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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】表示装置及びルーム装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1345 20060101AFI20220926BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20220926BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220926BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220926BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G02F1/1345
G02F1/1347
G02F1/1335 520
G02F1/13 505
G09F9/00 313
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018170073
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020042193
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 啓史
【審査官】佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-84648(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0049283(US,A1)
【文献】特開2015-125428(JP,A)
【文献】特開2000-122079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1343 - 1/1345
G02F 1/1347
G02F 1/1335
G02F 1/13
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルと重畳するとともに、入射光が反射する反射状態と、入射光が透過する透過状態とを切り替える前面パネルとを有し、
前記前面パネルは、
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と、前記第2基板との間に封止された液晶層と、
前記第1基板の前記液晶層がある側に設けられた第1透光性電極と、
前記第2基板の前記液晶層がある側に設けられた第2透光性電極と、
前記第2透光性電極に電気的に接続され、前記第2基板に設けられた放電抵抗と、
前記第1透光性電極と前記放電抵抗とを電気的に接続する第1導電柱とを備える、
表示装置。
【請求項2】
前記第2透光性電極に電圧を印加するための第2導電柱を更に備え、
前記第2基板において、前記第2導電柱と、前記放電抵抗とは、接続配線を介して、電気的に接続されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記放電抵抗は、酸化クロムである、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記放電抵抗の抵抗値は、10kΩ以上100MΩ以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
入射光が反射する反射状態と、入射光が透過する透過状態でかつ画像表示可能なルーム装置であって、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置と、車両の後方の画像を撮像する撮像装置を備える、ルーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入射光が反射する反射状態と、入射光が透過する透過状態でかつ画像表示可能な表示装置及びルーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像を表示する表示状態と、反射像が得られる鏡状態(反射状態)とに切り替え可能な装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-318374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の表示装置は、電極間の帯電により、表示状態の品位又は鏡状態の品位が影響を受ける可能性がある。
