(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】地図データのダウンロード方法及び地図記録装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220926BHJP
G08G 1/137 20060101ALI20220926BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/137
G09B29/00 Z
(21)【出願番号】P 2018179966
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 航
(72)【発明者】
【氏名】伊東 哲也
(72)【発明者】
【氏名】畑山 隼一
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-185709(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170143(WO,A1)
【文献】特開2011-149786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/137
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ地図データを格納している外部サーバと、メモリに格納されているユーザ地図データと走行案内経路に基づいて経路案内を実行するユーザコントローラと、の通信による地図データのダウンロード方法において、
前記ユーザコントローラは、前記外部サーバとの通信により、出発地から目的地までの間の前記サーバ地図データを、前記走行案内経路における案内箇所ごとの各区間の区間地図データに分けてダウンロードするとき、
前記案内箇所から次の前記案内箇所までの所定区間の移動に要する移動所要時間を予測し、
前記所定区間の前記区間地図データのダウンロードに要するダウンロード所要時間を予測し、
前記移動所要時間と前記ダウンロード所要時間を比較し、
前記区間地図データを構成する第1情報と第2情報のうち、前記所定区間における次の前記案内箇所にて経路案内に用い、前記第2情報よりもデータ量が小さい前記第1情報を、時間比較結果に関わらずダウンロードし、
前記時間比較結果により、前記移動所要時間が前記ダウンロード所要時間以下であると判断するとき、前記第2情報をダウンロードせず、前記移動所要時間が前記ダウンロード所要時間よりも長いと判断するとき、前記第1情報のダウンロード終了後に、前記第2情報をダウンロードする
ことを特徴とする地図データのダウンロード方法。
【請求項2】
請求項1に記載された地図データのダウンロード方法において、
前記第2情報は、背景地図情報である
ことを特徴とする地図データのダウンロード方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された地図データのダウンロード方法において、
前記ユーザコントローラは、前記案内箇所を基準として、前記案内箇所にユーザが到着すると、前記第1情報又は前記区間地図データをダウンロードする
ことを特徴とする地図データのダウンロード方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された地図データのダウンロード方法において、
前記ユーザコントローラは、
前記移動所要時間を、出発地から、前記所定区間の次の前記案内箇所まで、の移動に要する移動合計所要時間として予測し、
前記ダウンロード所要時間を、出発地から連続するダウンロード時間に要した時間と、前記所定区間の前記区間地図データのダウンロードに要する時間と、のダウンロード合計所要時間として予測し、
前記移動合計所要時間と前記ダウンロード合計所要時間を比較し、
出発地基準として、出発地から連続して前記第1情報又は前記区間地図データをダウンロードする
ことを特徴とする地図データのダウンロード方法。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載された地図データのダウンロード方法において、
前記メモリと、前記ユーザコントローラと、は車両に搭載されており、
前記ユーザコントローラは、前記移動所要時間又は
前記移動所要時間を、出発地から、前記所定区間の次の前記案内箇所まで、の移動に要する移動合計所要時間
として予測する際、車速と、前記所定区間の距離と、渋滞情報と、前記所定区間の特性と、を考慮する
ことを特徴とする地図データのダウンロード方法。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載された地図データのダウンロード方法において、
前記メモリと、前記ユーザコントローラと、報知デバイスと、が車両に搭載されており、
前記ユーザコントローラは、前記外部サーバとの通信により、前記サーバ地図データをダウンロードするとき、
前記第1情報のダウンロードよりも先に、ノード情報をダウンロードし、
前記時間比較結果により前記第1情報のみをダウンロードするとき、ダウンロードした前記ノード情報の地図データバージョンと、前記メモリから読み込んだ前記第1情報に対応する前記ユーザ地図データの地図データバージョンと、の新旧情報を比較し、
前記地図データバージョンの新旧比較結果により、前記地図データバージョンが一致する場合には前記地図データバージョンの新旧情報を前記報知デバイスに出力せず、前記地図データバージョンが一致しない場合には前記地図データバージョンの旧情報を前記報知デバイスに出力する
ことを特徴とする地図データのダウンロード方法。
【請求項7】
サーバ地図データを格納している外部サーバと、メモリに格納されているユーザ地図データと走行案内経路に基づいて経路案内を実行するユーザコントローラと、の通信による地図記録装置において、
前記ユーザコントローラは、前記外部サーバとの通信により、出発地から目的地までの間の前記サーバ地図データを、前記走行案内経路における案内箇所ごとの各区間の区間地図データに分けてダウンロードするとき、
前記案内箇所から次の前記案内箇所までの所定区間の移動に要する移動所要時間を予測すると共に、前記所定区間の前記区間地図データのダウンロードに要するダウンロード所要時間を予測する時間予測部と、
前記移動所要時間と前記ダウンロード所要時間を比較する時間比較部と、
前記区間地図データを構成する第1情報と第2情報のうち、前記所定区間における次の前記案内箇所にて経路案内に用い、前記第2情報よりもデータ量が小さい前記第1情報を、時間比較結果に関わらずダウンロードする第1ダウンロード部と、
前記時間比較結果により、前記移動所要時間が前記ダウンロード所要時間以下であると判断するとき、前記第2情報をダウンロードせず、前記移動所要時間が前記ダウンロード所要時間よりも長いと判断するとき、前記第1情報のダウンロード終了後に、前記第2情報をダウンロードする第2ダウンロード部と、
を有することを特徴とする地図記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地図データのダウンロード方法及び地図記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の移動案内装置の地図情報更新方法では、記憶媒体に記憶された地図情報を新たな地図情報へと更新する場合に、地図更新情報を外部サーバから取得して地図情報記憶媒体に記憶された地図情報の更新が完了するまでの間に、移動体が案内経路に沿って移動すると予測されるエリアを対象として、移動体の移動案内に用いる情報を先に外部サーバから取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の方法では、地図情報の更新対象エリアは、車両の現在位置を中心とした四方のエリアであるため、地図情報の更新が完了するまでの間に既に車両が通過してしまったエリアの地図情報も外部サーバから取得することになる。このため、車両が通過後のエリアにおける地図情報の取得は、移動案内には不要なため無駄になってしまう、という問題がある。
【0005】
本開示は、上記問題に着目してなされたもので、地図データのダウンロードの無駄を排除して、ユーザへの適切な経路案内を行う地図データのダウンロード方法及び地図記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示は、サーバ地図データを格納している外部サーバと、メモリに格納されているユーザ地図データと走行案内経路に基づいて経路案内を実行するユーザコントローラと、の通信による地図データのダウンロード方法である。ユーザコントローラは、外部サーバとの通信により、出発地から目的地までの間のサーバ地図データを、走行案内経路における案内箇所ごとの各区間の区間地図データに分けてダウンロードするとき、以下のことを行う。まず、案内箇所から次の案内箇所までの所定区間の移動に要する移動所要時間を予測する。次に、所定区間の区間地図データのダウンロードに要するダウンロード所要時間を予測する。次に、移動所要時間とダウンロード所要時間を比較する。次に、区間地図データを構成する第1情報と第2情報のうち、所定区間における次の案内箇所にて経路案内に用い、第2情報よりもデータ量が小さい第1情報を、時間比較結果に関わらずダウンロードする。そして、時間比較結果により、移動所要時間がダウンロード所要時間以下であると判断するとき、第2情報をダウンロードせず、移動所要時間がダウンロード所要時間よりも長いと判断するとき、第1情報のダウンロード終了後に、第2情報をダウンロードする。
【発明の効果】
【0007】
このように、地図データのダウンロードの無駄を排除して、ユーザへの適切な経路案内を行うことができる。加えて、移動所要時間内に、確実に案内情報をダウンロードすることができる。確実に経路案内に必要な案内情報のダウンロードを次の案内箇所までに間に合わせることができ、確実に経路案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1のナビゲーション装置と外部サーバの構成を示す全体システム図である。
【
図2】実施例1のナビゲーション制御ユニットの制御ブロック構成を示すブロック図である。
【
図3】実施例1の移動所要時間とダウンロード所要時間の予測・時間比較判断・区間地図データのダウンロードを示す説明図である。
【
図4】実施例1の外部サーバにて実行される外部サーバ処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】実施例1のナビゲーション制御ユニットにて実行される経路案内処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】実施例1のナビゲーション制御ユニットにて実行されるダウンロード処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】実施例1のダウンロード動作を示す作用説明図である。
【
図8】実施例1のナビゲーション制御ユニットにて実行される新旧報知処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】実施例1のHMIデバイスにて地図データバージョンが一致する場合に表示される案内経路情報表示の一例を示す図である。
