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特許7145767浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法
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  • 特許-浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-22
(45)【発行日】2022-10-03
(54)【発明の名称】浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 73/00 20200101AFI20220926BHJP
   B63B 35/38 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
B63B73/00
B63B35/38 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019006572
(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公開番号】P2020114719
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】中島 浩世
(72)【発明者】
【氏名】前田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 和雄
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-115798(JP,A)
【文献】実開昭55-42654(JP,U)
【文献】特開2009-12620(JP,A)
【文献】特開2007-253752(JP,A)
【文献】特開2007-321481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 73/00
B63B 35/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にバラスト水を収容可能に構成された第1浮体ブロックと、内部にバラスト水を収容可能に構成された第2浮体ブロックとを洋上で接合する浮体ブロックの接合方法において、
前記第1浮体ブロックが設置される第1浮体ブロック設置領域の周囲に、前記第1浮体ブロック設置領域に突出する第1ブラケットが突設された第1仮設杭を設ける第1仮設杭設置工程と、
前記第2浮体ブロックが設置される第2浮体ブロック設置領域の周囲に、前記第2浮体ブロック設置領域に突出する第2ブラケットが突設された第2仮設杭を設ける第2仮設杭設置工程と、
前記第1浮体ブロックを前記第1浮体ブロック設置領域の前記第1ブラケットよりも下方または上方となる高さで、かつ前記第1ブラケットと平面視で重なる位置に仮設する第1浮体ブロック仮設工程と、
前記第2浮体ブロックを前記第2浮体ブロック設置領域の前記第2ブラケットよりも下方または上方となる高さで、かつ前記第2ブラケットと平面視で重なる位置に仮設する第2浮体ブロック仮設工程と、
前記第1浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記第1浮体ブロックを上昇させ、前記第1浮体ブロックを前記第1ブラケットに下側から当接させる、または前記第1浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記第1浮体ブロックを下降させ、前記第1浮体ブロックを前記第1ブラケットに上側から当接させる第1ブラケット当接工程と、
前記第2浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記第2浮体ブロックを上昇させ、前記第2浮体ブロックを前記第2ブラケットに下側から当接させる、または前記第2浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記第2浮体ブロックを下降させ、前記第2浮体ブロックを前記第2ブラケットに上側から当接させ、前記第2浮体ブロックの高さを前記第1浮体ブロックと接合可能な高さとする第2ブラケット当接工程と、
前記第1ブラケット当接工程および前記第2ブラケット当接工程の後に、前記第1浮体ブロックと前記第2浮体ブロックとを接合する浮体ブロック接合工程と、を有することを特徴とする浮体ブロックの接合方法。
【請求項2】
内部にバラスト水を収容可能に構成された浮体ブロックを洋上で構造体に接合して設置する際に、前記浮体ブロックの波浪の影響による揺動を抑制する浮体ブロックの揺動抑制方法において、
前記浮体ブロックが設置される浮体ブロック設置領域の周囲に、前記浮体ブロック設置領域に突出するブラケットが突設された仮設杭を設ける仮設杭設置工程と、
前記浮体ブロックを前記浮体ブロック設置領域の前記ブラケットよりも下方または上方となる高さで、かつ前記ブラケットと平面視で重なる位置に仮設する浮体ブロック仮設工程と、
