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  • 特許-粉状材料敷均し機の材料送り機構 図1
  • 特許-粉状材料敷均し機の材料送り機構 図2
  • 特許-粉状材料敷均し機の材料送り機構 図3
  • 特許-粉状材料敷均し機の材料送り機構 図4
  • 特許-粉状材料敷均し機の材料送り機構 図5
  • 特許-粉状材料敷均し機の材料送り機構 図6
  • 特許-粉状材料敷均し機の材料送り機構 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】粉状材料敷均し機の材料送り機構
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20220926BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018218863
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020084517
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100081514
【氏名又は名称】酒井 一
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】千々松 正和
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳夫
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 光
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-066608(JP,A)
【文献】特開2006-144240(JP,A)
【文献】特開昭48-045041(JP,A)
【文献】特開2006-316530(JP,A)
【文献】特開昭51-121932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベントナイトを含む粉状の材料を敷均す粉状材料敷均し機として代用する建設機械のアスファルトフィニッシャー又は前記アスファルトフィニッシャーと略同じ基本構成を備えて構成される専用の粉状材料敷均し機に取り付けられ、前記粉状材料敷均し機の材料出口から投下される粉状の材料を前記粉状材料敷均し機に装着されるブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前で前記粉状材料敷均し機の幅方向に送り敷き拡げるのに使用する粉状材料敷均し機の材料送り機構であって、
前記粉状材料敷均し機の材料出口の下方から前記粉状材料敷均し機の幅方向に向けて延設される一対のベルトフィーダからなり、
前記各ベルトフィーダは、
前記粉状材料敷均し機の材料出口の下方から前記粉状材料敷均し機の幅方向に延びるコンベアフレームと、
前記コンベアフレームの両端に水平方向に配設される軸を介して垂直方向に回転可能に支持されるコンベアローラと、
前記各コンベアローラ間に垂直方向に回転可能に巻き掛けられ、粉状の材料を搬送するための無端状のベルトと、
前記ベルトを回転駆動する駆動装置と、
を備え、
前記各ベルトフィーダの少なくとも前記各ベルトの粉状の材料の搬送面は、前記各ベルトが前記各ベルトの前記材料出口側端からその反対の端方向に向けて回転されて、前記粉状材料敷均し機の前記材料出口から前記各ベルトの搬送面上に投下される粉状の材料を前記ベルトの前記材料出口側端からその反対の端へ送りつつ前記各ベルトの搬送面から前記ブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前へ粉状の材料の敷き広げ方向に略均一に落下可能に、所定の向きに傾けられる
ことを特徴とする粉状材料敷均し機の材料送り機構。
【請求項2】
各ベルトフィーダの各ベルトの搬送面は、前記ベルトフィーダへの粉状の材料の単位時間当たりの供給量をGkg、前記ベルトフィーダの長さをL、前記ベルトフィーダの長手方向単位長さ当たりの材料の落下量をgkgとして、g=G/L(kg)となるように、前記各ベルトの搬送面の長手方向に前記各ベルトの前記材料出口側端からその反対の端方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ短手方向に前記ブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、所定の向きに傾けられる請求項1に記載の粉状材料敷均し機の材料送り機構。
【請求項3】
