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  • 特許-改良体測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】改良体測定装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20220926BHJP
   G01N 29/07 20060101ALI20220926BHJP
   G01N 29/11 20060101ALI20220926BHJP
   G01N 29/24 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E02D3/12 102
G01N29/07
G01N29/11
G01N29/24
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018134958
(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2020012295
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】吉武 謙二
(72)【発明者】
【氏名】河田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】大木 智明
(72)【発明者】
【氏名】近江 健吾
(72)【発明者】
【氏名】川口 正人
(72)【発明者】
【氏名】浅香 美治
(72)【発明者】
【氏名】大山 巧
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-087572(JP,A)
【文献】特開2010-037812(JP,A)
【文献】特開2012-172329(JP,A)
【文献】特開平06-158638(JP,A)
【文献】特開2011-106843(JP,A)
【文献】特開2017-082498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
G01N 29/07
G01N 29/11
G01N 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中に造成される複数の地盤改良体の造成状態を測定する改良体測定装置であって、
前記各地盤改良体において形成された鉛直方向に延在する孔のうち、第1の孔と前記第1の孔とは異なる第2の孔との間を物理探査することにより前記地盤改良体の造成状態を測定する測定装置を備え
前記各地盤改良体の中に鉛直に配置される中空管を備え、
前記孔は、前記中空管の内部に形成された中空空間であることを特徴とする改良体測定装置。
【請求項2】
前記測定装置は、
前記第1の孔の内部に設けられ、弾性波を発信する発信器と、
前記第2の孔の内部に設けられ、前記発信器で発信された前記弾性波を受信する受信器と、
前記受信器で受信された弾性波の振幅及び伝搬時間の少なくともいずれかに基づいて、前記地盤改良体の造成状態を測定する状態測定装置と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の改良体測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、軟弱地盤に対しスラリー状のセメント系固化材を吐出するとともに機械攪拌により杭状に造成された地盤改良体内部から弾性波を発信して、地盤改良体と現地盤との境界面で反射する反射波を受信することで、地盤改良体の鉛直精度等の造成状態を計測する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-82498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記地盤改良体には泥土が含まれており、この泥土と現地盤との特性が類似している。したがって、上記境界面で弾性波が反射されず、地盤改良体の造形状態の計測精度が低下する場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、地盤改良体の造形状態の計測精度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、地盤中に造成される複数の地盤改良体の造成状態を測定する改良体測定装置であって、前記各地盤改良体において形成された鉛直方向に延在する孔のうち、第1の孔と前記第1の孔とは異なる第2の孔との間を物理探査することにより前記地盤改良体の造成状態を測定する測定装置を備え、前記各地盤改良体の中に鉛直に配置される中空管を備え、前記孔は、前記中空管の内部に形成された中空空間であることを特徴とする改良体測定装置である。