【
図10】実施例1のHMIデバイスにて地図データバージョンが一致しない場合に表示される案内経路情報表示と旧情報表示の一例を示す図である。
【
図11】実施例2の移動合計所要時間とダウンロード合計所要時間の予測・時間比較判断・区間地図データのダウンロードを示す説明図である。
【
図12】実施例2のナビゲーション制御ユニットにて実行されるダウンロード処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】実施例2のダウンロード動作を示す作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示による地図データのダウンロード方法及び地図記録装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1における地図データのダウンロード方法及び地図記録装置は、車両に搭載されたカーナビゲーションシステムに適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「ナビゲーション制御ユニットの要部構成」に分けて説明する。
【0011】
【0012】
全体システム構成として、ナビゲーション装置1と、外部サーバ100と、を有している。
【0013】
ナビゲーション装置1は、車載センサ2と、地図データ格納部3(メモリ)と、ナビゲーション制御ユニット4(ユーザコントローラ)と、タッチパネル5と、HMIデバイス6(報知デバイス)と、を備えている。
【0014】
車載センサ2は、GPS21と、ジャイロセンサ22と、車速センサ23と、車載データ通信器24と、を有している。車載センサ2により取得したセンサ情報は、ナビゲーション制御ユニット4へ出力される。
【0015】
GPS21は、GNSSアンテナ21aを有し、衛星通信を利用することで停車中/走行中の自車位置(緯度・経度)を検知する自車位置センサである。なお、GPS21はトンネルや建造物が比較的多い区間等では自車位置の検知精度が悪くなる場合があり、このような場合にはGPS21やジャイロセンサ22や車速センサ23やデットレコニング等の情報を基に、自車位置を算出により推定する。ここで、「GNSS」は「Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム」の略称であり、「GPS」は「Global Positioning System:グローバル・ポジショニング・システム」の略称である。
【0016】
ジャイロセンサ22は、自車の走行方向を検知するセンサであり、車速センサ23は、自車の速度を検知するセンサである。
【0017】
車載データ通信器24は、外部データ通信器101との間で送受信アンテナ24a,101aを介して無線通信を行うことで、ナビゲーション装置1の情報や要求を送信して、その要求に応じた情報やデータを外部サーバ100から取得する外部データセンサである。
【0018】
地図データ格納部3は、緯度経度と地図情報が対応づけられた、格納地図データ(ユーザ地図データ)が格納された車載メモリにより構成される。格納地図データには、各地点に対応づけられた道路情報を有する。道路情報には、道路の位置/領域により道路を特定する情報、道路ごとの道路種別、道路ごとの車線幅及び道路の形状情報を含む。更に、各道路リンクの識別情報ごとに、交差点の位置、交差点の進入方向、交差点の種別その他の交差点に関する情報が対応づけて格納されている。更にまた、各道路リンクの識別情報ごとに、道路種別、車線幅、道路形状、直進の可否、進行の優先関係、追い越しの可否(隣接レーンへの進入の可否)、制限速度、標識、その他の道路に関する情報が対応づけて格納されている。
【0019】
ここで、格納地図データは、背景地図情報とノード情報を含む。「背景地図情報」とは、道路情報、地形情報及び施設情報であり、二次元地図データ、三次元地図データ及び交差点等において表示される拡大表示データを含む。「ノード情報」とは、道路情報に所定間隔に設けられた緯度経度のノード(座標点)の情報である。背景地図情報とノード情報には、その情報のバージョン情報も含まれている。また、ノード情報には、走行案内経路が生成されると、走行案内経路に沿ったノード情報に自車が走行するための案内情報が付される。「案内情報」とは、経路案内に用いるものであって、走行案内経路上の各ノードにおける方角情報であり、例えば右折や左折等の情報である。案内情報には、ノード情報と同様に緯度経度の情報も含まれている。
【0020】
ナビゲーション制御ユニット4は、外部サーバ100との通信がオンラインのとき、最新地図データ取得や走行案内経路の経路生成を外部サーバ100に要求する。即ち、ナビゲーション制御ユニット4は、GPS21にて検知される自車位置を自車位置情報として認識し、自車の目的地情報が入力されると、通信により、自車位置情報や目的地情報や最新地図データ取得要求や経路生成要求を外部サーバ100へ送信する。ナビゲーション制御ユニット4は、外部サーバ100との通信により、最新地図データ(サーバ地図データ)と案内情報をダウンロードし、最新地図データを地図データ格納部3に格納する。そして、ナビゲーション制御ユニット4は、自車位置を中心とする格納地図データを地図データ格納部3へ要求することで、格納地図データを取得し、自車位置情報と格納地図データと案内情報に基づき案内経路情報をHMIデバイス6へ出力する。なお、ナビゲーション制御ユニット4は、外部サーバ100との通信がオフラインのとき、車載センサ2や地図データ格納部3からの入力情報を統合処理し、出発地から目的地までの走行案内経路を生成する機能を有する。そして、ナビゲーション制御ユニット4は、案内経路情報をHMIデバイス6へ出力する。
【0021】
タッチパネル5は、HMIデバイス6の表面に設けられたデータ入力手段である。ナビゲーション装置1のユーザは、このタッチパネル5を操作することで、ナビゲーション制御ユニット4に対して自車の目的地等を入力する。
【0022】
HMIデバイス6は、経路案内中、自車が地図上で何処を移動しているか等の情報を提供するデバイスである。なお、「HMI」とは、「Human Machine Interface」の略称である。HMIデバイス6の例としては、HUD(Head‐UP Display:ヘッドアップディスプレイ)、メータ表示、車室内モニタが一つ又は複数の組み合わせにより備えられる。
【0023】
外部サーバ100は、クラウド環境上のサーバであり、ナビゲーション装置1の要求に応じて案内情報を含む外部地図データ(サーバ地図データ)をナビゲーション装置1に返す機能を有する。外部サーバ100は、外部データ通信器101と、最新地図データ格納部102と、経路生成部103と、を有する。
【0024】
外部データ通信器101は、車載データ通信器24との間で送受信アンテナ24a,101aを介して無線通信を行うことで、ナビゲーション装置1の情報や要求を受信して、その要求に応じた外部地図データをナビゲーション装置1に送信する。
【0025】
最新地図データ格納部102は、格納地図データと同様に、緯度経度と地図情報が対応づけられた、最新地図データが格納された外部サーバメモリにより構成される。最新地図データ格納部102は、格納地図データと同様に、各地点に対応づけられた道路情報を有し、背景地図情報とノード情報を含む。最新地図データ格納部102には、渋滞情報や走行規制情報等の交通情報も格納されている。
【0026】
ここで、「最新地図データ」とは、現在までに更新された最新の地図データである。最新地図データのうち、走行案内経路の出発地から目的地までの間の地図データを、「外部地図データ」という。外部地図データには、走行案内経路を走行する上で参照する地図データも含む。なお、走行案内経路は、ナビゲーション制御ユニット4の要求により生成する。外部地図データを走行案内経路における案内箇所P(n)ごとに区間Z(n)を分けた各区間の地図データを、「区間地図データ」という。「案内箇所P(n)」とは、ノードに付されている情報であって、別途案内情報が付されるノードであることを示す。このため、案内箇所P(n)が付されているノードは、実際に案内情報が付されていない状態である。案内箇所P(n)には、案内箇所P(n)が付されている一つのノード、又は、案内箇所P(n)が付されているノードが複数連続するノード群(部分)がある。ノード群の場合には、一つの案内箇所P(n)として取り扱う。なお、出発地と目的地におけるノードに案内箇所P(n)を付すものとする。区間地図データを、第1情報としての案内情報と、第2情報としての背景地図情報と、ノード情報及び各ノードを結ぶリンク情報と、で構成している。区間地図データを構成している情報のうち、案内情報の方が、背景地図情報よりもデータ量が小さくなっている。
【0027】
経路生成部103は、ナビゲーション制御ユニット4の自車位置情報や目的地情報や地図データ取得要求や経路生成要求と、最新地図データ格納部102の最新地図データ等と、を統合処理し、走行案内経路を生成する機能を有する。経路生成部103は、通信により、走行案内経路の出発地から目的地までの間の「ノード情報及びリンク情報」をナビゲーション制御ユニット4へ送信する。送信するノード情報には、生成した走行案内経路に基づき、案内箇所P(n)が付されているが、案内情報は付されていないものとする。更に、経路生成部103は、区間地図データを「案内情報」と「背景地図情報」の二つに分けて、ナビゲーション制御ユニット4へ送信する。案内情報には、生成した走行案内経路の情報が反映されている。なお、最新地図データ取得要求には、「ノード情報及びリンク情報」と、区間地図データの「案内情報」と「背景地図情報」を、分けて送信する要求も含まれているものとする。また、最新地図データ取得要求には、「ノード情報」に案内箇所P(n)を付す要求も含まれているものとする。
【0028】
図2と
図3に基づいて、ナビゲーション制御ユニット4の要部構成を説明する。
【0029】
ナビゲーション制御ユニット4は、区間地図データの「案内情報」と「背景地図情報」より先に、最新地図データのうち、走行案内経路の出発地から目的地までの間の「ノード情報及びリンク情報」をダウンロードする。ナビゲーション制御ユニット4は、ダウンロードしたノード情報を格納する際、既に地図データ格納部3に格納されている格納地図データのうち、ダウンロードした出発地から目的地までに対応する領域の格納地図データを、ダウンロードした情報に書き換える。更に、この格納の際、リンク情報は、地図データ格納部3には格納されず、ナビゲーション制御ユニット4が保有する。
【0030】
ナビゲーション制御ユニット4は、案内箇所P(n)を基準として、案内箇所P(n)にユーザが乗車している自車が到着すると、最新地図データのうち区間地図データの「案内情報」と「背景地図情報」をダウンロードする。ナビゲーション制御ユニット4は、ダウンロードした案内情報を保有し、ダウンロードした背景地図情報を格納する。背景地図情報を格納する際、既に地図データ格納部3に格納されている格納地図データのうち、ダウンロードした所定区間Z(n)に対応する区間の格納地図データを、ダウンロードした背景地図情報に書き換える。
【0031】
ナビゲーション制御ユニット4は、地図記録装置40と、表示経路生成部4eと、新旧比較部4fと、出力部4gと、を有する。地図記録装置40は、時間予測部4aと、時間比較部4bと、第1ダウンロード部4cと、第2ダウンロード部4dと、を有する。
