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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】溢水抑制具及び排水管構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
E03C1/12 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018191074
(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公開番号】P2020060016
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 洋介
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-213751(JP,A)
【文献】特開2009-275408(JP,A)
【文献】特開2010-031594(JP,A)
【文献】特開2015-098702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管に接続可能な筒状の周壁と、
前記周壁の内部を、当該周壁の周方向に沿って遮蔽している遮蔽部と、
を備え
前記遮蔽部は、前記周壁の内部を、環状に遮蔽している、環状の遮蔽部であり、前記遮蔽部の内周側に形成された開口部を、前記周壁の内部の上部側で間隔を置いて遮蔽している、他の遮蔽部と、
前記他の遮蔽部の周りに他の開口部を形成するように、前記他の遮蔽部を前記周壁に固定する固定片と、
を備える、溢水抑制具。
【請求項2】
前記溢水抑制具を、当該溢水抑制具の中心軸の延在方向から視たとき、前記周壁の内部構造が前記軸を中心に対称な構造である、請求項に記載の、溢水抑制具。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記溢水抑制具の中心軸に向かうに従って下部側に向かう湾曲形状部を有している、請求項1又は2に記載の、溢水抑制具。
【請求項4】
前記他の遮蔽部は、前記溢水抑制具の中心軸に向かうに従って上部側に凸の湾曲形状部を有している、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の、溢水抑制具。
【請求項5】
前記遮蔽部と、前記他の遮蔽部とが、下部側から上部側に向かって交互に、合計で3つ以上繰り返し配列されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の、溢水抑制具。
【請求項6】
排水管と、
通気弁と、
前記排水管と、前記通気弁との間に配置された筒状の周壁と、
前記周壁の内部を、当該周壁の周方向に沿って遮蔽している遮蔽部と、
前記遮蔽部に形成された開口部を、前記周壁の内部の上部側で間隔を置いて遮蔽している、他の遮蔽部と、
前記他の遮蔽部の周りに他の開口部を形成するように、前記他の遮蔽部を前記周壁に固定する固定片と、
を備える、排水管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溢水抑制具及び排水管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排水管構造としては、排水トラップの通気口に通気弁を螺合させたサイホン排水システムがある(例えば、特許文献1参照。)。前記通気弁は、逆止弁を備えている。従って、特許文献1に記載のサイホン排水システムによれば、前記排水管の内部に負圧が発生したときは前記逆止弁が開くことで当該排水管内に空気を流入させる。これにより、前記排水管内に過度に負圧が生じることを防止することができる。その一方、前記排水管の内部に正圧が発生したときは前記逆止弁が閉じることで当該排水管内から空気又は排水等が外部に流出することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-98702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来の排水管構造であっても、前記排水管に多量の排水が流れた場合、当該排水が前記通気弁を通して溢れることがあった。
【0005】
本発明の目的は、排水管からの溢水を抑制することができる溢水抑制具、及び、排水管からの溢水が抑制された排水管構造を、提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、溢水抑制具は、排水管に接続可能な筒状の周壁と、前記周壁の内部を、当該周壁の周方向に沿って遮蔽している遮蔽部と、を備える。本発明に係る、溢水抑制具によれば、排水管からの溢水を抑制することができる。
【0007】
本発明に係る、溢水抑制具では、前記遮蔽部は、前記周壁の内部を環状に遮蔽している、環状の遮蔽部であり、前記遮蔽部の内周側に形成された開口部を、前記周壁の内部の上部側で間隔を置いて遮蔽している、他の遮蔽部と、前記他の遮蔽部の周りに他の開口部を形成するように、前記他の遮蔽部を前記周壁に固定する固定片と、を備えることが好ましい。この場合、排水管からの溢水を更に抑制することができる。
【0008】
