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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】可動壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20220926BHJP
   E05D 15/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
E04B2/74 561C
E05D15/00 B
E05D15/00 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018148772
(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公開番号】P2020023828
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】谷口 尚範
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】及川 直哉
(72)【発明者】
【氏名】水島 一彦
(72)【発明者】
【氏名】水口 朝博
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-524781(JP,A)
【文献】特開2018-087441(JP,A)
【文献】特開2014-092009(JP,A)
【文献】特開2008-255682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
E05D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1可動壁が前記第1可動壁の上方に設けられた上部構造体に移動可能に支持された可動壁構造において、
前記上部構造体は、下方に開口し前記第1可動壁の移動方向に延びる溝部が形成され前記第1可動壁の上端部が挿入されるレールを有し、
前記溝部の底部と前記第1可動壁の上端部とは離間しており、
前記第1可動壁に沿って移動可能に支持された第2可動壁を有し、
前記第1可動壁の上端部は前記レールに沿って移動可能に構成され、
前記第2可動壁の上端部は前記レールに届かない高さで形成され、
前記第1可動壁と前記第2可動壁との間に第2可動壁支持機構が設けられ、
前記第2可動壁支持機構は、前記第1可動壁の高さ方向の中間部に取り付けられた中間レールを備え、
前記中間レールを介して、前記第2可動壁は前記第1可動壁とともに移動するように構成されていることを特徴とする可動壁構造。
【請求項2】
前記第2可動壁支持機構は、
前記第1可動壁の高さ方向中間部に取り付けられた第1ガイドと、
前記第2可動壁に前記第1ガイドと略同じ高さに取り付けられた第2ガイドと、を備え、
前記中間レールは、左右方向に延びる部材で、
前記第2ガイドに係止された状態で該第2ガイドと左右方向に相対変位可能に構成されるとともに、前記第1ガイドと係合した状態で該第1ガイドと左右方向に相対変位可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の可動壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可動屋根が設けられ屋根が開閉する構造物や、可動壁が設けられ壁が開閉する構造物が知られている。また、特許文献1には、可動屋根と可動壁とが連結され、可動屋根と可動壁とが一体に移動する構造物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-310445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可動壁がその上部に設けられた屋根などの上部構造体に移動可能に支持されている場合、上部構造体の変位によって可動壁の移動に影響が生じる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、可動壁の上部に設けられた上部構造体に変位が生じた場合でも可動壁が移動することができる可動壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る可動壁構造は、第1可動壁が前記第1可動壁の上方に設けられた上部構造体に移動可能に支持された可動壁構造において、前記上部構造体は、下方に開口し前記第1