(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】燻煙型蒸散剤組成物及び燻煙型蒸散装置
(51)【国際特許分類】
A01N 25/18 20060101AFI20220926BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220926BHJP
A01N 59/16 20060101ALI20220926BHJP
A01N 53/08 20060101ALI20220926BHJP
A01N 31/08 20060101ALI20220926BHJP
A01N 47/12 20060101ALI20220926BHJP
A01N 65/00 20090101ALI20220926BHJP
A01N 31/02 20060101ALI20220926BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
A01N25/18 103B
A01P3/00
A01N59/16 A
A01N53/08 110
A01N31/08
A01N47/12 Z
A01N65/00 A
A01N31/02
A01P7/04
(21)【出願番号】P 2018093754
(22)【出願日】2018-05-15
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】川崎 亜沙子
(72)【発明者】
【氏名】内藤 厚志
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-236813(JP,A)
【文献】特開2001-218826(JP,A)
【文献】特開平02-289257(JP,A)
【文献】特開2001-334144(JP,A)
【文献】特開昭63-260566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水液(A)と、発熱性固体(B)とを各々独立して有し、
前記含水液(A)は、沸点150℃以上の水溶性溶剤(a1)と、水(a2)とを含有し、
前記発熱性固体(B)は、水和反応により発熱する発熱剤(b1)
と、アゾジカルボンアミド、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、及びアゾビスイソブチロニトリルから選ばれる1種以上の有機発泡剤(b2)とを含有し、
前記有機発泡剤(b2)の含有量が前記発熱性固体(B)の総質量に対し、1~20質量%であり、
前記含水液(A)と前記発熱性固体(B)とを接触させて、前記含水液(A)を蒸散する、燻煙型蒸散剤組成物。
【請求項2】
前記有機発泡剤(b2)がアゾジカルボンアミドである請求項1に記載の燻煙型蒸散剤組成物。
【請求項3】
前記水溶性溶剤(a1)の含有量は、前記含水液(A)の総質量に対し、30~60質量%である、請求項1
又は2に記載の燻煙型蒸散剤組成物。
【請求項4】
前記含水液(A)と前記発熱性固体(B)との合計質量に対する前記含水液(A)の含有量は、40~90質量%である、請求項1
~3のいずれか一項に記載の燻煙型蒸散剤組成物。
【請求項5】
前記含水液(A)は、薬剤(a3)をさらに含有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の燻煙型蒸散剤組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の燻煙型蒸散剤組成物が筐体に収容されてなり、
前記筐体内には、前記含水液(A)が収容された貯液部と、前記発熱性固体(B)が収容された発熱部と、前記貯液部と前記発熱部とを連通可能に仕切る仕切り材とが設けられている、燻煙型蒸散装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燻煙型蒸散剤組成物及び燻煙型蒸散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天井、壁の上部等、高い位置に生じたカビに対して、塩素系カビ取り剤等を使った掃除の作業は、煩雑である。このため、高い位置や狭い隙間等、居住空間の隅々のカビを手軽に除去し、居住空間を清潔な状態に維持できる掃除方法が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、薬剤とアゾジカルボンアミドと香料とを含有する間接加熱方式用の浴室用防カビ燻煙剤組成物が提案されている。特許文献1の発明によれば、薬剤を効率よく煙化して、揮散できる。
