(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/302 20060101AFI20220926BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20220926BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220926BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220926BHJP
G09G 3/3208 20160101ALI20220926BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20220926BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
G09F9/302 C
G02F1/167
G09F9/30 349B
G09G3/20 642K
G09G3/3208
G09G3/34 C
G09G3/36
(21)【出願番号】P 2018211452
(22)【出願日】2018-11-09
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨沢 一成
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520214(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092877(WO,A1)
【文献】特開2013-076843(JP,A)
【文献】特表2002-511607(JP,A)
【文献】特開2013-250325(JP,A)
【文献】特開2018-013718(JP,A)
【文献】国際公開第2016/043057(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0301424(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/15-1/19
G09F9/30-9/46
G09G3/00-3/08
3/12-3/26
3/30-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板と、
前記表示基板の表示面側に設けられるフィルタ部とを備え、
前記フィルタ部は、第1カラーフィルタが設けられた第1副画素領域と、第2カラーフィルタが設けられた第2副画素領域と、第3カラーフィルタが設けられた第3副画素領域と、無色の第4副画素領域とを有し、
前記表示基板は、副画素単位で白色、黒色又は赤色を個別に切り替え可能に設けられた複数の画素を有し、
前記画素は、前記第1副画素領域と重なる第1副画素と、前記第2副画素領域と重なる第2副画素と、前記第3副画素領域と重なる第3副画素と、前記第4副画素領域と重なる第4副画素とを含
み、
前記第1カラーフィルタが透過させる光のスペクトルのピーク及び前記第2カラーフィルタが透過させる光のスペクトルのピークは、第1波長と第2波長との間で緑色として認識される光のスペクトル付近にあり、
第1波長は、赤色として認識される光のスペクトルであり、
第2波長は、青色として認識される光のスペクトルであり、
前記第1カラーフィルタ
が透過させる光のスペクトルのピーク
は、前記第2カラーフィルタが透過させる光のスペクトルのピークに比して第1波長寄り
であり、
前記第2カラーフィルタ
が透過させる光のスペクトルのピーク
は、前記第1カラーフィルタが透過させる光のスペクトルのピークに比して第2波長寄り
であり、
前記第3カラーフィルタは、
透過させる光のスペクトルのピークが青色のスペクトルである
表示装置。
【請求項2】
前記表示基板は、
2つの電極と、
前記2つの電極間に封入された電気泳動流動体とを備え、
前記電気泳動流動体は、白色の色素粒子、黒色の色素粒子及び赤色の色素粒子を含み、
前記2つの電極によって前記電気泳動流動体に与えられる電荷に応じて最も表示面側に位置する色素粒子が切り替わる
請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1副画素及び前記第2副画素を白色にし、前記第3副画素及び前記第4副画素を黒色にして緑の表示色を再現する
請求項
1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1副画素、前記第2副画素及び前記第4副画素を黒色にし、前記第3副画素を白色にして青の表示色を再現する
請求項
1又は