可動壁の移動方向に延びる溝部が形成され前記第1可動壁の上端部が挿入されるレールを有し、前記溝部の底部と前記第1可動壁の上端部とは離間しており、前記第1可動壁に沿って移動可能に支持された第2可動壁を有し、前記第1可動壁の上端部は前記レールに沿って移動可能に構成され、前記第2可動壁の上端部は前記レールに届かない高さで形成され、前記第1可動壁と前記第2可動壁との間に第2可動壁支持機構が設けられ、前記第2可動壁支持機構は、前記第1可動壁の高さ方向の中間部に取り付けられた中間レールを備え、前記中間レールを介して、前記第2可動壁は前記第1可動壁とともに移動するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、レールの溝部の底部と第1可動壁の上端部とは離間していることにより、上部構造体に変位が生じ、下方に変位した場合でもレールの溝部の底部と第1可動壁の上端部とが干渉することがないため、可動壁がレールに沿って移動することができる。
また、第2可動壁がレールにガイドされない場合でも、第1可動壁とともに第1可動壁の移動方向に移動することができる。
【0008】
また、本発明に係る可動壁構造では、前記第2可動壁支持機構は、前記第1可動壁の高さ方向中間部に取り付けられた第1ガイドと、前記第2可動壁に前記第1ガイドと略同じ高さに取り付けられた第2ガイドと、を備え、前記中間レールは、左右方向に延びる部材で、前記第2ガイドに係止された状態で該第2ガイドと左右方向に相対変位可能に構成されるとともに、前記第1ガイドと係合した状態で該第1ガイドと左右方向に相対変位可能に構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、可動壁の上部に設けられた上部構造体に変位が生じた場合でも可動壁が移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による可動壁構造が設けられた構造体の一例を示す正面図である。
図2】第1可動壁の正面図である。
図3】第1右側可動壁および第2可動壁の正面図である。
図4図2のA-A線断面図である。
図5図3のB-B線断面図である。
図6】(a)は閉鎖状態の第2可動壁を開放状態とする動作を説明する図、(b)開放状態の第2可動壁を閉鎖状態とする動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態による可動壁構造1について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による可動壁構造1は、ホールやスタジアムなどの大空間が設けられた構造物の壁部11に採用されている。
本実施形態では壁部11は、上下方向に複数の段に分割され、最上段となる上側壁部12、およびその直下の下側壁部14を有している。なお、下側壁部14の下側にも壁体に形成されていてもよい。
上側壁部12には、複数の可動壁2が設けられている。上側壁部12は、複数の可動壁2がそれぞれの壁面をその壁面に沿った水平方向に連ねるように配列されることで空間を仕切り、複数の可動壁2がその面を重ねるように配置されることで空間を開放するように構成されている。
以下では、複数の可動壁2が空間を仕切る状態を閉鎖状態とし、複数の可動壁2が空間を開放する状態を開放状態とする。また、壁面に沿った水平方向を左右方向(図1における左右方向)とする。
【0012】
下側壁部14は、複数の固定壁141と複数の可動壁142とが左右方向に1ずつ交互に配列されている。固定壁141は、左右方向に隣接する可動壁142を引き込み可能に構成されている。下側壁部14は、可動壁142が固定壁141に引き込まれることで、左右方向に隣り合う固定壁141,141の間を開放するように構成されている。
下側壁部14の可動壁142は、下側壁部14の下側の躯体(壁部11または床)に設けられた下部レール、および下側壁部14の上側の固定フレームに設けられた上部レールに沿って左右方向に移動するように構成されている。
【0013】
上側壁部12の可動壁2は、下側壁部14の上部に設けられた下部レール3、および上部に配置される屋根の下端部に設けられた上部レール4に沿って移動するように構成されている。
下部レール3は、下側壁部14の固定壁141、および下側壁部14の可動壁142の上部レールが固定された固定フレームに設けられている。なお、下部レール3は、下側壁部14の可動壁142が開放されていても閉鎖されていても上側壁部12の可動壁2が移動可能な状態に配置されている。