【0005】
本開示は、画像を表示する表示状態と、反射像が得られる鏡状態とに切り替え可能であって、電極間の帯電を抑制可能な表示装置及びルーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルと重畳するとともに、入射光が反射する反射状態と、入射光が透過する透過状態とを切り替える前面パネルとを有し、前記前面パネルは、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と、前記第2基板との間に封止された液晶層と、前記第1基板の前記液晶層がある側に設けられた第1透光性電極と、前記第2基板の前記液晶層がある側に設けられた第2透光性電極と、前記第2透光性電極に電気的に接続され、前記第2基板に設けられた放電抵抗と、前記第1透光性電極と前記放電抵抗とを電気的に接続する第1導電柱とを備える。
【0007】
本発明の他の態様によるルーム装置は、入射光が反射する反射状態と、入射光が透過する透過状態でかつ画像表示可能なルーム装置であって、上記表示装置と、車両の後方の画像を撮像する撮像装置を備え、前記印加電圧が閾値以上の場合、前記表示パネルに前記画像を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の表示装置の構成の一例を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態の表示装置の断面図である。
図3図3は、本実施形態の表示装置の断面図である。
図4図4は、本実施形態の表示装置の断面図である。
図5図5は、本実施形態の第2基板において、放電抵抗及び導電柱の配置を説明するための平面図である。
図6図6は、本実施形態の第1基板において、導電柱の配置を説明するための平面図である。
図7図7は、表示パネルの画素の大きさと、駆動電極の大きさとを模式的に比較して説明する説明図である。
図8図8は、本実施形態の表示装置を説明するためのブロック図である。
図9図9は、入射光が透過する透過状態でかつ画像表示可能な表示状態を説明するための模式図である。
図10図10は、入射光が反射する反射状態を説明するための模式図である。
図11図11は、第1偏光部材の透過軸と、光学シートの透過軸との関係を模式的に説明するための説明図である。
図12図12は、ルーム装置の取り付け状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
図1は、本実施形態の表示装置の構成の一例を示す斜視図である。表示装置100は、第1偏光部材4と、前面パネル1と、光学シート5と、第2偏光部材31と、表示パネル2と、第3偏光部材32と、バックライト3とを備えている。図1において、表示パネル2の平面の一方向がX方向とされ、表示パネル2の平面においてX方向と直交する方向がY方向とされ、X-Y平面に直交する方向がZ方向とされている。Z方向にみて表示パネル2が画像を表示する表示面(又は上面)がある側を表示面側(又は上面側)といい、Z方向にみて表示面(又は上面)とは反対の背面(又は下面)がある側を背面側(又は下面側)という。
【0011】
Z方向にみて、表示パネル2の背面側には、第3偏光部材32と、バックライト3とが表示パネル2と重なり合う。
【0012】
バックライト3は、表示パネル2に向けて光を出射する照明装置である。バックライト3は、例えば、光源と導光板とを有し、光源から出射された光を導光板で散乱させつつ、表示パネル2と対面する出射面から光を出射する。バックライト3は、導光板と第3偏光部材32との間にプリズムシートや拡散シートを有していても良い。
【0013】
Z方向において、表示パネル2の表示面側には、第1偏光部材4と、前面パネル1と、光学シート5と、第2偏光部材31と、がこの順に表示パネル2と重なり合う。このように、前面パネル1は、表示パネル2と重畳している。
【0014】
図2は、本実施形態の表示装置の断面図である。図2は、画像が表示されている表示状態の表示装置100を示す図である。図3は、本実施形態の表示装置の断面図である。図4は、本実施形態の表示装置の断面図である。図3は、入射光が反射する反射状態の表示装置100を示す図である。図2及び図3の断面は、図1に示すII-IIの模式的な断面である。図4は、図2に示すIV-IVの模式的な断面である。図5は、本実施形態の第2基板において、放電抵抗及び導電柱の配置を説明するための平面図である。図6は、本実施形態の第1基板において、導電柱の配置を説明するための平面図である。図7は、表示パネルの画素の大きさと、駆動電極の大きさとを模式的に比較して説明する説明図である。