3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1副画素及び前記第2副画素を黒色にし、前記第3副画素を白色にし、前記第4副画素を赤色にして紫の表示色を再現する
請求項
1、
3又は
4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1副画素、前記第2副画素及び前記第3副画素を白色にし、前記第4副画素を黒にしてシアンの表示色を再現する
請求項
1、
3、
4又は
5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1副画素及び前記第4副画素を赤色にし、前記第2副画素を白色にし、前記第3副画素を白色以外の色にして赤の表示色を再現する
請求項
1、
3、
4、
5又は
6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1副画素及び前記第2副画素を白色にし、前記第3副画素を白色以外の色にし、前記第4副画素を赤色にして黄の表示色を再現する
請求項
1、
3、
4、
5、
6又は
7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記白色以外の色は、黒色である
請求項
7又は
8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記白色以外の色は、赤色である
請求項
7又は
8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1副画素、前記第2副画素、前記第3副画素及び前記第4副画素を白色にして白の表示色を再現する
請求項
1、
3、
4、
5、
6、
7、
8、
9又は
10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1副画素を赤色にし、前記第2副画素、前記第3副画素及び前記第4副画素を白色にして白の表示色を再現する
請求項
1、
3、
4、
5、
6、
7、
8、
9又は
10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第4副画素領域は、カラーフィルタを有しない
請求項1から
12のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第4副画素領域は、無色の透光性部材を有する
請求項1から
12のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一形態として、複数の色素粒子を含む電気泳動流動体を用いた電子ペーパーが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、再現可能な色が色素粒子の色に限定されており、それを超えるより多彩な表示色の再現を行うことが困難であった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、より多彩な表示色を再現できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による表示装置は、表示基板と、前記表示基板の表示面側に設けられるフィルタ部とを備え、前記フィルタ部は、第1カラーフィルタが設けられた第1副画素領域と、第2カラーフィルタが設けられた第2副画素領域と、第3カラーフィルタが設けられた第3副画素領域と、無色の第4副画素領域とを有し、前記表示基板は、副画素単位で白色、黒色又は赤色を個別に切り替え可能に設けられた複数の画素を有し、前記画素は、前記第1副画素領域と重なる第1副画素と、前記第2副画素領域と重なる第2副画素と、前記第3副画素領域と重なる第3副画素と、前記第4副画素領域と重なる第4副画素とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置の主要構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、画像表示パネルの主要構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、画像表示パネルの主要構成を示す模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、非動作状態の副画素を示す模式図である。
【
図5】
図5は、動作状態の副画素を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタ、第3カラーフィルタがそれぞれ透過させる光の波長と透光率との関係及び赤色微粒子が反射させる光の波長を示す模式的なグラフである。
【
図8】