【0014】
本実施形態では、屋根13は、固定屋根と可動屋根131とを有し、可動屋根131が移動して固定屋根の上方または下方に重なることで空間の上方を開放可能な可動屋根構造となっている。本実施形態では、可動屋根131は、左右方向に直交する水平方向(図1の紙面に直交する方向)に移動するように構成されている。
上部レール4は、可動屋根(上部構造体)131の下端部に設けられていて、可動屋根131が閉鎖された状態で上側壁部12の上部に配置され、上側壁部12の可動壁2が移動できるように構成されている。
このため、上側壁部12の可動壁2は、可動屋根131が閉鎖された状態で下部レール3および上部レール4に沿って左右方向に移動するように構成されている。
複数の可動壁2は、開放状態となって重ねて配置されると、可動屋根131に設けられた上部レール4から外れるように構成されている。これにより、可動屋根131は、複数の可動壁2が開放状態となると移動可能となる。
【0015】
上側壁部12の可動壁2は6枚設けられていて、6枚の可動壁2は、それぞれの壁面が同じ方向を向くように配置され、左右方向に移動可能に構成されている。下部レール3は6つずつ設けられており、それぞれ1つの可動壁2が移動するように構成されている。6つの下部レール3は、それぞれ左右方向に延び平行に設けられている。
6枚の可動壁2は、それぞれ異なる下部レール3に沿って移動するため、閉鎖状態では左右方向に配列されているが、左右方向に隣接はせず、それぞれ壁面に直交する方向にずれて配置されている。
【0016】
上側壁部12の上縁部は、左右方向の一方側(右側とする、図1における右側)の端部近傍を除く部分12aが水平方向に延び、右側の端部近傍の部分12bが左右方向の他方側(左側とする、図1における左側)から右側に向かって漸次下側に向かうように傾斜している。
上側壁部12の6枚の可動壁2のうち、閉鎖状態となった際の左側から5枚の可動壁2を第1可動壁21とし、右側の一枚を第2可動壁22とする。
5枚の第1可動壁21のうちの右側の第1可動壁21と、第2可動壁22が、閉鎖状態となると上側壁部12の上縁部が傾斜している右側の端部近傍の部分12bを構成している。5枚の第1可動壁21および第2可動壁22は、左右方向の寸法がほぼ同じ長さに設定されている。
【0017】
5枚の第1可動壁21は、閉鎖状態において右側に配置される第1可動壁21以外は、同じ形状に形成されている。閉鎖状態において右側に配置される第1可動壁21は、他の第1可動壁21と壁部11の形状が異なり、第2可動壁22を支持する第2可動壁支持機構5が取り付けられている。閉鎖状態において右側に配置される第1可動壁21を第1右側可動壁23とする。
【0018】
図2図4に示すように、第1可動壁21(第1右側可動壁23を含む)は、板状の壁体211と、壁体211の下端部に設けられ壁体211に回転可能に支持された車輪212と、車輪212を駆動させる電動機213と、壁体211の上端部に設けられ壁体211に回転可能に支持されたガイドローラ214と、を有している。
第1右側可動壁23以外の第1可動壁21の壁体211は、壁面が矩形に形成されている。
第1右側可動壁23の壁体211は、他の第1可動壁21の壁面の矩形における右側かつ上側の角部が切除された五角形に形成されている。第1右側可動壁23の壁体211の上縁部は、左側の部分211aが水平に延び、右側の部分211bは左側から右側に向かって漸次下側に向かうように傾斜している。
【0019】
車輪212は、下部レール3の上側に載置され、下部レール3に沿って左右方向に移動可能に構成されている。
ガイドローラ214は、上部レール4の内部に配置され、上部レール4に沿って左右方向に移動可能に構成されている。第1右側可動壁23のガイドローラ214は、第1右側可動壁23の壁体211における上縁部における水平に延びる左側の部分211aに設けられている。
上部レール4は、左右方向に延び、5枚の第1可動壁21それぞれに対して1つずつ設けられている。5つの上部レール4が平行に配列されている。5つの上部レール4は、5枚の第1可動壁21の車輪212が走行する5つの下部レール3それぞれの鉛直方向の上側に配置されている。
【0020】
上部レール4は、屋根13の下端部に取り付けられていて、下側に開口する溝部41が形成されている。上部レール4の溝部41の内部にガイドローラ214が挿入されている。溝部41の底部42(溝部41を形成する下側を向く面)と、ガイドローラ214の上端部214aとの間には、間隔が設けられていてガイドローラ214の上端部214aと溝部41の底部42とは離間している。