【0007】
本発明の一態様は、上述の改良体測定装置であって、前記測定装置は、前記第1の孔の内部に設けられ、弾性波を発信する発信器と、前記第2の孔の内部に設けられ、前記発信器で発信された前記弾性波を受信する受信器と、前記受信器で受信された弾性波の振幅及び伝搬時間の少なくともいずれかに基づいて、前記地盤改良体の造成状態を測定する状態測定装置と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、地盤改良体の造形状態の計測精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る改良体測定装置1の概略構成を示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る改良体測定方法のフロー図である。
図3】本発明の一実施形態に係る複数の地盤改良体Kの平面図であって、改良体測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る改良体測定装置を、図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る改良体測定装置1の概略構成を示す側面図である。図1に示すように、改良体測定装置1は、地盤G中に造成される複数の地盤改良体Kの造成状態を測定する装置である。
【0018】
この地盤改良体Kは、軟弱地盤の地盤改良を目的として当該軟弱基盤中に複数造成される。例えば、複数の地盤改良体Kは、高圧噴射攪拌工法により地盤Gに造成される。なお、図1では、地盤Gに造成される地盤改良体Kの数は、3つである場合を示しているが、これに限定されず、複数であればよい。
【0019】
上記高圧噴射攪拌工法とは、改良掘削機によって地盤G中に硬化材を噴射させて混合攪拌することによって改良体を造成するものである。具体的には、高圧噴射攪拌工法では、改良掘削機は、注入管(例えば、単管、二重管、や三重管)を地中に挿入し、超高圧硬化材と圧縮空気を注入管の先端に設けられた噴射孔から地盤Gに向けて噴射することによって、噴射孔の周囲の地盤を切削する。そして、改良掘削機は、噴射した硬化材と切削土砂とを混合することで地盤G中に円柱状又は非円柱状の地盤改良体Kを造成する。
【0020】
改良体測定装置1は、中空管2、発信装置3、受信装置4、及び状態測定装置5を備える。なお、発信装置3、受信装置4、及び状態測定装置5は、本発明の「測定装置」を構成する。
【0021】
中空管2は、内部に中空空間を有し、各地盤改良体Kの中に鉛直方向に配置される。すなわち、中空管2は、複数の地盤改良体Kの中のそれぞれに対して鉛直方向に配置される。これにより、各地盤改良体Kに鉛直方向に延在する孔20が形成される。この鉛直方向に延在する孔20とは、中空管2の中空空間である。例えば、この中空管2は、清水で満たした塩ビ管である。
【0022】
発信装置3は、発信器用固定部材3a及び発信器3bを備える。
発信器用固定部材3aは、先端に発信器3bに取り付けられた棒状部材や線状部材(例えば、計装線)である。ただし、発信器用固定部材3aは、発信器3bが取り付け可能であれば、棒状部材や線状部材でなくてもよい。
【0023】
発信器3bは、状態測定装置5と有線又は無線で電気的に接続されており、状態測定装置5の制御により弾性波を発信する。この発信器3bは、地盤改良体Kに形成された複数の孔20のうち、少なくとも一以上の孔の内部に配置される。以下の説明において、発信器3bが配置される孔を「第1の孔20a」と称する。
なお、発信器3bは、一度に複数設置されてもよい。すなわち、発信器3bは、複数の第1の孔20aのそれぞれに対して一度に設置されてもよい。さらに、一つの第1の孔20aに発信器3bが複数設置されてもよいし、一つの発信器3bのみが設置されてもよい。
【0024】
受信装置4は、受信器用固定部材4a及び受信器4bを備える。
受信器用固定部材4aは、先端に受信器4bに取り付けられた棒状部材や線状部材(例えば、計装線)である。ただし、受信器用固定部材4aは、受信器4bが取り付け可能であれば、棒状部材や線状部材でなくてもよい。