本発明に係る、溢水抑制具は、前記溢水抑制具を、当該溢水抑制具の中心軸の延在方向から視たとき、前記周壁の内部構造が前記軸を中心に対称な構造であることが好ましい。この場合、簡易な作業で接続可能な溢水抑制具となる。
【0009】
本発明に係る、溢水抑制具では、前記遮蔽部は、前記溢水抑制具の中心軸に向かうに従って下部側に向かう湾曲形状部を有していることが好ましい。この場合、排水管からの溢水を更に抑制することができる。
【0010】
本発明に係る、溢水抑制具では、前記他の遮蔽部は、前記溢水抑制具の中心軸に向かうに従って上部側に凸の湾曲形状部を有していることが好ましい。この場合、排水管からの溢水を更に抑制することができる。
【0011】
本発明に係る、溢水抑制具では、前記遮蔽部と、前記他の遮蔽部とが、下部側から上部側に向かって交互に、合計で3つ以上繰り返し配列されていることが好ましい。この場合、排水管からの溢水を更に抑制することができる。
【0012】
本発明に係る、排水管構造は、排水管と、通気弁と、前記排水管と前記通気弁との間に配置された筒状の周壁と、前記周壁の内部を、当該周壁の周方向に沿って遮蔽している遮蔽部と、前記遮蔽部に形成された開口部を、前記周壁の内部の上部側で間隔を置いて遮蔽している、他の遮蔽部と、前記他の遮蔽部の周りに他の開口部を形成するように、前記他の遮蔽部を前記周壁に固定する固定片と、を備える。本発明に係る、排水管構造によれば、排水管からの溢水が抑制された排水管構造となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、排水管からの溢水を抑制することができる溢水抑制具、及び、排水管からの溢水が抑制された排水管構造を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る溢水抑制具を適用可能な、サイホン排水システムを概略的に示すシステム図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る溢水抑制具を示す側面図である。
図3図2の溢水抑制具を示す底面図である。
図4図2の溢水抑制具を示す平面図である。
図5図2のA-A断面図である。
図6図2の溢水抑制具を構成する周壁を、図2のA-A断面相当で示す断面図である。
図7図6の周壁を示す底面図である。
図8図6の周壁を示す平面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る溢水抑制具を示す斜視側面図である。
図10図9の溢水抑制具を、図2のA-A断面相当で示す斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、溢水抑制具及び排水管構造について説明をする。なお、以下の説明において、「上流」及び「下流」とは、排水・空気等の流体の流れを規定し、「上部」及び「下部」とは、高さを規定する。また、「周方向」とは、溢水抑制具の中心軸O1の周りの方向をいう。
【0016】
図1中、符号100は、本発明の第1実施形態に係る、通気弁接続具1Aを適用可能な、サイホン排水システムである。図1に例示するサイホン排水システム100は、水回り機器110、接続管120、トラップ130、通気弁140、直管150、横引き管160、竪管170、および、合流継手180を介して接続される立て管190により構成されている。図1のサイホン排水システム100では、排水管は、接続管120、トラップ130、直管150、横引き管160、竪管170で構成されている。図1に示す例での水回り機器110は、台所流しである。また、水回り機器110の排水口にはディスポーザー111が設けられている。なお、水回り機器110は、排水を行うものであれば特に種類は限定されない。水回り機器110は、食洗機、洗面台、洗濯機、ユニットバス等の風呂に備えられる浴槽及び洗い場、トイレ等とすることができる。
【0017】
具体的には、住居内において、水回り機器110は、床パネル210上に配置されている。この例では、水回り機器110には、接続管120を介してトラップ130が接続されている。この例では、トラップ130は、S字の排水トラップである。トラップ130は、流路が上流側から下流側に向かって下降する第1下降部131と、流路が上流側から下流側に向かって上向きに折り返す第1折り返し部132と、流路が下流側から上流側に向かって上昇する上昇部133と、流路が上流側から下流側に向かって下向きに折り返す第2折り返し部134と、流路が上流側から下流側に向かって下降する第2下降部135と、を有している。この例では、第1下降部131、第1折り返し部132、上昇部133、第2折り返し部134及び第2下降部135は、一体に形成されている。また、この例では、第2下降部135は、直管150と一体に形成されている。
【0018】
直管150は、流路が上流側から下流側に向かって下降し、床パネル210下で床スラブ220付近まで排水を導く。横引き管160は、直管150の下流側に接続され、水平方向に延びている。また、横引き管160は、従来の勾配排水に用いられている配管よりも細い管からなり、また略水平(略無勾配)に設置されている。竪管170は、横引き管160の下流側に接続され、流路が上流側から下流側に向かって下降している。また、この例では、竪管170は、床スラブ220の配管用穴230を貫通している。更に、この例では、竪管170は、立て管190の下流側に合流継手180を介して接続されている。