【0032】
時間予測部4aには、自車位置情報や車速情報や渋滞情報等が入力される。時間予測部4aは、案内箇所P(n)ごとに分けた所定区間Z(n)の区間地図データをダウンロードするとき、案内箇所P(n)に自車が到着すると、移動所要時間T(n)とダウンロード所要時間t(n)を予測する。移動所要時間T(n)は、移動所要時間T(n)は、ダウンロードする所定区間Z(n)の始点を示す案内箇所P(n)から、終点を示す次の案内箇所P(n+1)まで、の所定区間Z(n)の移動に自車が要する時間である。移動所要時間T(n)を予測する際、自車の車速と、所定区間Z(n)の距離と、渋滞情報と、所定区間Z(n)の特性と、を考慮する。自車の車速は、例えば所定区間Z(n)の法定速度とする。所定区間Z(n)の特性とは、走行負荷抵抗(勾配や悪路)と道路形状(カーブ路)である。なお、案内箇所P(n)又は次の案内箇所P(n+1)がノード群の場合、自車の進行方向の手前位置のノードを始点又は終点とする。ダウンロード所要時間t(n)は、所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロードに要する時間である。ダウンロード所要時間t(n)を予測する際、所定区間Z(n)における車載データ通信器24と外部データ通信器101の通信速度等を考慮する。時間予測部4aは、予測した移動所要時間T(n)とダウンロード所要時間t(n)を時間比較部4bに出力する。
【0033】
ここで、例えば、
図3に示すように、最初の第1区間Z1の第1区間地図データをダウンロードするとき、第1移動所要時間T1と第1ダウンロード所要時間t1を予測する。第1区間Z1は、出発地としての初期案内箇所P0から次の第1案内箇所P1までの区間である。まず、第1移動所要時間T1は、第1区間Z1の始点を示す初期案内箇所P0から、終点を示す次の第1案内箇所P1まで、の第1区間Z1の移動に自車が要する時間となる。次に、第1ダウンロード所要時間t1は、第1区間地図データのダウンロードに要する時間となる。
【0034】
時間比較部4bには、移動所要時間T(n)とダウンロード所要時間t(n)が入力される。時間比較部4bは、移動所要時間T(n)とダウンロード所要時間t(n)を比較して、移動所要時間T(n)がダウンロード所要時間t(n)以下(T(n)≦t(n))であるか否かを判断する。例えば、
図3に示すように、第1ダウンロード所要時間t1が時間t11のとき、時間比較部4bは、第1移動所要時間T1が時間t11以下(T1≦t11)であると判断する。一方、第1ダウンロード所要時間t1が時間t12のとき、時間比較部4bは、第1移動所要時間T1が時間t12よりも長い(T1>t12)と判断する。時間比較部4bは、時間比較結果を、第1ダウンロード部4cと第2ダウンロード部4dと新旧比較部4fに出力する。
【0035】
第1ダウンロード部4cには、時間比較結果が入力される。第1ダウンロード部4cは、時間比較結果が入力されると該結果に関わらず、通信により、所定区間Z(n)の区間地図データのうち次の案内箇所P(n+1)の案内情報を経路生成部103からダウンロードする。案内情報のダウンロードは、案内箇所P(n)を基準として、案内箇所P(n)に自車が到着すると開始される。例えば、
図3に示すように、初期案内箇所P0を基準として、初期案内箇所P0に自車が到着すると、第1区間地図データの第1案内情報のダウンロードを開始する。具体的には、自車位置が初期案内箇所P0のとき、通信により、次の第1案内箇所P1の第1案内情報を経路生成部103からダウンロードする。なお、第1ダウンロード部4cは、「T(n)>t(n)」の場合、ダウンロードが終了すると、ダウンロード終了信号を第2ダウンロード部4dに出力する。
【0036】
第2ダウンロード部4dには、時間比較結果とダウンロード終了信号が入力される。第2ダウンロード部4dは、時間比較結果が「T(n)≦t(n)」の場合、所定区間Z(n)の区間地図データの背景地図情報をダウンロードしない。例えば、
図3に示すように、第2ダウンロード部4dは、時間比較結果が「T1≦t11」の場合、第1区間地図データの第1背景地図情報をダウンロードしない。一方、第2ダウンロード部4dは、時間比較結果が「T(n)>t(n)」の場合、ダウンロード終了信号の入力後すなわち案内情報のダウンロード終了後に、通信により、所定区間Z(n)の区間地図データのうち背景地図情報を経路生成部103からダウンロードする。例えば、
図3に示すように、第2ダウンロード部4dは、時間比較結果が「T1>t12」の場合、第1案内情報のダウンロード終了後に、通信により、第1背景地図情報を経路生成部103からダウンロードする。
【0037】
表示経路生成部4eは、地図データ格納部3の格納地図データのうち、ダウンロードしたノード情報と、背景地図情報と、を読み込む。ノード情報の読み込み範囲は、HMIデバイス6に表示する範囲である。ノード情報としては、格納地図データのうち、ダウンロードによる書き換え後のノード情報を読み込む。背景地図情報の読み込み範囲は、ノード情報と同等の範囲であり、走行案内経路を走行する上で参照する範囲である。背景地図情報としては、背景地図情報がダウンロードされない場合又は背景地図情報のダウンロード終了前であれば、格納地図データのうち書き換え前の背景地図情報を読み込む。一方、背景地図情報としては、背景地図情報のダウンロード終了後であれば、格納地図データのうち書き換え後の背景地図情報を読み込む。
【0038】
表示経路生成部4eは、背景地図情報とノード情報とリンク情報、又は、これら三つの情報と案内情報に基づき案内経路情報を生成して、案内経路情報を出力部4gへ出力する。即ち、表示経路生成部4eは、背景地図情報とノード情報とリンク情報に基づき案内経路情報を生成する場合には、ノード情報と背景地図情報とに含まれる経度緯度により二つの情報を合わせて、HMIデバイス6に表示する案内経路情報を生成する。一方、表示経路生成部4eは、三つの情報と案内情報に基づき案内経路情報を生成する場合には、ノード情報と案内情報とに含まれる緯度経度情報により二つの情報を合わせる。更に、案内情報を合わせたノード情報と背景地図情報とに含まれる経度緯度により二つの情報を合わせて、HMIデバイス6に表示する案内経路情報を生成する。また、どちらの案内経路情報にも、自車位置情報に基づき現在の自車位置と、リンク情報と、が付されている。
【0039】
新旧比較部4fには、時間比較結果が入力される。新旧比較部4fは、時間比較結果が「T(n)≦t(n)」のとき、外部サーバ100との通信によりダウンロードしたノード情報と、地図データ格納部3から読み込んだ案内情報に対応する格納地図データと、の地図データバージョンの新旧情報を比較する。具体的には、新旧比較部4fは、格納地図データのうち、ダウンロードによる書き換え後のノード情報と、次の案内箇所P(n+1)の案内情報に対応する書き換え前の背景地図情報と、を読み込み、二つの情報の地図データバージョンの新旧情報を比較する。該新旧情報の比較は、各情報のバージョン情報に基づき行う。新旧比較部4fは、二つの情報の地図データバージョンが一致するか否かを判断して、地図データバージョンの比較結果を出力部4gに出力する。なお、新旧比較部4fは、時間比較結果が「T(n)>t(n)」の場合、地図データバージョンの新旧情報を比較しない。
【0040】
出力部4gには、案内経路情報と新旧比較結果が入力される。出力部4gは、新旧比較結果が一致する場合、案内経路情報を表示信号に変換し、新旧比較結果が一致しない場合、案内経路情報と地図データバージョンの旧情報を表示信号に変換する。出力部4gは、HMIデバイス6にどちらかの表示信号を出力する。
【0041】
次に、実施例1の作用を、「外部サーバ処理作用」と、「経路案内処理作用」と、「ダウンロード処理作用」と、「新旧報知処理作用」に分けて説明する。
【0042】
まず、
図4に基づいて、外部サーバ処理作用を説明する。
図4の処理は、外部サーバ100と経路生成部103により実行される。外部サーバ100により、通信によって、自車位置情報や目的地情報や地図データ取得要求や経路生成要求がナビゲーション制御ユニット4から受信されると、スタートする。
【0043】
スタートすると、S11、S13及びS15の順に進む。まず、経路生成部103により、走行案内経路が生成される(S11)。次に、経路生成部103により、通信によって、走行案内経路の出発地から目的地までの間の「ノード情報及びリンク情報」がナビゲーション制御ユニット4へ送信される(S13)。続いて、経路生成部103により、第1ダウンロード部4cから送信される次の案内箇所P(n+1)の案内情報の取得要求の有無が判断される(S15)。ここで、取得要求の有無の判断は、経路生成部103により第1ダウンロード部4cからの入力によって判断される。そして、S15の判断が否定されている間は、S15が繰り返され、S15の判断が肯定されると、S17及びS19に進む。
【0044】
次に、経路生成部103により、通信によって、第1ダウンロード部4cへの次の案内箇所P(n+1)の案内情報の送信が開始される(S17)。次に、経路生成部103により、第1ダウンロード部4cへの案内情報の送信が終了したか否かが判断される(S19)。ここで、送信が終了したか否かの判断は、経路生成部103により外部データ通信器101の状態から判断される。しばらくの間は、ダウンロード中のためS19の判断が否定されるので、S19が繰り返される。
【0045】
そして、S19の判断が肯定されると、S21に進む。経路生成部103により、第2ダウンロード部4dから送信される所定区間Z(n)の背景地図情報の取得要求の有無が判断される(S21)。ここで、取得要求の有無の判断は、S15と同様なので説明を省略する。S21の判断が肯定されると、S23及びS25に進む。一方、S21の判断が否定されると、S27に進む。
【0046】
次に、S21の判断が肯定されると、経路生成部103により、通信によって、第2ダウンロード部4dへの所定区間Z(n)の背景地図情報の送信が開始される(S23)。次に、経路生成部103により、第2ダウンロード部4dへの背景地図情報の送信が終了したか否かが判断される(S25)。ここで、送信が終了したか否かの判断は、S19と同様なので説明を省略する。しばらくの間は、ダウンロード中のためS25の判断が否定されるので、S25が繰り返される。そして、S25の判断が肯定されると、S27に進む。
【0047】
次に、経路生成部103により次の案内箇所P(n+1)が目的地か否かが判断される(S27)。ここで、目的地か否かの判断は、次の案内箇所P(n+1)と目的地情報の緯度経度から判断される。なお、しばらくの間は、次の案内箇所P(n+1)が目的地ではないと判断されるので、S27の判断が否定される。S27の判断が否定されると、S15へ戻り、S15からS27の流れが繰り返される。そして、S27の判断が肯定されると、エンドに進む。
【0048】
S17とS23では、出発地から目的地までの間の外部地図データが、走行案内経路における案内箇所P(n)ごとの各区間の区間地図データに分けて送信される。例えば、出発地から目的地までの間の外部地図データを一括で送信してしまうと、自車の走行案内経路の逸脱によりその一括の送信が無駄な通信になってしまう。このため、区間地図データが送信される。これにより、目的地に向かう途中で、寄り道や渋滞回避等によって経路を逸脱しても、区間地図データの送信が無駄な通信になることを抑制できる。