ガイドローラ214の上端部214aと溝部41の底部42との間隔は、屋根13や壁体211に想定し得る変形が生じた場合でもガイドローラ214の上端部214aと溝部41の底部42とが接触しない寸法に設定されている。
上部レール4の溝部41は、第1可動壁21が移動する際に側部43にガイドローラ214が接触するように構成されている。
【0021】
図3に示すように、第2可動壁22は、壁面が台形となる板状の壁体221と、壁体221の下端部に設けられ壁体221に回転可能に支持された車輪222と、車輪222を駆動させる電動機223と、を有している。
壁体221の上縁部は、左側から右側に向かって漸次下側に向かうように傾斜している。第2可動壁22の壁体221の上縁部221aの傾斜角度は、第1右側可動壁23の壁体211の上縁部の傾斜している左側の部分211bの傾斜角度と同じ値となっている。第2可動壁22の壁体221の左縁部の上端部の高さと、第1右側可動壁23の壁体211の右縁部の上端部の高さとは同じ値となっている。
車輪222は、下部レール3の上側に載置され、下部レール3に沿って左右方向に移動するように構成されている。第2可動壁22には、ガイドローラ214が設けられておらず、第2可動壁22をガイドする上部レール4も設けられていない。
【0022】
本実施形態では、図3に示すように、屋根13には、閉鎖状態となった第1右側可動壁23の壁体211の上縁部における傾斜している右側の部分211bの直上にこの傾斜に対応した第1上部傾斜レール61が設けられ、閉鎖状態となった第2可動壁22の壁体221の傾斜している上縁部221aの直上にこの傾斜に対応した第2上部傾斜レール62が設けられている。第1上部傾斜レール61および第2上部傾斜レール62には、それぞれ下側に開口する溝部611,621が形成されている。
【0023】
第1右側可動壁23には、壁体211の上縁部における傾斜している右側の部分211bから上方に突出する第1被係止部63が設けられている。第1被係止部63は、第1右側可動壁23が閉鎖状態となると、第1上部傾斜レール61の溝部611に挿入され、第1上部傾斜レール61に係止されるように構成されている。第1被係止部63が第1上部傾斜レール61に係止されると、第1右側可動壁23が屋根13に固定される。
第1被係止部63は、例えば、壁体211から上方に突出する棒状や板状の部材でもよいし、溝部611の底部や側部と接触可能なローラが設けられていてもよい。
【0024】
第2可動壁22には、壁体221の傾斜している上縁部221aから上方に突出する第2被係止部64が設けられている。第2被係止部64は、第2可動壁22が閉鎖状態となると、第2上部傾斜レール62の溝部621に挿入され、第2上部傾斜レール62に係止されるように構成されている。第2被係止部64が第2上部傾斜レール62に係止されると、第2可動壁22が屋根13に固定される。
第2被係止部64は、例えば、壁体221から上方に突出する棒状や板状の部材でもよいし、溝部621の底部や側部と接触可能なローラが設けられていてもよい。
なお、第1右側可動壁23および第2可動壁22を上部から係止(固定)する機構は上記以外であってもよい。
【0025】
図3および図5に示すように、第2可動壁支持機構5は、第1右側可動壁23に取り付けられる第1ガイド51と、第2可動壁22に取り付けられる第2ガイド52と、第1ガイド51および第2ガイド52と所定の範囲において左右方向に相対変位可能な中間レール53と、を有している。
第1ガイド51は、第1右側可動壁23の壁体211の高さ方向の中間部に取り付けられている。
第2ガイド52は、第2可動壁22の壁体221に第1ガイド51と略同じ高さで取り付けられている。
【0026】
中間レール53は、左右方向に延びる部材で、第2ガイド52に係止された状態で第2ガイド52と左右方向に相対変位可能に構成されている。中間レール53は、第1ガイド51と係合した状態で第1ガイド51と左右方向に相対変位可能に構成されている。
中間レール53は、第1可動壁21および第2可動壁22の左右方向の寸法とほぼ同じ長さ寸法に形成されている。
中間レール53は、第2可動壁22よりも右側には移動せず、第2可動壁22よりも左側には、中間レール53の長さ寸法(第2可動壁22の左右方向の寸法)の略1/2の長さ寸法分突出する位置まで移動でき、それ以上の第2可動壁22よりも左側への移動は拘束されるように第2ガイド52に支持されている。