図8は、画素が再現する表示色と、副画素が有するカラーフィルタの色と副画素の状態との組み合わせと、の関係の一例を示す表図である。
【
図9】
図9は、カラーフィルタの色及び
図8の表図に従った表示色の再現による色空間をXYZ表色系で示す図である。
【
図10】
図10は、画素が再現する表示色と、副画素が有するカラーフィルタの色と副画素の状態との組み合わせと、の関係の変形例を示す表図である。
【
図11】
図11は、カラーフィルタの色及び
図10の表図に従った表示色の再現による色空間をXYZ表色系で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、実施形態に係る表示装置1の主要構成例を示す図である。
図1に示すように、実施形態の表示装置1は、信号処理部10及び表示部20を備える。信号処理部10は、外部の制御装置2から入力される入力信号IPに基づいた各種の出力を行う。入力信号IPは、表示装置1に画像を表示出力させるためのデータとして機能する信号であり、例えばRGB画像信号である。信号処理部10は、入力信号IPに基づいて生成された出力画像信号OPを表示部20に出力する。
【0010】
表示部20は、画像表示パネル30及び画像表示パネル駆動部40を有する。画像表示パネル30は、複数の画素48を有するパネルであり、さらに言えば、複数の画素48が設けられた表示領域OAを有する。複数の画素48は、例えばマトリクス状に配置されている。画像表示パネル駆動部40は、信号出力回路41及び走査回路42を有する。信号出力回路41は、出力画像信号OPに応じて複数の画素48を駆動する。走査回路42は、マトリクス状に配置された複数の画素48を所定行(例えば、1行)単位で走査する駆動信号を出力する。画素48は、駆動信号が出力されたタイミングで出力画像信号OPに応じた階調値の出力が行われるよう駆動される。
【0011】
図2は、画像表示パネル30の主要構成を示す模式図である。画像表示パネル30は、フィルタ部50と、表示基板60とを備える。表示基板60は、複数の副画素61を備える。複数の副画素61は、マトリクス状に配置される。以下、副画素61が配置される平面をX-Y平面とし、副画素61の並び方向のうち一方向をX方向とし、副画素61の並び方向のうち他方向をY方向とする。また、X-Y平面に直交する方向をZ方向とする。
【0012】
図3は、画像表示パネル30の主要構成を示す模式的な断面図である。
図3に示すように、表示基板60は、上述の画素基板62と、画素基板62と対向して配置された対向基板65と、画素基板62と対向基板65との間に配置された電気泳動層70と、シール部68と、を備える。
【0013】
画素基板62は、基材63と、画素電極64とを有する。対向基板65は、基材66と、対向電極67とを有する。基材63及び基材66は、透光性のガラス基板、透光性の樹脂基板又は透光性の樹脂フィルムである。画素電極64は、基材63において、対向基板65と対向する面側に設けられている。画素電極64は、副画素61毎に個別に設けられている。
図3では、1つの副画素61に1つの画素電極64が設けられているが、1つの副画素61に複数の画素電極64が設けられていてもよい。対向電極67は、基材66において、画素基板62と対向する面側に設けられている。対向電極67は、透光性の導電膜であるITOで構成されている。対向電極67は、複数の副画素61で共有される。対向電極67と画素電極64は、電気泳動層70を挟んで対向している。対向電極67には、共通電位VCOMが供給される。
【0014】
シール部68は、画素基板62と対向基板65との間に設けられている。画素基板62、対向基板65及びシール部68により囲まれた内部の空間に電気泳動層70が封止されている。
【0015】
電気泳動層70は、例えば、複数のマイクロカプセル71を含む。マイクロカプセル71の内部には、複数の白色微粒子72Wと、複数の黒色微粒子72Bと、複数の赤色微粒子72Rと、分散液73とが封入されている。これらを含む電気泳動層70は、電気泳動流動体として機能する。複数の白色微粒子72W、複数の黒色微粒子72B及び複数の赤色微粒子72Rは、分散液73に分散されている。分散液73は、例えばシリコーンオイル等の、透光性の液体である。白色微粒子72W、黒色微粒子72B及び赤色微粒子72Rは、電気泳動粒子である。白色微粒子72Wと、黒色微粒子72Bと、赤色微粒子72Rは、それぞれ異なる光学特性を有し、白色微粒子72Wは白色に見え、黒色微粒子72Bは黒色に見え、赤色微粒子72Rは赤色に見える。白色微粒子72W、黒色微粒子72B及び赤色微粒子72Rはそれぞれ視認される色に対応する光を反射する。言い換えれば、白色微粒子72W、黒色微粒子72B、赤色微粒子72Rがそれぞれ反射する光のスペクトルは、上述の視認される色に対応する。