また、特許文献2には、水を加えると発熱する発熱剤と蒸散用薬剤水溶液の活性化剤とを有し、水容器の中に蒸散用薬剤水溶液を入れたことを特徴とする蒸散装置が提案されている。特許文献2の発明によれば、水容器の底面部のフィルムを破断することで、水蒸気と共に薬剤を蒸散できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5891289号公報
【文献】特開2001-218826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、発熱剤を発熱させるための水を準備する等の作業を伴う。特許文献2の発明は、発熱剤と水との反応速度を考慮していない。発熱剤と水との反応速度が速すぎると、薬剤等が蒸散し始めるまでの時間(蒸散開始時間)が早くなりすぎて、作業者が退避する時間を確保できない。発熱剤と水との反応速度が速すぎると、薬剤等が蒸散する時間(蒸散持続時間)が短くなりすぎて、薬剤等を充分に蒸散できず、薬剤等の効果を充分に発揮できない。
そこで、本発明は、より簡便な操作で、薬剤の効果を充分に発揮できる燻煙型蒸散剤組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1]含水液(A)と、発熱性固体(B)とを各々独立して有し、
前記含水液(A)は、沸点150℃以上の水溶性溶剤(a1)と、水(a2)とを含有し、
前記発熱性固体(B)は、水和反応により発熱する発熱剤(b1)を含有し、
前記含水液(A)と前記発熱性固体(B)とを接触させて、前記含水液(A)を蒸散する、燻煙型蒸散剤組成物。
[2]前記水溶性溶剤(a1)の含有量は、前記含水液(A)の総質量に対し、30~60質量%である、[1]に記載の燻煙型蒸散剤組成物。
[3]前記含水液(A)と前記発熱性固体(B)との合計質量に対する前記含水液(A)の含有量は、40~90質量%である、[1]又は[2]に記載の燻煙型蒸散剤組成物。
[4]前記含水液(A)は、薬剤(a3)をさらに含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の燻煙型蒸散剤組成物。
[5]前記発熱性固体(B)は、有機発泡剤(b2)をさらに含有する、[1]~[4]のいずれかに記載の燻煙型蒸散剤組成物。
【0007】
[6][1]~[5]のいずれかに記載の燻煙型蒸散剤組成物が筐体に収容されてなり、
前記筐体内には、前記含水液(A)が収容された貯液部と、前記発熱性固体(B)が収容された発熱部と、前記貯液部と前記発熱部とを連通可能に仕切る仕切り材とが設けられている、燻煙型蒸散装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の燻煙型蒸散剤組成物によれば、より簡便な操作で、薬剤の効果を充分に発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る燻煙型蒸散装置の断面図である。
【
図2】殺カビ効果の評価方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(燻煙型蒸散剤組成物)
本発明の燻煙型蒸散剤組成物は、含水液(A)と発熱性固体(B)とを有する。含水液(A)と発熱性固体(B)とは、各々独立している。
【0011】
<含水液(A)>
含水液(A)は、水溶性溶剤(a1)((a1)成分)と、水(a2)((a2)成分)とを含有する液体である。
(a1)成分は、沸点150℃以上の水溶性溶剤である。含水液(A)が(a1)成分を含有することで、含水液(A)が発熱性固体(B)と接して、白煙状に蒸散する。水のみを発熱性固体(B)に接触させた場合に比べて、(a1)成分を含有する含水液(A)を発熱性固体(B)に接触させた場合には、発熱性固体(B)の発熱反応が遅くなる。このため、蒸散開始時間を遅くし、蒸散持続時間を長くして、含水液(A)を充分に蒸散できる。
(a1)成分の沸点は、150℃~300℃が好ましく、150~250℃がより好ましい。(a1)成分の沸点が上記範囲内であれば、蒸散開始時間をより遅くでき、蒸散持続時間をより長くできる。
【0012】
(a1)成分は、いわゆるエチレングリコール系溶剤、プロピレングリコール系溶剤、エチレングリコール系エーテル類、プロピレングリコール系エーテル類、ジアルキルグリコールエーテル系溶剤、ポリエチレングリコール系溶剤等である。
(a1)成分は、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレンングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等である。
