面取り部にて形成されているため、接着剤の液溜まりの役割を果たし、第二フレーム部の第二底部に接着剤が溢れることを防止できる。当該フィレットまたは面取り部は、簡便に形成可能であり、フレームの形状を簡素化でき、成形加工費を抑制できる。
【0044】
また、上記実施の形態2においては、長さL3>長さL4の場合を示し、当該箇所が接着剤の液溜まりの役割を果たす場合を示したが、長さL3<長さL4の場合には、当該箇所は、接着剤の液溜まりの役割に加えて、さらに、長さL3>長さL4の場合より、第二軸受部が第一フレーム部から抜けにくくする役割を果たすことができる。
【0045】
実施の形態3.
上記実施の形態2においては、第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁をフィレット431、面取り部432、面取り部433など1つの曲面または傾斜面にて形成する例を示したが、これに限定するものではなく、本実施の形態3では、第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430を、二段の面取り部にて形成する場合について説明する。
図15はこの発明の実施の形態3における送風機の構成を示す断面図である。
図16は
図15に示した回転電機の第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430の構成を示す拡大断面図である。
【0046】
図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430が、第一フレーム部41側から、第一フレーム部41の内側壁411と第一角度θ1を成す第一面取り部444と、第一面取り部444に連続するとともに第二フレーム部42の第二底部420と第二角度θ2を成す第二面取り部445とを備える。
【0047】
上記のように構成された実施の形態3における回転電機1によれば、上記各実施の形態と同様に、
図6に示すように、第二軸受部94に塗布される接着剤10の量は、第二軸受部94と第一フレーム部41と径方向Xの間を隙間なく充填でき、さらに、この隙間から溢れ出ない量にて塗布されている。しかしながら、
図7に示すように、回転軸6をフレーム4内に挿入した場合、接着剤10がもし溢れたとしても、本実施の形態3に示したように、内壁430が、第一面取り部444および第二面取り部445にて形成されていれば、第一面取り部444および第二面取り部445を、溢れた接着剤10の液溜まりとして使用できる。そして、当該箇所内に接着剤10を収めることで、第二フレーム部42の第二底部420に接着剤10が溢れ出ない。また、第一面取り部444は第二軸受部94を第一フレーム部41に固定する役割を果たす。また、第二面取り部445を備えているので、接着剤10の塗布裕度を大きくすることができる。
【0048】
上記のように構成された実施の形態3の回転電機、送風機および回転電機の製造方法によれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、第一フレーム部と第二フレーム部との接続箇所の内壁が、第一フレーム部側から、第一フレーム部の内側壁と第一角度θ1を成す第一面取り部と、第一面取り部に連続するとともに第二フレーム部の第二底部と第二角度θ2を成す第二面取り部とを備えるため、第一面取り部および第二面取り部の箇所が多くの接着剤の液溜まりの役割を果たし、第二フレーム部の第二底部に接着剤が溢れることを防止できる。さらに、第一面取り部は第二軸受部を第一フレーム部に固定する役割を果たす。また、第二面取り部は、接着剤の塗布裕度を大きくすることができる。
【0049】
実施の形態4.
上記各実施の形態においては、第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430をフィレット431などの面を形成する例を示したが、これに限定するものではなく、本実施の形態4では、段差部を形成する場合について説明する。
図17はこの発明の実施の形態4における送風機の構成を示す断面図である。
【0050】
図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の第一フレーム部41側に段差部446が形成される。そして、接着層110は、第一フレーム部41の段差部446より羽部8側(上側Y1)の第二軸受部94と第一フレーム部41の内側壁411との間に形成される。段差部446の軸方向Yの長さL5は、第二軸受部94の軸方向Yの長さL6との関係が、L5<(L6/2)となるように設定される。これは、第二軸受部94を第一フレーム部41の内側壁411に固定するための、接着層110の長さ(L6-L5)を確保するためである。
【0051】
上記のように構成された実施の形態4における回転電機1によれば、上記各実施の形態と同様に、
図6に示すように、第二軸受部94に塗布される接着剤10の量は、第二軸受部94と第一フレーム部41と径方向Xの間を隙間なく充填でき、さらに、この隙間から溢れ出ない量にて塗布されている。しかしながら、
図7に示すように、回転軸6をフレーム4内に挿入した場合、接着剤10がもし溢れたとしても、本実施の形態4に示したように、段差部446が形成されており、段差部446を溢れた接着剤10の液溜まりとして使用できる。そして、当該箇所内に接着剤10を収めることで、第二フレーム部42の第二底部420に接着剤10が溢れ出ない。
【0052】
上記のように構成された実施の形態4の回転電機、送風機および回転電機の製造方法によれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、第一フレーム部と第二フレーム部との接続箇所の第一フレーム部側に段差部が形成されるため、当該箇所が接着剤の液溜まりの役割を果たし、第二フレーム部の第二底部に接着剤が溢れることを防止できる。また、第一フレーム部の段差部より負荷部側の第二軸受部と第一フレーム部の内側壁との間に接着層が形成されるため、第二軸受部の第一フレーム部への固定を確保できる。
【0053】
実施の形態5.
