(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】端部取付部材、壁面構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20220926BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20220926BHJP
E04H 1/12 20060101ALN20220926BHJP
【FI】
E04F13/08 101T
E04F13/08 101S
E04G23/02 H
E04H1/12 301
(21)【出願番号】P 2018192719
(22)【出願日】2018-10-11
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】佐倉 丈憲
(72)【発明者】
【氏名】林 寛充
(72)【発明者】
【氏名】橋本 博一
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-303743(JP,A)
【文献】特開平10-280638(JP,A)
【文献】特開2012-180654(JP,A)
【文献】特開2004-066525(JP,A)
【文献】特開2017-075472(JP,A)
【文献】特開2007-321422(JP,A)
【文献】特開平08-049313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08-13/18
E04G 23/02
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設けられる化粧パネルの端部に取り付けられる端部取付部材であって、
前記端部取付部材は樹脂からなり、前記化粧パネルの一面の周縁部分を覆う被覆部
と、
基部と、が一体に形成され、該基部は、前記壁面と前記化粧パネルとの隙間に進入する第1板部と、隣接する前記化粧パネルどうしの隙間に進入する第2板部と、を有し、
前記被覆部の表面には、硬質樹脂からなるコーティング層を形成し、
前記コーティング層は、光硬化性樹脂を含み、かつフッ素化合物を含むことにより防汚性を有し、
前記化粧パネルの一面、および前記コーティング層の表面は、互いに光沢度が同じ光沢面であることを特徴とする端部取付部材。
【請求項2】
前記コーティング層は、抗菌剤を含むことを特徴とする請求項
1記載の端部取付部材。
【請求項3】
請求項1
または2記載の端部取付部材を有する壁面構造であって、
前記壁面に取り付けられた前記化粧パネルと、前記化粧パネルの一面の周縁部分を覆うように取り付けられた前記端部取付部材と、を備えたことを特徴とする壁面構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に設けられる化粧パネルの端部に取り付けられる端部取付部材、およびこれを備えた壁面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、浴室、洗面所などの水回りのリフォーム時に、壁面の防水や美観向上のために、壁面に化粧パネルを取り付ける場合がある。また、室内の天井にも、配線、配管などを覆う化粧パネル(天井板)が取り付けられている。こうした化粧パネルは、所定サイズのものを複数枚並べて取り付けることによって、大きな面積の壁面を効率的に化粧パネルで覆うことができる。
【0003】
こうした化粧パネルの端部、例えば、化粧パネルどうしの継ぎ目部分や、化粧パネルのコーナー部分には、化粧パネルの周縁部分を覆う端部取付部材が設けられることがある。こうした端部取付部材によって、化粧パネルどうしの継ぎ目部分や、化粧パネルのコーナー部分から壁面に向けて湿気が侵入してカビ等が発生することを防止する。
【0004】
例えば、特許文献1では、天井材どうしの継ぎ目部分に設けられ、天井材の周縁部分を覆う連結部材を備えた天井材の取付構造が開示されている。こうした連結部材を用いることで、天井材どうしの継ぎ目部分を覆うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された天井材の取付構造は、天井材の表面よりも突出した連結部材に汚れが付着しやすいという課題があった。こうした連結部材への汚れの付着を防止して、美観を向上させることが求められていた。