【0016】
白色微粒子72Wと、黒色微粒子72Bと、赤色微粒子72Rは、それぞれ異なる電気的特性を有する。例えば、白色微粒子72Wと黒色微粒子72Bとは、異なる電荷極性を有する。実施形態では、白色微粒子72Wは正に帯電され、黒色微粒子72Bは負に帯電される。また、赤色微粒子72Rは、負に帯電されるが、帯電の強度が黒色微粒子72Bよりも低い。
【0017】
図4は、非動作状態の副画素61を示す模式図である。
図5は、動作状態の副画素61を示す模式図である。画像表示パネル30の非動作状態、すなわち、画素電極64と対向電極67の電位差がない状態では、
図4に示すように、白色微粒子72W、黒色微粒子72B及び赤色微粒子72Rが画素基板62側にも対向基板65にも偏在することなく分散する。一方、画像表示パネル30の動作状態、すなわち、画素電極64と対向電極67の電位差がある状態では、
図5に示す用意、白色微粒子72W、黒色微粒子72B又は赤色微粒子72Rのいずれか1つが最も対向基板65側に偏在するよう移動する。このように、画素電極64と対向電極67との間に電界が形成されることにより、白色微粒子72W、黒色微粒子72B及び赤色微粒子72Rの分散状態が変化する。白色微粒子72W、黒色微粒子72B及び赤色微粒子72Rの分散状態に応じて、電気泳動層70で反射される光のスペクトルが変化する。
【0018】
実施形態では、対向電極67に共通電位VCOM(例えば、0V)が供給される。これに対し、画素電極64に第1電位が供給されると、
図5の黒反射状態PBのように黒色微粒子72Bが最も対向基板65側に移動する。また、画素電極64に第2電位が供給されると、
図5の白反射状態PWのように白色微粒子72Wが最も対向基板65側に移動する。また、画素電極64に第3電位が供給されると、
図5の赤反射状態PRのように赤色微粒子72Rが最も対向基板65側に移動する。第1電位をα、第2電位をβ、第3電位をγとすると、実施形態ではβ<0<γ<αである。αは、例えば15[V]である。βは、例えば-15[V]である。γは、例えば5[V]である。これはあくまで実施形態で例示した白色微粒子72W、黒色微粒子72B及び赤色微粒子72Rの帯電状態を前提とした各電位の相対関係を例示しているに過ぎず、白色微粒子72W、黒色微粒子72B及び赤色微粒子72Rの帯電状態並びに第1電位、第2電位及び第3電位については適宜変更可能である。
【0019】
フィルタ部50は、表示基板60の対向基板65側、すなわち、画像表示パネル30の表示面側に設けられる。フィルタ部50には、カラーフィルタCFが設けられる。カラーフィルタCFは、第1カラーフィルタCFYgと、第2カラーフィルタCFBgと、第3カラーフィルタCFBと、第4フィルタCFWとを含む。カラーフィルタCFは、透光性を有する部材である。実施形態のカラーフィルタCFは、例えば樹脂製の透光板又は透光膜であるがこれに限られるものでなく、ガラス板等、同様の機能を奏する構成であれば他の構成であってもよい。
【0020】
第1カラーフィルタCFYgと、第2カラーフィルタCFBgと、第3カラーフィルタCFBと、第4フィルタCFWとは、それぞれ透過させる光のスペクトルのピークが異なる。第1カラーフィルタCFYgは、透過させる光のスペクトルのピークが赤色寄りの緑色のスペクトルである。第2カラーフィルタCFBgは、透過させる光のスペクトルのピークが青色寄りの緑色のスペクトルである。第3カラーフィルタCFBは、透過させる光のスペクトルのピークが青色のスペクトルである。第4フィルタCFWは、透過させる光のスペクトルのピークに特徴的な偏りがなく、可視光を万遍なく透過させる。第4フィルタCFWの領域は、所謂無色の透過光領域として機能する。実施形態では、第4フィルタCFWとして無色の透光性部材(透光板又は透光膜)が設けられるが、第4フィルタCFWの領域に透光性部材を設けず、空洞又は隙間としてもよい。
【0021】
実施形態のフィルタ部50には、X方向の一端側から他端側に向かって、第4フィルタCFW、第1カラーフィルタCFYg、第2カラーフィルタCFBg、第3カラーフィルタCFBの順に並んで配置される。以下、この並び順で配置される1つの第4フィルタCFW、1つの第1カラーフィルタCFYg、1つの第2カラーフィルタCFBg及び1つの第3カラーフィルタCFBを含むカラーフィルタCFを、カラーフィルタCFの組と記載する。実施形態のフィルタ部50には、複数のカラーフィルタCFの組がX方向に並んで配置される。
図2に示すように、第4フィルタCFW、第1カラーフィルタCFYg、第2カラーフィルタCFBg及び第3カラーフィルタCFBのそれぞれのX方向の幅は、副画素61のX方向の幅に対応する。また、実施形態のカラーフィルタCFは、長手方向がY方向に沿う。また、実施形態のカラーフィルタCFは、
