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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20220926BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G02B27/01
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018164855
(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公開番号】P2020037312
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591182112
【氏名又は名称】NSウエスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 敏治
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋平
(72)【発明者】
【氏名】高見 卓
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-185790(JP,A)
【文献】特表2017-537354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関連した情報を光学像として投影するヘッドアップディスプレイ装置であって、
光源から発せられた照明光を透過させることにより、前記光学像に対応した表示光を発する表示素子と、
前記表示素子を収容する収容部と、
前記収容部の外部かつ下方に配置され、前記表示素子を制御する制御基板と、
前記表示素子から延び、前記制御基板に接続されるフレキシブル基板と、を備え、
前記収容部には、
前記フレキシブル基板を下方に向かって繰り出す開口部と、
前記フレキシブル基板のうち、前記開口部から繰り出された部位を前記制御基板に導く板状のガイド部材と、が設けられ、
前記ガイド部材は、
前記フレキシブル基板を載置しつつ下方へと導く載置部と、
前記制御基板に向かって開口し、かつ前記フレキシブル基板が挿通される挿通部と、を有する
ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたヘッドアップディスプレイ装置において、
前記載置部には貫通孔が設けられ、
前記貫通孔は、該貫通孔を通じて、前記載置部に載置されている前記フレキシブル基板を視認可能に構成されている
ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたヘッドアップディスプレイ装置において、
前記載置部は、前記制御基板から離間するように、斜め下方に向かって延び、
前記ガイド部材は、前記載置部の下端から連続し、かつ、前記制御基板に向かって折り返して延びる折返部をさらに有し、
前記挿通部は、前記折返部に設けられている
ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるヘッドアップディスプレイ装置(以下、「HUD装置」ともいう)とは、車両に関連した情報を光学像としてコンバイナやフロントガラス等に投影し、その虚像を通じてドライバに情報を伝える装置をいう。そうしたHUD装置においては、光学像に対応した表示光を出射するべく、モジュール化された表示器を用いるのが通例である。
【0003】
例えば特許文献1には、光源(バックライトユニット)から発生された照明光を透過させることにより、光学像に対応した表示光を発する表示素子(液晶表示素子)と、この表示素子を収容する収容部(支持体、ケース部材)と、を備えた表示器が開示されている。この特許文献1に記載されているような表示素子は、これを制御するための制御基板に対して電気的に接続されることになる。
【0004】
例えば特許文献2には、HUD装置の一例として、表示光を出射する表示器と、これを制御するための制御基板(回路基板)と、表示器から延びて制御基板に接続されるフレキシブル基板(FPC)と、を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-174855号公報
【文献】特開2018-030522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的なHUD装置は、表示器等を収容するための筐体を備えているところ、そうした筐体の上面には、表示器から出射される表示光を透過させる必要がある。そこで、前記特許文献2に記載されているような制御基板は、表示光を透過させる際に邪魔とならないように、筐体の下側、特に、その下面に沿って配置されるのが通例である。
【0007】
この場合、表示素子から延びるフレキシブル基板は、前記特許文献1に記載されているような収容部から下方向に繰り出された後、制御基板に接続されることになる。このフレキシブル基板は、重力に従って垂下するものの、車両の内燃機関が始動すると、絶え間ない振動に曝されることになる。そのような環境下では、フレキシブル基板が振動して暴れてしまい、異音を招く可能性があることに、本願発明者らは気付いた。
【0008】