前記浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記浮体ブロックを上昇させ、前記浮体ブロックを前記ブラケットに下側から当接させる、または前記浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記浮体ブロックを下降させ、前記浮体ブロックを前記ブラケットに上側から当接させるブラケット当接工程と、を有することを特徴とする浮体ブロックの揺動抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洋上に浮体構造物を構築するに際に、洋上において複数の浮体ブロックを接合することがある。浮体ブロックどうしの接合は、例えば、接合される浮体ブロックを引き寄せウインチで引き寄せ、接合される浮体ブロックそれぞれの接合面を突き合わせて行っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-019692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外洋において浮体ブロックを接合する場合、波浪の影響により浮体ブロックがそれぞれ鉛直方向や水平方向に動揺してしまい、接合される浮体ブロックそれぞれの接合面を突き合わせることが困難である。
【0005】
そこで本発明は、浮体ブロックの動揺を抑制することができる浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る浮体ブロックの接合方法は、内部にバラスト水を収容可能に構成された第1浮体ブロックと、内部にバラスト水を収容可能に構成された第2浮体ブロックとを洋上で接合する浮体ブロックの接合方法において、前記第1浮体ブロックが設置される第1浮体ブロック設置領域の周囲に、前記第1浮体ブロック設置領域に突出する第1ブラケットが突設された第1仮設杭を設ける第1仮設杭設置工程と、前記第2浮体ブロックが設置される第2浮体ブロック設置領域の周囲に、前記第2浮体ブロック設置領域に突出する第2ブラケットが突設された第2仮設杭を設ける第2仮設杭設置工程と、前記第1浮体ブロックを前記第1浮体ブロック設置領域の前記第1ブラケットよりも下方または上方となる高さで、かつ前記第1ブラケットと平面視で重なる位置に仮設する第1浮体ブロック仮設工程と、前記第2浮体ブロックを前記第2浮体ブロック設置領域の前記第2ブラケットよりも下方または上方となる高さで、かつ前記第2ブラケットと平面視で重なる位置に仮設する第2浮体ブロック仮設工程と、前記第1浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記第1浮体ブロックを上昇させ、前記第1浮体ブロックを前記第1ブラケットに下側から当接させる、または前記第1浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記第1浮体ブロックを下降させ、前記第1浮体ブロックを前記第1ブラケットに上側から当接させる第1ブラケット当接工程と、前記第2浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記第2浮体ブロックを上昇させ、前記第2浮体ブロックを前記第2ブラケットに下側から当接させる、または前記第2浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記第2浮体ブロックを下降させ、前記第2浮体ブロックを前記第2ブラケットに上側から当接させ、前記第2浮体ブロックの高さを前記第1浮体ブロックと接合可能な高さとする第2ブラケット当接工程と、前記第1ブラケット当接工程および前記第2ブラケット当接工程の後に、前記第1浮体ブロックと前記第2浮体ブロックとを接合する浮体ブロック接合工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、第1ブラケット当接工程においてバラスト水を調整することで第1浮体ブロックが第1仮設杭に突設された第1ブラケットに当接しているため、波浪の影響によって第1浮体ブロックが揺動することを抑制することができる。また、第2ブラケット当接工程においてバラスト水を調整することで第2浮体ブロックが第2仮設杭に突設された第2ブラケットに当接しているため、波浪の影響によって第2浮体ブロックが揺動することを抑制することができる。
そして浮体ブロック接合工程では、第1浮体ブロックおよび第2浮体ブロックは、それぞれ波浪の影響による揺動が抑制されているため、第1浮体ブロックと第2浮体ブロックとを容易に接合することができる。
【0008】