図2に示すように、副画素61のY方向の幅に対応する幅毎にブラックマトリクスで区切られている。実施形態のフィルタ部50は、ブラックマトリクスを構成するよう格子状に設けられた板状又は膜状の部材であり、これにカラーフィルタCFが取り付けられている。
【0022】
図6は、画素48の構成例を示す模式図である。1つの画素48は、1つの白副画素49Wと、1つの黄緑副画素49Ygと、1つの青緑副画素49Bgと、1つの青副画素49Bとを含む。
【0023】
白副画素49Wは、副画素61の表示面側に第4フィルタCFWが設けられている副画素である。第4フィルタCFWが設けられた領域は、第4副画素領域として機能する。黄緑副画素49Ygは、副画素61の表示面側に第1カラーフィルタCFYgが設けられている副画素である。第1カラーフィルタCFYgが設けられた領域は、第1副画素領域として機能する。青緑副画素49Bgは、副画素61の表示面側に第2カラーフィルタCFBgが設けられている副画素である。第2カラーフィルタCFBgが設けられた領域は、第2副画素領域として機能する。青副画素49Bは、副画素61の表示面側に第3カラーフィルタCFBが設けられている副画素である。第3カラーフィルタCFBが設けられた領域は、第3副画素領域として機能する。
【0024】
図7は、第1カラーフィルタCFYg、第2カラーフィルタCFBg、第3カラーフィルタCFBがそれぞれ透過させる光の波長と透光率との関係及び赤色微粒子72Rが反射させる光の波長を示す模式的なグラフである。線L1は、第3カラーフィルタCFBが透過させる光の波長と透光率との関係を示す。破線L2は、第2カラーフィルタCFBgが透過させる光の波長と透光率との関係を示す。一点鎖線L3は、第1カラーフィルタCFYgが透過させる光の波長と透光率との関係を示す。二点鎖線L4は、赤色微粒子72Rが反射させる光の波長を示す。また、二点鎖線L4は、副画素61が赤反射状態PRである場合に第4フィルタCFWが透過させる光の波長と透光率との関係を示す。
【0025】
図7に示す光のスペクトルの第1波長P1は、ヒトに赤色として認識される光のスペクトルである。また、
図7に示す光のスペクトルの第2波長P2は、ヒトに青色として認識される光のスペクトルである。第1波長P1と第2波長P2の中間付近にスペクトルのピークがある光は、ヒトに緑色として認識される。
図7の破線L2と一点鎖線L3の関係が示すように、第1カラーフィルタCFYgが透過させる光のスペクトルのピークは、第2カラーフィルタCFBgに比して赤色寄りの緑色である。言い換えれば、第2カラーフィルタCFBgが透過させる光のスペクトルのピークは、第1カラーフィルタCFYgに比して青色寄りの緑色である。また、
図7に示すように、第3カラーフィルタCFBが透過させる光のスペクトルのピークは、青色である。
【0026】
副画素61が白反射状態PWである場合、画像表示パネル30の表示面側から入射し、白色微粒子72Wにより反射され、第3カラーフィルタCFBが透過させる光のスペクトルは線L1に対応する。すなわち、副画素61が白反射状態PWである場合、青副画素49Bが表示面側に出射させる光のスペクトルは線L1に対応する。同様に、副画素61が白反射状態PWである場合、青緑副画素49Bgが表示面側に出射させる光のスペクトルは破線L2に対応する。副画素61が白反射状態PWである場合、黄緑副画素49Ygが表示面側に出射させる光のスペクトルは一点鎖線L3に対応する。
【0027】
また、第4フィルタCFWは、透過させる光のスペクトルのピークに特徴的な偏りがなく、可視光を万遍なく透過させる。従って、表示面側に第4フィルタCFWがある白副画素49Wが有する副画素61が赤反射状態PRである場合、二点鎖線L4のように、第4フィルタCFWを透過する光のスペクトルは、赤色微粒子72Rが反射させる光のスペクトルに対応する。また、副画素61が赤反射状態PRである場合において青副画素49B、青緑副画素49Bg、黄緑副画素49Ygが表示面側に出射させる光のスペクトルは、それぞれ、線L1、破線L2、一点鎖線L3が示す光の透過率で二点鎖線L4に対応する光を透過させたものになる。
【0028】