ここに開示する技術は、かかる点になされたものであり、その目的とするところは、表示素子および制御基板をフレキシブル基板によって接続して成るHUD装置において、異音の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、車両に関連した情報を光学像として投影するヘッドアップディスプレイ装置に係る。このヘッドアップディスプレイ装置は、光源から発せられた照明光を透過させることにより、前記光学像に対応した表示光を発する表示素子と、前記表示素子を収容する収容部と、前記収容部の外部かつ下方に配置され、前記表示素子を制御する制御基板と、前記表示素子から延び、前記制御基板に接続されるフレキシブル基板と、を備え、前記収容部には、前記フレキシブル基板を下方に向かって繰り出す開口部と、前記フレキシブル基板のうち、前記開口部から繰り出された部位を前記制御基板に導く板状のガイド部材と、が設けられる。
【0010】
そして、前記ガイド部材は、前記フレキシブル基板を載置しつつ下方へと導く載置部と、前記制御基板に向かって開口し、かつ前記フレキシブル基板が挿通される挿通部と、を有する。
【0011】
この構成によれば、収容部から繰り出されたフレキシブル基板は、載置部の上に載置されながら、下方に向かって導かれる。そうして導かれたフレキシブル基板は、挿通部に挿通されることにより、制御基板に向かって導かれることになる。
【0012】
よって、フレキシブル基板は、載置部および挿通部の双方によって支持されることになるから、振動を抑止し、異音を抑制することができる。また、挿通部を制御基板に向けて開口させたことで、これに挿通させたフレキシブル基板を制御基板に導く上で有利になる。
【0013】
また、前記載置部には貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、該貫通孔を通じて、前記載置部に載置されている前記フレキシブル基板を視認可能に構成されている、としてもよい。
【0014】
一般に、表示素子およびフレキシブル基板は、表面と裏面とを区別する必要がある。
【0015】
前記の構成によれば、貫通孔からフレキシブル基板を視認することで、フレキシブル基板および表示素子が正常に配置されているか否かを判断することが可能となる。これにより、表示素子の誤組み付けを防ぐことができる。
【0016】
また、前記載置部は、前記制御基板から離間するように、斜め下方に向かって延び、前記ガイド部材は、前記載置部の下端から連続し、かつ、前記制御基板に向かって折り返して延びる折返部をさらに有し、前記挿通部は、前記折返部に設けられている、としてもよい。
【0017】
この構成によれば、ガイド部材は、制御基板から離れるように延びた後、折り返して制御基板に向かって延びることになる。このように、制御基板から一旦、離間するようにガイド部材を延ばすことにより、制御基板から接離する方向において、ガイド部材をコンパクトに構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、前記のヘッドアップディスプレイ装置によれば、異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、車両の内装を例示する図である。
図2図2は、ヘッドアップディスプレイ装置の概要を例示するための図である。
図3図3は、ヘッドアップディスプレイ装置の外観を例示する斜視図である。
図4図4は、ヘッドアップディスプレイ装置からアッパーケースを取り外した状態を例示する分解斜視図である。
図5図5は、ヘッドアップディスプレイ装置の内部構成を例示する平面図である。
図6図6は、ヘッドアップディスプレイ装置の内部構成を例示する断面図である。
図7図7は、表示器の外観を例示する斜視図である。
図8図8は、表示器の構成を例示する分解斜視図である。
図9図9は、表示器の内部構成を例示する断面図である。
図10図10は、表示素子周辺の構成を後面側から見て例示する斜視図である。
図11図11は、ホルダ及びガイド部材を後面側から見て例示する斜視図である。
図12図12は、ガイド部材の構成を例示する側面図である。
図13図13は、フレキシブル基板の取付手順について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
【0021】
また、以下の説明では、ヘッドアップディスプレイ装置を単に「HUD装置」という。
【0022】
<HUD装置の概要>
図1は、車両Vの内装を例示する図であり、図2は、HUD装置1の概要を説明するための図である。図1図2に示すように、HUD装置1は、車両VのダッシュボードPの上面に埋め込まれるようにして設けられ、車速やカーナビゲーション情報など、車両Vに関連した情報を光学像としてウインドシールドWに投影する。ウインドシールドWに投影された光学像は、このウインドシールドWによって反射され、ドライバは、その反射光に対応した虚像Dを通じて、HUD装置1から投影された光学像、ひいては、その光学像が示す情報を視認することができる(図2の矢印を参照)。
【0023】
<HUD装置の主要構成>
以下、HUD装置1の主要構成について説明をする。
【0024】
図3はHUD装置1の外観を例示する斜視図であり、図4はHUD装置1からアッパーケース101を取り外した状態を例示する分解斜視図である。また、図5はHUD装置1の内部構成を例示する平面図であり、図6はHUD装置1の内部構成を例示する断面図である。
【0025】