本発明に係る浮体ブロックの揺動抑制方法は、内部にバラスト水を収容可能に構成された浮体ブロックを洋上で構造体に接合して設置する際に、前記浮体ブロックの波浪の影響による揺動を抑制する浮体ブロックの揺動抑制方法において、前記浮体ブロックが設置される浮体ブロック設置領域の周囲に、前記浮体ブロック設置領域に突出するブラケットが突設された仮設杭を設ける仮設杭設置工程と、前記浮体ブロックを前記浮体ブロック設置領域の前記ブラケットよりも下方または上方となる高さで、かつ前記ブラケットと平面視で重なる位置に仮設する浮体ブロック仮設工程と、前記浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記浮体ブロックを上昇させ、前記浮体ブロックを前記ブラケットに下側から当接させる、または前記浮体ブロックの前記バラスト水の量を調整して前記浮体ブロックを下降させ、前記浮体ブロックを前記ブラケットに上側から当接させるブラケット当接工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明では、ブラケット当接工程においてバラスト水を調整することで浮体ブロックが仮設杭に突設されたブラケットに当接するため、波浪の影響によって浮体ブロックが揺動することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、浮体ブロックの動揺を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態による浮体構造物の一例を示す図である。
図2】第1実施形態による第1仮設杭設置工程および第2仮設杭設置工程を説明する図である。
図3】第1実施形態による第1浮体ブロック仮設工程および第2浮体ブロック仮設工程を説明する図である。
図4】第1実施形態による第1ブラケット当接工程および第2ブラケット当接工程を説明する図である。
図5】第1実施形態によるドルフィン係留工程を説明する図である。
図6】第1実施形態による浮体ブロック接合工程を説明する図である。
図7】第2実施形態による第1仮設杭設置工程および第2仮設杭設置工程を説明する図である。
図8】第2実施形態による第1浮体ブロック仮設工程および第2浮体ブロック仮設工程を説明する図である。
図9】第2実施形態による第1ブラケット当接工程および第2ブラケット当接工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法について、図1図6に基づいて説明する。
第1実施形態による浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法は、図1に示すような、複数のコンクリート製の浮体ブロック10を接合して洋上4で浮体構造物100を構築する際に行われている。
本実施形態では、複数の浮体ブロック10のうちの第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2の揺動抑制方法および接合方法について説明する。
まず、第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2について説明する。
第1浮体ブロック1と、第2浮体ブロック2とは、水平方向に並んで設置される。以下では、第1浮体ブロック1と、第2浮体ブロック2とが並ぶ水平方向を第1水平方向(図1の左右方向、矢印Xの方向)とし、第1水平方向に直交する水平方向を第2水平方向(図1の紙面に直交する方向)とする。
【0013】
本実施形態では、第1浮体ブロック1は、ドルフィン3に係留されている。ドルフィン3は、海底41に支持された杭体31に固定されている。第1浮体ブロック1と、第2浮体ブロック2とは、第1水平方向の一方側に第1浮体ブロック1が配置され、他方側に第2浮体ブロック2が配置されている。ドルフィン3は、第1浮体ブロック1の第1水平方向の一方側に配置されている。
すなわち、第1浮体ブロック1は、第1水平方向の一方側がドルフィン3に係留され、第1水平方向の他方側に第2浮体ブロック2が接合されている。
第2浮体ブロック2の第1水平方向の他方側、および第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2の第2水平方向の片側または両側には、他の浮体ブロック10が接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。
【0014】
第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2は、直方体状の外形に形成されている。第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2は、上面11,21および下面12,22が水平面となり、4つの側面が第1水平方向または第2水平方向を向く鉛直面となる向きに設置されている。
【0015】
第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2は、内部にバラスト水を収容可能なバラスト水収容部13,23が形成されている。第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2には、外部の水をバラスト水収容部13,23に注水するための注水口、およびバラスト水収容部13,23の水を外部に排水するための排水口が設けられている。注水口は、例えば、第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2の側部に設けられ、注水バルブを有している。