中間レール53は、第1右側可動壁23よりも左側には移動せず、第1右側可動壁23よりも右側には、中間レール53の長さ寸法の略1/2の長さ寸法分突出する位置まで移動でき、それ以上の第1右側可動壁23よりも右側へ移動は拘束されるように第1ガイド51に支持されている。
【0027】
図3および図6(a)に示すように、閉鎖状態では、第1右側可動壁23と第2可動壁22とは、第2可動壁22が第1右側可動壁23の右側となるように左右方向に並んで配置され、中間レール53の長さ方向の中央よりも左方側が第1右側可動壁23と重なり、中央よりも右方側が第2可動壁22と重なっている。
この状態から、第1右側可動壁23および第2可動壁22を開放状態するには、まず、第2可動壁22を左側に移動させる。このとき、中間レール53は、全体が第2可動壁22と重なるまで第2可動壁22とともに移動せず、停止している。
【0028】
さらに、第2可動壁22を左側に移動させて、中間レール53の全体と第2可動壁22とが重なると、中間レール53は第2可動壁22よりも右側に移動できないため、第2可動壁22とともに左側に移動するようになる。
さらに、第2可動壁22を中間レール53とともに左側に移動させると、第2可動壁22および中間レール53が第1右側可動壁23と重なる。これにより、中間レール53は、第1右側可動壁23よりも左側への移動が拘束される。
さらに、第2可動壁22を中間レール53とともに左側に移動させると、第1右側可動壁23も第2可動壁22および中間レール53と左側に移動する。すなわち第1右側可動壁23を左側へ移動させると第2可動壁22も第1右側可動壁23とともに左側へ移動する。
【0029】
図6(b)に示すように、開放状態の第1右側可動壁23および第2可動壁22を閉鎖状態とするには、第1右側可動壁23を第2可動壁22および中間レール53とともに所定の位置に配置し、第2可動壁22を右側に移動させる。中間レール53は、第1右側可動壁23に対して長さ寸法の1/2の長さが左側に突出した状態で左側の移動が停止する。中間レール53の左側への移動が停止されると、第2可動壁22のみが左側に移動する。第2可動壁22が中間レール53よりも左側に中間レール53の1/2の長さ分突出すると、第2可動壁22の移動が停止され、図3に示すような閉鎖状態となる。
【0030】
次に、上述した本実施形態による可動壁構造1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による可動壁構造1では、上部レール4の溝部41の底部42と第1可動壁21の上端部とは離間していることにより、可動屋根131に移動や地震、風圧などによる変位が生じ、下方に変位した場合でも上部レール4の溝部41の底部42と第1可動壁21の上端部(ガイドローラ214の上端部214a)とが干渉することがないため、可動壁2が上部レール4に沿って移動することができる。
【0031】
また、第1右側可動壁23に沿って移動可能に支持された第2可動壁22は、第1可動壁21とともに移動するように構成されていることにより、第2可動壁22が上部レール4にガイドされない場合でも、第1右側可動壁23とともに第1可動壁21の移動方向に移動することができる。
【0032】
以上、本発明による可動壁構造1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、上部レール4にガイドされない第2可動壁22が設けられているが、このような第2可動壁22が設けられていなくてもよい。
また、上記の実施形態では、可動壁構造1は、下側にも可動壁2が設けられ、上側に可動屋根131が設けられた壁部11に採用されているが、固定式の壁や床と、固定屋根との間に設けられた壁部に採用されてもよい。
【0033】
また、上記の実施形態では、下側壁部14は、複数の固定壁141と複数の可動壁142とが左右方向に1ずつ交互に配列され、固定壁141が左右方向に隣接する可動壁142を引き込み可能に構成されている。これに対し、下側壁部14は、複数の可動壁で構成され、複数の可動壁が重なって配置されることで空間を開放するように構成されていてもよい。また、下側壁部14は、固定壁であってもよく、公知の技術を採用した形態に適宜設定されてよい。
【符号の説明】
【0034】
1 可動壁構造
4 上部レール(レール)
21 第1可動壁
22 第2可動壁
41 溝部
42 底部
131 可動屋根(上部構造体)
214 ガイドローラ
214a 上端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6