【0015】
図2図3に示すように、表示パネル2は、いわゆる液晶表示装置である。表示パネル2は、透光性の基板21と、透光性の基板22と、基板21と基板22との間に封止層23で封止された液晶層29とを備えている。なお、表示パネル2は、液晶表示装置に限定されるものでなく、EL(Electro-Luminescence)方式等の表示装置であってもよい。
【0016】
液晶層29は、電界の状態に応じて、液晶層29を通過する光を変調するものである。液晶層29は、本実施形態においては、例えば、IPS(インプレーンスイッチング)の一形態であるFFS(フリンジフィールドスイッチング)等の横電界モードが用いられるが、これに限定されるものではなく、縦電界モードを用いてもよい。例えば、TN(Twisted Nematic:ツイステッドネマティック)、VA(Virtical Alignment:垂直配向)、ECB(Electrically Controlled Birefringence:電界制御複屈折)等の各種モードの液晶を用いてもよい。
【0017】
図7は、表示パネルの画素の大きさと、駆動電極の大きさとを模式的に比較して説明する説明図である。表示パネル2は、画像を表示する。表示パネル2は、図7に示すように多数の画素Pixが二次元配列で配置されている。表示パネル2は、バックライト3(図1参照)から出射された光が入射する。表示パネル2は、各画素Pixに入射される光の透過率を変えることで、画像を表示させる。
【0018】
本実施形態の表示装置100は、モノクロ表示対応の表示装置及びカラー表示対応の表示装置のいずれにも適用できる。カラー表示対応の表示装置100とした場合、カラー画像を形成する単位となる1つの画素Pix(単位画素)が、複数の副画素(サブピクセル)を含むことになる。より具体的には、カラー表示対応の表示装置では、1つの画素は、例えば、赤色(Red;R)を表示する副画素、緑色(Green;G)を表示する副画素及び青色(Blue;B)を表示する副画素の3つの副画素を含む。
【0019】
1つの画素は、RGBの3原色の副画素の組み合わせに限定されず、RGBの3原色の副画素に更に1色又は複数色の副画素を加えて1つの画素を構成することも可能である。より具体的には、例えば、輝度向上のために白色(White;W)を表示する副画素を加えて1つの画素を構成したり、色再現範囲を拡大するために補色を表示する少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。
【0020】
図2及び図3に示す基板21の液晶層29側には、マトリクス状に配置された複数の画素電極25と、共通電極24と、がある。画素電極25と共通電極24とは、絶縁層26で絶縁され、基板21の表面に垂直なZ方向において、対向している。画素電極25及び共通電極24は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。基板21は、ガラスや樹脂などの透光性基板である。基板21の液晶層29側には、配向膜83が設けられている。基板21の液晶層29とは反対側には、第3偏光部材32が配置されている。
【0021】
図2及び図3に示す基板22の液晶層29側には、カラーフィルタ(図示省略)と、配向膜84とが設けられている。カラーフィルタは、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色された色領域を含む。基板22の液晶層29とは反対側には、第2偏光部材31が配置されている。
【0022】
表示パネル2は、ドライバICとよばれる駆動回路27を備えている。フレキシブルプリント基板(FPC(Flexible Printed Circuits))27は、駆動回路27への信号、及び、駆動回路27を駆動する駆動電力を伝送する。
【0023】
図2図3に示すように、前面パネル1は、第1基板11と、第2基板12と、第1基板11と第2基板12との間に封止層13で封止された液晶層19とを備えている。第1基板11及び第2基板12は、ガラスや樹脂などの透光性基板である。
【0024】