上記各実施の形態においては、第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の内壁430をフィレット431などの面または段差部446を形成する例を示したが、これに限定するものではなく、本実施の形態5では、第二フレーム部42の第二底部420に第一凹部447を形成する場合について説明する。
図18はこの発明の実施の形態5における送風機の構成を示す断面図である。
図19は
図18に示した第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所の構成を示す拡大断面図である。
【0054】
図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。第二フレーム部42の第二底部420には、第一フレーム部41と第二フレーム部42との接続箇所と連続する箇所に、軸方向Yにおいて羽部8側に窪む第一凹部447が形成される。
図20で示すように、本実施の形態5では第一凹部447を丸形状であって、4箇所にて形成する例を示しているか、この形状および個数に限定するものではなく、必要に応じた形状および個数が形成される。
【0055】
上記のように構成された実施の形態5における回転電機1によれば、上記各実施の形態と同様に、
図6に示すように、第二軸受部94に塗布される接着剤10の量は、第二軸受部94と第一フレーム部41と径方向Xの間を隙間なく充填でき、さらに、この隙間から溢れ出ない量にて塗布されている。しかしながら、
図7に示すように、回転軸6をフレーム4内に挿入した場合、接着剤10がもし溢れたとしても、本実施の形態5に示したように、第一凹部447が形成されており、第一凹部447を溢れた接着剤10の液溜まりとして使用できる。そして、当該箇所内に接着剤10を収めることで、第二フレーム部42の第二底部420の他の箇所に接着剤10が溢れ出ない。
【0056】
上記のように構成された実施の形態5の回転電機、送風機および回転電機の製造方法によれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、第二フレーム部の第二底部には、第一フレーム部と第二フレーム部との接続箇所と連続する箇所に、軸方向において負荷部側に窪む第一凹部が形成されるため、当該箇所が接着剤の液溜まりの役割を果たし、第二フレーム部の第二底部の他の箇所に接着剤が溢れることを防止できる。
【0057】
実施の形態6.
上記各実施の形態においては、第二軸受部94の形状について特に示していないが、本実施の形態6においては、第二軸受部94の形状の特徴的な構成について説明する。
図20はこの発明の実施の形態6における送風機の構成を示す断面図である。
図21は
図20に示した送風機の回転電機の軸受部の構成を示す拡大断面図である。
【0058】
図において、上記各実施の形態と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。第二軸受部94は、径方向Xの外周に、径方向Xの内側X2に窪む第二凹部942が形成される。また接着層110は、第二軸受部94と、第一フレーム部41の内側壁411との間に形成されるとともに、第二凹部942内にも形成される。
【0059】
上記のように構成された実施の形態6における回転電機1によれば、上記各実施の形態と同様に形成され、接着層110は、第二軸受部94と、第一フレーム部41の内側壁411との間に形成され、さらに、第二軸受部94の第二凹部942にも形成される。
【0060】
上記のように構成された実施の形態6の回転電機、送風機および回転電機の製造方法によれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、第二軸受部は、径方向の外周に、径方向の内側に窪む第二凹部が形成され、接着層は、第二凹部内に形成されるため、第二凹部が接着剤の液溜まりの役割を果たし、第二フレーム部の第二底部に接着剤が溢れることを防止できる。
【0061】
尚、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 回転電機、2 固定子、3 回転子、4 フレーム、5 エアギャップ、
6 回転軸、7 永久磁石、8 羽部、9 軸受部、10 接着剤、21 鉄心、
22 巻線、41 第一フレーム部、42 第二フレーム部、71 エンドキャップ、
91 軸受、92 予圧部、93 第一軸受部、94 第二軸受部、
95 ゴムワッシャ、96 スペーサ、97 波ワッシャ、100 送風機、
110 接着層、410 第一底部、411 内側壁、420 第二底部、
430 内壁、431 フィレット、432 面取り部、433 面取り部、
444 第一面取り部、445 第二面取り部、446 段差部、447 第一凹部、
941 端面、942 第二凹部、L1 長さ、L2 長さ、L3 長さ、L4 長さ、L5 長さ、L6 長さ、W1 幅、W2 長さ、W3 長さ、X 径方向、
X1 外側、X2 内側、Y 軸方向、Y1 上側、Y2 下側、θ1 第一角度、
θ2 第二角度。