【0019】
立て管190は、横引き管160及び竪管170よりも大径の管体であって、建築物を上下に貫通して設けられている。立て管190は、水回り機器110からの排水流路と接続されているが、図示しない他の水回り機器からの排水流路とも接続され、下流側において図示しない浄化槽と接続している。
【0020】
図1のサイホン排水システム100は、後述する、本実施形態に係る、排水管構造Aと、サイホン排水管200とを有している。サイホン排水管200は、少なくとも、トラップ130の第1折り返し部132の貯留部132aの下流側に設けられた配管である。図1の例では、サイホン排水管200は、接続管120、トラップ130、直管150、横引き管160及び竪管170により構成されている。このようなサイホン排水システム100では、満水になった状態で、当該排水が横引き管160から竪管170に流出し、当該排水を下方へ流下させることによりサイホン力を発生させることができる。発生したサイホン力により引っ張られることで横引き管160の排水が行われる。
【0021】
図1に示すように、この例では、トラップ130において、第1折り返し部132は、排水が溜まり得る貯留部132aを備えたトラップを形成している。トラップ130のようなS字の排水トラップでは、通常、第1折り返し部132の貯留部132aにおいて封水が十分に溜まった状態になっている。即ち、第1折り返し部132の貯留部132aでは、上流側と下流側との空間(流路)が封水を介して遮断されている。これにより、例えば、トラップ130の下流側からの臭気や害虫等の侵入を防ぐことができる。
【0022】
また、図1のサイホン排水システム100では、通気弁140は、逆止弁であって、トラップ130の貯留部132aの下流側に設けられている。この例では、通気弁140は、後述する、本実施形態に係る通気弁接続具1Aを介して、第2折り返し部134の上部に接続されている。これにより、図1のサイホン排水システム100では、サイホン排水管200の内部にサイホン力(負圧)が生じたときは、通気弁140が開くことで、空気が通気弁140を通じてトラップ130に取り入れられる。これにより、サイホン排水管200の内部に大きな負圧が生じても、通気弁140から空気を取り込むことができるので、第1折り返し部132の貯留部132aにおける封水が下流側(ここでは、上昇部133側)へ引き込まれていくことがない。従って、通気弁140を設ければ、封水切れ(破封)が生じることを防ぐことができる(封水状態を維持することができる)。その一方、サイホン排水管200、ひいては、通気弁140が負圧になっていないときは、当該通気弁140を通して通気が行われないので、当該サイホン排水管200内から空気又は排水等が外部に流出することを防止することができる。
【0023】
しかしながら、この例のように、通気弁140をサイホン排水管200に設けても、当該通気弁140をトラップ130の上部に対して直結させた場合には、多量の排水が流れると、当該排水が通気弁140に入り込むことがあった。特に、排水に勢いがある場合、当該排水が通気弁140から溢れることがあった。
【0024】
そこで、図1のサイホン排水システム100では、サイホン排水管200と、通気弁140とが、本実施形態に係る溢水抑制具1Aを介して接続されている。
【0025】
図2は、本実施形態に係る溢水抑制具1Aの側面図である。また、図3は、溢水抑制具1Aの底面図である。更に、図4は、溢水抑制具1Aの平面図である。図2図4に示すように、本実施形態に係る溢水抑制具1Aは、円筒状の接続具である。図中、符号O1は、溢水抑制具1Aの中心軸である。
【0026】
更に、図5は、溢水抑制具1Aの断面図である。図5に示すように、溢水抑制具1Aは、排水管に接続可能な筒状の周壁10を備えている。本実施形態に係る溢水抑制具1Aは、トラップ130に接続可能な下部端部11と、通気弁140に接続可能な上部端部12とを備えた筒状の周壁10を備えている。周壁10は、本実施形態のように、円筒形であることが好ましい。但し、周壁10は、中空の壁であれば、断面形状は円形(環状形)に限定されることなく、例えば、多角形等、様々な断面形状とすることができる。
【0027】
図5に示すように、本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、下部端部11は、周壁10の内周面の一部として形作られた「めねじ」を有している。また、本実施形態では、上部端部12は、周壁10の外周面の一部として形作られた「おねじ」を有している。詳細には、周壁10は、大径部10aと、当該大径部10aに繋がる小径部10bとを備えている。本実施形態では、下部端部11は、周壁10の大径部10aの一部として形作られている。また、本実施形態では、上部端部12は、周壁10の小径部10bの一部として形作られている。本実施形態では、周壁10の中心軸O10は、通気弁接続具1Aの中心軸O1と同軸上に配置されている。
【0028】