各ベルトの搬送面は、各ベルトフィーダの長手方向に前記各ベルトフィーダの前記材料出口側端からその反対の端方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ短手方向に前記ブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、所定の向きに傾けられる請求項2に記載の粉状材料敷均し機の材料送り機構。
【請求項4】
各ベルトの搬送面は、各ベルトフィーダの各コンベアローラ間に前記材料出口側端の前記コンベアローラからその反対の端の前記コンベアローラ方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ前記各コンベアローラの軸方向に前記ブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、所定の向きに傾けられる請求項2に記載の粉状材料敷均し機の材料送り機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベントナイトを含む粉状の材料を敷均す粉状材料敷均し機として代用する建設機械のアスファルトフィニッシャー又はアスファルトフィニッシャーと略同じ基本構成を備えて構成される専用の粉状材料敷均し機に用い、粉状の材料を粉状材料敷均し機の幅方向に均質に送り敷き拡げるのに使用する粉状材料敷均し機の材料送り機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ベントナイトは、低透水性という性能を有することから、放射性物質の封じ込めに最適な材料の一つとされ、例えば、放射性物質の浅地中ピット処分の難透水性覆土として使用されている。
ベントナイトの性能を十分に発揮させるためには、ベントナイトの密度管理などにおいて厳しい品質管理を行う必要があり、材料の品質を確保することが施工後の品質において重要である。そこで、厳しい品質管理に適応した材料の敷均し、締固めを実現することが必要となる。通常、ベントナイトの敷均しはバックホウやブルドーザーなどを用いて実施されているが、これらの建設機械よりもベントナイトの敷均しの精度を高めるために、アスファルトフィニッシャーを用いてベントナイトの敷均しを行うことが試みられている。
【0003】
アスファルトフィニッシャーは、周知のとおり、整地された路盤上にアスファルト合材などの舗装材を敷き詰めるための建設重機で、この種のアスファルトフィニッシャーが例えば特許文献1などにより開示されている。
この文献1に記載されているように、アスファルトフィニッシャーは、舗装工事用の車両で、前方、後方に一対の車輪を有し、後方の車輪を駆動する駆動部を搭載されたトラクタと、トラクタの前部に設けられて、アスファルト合材を積み込むホッパーと、ホッパーの底部に設けられ、ホッパーに積み込まれるアスファルト合材をトラクタの後方に移送してトラクタの後部開口から路盤上に投下するフィーダコンベアと、トラクタの後方に設置され、路盤上に投下されるアスファルト合材を路盤上にトラクタの車幅方向(左右方向)に送り敷き拡げるスクリュースプレッダと、トラクタの後方でスクリュースプレッダの後方に設置され、路盤上の舗装幅に合わせて敷き拡げられるアスファルト合材の表面を平坦に敷き均すスクリードとを備える。
このアスファルトフィニッシャーによる路盤の舗装工事では、先ず、ホッパーを開き、アスファルトフィニッシャーの前方にアスファルト合材を積載したダンプトラックを付けて、ダンプトラックからアスファルト合材をホッパー内に移載する。ホッパー内にアスファルト合材が積み込まれると、ダンプトラックはアスファルトフィニッシャーから離れて、アスファルトフィニッシャーが作業員の運転席での操作により始動される。この場合、まず、ホッパー内のアスファルト合材をフィーダコンベアによってトラクタの後方へ移送し、トラクタ後部中央の開口から路盤上に投下する。これに続いて、このアスファルト合材をスクリュースプレッダにより路盤上に車幅方向に送り敷き拡げる。そして、作業員の運転席での運転操作により後方車輪を駆動してアスファルトフィニッシャーを前進させつつ、この路盤に敷き拡げられたアスファルト合材をスクリードによって敷き均す。
このようにしてアスファルトフィニッシャーによりアスファルト合材を路盤上に所定の厚さに敷き均す。なお、アスファルトフィニッシャーの後方には、ロードローラが待機され、アスファルトフィニッシャーにより敷き均されたアスファルト合材をロードローラにより転圧して、アスファルト舗装を形成する。
【0004】
この文献1のアスファルトフィニッシャーにも材料抑制用のブレードの記載があるが、一般に、大型のアスファルトフィニッシャーはブレードが装着されており、小型のアスファルトフィニッシャーは、その設置スペースがないためか、ブレードが装備されていない。
