(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】分析処理装置、分析処理方法及び機械学習装置
(51)【国際特許分類】
G16H 10/20 20180101AFI20220926BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220926BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20220926BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G16H10/20
G06Q50/10
G06N20/00 130
A61B5/00 M
(21)【出願番号】P 2018205739
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595156665
【氏名又は名称】株式会社 ポーラ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大久保 禎
(72)【発明者】
【氏名】多田 明弘
(72)【発明者】
【氏名】山川 弓香
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-311158(JP,A)
【文献】特開2012-073688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/10
G06N 20/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌及び/又は体調に対する近赤外線の影響を分析する為の分析処理装置であって、
地域、測定時期及び近赤外線量を含む複数項目の項目情報からなる近赤外線データ並びに地域、取得時期及び回答を含む複数項目の項目情報からなる利用者データを取得する取得手段と、
共通する地域に関する前記近赤外線データ及び利用者データを用いて、分析処理する分析処理手段と、を備え、
前記分析処理は、
入力された前記近赤外線データに含まれる1又は複数の項目及び入力された利用者データの1又は複数の項目の組み合わせに基づいて、分析結果として項目の相関を算出し、
さらに、前記分析結果に基づいて、地域別に入力された近赤外線量を用いて、前記近赤外線量に基づく肌及び/又は健康に対する影響度予測を地域別に行う予測手段、を備えることを特徴とする分析処理装置。
【請求項2】
前記地域に関する項目情報を、所定の項目情報に変換処理する変換処理手段を備え、
前記分析処理は、前記変換処理によって与えられる項目情報に基づいて、地域を対応付けられた前記近赤外線データ及び利用者データを用いることを特徴とする請求項1に記載の分析処理装置。
【請求項3】
前記近赤外線データは、地表において測定した地上近赤外線データ及び地表での反射光を測定した反射光赤外線データを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分析処理装置。
【請求項4】
アンケート及び/又は問診の回答時期に関する情報を含み、期間指定設問に対する回答項目について指定の期間が対応付けられたデータを用いて、前記利用者データを生成する利用者データ生成手段を備え、
前記回答時期に関する情報及び前記指定の期間を用いて得られる暴露時期を前記取得時期、前記期間指定設問に対する回答項目を前記回答として、前記利用者データを生成することを特徴とする請求項1~
3の何れかに記載の分析処理装置。
【請求項5】
前記分析処理は、更に、気象データを用いて行われることを特徴とする請求項1~
4の何れかに記載の分析処理装置。
【請求項6】
肌及び/又は体調に対する近赤外線の影響を機械学習する為の機械学習装置であって、
地域、測定時期及び近赤外線量を含む複数項目の項目情報からなる近赤外線データ並びに地域、取得時期及び回答を含む複数項目の項目情報からなる利用者データを取得する取得手段と、
対応する地域及び時期項目を含む前記近赤外線データ及び利用者データ
の組み合わせを教師データとして用いて、学習処理する学習処理手段と、を備え、
前記学習処理は、入力された前記近赤外線データ及び利用者データに基づいて前記近赤外線データに基づく肌及び/又は健康に対する影響度予測を行う為の影響度予測モデルについて、パラメータを更新する処理を含
み、
前記影響度予測モデルは、地域別に入力された近赤外線量に基づく地域別の肌及び/又は健康に対する影響度予測を出力することを特徴とする機械学習装置。
【請求項7】
肌及び/又は体調に対する近赤外線の影響を分析する為の分析処理方法であって、
地域、測定時期及び近赤外線量を含む複数項目の項目情報からなる近赤外線データ並びに地域、取得時期及び回答を含む複数項目の項目情報からなる利用者データを取得するステップと、
共通する地域に関する前記近赤外線データ及び利用者データを用いて、分析処理するステップと、をコンピュータが実行し、
前記分析処理は、入力された前記近赤外線データ
に含まれる1又は複数の項目及び入力された利用者データの1又は複数の項目の組み合わせに基づいて、分析結果として項目の相関を算出し、