なお、副画素61が黒反射状態PBである場合、表示面側にあるカラーフィルタCFが第1カラーフィルタCFYg、第2カラーフィルタCFBg、第3カラーフィルタCFB又は第4フィルタCFWのいずれであっても、黒色の再現色として視認される。すなわち、白副画素49W、黄緑副画素49Yg、青緑副画素49Bg及び青副画素49Bは、副画素61が黒反射状態PBである場合、黒色の表示色を再現する。白副画素49W、黄緑副画素49Yg、青緑副画素49Bg及び青副画素49Bが全て黒色の表示色を再現する場合、画素48は、黒色の表示色を再現する。一方、白副画素49W、黄緑副画素49Yg、青緑副画素49Bg及び青副画素49Bの少なくとも1つが有する副画素61が黒反射状態PBでない場合、画素48は、黒色以外の表示色を再現する。画素48が再現する色は、白副画素49W、黄緑副画素49Yg、青緑副画素49Bg及び青副画素49Bがそれぞれ有する副画素61の状態に対応する。
【0029】
図8は、画素48が再現する表示色と、副画素61の表示面側に設けられるカラーフィルタCFの色と副画素61の状態との組み合わせと、の関係の一例を示す表図である。「CF色」が「W」である列が白副画素49Wを示す。「CF色」が「Yg」である列が黄緑副画素49Ygを示す。「CF色」が「Bg」である列が青緑副画素49Bgを示す。「CF色」が「B」である列が青副画素49Bを示す。
【0030】
実施形態では、表示色に対応する副画素61の制御は、信号処理部10が行う。信号処理部10は、入力信号IPが示すR,G,Bの階調値に基づいて複数の画素48の各々の表示色を決定する。信号処理部10は、決定された表示色に対応する色が表示面側に出射されるよう、複数の画素48がそれぞれ有する白副画素49W、黄緑副画素49Yg、青緑副画素49Bg及び青副画素49Bの副画素61を制御するための命令を含む出力画像信号OPを出力する。
【0031】
図8及び後述する
図10では、副画素61の状態を「Black」、「White」又は「Red」で示している。「Black」は、副画素61が黒反射状態PBであることを示す。「White」は、副画素61が白反射状態PWであることを示す。「Red」は、副画素61が赤反射状態PRであることを示す。
【0032】
黄緑副画素49Ygが有する副画素61は、第1副画素である。青緑副画素49Bgが有する副画素61は、第2副画素である。青副画素49Bが有する副画素61は、第3副画素である。白副画素49Wが有する副画素61は、第4副画素である。
【0033】
信号処理部10は、画素48に赤の表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Yg及び白副画素49Wが有する副画素61を赤反射状態PRにし、青緑副画素49Bgが有する副画素61を黒反射状態PBにし、青副画素49Bが有する副画素61を白反射状態PW以外の状態にする。また、信号処理部10は、画素48が有する副画素61に黄の表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Yg及び青緑副画素49Bgが有する副画素61を白反射状態PWにし、青副画素49Bが有する副画素61を白反射状態PW以外の状態にし、白副画素49Wが有する副画素61を赤反射状態PRにする。ここで、白反射状態PW以外の状態とは、黒反射状態PBである。
【0034】
信号処理部10は、画素48に緑の表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Yg及び青緑副画素49Bgが有する副画素61を白反射状態PWにし、青副画素49B及び白副画素49Wが有する副画素61を黒反射状態PBにする。
【0035】
信号処理部10は、画素48にシアンの表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Yg、青緑副画素49Bg及び青副画素49Bが有する副画素61を白反射状態PWにし、白副画素49Wが有する副画素61を黒にする。
【0036】
信号処理部10は、画素48に青の表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Yg、青緑副画素49Bg及び白副画素49Wが有する副画素61を黒反射状態PBにし、青副画素49Bが有する副画素61を白反射状態PWにする。
【0037】
信号処理部10は、画素48に紫の表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Yg及び青緑副画素49Bgが有する副画素61を黒反射状態PBにし、青副画素49Bを白反射状態PWにし、白副画素49Wが有する副画素61を赤反射状態PRにする。
【0038】
信号処理部10は、白の表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Yg、青緑副画素49Bg、青副画素49B及び白副画素49Wが有する副画素61を白反射状態PWにする。
【0039】
図9は、カラーフィルタCFの色及び
図8の表図に従った表示色の再現による色空間A1をXYZ表色系で示す図である。