なお、図3図6において、「前」とは車両前後方向における「前」を示し、「後」とは車両前後方向における「後」を示す。また、「右」及び「左」は、それぞれ、車両前後方向に垂直な方向として定義されている。
【0026】
図3図6に示すように、HUD装置1は、主たる構成要素として、光学像に対応した表示光を発する表示器2と、この表示光を反射するミラーユニット3,4と、車両V周辺の照度を検出するセンサユニット5と、を備えている。
【0027】
ここで、ミラーユニット3,4は、表示器2から発せられた表示光を反射する第1ミラーユニット3と、第1ミラーユニット3により反射された表示光をさらに反射する第2ミラーユニット4と、を有している。HUD装置1から同装置1の外部に投影される光学像は、第2ミラーユニット4により反射された表示光を結像することにより得られる。
【0028】
また、HUD装置1は、表示器2、ミラーユニット3,4、及び、センサユニット5を収容する筐体10をさらに備えており、筐体10内に各部品を収容することで、HUD装置1自体のユニット化を実現している。
【0029】
筐体10は、前後方向の寸法に比して、左右方向の寸法が長い箱状に構成されており、ミラーユニット3,4、特に第2ミラーユニット4による反射光を透過させるアッパーケース101と、このアッパーケース101により閉塞されるロアーケース102と、を有している。空気中の埃などから隔離するために、筐体10内の空間は、気密状に密閉されている。
【0030】
詳しくは、アッパーケース101は、主な構成要素として、第2ミラーユニット4による反射光を透過可能な薄板状のカバーグラス101aと、カバーグラス101aの周囲を囲う樹脂製のケース本体101bと、を有している。カバーグラス101aとケース本体101bとの接続部は、不図示のシール部材によって密閉されている。なお、カバーグラス101aには、外界の自然光を透過させることもでき、そうして透過させた自然光を通じて、センサユニット5が照度を検出するようになっている。
【0031】
また、ロアーケース102は、上側が開口した浅箱状に構成されており、その内底面には、前述の表示器2と、第1ミラーユニット3と、第2ミラーユニット4とが取り付けられている。
【0032】
なお、図6に示すように、ロアーケース102の下部には、リアカバー103が取り付けられている。ロアーケース102とリアカバー103とによって区画されるスペースには、PCB配線板にCPU等を実装して成る制御基板103aが収容されている。この制御基板103aは、少なくとも、表示器2およびセンサユニット5に接続されている。
【0033】
<表示器の詳細>
続いて、HUD装置1の構成要素のうち、特に、表示器2について詳細に説明をする。
【0034】
図7は表示器2の外観を例示する斜視図であり、図8は、表示器2の構成を例示する分解斜視図であり、図9は表示器2の内部構成を例示する断面図である。
【0035】
なお、図7図9における前後左右の向きは、図3図6における前後左右の向きとは異なる。具体的に、図7図9において、「前」とは表示器2の正面に向かう方向を指し、「後」とは表示器2の背面に向かう方向を指す。また、「右」及び「左」は、それぞれ、表示器2の背面から正面に向かう方向に垂直な方向として定義されている。図10以降の図面についても同様である。
【0036】
図7図9に示すように、表示器2は、光源としてのバックライトユニット21と、バックライトユニット21から発せられた照明光を拡散する拡散板24と、この拡散板24により拡散された照明光を透過させることにより、所望の光学像に対応した表示光を発する表示素子25と、表示素子25から発せられた表示光を透過させるホットミラー28と、を備えている。
【0037】
表示器2はまた、拡散板24、表示素子25およびホットミラー28を収容する収容部20と、表示素子25およびホットミラー28の側縁を包囲する弾性部材27と、表示素子25から延び、制御基板6に接続されるフレキシブル基板26と、をさらに備えている
このうち、収容部20は、表示素子25の背面側に配置され、バックライトユニット21から発せられた照明光を通過させるように開口したスペーサ22と、表示素子25の前面側に配置され、表示素子25から発せられた表示光を通過させるように開口したホルダ23と、を有している。
【0038】
図9等に示すように、収容部20の外部かつ下方には、前述の制御基板6が配置されている。そのため、制御基板6と表示素子25を接続するためには、フレキシブル基板26を収容部20から繰り出すとともに、制御基板6へと案内する必要がある。
【0039】
そこで、本実施形態に係る収容部20には、フレキシブル基板26を下方に向かって繰り出すための開口部20aと、フレキシブル基板26のうち、開口部20aから繰り出された部位を制御基板6に導くための板状のガイド部材29と、が設けられている。
【0040】
また、表示器2の背面側には、主にバックライトユニット21を冷却するためのヒートシンク7が取り付けられている。ヒートシンク7の背面は、HUD装置1の筐体10から外部に露出しており、筐体10外の空気との間で熱交換をするようになっている。
【0041】
以下、表示器2の各構成要素について、順番に説明をする。
【0042】
-バックライトユニット21-