【0025】
受信器4bは、状態測定装置5と有線又は無線で電気的に接続されており、発信器3bから発信された弾性波を受信する。受信器4bは、その弾性波を受信した結果を状態測定装置5に送信する。この受信器4bは、地盤改良体Kに形成された複数の孔20のうち、第1の孔20aとは異なる孔であって、少なくとも一以上の孔20の内部に配置される。以下の説明において、受信器4bが配置される孔を「第2の孔20b」と称する。
なお、受信器4bは、一度に複数設置されてもよい。すなわち、受信器4bは、複数の第2の孔20bのそれぞれに対して一度に設置されてもよい。さらに、一つの第2の孔20bに受信器4bが複数設置されてもよいし、一つの受信器4bのみが設置されてもよい。
【0026】
状態測定装置5は、受信器4bで受信された弾性波の振幅及び伝搬時間の少なくともいずれかに基づいて、地盤改良体Kの造成状態を測定する。この造成状態とは、撹拌状況や固化状況である。
【0027】
以下に、本発明の一実施形態に係る改良体測定装置を用いて地盤G中に造成される複数の地盤改良体Kの造成状態を測定する方法(改良体測定方法)を説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る改良体測定方法のフロー図である。
【0028】
高圧噴射攪拌工法によって地盤G中に複数の地盤改良体Kが構築されると、複数の地盤改良体Kが未固結状態のうちに、当該複数の地盤改良体Kのそれぞれに対して中空管2を鉛直方向に建て込むことで配置する。これにより、各地盤改良体Kにおいて、鉛直方向に延在する孔が形成される(ステップS101)。
【0029】
次に、建設機械を使用するなどして、先端に発信器3bに取り付けられた発信器用固定部材3aを、複数の孔のうち、予め設定された第1の孔20aに挿入する。そして、発信器3bが所定の位置に到達したところで発信器用固定部材3aを固定する。これにより、第1の孔20aの内部に発信器3bを配置する。さらに、先端に受信器4bに取り付けられた受信器用固定部材4aを、複数の孔のうち、第1の孔20a以外の一以上の孔である第2の孔20bに挿入する。そして、受信器4bが所定の位置に到達したところで受信器用固定部材4aを固定する。これにより、第2の孔20bの内部に受信器4bを配置する(ステップS102)。なお、発信器3bが配置される鉛直方向の位置と、受信器4bが配置される鉛直方向の位置と、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
状態測定装置5は、発信器3b及び受信器4bに電力を供給し、発信器3bに制御信号を送信することで発信器3bから弾性波を発信させる(ステップS103)。そして、受信器4bは、発信器3bが発信した弾性波を受信すると、その受信結果を状態測定装置5に送信する(ステップS104)。そして、状態測定装置5は、その受信結果に基づいて、発信器3bから発信された弾性波が受信器4bで受信されるまでの時間、すなわち伝搬時間や当該弾性波の振幅減衰を求めることで、地盤改良体Kにおいて、第1の孔20aと第2の孔20bとの間の造成状態を測定することができる(ステップS105)。
【0031】
例えば、実施例として、図3に示すように、地盤G中に9つの地盤改良体K~Kが改良掘削機によって構築され、それぞれに中空管2が挿入されているとする。この場合において、発信器3bは、地盤改良体Kの中に配置された中空管2の中空空間である第1の孔20aの内部に配置されている。また、受信器4bは、地盤改良体K、地盤改良体K、及び地盤改良体Kの中に配置された各中空管2の中空空間である第2の孔20bに配置されている。
【0032】
この図3の状態において、発信器3bから発信された弾性波は、各受信器4bで受信されることになる。したがって、状態測定装置5は、各受信器4bの受信結果により、地盤改良体Kの孔20と地盤改良体Kの孔20との間、地盤改良体Kの孔20と地盤改良体Kの孔20との間、地盤改良体Kの孔20と地盤改良体Kの孔20との間、のそれぞれの造成状態を測定することができる。
【0033】