【0049】
更に、S17とS23では、区間地図データが、案内情報と、背景地図情報と、の二つに分けられて送信される。例えば、区間地図データが分けられずに送信されると、通信環境によっては区間地図データのダウンロードが間に合わない可能性があり、乗員に経路案内ができなくなってしまう。このため、区間地図データが二つに分けられて送信され、更に、案内情報の方が背景地図情報よりもデータ量が小さいため、経路案内に必要な案内情報のダウンロードを優先する。これにより、背景地図情報のダウンロードが間に合わない場合であっても、経路案内に必要な最低限のノード情報及び案内情報と、格納地図データから読み込まれた背景地図情報によって、乗員に経路案内が可能である。
【0050】
次に、
図5に基づいて、経路案内処理作用を説明する。
図5の処理は、ナビゲーション制御ユニット4と表示経路生成部4eにより実行される。自車のイグニッションスイッチがON状態であり、ナビゲーション制御ユニット4により、通信によって、走行案内経路の出発地から目的地までの間の「ノード情報及びリンク情報」が経路生成部103からダウンロードされると、スタートする。スタートすると、S31、S33、S35及びエンドの順に進む。
【0051】
まず、表示経路生成部4eにより、地図データ格納部3からノード情報と背景地図情報が読み込まれる(S31)。次に、表示経路生成部4eにより、少なくとも背景地図情報とノード情報とリンク情報に基づき、案内経路情報が生成される(S33)。続いて、表示経路生成部4eにより、生成された案内経路情報が出力部4gへ出力される(S35)。このように、案内経路情報が生成されるので、背景地図情報がダウンロードされない場合又は背景地図情報のダウンロード終了前であっても、案内経路情報を生成できる。
【0052】
そして、
図6に基づいて、ダウンロード処理作用を説明する。
図6の処理は、ナビゲーション制御ユニット4と、時間予測部4aと、時間比較部4bと、第1ダウンロード部4cと、第2ダウンロード部4dと、により実行される。ナビゲーション制御ユニット4により、通信によって、走行案内経路の出発地から目的地までの間の「ノード情報及びリンク情報」が経路生成部103からダウンロードされ、自車位置が出発地であると、スタートする。
【0053】
スタートすると、S41、S43及びS45の順に進む。まず、時間予測部4aにより、所定区間Z(n)の移動所要時間T(n)が算出によって予測される(S41)。S41では、移動所要時間T(n)を予測する際、自車の車速等が考慮される。このため、移動所要時間T(n)が予測される際、これらの情報を考慮した方が、車速と所定区間Z(n)の距離のみを考慮するよりも、精度良く移動所要時間T(n)を予測できる。
【0054】
次に、時間予測部4aにより、所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロード所要時間t(n)が算出によって予測される(S43)。続いて、時間比較部4bにより、移動所要時間T(n)がダウンロード所要時間t(n)以下(T(n)≦t(n))であるか否かが判断される(S45)。
【0055】
S45の判断が肯定されると、S47及びS49の順に進む。第1ダウンロード部4cにより、次の案内箇所P(n+1)の案内情報のダウンロードが開始される(S47)。ここで、案内情報のダウンロードが開始される際、第1ダウンロード部4cにより、通信によって、案内情報の取得要求が経路生成部103へ送信される。次に、第1ダウンロード部4cにより、案内情報のダウンロードが終了したか否かが判断される(S49)。ここで、ダウンロードが終了したか否かの判断は、第1ダウンロード部4cにより車載データ通信器24の状態から判断される。しばらくの間は、ダウンロード中のためS49の判断が否定されるので、S49が繰り返される。そして、S49の判断が肯定されると、S61に進む。
【0056】
一方、S45の判断が否定されると、S51及びS53の順に進む。S51及びS53は、S47及びS49と同様なので説明を省略する。ただし、S53の判断が肯定されると、S55及びS57に進む。更に、S53の判断が肯定されると、第1ダウンロード部4cにより、ダウンロード終了信号が第2ダウンロード部4dへ出力される。次に、第2ダウンロード部4dにより、背景地図情報のダウンロードが開始される(S55)。ここで、背景地図情報のダウンロードが開始される際、第2ダウンロード部4dにより、通信によって、背景地図情報の取得要求が経路生成部103へ送信される。次に、第2ダウンロード部4dにより、背景地図情報のダウンロードが終了したか否かが判断される(S57)。ここで、ダウンロードが終了したか否かの判断は、第2ダウンロード部4dにより車載データ通信器24の状態から判断される。しばらくの間は、ダウンロード中のためS57の判断が否定されるので、S57が繰り返される。そして、S57の判断が肯定されると、S61に進む。
【0057】
S51、S53、S55及びS57の順に進むことにより、案内情報のダウンロード終了後に、背景地図情報がダウンロードされる。例えば、渋滞状況等によっては予測よりも移動所要時間T(n)が早まったり、通信環境によっては予測よりもダウンロード所要時間t(n)が長くなったりする可能性がある。そうすると、背景地図情報のダウンロード終了後に、案内情報がダウンロードされると、経路案内に用いる案内情報のダウンロードが間に合わず、経路案内が行えないおそれがある。このため、背景地図情報のダウンロードよりも先に、案内情報がダウンロードされる。これにより、確実に経路案内に必要な案内情報のダウンロードを次の案内箇所P(n+1)までに間に合わせることができ、確実に経路案内を行うことができる。
【0058】
そして、ナビゲーション制御ユニット4により、次の案内箇所P(n+1)が目的地か否かが判断される(S61)。ここで、目的地か否かの判断は、次の案内箇所P(n+1)と目的地情報の緯度経度から判断する。なお、出発地からしばらくの間は、次の案内箇所P(n+1)が目的地ではないと判断されるので、S61の判断が否定される。
【0059】
S61の判断が否定されると、S63に進む。ナビゲーション制御ユニット4により、次の案内箇所P(n+1)に到着したか否かが判断される(S63)。ここで、到着したか否かの判断は、次の案内箇所P(n+1)と自車位置情報の緯度経度から判断される(S63)。次の案内箇所P(n+1)に到着するまでの間、S63の判断は否定されるので、S63が繰り返される。そして、S63の判断が肯定されると、S65に進む。そして、ナビゲーション制御ユニット4により、現在の所定区間Z(n)と、現在の所定区間Z(n)の始点を示す案内箇所P(n)と、終点を示す次の案内箇所P(n+1)と、が更新される(S65)。即ち、現在の所定区間Z(n)が、次の所定区間Z(n+1)に更新される。更に、現在の所定区間Z(n)の始点を示す案内箇所P(n)が、次の所定区間Z(n+1)の始点を示す案内箇所P(n+1)に更新される。更にまた、現在の所定区間Z(n)の終点を示す次の案内箇所P(n+1)が、次の所定区間Z(n+1)の終点を示す次の案内箇所P(n+2)に更新される。S65の処理が済むと、S41に戻り、S41からS65の流れが繰り返される。そして、S61の判断が肯定されると、エンドに進む。
【0060】
続いて、
図7に基づいて、
図6のフローチャートのダウンロード動作を説明する。
【0061】
まず、自車位置が出発地としての初期案内箇所P0なので、第1案内箇所P1の第1案内情報、又は、初期案内箇所P0から次の第1案内箇所P1までの第1区間Z1の第1区間地図データがダウンロードされる。このとき、第1移動所要時間T1と第1ダウンロード所要時間t1が予測される。ここで、第1移動所要時間T1が第1ダウンロード所要時間t1以下であると判断されるので、第1区間地図データのうち第1案内情報のみのダウンロードが実行される。このため、第1区間地図データのうち第1背景地図情報のダウンロードは実行されない。なお、第1案内情報のみのダウンロードに要する所要時間を「t13」で示す。
【0062】
次に、自車位置が第1案内箇所P1に到着すると、第1区間Z1と初期案内箇所P0と第1案内箇所P1が、第2区間Z2と第1案内箇所P1と第2案内箇所P2に、それぞれ更新される。そして、自車位置が第1案内箇所P1に到着すると、第2案内箇所P2の第2案内情報、又は、第1案内箇所P1から次の第2案内箇所P2までの第2区間Z2の第2区間地図データがダウンロードされる。このとき、第2移動所要時間T2と第2ダウンロード所要時間t2が予測される。ここで、第2移動所要時間T2が第2ダウンロード所要時間t2よりも長いと判断されるので、第2区間地図データのダウンロードが実行される。第2区間地図データのダウンロードのとき、第2案内情報のダウンロード終了後に、第2背景地図情報がダウンロードされる。
【0063】
続いて、自車位置が第2案内箇所P2に到着すると、第2区間Z2と第1案内箇所P1と第2案内箇所P2が、第3区間Z3と第2案内箇所P2と第3案内箇所P3に、それぞれ更新される。そして、自車位置が第2案内箇所P2に到着すると、第3案内箇所P3の第3案内情報、又は、第2案内箇所P2から次の第3案内箇所P3までの第3区間Z3の第3区間地図データがダウンロードされる。このとき、第3移動所要時間T3と第3ダウンロード所要時間t3が予測される。ここで、第3移動所要時間T3が第3ダウンロード所要時間t3よりも長いと判断されるので、第3区間地図データのダウンロードが実行される。第3区間地図データのダウンロードのとき、第3案内情報のダウンロード終了後に、第3背景地図情報がダウンロードされる。
【0064】
そして、自車が所定区間Z(n)の案内箇所P(n)に到着すると、次の案内箇所P(n+1)の案内情報、又は、所定区間Z(n)の区間地図データがダウンロードされる。このとき、前述した通り、移動所要時間T(n)とダウンロード所要時間t(n)が予測される。予測した移動所要時間T(n)とダウンロード所要時間t(n)が比較され、時間比較結果により次の案内箇所P(n+1)の案内情報、又は、所定区間Z(n)の区間地図データがダウンロードされる。どちらかのダウンロード後に、次の案内箇所P(n+1)が目的地であると判断されると、
図6のフローチャートが終了される。
【0065】
このように、時間比較結果に関わらず、案内情報はダウンロードされるので、背景地図情報のダウンロードの実施有無に関係なく、次の案内箇所P(n+1)においてユーザへの適切な経路案内が行われる。加えて、案内情報のデータ容量は、背景地図情報のデータ容量よりも小さいので、移動所要時間T(n)内に、確実に案内情報をダウンロードできる。
【0066】
そして、時間比較結果が「T(n)≦t(n)」の場合には、背景地図情報のダウンロードは実施されない。例えば、