更に、溢水抑制具1Aは、周壁10の内部を、当該周壁10の周方向に沿って遮蔽している、遮蔽部20を備えている。遮蔽部20は、周壁10の内部の、下部端部11の側に位置している。本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、遮蔽部20は、周壁10の内部を、環状に遮蔽している。
【0029】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、環状の遮蔽部(以下、単に「環状遮蔽部」ともいう。)20は、溢水抑制具1Aをトラップ130に接続したとき、当該トラップ130からの排水等が周壁10の内部に導入されることを阻止する遮蔽部として機能する。遮蔽部20に形成された開口部A2は、溢水抑制具1Aをトラップ130に接続したとき、当該トラップ130からの空気を排出するための通路として機能する。
【0030】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、遮蔽部20は、周壁10と別の部材として構成されている。本実施形態では、遮蔽部20は、周壁10の大径部10aの内周面に固定されている。また、本実施形態では、遮蔽部20の中心軸O20も、溢水抑制具1Aの中心軸O1と同軸上に配置されている。本実施形態では、図3に示すように、周壁10の中心軸O1の延在方向から視たとき、即ち、軸方向視で、遮蔽部20の外縁20e1の形状は、円形形状である。本実施形態では、遮蔽部20の外縁20e1の形状は、溢水抑制具1Aの中心軸O1を中心とした半径R2aの円である。また、開口部A2は、溢水抑制具1Aの中心軸O1を中心とした半径R2bの円である。
【0031】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、遮蔽部20は、溢水抑制具1Aの中心軸O1に向かうに従って下部側に向かう湾曲形状部を有している。
【0032】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、溢水抑制具1Aの中心軸O1を含む平面を断面とし、当該断面の垂線方向から視たとき、即ち、軸直方向断面視で、遮蔽部20は、環状部20aと、当該環状部20aの開口縁に繋がる筒状の湾曲形状部20bと、湾曲形状部20bの開口縁に繋がる筒状部20cとを有している。
【0033】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、軸直方向断面視で、遮蔽部20の下部側遮蔽面20f1は、環状部20aの下部側遮蔽面20f1aと、湾曲形状部20bの下部側遮蔽面20f1bと、筒状部20cの下部側(外周側)遮蔽面20f1cとで形成されている。本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、環状部20aの下部側遮蔽面20f1aの断面形状は、空気(排水)の流れ方向(本実施形態では、溢水抑制具1Aの中心軸O1の延在方向)に対して直交する方向(径方向)に延びる直線である。また、本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、湾曲形状部20bの下部側遮蔽面20f1bの断面形状は、中心点P20を中心とした半径R20aの曲線である。また、本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、筒状部20cの下部側遮蔽面20f1cの断面形状は、空気の流れ方向に延びる直線である。本実施形態では、中心点P20は、図5に示すように、軸直方向断面視で、環状部20aの下部側遮蔽面20f1aの(径方向)直線と筒状部20cの下部側遮蔽面20f1cの(軸方向)直線とが互いに接線になるように円を描いたときの、当該円の中心点の位置としている。
【0034】
また、本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、軸直方向断面視で、遮蔽部20の上部側遮蔽面20f2は、環状部20aの上部側遮蔽面20f2aと、湾曲形状部20bの上部側遮蔽面20f2bと、筒状部20cの上部側(内周側)遮蔽面20f2cとで形成されている。本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、環状部20aの上部側遮蔽面20f2aの断面形状は、空気の流れ方向に対して直交する方向に延びる直線である。また、本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、湾曲形状部20bの上部側遮蔽面20f2bの断面形状は、中心点P20を中心とした半径R20bの曲線である。また、本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、筒状部20cの上部側遮蔽面20f2cの断面形状は、空気の流れ方向に延びる直線である。なお、遮蔽部20は、湾曲形状部20bのみで構成することができる。
【0035】
特に、本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、遮蔽部20は、環状凸部20dを有している。本実施形態では、環状凸部20dは、環状部20aから溢水抑制具1Aの中心軸O1の周りに環状に起立している。本実施形態では、遮蔽部20は、周壁10の環状凹部10nに、例えば、圧入させることにより、周壁10に対して固定することができる。或いは、遮蔽部20は、周壁10の下部側端に対して固定することなく、周壁10とトラップ130との間で挟持することができる。