このように、状態測定装置5は、第1の孔20aと第2の孔20bとの間を物理探査することにより、地盤改良体Kの孔20と地盤改良体Kの孔20との間の断面W、地盤改良体Kの孔20と地盤改良体Kの孔20との間の断面W、及び地盤改良体Kの孔20と地盤改良体Kの孔20との間の断面Wでの鉛直方向の攪拌状況や固化状況等の造成状態を測定することができる。すなわち、状態測定装置5は、複数の地盤改良体Kの構成状態を三次元的に測定することができる。例えば、一つの孔20又は複数の孔20のそれぞれに発信器3bや受信器4bを複数設置して弾性波の測定を行ってもよいし、発信器3b及び受信器4bの少なくともいずれかを鉛直方向に移動させながら弾性波の測定を行ってもよい。
【0034】
(変形例1)
上記実施形態では、状態測定装置5は、第1の孔20aと第2の孔20bの間の構成状態を、弾性波を用いて測定したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、状態測定装置5は、各地盤改良体Kにおいて形成された鉛直方向に延在する孔20のうち、第1の孔20aと第2の孔20bとの間を物理探査することにより地盤改良体Kの造成状態を測定すればよく、その物理探査の具体的な手法には特に限定されない。
【0035】
例えば、上記物理探査とは、上記実施形態で説明した弾性波探査の他に、電気探査(例えば、比抵抗法)、電磁探査、磁気探査、超音波探査等がある。ここで、地盤改良体Kの築造直後で未固結状態である場合には、第1の孔20aと第2の孔20bとの間を電気探査し、固結後であれば速度検層や超音波探査が望ましい。また、より検知しやすくするために、鉄粉を混入することも考えられる。
【0036】
(変形例2)
上記実施形態において、改良掘削機における注入管を複数用意し、その複数の注入管に物理探査するための各種センサ(例えば、発信器3bや受信器4b)を取り付けることで、施工中にリアルタイムにトモグラフィーを実施してもよい。これにより、リアルタイムで撹拌状況や固化状況等の構成状態を測定することができる。
例えば、発信器3bを改良掘削機の注入管に取り付けることで、第1の孔20aの内部に発信器3bを設置してもよい。また、受信器4bを改良掘削機の注入管に取り付けることで、第2の孔20bの内部に受信器4bを設置してもよい。これにより、地盤改良体Kを造成中に当該地盤改良体Kの造成状態を測定することが可能となり、出来形不足がある場合は、注入管の先端に設けられた噴射孔から地盤Gに向けて再噴射することが可能となる。
この変形例2における改良体測定方法としては、まず、発信器3bを改良掘削機の注入管に取り付け、受信器4bを第2の孔20bの内部に設置する。その後、高圧噴射攪拌工法による地盤改良体Kの造成のために、注入管が地中Gに挿入されると、注入管に取り付けられている発信器3bも同時に地中Gに挿入されることになる。その結果、発信器3bは、第1の孔20aの内部に設置されることになる。そして、注入管が地中Gに挿入されると、注入管の噴射孔から地盤Gに向けて超高圧硬化材と圧縮空気が噴射されて地盤改良体Kの造成が開始される。そして、改良体測定装置1は、改良掘削機により地盤改良体Kが造成されている場合において、地盤改良体Kの造成状態を測定する。例えば、改良体測定装置1は、地盤改良体Kの造成中に、発信器3b及び受信器4bに電力を供給し、発信器3bに制御信号を送信することで発信器3bから弾性波を発信させ、受信器4bにて発信器3bが発信した弾性波を受信する。そして、受信器4bは、その受信結果を状態測定装置5に送信する。これにより、地盤改良体Kの造成中において、リアルタイムで撹拌状況や固化状況等の構成状態を測定することができる。
なお、上述したように、発信器3bではなく受信器4bを注入管に取り付けてもよいし、複数の注入管のうち、第1の注入管に受信器4bを取り付け、第1の注入管ではない第2の注入管に発信器3bを取り付けてもよい。
さらに、一つの注入管に、複数の発信器3bを設置してもよいし、複数の受信器4bを設置してもよい。また、一つの注入管に一つ以上の発信器3b及び一つ以上の受信器4bを設置してもよい。
【0037】
(変形例3)
上記実施形態では、複数の地盤改良体Kの中のそれぞれに対して中空管2を鉛直方向に配置することで各地盤改良体Kに孔20を形成したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明は、各地盤改良体Kに孔20を形成する方法には、特に限定されない。例えば、地盤改良体Kが固着した後に、コアボーリング工法等により各地盤改良体の中に鉛直方向に延在する孔20を形成してもよい。
【0038】
(変形例4)