図7において、第1背景地図情報がダウンロードされても、このダウンロードの終了は、自車が第1区間Z1の通過後である。そうすると、第1背景地図情報がダウンロードされても、第1背景地図情報は経路案内に不要なため無駄になってしまう。加えて、不要なタイミングで第1背景地図情報のダウンロードが終了する。なお、第1背景地図情報のダウンロードに費用がかかる場合には、余計な費用がかかってしまう。これに対し、実施例1では、時間比較結果に応じて、背景地図情報のダウンロードの実施有無が判断される。即ち、時間比較結果が「T(n)≦t(n)」の場合には、背景地図情報のダウンロードが実行されないので、区間地図データのうち背景地図情報のダウンロードの無駄が排除される。この場合でも、案内情報はダウンロードされるので、ユーザへの適切な経路案内が行われる。従って、背景地図情報のダウンロードの無駄が排除され、ユーザへの適切な経路案内が行われる。
【0067】
一方、時間比較結果が「T(n)>t(n)」の場合には、背景地図情報のダウンロードが実施される。例えば、
図7において、第2背景地図情報がダウンロードされると、このダウンロードの終了は、自車が第2区間Z2の通過前である。そうすると、第2背景地図情報がダウンロードされても、第2背景地図情報は経路案内に必要なため無駄にはならない。これにより、背景地図情報のダウンロード後に必要なタイミングで第2区間Z2の経路案内に使用できるので、詳細な経路案内ができる。なお、外部地図データを一括でダウンロードしないので、外部地図データのダウンロード終了を待たなくても、最新の背景地図情報で経路案内ができる。
【0068】
更に、時間比較結果によりダウンロードする情報を選別することにより、経路案内の品質を維持しながら、ダウンロードの無駄を排除し、最新地図データに基づく経路案内を可能にする。
【0069】
更にまた、案内箇所P(n)を基準として、案内箇所P(n)に自車が到着すると、時間予測と時間比較の制御が行われ、案内情報又は所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロードが制御される。例えば、
図7において、各案内箇所P0,P1,P2に自車が到着すると、時間予測と時間比較とダウンロードが制御される。このため、所定区間Z(n)ごとに分けて、時間予測と時間比較とダウンロードを制御できる。
【0070】
そして、
図8に基づいて、新旧報知処理作用を説明する。
図7の処理は、ナビゲーション制御ユニット4と表示経路生成部4eと新旧比較部4fと出力部4gにより実行される。
図6のS45の判断が肯定されると、スタートする。
【0071】
スタートすると、S71、S73及びS75の順に進む。即ち、ノード情報がダウンロードされると、格納地図データのノード情報を書き換える(S71)。このため、出発地から経路案内が実行される。次に、新旧比較部4fにより、格納地図データのうち、ダウンロードによる書き換え後の所定区間Z(n)のノード情報と、所定区間Z(n)の次の案内箇所P(n+1)の案内情報に対応する書き換え前の背景地図情報と、が読み込まれる(S73)。
【0072】
続いて、新旧比較部4fにより、時間比較結果が「T(n)≦t(n)」のとき、書き換え後のノード情報の地図データバージョンと、書き換え前の背景地図情報の地図データバージョンと、が比較されると共に、地図データバージョンが一致するか否かが判断される(S75)。ここで、地図データバージョンが一致するか否かの判断について説明する。例えば、書き換え後のノード情報の地図データバージョンが「2」であり、書き換え前の背景地図情報の地図データバージョンが「1」である場合、新旧比較部4fによりノード情報よりも背景地図情報の地図データバージョンが「一致しない(旧)」と判断される。なお、書き換え前の背景地図情報の地図データバージョンが、常に書き換え後のノード情報の地図データバージョンに一致しない(旧)わけではない。即ち、ダウンロードしたノード情報に変更が無いと、二つの情報の地図データバージョンの新旧情報が一致する場合もある。この場合、新旧比較部4fにより、書き換え後のノード情報の地図データバージョンと書き換え前の背景地図情報の地図データバージョンが「一致する(新)」と判断される。
【0073】
このように、S75では、ノード情報のダウンロード終了後であって、時間比較結果が「T(n)≦t(n)」のとき、二つの情報の地図データバージョンの新旧情報が比較されるので、二つの情報の地図データバージョンの比較結果が得られる。
【0074】
そして、S75の判断が肯定されると、S81、S83及びエンドの順に進む。表示経路生成部4eにより、案内経路情報が出力部4gへ入力される(S81)。次に、出力部4gにより、案内経路情報が表示信号に変換され、表示信号がHMIデバイス6へ出力される(S83)このため、HMIデバイス6には、例えば、
図9に示すように、地図データバージョンの新旧情報は表示されず、案内経路情報のみが表示される。
【0075】
一方、S75の判断が否定されると、S85、S87及びエンドの順に進む。表示経路生成部4eにより、案内経路情報が出力部4gへ入力される(S85)。出力部4gにより、案内経路情報と地図データバージョンの旧情報が表示信号に変換され、表示信号がHMIデバイス6へ出力される(S87)。HMIデバイス6には、例えば、
図10に示すように、案内経路情報に加え、旧情報として左上に「古」という文字が表示される。
【0076】
このように、旧情報を表示する理由は、以下の通りである。つまり、外部サーバ100の最新地図データにより走行案内経路が生成され、背景地図情報よりも先にノード情報と案内情報がダウンロードされる。次に、書き換え後のノード情報と書き換え前の背景地図情報により、HMIデバイス6に表示される案内経路情報が生成されるとき、二つの情報に矛盾が起きることがある。そして、経路案内中、案内経路情報に矛盾が起きると、ユーザは、背景地図情報が古いか否かがわからず、経路案内を参照して良いか否かがわからない。そうすると、経路案内中、経路案内に対してユーザは混乱してしまう。このため、旧情報が表示される。即ち、書き換え後のノード情報よりも書き換え前の背景地図情報が古いことを、自車のユーザが認識できる。従って、経路案内中、地図データの新旧情報を自車のユーザが認識できる。
【0077】
更に、
図10の直進時においては、背景地図情報を参照しない方がよいことがわかる。例えば、
図9の直進時において、
図10と同様に旧表示が表示されている場合、背景地図情報を参照してもよいことがわかる。このように、案内経路情報に加えて旧情報が表示されることにより、経路案内中、経路案内に対するユーザの混乱を抑制できる。更にまた、「新しい」ことを表示するよりも「古い」ことが表示されることで、経路案内中、ユーザに対し前もって、ノード情報よりも背景地図情報が古いことを知らしめる(認知させる)ことができる。これにより、経路案内中、ユーザに対して注意喚起できる。
【0078】
以上説明したように、実施例1の地図データのダウンロード方法及び地図記録装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0079】
(1)サーバ地図データ(最新地図データ)を格納している外部サーバ100と、メモリ(地図データ格納部3)に格納されているユーザ地図データ(格納地図データ)と走行案内経路に基づいて経路案内を実行するユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)と、の通信による地図データのダウンロード方法である。この地図データのダウンロード方法において、ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)は、外部サーバ100との通信により、出発地から目的地までの間のサーバ地図データ(外部地図データ)を、走行案内経路における案内箇所P(n)ごとの各区間Z(n)の区間地図データに分けてダウンロードするとき、以下のことを行う。案内箇所P(n)から次の案内箇所P(n+1)までの所定区間Z(n)の移動に要する移動所要時間T(n)を予測する(S41)。所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロードに要するダウンロード所要時間t(n)を予測する(S43)。移動所要時間T(n)とダウンロード所要時間t(n)を比較する(S45)。区間地図データを構成する第1情報(案内情報)と第2情報(背景地図情報)のうち、第1情報(案内情報)を、時間比較結果(S45)に関わらずダウンロードする(S47及びS49とS51及びS53)。第1情報(案内情報)は、所定区間Z(n)における次の案内箇所P(n+1)にて経路案内に用いる情報である。時間比較結果により、移動所要時間T(n)がダウンロード所要時間t(n)以下(T(n)≦t(n))であると判断するとき、第2情報(背景地図情報)をダウンロードしない(S45の「YES」)。一方、時間比較結果により、移動所要時間T(n)がダウンロード所要時間t(n)よりも長い(T(n)>t(n))と判断するとき、第2情報(背景地図情報)をダウンロードする(S45の「NO」、S55とS57)。
【0080】
このように、第1情報(案内情報)が時間比較結果に関わらずダウンロードされることにより、ユーザへの適切な経路案内が行われる。更に、時間比較結果が「T(n)≦t(n)」の場合には、第2情報(背景地図情報)がダウンロードされないことにより、地図データ(背景地図情報)のダウンロードの無駄が排除される。換言すると、地図データのダウンロードが不要な通信になることを防止する。従って、地図データのダウンロードの無駄を排除して、ユーザへの適切な経路案内を行う地図データのダウンロード方法を提供できる。加えて、時間比較結果が「T(n)>t(n)」場合には、第2情報(背景地図情報)がダウンロードされても、第2情報(背景地図情報)は経路案内に必要なため無駄にはならない。従って、第2情報(背景地図情報)のダウンロード後に所定区間Z(n)の経路案内に使用できるので、詳細な経路案内ができる。
【0081】
(2)第2情報は、背景地図情報である。
【0082】
従って、時間比較結果が「T(n)≦t(n)」の場合には、直接的に案内に関わらない背景地図情報をダウンロードしないことにより、正確な案内は継続しつつ、背景地図情報にかかる通信量を低減できる。
【0083】
(3)第1情報は、第2情報よりもデータ量が小さい。
【0084】
従って、移動所要時間T(n)内に、確実に案内情報をダウンロードすることができる。
【0085】
(4)ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)は、案内箇所P(n)を基準として、案内箇所P(n)にユーザ(自車)が到着する(STARTとS63の「YES」)と、第1情報(案内情報)又は区間地図データをダウンロードする(S47~S57)。
【0086】
従って、所定区間Z(n)ごとに分けて、第1情報(案内情報)又は区間地図データのダウンロードを制御できる。
【0087】
(5)ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)は、時間比較結果により第1情報(案内情報)と第2情報(背景地図情報)との両方をダウンロードするとき(S45の「NO」)、第1情報(案内情報)のダウンロード終了後(S53の「YES」)に、第2情報(背景地図情報)をダウンロードする(S55及びS57)。
【0088】
従って、確実に経路案内に必要な案内情報のダウンロードを次の案内箇所P(n+1)までに間に合わせることができ、確実に経路案内を行うことができる。
【0089】