【0036】
加えて、図5に示すように、本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、遮蔽部20は、周壁10の内部を、環状に遮蔽している、環状の遮蔽部である。本実施形態では、遮蔽部20の内周側に形成された開口部A2を、周壁10の内部の上部側で間隔を置いて遮蔽している、中間遮蔽部(他の遮蔽部)30と、を備えている。中間遮蔽部30は、周壁10の内部の、遮蔽部20よりも上部に位置している。また、図7は、周壁10の底面図である。また、図8は、周壁10の平面図である。本実施形態に係る溢水抑制具1Aは、図7及び図8に示すように、中間遮蔽部30の周りに他の開口部A3を形成するように、中間遮蔽部30を周壁11に固定する固定片31と、を備えている。
【0037】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、中間遮蔽部30は、複数の固定片31を介して周壁10と一体に形成されている。図7及び図8に示すように、本実施形態では、周壁10は、固定片31として、溢水抑制具1Aの中心軸O1の周りに間隔を置いて配列された、4つの固定片31を備えている。これにより、4つの固定片31の相互間には、4つの開口部A3が形成されている。本実施形態では、固定片31は、周壁10の小径部10bの内周面の一部として形作られている。また、本実施形態では、中間遮蔽部30の中心軸O30も、溢水抑制具1Aの中心軸O1と同軸上に配置されている。本実施形態では、図7及び図8に示すように、軸方向視で、中間遮蔽部30の外縁30e1の形状は、円形形状である。図8に示すように、本実施形態では、中間遮蔽部30の外縁30e1の形状は、溢水抑制具1Aの中心軸O1を中心とした半径R3aの円である。また、図7に示すように、中間遮蔽部30の内縁30e2の形状は、溢水抑制具1Aの中心軸O1を中心とした半径R3bの円である。
【0038】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、中間遮蔽部30は、溢水抑制具1Aの中心軸O1に向かうに従って上部側に凸の湾曲形状部を有している。
【0039】
図6は、周壁10を、図2のA-A断面相当で示す断面図である。本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、中間遮蔽部30は、図6に示すように、溢水抑制具1Aの中心軸O1を含む平面を断面とし、当該断面の垂線方向から視たとき、即ち、軸直方向断面視で、ドーム状に形作られている。本実施形態では、中間遮蔽部30は、下部側から上部側に延びる筒体部30aと、当該筒体部30aの上部側端面に繋がる湾曲形状部30bとを有している。
【0040】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図6に示すように、軸直方向断面視で、中間遮蔽部30の下部側遮蔽面30f1は、筒体部30aの下部側(内周側)遮蔽面30f1aと、湾曲形状部30bの下部側遮蔽面30f1bとで形成されている。本実施形態では、筒体部30aは、固定片31の上部側端面31fから溢水抑制具1Aの中心軸O1の延在方向に長さL30だけ延びている。本実施形態では、図6に示すように、軸直方向断面視で、筒体部30aの下部側遮蔽面30f1aの断面形状は、空気の流れ方向に延びる直線である。また、本実施形態では、図6に示すように、軸直方向断面視で、湾曲形状部30bの下部側遮蔽面30f1bの断面形状は、中心点P30を中心とした半径R30aの半円形の曲線である。本実施形態では、中心点P30は、図6に示すように、軸直方向断面視で、固定片31の上部側端面31fから溢水抑制具1Aの中心軸O1の延在方向に長さL30だけ離れた位置であって、溢水抑制具1Aの中心軸O1上の位置にある。即ち、本実施形態では、中心点P30は、図6に示すように、軸直方向断面視で、溢水抑制具1Aの中心軸O1上の筒体部30aと湾曲形状部30bとの間の位置にある。
【0041】
また、本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図6に示すように、軸直方向断面視で、中間遮蔽部30の上部側遮蔽面30f2は、筒体部30aの上部側(外周側)遮蔽面30f2aと、湾曲形状部30bの上部側遮蔽面30f2bとで形成されている。本実施形態では、図6に示すように、軸直方向断面視で、筒体部30aの上部側遮蔽面30f2aの断面形状は、空気の流れ方向に延びる直線である。また、本実施形態では、図6に示すように、軸直方向断面視で、湾曲形状部30bの上部側遮蔽面30f2bの断面形状は、中心点P30を中心とした半径R30bの半円形の曲線である。なお、中間遮蔽部30は、後述のように、湾曲形状部30bのみで構成することができる。
【0042】
更に、本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、遮蔽部20と、中間遮蔽部30とを、下部側から上部側に向かって交互に、合計3つ以上繰り返し配列させていることができる。