(a1)成分としては、蒸散開始時間を遅くし、蒸散持続時間を長くし、白煙状の蒸気の視認性をより高める観点からは、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリンが好ましい。また、本発明の燻煙型蒸散剤組成物に除菌効果を求める場合には、(a1)成分としては、優れた除菌効果を有するプロピレングリコールが好ましい。
上記の(a1)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0013】
(a1)成分の含有量は、含水液(A)の総質量に対して、30~60質量%が好ましく、45~55質量%がより好ましい。(a1)成分の含有量が上記下限値以上であれば、蒸散開始時間を確保しやすく、蒸散持続時間をより長くし、かつ、白煙状の蒸気をより良好に視認できる。(a1)成分の含有量が上記上限値以下であれば、発熱性固体(B)の発熱温度をより高めて、含水液(A)を充分に蒸散できる。
【0014】
(a2)成分は、水である。(a2)成分は、例えば、イオン交換水、蒸留水、純水等の精製水、水道水等である。
(a2)成分の含有量は、含水液(A)の総質量に対して、40~70質量%が好ましく、45~55質量%がより好ましい。(a2)成分の含有量が上記下限値以上であれば、発熱性固体(B)の発熱温度をより高めて、含水液(A)を充分に蒸散できる。(a2)成分の含有量が上記上限値以下であれば、蒸散開始時間を確保しやすく、蒸散持続時間をより長くし、かつ、白煙状の蒸気をより良好に視認できる。
【0015】
含水液(A)は、薬剤(a3)((a3)成分)を含有してもよい。(a3)成分を含有することで、(a1)成分及び(a2)成分と共に、(a3)成分を蒸散できる。
【0016】
(a3)成分は、目的に応じて決定できる。(a3)成分は、例えば、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、抗カビ剤、殺虫剤、香料等である。
抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、抗カビ剤又は殺虫剤は、例えば、有機系薬剤、銀系無機抗菌剤等が挙げられる。
有機系薬剤は、例えば、3-メチルー4-イソプロピルフェノール(IPMP)、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバイト(IPBC)、O-フェニルフェノール(OPP)、メトキサジアゾン、フェノトリン、d・d-T-シフェノトリン等である。また、有機系薬剤は、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩等のカチオン界面活性剤等である。カチオン界面活性剤の塩の対イオンは、例えば、ヨウ素、塩素等のハロゲンイオン等である。
銀系無機抗菌剤は、例えば、銀の酸化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、銀担持体等である。銀担持体は、銀そのものを担体に担持したものである。銀担持体の担体は、例えば、リン酸塩類(リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム等)、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム等)、無機化合物(ゼオライト、粘度鉱物、シリカゲル等)等である。担体は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0017】
上述の(a3)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0018】
(a3)成分の含有量は、(a3)成分の種類等に応じて適宜決定される。(a3)成分の含有量は、含水液(A)の総質量に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましい。(a3)成分の含有量が上記範囲内であれば、(a3)成分の効果をより良好に発揮できる。
【0019】
なお、含水液(A)が(a3)成分を含有しなくても、(a1)成分に薬効がある場合(例えば、プロピレングリコール)であれば、含水液(A)が(a3)成分を含有しなくても、本発明の燻煙型蒸散剤組成物は薬効を示す。
【0020】
含水液(A)は、界面活性剤(a4)((a4)成分)(但し、(a3)成分を除く)を含有してもよい。
(a4)成分は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等である。
【0021】