液晶層19は、電界の状態に応じて、液晶層19を通過する入射した光の偏光方向を変換するものである。液晶層19は、本実施形態においては、例えば、TNモードが用いられる。
【0025】
図2及び図3に示す第1基板11の液晶層19側には、図7に示すマトリクス状の画素Pix全体の領域以上の大きさを有する第1透光性電極14がある。第2基板12の液晶層19側には、図7に示すマトリクス状の画素Pix全体の領域以上の大きさを有する第2透光性電極15がある。第1基板11の配向膜81を介して、配向膜81に接する液晶層19の液晶配向を一方向にしている。同様に、第2基板12の配向膜82を介して、配向膜82に接する液晶層19の液晶を、第1基板11に接する液晶配向と異なる方向に配向している。第1透光性電極14と第2透光性電極15とは、第1基板11の表面に垂直なZ方向において、対向している。第1透光性電極14及び第2透光性電極15は、ITO等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される。
【0026】
図4に示しているように、第2基板12の液晶層19がある側には、第2透光性電極15と、放電抵抗70と、接続配線15a、15bとがある。接続配線15a、15bは、第2透光性電極15と同時形成される。このため、接続配線15a、15bは、第2透光性電極15と同層であり、第2透光性電極15と同材料のITO等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される。
【0027】
第1基板11の液晶層19がある側には、第1透光性電極14と、接続配線14a、14bとがある。接続配線14a、14bは、第1透光性電極14と同時形成される。このため、接続配線14a、14bは、第1透光性電極14と同層であり、第1透光性電極14と同材料のITO等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される。図5に示すように、第1透光性電極14と、接続配線14aとは一体形成され、電気的に接続されている。
【0028】
図2に示すように、第1透光性電極14は、窒化シリコンの絶縁膜85で覆われている。絶縁膜85には、上述した配向膜81が積層されている。なお、本実施形態では、第1透光性電極14は、供給される電圧が変化し、電界により液晶層19の状態を変化させる駆動電極である。第2透光性電極15は、固定された電圧により固定電位を維持する固定電位電極である。
【0029】
図4図5及び図6に示すように、前面パネル1は、第1基板11と第2基板12との間を電気的に接続する部材である第1導電柱(第1導電部材)71、第2導電柱(第2導電部材)72を有する。第1導電柱71、第2導電柱72は、導電性スペーサで形成されている。図5に示すように、第2基板12において、第2導電柱72は、第2透光性電極15に電気的に接続されている。尚、第1導電柱71、第2導電柱72を構成する導電性スペーサは、スペーサに導電性のメッキを施したもの、スペーサ上に、例えば第2透光性電極と同層の、透光性導電材料を形成したもの、或いは、導電性ペーストで形成したもの等である。
【0030】
放電抵抗70は、例えば、酸化クロムやITO等の金属酸化膜あるいは樹脂膜で形成されている。放電抵抗70の抵抗値は、10kΩ以上100MΩ以下である。酸化クロムは黒色にできるので、放電抵抗70と同層で、放電抵抗70とは異なる位置に、アライメントマーカが酸化クロムで形成されてもよい。これにより、アライメントマーカの形成工程を省略することができる。
【0031】
図5に示すように、第2基板12において、接続配線15aは、放電抵抗70と、第1導電柱71とを接続する。また、第2基板12において、接続配線15bは、放電抵抗70と、第2透光性電極15及び第2導電柱72とを接続する。
【0032】
図2に示すように、前面パネル1は、アルミニウムなどの導電性を有する金属層73を有する。図6に示すように、金属層73は、パターニングされ、金属層73a、17b、17cを有する。
【0033】