このようなアスファルトフィニッシャーでベントナイトの敷均しを行う場合、ベントナイトをブレードの前に過供給しないように適切に管理することが必要で、ベントナイトをブレードの前に均質に供給し自然充填された状態からブレードにより敷均して高さの制御を行い、その後にスクリードで予備転圧することが望ましい。とりわけ、ベントナイトを可能な限り均質に供給して自然充填の状態にすることが重要である。なお、小型のアスファルトフィニッシャーの場合、ブレードが装備されていないため、この場合は、ベントナイトをスクリードの前に均質に供給することが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-140784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種のアスファルトフィニッシャーでは、一般に、図1図2に示すように、舗装材を車幅方向に送り敷き拡げる舗装材送り機構としてスクリューユニット(スクリュースプレッダやスクリューフィーダーということもある。)が用いられている。このスクリューユニットは左右一対のスクリューからなり、スクリューユニットがトラクタの後面フレ-ムに、支持部材により後面フレ-ムに所定の間隔を介してトラクタの幅方向に沿って、かつ、地盤から所定の間隔をおいて設置され、ホッパーからアスファルト合材がフィ-ダによりトラクタの中央から左右の各スクリュー間に投下され、このアスファルト合材を各スクリューの回転によりトラクタの左右両側方に送りながら地盤上に敷き拡げるようになっている。
しかしながら、このスクリューユニットは、送る材料が通常のアスファルト合材であればトラクタの左右両側方に一様に広げることができるものの、例えばベントナイトなどの粉状の軽い材料になると、材料がスクリューから逃げて、地盤上に均質に敷き拡げることができず、その結果、高い山のところと低い山のところが生じ、スクリードで押えることで外観上同じ高さになるものの、充填された密度にばらつきが生じる、という問題がある。
また、このスクリューユニットでは、材料がベントナイトの場合、スクリューでベントナイトを解しつつ横方向に送る結果、多少の練り返しが生じ、ベントナイトが固くなる、という問題がある。
そこで、スクリューユニットに代わり、ベントナイトなど軽い粉状の材料でも地盤上に均質に敷き拡げることのできる新たな材料送り機構が求められる。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の粉状材料敷均し機(アスファルトフィニッシャーを含む)において、従来のスクリューユニットに代わり、軽い粉状の材料でも地盤上に車幅方向に送り均質に敷き拡げることのできる粉状材料敷均し機の材料送り機構を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、
ベントナイトを含む粉状の材料を敷均す粉状材料敷均し機として代用する建設機械のアスファルトフィニッシャー又は前記アスファルトフィニッシャーと略同じ基本構成を備えて構成される専用の粉状材料敷均し機に取り付けられ、前記粉状材料敷均し機の材料出口から投下される粉状の材料を前記粉状材料敷均し機に装着されるブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前で前記粉状材料敷均し機の幅方向に送り敷き拡げるのに使用する粉状材料敷均し機の材料送り機構であって、
前記粉状材料敷均し機の材料出口の下方から前記粉状材料敷均し機の幅方向に向けて延設される一対のベルトフィーダからなり、
前記各ベルトフィーダは、
前記粉状材料敷均し機の材料出口の下方から前記粉状材料敷均し機の幅方向に延びるコンベアフレームと、
前記コンベアフレームの両端に水平方向に配設される軸を介して垂直方向に回転可能に支持されるコンベアローラと、
前記各コンベアローラ間に垂直方向に回転可能に巻き掛けられ、粉状の材料を搬送するための無端状のベルトと、
前記ベルトを回転駆動する駆動装置と、
を備え、
前記各ベルトフィーダの少なくとも前記各ベルトの粉状の材料の搬送面は、前記各ベルトが前記各ベルトの前記材料出口側端からその反対の端方向に向けて回転されて、前記粉状材料敷均し機の前記材料出口から前記各ベルトの搬送面上に投下される粉状の材料を前記ベルトの前記材料出口側端からその反対の端へ送りつつ前記各ベルトの搬送面から前記ブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前へ粉状の材料の敷き広げ方向に略均一に落下可能に、所定の向きに傾けられる、
ことを要旨とする。