アニオン界面活性剤は、例えば、直鎖アルキル(炭素数8~18)ベンゼンスルホン酸塩(LAS)、直鎖又は分岐鎖のアルキル(炭素数8~18)硫酸塩(AS)、アルキル(炭素数8~18)エーテル硫酸塩又はアルケニル(炭素数8~18)エーテル硫酸塩(AES)、α-オレフィンスルホン酸塩(AOS)(アルキル基の炭素数8~18)、アルキル基(炭素数8~18)を有するアルカンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸(炭素数8~18)エステル塩(α-SF塩)(アルキル基の炭素数8~18)、アルキル(炭素数8~18)エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(炭素数8~18)アミドエーテルカルボン酸塩、アルケニル(炭素数8~18)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型のアニオン界面活性剤;アルキル(炭素数8~18)アミドエーテルカルボン酸塩、リン酸エステル塩(アルキル基の炭素数8~18)アミドエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8~18)リン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8~18)フェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型のアニオン界面活性剤等である。
これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩が好ましい。
【0022】
両性界面活性剤は、例えば、アルキル(炭素数8~18)カルボキシベタイン、アルキル(炭素数8~18)スルホベタイン、アルキル(炭素数8~18)ヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8~18)アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン等である。
【0023】
ノニオン界面活性剤は、例えば、高級アルコール(炭素数8~22)、アルキルフェノール、高級脂肪酸(炭素数8~22)又は高級アミン(炭素数8~22)等にアルキレンオキシド(炭素数2~4)を付加(平均付加モル数3~50)したポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸(炭素数8~18)アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸(炭素数8~22)エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、脂肪酸(炭素数8~22)ポリグリセリンエステル、糖脂肪酸(炭素数8~22)エステル、アルキル(又はアルケニル)(炭素数8~22)アミンオキシド、アミドアミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシド、グリセリルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも、(a4)成分としては、ノニオン界面活性剤が好ましく、高級アルコールにエチレンオキシ基を付加したポリオキエチレンアルキルエーテル(アルコールエトキシレート)がより好ましく、炭素数が12~28で、エチレンオキシ基の付加モル数が12~28のポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。これらのポリオキシエチレンアルキレンエーテルは、除菌効果を高められる。
上述の(a4)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(a4)成分の含有量は、含水液(A)の総質量に対して、0.1~20質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。(a4)成分の含有量が上記範囲内であれば、除菌効果を得られやすい。
【0024】
含水液(A)は、(a1)~(a4)成分以外の任意成分(含水液任意成分)を含有してもよい。
含水液任意成分としては、着色料、酸化防止剤等が挙げられる。
【0025】
含水液(A)の製造方法は、特に限定されない。含水液(A)の製造方法は、例えば、(a2)成分に(a1)成分を加え、混合する方法である。この際、必要に応じて、(a3)~(a4)成分、含水液任意成分を(a2)成分に分散する。
【0026】
<発熱性固体(B)>