フレキシブルプリント基板(FPC)18は、前面パネル1とボンディングパッド74とで電気的に接続される。ボンディングパッド74は、複数のボンディングパッド端子74a、74bを有する。金属層73aは、接続配線14aと、ボンディングパッド端子74aとを電気的に接続する。第1透光性電極14と、接続配線14aとは電気的に接続されているので、金属層73aは、第1透光性電極14とボンディングパッド端子74aとを電気的に接続する配線となる。また、金属層73bは、接続配線14bと、ボンディングパッド端子74bとを電気的に接続する。図4に示すように、接続配線14bの上に第2導電柱72が形成される。このため、金属層73bは、第2透光性電極15に電気的に接続された第2導電柱72とボンディングパッド端子74bとを接続する配線となる。なお、接続配線14bがなく、金属層73bの上に、第2導電柱72が形成されてもよい。金属層73cは、額縁領域10Fに沿って配置される。金属層73cは、アクティブ領域10の光透過率よりも額縁領域10Fの光透過率を低くなるように、額縁領域10Fを遮光する。ボンディングパッド74は第1透光性電極14と同材料の透光性導電材料で形成してもよい。また、第1透光性電極14とフレキシブルプリント基板18とは異方性導電フィルム(ACF)で接続してもよい。
【0034】
前面パネル1は、フレキシブルプリント基板(FPC)18を介して、プリント基板99に搭載された駆動回路17に接続されている。駆動回路17は、FPC18を介して前面パネルへ第1透光性電極14及び第2透光性電極15の電力を伝送する。
【0035】
第2基板12の液晶層19とは反対側には、シクロオレフィンポリマーの基材層64がある。基材層64の表示面側は、ラビング処理がされ、特定の配向が付与されている。
【0036】
第1偏光部材4は、基材層64の表示面側に形成されている。言い換えると、第1偏光部材4は、第2基板12の液晶層19とは反対側の面にある。第1偏光部材4は、液晶材料と二色性色素とが混合された塗布型偏光層である。基材層64に付与された特定配向に沿って、液晶材料が自己配向することで、二色性色素も一方向に配向し、第1偏光部材4は、第1偏光方向と直交する第2偏光方向の直線偏光を吸収する。
【0037】
光学シート5において、第1偏光方向の直線偏光が透過され、第2偏光方向の直線偏光が反射される。光学シート5は、反射型偏光板ともよばれる。
【0038】
図2及び図3に示すように、前面パネル1には、入射光又は表示パネル2からの光が透過するアクティブ領域10と、アクティブ領域10の周囲にある額縁領域10Fとがある。図7に示すように、アクティブ領域10の面積は、全画素Pixが配置された表示領域と同じ面積である。
【0039】
図8は、本実施形態の表示装置を説明するためのブロック図である。図8において、本実施形態の表示装置100は、車両のルームミラーとして使用されている。制御部9は、例えば、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)と、記憶装置であるメモリとを備えたコンピュータである。制御部9は、これらのハードウェア資源を用いてコンピュータプログラムを実行することによって各種の機能を実現することもできる。
【0040】
具体的には、制御部9は、所定の記憶部(図示せず)に記憶されているコンピュータプログラムを読み出してメモリに展開し、メモリに展開されたプログラムに含まれる命令をCPUに実行させる。本実施形態において、制御部9は、鏡面状態決定部93と、画像制御部94とを備える。鏡面状態決定部93と、画像制御部94とは、ハードウェア資源を用いてコンピュータプログラムを実行することによってそれぞれ実現される制御部9の機能である。
【0041】
そして、画像制御部94は、CPUによる命令の実行結果に応じて、バックライト3の点灯及び消灯並びに点灯時の光量及び光の強度を制御する。また、画像制御部94は、CPUによる命令の実行結果に応じて、表示パネル2に表示させる画像信号を、フレキシブルプリント基板28を介して駆動回路27へ伝送し、駆動回路27が表示パネル2に画像を表示させる。また、鏡面状態決定部93は、入力部202の表示状態の指令信号に応じて、駆動回路17を制御し、駆動回路17がFPC18を介して第1透光性電極14に電圧を印加する状態にする。これにより、第1透光性電極14の電圧が閾値以上となる。又は、鏡面状態決定部93は、入力部202の反射状態の指令信号に応じて、駆動回路17を制御し、駆動回路17がFPC18を介して第1透光性電極14に電圧を印加しない状態にする。これにより、第1透光性電極14の印加電圧が閾値より小さくなる。
【0042】