第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2は、注水バルブを開くことでバラスト水収容部13,23に注水されるように構成されている。また、第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2は、排水口を通してバラスト水収容部13,23のバラスト水をポンプアップすることで排水されるように構成されている。
【0016】
第1浮体ブロック1と第2浮体ブロック2とを接合するには、第1浮体ブロック1をドルフィン3に係留し、ドルフィン3に係留された第1浮体ブロック1に第2浮体ブロック2を接合する。
まず、第1浮体ブロック1をドルフィン3に係留する方法について説明する。
【0017】
図2に示すように、第1浮体ブロック1が設置される第1浮体ブロック設置領域42の周囲に、第1浮体ブロック設置領域42に突出する第1ブラケット51が突設された第1仮設杭5を設ける(第1仮設杭設置工程)。
第1仮設杭5を海底41に打設し、海底41に支持された状態とする。第1ブラケット51をその上面52がドルフィン3に係留された際の第1浮体ブロック1の下面12の高さとなるように設置する。第1ブラケット51を平面視において(上下方向から見て)第1浮体ブロック設置領域42と重なる位置に設置する。
本実施形態では、第1浮体ブロック設置領域42の第2水平方向(図2の左右方向、矢印Yの方向)の両側それぞれに第1仮設杭5を打設し、第1ブラケット51を設ける。
【0018】
図3に示すように、第1浮体ブロック1を第1浮体ブロック設置領域42の第1ブラケット51よりも上方となる高さに仮設する(第1浮体ブロック仮設工程)。
第1浮体ブロック1を洋上4に浮遊させ、バラスト水を調整して、第1浮体ブロック1を第1浮体ブロック設置領域42の第1ブラケット51よりも上方となる高さとする。
第1ブラケット51よりも上方となる高さとなった第1浮体ブロック1を第1ブラケット51の上側で、平面視で第1ブラケット51と重なる位置に移動させる。
本実施形態では、第1浮体ブロック設置領域42の第2水平方向の両側それぞれに第1仮設杭5が設けられているため、第1浮体ブロック1を第1浮体ブロック設置領域42の第2水平方向の一方側の第1仮設杭5と他方側の第1仮設杭5との間に第1水平方向の他方側から入れるようにして、第1ブラケット51の上側に移動させる。
このように配置された第1浮体ブロック1は、第1仮設杭5によって第2水平方向への移動が抑制される。
【0019】
図4に示すように、第1浮体ブロック1のバラスト水の量を調整して第1浮体ブロック1を下降させ、第1浮体ブロック1の下面12を第1ブラケット51の上面52に上側から当接させる(第1ブラケット当接工程)。
第1浮体ブロック1の注水口を開口し、バラスト水収容部13に海水を注水し、第1浮体ブロック1を下降させ、第1浮体ブロック1の下面12が第1ブラケット51の上面52に当接したら注水口を閉じてバラスト水収容部13への海水の注水を停止する。
【0020】
図5に示すように、第1浮体ブロック1を第1ブラケット51の上面52に当接した状態でドルフィン3に係留可能な位置に移動させ、ドルフィン3に係留する(ドルフィン係留工程)。
第1ブラケット51および第1仮設杭5のいずれか一方または両方には、当接した第1浮体ブロック1が水平方向に容易に移動できるようにガイドローラ(不図示)が設けられていてもよい。
第1浮体ブロック1は、下面12が第1ブラケット51に当接しているとともに、第2水平方向の両側に第1仮設杭5が設けられているため、下側および第2水平方向の移動が抑制される。
【0021】
続いて、ドルフィン3に係留された第1浮体ブロック1に第2浮体ブロック2を接合する方法について説明する。第1浮体ブロック1に第2浮体ブロック2を接合する方法の第2仮設杭設置工程、第2浮体ブロック仮設工程および第2ブラケット当接工程については、第1仮設杭設置工程、第1浮体ブロック仮設工程および第1ブラケット当接工程を説明する図2図4を用いて説明する。
【0022】
図2に示すように、第2浮体ブロック2が設置される第2浮体ブロック設置領域43の周囲に、第2浮体ブロック設置領域43に突出する第2ブラケット61が突設された第2仮設杭6を設ける(第2仮設杭設置工程)。
第2仮設杭6を海底41に打設し、海底41に支持された状態とする。第2ブラケット61をその上面62が第1浮体ブロック1に接合された際の第2浮体ブロック2の下面22の高さとなるように設置する。第2ブラケット61を平面視において第2浮体ブロック設置領域43と重なる位置に設置する。
本実施形態では、第1浮体ブロック1と第2浮体ブロック2とは、同じ高さ寸法で同じ高さに配置される。このため、第2ブラケット61を第1ブラケット51と同じ高さに配置する。