さらに、前記分析結果に基づいて、地域別に入力された近赤外線量を用いて、前記近赤外線量に基づく肌及び/又は健康に対する影響度予測を地域別に行うステップを、コンピュータが実行することを特徴とする分析処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌及び/又は体調に対する近赤外線の影響を分析する為の分析処理装置、分析処理方法および機械学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の体調は周囲の環境から大きく影響を受けており、体調管理においては、その時の気温、天気、気圧等、様々な要素を考慮する必要がある。従来から、このような周囲の環境を考慮した体調管理を支援する為の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユーザの周辺環境情報を取得してユーザの体調を推測することで、体調管理に係る入力を簡単に行うことができる体調管理支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、研究により、日光に含まれる近赤外線が、人の体調に悪影響をもたらすことが分かっている。特に、真皮線維芽細胞において、肌の組織形成・維持修復など多様な役割を果たす重量な生体成分であるバーシカンの産生を減少させることが知られており、近赤外線による影響への対策が求められている。
【0006】
しかしながら、近赤外線が暴露することにより、個々人の肌や体調に、どのような状態をもたらすかについては、いまだ十分に分かっていなかった。
【0007】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、肌や体調に対する近赤外線量の影響を分析する為の分析処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、肌及び/又は体調に対する近赤外線の影響を分析する為の分析処理装置であって、
地域、測定時期及び近赤外線量を含む複数項目の項目情報からなる近赤外線データ並びに地域、取得時期及び回答を含む複数項目の項目情報からなる利用者データを取得する取得手段と、
共通する地域に関する前記近赤外線データ及び利用者データを用いて、分析処理する分析処理手段と、を備え、
前記分析処理は、入力された前記近赤外線データ及び利用者データに基づいて、分析結果を算出する処理を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、肌及び/又は体調に対する近赤外線の影響を分析する為の分析処理方法であって、
地域、測定時期及び近赤外線量を含む複数項目の項目情報からなる近赤外線データ並びに地域、取得時期及び回答を含む複数項目の項目情報からなる利用者データを取得するステップと、
共通する地域に関する前記近赤外線データ及び利用者データを用いて、分析処理するステップと、をコンピュータが実行し、
前記分析処理は、入力された前記近赤外線データ及び利用者データに基づいて、分析結果を算出する処理を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、肌及び/又は体調に対する近赤外線の影響を機械学習する為の機械学習装置であって、
地域、測定時期及び近赤外線量を含む複数項目の項目情報からなる近赤外線データ並びに地域、取得時期及び回答を含む複数項目の項目情報からなる利用者データを取得する取得手段と、
前記近赤外線データ及び利用者データを用いて、学習処理する学習処理手段と、を備え、
前記学習処理は、入力された前記近赤外線データ及び利用者データに基づいて前記近赤外線データに基づく肌及び/又は健康に対する影響度予測を行う為の影響度予測モデルについて、パラメータを更新する処理を含むことを特徴とする。
【0011】
このような構成とすることで、近赤外線データ及び利用者データを用いて、肌及び/又は健康に対する影響分析や、予測ができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記地域に関する項目情報を、所定の項目情報に変換処理する変換処理手段を備え、
前記分析処理は、前記変換処理によって与えられる項目情報に基づいて、地域を対応付けられた前記近赤外線データ及び利用者データを用いることを特徴とする。
このような構成とすることで、地域を対応させ、地域別の分析や予測を行うことが可能となる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記近赤外線データは、地表において測定した地上近赤外線データ及び地表での反射光を測定した反射光赤外線データを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記分析処理は、入力された前記近赤外線データに含まれる1又は複数の項目及び入力された利用者データの1又は複数の項目の組み合わせに基づいて、分析結果として項目の相関を算出することを特徴とする。