例えば、図8に示すように、制御部9は、車両200の撮像装置201と接続されている。撮像装置201は、車両200の後方BDを撮影し、車両200の後方BDの画像が制御部9に伝送される。表示状態において、表示装置100は、車両200の後方BDの画像を表示する。撮像装置201が車両に取り付けられる位置は、車両200の前方FDを撮影できる位置としてもよく、車両200の周囲及び車両200の内部のうちを少なくとも1つを撮影できる位置でもよい。
【0043】
図9は、入射光が透過する透過状態でかつ画像表示可能な表示状態を説明するための模式図である。図9に示すように、第1偏光部材4は、第1偏光方向PA1と直交する第2偏光方向PA2の直線偏光を吸収する。
【0044】
第1偏光方向PA1の直線偏光が第1偏光部材4を透過し、前面パネル1に入射する。前面パネル1において、図3に示すように、駆動回路17が第1透光性電極14に電圧を印加する状態になっている。これにより、前面パネル1において、第1偏光部材4から入射した第1偏光方向PA1の直線偏光を第1偏光方向PA1の直線偏光のまま、光学シート5へ出射する。
【0045】
ここで、表示パネル2が画像を表示すると、第1偏光部材4、前面パネル1、光学シート5が、第1偏光方向PA1の直線偏光に対してシャッターを開けた状態となり、画像を視認し易くする。
【0046】
光学シート5において、前面パネル1から入射した第1偏光方向PA1の直線偏光が透過する。第2偏光部材31は、第1偏光方向PA1の直線偏光を透過する。このように、第1偏光部材4の表示面側より、表示パネル2の画像が視認可能である。
【0047】
表示パネル2は、第2偏光部材31を介して、第1偏光方向PA1の直線偏光により、画像を出射する。
【0048】
光学シート5において、表示パネル2から入射した第1偏光方向PA1の直線偏光が透過する。
【0049】
前面パネル1において、光学シート5から入射した第1偏光方向PA1の直線偏光を第1偏光方向PA1の直線偏光のまま、第1偏光部材4へ出射する。
【0050】
第1偏光方向PA1の直線偏光が第1偏光部材4を透過し、第1偏光部材4の表示面側に画像として出射する。
【0051】
以上説明したように、図8に示す鏡面状態決定部93が入力部202の透過状態の指令信号を受け取ると、入射光が透過する透過状態となるように駆動回路17が動作する。画像制御部94は、バックライト3と、表示パネル2とを制御し、表示パネル2に画像を表示する。
【0052】
図10は、入射光が反射する反射状態を説明するための模式図である。図10に示すように、第1偏光部材4は、第1偏光方向PA1と直交する第2偏光方向PA2の直線偏光を吸収する。
【0053】
第1偏光方向PA1の直線偏光が第1偏光部材4を透過し、前面パネル1に入射する。前面パネル1において、図2に示すように、駆動回路17が第1透光性電極14に電圧を印加していない状態になっている。これにより、前面パネル1において、第1偏光部材4から入射した第1偏光方向PA1の直線偏光を第2偏光方向PA2の直線偏光に変換して、光学シート5へ出射する。
【0054】
光学シート5において、前面パネル1から入射した第2偏光方向PA2の直線偏光が反射される。
【0055】
光学シート5で反射された第2偏光方向PA2の直線偏光が前面パネル1に入射する。前面パネル1において、光学シート5から入射した第2偏光方向PA2の直線偏光を第1偏光方向PA1の直線偏光に変換して、第1偏光部材4へ出射する。
【0056】
前面パネル1からの第1偏光方向PA1の直線偏光が第1偏光部材4を透過し、第1偏光部材4の表示面側からみると、第1偏光部材4の表示面側の像が鏡面のように表示される。
【0057】
ここで、表示パネル2が画像を表示しても、第1偏光部材4、前面パネル1、光学シート5が、表示パネル2が出射した第1偏光方向PA1の直線偏光が変換された第2偏光方向PA2の直線偏光に対してシャッターを閉めた状態となり、画像を視認し難くする。
【0058】
具体的には、表示パネル2は、第2偏光部材31を介して、第1偏光方向PA1の直線偏光により、画像を出射する。
【0059】
光学シート5において、表示パネル2から入射した第1偏光方向PA1の直線偏光が透過する。
【0060】
前面パネル1において、光学シート5から入射した第1偏光方向PA1の直線偏光を第2偏光方向PA2の直線偏光に変換して、第1偏光部材4へ出射する。
【0061】
第2偏光方向PA2の直線偏光が第1偏光部材4で吸収され、第1偏光部材4の表示面側に画像が視認し難くなる。
【0062】