(6)メモリ(地図データ格納部3)と、ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)と、は車両に搭載されている。ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)は、移動所要時間T(n)を予測する際、車速と、所定区間Z(n)の距離と、渋滞情報と、所定区間Z(n)の特性と、を考慮する(S41)。
【0090】
従って、移動所要時間T(n)が予測される際、これらの情報を考慮した方が、車速と所定区間Z(n)の距離のみを考慮するよりも、精度良く移動所要時間T(n)を予測できる。
【0091】
(7)メモリ(地図データ格納部3)と、ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)と、報知デバイス(HMIデバイス6)と、が車両に搭載されている。ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)は、外部サーバ100との通信により、サーバ地図データ(最新地図データ)をダウンロードするとき、以下のことを行う。第1情報(案内情報)のダウンロードよりも先に、ノード情報をダウンロードする。時間比較結果により第1情報(案内情報)のみをダウンロードするとき(S45の「YES」)、ダウンロードしたノード情報の地図データバージョンと、メモリ(地図データ格納部3)から読み込んだ第1情報(案内情報)に対応するユーザ地図データ(格納地図データ)の地図データバージョンと、の新旧情報を比較する(S75)。地図データバージョンの新旧比較結果により、地図データバージョンが一致する場合(S75の「YES」)には地図データバージョンの新旧情報を報知デバイス(HMIデバイス6)に出力しない(S83)。地図データバージョンの新旧比較結果により、地図データバージョンが一致しない場合(S75の「NO」)には地図データバージョンの旧情報を報知デバイス(HMIデバイス6)に出力する(S87)。
【0092】
このように、地図データバージョンが一致しない場合に、報知デバイス(HMIデバイス6)に旧情報が出力されることにより、地図データの旧情報が報知デバイス(HMIデバイス6)に表示される。このため、経路案内中、ユーザに対し前もって、ノード情報よりも背景地図情報が古いことを知らしめることができる。従って、経路案内中、ユーザに対して注意喚起できる。
【0093】
(8)サーバ地図データ(最新地図データ)を格納している外部サーバ100と、メモリ(地図データ格納部3)に格納されているユーザ地図データ(格納地図データ)に基づいて経路案内を実行するユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)と、の通信による地図記録装置40である。この地図記録装置40において、ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)は、外部サーバ100との通信により、出発地から目的地までの間のサーバ地図データ(外部地図データ)を、走行案内経路における案内箇所P(n)ごとの各区間Z(n)の区間地図データに分けてダウンロードする。このとき、ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4)は、時間予測部4aと、時間比較部4bと、第1ダウンロード部4c、第2ダウンロード部4dと、を有する。時間予測部4aは、案内箇所P(n)から次の案内箇所P(n+1)までの所定区間Z(n)の移動に要する移動所要時間T(n)を予測する(S41)と共に、所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロードに要するダウンロード所要時間t(n)を予測する(S43)。時間比較部4bは、移動所要時間T(n)とダウンロード所要時間t(n)を比較する(S45)。第1ダウンロード部4cは、区間地図データを構成する第1情報(案内情報)と第2情報(背景地図情報)のうち、第1情報(案内情報)を、時間比較結果(S45)に関わらずダウンロードする(S47及びS49とS51及びS53)。第1情報(案内情報)は、所定区間Z(n)における次の案内箇所P(n+1)にて経路案内に用いる情報である。第2ダウンロード部4dは、時間比較結果により、移動所要時間T(n)がダウンロード所要時間t(n)以下(T(n)≦t(n))であると判断するとき、第2情報(背景地図情報)をダウンロードしない(S45の「YES」)。一方、時間比較結果により、移動所要時間T(n)がダウンロード所要時間t(n)よりも長い(T(n)>t(n))と判断するとき、第2情報(背景地図情報)をダウンロードする(S45の「NO」、S55とS57)。
【0094】
このように、第1情報(案内情報)が時間比較結果に関わらずダウンロードされることにより、ユーザへの適切な経路案内が行われる。更に、時間比較結果が「T(n)≦t(n)」の場合には、第2情報(背景地図情報)がダウンロードされないことにより、地図データのダウンロードの無駄が排除される。従って、地図データのダウンロードの無駄を排除して、ユーザへの適切な経路案内を行う地図記録装置40を提供できる。加えて、時間比較結果が「T(n)>t(n)」場合には、第2情報(背景地図情報)がダウンロードされても、第2情報(背景地図情報)は経路案内に必要なため無駄にはならない。従って、第2情報(背景地図情報)のダウンロード後に所定区間Z(n)の経路案内に使用できるので、詳細な経路案内ができる。
【実施例2】
【0095】
実施例2は、出発地基準として、出発地から連続して区間地図データをダウンロードする例である。
【0096】
実施例2における地図データのダウンロード方法及び地図記録装置は、実施例1と同様に適用したものである。実施例2の全体システム構成は、実施例1と同様であるから説明を省略する。
【0097】
図11に基づいて、実施例2のナビゲーション制御ユニットの要部構成を説明する。
【0098】
ナビゲーション制御ユニット4’は、出発地基準として、出発地から連続して、最新地図データ(サーバ地図データ)のうち区間地図データの「案内情報」と「背景地図情報」をダウンロードする。他の説明は、実施例1のナビゲーション制御ユニット4の説明と同様であるので省略する。
【0099】
ナビゲーション制御ユニット4’は、地図記録装置40’と、表示経路生成部4eと、新旧比較部4f’と、出力部4gと、を有する。地図記録装置40’は、時間予測部4a’と、時間比較部4b’と、第1ダウンロード部4c’と、第2ダウンロード部4d’と、を有する。なお、表示経路生成部4eと出力部4gは、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0100】
時間予測部4a’には、自車位置情報や車速情報や渋滞情報等が入力される。時間予測部4a’は、案内箇所P(n)ごとに分けた所定区間Z(n)の区間地図データをダウンロードするとき、自車位置が出発地のとき又は一つ前の所定区間Z(n-1)のダウンロードの終了後、移動合計所要時間T’(n)とダウンロード合計所要時間t’(n)を予測する。移動合計所要時間T’(n)は、出発地から、所定区間Z(n)の次の案内箇所P(n+1)まで、の移動に自車が要する時間である。移動合計所要時間T’(n)を予測する際、実施例1と同様に、自車の車速等を考慮する。なお、案内箇所P(n)又は次の案内箇所P(n+1)がノード群の場合、実施例1と同様に、自車の進行方向の手前位置のノードを始点又は終点とする。ダウンロード合計所要時間t’(n)は、出発地から連続するダウンロード時間に要した時間と、所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロードに要する時間(ダウンロード所要時間t(n))と、の合計時間である。ダウンロード合計所要時間t’(n)を予測する際、実施例1と同様に通信速度等を考慮する。時間予測部4a’は、予測した移動合計所要時間T’(n)とダウンロード合計所要時間t’(n)を時間比較部4b’に出力する。なお、時間予測部4a’は、移動所要時間T(n)を移動合計所要時間T’(n)として予測し、ダウンロード所要時間t(n)をダウンロード合計所要時間t’(n)として予測する。
【0101】
ここで、例えば、
図11に示すように、第1区間地図データをダウンロードするときは、実施例1と同様になるので説明を省略する。次に、第1区間Z1にて第1区間地図データのうち第1案内情報のみをダウンロードし、第2区間Z2の第2案内情報又は第2区間地図データをダウンロードするとき、第2移動合計所要時間T2’と第2ダウンロード合計所要時間t2’を予測する。第2区間Z2は、第1案内箇所P1から次の第2案内箇所P2までの区間である。まず、第2移動合計所要時間T2’は、出発地から次の第2案内箇所P2までの移動に自車が要する時間となる。即ち、第2移動合計所要時間T2’は、第1移動所要時間T1(=第1移動合計所要時間T1’)と、第2区間Z2の移動に要する第2移動所要時間T2と、の合計時間となる。次に、第2ダウンロード合計所要時間t2’は、出発地である初期案内箇所P0から連続するダウンロード時間に要した時間t13と、第2区間Z2の第2区間地図データのダウンロードに要する第2ダウンロード所要時間t2と、の合計時間となる。
【0102】
時間比較部4b’には、移動合計所要時間T’(n)とダウンロード合計所要時間t’(n)が入力される。時間比較部4b’は、移動合計所要時間T’(n)とダウンロード合計所要時間t’を比較して、移動合計所要時間T’(n)がダウンロード合計所要時間t’(n)以下(T’(n)≦t’(n))であるか否かを判断する。例えば、
図11に示すように、第2ダウンロード合計所要時間t2’が時間t21’(=t13+時間t21)のとき、時間比較部4b’は、第2移動合計所要時間T2’が時間t21’以下(T2’≦t21’)であると判断する。一方、第2ダウンロード合計所要時間t2’が時間t22’(=t13+t22)のとき、時間比較部4b’は、第2移動合計所要時間T2’が時間t22’よりも長い(T2’>t22’)と判断する。時間比較部4b’は、時間比較結果を、第1ダウンロード部4c’と第2ダウンロード部4d’と新旧比較部4f’に出力する。
【0103】
第1ダウンロード部4c’には、時間比較結果が入力される。第1ダウンロード部4c’は、時間比較結果が入力されると該結果に関わらず、通信により、所定区間Z(n)の区間地図データのうち次の案内箇所P(n+1)の案内情報を経路生成部103からダウンロードする。案内情報のダウンロードは、実施例1と異なり、案内箇所P(n)に自車が到着する前であっても開始される。即ち、案内情報のダウンロードは、出発地基準として、出発地から、連続して案内情報又は区間地図データのダウンロードが行われる。例えば、
図11に示すように「T1’≦t1’」のとき、通信により第1案内情報のダウンロードが終了すると、連続して、通信により第2案内情報を経路生成部103からダウンロードする。なお、第2案内情報は、第2区間地図データのうち次の第2案内箇所P2の案内情報である。第1ダウンロード部4c’は、「T’(n)>t’(n)」の場合、ダウンロードが終了すると、ダウンロード終了信号を第2ダウンロード部4d’に出力する。
【0104】