【0007】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、化粧パネルの端部に取り付けられる端部取付部材の防汚性を高めることで、美観を向上させることが可能な端部取付部材、およびこれを備えた壁面構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の端部取付部材は、壁面に設けられる化粧パネルの端部に取り付けられる端部取付部材であって、前記端部取付部材は樹脂からなり、前記化粧パネルの一面の周縁部分を覆う被覆部と、基部と、が一体に形成され、該基部は、前記壁面と前記化粧パネルとの隙間に進入する第1板部と、隣接する前記化粧パネルどうしの隙間に進入する第2板部と、を有し、前記被覆部の表面には、硬質樹脂からなるコーティング層を形成し、前記コーティング層は、光硬化性樹脂を含み、かつフッ素化合物を含むことにより防汚性を有し、前記化粧パネルの一面、および前記コーティング層の表面は、互いに光沢度が同じ光沢面であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、前記コーティング層は、抗菌剤を含んでいてもよい。
【0012】
本発明の壁面構造は、前記各項記載の端部取付部材を有する壁面構造であって、前記壁面に取り付けられた前記化粧パネルと、前記化粧パネルの一面の周縁部分を覆うように取り付けられた前記端部取付部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、化粧パネルの端部に取り付けられる端部取付部材の防汚性を高め、これにより、端部取付部材の美観を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の端部取付部材およびこれを備えた壁面構造の一例を示す断面図である。
【
図2】本発明の端部取付部材を示す要部拡大断面図である。
【
図3】端部取付部材を化粧パネルに取り付ける手順を段階的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の端部取付部材およびこれを備えた壁面構造について説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0017】
(端部取付部材、壁面構造)
図1は、本発明の一実施形態の端部取付部材およびこれを備えた壁面構造の一例を示す断面図である。また、
図2は、端部取付部材を示す要部拡大断面図である。
例えば、浴室等の壁面10には、複数の化粧パネル11が並べられるように取り付けられている。こうした化粧パネル11は、壁面10に対して固定手段、例えば両面テープ12によって固定されている。これにより、壁面10と化粧パネル11の裏面11bとの間には、両面テープ12の厚みに相当する隙間D1が形成されている。
【0018】
化粧パネル11は、例えば幅800~1000mm、高さ2000~3000mm、厚み3~5mm程度の矩形の板材である。化粧パネル11の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル層、アルミ板層、ポリ塩化ビニル層、高密度発泡ウレタン層、アルミフィルム層が順次積層された積層板や、発泡ポリ塩化ビニルの単層板などが挙げられる。
【0019】
本実施形態では、化粧パネル11として、発泡ポリ塩化ビニルの単層板を用いている。化粧パネル11が室内に露出する一面11aには、必要に応じてUV塗装などを施して、汚れがつきにくく、また、汚れがついた場合でも容易に洗浄できるような光沢加工を施した光沢面にすることも好ましい。
【0020】
壁面10に配列された複数の化粧パネル11,11どうしの間には、隙間D2が形成されている。そして、この隙間D2に一部が入り込むように、端部取付部材20が取り付けられている。
【0021】
本発明の壁面構造1は、上述した壁面10に取り付けられた化粧パネル11と、この化粧パネル11の周縁部分(エッジ)を覆う端部取付部材20とから構成されている。
【0022】
端部取付部材20は、化粧パネル11,11どうしの隙間D2に少なくとも一部が進入する基部21と、この基部21に接続されて化粧パネル11の一面11aの周縁部分(エッジ)を覆う被覆部22と、被覆部22の表面に形成されたコーティング層(ハードコート層)23と、を備えている。
【0023】