この材料送り機構では、各ベルトフィーダの各ベルトの搬送面は、前記ベルトフィーダへの粉状の材料の単位時間当たりの供給量をGkg、前記ベルトフィーダの長さをL、前記ベルトフィーダの長手方向単位長さ当たりの材料の落下量をgkgとして、g=G/L(kg)となるように、前記各ベルトの搬送面の長手方向に前記各ベルトの前記材料出口側端からその反対の端方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ短手方向に前記ブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、所定の向きに傾けられる。
この場合、各ベルトの搬送面は、各ベルトフィーダの長手方向に前記各ベルトフィーダの前記材料出口側端からその反対の端方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ短手方向に前記ブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、所定の向きに傾けられることが好ましい。
また、この場合、各ベルトの搬送面は、各ベルトフィーダの各コンベアローラ間に前記材料出口側端の前記コンベアローラからその反対の端の前記コンベアローラ方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ前記各コンベアローラの軸方向に前記ブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、所定の向きに傾けられるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粉状材料敷均し機の材料送り機構では、上記のとおり、各ベルトフィーダの少なくとも前記各ベルトの粉状の材料の搬送面が、所定の向きに傾けられ、各ベルトが各ベルトの材料出口側端からその反対の端方向に向けて回転されて、粉状材料敷均し機の材料出口から各ベルトの搬送面上に投下される粉状の材料をベルトの材料出口側端からその反対の端へ送りつつ各ベルトの搬送面からブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前へ粉状の材料の敷き広げ方向に略均一に落下させるようにしたので、従来のスクリューユニットに代わり、軽い粉状の材料でも地盤上に粉状材料敷均し機の幅方向に送り均質に敷き拡げることができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一般のアスファルトフィニッシャーの構成を示す図(概略側面図)
図2】同アスファルトフィニッシャーの構成を示す図(概略平面図)
図3】同アスファルトフィニッシャーの使用例を示す図(概略側面図)
図4】本発明の一実施の形態によるアスファルトフィニッシャーに用いる材料送り機構の構成を示す図(概略側面図)
図5】同材料送り機構の使用例を示す図(概略側面図)
図6】同材料送り機構の使用例を示す図(概略平面図)
図7】同材料送り機構でベントナイトを地盤上に車幅方向(左右方向)に送り敷き拡げるイメージを示す図(概略側面図)
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
この粉状材料敷均し機の材料送り機構は、ベントナイトを含む粉状の材料を敷均す粉状材料敷均し機として代用する建設機械のアスファルトフィニッシャー又はアスファルトフィニッシャーと略同じ基本構成を備えて構成される専用の粉状材料敷均し機に取り付けられ、粉状材料敷均し機の材料出口から投下される粉状の材料を粉状材料敷均し機に装着されるブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前で粉状材料敷均し機の幅方向に送り敷き拡げるのに使用される。
なお、この実施の形態では、粉状材料敷均し機としてアスファルトフィニッシャーを用いた場合を例示して、材料送り機構について説明する。
【0012】
図1図2にアスファルトフィニッシャーを示している。
図1図2に示すように、アスファルトフィニッシャーFは、本来舗装工事用の車両で、既に述べたように、前方、後方に一対の車輪101、102を有し、後方の車輪102を駆動する駆動部(図示省略)を搭載された車両をなすトラクタ1と、トラクタ1の前部に設けられて、舗装材を積み込むホッパー11と、ホッパー11の底部に設けられ、ホッパー11に積み込まれる舗装材をトラクタ1の後方に移送してトラクタ1後部中央の開口(材料出口)から路盤上に投下するフィーダ(チェーンコンベア)2と、トラクタ1の後方に設置され、路盤上に投下される舗装材を路盤上にトラクタ1の車幅方向(左右方向)に送り敷き拡げるスクリューユニット3と、トラクタ1の後方でスクリューユニット3の後方に設置され、路盤上に敷き拡げられる舗装材の表面を平坦に敷き均すブレードBと、トラクタ1の後方でブレードBの後方に設置され、路盤上でブレードBにより平坦に敷き均された舗装材を予備転圧するスクリード4とを備えて構成される。