図9及び後述する
図11では、副画素61が白反射状態PWである場合に青副画素49Bが表示面側に出射させる光によって再現される色を青色Bで示している。また、副画素61が白反射状態PWである場合に青緑副画素49Bgが表示面側に出射させる光によって再現される色を黄緑色Ygで示している。また、副画素61が白反射状態PWである場合に黄緑副画素49Ygが表示面側に出射させる光によって再現される色を青緑色Bgで示している。また、副画素61が赤反射状態PRである場合に白副画素49Wが透過させる光によって再現される色を第1赤色R1で示している。
【0040】
図8における赤の表示色は、
図9における第2赤色R2になる。これは、黄緑副画素49Ygの副画素61が赤反射状態PRであることによって、白副画素49Wの赤反射状態PRによる反射光で再現される第1赤色R1が黄緑色Yg側に引っ張られることによる。他の表示色は、XYZ表色系において第1赤色R1、黄緑色Yg、青緑色Bg、青色Bを頂点とする四角形内の色になる。
図8における黄の表示色は、
図9における第1黄色Y1になる。なお、黄色の表示はこれ以外に、黄緑副画素49Ygが有する副画素61を白反射状態PWにし、青緑副画素49Bg及び青副画素49Bが有する副画素61を黒反射状態PBにし、白副画素49Wが有する副画素61を赤反射状態PRにすることでも実現できる。ただしこの黄色は
図9の第1黄色Y1よりも第1赤色R1側にずれて暗くなる。
図8における緑の表示色は、
図9における緑色Gになる。
図8におけるシアンの表示色は、
図9におけるシアンCになる。なお、シアンの表示はこれ以外に、青緑副画素49Bg及び青副画素49Bが有する副画素61を白反射状態PWにし、黄緑副画素49Ygおよび白副画素49Wが有する副画素61を黒反射状態PBにすることでも実現できる。ただしこのシアンは
図9のシアンCよりも青色B側にずれて暗くなる。
図8における青の表示色は、
図9における青色Bになる。
図8における紫の表示色は、
図9における紫色Pになる。なお、紫色の表示はこれ以外に、黄緑副画素49Yg及び白副画素49Wが有する副画素61を赤反射状態PRにし、青副画素49Bが有する副画素61を白反射状態PWにし、青緑副画素49Bgが有する副画素61を黒反射状態PBにすることでも実現できる。ただしこの紫色は
図9の紫色Pよりも明るくなるが第1赤色R1側にずれる。
図8における白の表示色は、
図9における第1白色W1になる。
【0041】
なお、
図9及び
図11の緑色Gを含むハッチングの領域は、XYZ表色系における緑色系の領域である。青色Bを含むハッチングの領域は、XYZ表色系における青色系の領域である。第1赤色R1を含むハッチングの領域は、XYZ表色系における赤色系の領域である。紫色Pを含むハッチングの領域は、XYZ表色系における紫色系の領域である。紫色系の領域と青色系の領域との間にある網目模様の領域は、XYZ表色系における藍色系の領域である。赤色系の領域と緑色系の領域との間にある網目模様の領域は、XYZ表色系における黄色系の領域である。緑色系の領域と青色系の領域との間にあるマスキングの領域は、XYZ表色系におけるシアン系の領域である。赤色系の領域と紫色系の領域との間にあるマスキングの領域は、XYZ表色系におけるマゼンタ系の領域である。
【0042】
以上、実施形態によれば、表示装置1は、表示基板60と、表示基板60の表示面側に設けられるフィルタ部50とを備える。フィルタ部50は、第1カラーフィルタCFYgと、第2カラーフィルタCFBgと、第3カラーフィルタCFBと、第4フィルタCFWとを有する。第1カラーフィルタCFYgは、透過させる光のスペクトルのピークが赤色寄りの緑色にある。第2カラーフィルタCFBgは、当該ピークが青色寄りの緑色にある。第3カラーフィルタCFBは、当該ピークが青色にある。表示基板60は、白反射状態PW、黒反射状態PB又は赤反射状態PRを個別に切り替え可能に設けられた複数の副画素61を有する。画素48は、第1カラーフィルタCFYgと重なる黄緑副画素49Ygと、第2カラーフィルタCFBgと重なる青緑副画素49Bgと、第3カラーフィルタCFBと重なる青副画素49Bと、第4フィルタCFWと重なる白副画素49Wとを含む。
【0043】
従って、白反射状態PW、黒反射状態PB又は赤反射状態PRに切り替え可能な副画素61と、カラーフィルタCFが透過させる光のスペクトルとの組み合わせによってより多彩な表示色を再現できる。
【0044】