以上説明したように、図8に示す鏡面状態決定部93が入力部202の反射状態の指令信号を受け取ると、入射光が反射する反射状態となるように駆動回路17が動作する。反射状態において、表示パネル2に画像を表示しても画像が視認し難いので、図8に示す鏡面状態決定部93が入力部202の反射状態の指令信号を受け取ると、画像制御部94は、表示パネル2に画像を表示しないようにする。
【0063】
第1偏光部材4は、ヨウ素を含有しない。ヨウ素は、可視光の短波長側の波長を吸収する性質を有している。第1偏光部材4の代わりに、一般的なヨウ素をPVA(Polyvinyl Alcohol)のフィルムに吸着させ、一方向に延伸して分子の配向を一定方向に揃える偏光板を用いて、図10に示す反射像が得られる鏡状態(反射状態)とした場合、反射像の短波長側の波長がヨウ素に吸収され、白色度が緑味を帯び、反射像が色ずれしてしまう可能性がある。これに対し、本実施形態の表示装置100は、ヨウ素に比して第1偏光部材4で反射像の短波長側の波長が吸収されにくく、白色度がニュートラルに近くなる。
【0064】
第1偏光部材4を上述の塗布型偏光板に代えて、一般的なヨウ素をPVAのフィルムに吸着させ、一方向に延伸して分子の配向を一定方向に揃える偏光板を用いて、図10に示す反射像が得られる鏡状態(反射状態)とした場合、偏光板の延伸により、表面の平滑性が悪く、反射像にムラを生じる可能性がある。これに対して、本実施形態の表示装置100は、延伸されない第1偏光部材4を使用している。このため、第1偏光部材4の表面に平滑性があるので、反射像のムラが抑制される。求められる偏光度、反射像のムラに応じて第1偏光部材4の材質を選択することが可能である。また、領域毎に偏光板の材質を異ならせることも可能である。
【0065】
以上説明したように、表示装置100は、第1偏光部材4と、光学シート5と、前面パネル1と、第2偏光部材31と、表示パネル2と、を備えている。第1偏光部材4は、第1偏光方向PA1と直交する第2偏光方向PA2の直線偏光を吸収する。光学シート5は、第2偏光方向PA2の直線偏光を反射し、第1偏光方向PA1の直線偏光を透過する。前面パネル1は、印加電圧に応じて、入射した光の偏光方向を他の偏光方向に変換可能である。そして、前面パネル1は、第1偏光部材4と光学シート5との間に配置されている。表示パネル2は、光学シート5に対して、第2偏光方向PA2の直線偏光を透過する第2偏光部材31を介して、前面パネル1とZ方向に重ね合わされている。これにより、表示装置100は、図3及び図9に示す画像を表示する表示状態と、図2及び図10に示す反射像が得られる鏡状態(反射状態)とに切り替え可能である。
【0066】
前面パネル1は、表示パネル2よりも観察者側にある。前面パネル1は、入射した第1偏光方向PA1の直線偏光を第1偏光方向PA1の直線偏光のまま出射する第1前面パネル状態と、入射した第1偏光方向PA1の直線偏光を第2偏光方向PA2の直線偏光に変換して出射する第2前面パネル状態とのどちらかに、駆動回路17が第1透光性電極14に電圧を印加する状態に応じて切り替えることが可能なパネルである。
【0067】
これにより、第1前面パネル状態において、反射状態となり、第2前面パネル状態において、表示状態になる。反射状態の電力消費は、表示状態の電力消費よりも少なくなる。言い換えると、印加電圧が閾値より小さい場合、表示装置100において、入射光が反射される。その結果、表示装置100において、反射状態において消費電力が低減可能になる。
【0068】
図11は、第1偏光部材の透過軸と、光学シートの透過軸との関係を模式的に説明するための説明図である。図11には、第1偏光部材4の透過軸方向PU1と、配向膜82のラビング方向PB2と、配向膜81のラビング方向PB1と、光学シート5の透過軸方向PU2と、光学シート5の反射軸方向PMとが図示されている。
【0069】
図11に示すように、配向膜82のラビング方向PB2と、配向膜81のラビング方向PB1とは、平面視で交差する方向である。第1偏光部材4の透過軸方向PU1と、光学シート5の透過軸方向PU2と、は平行である。第1偏光部材4の透過軸方向PU1と、光学シート5の反射軸方向PMとは、交差する方向である。これにより、第1偏光部材4及び光学シート5には、第1偏光方向PA1の直線偏光が透過するようになる。
【0070】
本実施形態において、前面パネル1は、絶縁膜85を有しているので、第1透光性電極14と第2透光性電極15との間に、異物があっても短絡しにくくなる。絶縁膜85は、第2基板12の第2透光性電極15と配向膜82との間に設けるものであってもよい。更には、第1基板11と第2基板12との双方に設けるものであってもよい。