【0013】
トラクタ1はアスファルトフィニッシャーFを走行させるための車両で、この場合、車体に前輪101、後輪102を有する車輪式の車両に構成される。なお、トラクタ1は車体にクローラを有するクローラ式の車両であってもよい。このトラクタ1には、エンジン、排気ガス処理装置、燃料タンク、ホッパー、フィーダなどが搭載される。
【0014】
ホッパー11は舗装材を貯留するための装置で、トラクタ1の前部に搭載されるカゴのようなもので、上部が油圧シリンダ112で左右に開閉可能なホッパーウィング111になっている。
【0015】
フィーダ2は、ホッパー11内の舗装材をトラクタ1の後方へ搬送する装置で、ホッパー11の底部の左右方向中央に搭載される。
【0016】
スクリューユニット3は左右一対のスクリュー3R、3Lからなり、これらのスクリュー3R、3Lはそれぞれ、回転軸31に螺旋状のスクリュー羽根32を付設されてなり、トラクタ1の後面に支持部材によりトラクタ1の後面に所定の間隔を介してトラクタ1の幅方向に沿って、かつ、路盤上から所定の間隔を取って設置され、ホッパー11から舗装材がフィーダ2によりトラクタ1の後部中央から左右の各スクリュー3R、3L間に投下され、この舗装材を各スクリュー3R、3Lの回転によりトラクタ1の左右両側方に送りながら路盤上に敷き拡げるようになっている。
【0017】
ブレードBは、板状のもので、トラクタ1の後方に上下動可能に設置され、路盤上に敷き拡げられた舗装材を所定の厚さに均す働きをする。
【0018】
スクリード4は舗装材を予備転圧して敷き均すための装置で、この場合、センタースクリード4Cと左右(幅方向)にスライド可能な右スクリード4Rと左スクリード4Lとから構成され、トラクタ1の後部にレベリングアームを介して連結され、舗装幅に応じて右スクリード4R及び左スクリード4Lを調節することによって舗装する幅を設定することができる。
【0019】
このアスファルトフィニッシャーFで路盤の舗装工事を行う場合、先ず、ホッパー11(ホッパーウィング111)を開き、アスファルトフィニッシャーFの前方に舗装材を積載したダンプトラックを付けて、ダンプトラックから舗装材をホッパー11内に移載する。ホッパー11内に舗装材が積み込まれたら、ダンプトラックはアスファルトフィニッシャーFから離れて、アスファルトフィニッシャーFが作業員の運転席での操作により始動される。この場合、図3に示すように、まず、ホッパー11内の舗装材Aをフィーダ2によってトラクタ1の後方へ移送し、トラクタ1後部中央の開口から路盤上に投下する。これに続いて、この舗装材Aをスクリューユニット3(スクリュー3R、3L)により路盤上に車幅方向に送り敷き拡げる。そして、作業員の運転席での運転操作により後方車輪102を駆動してアスファルトフィニッシャーFを前進させつつ、この路盤に敷き拡げられた舗装材をブレードBによって所定の厚さに敷き均し、スクリード4によって転圧する。
このようなアスファルトフィニッシャーFを粉状材料敷均し機として使用する。
【0020】
図4に示すように、材料送り機構M(以下、単に材料送り機構Mという。)は、舗装材に代えてベントナイトを含む粉状の材料を地盤上に所定の厚さで敷き均す粉状材料敷均し機としての既述のアスファルトフィニッシャーFにおいてトラクタ1の後方にスクリューユニット3に代えて設置され、トラクタ1前部のホッパー11からトラクタ1の後方に投下される粉状の材料を車幅方向に送り敷き拡げるもので、この材料送り機構Mは左右一対のベルトフィーダ5R、5Lからなり、アスファルトフィニッシャーFの材料出口、すなわち、トラクタ1後部中央の開口の下方からアスファルトフィニッシャーFの車幅方向に向けて延設される。なお、左右の各ベルトフィーダ5R、5Lは同じ構造を有しているので、図4では、左側一方のベルトフィーダ5Lのみ図示している。
【0021】
ここでベルトフィーダ5Lは、トラクタ1後部中央の開口の下方からアスファルトフィニッシャーFの車幅方向に延びるコンベアフレーム51と、コンベアフレーム51の両端に水平方向に配設される軸521を介して垂直方向に回転可能に支持されるコンベアローラ52と、各コンベアローラ52間に垂直方向に回転可能に巻き掛けられ、粉状の材料を搬送するための無端状のベルト53と、ベルト53を回転駆動する駆動装置54とを備えて構成される。
【0022】