図9に示すように、バックライトユニット21は、LED等の発光素子が配置された発光基板21bと、発光基板21bから発せられた照明光を透過させるコンデンサレンズ21c及びレンチキュラーレンズ21dと、を備えている。
【0043】
バックライトユニット21はまた、発光基板21bとコンデンサレンズ21cを収容するライトボックス21aをさらに備えている。このライトボックス21aの前面は開口しており、その開口部にレンチキュラーレンズ21dが載置されている。
【0044】
よって、発光基板21bから発せられた照明光は、コンデンサレンズ21cとレンチキュラーレンズ21dを順番に通過して、スペーサ22に至る。スペーサ22に至った照明光は、スペーサ22に設けた開口を通過して拡散板24に至る。
【0045】
本実施形態に係る拡散板24は、スペーサ22に固定されるよう構成されている。そのため、拡散板24とスペーサ22とを略一体的な部材として取り扱うことができ、表示器2の組立性が向上している。
【0046】
-スペーサ22-
図8図9に示すように、スペーサ22は、表示素子25を背面側から押圧することにより、バックライトユニット21と表示素子25との間の相対的な位置関係を調整するスペーサとして機能する一方で、拡散板24を背面側から支持する台座としても機能する。
【0047】
詳細は省略するが、スペーサ22は、中空の四角錘台状に形成されており、その四角錘台の上底には開口部220aが設けられている。この開口部220aを介して、バックライトユニット21から発せられた照明光を拡散板24まで導くことができる。
【0048】
-拡散板24-
図8に示すように、拡散板24はシート状に形成されており、バックライトユニット21から発せられた照明光を拡散して均一にすることができる。本実施形態に係る拡散板24は、スペーサ22の上底に固定することができる。
【0049】
発光基板21bから発せられ、スペーサ22の開口部220aを通過して拡散板24に至った照明光は、拡散板24により拡散された上で、前方に向かって伝搬する。そうして伝搬した照明光は、表示素子25に至る。
【0050】
-表示素子25-
図10は、表示素子25周辺の構成を後面側から見て示す斜視図である。
【0051】
表示素子25は、例えばTFT液晶素子から成り、スペーサ22の開口部220a、及び、拡散板24における拡散板本体241と同様に、左右方向に横長の矩形状に構成されている(図8及び図10を参照)。表示素子25には種々の情報を表示することができ、表示素子25の後面から照明光を透過させることで、表示素子25の前面から表示光を出射することができる。表示素子25における表示内容は、制御基板6からフレキシブル基板26を介して入力される信号に基づいて制御される。
【0052】
-フレキシブル基板26-
フレキシブル基板26は、いわゆるFPC(Flexible Printed Circuits)であり、表示素子25の下端から延びている。フレキシブル基板26の後面には、種々の回路26aが実装されている。また、フレキシブル基板26の下端部には、制御基板6に接続するための端子26bが設けられている。
【0053】
制御基板6において生成された制御信号は、フレキシブル基板26を介して表示素子25に入力され、表示素子25の表示内容が制御される。そうして制御された表示内容は、表示素子25から出射される表示光に反映される。この表示光は、ホットミラー28に至る。
【0054】
-ホットミラー28-
ホットミラー28は、スペーサ22の開口部220a、拡散板24、及び、表示素子25と同様に、左右方向に横長の矩形状に構成されている(図8等を参照)。ホットミラー28は、赤外線を反射させる一方、可視光を透過させるように構成されている。ホットミラー28を用いることで、例えば、赤外線に起因した熱を抑制することが可能となる。
【0055】
また、図9に示すように、表示素子25、及び、ホットミラー28は、表示器2を組み立てたときに、収容部20を構成するホルダ23によって取り囲まれるようになっている。このとき、ホルダ23と表示素子25との間には、弾性部材27が介在することになる。
【0056】
-弾性部材27-
弾性部材27は、ゴム等の弾性を有する素材から成る矩形枠状に形成されており、表示素子25から発せられた表示光を通過させてホットミラー28へ導くように開口している。
【0057】
図9に示すように、ホットミラー28の周縁部は、弾性部材27とホルダ23とによって挟み込まれることになり、表示素子25の周縁部は、弾性部材27とスペーサ22とによって挟み込まれることになる。ホルダ23は、弾性部材27を介して表示素子25およびホットミラー28に接触し、これを支持することができる。
【0058】
-ホルダ23-
図11は、ホルダ23及びガイド部材29を後面側から見て例示する斜視図である。
【0059】
図7図11等に示すように、ホルダ23は、表示素子25およびホットミラー28の側方および前方に配置されており、スペーサ22とともに、拡散板24、表示素子25、及び、ホットミラー28の収容空間を構成している。具体的に、ホルダ23の前面には開口部23aが設けられており、ホットミラー28を透過した表示光を表示器2の外部に出射させることができる。
【0060】
また、ホルダ23の下面には切欠23bが設けられている。この切欠23bは、スペーサ22の前面とともに、前述の開口部20aを構成する。すなわち、切欠23bを介してフレキシブル基板26を下方に繰り出すことができる。前述のガイド部材29は、切欠23bの前縁から斜め下方に向かって延びており、ホルダ23に対して一体的に設けられている。