発熱性固体(B)は、水和反応により発熱する発熱剤(b1)((b1)成分)を含有する。発熱性固体(B)が(b1)成分を含有することで、発熱性固体(B)が含水液(A)と反応して発熱し、含水液(A)を蒸散する。
【0027】
(b1)成分は、例えば、金属、金属酸化物等である。(b1)成分は、例えばナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属及びこれらの酸化物等である。中でも、(b1)成分としては、カルシウム、酸化カルシウムが好ましく、酸化カルシウムがより好ましい。
【0028】
酸化カルシウムは、例えば、以下の試験において、反応開始から60秒後の到達温度が70℃以上、かつ98℃以上の持続時間が40秒以上のものが好ましい。
[試験方法]
ステンレス製デュワー瓶に20℃のイオン交換水600mLを入れ、攪拌羽根(羽根形状:ピッチパドル4枚羽根、直径75mm、厚さ10mm、枚数2枚、羽根間隔30mm)をセットしたスリーワンモーターを用いて300rpmで攪拌する。次に、酸化カルシウム100gをデュワー瓶内に投入する。直ちにコルク栓でデュワー瓶に蓋をすると同時に攪拌羽根の上部20mmの水温(反応開始時の水温)を測定する。
【0029】
(b1)成分は、粒子群であることが好ましい。粒子群であれば、含水液(A)との接触面積が大きくなり、発熱性固体(B)がより効率的に発熱できる。
(b1)成分の平均粒子径は、0.5~10mmが好ましく、0.9~7mmがより好ましい。平均粒子径が上記下限値以上であれば、粒子間の隙間が大きくなり、含水液(A)がより浸透しやすい。平均粒子径が上記上限値以下であれば、(b1)成分における単位体積当たりの表面積が大きくなり、より効率的に発熱できる。
(b1)成分の平均粒子径は、篩分けをし、下記(s)式で求められる値である。
平均粒子径(mm)=Σ(Vi(%)+di(mm))/Σ(Vi(%))・・・(s)
(s)式中、Viは、粒子径di(mm)である粒子の存在比率であり、粒子径diは、各篩の篩目間の中間値で代表する。
通常、(s)式は、Σ(Vi(%)+di(mm))/Σ(100(%))として、算術平均粒子径が算出される。
【0030】
(b1)成分の含有量は、発熱性固体(B)の総質量に対して、30~100質量%が好ましく、50~100質量%がさらに好ましく、80~100質量%がより好ましい。
【0031】
発熱性固体(B)は、有機発泡剤(b2)を含有してもよい。発熱性固体(B)は、有機発泡剤(b2)を含有することで、含水液(A)をより良好に蒸散できる。加えて、発熱性固体(B)は、有機発泡剤(b2)を含有することで、含水液(A)を蒸散した際に、白煙状の蒸気をより視認しやすくできる。
【0032】
(b2)成分は、加熱により熱分解して多量の熱を発生すると共に、炭酸ガスや窒素ガス等(以下、総じて発泡ガスという)を発生するものである。(b2)成分は、例えば、アゾジカルボンアミド、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等である。
中でも、分解温度を高め、発泡ガスの発生量を高める観点から、(b2)成分としては、アゾジカルボンアミドが好ましい。
(b2)成分の含有量は、発熱性固体(B)の総質量に対して、0~20質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。(b2)成分の含有量が上記範囲内であれば、含水液(A)をより良好に蒸散できる。加えて、(b2)成分の含有量が上記範囲内であれば、白煙状の蒸気をより視認しやすくできる。
【0033】
発熱性固体(B)は、(b1)~(b2)成分以外の任意成分(固体任意成分)を含有してもよい。
【0034】
発熱性固体(B)の製造方法としては、例えば、(b1)成分と必要に応じて(b2)成分等の任意成分とを混合する方法が挙げられる。
【0035】
含水液(A)と発熱性固体(B)との合計質量に対する発熱性固体(B)の割合(B/(A+B)百分率)は、40~90質量%が好ましい。B/(A+B)百分率が上記範囲内であれば、発熱開始までの時間を確保しつつ、充分に発熱しやすい。
【0036】
以下に、燻煙型蒸散剤組成物の使用方法を説明する。
例えば、処理対象となる空間の床等に、容器を置く。使用する容器は、上端が開口しているものであればよく、平皿、深皿、コップ等が挙げられる。容器の材質は、耐熱性を有するものが好ましく、例えば、金属、ガラス、陶磁器等が挙げられる。
【0037】
発熱性固体(B)を容器に入れる。
容器内の発熱性固体(B)に含水液(A)を接触させる。接触させる方法は、限定されず、発熱性固体(B)の入った容器に含水液(A)を注ぐ方法が挙げられる。
【0038】