このような構成とすることで、相関の分析を行い、予測モデルの作成や学習器の設計に利用することが可能となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、アンケート及び/又は問診の回答時期に関する情報を含み、期間指定設問に対する回答項目について指定の期間が対応付けられたデータを用いて、前記利用者データを生成する利用者データ生成手段を備え、
前記回答時期に関する情報及び前記指定の期間を用いて得られる暴露時期を前記取得時期、前記期間指定設問に対する回答項目を前記回答として、前記利用者データを生成することを特徴とする。
このような構成とすることで、期間や時期を加味して、近赤外線量による影響の分析等を行うことが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記分析処理は、更に、気象データを用いて行われることを特徴とする。
このような構成とすることで、気象状態を加味して、近赤外線量による影響の分析等を行うことが可能となる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記分析結果に基づいて、地域別に入力された近赤外線量を用いて、前記近赤外線量に基づく肌及び/又は健康に対する影響度予測を地域別に行う予測手段を備えることを特徴とする。
このような構成とすることで、近赤外線量による影響の予測を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、肌や体調に対する近赤外線量の影響を分析する為の分析処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1に係る処理システムのシステム構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る端末装置のハードウェア構成図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る分析処理装置のハードウェア構成図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る近赤外線データ、利用者データの取得に係る処理フローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態1に係るアンケートデータ、期間指定データ、利用者データの一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る分析処理に係る処理フローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態1に係る地域別予測画面の画面表示例である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る機械学習装置のハードウェア構成図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る学習処理に係る処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
以下、図面を用いて、本発明の第1実施形態に関する処理システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0021】
本実施形態では処理システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、処理装置、コンピュータプログラム、記録媒体等も、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えばコンピュータに前記プログラムをインストールすることができる。ここで、前記プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体であっても良い。
【0022】
<処理システムの構成>
一実施の形態における構成を示す
図1を参照すると、処理システムは処理システム1として具体化されている。
【0023】
この処理システム1は、分析処理装置2、端末装置3、ウェブサーバ4及び通信ネットワークNWを備える。分析処理装置2は、端末装置3と通信ネットワークNWを介して連携し、端末装置3を介して、分析処理の為の情報のデータ入力や、データ入力が可能に構成される。また、分析処理装置2は、衛星データ提供サーバSSと通信ネットワークNWを介して通信可能に構成され、衛星データ提供サーバSSより、衛星データを取得する。
【0024】
ウェブサーバ4は、端末装置3からの表示処理に基づいて、分析処理装置2での分析処理結果に基づくウェブページを表示処理し、その表示処理結果を送信する。
【0025】
通信ネットワークNWは、インターネットなどのIP(Internet Protocol)網などとから構成される。通信ネットワークNWは、分析処理装置2、端末装置3及び衛星データ提供サーバSSをそれぞれ収容し、分析処理装置2、端末装置3及び衛星データ提供サーバSSは、通信ネットワークNWを介してデータ通信を行うためのIPアドレスを、それぞれ割り当てられている。なお、以下の説明では、不明確にならない限り通信ネットワークNWの介在を省略する。