上記実施形態では、複数の地盤改良体Kの中のすべてに孔20を形成したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、複数の地盤改良体Kに孔20を形成すればよく、すべての地盤改良体Kに孔20を形成しなくてもよい。
【0039】
(変形例5)
上記実施形態において、発信器用固定部材3aや受信器用固定部材4aを伸縮させることにより、第1の孔20aにおける発信器3bの位置や第2の孔20bにおける受信器4bの位置が上下動する構成としてもよい。
【0040】
(変形例6)
上記実施形態において、発信器3bや受信器4bは、発信器用固定部材3aや受信器用固定部材4aに取り付けられて設置される場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、発信器3bが第1の孔20aに設置され、受信器4bが第2の孔20bに設置されればよく、その設置方法には特に限定されない。
【0041】
(変形例7)
上記実施形態において、発信器3bを第2の孔20bの内部に設置し、受信器4bを第1の孔20aの内部に設置してもよい。例えば、第1の孔20aの内部に一つ以上の発信器3b及び一つ以上の受信器4bを設置してもよい。また、第2の孔20bの内部に一つ以上の受信器4b及び一つ以上の発信器3bを設置してもよい。
【0042】
(変形例8)
上記実施形態において、発信器用固定部材3aに発信器3bが一つ設置されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、発信器用固定部材3aに複数の発信器3bが設置されてもよい。また、上記実施形態において、受信器用固定部材4aに受信器4bが一つ設置されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、受信器用固定部材4aに複数の受信器4bが設置されてもよい。
【0043】
以上、説明したように、本発明の一実施形態に係る改良体測定装置1は、各地盤改良体Kにおいて形成された鉛直方向に延在する孔20のうち、第1の孔20aと第1の孔20aとは異なる第2の孔20bとの間を物理探査することにより地盤改良体Kの造成状態を測定する状態測定装置5を備える。
【0044】
このような構成によれば、地盤改良体と現地盤との境界面で反射する反射波を用いずに地盤改良体Kの造成状態を測定することができる。したがって、地盤改良体Kに泥土が含まれ、当該泥土と現地盤との特性が類似している場合であっても、その影響を受けずに地盤改良体Kの造形状態を計測することが可能となる。そのため、従来と比較して、地盤改良体Kの造形状態の計測精度を向上させることができる。
【0045】
ところで、地盤改良体Kの造成状態(例えば、改良体の出来形)を確認する方法として、フィラー方式や検知管方式がある。フィラー方式とは、高圧噴射攪拌工法により施工完了後、削孔内にコンベックス素材を強化したフィラーを内蔵した特殊管を挿入し、特殊管の先端から水平方向にフィラーを押し出し、改良範囲と現地盤の抵抗値の違いを確認することで、地盤改良体Kの造成状態を測定する方法である。一方、検知管方式とは、高圧噴射攪拌工法の施工中の地盤改良体Kの外部に検知管を設置し、この検知管内に設けられた計測孔にボアホールカメラや各種センサを挿入する。そして、高圧噴射攪拌工法による噴射が検知管(計測孔)に当たる様子を、ボアホールカメラを介して目視確認すると同時に、波形等のデータを記録することで、地盤改良体Kの造成状態を確認する方法である。
【0046】
ただし、フィラー方式は、高水圧下では使用できず、さらに一方向の造成状態しか確認することができない。また、検知管方式は、別途計測孔を設置するために手間がかかるとともに、フィラー方式と同様に一方向の造成状態しか確認できない。
【0047】
一方、本実施形態の改良体測定装置1では、複数の第2の孔20bの内部に受信器4bを設けることで、地盤改良体Kにおいて、二方向以上の造形状態を検出することができる。さらに、改良体測定装置1では、高水圧下でも使用でき、且つ、上記計測孔を設置する必要がない。
【0048】
このように、本実施形態の改良体測定装置1は、従来では困難であった土中の不可視部分において、地盤改良体Kの造成できている範囲がリアルタイムで把握可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1 改良体測定装置
2 中空管
3 発信装置
3b 発信器
4 受信装置
4b 受信器
5 状態測定装置
20a 第1の孔
20b 第2の孔
図1
図2
図3