含水液(A)が発熱性固体(B)に接触する(即ち、含水液(A)と発熱性固体(B)との混合物となる)と、(a2)成分と(b1)成分との水和反応により、(b1)成分は発熱する。この際、(a1)成分は、(b1)成分と(a2)成分との反応速度を遅くして、(b1)成分の蒸散開始時間を遅くする。
含水液(A)と発熱性固体(B)との混合物が特定の温度に達すると、含水液(A)が白煙状の蒸気となって、勢いよく蒸散する。この際、含水液(A)に含まれている有効成分(例えば、(a1)成分として含まれるプロピレングリコール、(a3)成分等)が蒸散し、処理対象の空間に拡散する。拡散した有効成分は、有効成分の種類に応じて、抗菌、殺菌、殺虫等の効果を発揮する。なお、含水性(A)と発熱性固体(B)との混合物の到達温度は、例えば、100~350℃が好ましい。
含水液(A)と発熱性固体(B)との混合物が特定の温度以上である間、含水液(A)が噴射する。含水液(A)は、(a1)成分を含有するため、(b1)成分と(a2)成分との反応速度を遅くし、蒸発持続時間を長くする。このため、含水液(A)中の有効成分の全量を蒸散し、処理対象空間に拡散できる。
【0039】
本実施形態の燻煙型蒸散剤組成物は、含水液(A)を発熱性固体(B)に接触することで、含水液(A)を勢いよく蒸散する。このため、処理対象空間の隅々に有効成分を拡散できる。
本実施形態の燻煙型蒸散剤組成物は、含水液(A)が(a1)を含有するため、(b1)成分の蒸散開始時間が遅く、かつ(b1)成分の蒸散持続時間が長い。このため、含水液(A)の多くを蒸散できる。
【0040】
(燻煙型蒸散装置)
本発明の燻煙型蒸散装置は、本発明の燻煙型蒸散剤組成物と、これを収容した筐体とを備える。
本発明の燻煙型蒸散装置について、一実施形態を挙げて説明する。
【0041】
図1の燻煙型蒸散装置1は、筐体10と、筐体10内に形成された貯液部20と、筐体10内に形成された発熱部30とを有する。
筐体10は、底壁部12と、底壁部12の周縁から立ち上がる側壁部14と、側壁部14の上端に位置する天壁部16とを有する。天壁部16の中央部には、開口部18が形成されている。
【0042】
筐体10内の底壁部12寄りには、発熱性固体(B)が収容されて発熱部30が形成されている。
発熱部30の上方には、液体収容器21が設けられている。液体収容器21は、上端及び下端が開口する本体と、本体の下端を塞ぐ仕切り材22とを備える。液体収容器21の上端は天壁部16と接している。仕切り材22は、発熱部30と離間している。液体収容器21には、含水液(A)が収容されて貯液部20が形成されている。このように、貯液部20と発熱部30とは、仕切り材22で仕切られている。
【0043】
液体収容器21内には、仕切り材22の近傍に、破断具24が設けられている。破断具24の上面には、上方に延び、開口部18から突出する押込具26が接続されている。
【0044】
筐体10の形状は特に限定されず、中空円柱状、中空角柱状等の容器が挙げられる。
筐体10の材質は、発熱性固体(B)の発熱で変形しにくいものが好ましい。筐体10の材質としては、金属、セラミックス等が挙げられる。
【0045】
液体収容器21の形状は、特に限定されず、筐体10の形状に応じて適宜決定できる。本実施形態の液体収容器21は、円筒又は角筒の下端に仕切り材22を備えるものが好ましい。
液体収容器21の材質は、含水液(A)を漏洩しない材質であればよい。
液体収容器21の仕切り材22は、貯液部20(即ち、液体収容器21内)と発熱部30(即ち、筐体10内)とを連通可能に仕切れればよい。仕切り材22としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム箔等の金属箔等、物理的な外力で破断できるフィルムが好ましい。
【0046】
破断具24は、仕切り材22を破断できるものであればよく、例えば、下面に切り刃等が形成された板体等が挙げられる。
押込具26は、上端を下方に押圧した際に、破断具24を下方に押し込んで、仕切り材22を破断できるものであればよい。押込具26は、例えば、金属製、樹脂製の剛直な棒等が挙げられる。
【0047】
含水液(A)と発熱性固体(B)との割合は、上述の燻煙型蒸散剤組成物におけるB/(A+B)百分率と同じである。
【0048】
燻煙型蒸散装置1の製造方法の一例について、説明する。
天壁部16を有しない筐体10内に発熱性固体(B)を充填して、発熱部30を形成する。筐体10内に液体収容器21を設ける。破断具24に押込具26を取り付け、これらの液体収容器21内に配置する。液体収容器21内に含水液(A)を充填する。筐体10に天壁部16を設けて、燻煙型蒸散装置1を得る。