【0026】
端末装置3は、コンピュータ端末(スマートフォン端末、パーソナルコンピュータ及びタブレット端末を含む)を含む単独構成または複合構成をそれぞれ採り得る。
【0027】
更に詳述すると、処理システム1における端末装置3は、
図2に例示するように、ハードウェア及び機能の構成要素を含んでいる。つまり、各端末装置3は、ハードウェア構成要素として、演算装置(CPU(Central Processing Unit))11と、作業用メモリとしての主記憶装置(RAM(Random Access Memory))12とを備える。
【0028】
各端末装置3は、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納するHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置13と、通信制御部14と、NIC(Network Interface Card)などの通信インタフェース(IF)部15と、表示制御部16と、表示部17と、情報入力・指定部18などとを、更に備える。
【0029】
各端末装置3において、機能構成を論理的に実現するには、補助記憶装置13にウェブブラウザ及び端末制御プログラムなどをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、各端末装置3においては、電源投入または利用者(ユーザ)による指示を契機に、演算装置(CPU)11がアプリケーションプログラムを主記憶装置(RAM)12に展開して実行する。
【0030】
分析処理装置2は、データ通信機能を有し、
図3に例示するように、ハードウェア及び機能の構成要素を含んでいる。すなわち、分析処理装置2は、ハードウェア構成要素として、演算装置(CPU(Central Processing Unit))21と、作業用メモリとしての主記憶装置(RAM(Random Access Memory))22とを備える。
【0031】
分析処理装置2は、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム、及び各種情報(データを含む)を書換え可能に格納するHDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置23と、通信制御部24と、NIC(Network Interface Card)などの通信インタフェース(IF)部25などとを、更に備える。
【0032】
分析処理装置2は、衛星データ提供サーバSSより取得した衛星データとしての近赤外線量を用いて、地表での肌に対する近赤外線の影響を分析処理する為の処理装置である。以下では、地上から反射した近赤外線量を人工衛星SAが宇宙空間において測定することで得られ、衛星データ提供サーバSSを介して分析処理装置2に提供される反射近赤外線量と、肌及び/又は体調に関するデータとして、データベースDBに格納されたアンケートデータを用いて、分析処理を行う場合について例示する。
【0033】
ここで、反射近赤外線量に加えて、地上における近赤外線量を測定することで得られる地上近赤外線量や、気温、湿度、風速等に関する気象データの1又は複数を用いてもよい。また、アンケートデータに加えて/又は代えて、利用者の肌状態を測定した測定データ、医師や美容アドバイザーなどによる問診データ若しくは、アンケートの回答、測定結果及び問診結果の1又は複数が対応付けられたデータを用いて、分析処理を実施しても構わない。
【0034】
<分析処理装置の機能構成要素>
分析処理装置2は、機能構成要素として、格納手段201と、近赤外線データ生成手段202と、変換処理手段203と、利用者データ生成手段204と、取得手段205と、分析処理手段206と、予測手段207と、データベースDB1~4と、を備えている。
【0035】
分析処理装置2において上述した機能構成要素を論理的に実現するには、補助記憶装置23に、分析処理プログラムをアプリケーションプログラムとしてインストールしておく。そして、分析処理装置2においては、電源投入を契機に、演算装置(CPU)21がこの処理プログラムを主記憶装置(RAM)22に展開して実行する。
【0036】
<近赤外線データの取得>
図4(a)は、近赤外線データの取得に係る処理フローチャートである。まず、ステップS11において、格納手段201は、衛星データ提供サーバSSを介して取得した衛星データを受け取り、データベースDB1に格納する。衛星データには、測定日時と、位置情報と、が対応づけられている。本実施形態では、当該衛星データは、画像ファイルの形式にて、衛星データ提供サーバSSより提供される。例えば、LANDSAT衛星、PLEIADES衛星などから得られる観測データがある。これらにより、NIR(Near InfraRed)バンドの波長域の衛星データが取得される。
【0037】