【0043】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、遮蔽部20と、中間遮蔽部30とが、下部側から上部側に向かって交互に、合計3つ繰り返し配列されている。本実施形態では、周壁10の内部を、環状に遮蔽している、更なる遮蔽部40を備えている。遮蔽部40は、周壁10の内部の、上部端部12の側に位置している。遮蔽部40は、周壁10の内部を、上部端部12の側で環状に遮蔽している。
【0044】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、遮蔽部40は、周壁10と別の部材として構成されている。本実施形態では、遮蔽部40は、周壁10の小径部10bの内周面に固定されている。また、本実施形態では、遮蔽部40の中心軸O40も、通気弁接続具1Aの中心軸O1と同軸上に配置されている。本実施形態では、図4に示すように、周壁10の中心軸O1の延在方向から視たとき、即ち、軸方向視で、遮蔽部40の外縁40e1の形状は、円形形状である。本実施形態では、遮蔽部40の外縁40e1の形状は、溢水抑制具1Aの中心軸O1を中心とした半径R4aの円である。また、開口部A4は、溢水抑制具1Aの中心軸O1を中心とした半径R4bの円である。
【0045】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、遮蔽部40は、溢水抑制具1Aの中心軸O1に向かうに従って下部側に向かう湾曲形状部を有している。
【0046】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、軸直方向断面視で、遮蔽部40は、環状部40aと、当該環状部40aの開口縁に繋がる筒状の湾曲形状部40bと、湾曲形状部40bの開口縁に繋がる筒状部40cとを有している。
【0047】
本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、軸直方向断面視で、遮蔽部40の下部側遮蔽面40f1は、環状部40aの下部側遮蔽面40f1aと、湾曲形状部40bの下部側遮蔽面40f1bと、筒状部40cの下部側(外周側)遮蔽面40f1cとで形成されている。本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、環状部40aの下部側遮蔽面40f1aの断面形状は、空気の流れ方向に対して直交する方向に延びる直線である。また、本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、湾曲形状部40bの下部側遮蔽面40f1bの断面形状は、中心点P40を中心とした半径R40aの曲線である。また、本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、筒状部40cの下部側遮蔽面40f1cの断面形状は、空気の流れ方向に延びる直線である。本実施形態では、中心点P40は、図5に示すように、軸直方向断面視で、環状部40aの下部側遮蔽面40f1aの(径方向)直線と筒状部40cの下部側遮蔽面40f1cの(軸方向)直線とが互いに接線になるように円を描いたときの、当該円の中心点の位置としている。
【0048】
また、本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、図5に示すように、軸直方向断面視で、遮蔽部40の上部側遮蔽面40f2は、環状部40aの上部側遮蔽面40f2aと、湾曲形状部40bの上部側遮蔽面40f2bと、筒状部40cの上部側(内周側)遮蔽面40f2cとで形成されている。本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、環状部40aの上部側遮蔽面40fa2の断面形状は、空気の流れ方向に対して直交する方向に延びる直線である。また、本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、湾曲形状部40bの上部側遮蔽面40f2bの断面形状は、中心点P40を中心とした半径R40bの曲線である。また、本実施形態では、図5に示すように、軸直方向断面視で、筒状部40cの上部側遮蔽面40f2cの断面形状は、空気の流れ方向に延びる直線である。なお、遮蔽部40は、湾曲形状部40bのみで構成することができる。
【0049】
なお、本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、遮蔽部40は、環状凸部40dを有している。本実施形態では、環状凸部40dは、環状部40aから溢水抑制具1Aの中心軸O1の周りに環状に起立している。また、本実施形態では、遮蔽部40は、周壁10の上部側端に対して固定することができる。或いは、遮蔽部40は、周壁10の上部側端に対して固定することなく、周壁10と通気弁140との間で挟持することができる。なお、本実施形態では、遮蔽部40は、遮蔽部20と同一の部材である。この場合、部品の共通化を図ることができる。但し、遮蔽部40は、遮蔽部20と異なる部材とすることができる。
【0050】