基部21は、第1板部21a、第2板部21b、および弾性部材21cとを有する。第1板部21aは、基部21のうち壁面10に直接接する部分である。第2板部21bは、第1板部21aの短手方向中心に設けられ、第1板部21aに対して略垂直に延びた部分である。
【0024】
被覆部22は、第2板部21bの端部に設けられ、第2板部21bに対して垂直に延びた部分である。こうした被覆部22は、化粧パネル11の一面11aの周縁部分(エッジ)の少なくとも一部を覆う。
【0025】
第2板部21bの両側面には、第1板部21a、第2板部21bおよび被覆部22によって囲まれた空間がそれぞれ設けられている。これらの空間は、化粧パネル11,11の周縁部分(エッジ)を収容する収容部分として機能する。
【0026】
弾性部材21cは、壁面10と略平行な方向に弾性変形可能にされている。弾性部材21cは舌片状の形状を有し、基端側が第2板部21bに固定され、全体が湾曲し、弾性部材21cの先端側は第1板部21aに向かって延びている。なお、こうした弾性部材21cは特に形成せずに省略することもできる。
【0027】
端部取付部材20化粧パネル11の端部に取り付けられた状態において、第1板部21aは、壁面10の一面10aと化粧パネル11の裏面11bとの間の、両面テープ12の厚みに相当する隙間D1に入る。また、第2板部21bおよび弾性部材21cは、化粧パネル11,11の端部どうしの間の隙間D2に入る。
端部取付部材20は、隙間D1において、第1板部21aが接着剤Bによって壁面10の一面10aおよび化粧パネル11の裏面11bに対して接合されている。
【0028】
こうした第1板部21a、第2板部21b、および被覆部22の材質としては、樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ASA樹脂、PET樹脂などによって、互いに一体に形成されている。
【0029】
また、弾性部材21cの材質としては、端部取付部材20に応力が加わった時に弾性変化するものが良く、例えば、軟質ポリ塩化ビニルおよび熱可塑性エラストマー(オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー)が挙げられる。なお、弾性部材21cを第1板部21a、第2板部21b、および被覆部22と同様の材料によって、一体に形成することも好ましい。
【0030】
コーティング層23は、第1板部21aの表面に密着するように形成された硬質樹脂からなる被膜である。コーティング層23の表面は、例えば、光沢度が化粧パネル11の一面11aと同程度の光沢面にすることもできる。更に、光沢度に加えて、平滑性、および色調が、化粧パネル11の一面11aと同程度になるように形成されていてもよい。これにより、化粧パネル11,11どうしの継ぎ目部分を外観上、目立たないようにして、壁面10に設けられる複数の化粧パネル11,11…全体の一体感が出るようすることもできる。
【0031】
コーティング層23の材質としては、例えば、基部21を構成する樹脂よりも硬質な硬質樹脂が好ましく、一例として光硬化性樹脂を用いることができる。特に、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化樹脂、例えば、紫外線硬化バインダー材を含むポリマーアクリレート、ウレタンアクリレートなどが具体例として挙げられる。
【0032】
コーティング層23を構成する硬質樹脂には、更にフッ素化合物、例えば(フルオロポリエーテル)を含むことが好ましい。こうしたフッ素化合物は、コーティング層23の防汚性をより一層向上させ、汚れが付きやすい端部取付部材20に、例えば油脂などの汚れが付着することを抑制する。
【0033】
また、コーティング層23を構成する硬質樹脂には、更に抗菌剤、例えば防カビ剤を含むことが好ましい。コーティング層23に抗菌剤を含ませることによって、コーティング層23や、その下層の基部21にカビなどが繁殖することを防止して、コーティング層23へのカビの付着による美観低下や強度低下を抑制することができる。
【0034】
以上のような構成の端部取付部材20を、例えば壁面10の一面10aに沿って並べて取り付けられた化粧パネル11の端部に取り付ければ、化粧パネル11の一面11aよりも手前側に突出することで汚損しやすい端部取付部材20の防汚効果を高めることができる。
【0035】