ステップS12において、近赤外線データ生成手段202は、データベースDB1に格納された衛星データを解析し、地域別の近赤外線量を算出して、データベースDB2に格納する。そして、ステップS13において、算出された近赤外線量、衛星データの一情報に基づく地域及び衛星データの測定日時に基づく測定時期を含む複数項目の項目情報からなる近赤外線データを取得する。変換処理手段203は、衛星データに対応付けられた地域に関する項目情報としての位置情報を、分析の為の所定の項目情報に変換処理し、近赤外線データの地域項目に係る項目情報が設定される。
【0038】
変換処理される地域は、地方や、都道府県レベルであってもよいし、市区町村やもっと細かい単位に設定されてもよい。衛星データに含まれる全体又は所定の地域の近赤外線量は、衛星データに含まれる各地点の近赤外線量を用いて演算処理し、求められる。同様に、ある地域に属する対応する測定日時の衛星データを複数用いて、各地域の各時点での近赤外線量が演算処理される。近赤外線データ生成手段202は、地域ごとの各時点の近赤外線量が1又は複数の衛星データを用いて算出され、分析処理に利用される。
【0039】
<利用者データの取得>
図4(b)は、利用者データの取得に係る処理フローチャートである。まず、ステップS21において、格納手段201は、アンケートデータを受け取り、データベースDB3に格納する。
図5(a)は、データベースDB3に格納されたアンケートデータの一例を示す図である。アンケートデータには、アンケートの回答時期(年月や、年月日等)と、地域情報と、設問に対する回答と、が対応づけられている。地域情報は、例えば、アンケートデータを実施した会場の所在や利用者(アンケート回答者)の所在であってもよいし、利用者が所属する地域を問う設問に対する回答として、選択・記入されたものであってもよい。
【0040】
更に、アンケートの設問の一部又は全部は、アンケート日時(回答時期)より過去の期間を指定して、利用者より回答を行わせる形式の期間指定設問であってよい。例えば、「過去2ヵ月間で起こった肌の不調を以下から選択してください。」、「過去2年間で起こった肌の不調を以下から選択してください。」といった形式で、アンケート日時(回答時期)より過去の期間に対する回答を、選択形式や択一形式により受け付ける。
【0041】
期間指定設問に対しては、その期間を指定する為の期間指定データが対応付けられ、データベースDB3に記憶される。
図5(b)は、期間指定データの一例を示す図である。例えば、アンケートID「1810」のアンケートについては、2ヵ月の期間が指定された期間指定設問(図示例における問題3-1~4-2)と、24ヵ月の期間が指定された期間指定設問(図示例における問題5-1~)と、が含まれる。
【0042】
以上から、アンケートデータには、アンケートの回答時期に関するメタ項目及び回答項目及び地域情報が対応付けられ、更に期間指定設問に対する回答項目について指定の期間が対応付けられている。
【0043】
利用者データ生成手段204は、アンケートデータを用いて、回答時期に関する情報及び指定期間を用いて得られる暴露時期を取得時期、期間指定設問に対する回答項目を回答の項目とした利用者データを生成する。
【0044】
例えば、ステップS22において、アンケートデータより指定期間別に期間指定設問を取得し、アンケートの回答時期に関するメタ情報及び期間指定設問の指定期間を用いて暴露時期を推定し、暴露時期別の解答項目を取得する(ステップS23)。
【0045】
そして、ステップS24において、変換処理手段203は、アンケートデータに対応付けられた地域に関する項目情報を、分析の為の所定の項目情報に変換処理する。ステップS25において、利用者データ生成手段204は、地域、暴露時期(取得時期)及び回答を含む複数項目の項目情報からなる利用者データを取得し、データベースDB4に格納する。
【0046】
肌及び/又は体調に関する測定結果や問診結果を利用する場合、利用者データは、回答の項目に代えて、又は加えて、測定値や問診回答の項目を含んでよい。測定結果を利用する場合には、測定日などが取得時期に相当し、利用者の所在や、利用者が所属・活動する地域、測定場所などが地域に相当する。問診結果を利用する場合には、問診に対する回答時期や、問診内容によって指定される過去の暴露時期などが取得時期に相当し、利用者の所在や、利用者が所属・活動する地域、問診場所などが地域に相当する。また、利用者データは、必ずしもデータを加工して得たものでなくてもよく、データベースDBに格納された肌及び/又は体調に関するデータそのものを用いる構成としても構わない。
【0047】
図5(c)は、期間指定データ及びアンケートデータの回答時期の項目によって推定される暴露時期別の利用者データの一例を示す図である。例えば、上段は、アンケートデータの回答時期項目(2018年10月)から、2ヵ月前の期間が指定された期間指定設問(図示例における問題3-1~4-2)を集計した利用者データの一例であり、下段は、24ヵ月の期間が指定された期間指定設問(図示例における問題5-1~)を集計した利用者データの一例である。ここで、アンケートデータの日付項目に含まれる日付を無視して算出しているが、これらを加味して暴露時期を推定しても構わない。
【0048】