さらに、開口部18を塞ぐ、カバーを設けてもよい。このカバーとしては、樹脂製のフィルム等が挙げられる。
【0049】
燻煙型蒸散装置1の使用方法を説明する。
処理対象空間内に燻煙型蒸散装置1を置く。押込具26の上端を下方に押し込み、仕切り材22を破断する。仕切り材22を破断すると、液体収容器21内の含水液(A)は、発熱部30に落下する。含水液(A)は、発熱部30に落下すると、(b1)成分同士の間を通流し、(a2)成分が(b1)成分と接触する。(a2)成分が(b1)成分と接触すると、水和反応によって、(b1)成分が発熱する。
(b1)成分が発熱し、特定の温度に達すると、含水液(A)が白煙状の蒸気となって勢いよく蒸散する。そして、蒸気は、開口部18から上方に噴出する。この際、有効成分は、噴出した蒸気の勢いに乗って、対象空間内に拡散する。
こうして、含水液(A)の全量を対象空間に蒸散し、所望する効果を得る。
【0050】
上述の実施形態は、筒状の成形体の下端に仕切り材を設けた液体収容器が設けられているが、液体収容器はこれに限定されない。液体収容器は、含水液(A)と発熱性固体(B)とを仕切れればよく、例えば、樹脂フィルム又は金属箔で形成された袋体でもよい。
【0051】
上述の実施形態では、発熱部の上方に貯液部が形成されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、貯液部の上方に発熱部が形成されていてもよい。
【0052】
上述の実施形態では、破断具と押込具とを備えるが、本発明はこれに限定されない。例えば、破断具と押込具とを備えず、鋭利な部材で仕切り材を破断してもよい。
【実施例】
【0053】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0054】
(使用原料)
<(a1)成分>
・a1-1:プロピレングリコール(和光純薬工業(株)製)。
・a1-2:エチレングリコール(和光純薬工業(株)製)。
・a1-3:グリセリン。
<(a1’)成分:(a1)成分の比較品>
・a1’-1:無水エタノール(純正化学(株)製)。
【0055】
<(a2)成分>
・a2-1:イオン交換水。
【0056】
<(b1)成分>
・b1-1:酸化カルシウム(CaH、吉澤石灰(株)製、平均粒子径4mm)。
【0057】
<(a3)成分>
・a3-1:2-イソプロピル-5-メチルフェノール(IPMP)(ビオゾール、大阪化成(株)製)。
・a3-2:3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメイト(IPBC)(GLYCACIL(グライカシル)、ロンザジャパン(株)製)。
・a3-3:フェノトリン(スミスリン、住友化学(株)製)。
・a3-4:銀担持ゼオライト系無機抗菌剤(ゼオミックAJ10N、(株)シナネンゼオミック製、銀含有量:2.7質量%)。
・a3-5:抗菌性香料(ANTI-MOLD LAVENDER、高砂香料工業(株)製)。
【0058】
<(a4)成分>
・a4-1:アルコールエトキシレート(炭化水素基の炭素数12~14、エチレンオキシ基の付加モル数8)(レオックスCL-80-90 ライオンケミカル(株)製)。
・a4-2:アルコールエトキシレート(炭化水素基の炭素数18、エチレンオキシ基の付加モル数20)(EMALEX620 日本乳化剤(株)製)。
・a4-3:アルコールエトキシレート(炭化水素基の炭素数16、エチレンオキシ基12)(EMALEX112 日本乳化剤(株)製)。
【0059】
<(b2)成分>
・b2-1:アゾジカルボンアミド(ダイブローAC、2040(C)、大日精化工業(株))製)。
【0060】
(評価方法)
<蒸散開始時間>
φ70mm、高さ70mmの鋼板の円筒容器内に、各例の発熱性固体(B)を収容して発熱部を形成した。この容器内に、各例の含水液(A)を添加した。含水液(A)を添加してから、蒸気が勢いよく噴射するまでの時間を「蒸散開始時間(秒)」とした。各例の蒸散開始時間(秒)を表1の評価基準に分類して評価した。各例における含水液(A)及び発熱性固体(B)の質量は、表2~4中「蒸散装置」の欄に記載した質量である。
【0061】
【0062】
<蒸散状態>
φ70mm、高さ70mmの鋼板の円筒容器内に、各例の発熱性固体(B)を収容して発熱部を形成した。この容器内に、各例の含水液(A)を添加した。含水液(A)を添加してから、蒸気が勢いよく噴射している時間(蒸散持続時間)と蒸気の到達高さ(到達点)とを計測し、下記基準に従って評価した。
【0063】
≪評価基準≫
◎:到達点が50cm以上であり、白煙状の蒸気が均一な蒸散持続時間が1分間以上継続。