本実施形態に係る、溢水抑制具1Aによれば、遮蔽部20が周壁10の内部を、当該周壁10の周方向に沿って遮蔽していることから、多量の排水が排水管に流れることで、当該排水が溢水抑制具1Aに入り込むようなときも、当該排水の上部側への流れ込みを抑制することができる。このため、本実施形態に係る、溢水抑制具1Aによれば、トラップ130からの溢水を抑制することができる。また、本実施形態に係る、溢水抑制具1Aによれば、遮蔽部20の内周側に形成された開口部A2がサイホン排水管200内の空気等を逃がすことで、当該サイホン排水管200内に生じ得る破封を抑制することができる。特に、本実施形態のように、遮蔽部20が周壁10の内部を、環状に遮蔽している、環状の遮蔽部の場合、当該遮蔽部20が煙突のように機能することで、空気の出入りをし易くすることができる。また、遮蔽部20が環状の遮蔽部である場合、例えば、本実施形態のように、遮蔽部20を別体で構成するときに、当該遮蔽部20を簡易に成形することができる。
【0051】
更に、本実施形態に係る、溢水抑制具1Aによれば、中間遮蔽部30が周壁11の内部の上部側で遮蔽部20に対して間隔を置いて、当該遮蔽部20の開口部A20を遮蔽していることから、多量の排水がサイホン排水管200に流れることで、当該排水が遮蔽部20に形成された開口部A2を通して溢水抑制具1Aに入り込むようなときも、当該排水の上部側への流れ込みを抑制することができる。この場合、トラップ130からの溢水を更に抑制することができる。また、本実施形態に係る、溢水抑制具1Aによれば、中間遮蔽部30の周りに形成された開口部A3がサイホン排水管200内の空気等を逃がすことで、当該サイホン排水管200内に生じ得る破封を抑制することができる。なお、本実施形態のように、遮蔽部20の開口部A2の開口径(半径R2b×2)は、中間遮蔽部30の外縁30e1の外縁径(半径R3a×2)より小さいことが好ましい。この場合、トラップ130からの排水は上部へ流入し難くなる一方、当該トラップ130内の空気は流出させ易いという効果を得られる。
【0052】
また、本実施形態に係る、溢水抑制具1Aは、図3図5及び図7及び図8から明らかなように、溢水抑制具1Aを中心軸O1の延在方向から視たとき、周壁10の内部構造が中心軸O1を中心に対称な構造である。詳細には、溢水抑制具1Aは、遮蔽部20、中間遮蔽部30及び遮蔽部40、並びに、開口部A2,A3及びA4が中心軸O1を中心に対称な構造である。この場合、トラップ130と通気弁140との接続時の構造的な位置合わせが容易になることで、簡易な作業で接続可能な溢水抑制具となる。なお、本発明に係る溢水抑制具によれば、溢水抑制具1Aを中心軸O1の延在方向から視たとき、周壁10の内部構造が中心軸O1を中心に非対称とすることも可能である。ただし、溢水抑制具を取り付ける際の取付方向を考慮すると、対称であることが好ましい。
【0053】
また、本実施形態に係る、溢水抑制具1Aでは、遮蔽部20は、溢水抑制具1Aの中心軸O1に向かうに従って下部側に向かう湾曲形状部20bを有している。この場合、トラップ130から溢れた排水を当該トラップ130に対して遮蔽部20の湾曲形状部20bの下部側遮蔽面20f1に沿って効率的に戻すことができるので、トラップ130からの溢水を更に抑制することができる。
【0054】
加えて、本実施形態に係る、溢水抑制具1Aでは、中間遮蔽部30は、下流に向かうに従って上部側に凸の湾曲形状部30bを有している。この場合、トラップ130から溢れた排水が遮蔽部20に形成された開口部A2を通して入り込むようなときも、トラップ130から溢れた排水を当該トラップ130に対して中間遮蔽部30の湾曲形状部30bの下部側遮蔽面30f1に沿って効率的に戻すことができるので、トラップ130からの溢水を更に抑制することができる。特に、本実施形態では、中間遮蔽部30の上部側遮蔽面30f2は、筒体部30aの上部側遮蔽面30f2aを有している。この場合、ディスポーザー111の振動等により発生し得る跳ね水が通気弁140の内部に侵入することを防止する効果が得られる。なお、本実施形態では、中間遮蔽部30は、図6に示すように、軸直方向断面視で、ドーム状に形作られているが、傘型等の、円錐状又は角錐状の形状、立方体状の形状に形作ることもできる。
【0055】
また、溢水抑制具1Aは、遮蔽部20と、中間遮蔽部30とが、下部側から上部側に向かって交互に、合計で3つ以上繰り返し配列されている。本実施形態では、溢水抑制具1Aは、遮蔽部20と、中間遮蔽部30と、遮蔽部40とが、を下部側から上部側に向かって交互に、合計で3つ繰り返し配列されている。このような場合、遮蔽部の個数が増加することで、トラップ130からの溢水を更に抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る溢水抑制具1Aでは、遮蔽部20及び40は、周壁10と異なる部材として構成されている。本実施形態では、周壁10は、例えば、樹脂、金属、弾性体で形成することができる。また、本実施形態では、遮蔽部20及び40も、例えば、樹脂、金属、弾性体で形成することができる。本実施形態では、遮蔽部20及び40は、ゴム等の弾性体で形成している。この場合、遮蔽部20及び40は、パッキン(シール部材)として機能させることができる。
【0057】