ここで、アンケートデータに対応付けられた地域は、必ずしも変換処理される必要はなく、アンケートデータに対応付けられた地域を、変換処理の目的である所定の地域とし、衛星データの地域に関する項目情報(位置情報)について変換処理する構成としてもよい。また、図示例では、推定した暴露時期を別に利用者データを集計しているが、必ずしもこのようなデータ加工処理は必要ない。
【0049】
<分析処理>
図6は、分析処理に係る処理フローチャートである。ステップS31において、取得手段205は、データベースDB2に格納された地域、測定時期及び近赤外線量を含む複数項目の項目情報からなる近赤外線データ並びに、データベースDB4に格納された地域、取得時期及び回答を含む複数項目の項目情報からなる利用者データを取得する。
【0050】
分析処理手段206は、共通する地域に関する近赤外線データ及び利用者データを用いて分析処理し、分析結果を算出する。本実施形態では、ステップS32に示すように、入力された近赤外線データに含まれる1又は複数の項目及び入力された利用者データの1又は複数の項目の組み合わせに基づいて、分析結果として項目の相関を算出する。
【0051】
得られた相関に基づいて、例えば、入力された近赤外線量に基づく影響度を算出する予測式を設定することができる。予測手段207は、地域別に入力された近赤外線量を用いて、入力された近赤外線量に基づく肌及び/又は健康に対する影響度予測を行う。予測手段207で入力される近赤外線量は、予測した各地域の将来の近赤外線量であってもよいし、反射近赤外線量や地上近赤外線量の測定値であってもよい。
【0052】
<表示処理>
ウェブサーバ4は、機能構成要素として、端末装置3からの表示処理に基づいて、分析処理装置2での分析処理結果に基づくウェブページを表示処理し、その表示処理結果を送信する表示手段401を備える。表示手段401は、地域別予測画面を表示処理して処理結果を送信し、端末装置3は前記処理結果に基づいて地域別予測画面を表示する。
【0053】
図7は、地域別予測画面の画面表示例である。地域別予測画面W1は、入力された近赤外線量に基づいて、域別の「美肌指数」を地図上に表示している。本実施形態においては、肌状態項目のひとつとして美肌指数を扱い、近赤外線レベルに応じて予め定義された美肌指数を、地域別予測画面W1の表示に用いる。
【0054】
<実施形態2>
ついで、本発明の第2実施形態について
図8及び
図9を参照して説明する。本実施形態では、機械学習装置6は、分析処理手段206に代えて、学習手段208を備える構成としたものである。なお、前述した第1実施形態と同様の構成については同一符号を用いて説明を簡略化する。
【0055】
図8は、機械学習装置6のハードウェア構成図である。また、
図9は、学習処理に係る処理フローチャートである。本実施形態では、第1実施形態と同様に格納手段201と、近赤外線データ生成手段202と、変換処理手段203と、利用者データ生成手段204と、を用いて、所定の地域が対応付けられた近赤外線データ及び利用者データが、データベースDB2,4に格納される。
【0056】
<学習処理>
取得手段205は、データベースDB2より、地域、測定時期及び近赤外線量を含む複数項目の項目情報からなる近赤外線データを取得し、データベースDB4より、地域、取得時期及び回答を含む複数項目の項目情報からなる利用者データを取得する。
【0057】
そして、
図9のステップS41に示すように、対応する地域及び時期項目を含む近赤外線データ及び利用者データの組み合わせを教師データとして受け付ける。学習手段208は、入力された近赤外線データ及び利用者データを用いて、学習処理を行い、ステップS42において、近赤外線データに基づく肌及び/又は健康に対する影響度予測を行う為の影響度予測モデルについて、パラメータの更新処理を行う。
【0058】
<表示処理>
予測手段207は、地域別に入力された近赤外線量及び影響度予測モデルを用いて、入力された近赤外線量に基づく地域別の肌及び/又は健康に対する影響度予測を実施する。
【0059】
ウェブサーバ4は、予測手段207の予測結果を利用して、端末装置3からの表示処理に基づいて、分析処理装置2での分析処理結果に基づくウェブページを表示処理し、その表示処理結果を送信する。端末装置3は表示処理結果に基づいて地域別予測画面を表示する。
【符号の説明】
【0060】
1 処理システム
11 演算装置(CPU)
12 主記憶装置(RAM)
13 補助記憶装置
14 通信制御部
15 通信インタフェース(IF)部
16 表示制御部
17 表示部
18 情報入力・指定部
2 分析処理装置
21 演算装置(CPU)
22 主記憶装置(RAM)
23 補助記憶装置
24 通信制御部
25 通信インタフェース(IF)部
201 格納手段
202 近赤外線データ生成手段
203 変換処理手段
204 利用者データ生成手段
205 取得手段
206 分析処理手段
207 予測手段
208 学習手段
3 端末装置
4 ウェブサーバ
401 表示手段
DB1~DB4 データベース
NW 通信ネットワーク
SA 人工衛星
SS 衛星データ提供サーバ