【0071】
しかしながら、第1透光性電極14の印加電圧が閾値より小さくなっても、絶縁膜85の影響により、第1透光性電極14と第2透光性電極15との間の電位が保持されてしまう可能性がある。これにより、反射状態に影響を与える可能性がある。あるいは、静電気により、意図しない電位が加わると、静電気の電位が放電されず、液晶層19の劣化を引き起こすことがある。
【0072】
本実施形態の表示装置100は、表示パネル2と、表示パネル2と重畳するとともに、入射光が反射する反射状態と、入射光が透過する透過状態を切り替える前面パネル1とを有する。前面パネル1は、第1基板11の液晶層19がある側に設けられた第1透光性電極14と、第2基板12の液晶層19がある側に設けられた第2透光性電極15と、放電抵抗70と、第1導電柱71とを有する。第2基板12に設けられた放電抵抗70は、第2透光性電極15に電気的に接続される。第1導電柱71は、第1透光性電極14と放電抵抗70とを電気的に接続する。前面パネル1において、第1透光性電極14と第2透光性電極15とは、接続配線14a、第1導電柱71、接続配線15a、放電抵抗70、接続配線15bで接続されている。上述したように、第1透光性電極14の抵抗値は、10kΩ以上100MΩ以下であるので、第1透光性電極14に閾値以上の印加電圧を印加して、反射状態と表示状態とを切り替えることに問題はない。第1透光性電極14の印加電圧が閾値より小さくすると、第1透光性電極14と第2透光性電極15との間の電位は、放電抵抗70により、放電される。これにより、表示装置100は、画像を表示する表示状態と、反射像が得られる鏡状態とに切り替え可能であって、電極間の帯電を抑制可能になる。
【0073】
図12は、ルーム装置の取り付け状態を示す図である。図12において、本実施形態の表示装置100は、ウインドウWの中央上部に配置されるルームミラーとして使用されている。ルーム装置は、入射光が反射する反射状態と、入射光が透過する透過状態でかつ画像表示可能である。
【0074】
第1透光性電極14の印加電圧が閾値より小さい場合、入射光が反射された反射状態となり、表示装置100は、車両後方からの入射光が鏡面反射し、車両後方が視認できるミラーとなっている。反射状態において、図8に示す制御部9は、車両200の後方BDの画像を表示パネル2に表示しない。
【0075】
表示状態において、表示装置100の表示パネル2が後方の撮像装置201(図8参照)が撮影した画像を表示する。あるいは、表示状態において、表示装置100の表示パネル2が車両の周囲の撮像装置が撮影した画像を表示してもよい。
【0076】
本実施形態の表示装置100は、車両のサイドミラー101に適用してもよい。車両のサイドミラー101は、車両の車外に配置したが、車両の車内に配置してもよい。
【0077】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。例えば、上述した実施形態に係る第1偏光部材4と、光学シート5と、前面パネル1と、第2偏光部材31と、表示パネル2と、の間には、本実施形態において述べた態様によりもたらされる作用を阻害しない、透光性の光学樹脂、各種フィルムがあってもよい。また、第1偏光部材4は、ヨウ素をPVAのフィルムに吸着させ、一方向に延伸して分子の配向を一定方向に揃える偏光板であってもよい。この場合、基材層64が省略され、第1偏光部材4は、第2基板12の液晶層19とは反対側に設けられる。
【0078】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0079】
1 前面パネル
2 表示パネル
3 バックライト
4 第1偏光部材
5 光学シート
9 制御部
10 アクティブ領域
10F 額縁領域
11 第1基板
12 第2基板
13、23 封止層
14 第1透光性電極
15 第2透光性電極
17、27 駆動回路
18 フレキシブルプリント基板
19 液晶層
21、22 基板
24 共通電極
25 画素電極
26 絶縁層
28 フレキシブルプリント基板
29 液晶層
31 第2偏光部材
32 第3偏光部材
70 放電抵抗
71、72 導電柱
73、73a、73b、73c 金属層
100 表示装置
PA1 第1偏光方向
PA2 第2偏光方向
Pix 画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12