○:到達点が50cm以上であり、白煙状の蒸気がやや不均一であるが、蒸散持続時間が1分間以上継続。
△:到達点が50cm以上であり、白煙状の蒸気がかなり不均一であるが、蒸散持続時間が1分間以上。
×:到達点が50cm未満又は蒸散持続時間が1分間未満。
【0064】
<殺カビ効果>
図2の符号100は、殺カビ効果の評価に用いた評価室である。評価室100は、幅W×奥行D×高さH=1.8m×1.8m×2.0mである。
評価室100の天面101の中央P1の位置に、下記の方法1で作成した供試用スライドガラス(供試用FRP、菌を接種したFRP)を取付けた。供試用スライドガラスに菌を接種した面を底面102に向けた。
【0065】
≪方法1:供試用スライドガラスの作成方法≫
ポテトデキストロース寒天(Difco社製)の斜面培地にて、25℃、1週間培養したCladosporium cladosporioides HMC1064(浴室分離菌)を調製した。浴室分離菌の水溶液は、滅菌した0.05%Tween80(関東化学社製)を用いた。浴室分離菌のコロニー形成単位が、約1.0×106CFU/mLの胞子液を得た。次いで、この胞子液を供試用FRP20に0.4mL接種し、室温にて一晩静置して乾燥固定した。
なお、コロニー形成単位(CFU、Colony Forming Unit)は、ある量の微生物(細菌等)を、それが生育する固体培地上に撒いたときに生じるコロニーの数を意味する。
次に、得られた各例の燻煙型蒸散剤組成物について、「<蒸散開始時間>」と同様にして含水液(A)を蒸散させた。容器を置いた位置は、評価室100の底面102の中央P2であった。含水液(A)と発熱性固体(B)とを接触させてから90分間後に評価室100内の空気を排気し、供試用FRPを回収した。供試用FRPから下記の方法2で、菌液を回収した。回収した菌液を計測可能な濃度となるように生理食塩水で適宜希釈し、これをポテトデキストロース寒天培地に塗抹摂取した。これを25℃にて5日間培養した後、目視により形成されたコロニー数を計測した。
【0066】
≪方法2:供試用FRPからの菌の回収方法≫
菌を接種した供試用FRPとSCDLP培地(日本製薬社製)10mLを滅菌プラスチックシャーレ(アズワン社製)に入れ、コンラージ棒(日水製薬社製)で攪拌し、供試用FRPから菌を抽出した。
計測したコロニー数と菌液の希釈倍率から生菌数を求め、その値を「処理後の菌数」とした。別途、未処理区の供試用FRPから回収した菌液を、計測可能な濃度となるように生理食塩水で適宜希釈し、ポテトデキストロース寒天培地に塗抹摂取した。この菌液を25℃にて5日間培養した後、目視により形成されたコロニー数を計測した。計測したコロニー数と菌液の希釈倍率から生菌数を求め、その値を「未処理菌数」とした。
「処理後の菌数」、「未処理菌数」として求めた菌数を常用対数(log)に変換し、「未処理菌数」から「処理後の菌数」を差し引いた値(Δlog=log(未処理菌数)-log(処理後の菌数))を求め、その値を殺カビ効力とした。殺カビ効力の値から、下記の評価基準に基づいて殺カビ効果を評価した。
【0067】
[評価基準]
◎◎:Δlogが4.0以上。
◎ :Δlogが3.0以上4.0未満。
○ :Δlogが2.0以上3.0未満。
△ :Δlogが1.0以上2.0未満。
× :Δlogが1.0未満。
【0068】
(実施例1~26、比較例1~3)
表2~4に示す含水液(A)の組成に従い、(a1)成分(又は(a1’)成分)と(a2)成分とを混合した。これに(a3)~(a4)成分を加え、混合して、各例の含水液(A)を調製した。
表2~4示す発熱性固体(B)の組成に従い、(b1)成分からなる発熱性固体又は(b1)成分と(b2)成分との混合物である発熱性固体を調製した。
こうして、含水液(A)と発熱性固体(B)とを各々独立して有する燻煙型蒸散剤組成物を得た。
得られた燻煙型蒸散剤組成物について、蒸散開始時間、蒸散状態、殺カビ効果について評価し、その結果を表中に示す。
なお、表中の配合量は純分換算値である。また、表中に配合量が記載されていない成分は、配合されていない。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
表2~4に示すように、実施例1~26は、蒸散開始時間の評価が「△」~「◎◎」、蒸散状態の評価が「△」~「◎」、殺カビ効果が「△」~「◎」であった。
(a1)成分に代えて、(a1’)成分を含有する比較例1、(a1)成分を含有しない比較例2、(a2)成分を含有しない比較例3は、いずれも蒸散開始時間、蒸散状態及び殺カビ効果の評価が「×」であった。
【符号の説明】
【0073】
1 燻煙型蒸散装置
10 筐体
20 貯液部
22 仕切り材
30 発熱部