本実施形態では、第2浮体ブロック設置領域43の第2水平方向の両側それぞれに第2仮設杭6を打設し、第2ブラケット61を設ける。
【0023】
図3に示すように、第2浮体ブロック2を第2浮体ブロック設置領域43の第2ブラケット61よりも上方となる高さに仮設する(第2浮体ブロック仮設工程)。
第2浮体ブロック2を洋上4に浮遊させ、バラスト水を調整して、第2浮体ブロック2を第2浮体ブロック設置領域43の第2ブラケット61よりも上方となる高さとする。
第2ブラケット61よりも上方となる高さとなった第2浮体ブロック2を第2ブラケット61の上側で、平面視で第2ブラケット61と重なる位置に移動させる。
本実施形態では、第2浮体ブロック設置領域43の第2水平方向の両側それぞれに第2仮設杭6が設けられているため、第2浮体ブロック2を第2浮体ブロック設置領域43の第2水平方向の一方側の第2仮設杭6と他方側の第2仮設杭6との間に第1水平方向の他方側から入れるようにして、第2ブラケット61の上側に移動させる。
このように配置された第2浮体ブロック2は、第2仮設杭6によって第2水平方向への移動が抑制される。
【0024】
図4に示すように、第2浮体ブロック2のバラスト水の量を調整して第2浮体ブロック2を下降させ、第2浮体ブロック2の下面22を第2ブラケット61の上面62に上側から当接させる(第2ブラケット当接工程)。
第2浮体ブロック2の注水口を開口し、バラスト水収容部23に海水を注水し、第2浮体ブロック2を下降させ、第2浮体ブロック2の下面22が第2ブラケット61に当接したら注水口を閉じてバラスト水収容部23への海水の注水を停止する。
【0025】
図6に示すように、第2浮体ブロック2を第2ブラケット61の上面62に当接した状態で第1浮体ブロック1に接合可能な位置に移動させ、第1浮体ブロック1に係留する(浮体ブロック接合工程)。
第2ブラケット61および第2仮設杭6のいずれか一方または両方には、当接した第2浮体ブロック2が水平方向に容易に移動できるようにガイドローラ(不図示)が設けられていてもよい。
第2浮体ブロック2は、下面22が第2ブラケット61に当接しているとともに、第2水平方向の両側に第2仮設杭6が設けられているため、下側および第2水平方向の移動が抑制される。
【0026】
第1ブラケット51および第2ブラケット61が接合されたら、第1仮設杭5および第2仮設杭6を撤去する(仮設杭撤去工程)。
なお、第2浮体ブロック2の第1水平方向の他方側に他の浮体ブロック10を接合する場合は、第2浮体ブロック2と他の浮体ブロック10とが接合された後に第2仮設杭6を撤去する。
【0027】
次に、上述した第1実施形態による浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した第1実施形態による浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法では、第1ブラケット当接工程においてバラスト水を調整することで第1浮体ブロック1が第1仮設杭5に突設された第1ブラケット51に当接しているため、波浪の影響によって第1浮体ブロック1が揺動することを抑制することができる。また、第2ブラケット当接工程においてバラスト水を調整することで第2浮体ブロック2が第2仮設杭6に突設された第2ブラケット61に当接しているため、波浪の影響によって第2浮体ブロック2が揺動することを抑制することができる。
そして浮体ブロック接合工程では、第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2は、それぞれ波浪の影響による揺動が抑制されているため、第1浮体ブロック1と第2浮体ブロック2とを容易に接合することができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0029】
図7に示すように、第2実施形態による浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法は、第1仮設杭設置工程では、第1ブラケット51をその下面12がドルフィン3に係留された際の第1浮体ブロック1の上面11の高さとなるように設置する。
図8に示すように、第1浮体ブロック仮設工程では、第1浮体ブロック1を第1浮体ブロック設置領域42の第1ブラケット51よりも下方となる高さで、平面視で第1ブラケット51と重なる位置に仮設する。このとき、第1浮体ブロック1のバラスト水収容部13には、バラスト水が収容された状態とする。
図9に示すように。第1ブラケット当接工程では、第1浮体ブロック1のバラスト水の量を調整して第1浮体ブロック1を上昇させ、第1浮体ブロック1の上面11を第1ブラケット51の下面53に下側から当接させる。
【0030】
第1浮体ブロック1のバラスト水収容部13のバラスト水を排水口から排出し、第1浮体ブロック1を上昇させ、第1浮体ブロック1の上面11が第1ブラケット51の下面53に当接したらバラスト水の排出を停止する。