第2ダウンロード部4d’には、時間比較結果とダウンロード終了信号が入力される。第2ダウンロード部4d’は、時間比較結果が「T’(n)≦t’(n)」の場合、所定区間Z(n)の区間地図データの背景地図情報をダウンロードしない。例えば、
図11に示すように、第2ダウンロード部4d’は、時間比較結果が「T2’≦t21’」の場合、第2背景地図情報をダウンロードしない。一方、第2ダウンロード部4d’は、時間比較結果が「T(n)>t(n)」の場合、ダウンロード終了信号の入力後すなわち案内情報のダウンロード終了後に、通信により、所定区間Z(n)の区間地図データのうち背景地図情報を経路生成部103からダウンロードする。例えば、
図11に示すように、第2ダウンロード部4d’は、時間比較結果が「T2’>t22’」の場合、第2案内情報のダウンロード終了後に、通信により、第2区間Z2の第2区間地図データのうち第2背景地図情報を経路生成部103からダウンロードする。
【0105】
新旧比較部4f’には、時間比較結果が入力される。新旧比較部4f’は、時間比較結果が「T’(n)≦t’(n)」のとき、外部サーバ100との通信によりダウンロードしたノード情報と、地図データ格納部3から読み込んだ案内情報に対応する格納地図データと、の地図データバージョンの新旧情報を比較する。なお、新旧比較部4f’は、時間比較結果が「T’(n)>t’(n)」の場合、地図データバージョンの新旧情報を比較しない。他の説明は、実施例1の新旧比較部4fの説明と同様であるので省略する。
【0106】
次に、実施例2の作用を説明する。実施例2の作用は、実施例1と同様に、「外部サーバ処理作用」と「経路案内処理作用」と「新旧報知処理作用」を示す。
【0107】
更に、
図12に基づいて、実施例2の「ダウンロード処理作用」を説明する。
図12の処理は、ナビゲーション制御ユニット4’と、時間予測部4a’と、時間比較部4b’と、第1ダウンロード部4c’と、第2ダウンロード部4d’と、により実行される。ナビゲーション制御ユニット4’により、通信によって、走行案内経路の出発地から目的地までの間の「ノード情報及びリンク情報」が経路生成部103からダウンロードされ、自車位置が出発地であると、スタートする。
【0108】
スタートすると、S41’、S43’及びS45’の順に進む。まず、時間予測部4a’により、出発地から、所定区間Z(n)の次の案内箇所P(n+1)まで、の移動合計所要時間T’(n)が算出によって予測される(S41’)。S41’では、移動合計所要時間T’(n)を予測する際、自車の車速等が考慮される。このため、移動合計所要時間T’(n)が予測される際、複数の情報を考慮した方が、車速と所定区間Z(n)の距離のみを考慮するよりも、精度良く移動合計所要時間T’(n)を予測できる。
【0109】
次に、時間予測部4a’により、出発地から連続するダウンロード時間に要した時間と、所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロードに要する時間(ダウンロード所要時間t(n))と、のダウンロード合計所要時間t’(n)が算出によって予測される(S43’)。続いて、時間比較部4b’により、移動合計所要時間T’(n)がダウンロード合計所要時間t’(n)以下であるか否かが判断される(S45’)。
【0110】
S45’の判断が肯定されると、S47’及びS49’の順に進む。一方、S45’の判断が否定されると、S51’及びS53’の順に進む。S53’の判断が肯定されると、S55’及びS57’に進む。更に、S53’の判断が肯定されると、第1ダウンロード部4c’により、ダウンロード終了信号が第2ダウンロード部4d’へ出力される。実施例2のS47’からS57’までのそれぞれの他の説明は、実施例1のS45からS57までのそれぞれの説明と同様であるので省略する。
【0111】
S51’、S53’、S55’及びS57’の順に進むことにより、案内情報のダウンロード終了後に、背景地図情報がダウンロードされる。このため、実施例1と同様に、確実に経路案内に必要な案内情報のダウンロードを、次の案内箇所P(n+1)までに間に合わせることができる。
【0112】
そして、ナビゲーション制御ユニット4’により、次の案内箇所P(n+1)が目的地か否かが判断される(S61’)。S61’の他の説明は、実施例1のS61と同様であるので説明を省略する。
【0113】
S61’の判断が否定されると、S65’に進む。そして、ナビゲーション制御ユニット4’により、現在の所定区間Z(n)と、現在の所定区間Z(n)の始点を示す案内箇所P(n)と、終点を示す次の案内箇所P(n+1)と、が更新される(S65’)。S65’の処理が済むと、S41’に戻り、S41’からS65’の流れが繰り返される。そして、S61’の判断が肯定されると、エンドに進む。他のS65’の他の説明は、実施例1のS65の説明と同様であるので省略する。
【0114】
続いて、
図13に基づいて、
図12のフローチャートのダウンロード動作を説明する。
【0115】
まず、自車位置が出発地としての初期案内箇所P0なので、第1案内箇所P1の第1案内情報、又は、初期案内箇所P0から次の第1案内箇所P1までの第1区間Z1の第1区間地図データがダウンロードされる。このとき、第1移動合計所要時間T1’と第1ダウンロード合計所要時間t1’が予測される。ここで、自車位置が初期案内箇所P0のときは、第1移動合計所要時間T1’は第1移動所要時間T1であり、第1ダウンロード合計所要時間t1’は、第1ダウンロード所要時間t1である。そして、第1移動合計所要時間T1’が第1ダウンロード合計所要時間t1’以下であると判断されるので、第1区間地図データのうち第1案内情報のみのダウンロードが実行される。このため、第1区間地図データのうち第1背景地図情報のダウンロードは実行されない。
【0116】
次に、第1案内情報のダウンロードが終了すると、第1区間Z1と初期案内箇所P0と第1案内箇所P1が、第2区間Z2と第1案内箇所P1と第2案内箇所P2に、それぞれ更新される。そして、自車位置が第1案内箇所P1に到着する前であって、第1案内情報のダウンロードが終了すると、第2案内箇所P2の第2案内情報、又は、第1案内箇所P1から次の第2案内箇所P2までの第2区間Z2の第2区間地図データがダウンロードされる。このとき、第2移動合計所要時間T2’と第2ダウンロード合計所要時間t2’が予測される。第2移動合計所要時間T2’は、初期案内箇所P0から次の第2案内箇所P2までの移動に要する時間なので、第1移動合計所要時間T1’と第2移動所要時間T2の合計時間になる。第2ダウンロード合計所要時間t2’は、出発地から連続するダウンロード時間に要した時間すなわち時間t13と、第2区間地図データの第2ダウンロード所要時間t2と、の合計時間になる。ここで、第2移動合計所要時間T2’が第2ダウンロード合計所要時間t2’よりも長いと判断されるので、第2区間地図データのダウンロードが実行される。第2区間地図データのダウンロードのとき、第2案内情報のダウンロード終了後に、第2背景地図情報がダウンロードされる。
【0117】
続いて、第2背景地図情報のダウンロードが終了すると、第2区間Z2と第1案内箇所P1と第2案内箇所P2が、第3区間Z3と第2案内箇所P2と第3案内箇所P3に、それぞれ更新される。そして、自車位置が第2案内箇所P2に到着する前であって、第2背景地図情報のダウンロードが終了すると、第3案内箇所P3の第3案内情報、又は、第2案内箇所P2から次の第3案内箇所P3までの第3区間Z3の第3区間地図データがダウンロードされる。このとき、第3移動合計所要時間T3’と第3ダウンロード合計所要時間t3’が予測される。第3移動合計所要時間T3’は、初期案内箇所P0から次の第3案内箇所P3までの移動に要する時間なので、第2移動合計所要時間T2’と第3移動所要時間T3の合計時間になる。第3ダウンロード合計所要時間t3’は、出発地から連続するダウンロード時間に要した時間すなわち第2ダウンロード合計所要時間t2’と、第3区間地図データの第3ダウンロード所要時間t3と、の合計時間になる。ここで、第3移動合計所要時間T3’が第3ダウンロード合計所要時間t3’よりも長いと判断されるので、第3区間地図データのダウンロードが実行される。第3区間地図データのダウンロードのとき、第3案内情報のダウンロード終了後に、第3背景地図情報がダウンロードされる。
【0118】
そして、第3背景地図情報のダウンロードが終了すると、これに連続して、次の案内箇所P(n+1)の案内情報、又は、所定区間Z(n)の区間地図データがダウンロードされる。この連続してダウンロードされるとき、前述した通り、移動合計所要時間T’(n)とダウンロード合計所要時間t’(n)が予測される。移動合計所要時間T’(n)は、初期案内箇所P0から次の案内箇所P(n+1)までの移動に要する時間なので、一つ前の移動合計所要時間T’(n-1)と移動所要時間T(n)の合計時間になる。ダウンロード合計所要時間t’(n)は、出発地から連続するダウンロード時間に要した時間すなわち一つ前のダウンロード合計所要時間t’(n-1)と、所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロード所要時間t(n)と、の合計時間になる。ここで、予測した移動合計所要時間T’(n)とダウンロード合計所要時間t’(n)が比較され、時間比較結果により次の案内箇所P(n+1)の案内情報、又は、所定区間Z(n)の区間地図データがダウンロードされる。どちらかのダウンロード後に、次の案内箇所P(n+1)が目的地であると判断されると、
図12のフローチャートが終了される。
【0119】
このように、時間比較結果に関わらず、案内情報はダウンロードされるので、背景地図情報のダウンロードの実施有無に関係なく、次の案内箇所P(n+1)においてユーザへの適切な経路案内が行われる。加えて、案内情報のデータ容量は、背景地図情報のデータ容量よりも小さいので、移動合計所要時間T’(n)内に、確実に案内情報をダウンロードすることができる。
【0120】
そして、時間比較結果が「T’(n)≦t’(n)」の場合には、背景地図情報のダウンロードは実施されない。例えば、
図13において、第1背景地図情報がダウンロードされても、このダウンロードの終了は、自車が第1区間Z1の通過後である。そうすると、第1背景地図情報がダウンロードされても、第1背景地図情報は経路案内に不要なため無駄になってしまう。加えて、不要なタイミングで第1背景地図情報のダウンロードが終了する。なお、第1背景地図情報のダウンロードに費用がかかる場合には、余計な費用がかかってしまう。これに対し、実施例2では、時間比較結果に応じて、背景地図情報のダウンロードの実施有無が判断される。即ち、時間比較結果が「T’(n)≦t’(n)」の場合には、背景地図情報のダウンロードが実行されないので、区間地図データのうち背景地図情報のダウンロードの無駄が排除される。この場合でも、案内情報はダウンロードされるので、ユーザへの適切な経路案内が行われる。従って、背景地図情報のダウンロードの無駄が排除され、ユーザへの適切な経路案内が行われる。
【0121】
一方、時間比較結果が「T’(n)>t’(n)」の場合には、背景地図情報のダウンロードが実施される。例えば、