また、表示基板60は、画素基板62に設けられた画素電極64と、対向基板65に設けられた対向電極67と、画素基板62と対向基板65の間に封入された電気泳動層70とを備える。電気泳動層70は、白色の色素粒子である白色微粒子72W、黒色の色素粒子である黒色微粒子72B及び赤色の色素粒子である赤色微粒子72Rを含む。表示基板60は、画素電極64及び対向電極67によって電気泳動層70に与えられる電荷に応じて最も表示面側に位置する色素粒子が切り替わる。従って、自発光型又は光源を必要とする表示パネルを用いる場合に比して、より低消費電力で副画素61の白色、黒色、赤色を切り替えられる。
【0045】
(変形例)
なお、表示色と副画素61の制御との関係は、
図8の例に限られるものでない。以下、
図10及び
図11を参照して、表示色と副画素61の制御との関係の変形例について説明する。
【0046】
図10は、画素48が再現する表示色と、副画素が有するカラーフィルタCFの色と副画素61の状態との組み合わせと、の関係の変形例を示す表図である。
【0047】
変形例の信号処理部10は、画素48に赤の表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Yg及び白副画素49Wが有する副画素61を赤反射状態PRにし、青緑副画素49Bgが有する副画素61を黒反射状態PBにし、青副画素49Bが有する副画素61を白反射状態PW以外の状態にする。また、変形例の信号処理部10は、画素48に黄の表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Yg及び青緑副画素49Bgが有する副画素61を白反射状態PWにし、青副画素49Bが有する副画素61を白反射状態PW以外の状態にし、白副画素49Wが有する副画素61を赤反射状態PRにする。ここで、白反射状態PW以外の状態とは、赤反射状態PRである。
【0048】
図7の線L1で示すように、第3カラーフィルタCFBは、第1波長P1の光をある程度透過させる。このため、白副画素49Wの副画素61だけでなく、青副画素49Bの副画素61を赤反射状態PRにすることで、画素48の領域内における光をより多くすることができる。一方、
図7の二点鎖線L4で示すように、副画素61が赤反射状態PRである場合に反射される光は、第2波長P2の光をほとんど含まない。このため、青副画素49Bの副画素61を赤反射状態PRにしても、赤の表示色及び黄の表示色における青色成分の影響を事実上無視できる。従って、赤の表示色及び黄の表示色をより明るい色にすることができる。
【0049】
変形例の信号処理部10は、画素48に白の表示色を再現させる場合、黄緑副画素49Ygが有する副画素61を赤反射状態PRにし、青緑副画素49Bg、青副画素49B及び白副画素49Wが有する副画素61を白反射状態PWにする。このように、白副画素49W以外が有する副画素61を赤反射状態PRにすることで、白色点を調節することができる。その他(緑、シアン、青、紫)の色については
図10の通りである。
【0050】
以上、特筆した点を除いて、変形例の信号処理部10による副画素61の制御は、
図8を参照して説明した信号処理部10による副画素61の制御と同様である。
【0051】
図11は、カラーフィルタCFの色及び
図10の表図に従った表示色の再現による色空間A2をXYZ表色系で示す図である。
図10における赤の表示色は、
図11における第3赤色R3になる。
図10における黄の表示色は、
図11における第2黄色Y2になる。
図10における白の表示色は、
図11における第2白色W2になる。
【0052】
以上説明したように、変形例によれば、赤の表示色及び黄の表示色をより明るい色にすることができる。また、白色点を実施形態と異なるよう調節することができる。
【0053】
なお、上述の実施形態及び変形例(実施形態等)におけるフィルタ部50は、複数の色素粒子を含む電気泳動流動体を用いた所謂電子ペーパー方式のパネルであるが、これはフィルタ部50の具体的な形態の一例であってこれに限られるものでない。フィルタ部50は、副画素毎に白、黒、赤を切り替え可能に設けられた透過型、半透過型又は反射型の液晶表示装置であってもよいし、OLED(Organic Light Emitting Diode)等の有機エレクトロルミネセンスを利用した自発光型の表示パネルであってもよいし、その他の方式で副画素毎に白、黒、赤を切り替え可能に設けられた表示パネルであってもよい。
【0054】
また、実施形態等において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0055】
1 表示装置
30 画像表示パネル
48 画素
49Yg 黄緑副画素
49Bg 青緑副画素
49B 青副画素
49W 白副画素
50 フィルタ部
60 表示基板
61 副画素
64 画素電極
67 対向電極
70 電気泳動層
72W 白色微粒子
72B 黒色微粒子
72R 赤色微粒子