ところで、図1のサイホン排水システム100は、トラップ130と、通気弁140と、トラップ130と、通気弁140との間に配置された筒状の周壁10と、周壁10の内部を、当該周壁の周方向に沿って遮蔽している、遮蔽部20と、遮蔽部20に形成された開口部A2を、周壁10の内部の上部側で間隔を置いて遮蔽している、他の遮蔽部30と、他の遮蔽部30の周りに他の開口部A3を形成するように、当該他の遮蔽部30を周壁10に固定する固定片31と、を備えている。図1のサイホン排水システム100は、図示のように、排水管構造Aを有している。領域Aに示すように、本実施形態に係る、排水管構造Aは、トラップ130と、通気弁140と、トラップ130及び通気弁140の間に配置された溢水抑制具1Aとを備えている。溢水抑制具1Aは、図5に示すように、トラップ130と通気弁140との間に配置された周壁10を備えている。また、溢水抑制具1Aは、周壁10の内部を、当該周壁10の周方向に沿って遮蔽している、遮蔽部20と、遮蔽部20の内周側に形成された開口部A2を、周壁11の内部の上部側で間隔を置いて遮蔽している中間遮蔽部30と、当該中間遮蔽部30の周りに他の開口部A3を形成するように、中間遮蔽部30を周壁10に固定する固定片31と、を備えている。従って、本実施形態に係る、排水管構造Aによれば、トラップ130からの溢水が抑制された排水管構造となる。なお、本実施形態に係る排水管構造1Aでは、トラップ130と、通気弁140との間に、溢水抑制具1Aを配置することで、上記構成をアタッチメント式の排水管構造としているが、本発明に係る排水管構造によれば、トラップ130と、通気弁140との間に、筒状の周壁10、遮蔽部20、他の遮蔽部30及び固定片31を配置することができれば、これらを溢水抑制具1Aとして組み付けることは必須ではない。
【0058】
図9は、本発明の第2実施形態に係る溢水抑制具1Bを概略的に示す斜視側面図である。図10は、溢水抑制具1Bを、図2のA-A断面相当で概略的に示す斜視断面図である。以下、本実施形態に係る溢水抑制具1Bにおいて、第1実施形態に係る溢水抑制具1Aと同一の構成は、同一の符号を使用することより、その説明を省略する。
【0059】
本実施形態に係る溢水抑制具1Bは、周壁10、遮蔽部20、中間遮蔽部30及び遮蔽部40を一体に形成したものである。この場合、溢水抑制具1Bは、樹脂等の同一の材料によって一体的に形成することができる。
【0060】
上述したところは、本発明のいくつかの実施形態について説明を行ったにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、遮蔽部20は、周壁10の内部を、当該周壁10の周方向に沿って遮蔽しているものであれば、当該周壁10の内部を、当該周壁10の周方向に沿って断続的に遮蔽しているものでもよい。即ち、遮蔽部20は、環状の遮蔽部に限定されるものではない。また、遮蔽部20は、周壁10の内部における下部側であって、少なくとも、排水時の流れが導入され得る上流側の位置に遮蔽部があることが望ましい。こうした遮蔽部20の具体例としては、周壁10の軸方向視で、半円形状の遮蔽部が挙げられる。この場合、排水時の流れが導入され得る上流側を遮断部20によって遮蔽する一方、その下流側では、当該遮断部20と周壁10の内周面との間に形成される隙間によって空気の流れが許容される。こうした環状ではない遮蔽部20は、周壁10の内部構造が非対称の場合に有効である。
【0061】
上述の各実施形態では、溢水抑制具1A,1Bは、既存の通気弁との汎用性から通気弁140と別体に構成したが、当該通気弁140と一体に形成することができる。また、本発明に係る溢水抑制具は、通気弁と排水管との間に配置することが好ましいが、通気口と排水管との間に配置することができる。更に、上述の各実施形態では、溢水抑制具1A,1Bは、トラップ130の上に配置されているが、サイホン排水管200内の空気を排出できる位置であれば、接続管120、トラップ130、直管150、横引き管160、竪管170のいずれかの任意の位置に配置することができる。更に、上述した各実施形態に採用された様々な構成は、互いに組み合わせて使用することができる。また、上述した各実施形態に採用された様々な構成は、相互に適宜、置き換えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1A:溢水抑制具(第1実施形態), 1B:溢水抑制具(第2実施形態), 10:周壁, 11:下部端部, 12:上部端部, 20:遮蔽部, 20a:環状部, 20b:湾曲形状部, 20c:筒状部, 30:中間遮蔽部(他の遮蔽部), 30a:筒体部, 30b:湾曲形状部, 31:固定片, 40:遮蔽部, 40a:環状部, 40b:湾曲形状部, 40c:筒状部, A:排水管構造, A2:遮蔽部の開口部, A3:中間遮蔽部の周りの開口部(他の開口部), A4:遮蔽部の開口部, 100:サイホン排水システム, 110:水回り機器, 120:接続管, 130:トラップ, 131:第1下降部, 132:第1折り返し部, 132a:貯留部, 133:上昇部, 134:第2折り返し部, 135:第2下降部, 140:通気弁, 150:直管, 160:横引き管, 170:竪管, 180:合流継手, 190:立て管, 200:サイホン排水管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10