即ち、端部取付部材20の露出部分は、硬質樹脂からなるコーティング層23で覆われているので、端部取付部材20の露出部分が汚れたり、カビが発生することを抑制し、また、汚れが付着したとしても容易に取り除くことができる。これにより、化粧パネル11の端部,化粧パネル11,11どうしの繋ぎ目部分の美観や衛生状態を高く保つことができる。
【0036】
更に、例えば、端部取付部材20のコーティング層23の平滑性、光沢度、および色調を化粧パネル11の一面11aと同程度になるように形成することもでき、これにより、壁面10に設けられる複数の化粧パネル11,11…全体の外観の一体感が保たれ、浴室などの水回りの壁面リフォームを高品質に行うこともできる。
【0037】
本実施形態の端部取付部材20、壁面構造1は、浴室や洗面所などの水回りの壁面の化粧パネル11によるリフォーム、室内の天井の化粧パネル11によるリフォームなど、壁面10に化粧パネル11を取り付ける個所に幅広く適用することができ、適用対象が限定されるものでは無い。
【0038】
なお、本実施形態の端部取付部材20は、基部21と、被覆部22と、コーティング層23とを備えているが、本発明の端部取付部材は、少なくとも被覆部と、これを覆うコーティング層とを備えていればよく、特に基部を備えていなくても良い。この場合、例えば、化粧パネルの端部に、直接、コーティング層を有する被覆部を貼着するなどによって、端部取付部材を取り付ければよい。
【0039】
(端部取付部材の製造方法)
図2に示したような端部取付部材20を製造する際には、例えば、ポリ塩化ビニルによって第1板部21a、第2板部21b、および被覆部22を一体に成形する。次に、第2板部21bに、スチレン系熱可塑性エラストマーによって成形した弾性部材21cを接合する。これにより、基部21が得られる。
【0040】
次に、得られた基部21の被覆部22の表面に、例えば、ポリマー型アクリレートの紫外線硬化樹脂を塗布する。こうした紫外線硬化樹脂には、予めフッ素化合物や抗菌剤を混合しておくことも好ましい。また、化粧パネル11に色調や光沢度を合わせる顔料などを混合しておくことも好ましい。
【0041】
次に、塗布した紫外線硬化樹脂に紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化させてコーティング層23を形成する。これにより、外部に露出する部分がコーティング層23で覆われた端部取付部材20を製造することができる。
【0042】
(壁面構造による端部取付部材の取付方法)
図3は、本発明の壁面構造において、端部取付部材を取り付ける手順の一例を段階的に示した断面図である。
本発明の端部取付部材20を介して、例えば、複数の化粧パネル11を例えば浴室などの壁面10に対して取り付ける場合、まず、
図3(a)に示すように、壁面10の一面10aに、両面テープ12を介して化粧パネル11を接着する。この時、壁面10と化粧パネル11の裏面11bとの隙間D1に、接着剤Bを所定量だけ配置しておく。
【0043】
次に、
図3(b)に示すように、端部取付部材20の第1板部21aを隙間D1に挿入する。そして、
図3(c)に示すように、端部取付部材20の弾性部材21cが化粧パネル11の側端面11cに接する位置まで端部取付部材20を隙間D1に押し込む。これにより、第1板部21a、第2板部21bおよび被覆部22によって囲まれた一方の空間に化粧パネル11の周縁部分(エッジ)が収容され、化粧パネル11の一面11aの周縁部分が端部取付部材20によって覆われる。
【0044】
この時、隙間D1iに配した接着剤Bは、第1板部21aによって押し広げられ、第1板部21aと、化粧パネル11の裏面11bおよび壁面10の一面10aとが、接着剤Bによって接着される。
【0045】
この後、第1板部21a、第2板部21bおよび被覆部22によって囲まれた他方の空間に、最初に取り付けた化粧パネル11に並べるように、次の化粧パネル11の周縁部分(エッジ)を収容させて、この化粧パネル11を両面テープ12を介して化粧パネル11を接着する。このように、化粧パネル11の接着、端部取付部材20の取付、次の化粧パネル11の接着…を繰り返すことによって、壁面10全体を覆うように、複数の化粧パネル11を取り付けることができ、それぞれの化粧パネル11の一面11aの周縁部分が端部取付部材20によって覆われる。以上の手順で、本実施形態の壁面構造1が実現できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【実施例】