第1浮体ブロック1は、第1ブラケット51の下面53に当接しているとともに、第2水平方向の両側に第1仮設杭5が設けられているため、上側および第2水平方向の移動が抑制されている。
ドルフィン係留工程では、第1浮体ブロック1を第1ブラケット51の下面53に当接した状態でドルフィン3(図1参照)に係留可能な位置に移動させ、ドルフィン3に係留する。
【0031】
第2実施形態においても、第1浮体ブロック1に第2浮体ブロック2を接合する方法の第2仮設杭設置工程、第2浮体ブロック仮設工程および第2ブラケット当接工程については、第1仮設杭設置工程、第1浮体ブロック仮設工程および第1ブラケット当接工程を説明する図7図9を用いて説明する。
図7に示すように、第2仮設杭設置工程では、第2ブラケット61をその下面63が第1浮体ブロック1に接合された際の第2浮体ブロック2の上面21の高さとなるように設置する。本実施形態でも、第1浮体ブロック1と第2浮体ブロック2とは、同じ高さ寸法で同じ高さに配置される。このため、第2ブラケット61を第1ブラケット51と同じ高さに配置する。
図8に示すように、第2浮体ブロック仮設工程では、第2浮体ブロック2を第2浮体ブロック設置領域43の第2ブラケット61よりも下方となる高さで、平面視で第2ブラケット61と重なる位置に仮設する。このとき、第2浮体ブロック2のバラスト水収容部23には、バラスト水が収容された状態とする。
図9に示すように、第2ブラケット当接工程では、第2浮体ブロック2のバラスト水の量を調整して第2浮体ブロック2を上昇させ、第2浮体ブロック2の上面21を第2ブラケット61の下面63に下側から当接させる。
【0032】
第2浮体ブロック2のバラスト水収容部23のバラスト水を排水口から排出し、第2浮体ブロック2を上昇させ、第2浮体ブロック2の上面21が第2ブラケット61の下面63に当接したらバラスト水の排出を停止する。第2浮体ブロック2は、第2ブラケット61の下面63に当接しているとともに、第2水平方向の両側に第2仮設杭6が設けられているため、上側および第2水平方向の移動が抑制されている。
浮体ブロック接合工程では、第1実施形態と同様に、第2ブラケット61に当接した第2浮体ブロック2を第2ブラケット61に当接した状態で第1浮体ブロック1に接合可能な位置に移動させ、第1浮体ブロック1に接合する。
【0033】
第2実施形態による浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法では、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0034】
以上、本発明による浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1仮設杭5は、第1浮体ブロック設置領域42の第2水平方向の両側それぞれに設けられ、第2仮設杭6は、第2浮体ブロック設置領域43の第2水平方向の両側それぞれに設けられているが、第1仮設杭5および第2仮設杭6が設けられる位置は適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では、第1ブラケット51と第2ブラケット61は、同じ高さに仮設されているが、第1浮体ブロック1と第2浮体ブロックとを接合可能であれば異なる高さに仮設されてもよい。
【0035】
また、上記の第1実施形態では、第1浮体ブロック1を下降させて第1ブラケット51に上側からに当接させ、第2浮体ブロック2を下降させて第2ブラケット61に上側から当接させて、第1浮体ブロック1と第2浮体ブロック2とを接合している。また、上記の第2実施形態では、第1浮体ブロック1を上昇させて第1ブラケット51に下側から当接させ、第2浮体ブロック2を上昇させて第2ブラケット61に下側から当接させて、第1浮体ブロック1と第2浮体ブロック2とを接合している。
これに対し、第1浮体ブロック1および第2浮体ブロック2のいずれか一方を下降させてブラケットに上側からに当接させ、他方を上昇させてブラケットに当接させて、第1浮体ブロック1と第2浮体ブロック2とを接合してもよい。
【0036】
また、上記の実施形態では、第1浮体ブロック1がドルフィン3に係留され、ドルフィン3に係留された第1浮体ブロック1に第2浮体ブロック2が接合されているが、第1浮体ブロック1をドルフィン3に係留する場合や、第1浮体ブロック1と第2浮体ブロック2とを接合する場合に上記の浮体ブロックの接合方法および浮体ブロックの揺動抑制方法を採用してもよい。
また、浮体ブロックをドルフィン3以外の構造体に接合する際に、上記の浮体ブロックの揺動抑制方法を採用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 第1浮体ブロック
2 第2浮体ブロック
3 ドルフィン(構造体)
4 洋上
5 第1仮設杭
6 第2仮設杭
10 浮体ブロック
42 第1浮体ブロック設置領域
43 第2浮体ブロック設置領域
51 第1ブラケット
61 第2ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9