図13において、第2背景地図情報がダウンロードされると、このダウンロードの終了は、自車が第2区間Z2の通過前である。そうすると、第2背景地図情報がダウンロードされても、第2背景地図情報は経路案内に必要なため無駄にはならない。これにより、背景地図情報のダウンロード後に必要なタイミングで第2区間Z2の経路案内に使用できるので、詳細な経路案内ができる。なお、外部地図データを一括でダウンロードしないので、外部地図データのダウンロード終了を待たなくても、最新の背景地図情報で経路案内ができる。
【0122】
更に、時間比較結果によりダウンロードする情報を選別することにより、経路案内の品質を維持しながら、ダウンロードの無駄を排除し、最新地図データに基づく経路案内を可能にする。
【0123】
更にまた、移動合計所要時間T’(n)とダウンロード合計所要時間t’(n)が予測され、二つの合計時間を比較することにより、出発地基準として、出発地から連続して、案内情報又は所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロードが制御される。例えば、
図13に示すように「T1’≦t1’」のとき、第1案内情報がダウンロードされた後、これに連続して、第2区間地図データがダウンロードされる。更に、第2区間地図データがダウンロードされた後、これに連続して、第3区間地図データがダウンロードされる。このように、出発地から連続して案内情報又は所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロードが制御される。このため、時間を有効に使用することによりダウンロードの中断時間が無くなるので、所定区間Z(n)の区間地図データのうち案内情報に加え背景地図情報もダウンロードできる可能性が高まる。加えて、自車の進行方向の先の区間地図データのダウンロードを可能にする。
【0124】
次に、効果を説明する。実施例2の地図データのダウンロード方法及び地図記録装置にあっては、実施例1の(1)~(3)及び(5)~(8)に記載した効果が得られる。また、実施例2の地図データのダウンロード方法にあっては、下記(9)の効果を得ることができる。
【0125】
(9)ユーザコントローラ(ナビゲーション制御ユニット4’)は、以下のことを行う。移動所要時間T(n)を、出発地から、所定区間Z(n)の次の案内箇所P(n+1)まで、の移動に要する移動合計所要時間T’(n)として予測する(S41’)。ダウンロード所要時間t(n)を、出発地から連続するダウンロード時間に要した時間と、所定区間Z(n)の区間地図データのダウンロードに要する時間と、のダウンロード合計所要時間t’(n)として予測する(S43’)。移動合計所要時間T’(n)とダウンロード合計所要時間t’(n)を比較する(S45’)。出発地基準として、出発地から連続して第1情報(案内情報)又は区間地図データをダウンロードする(S47’及びS49’とS51’、S53’、S55’及びS57’)。
【0126】
このように、出発地基準として、出発地から連続して第1情報(案内情報)又は区間地図データがダウンロードされることにより、ダウンロードの中断時間が無くなる。従って、所定区間Z(n)の区間地図データのうち第1情報(案内情報)に加え第2情報(背景地図情報)もダウンロードできる可能性を高めることができる。
【0127】
以上、本開示の地図データのダウンロード方法及び地図記録装置を実施例1と実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0128】
実施例1と実施例2では、経路生成部103は、通信により、ノード情報及びリンク情報を出発地から目的地までの一括でナビゲーション制御ユニット4,4’へ送信する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、次の所定区間の始点を示す案内箇所に自車が到着する前に、次の区間のノード情報及びリンク情報を送信しても良い。要するに、自車が所定地点に達する前に、これから自車が走行するノード情報及びリンク情報を送信すれば良い。
【0129】
実施例1と実施例2では、オンラインのとき、ナビゲーション制御ユニット4,4’から外部サーバ100へ自車位置情報と目的地情報を送信し、外部サーバ100の経路生成部103にて走行案内経路を生成する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、オンラインのときであっても、まず、ナビゲーション制御ユニットが走行案内経路を生成する。次に、ナビゲーション制御ユニットから外部サーバへ自車位置情報と目的地情報に加え、走行案内経路を送信しても良い。続いて、外部サーバでは、走行案内経路に基づく外部地図データを走行案内経路における案内箇所P(n)ごとに区間を分けた各区間の区間地図データを、「案内情報」と「背景地図情報」の二つに分けて送信しても良い。
【0130】
実施例1と実施例2では、時間比較結果により案内情報と背景地図情報との両方をダウンロードするとき、案内情報のダウンロード終了後に、背景地図情報をダウンロードする例を示した。しかし、これに限られない。例えば、案内情報と、背景地図情報と、のダウンロードを同時に開始しても良い。同時に開始しても、案内情報の方が、背景地図情報よりもデータ量が小さいので、先にダウンロードが終了する。
【0131】
実施例1と実施例2では、第1情報を案内情報とし、第2情報を背景地図情報とする例を示した。しかし、これに限られない。要するに、第1情報として、案内情報に加え、他の情報を含めても良く、その結果、第2情報よりもデータ量が小さい第1情報となっていれば良い。
【0132】
実施例1と実施例2では、区間地図データを案内情報と背景地図情報の二つに分けてダウンロードする例を示した。しかし、これに限られない。例えば、区間地図データを三つに分けても良い。背景地図情報に含まれる道路情報・地形情報・施設情報のうち、道路情報及び地形情報と施設情報とに分け、施設情報を最後にダウンロードしても良い。
【0133】
実施例1では、自車が次の案内箇所P(n+1)に到着すると、移動所要時間T(n)とダウンロード所要時間t(n)の予測と、二つの所要時間の比較判断を行う例を示した。実施例2では、案内情報又は区間地図データのダウンロード終了後に、移動合計所要時間T’(n)とダウンロード合計所要時間t’(n)の予測と、二つの合計所要時間の比較判断を行う例を示した。しかし、これに限られない。例えば、二つの(合計)所要時間の予測と比較判断を行った後であって、案内情報又は区間地図データのダウンロードが終了する前に、別の処理にて次の区間の二つの所要時間の予測と比較判断を行っても良い。実施例1においては、案内情報又は区間地図データのダウンロード終了後であって、自車が次の案内箇所P(n+1)に到着する前に、別の処理にて次の区間の二つの所要時間の予測と比較判断を行っても良い。
【0134】
実施例1では、新旧比較部4fは、時間比較結果が「T(n)>t(n)」の場合、地図データバージョンの新旧情報を比較しない例を示した。実施例2では、新旧比較部4f’は、時間比較結果が「T’(n)>t’(n)」の場合、地図データバージョンの新旧情報を比較しない例を示した。しかし、これに限られない。例えば、時間比較結果により案内情報と背景地図情報との両方をダウンロードするとき、その背景地図情報のダウンロードが終了するまでの間、新旧比較を行っても良い。これにより、地図データバージョンが一致しない場合には、出力部は案内経路情報と共に旧表示を報知デバイスに出力しても良い。
【0135】
実施例1と実施例2では、地図データバージョンが一致しない場合に、旧情報を表示する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、地図データバージョンが一致しない場合であって、経路案内における交差点拡大表示時又はずれ表示時のみに限って、旧情報を表示しても良い。ここで、「交差点拡大表示時」とは、自車が右折又は左折する交差点の時を示す。「ずれ表示時」とは、ダウンロードしたノード情報と、格納地図データから読み込んだ背景地図情報とがずれている時を示す。特に、自車が曲がる交差点の交差点拡大表示時に旧情報を表示することにより、ユーザはその交差点を誤認しないように気を付ける。このため、経路案内における自車が曲がる交差点拡大表示時、ユーザに対してより注意喚起できる。更に、ずれ表示時に旧情報を表示することにより、経路案内におけるずれ表示時、経路案内に対するユーザの混乱を抑制できる。
【0136】
実施例1と実施例2では、旧情報の表示として、左上に「古」を四角で囲ったアイコンを表示する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、「古」ではなく「旧」と表示しても良いし、表示位置も左上ではなく右上としても良い。更に、アイコンは、文字を四角で囲ったものではなく、旧情報の表示であることがわかる絵のアイコンでも良い。更にまた、アイコンではなく、経路案内の矢印の色を変更しても良い。例えば、旧情報の表示無しの経路案内時の矢印が緑色の場合には、旧情報の表示有りの経路案内時の矢印を赤色に変更する。要するに、旧情報の表示として、経路案内中、地図データの新旧情報を、ユーザが認識できる表示とすれば良い。
【0137】
実施例1と実施例2では、報知デバイスに含まれるHMIデバイス6の表示により経路案内等を報知する例を示した。しかし、これに限られない。例えば、報知デバイスに含まれるHMIデバイスによる音声により経路案内等を報知しても良いし、HMIデバイスの表示と音声との両方により経路案内等を報知しても良い。要するに、経路案内等を報知できれば良い。
【0138】
実施例1と実施例2では、データ入力手段をタッチパネル5とする例を示した。しかし、これに限られない。例えば、データ入力手段を、スイッチ、リモコン又はスマートフォン等の携帯端末等としても良い。そして、ユーザは、スイッチやリモコンを操作することで、又は、ブルートゥース(登録商標)等により接続したスマートフォン等の携帯端末を遠隔操作することで、ナビゲーション制御ユニットに対して自車の目的地等を入力する。要するに、ユーザがデータ入力手段を操作することで、ナビゲーション制御ユニットに対して自車の目的地等を入力できれば良い。
【0139】
実施例1と実施例2では、本開示の地図データのダウンロード方法及び地図記録装置を、車両に搭載されたカーナビゲーションシステムに適用する例を示した。しかし、本開示の地図データのダウンロード方法及び地図記録装置は、スマートフォン等の携帯端末に搭載されたナビゲーションシステムに適用しても良い。
【符号の説明】
【0140】
1 ナビゲーション装置
2 車載センサ
24 車載データ通信器
3 地図データ格納部(メモリ)
4、4’ ナビゲーション制御ユニット(ユーザコントローラ)
40、40’ 地図記録装置
4a、4a’ 時間予測部
4b、4b’ 時間比較部
4c、4c’ 第1ダウンロード部
4d、4d’ 第2ダウンロード部
4e 表示経路生成部
4f、4f’ 新旧比較部
4g 出力部
6 HMIデバイス(報知デバイス、表示デバイス)
100 外部サーバ
101 外部データ通信器
102 最新地図データ格納部
103 経路生成部
P(n) 案内箇所
P(n+1) 次の案内箇所
T(n) 移動所要時間
t(n) ダウンロード所要時間
T’(n) 移動合計所要時間
t’(n) ダウンロード合計所要時間
Z(n) 所定区間