コンベアフレーム51は、例えば土砂などの運搬に用いるベルトコンベアと同様に、丸型鋼管、C形鋼、L形鋼などからなる複数の骨組材により従来のスクリューユニット3(スクリュー3R、3L)と略同じ長さの長尺フレームに組み立てられてなり、このコンベアフレーム51の両端及び中央に軸受(図示省略)が設けられる。
【0023】
各コンベアローラ52は、例えば土砂などの運搬に用いるベルトコンベアに採用されるローラと同様で、それぞれ、コンベアフレーム51の両端及び両端間中央の各軸受に軸521を介して垂直方向に回転可能に支持される。なお、この場合、コンベアフレーム51の一端に支持されるコンベアローラ52は駆動ローラとして、他端に支持されるコンベアローラ52は従動ローラとして、中央のコンベアローラ52はキャリアローラとして配置される。
【0024】
ベルト53は、例えば土砂などの運搬に用いるベルトコンベアと同様に、ゴムなどの弾性材からなり、各コンベアローラ52間に巻き掛けられて垂直方向に回転可能になっている。
【0025】
駆動装置54は、例えば土砂などの運搬に用いるベルトコンベアに採用される減速付きの駆動モータと同様で、コンベアフレーム51の一端又は中央のコンベアローラ52に作動連結される。この場合、コンベアフレーム51の一端のコンベアローラ52を駆動ローラとしているので、一端のコンベアローラ52に減速付きの駆動モータが作動連結される(以下、駆動モータ54という。)。
【0026】
なお、これらコンベアフレーム51、コンベアローラ52、ベルト53及び駆動モータ54からなるベルトフィーダ5R、5Lは、既述のとおり、例えば土砂などの運搬に用いられる一般のベルトコンベアと概ね同様の構造を備えるので、このベルトフィーダ5R、5Lに一般のベルトコンベアそのものが直接利用されてもよく、また、一般のベルトコンベアがこのベルトフィーダ5R、5Lに適するようにベルトコンベアの各部を最良の状態に適宜変更して利用されてもよい。
【0027】
材料送り機構Mは各部がこのような構成からなり、図5図6に示すように、一対のベルトフィーダ5R、5Lが、一対のスクリュー3R、3Lに代えて、トラクタ1の後面フレ-ムに支持部材を介して各ベルトフィーダ5R、5Lの長手方向をトラクタ1の幅方向に向けて地盤上から所定の高さに左右対称に設置される。この場合、各ベルトフィーダ5R、5Lの少なくとも各ベルト53の粉状の材料の搬送面、つまり、上側を走行するベルト53の上面は、各ベルト53が各ベルト53の(アスファルトフィニッシャーFの)材料出口側端、つまり、トラクタ1後部中央の開口側の端からその反対の端方向に向けて回転されて、トラクタ1後部中央の開口から各ベルト53の搬送面上に投下される粉状の材料をトラクタ1後部中央の開口側端からその反対の端へ送りつつ各ベルト53の搬送面からブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前、この場合は、ブレードBの前へ粉状の材料の敷き広げ方向に略均一に落下可能に、所定の向きに傾けられる。
この場合、各ベルトフィーダ5R、5Lの各ベルト53の搬送面は、ベルトフィーダ5R、5Lへの粉状の材料の単位時間当たりの供給量をGkg、ベルトフィーダ5R、5Lの長さをL、ベルトフィーダ5R、5Lの長手方向単位長さ当たりの材料の落下量をgkgとして、g=G/L(kg)となるように、各ベルト53の搬送面の長手方向に各ベルト53のトラクタ1後部中央の開口側端からその反対の端方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ短手方向にブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前に、この場合は、ブレードBの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、所定の向きに傾けられる。
また、この場合、各ベルト53の搬送面は、各ベルトフィーダ5R、5Lの長手方向に各ベルトフィーダ5R、5Lのトラクタ1後部中央の開口側端からその反対の端方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ短手方向にブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前に、この場合は、ブレードBの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、所定の向きに傾けられてもよく、また、各ベルトフィーダ5R、5Lの各コンベアローラ52間にトラクタ1後部中央の開口側端のコンベアローラ52からその反対の端のコンベアローラ52方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ各コンベアローラ52の軸方向にブレード若しくはスクレーパ又はスクリードの前に、この場合は、ブレードBの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、各ベルト53の搬送面が所定の向きに傾けられるものとしてもよい。