【0061】
-ガイド部材29-
図12はガイド部材29の構成を例示する側面図であり、図13はフレキシブル基板26の取付手順について説明する図である。
【0062】
図12に示すように、ガイド部材29は、前後方向において制御基板6から離間するように、斜め下方に向かって延びる載置部291と、載置部291の下端から連続し、かつ、前後方向において制御基板6に近接するように、この制御基板6に向かって折り返して延びる折返部292と、を有している。
【0063】
具体的に、載置部291は、開口部20aの前縁から斜め下後方に向かって延びる板状の部材であり、左右方向においてはフレキシブル基板26の寸法よりも若干幅広に形成されている。
【0064】
図13に示すように、開口部20aから繰り出されたフレキシブル基板26は、下方向に作用する重力(図13の矢印A1を参照)に従って、載置部291の上に載置される。これにより、載置部291は、フレキシブル基板26のうち、回路26a周辺の部位を下方から支持することができる。また、載置部291が延びる方向を考慮すると、載置部291は、フレキシブル基板26を載置しつつも、このフレキシブル基板26を下方へと導くことになる。
【0065】
また、載置部291の中央部には、この載置部291を前後方向に貫通する貫通孔29bが設けられている。この貫通孔29bを通じて、載置部291に載置されているフレキシブル基板26を前側から視認することができる。なお、フレキシブル基板26が正しく配置された場合は、図13に示すように、回路26aは視認されない。対して、仮に、フレキシブル基板26が表裏逆に配置された場合は、回路26aが視認されるようになっている。
【0066】
一方、折返部292は、載置部291の下端から略前方に向かって延びており、その前端には挿通部29aが設けられている。挿通部29aは、制御基板6に向かって開口しており、フレキシブル基板26を挿通することができるように構成されている。
【0067】
図13に示すように、フレキシブル基板26の先端を挿通部29aに挿通して前方に繰り出すと、フレキシブル基板26のうち挿通部29a周辺の部位は、この挿通部29aによって下方から支持される。このとき、矢印A2に沿ってフレキシブル基板26を引き出すことで、ガイド部材29に対するフレキシブル基板26の緩みを抑制し、同基板26と載置部291とをより密着させることが可能となる。
【0068】
なお、図9等に示すように、ガイド部材29の上端(つまり、載置部291の上端)は、表示素子25の直下方に位置している。一方、ガイド部材29の下端(実質的に、折返部292の下端)は、収容部20、特にスペーサ22の直下方に位置している。
【0069】
-表示器2から生じ得る異音について-
図6等に示すように、制御基板6を筐体10の下面に沿って配置した場合、表示素子25から延びるフレキシブル基板26は、収容部20から下方向に繰り出されて制御基板6に接続されることになる。このフレキシブル基板26は、車両Vの内燃機関が始動すると、絶え間ない振動に曝されることになる。そのような環境下では、フレキシブル基板26が振動して暴れてしまい、異音を招く可能性があることに、本願発明者らは気付いた。
【0070】
対して、図13に示すように、本実施形態に係る表示器2を用いた場合、収容部20から繰り出されたフレキシブル基板26は、載置部291の上に載置されながら、下方に向かって導かれる。そうして導かれたフレキシブル基板26は、挿通部29aに挿通されることにより、制御基板6に向かって導かれることになる。
【0071】
よって、フレキシブル基板は、載置部291および挿通部29aの双方によって下方から支持されることになるから、振動を抑止し、異音を抑制することができる。また、挿通部29aを制御基板6に向けて開口させたことで、これに挿通させたフレキシブル基板26を制御基板6に導く上で有利になる。
【0072】
また、図13に示すように、貫通孔29bからフレキシブル基板26を視認することできるため、フレキシブル基板26、ひいては表示素子25が表裏を誤ることなく正常に配置されているか否かを判断することが可能となる。仮に、貫通孔29bを通じてフレキシブル基板26を覗き込んだときに、その回路26aが目視されたときには、フレキシブル基板26、ひいては表示素子25の表裏が逆になっているものと認められる。こうして、表示素子25の誤組み付けを防ぐことができる。
【0073】
また、図13に示すように、ガイド部材29は、制御基板6から離れるように延びた後、折り返して制御基板6に向かって延びるようになっている。このように、制御基板6から一旦、離間させるように延ばすことで、制御基板から接離する方向(前後方向)において、ガイド部材29をコンパクトに構成することができる。
【符号の説明】
【0074】
V 車両
1 HUD装置
2 表示器
20 バックライトユニット(光源)
20a 開口部
25 表示素子
26 フレキシブル基板
29 ガイド部材
291 載置部
292 折返部
29a 挿通部
29b 貫通孔
6 制御基板
図1
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図5
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図13