【0047】
本発明の端部取付部材の効果を検証した。
検証にあたっては、
図2に示す端部取付部材20を用いて、コーティング層(ハードコート層)23の以下に示す各項目の性能を検証した。
端部取付部材20の基部21は、ポリ塩化ビニル樹脂を用いた。また、コーティング層(ハードコート層)23としては、希釈溶媒としてメチルエチルケトン、紫外線硬化樹脂としてウレタンアクリレートおよびアクリレートオリゴマー、その他、多官能アクリレート、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化亜鉛(酢酸エチル分散体)、フッ素化合物、光重合開始材をそれぞれ用いた。
【0048】
(検証例1)
耐薬品性試験(1)として、塩酸(3vol%:和光純薬工業株式会社)、水酸化ナトリウム溶液(5vol%:和光純薬工業株式会社)、硫化アンモニウム溶液(5vol%:和光純薬工業株式会社)をそれぞれ長さ50mmのコーティング層形成面に滴下し、常温で1時間放置してから流水洗浄を行い、1時間風乾後、コーティング層の異常の有無を目視確認した。
【0049】
(検証例2)
耐薬品性試験(2)として、アセトン(和光純薬工業株式会社)、ベンジン(和光純薬工業株式会社)、エタノール(和光純薬工業株式会社)をそれぞれ長さ50mmのコーティング層形成面に滴下し、常温で24時間放置してから流水洗浄を行い、1時間風乾後、コーティング層の異常の有無を目視確認した。
【0050】
(検証例3)
耐汚染性試験として、洗顔料(ビオレスキンケア(商品名):花王株式会社)、シャンプー(メリット(商品名):花王株式会社)、リンス(メリットうるおいリンス(商品名):花王株式会社)、口紅(インテグレート グレッシィ リップステイック レッド465(商品名):資生堂フィテット株式会社)、練り歯磨き(デンターシステマ(商品名):ライオン株式会社)、ヘアトニック(MG5ヘアトニック(商品名):資生堂株式会社)、ヘアリキッド(MG5ヘアリキッド(商品名):資生堂株式会社)、ヘアムース(ギャツビー スタイリングフォーム スーパーハード(商品名):マンダム株式会社)、ヘアワックス(ギャツビー ムービングラバー マルチフォルム(商品名):マンダム株式会社)をそれぞれ長さ50mmのコーティング層形成面に滴下し、常温で24時間放置してから流水洗浄を行い、1時間風乾後、コーティング層の異常の有無を目視確認した。
【0051】
上述した検証例1~3の目視確認の結果を表1に示す。
【0052】
【0053】
表1に示す結果によれば、いずれの汚染物質でもコーティング層の異常は確認されなかった。従って、本発明の端部取付部材20は、良好な耐薬品性、耐汚染性を有することが確認され、例えば、浴室や洗面所など、汚損しやすい環境に適用しても、長期間に渡って美観を維持することができる。
【0054】
(検証例4)
抗菌性試験として、大腸菌を試料として長さ50mmのコーティング層形成材(本発明例)および従来例としてコーティング層未形成材(コートなし)にそれぞれ塗布し、24時間後の生菌数を調べた(京都微生物研究所による委託試験)。なお、抗菌性試験はJIS Z 2801に準拠している。この検証例4の結果を表2に示す。
【0055】
【0056】
表2に示す結果によれば、本発明例では、抗菌性(耐菌活性値)が有効とされる目安である2.0を超える2.1を示し、優れた抗菌性が確認された。一方、従来例では、耐菌活性値が-0.1に留まり、抗菌性が有効ではなかった。
(検証例5)
耐汚染性(油性インク)試験として、長さ50mmのコーティング層形成材(本発明例)および従来例としてコーティング層未形成材(コートなし)に対して、それぞれ油性ペン(マッキー(商品名)赤色:ゼブラ株式会社)を用いてインクを塗布し、インクの弾き状態、乾燥布による拭取(乾拭き)後の状態、およびアルコールを染み込ませた布による拭取後の状態をそれぞれ観察した。
この検証例5の結果を表3に示す。
【0057】
【0058】
表3に示す結果によれば、本発明例であるコーティング層形成材の優れた防汚性を確認できた。一方、従来例では、乾拭き後やアルコールによる拭取後であっても汚れが残留した。
【符号の説明】
【0059】
10…壁面
11…化粧パネル
20…端部取付部材
21…基部
22…被覆部
23…コーティング層(ハードコート層)