【0028】
図7にホッパー11内にベントナイトを積み込み、ベントナイトをフィーダ2によってトラクタ1の後方へ移送し、トラクタ1後部中央の開口から各ベルトフィーダ5R、5L上に投下した場合の、このベントナイトを一対のベルトフィーダ5R、5Lで地盤上に車幅方向(左右方向)に送り敷き拡げるイメージを示している。
図7に示すように、各ベルトフィーダ5R、5Lの各ベルト53の搬送面が、ベルトフィーダ5R、5Lへの粉状の材料の単位時間当たりの供給量をGkg、ベルトフィーダ5R、5Lの長さをL、ベルトフィーダ5R、5Lの長手方向単位長さ当たりの材料の落下量をgkgとして、g=G/L(kg)となるように、各ベルト53の搬送面の長手方向に各ベルト53のトラクタ1後部中央の開口側端からその反対の端方向に向けて水平に対して角度αの上方傾斜を付けられ、かつ短手方向にブレードBの前に向けて水平に対して角度βの下方傾斜を付けられて、所定の向きに傾けられたことで、各ベルト53を各ベルト53のトラクタ1後部中央の開口側端からその反対の端方向に向けて回転させると、トラクタ1後部中央の開口から各ベルト53の搬送面上に投下されたベントナイトはベルトのトラクタ1後部中央の開口側端からその反対の端へ送られつつ各ベルト53の搬送面からブレードBの前へ粉状の材料の敷き広げ方向に略均一に落下し、自然充填状態に供給され、このベントナイトはブレードBやスクリード4により略均等な密度で均質に敷均される。また、ベントナイトを従来のスクリューユニットで送ることによるベントナイトの練り返しが低減されるため、ベントナイトはブレードBやスクリード4で従来よりも高い品質で均質に敷均される
【0029】
以上説明したように、この材料送り機構Mでは、既述のとおり、各ベルトフィーダ5R、5Lの少なくとも各ベルト53の粉状の材料の搬送面が、所定の向きに傾けられ、各ベルト53が各ベルト53の材料出口側端からその反対の端方向に向けて回転されて、粉状材料敷均し機の材料出口から各ベルト53の搬送面上に投下される粉状の材料をベルト53の材料出口側端からその反対の端へ送りつつ各ベルト53の搬送面からブレードB若しくはスクレーパ又はスクリードの前へ粉状の材料の敷き広げ方向に略均一に落下させるようにしたので、従来のスクリューユニットに代わり、軽い粉状の材料でも地盤上に粉状材料敷均し機の幅方向に送り均質に敷き拡げることができる。したがって、粉状の材料を粉状材料敷均し機で略均等な密度で高品質に均質に敷均すことができる。
【0030】
なお、この実施の形態では、粉状材料敷均し機としてアスファルトフィニッシャーを用いたが、アスファルトフィニッシャーと略同じ基本構成を備えて構成される専用の粉状材料敷均し機に取り付けられてもよい。
この場合、専用の粉状材料敷均し機は、ベントナイトを含む粉状の材料を積み込むホッパーと、ホッパーの底部に設けられ、ホッパーに積み込まれる粉状の材料をホッパーの出口へ送りホッパーの出口から投下するフィーダコンベアと、ホッパーの出口下部に設置され、ホッパーから投下される粉状の材料を地盤上に横断方向に送り敷き拡げる一対のベルトフィーダからなる材料送り機構と、ホッパーの後方で材料送り機構の後方に設置され、地盤上の所定幅に合わせて敷き拡げられる粉状の材料の表面を平坦に敷き均すブレード若しくはスクレイパ及び/又はスクリードとを備えて構成され、移動方式は、車輪式若しくはクローラ式の自走式、又は自走機構は搭載せず、ウィンチによる牽引方式とする。このような専用機に同様の材料送り機構Mを取り付けることで、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0031】
F アスファルトフィニッシャー
1 トラクタ
101、102 車輪
11 ホッパー
111 ホッパーウィング
112 油圧シリンダ
2 フィーダ
3 スクリューユニット
3R (右側の)スクリュー
3L (左側の)スクリュー
31 回転軸
32 スクリュー羽根
B ブレード
4 スクリード
4C センタースクリード
4R 右スクリード
4L 左スクリード
M 材料送り機構
5R (右側の)ベルトフィーダ
5L (左側の)ベルトフィーダ
51 コンベアフレーム
52 コンベアローラ
521 軸
53 ベルト
54 駆動装置(駆動モータ)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7